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第一一章 狐火(きつねび)〔四四一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻 篇:第1篇 千軍万馬 よみ(新仮名遣い):せんぐんばんば
章:第11章 狐火 よみ(新仮名遣い):きつねび 通し章番号:441
口述日:1922(大正11)年02月22日(旧01月26日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年8月20日
概要: 舞台:カリガネ半島 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一同は、カリガネ半島に上陸した。一同がこれまでの旅程を話し合っていると、前方より人馬の物音が聞こえてきた。
常世城が宣伝使捕縛のために使わした軍隊であった。この軍を指揮していたのは、固虎であった。固虎は一同を取り囲み、上空からは天の鳥船で天を覆い、宣伝使たちを威嚇した。
珍山彦は吹き出して、爆弾を投下するならやってみよ、と怒鳴り返すと、懐から火打ちを出して、枯れ葉につけた。珍山彦の焚き火は、常世城の爆撃の合図と同じであった。
固虎は自分たちが爆撃されてしまうのを恐れて、慌てて珍山彦の焚き火を消すように部下たちに下知した。しかし三姉妹たちが、向かってくる兵士たちを掴んでカリガネ湾にどんどん放り込む。
上空の鳥船は、珍山彦の焚き火を合図と勘違いし、次々に爆弾を投下し始めた。味方の爆弾で、固虎の兵士たちは死傷して、惨憺たる光景を表した。
固虎軍の兵士たちは、口々に降参と改心を申し出る。宣伝使たちが宣伝歌を歌い始めると、固虎をはじめとする兵士たちも歌い舞い始めた。知らず知らずに、爆弾で破れた体も元に戻り、負傷の跡形もなくなっていた。
固虎は翻然として悟り、三五教に改心して、ロッキー山への道案内を務めることとなった。固虎は後に、固山津見という神名をいただき、大活躍をすることになる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-07-15 22:05:38 OBC :rm1011
愛善世界社版:90頁 八幡書店版:第2輯 423頁 修補版: 校定版:94頁 普及版:42頁 初版: ページ備考:
001川田(かはた)(まち)(はな)れたる
002常磐(ときは)(もり)(いは)()
003(こころ)(かた)五柱(いつはしら)
004珍山彦(うづやまひこ)(はじ)めとし
005(なみ)(ひびき)()(かぜ)
006淤縢山津見(おどやまづみ)宣伝使(せんでんし)
007ミロクの御代(みよ)松代姫(まつよひめ)
008梅ケ香姫(うめがかひめ)竹野姫(たけのひめ)
009ここに()(にん)はいそいそと
010アナウ高原(かうげん)()()えて
011シラ山峠(やまたうげ)東麓(とうろく)
012こと()ひあはすコトド(がは)
013湯津(ゆつ)石村(いはむら)にたばしれる
014血潮(ちしほ)()むる曲神(まがかみ)
015(くる)しき(なや)みを(あら)はむと
016(おも)(こころ)カリガネ
017たより(なぎさ)のカリガネ(わん)
018(ひがし)()して(なみ)(うへ)
019(すす)()くこそ雄々(をを)しけれ。
020 南北(なんぽく)(おび)(ごと)延長(えんちやう)せるカリガネ半島(はんたう)に、021()(にん)宣伝使(せんでんし)上陸(じやうりく)した。022宣伝使(せんでんし)(かげ)(ほそ)(たけ)(ごと)く、023(なが)地上(ちじやう)(ひがし)(むか)つて(たふ)れる。024(さすが)(なが)(はる)()も、025カリガネ(わん)彼方(あなた)(うすづ)(はじ)めた。026()つて()(ひと)027()(すす)(ひと)028十曜(とえう)(もん)十人(とたり)(づれ)029日没(にちぼつ)(とも)()しき(わか)れを()げにける。
030 (もや)(つつ)まれたる(なみ)()けて、031十四夜(いざよひ)(つき)東天(とうてん)(かがや)(はじ)めぬ。032()りもせず(くも)りも()てぬ(はる)()朧月夜(おぼろづきよ)に、033(また)もや(かすか)()(にん)姿(すがた)西枕(にしまくら)(あら)はれて()た。034蚊々虎(かがとら)は、
035蚊々虎(珍山彦)『ホー淤縢山(おどやま)さま、036吾々(われわれ)常磐(ときは)(もり)から、037()うぶらぶらと、038シラ山峠(やまたうげ)(ふもと)(めぐ)つて、039(おと)(ひび)いたコトド(かは)をやうやう(わた)り、040(くさ)(しとね)仮枕(かりまくら)041(しづ)んだ浮世(うきよ)をカリガネの、042入江(いりえ)(わた)つて十人(とたり)(づれ)043アヽ()()()るるとともに、044親密(しんみつ)()(にん)(わか)れ、045ヤレ(さび)しやと(おも)()もなく、046(また)もや()(にん)のおつきあひが出来(でき)た。047矢張(やつぱ)()(なか)神歌(しんか)ではないが、048(とう)でなければ(をさ)まらぬ。049(とほ)(とほ)海山(うみやま)()えて、050どうやらかうやら此地(ここ)まで青息(あをいき)吐息(といき)為体(ていたらく)でやつて()た。051(こころ)(あら)荒浪(あらなみ)の、052淤縢山津見(おどやまづみ)宣伝使(せんでんし)053(まつ)()(かぜ)松代姫(まつよひめ)054ミロクさまがお(あが)りになつた。055サアサア、056これから言霊姫(ことたまひめ)(しづ)まり(たま)常世国(とこよぐに)057常世(とこよ)(やみ)とことんまで()らして、058常世(とこよ)神王(しんわう)改心(かいしん)させねば吾々(われわれ)役目(やくめ)がすまぬ。059烏羽玉(うばたま)()も、060(つき)(ひかり)シラ(やま)山脈(さんみやく)061サアサアこれから()きませう』
062淤縢山津見(おどやまづみ)『モシモシ珍山彦(うづやまひこ)(さま)063吾々(われわれ)(いま)まで五人(ごにん)()れで()(はず)だ。064それにあなたは十人(とたり)()れと()ひましたねえ。065いつも途方(とはう)途轍(とてつ)もない法螺(ほら)()いて吾々(われわれ)栃麺棒(とちめんぼう)()らすのですか』
066珍山彦(うづやまひこ)(蚊々虎)()(かみ)(さま)のお(かげ)十人(とたり)()れぢや、067(かみ)のお(かげ)がなければ、068矢張(やつぱ)男女(だんぢよ)()(にん)だ。069()(かみ)のお(かげ)にはづれたと(おも)へば、070今度(こんど)はミロク(さま)のお(かげ)でまた(もと)十人(とたり)()れ。071(つれ)ない浮世(うきよ)(ひと)()へども、072(たこ)さへ()れる()(なか)だ。073貴下(きか)深山(みやま)谷底(たにぞこ)で、074照彦(てるひこの)(かみ)(たこ)をつられたさうですなア』
075淤縢山津見『その(はなし)()いて(くだ)さるな。076(いち)()(はや)くこのシラ山峠(やまたうげ)(むか)ふに(わた)つて、077常世(とこよ)(くに)(まゐ)りませう。078(じつ)アナウ高原(かうげん)(わた)つて、079テキサス(はう)から常世城(とこよじやう)背面(はいめん)()(かんが)へでしたが、080(なん)だか(にはか)(あし)(ひがし)(むか)つて、081川田(かはた)(まち)不思議(ふしぎ)にも(さん)(にん)(ひめ)出会(であ)ひ、082(また)もや常磐(ときは)(もり)貴下(きか)にお()にかかつたのも、083(なに)かの霊界(かくりよ)からの()指揮(さしづ)でせう』
084(はな)(をり)しも、085前方(ぜんぱう)より幾百(いくひやく)とも()れぬ人馬(じんば)物音(ものおと)(きこ)(きた)る。086()(にん)宣伝使(せんでんし)(また)もや(てき)襲来(しふらい)かと、087腹帯(はらおび)()め、088(ただち)月光(げつくわう)(むか)つて()(あは)せ、089神言(かみごと)奏上(そうじやう)し、090(こゑ)(そろ)へて宣伝歌(せんでんか)をうたひける。
091 ()ひおひ(ちか)づき(きた)群衆(ぐんしう)(なか)より、092一人(ひとり)棟梁(とうりやう)らしきもの(あら)はれ、
093固虎『ヤアヤア、094それに()()(にん)(もの)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)であらう。095テツキリ(まつ)096(たけ)097(うめ)(さん)(にん)(をんな)相違(さうゐ)はあるまい。098常世城(とこよじやう)夜陰(やいん)(じやう)じて()(いだ)し、099(また)もやこのカリガネ半島(はんたう)(きた)つて宣伝歌(せんでんか)(うた)不届(ふとどき)至極(しごく)(やつ)100常世(とこよ)神王(しんわう)(めい)()つて、101腕力(わんりよく)(てつ)より(かた)固虎(かたとら)召捕(めしとり)(むか)うたり。102サア尋常(じんじやう)(ばく)()くか。103(いな)(まを)さば、104この(やり)キツ(さき)にて(つらぬ)かうか。105返答(へんたふ)如何(いか)に』
106(うま)(すす)ませ呶鳴(どな)りつつ(せま)(きた)る。
107 一行(いつかう)(なん)応答(いらへ)もなく、108黙然(もくねん)として佇立(ちよりつ)()たるに、109前後(ぜんご)左右(さいう)(たちま)(おこ)(とき)(こゑ)110()ひおひ身辺(しんぺん)近寄(ちかよ)(きた)る。111(そら)には数十(すうじふ)(あま)鳥船(とりふね)(てん)(おほ)ひて(たけ)(くる)ひ、112威嚇(ゐくわく)運動(うんどう)開始(かいし)されて()る。113固虎(かたとら)は、
114固虎『ヤア、115(なんぢ)らは(この)(はう)威勢(ゐせい)(おそ)れて、116一言(いちげん)半句(はんく)言葉(ことば)はなく、117がたがた(ふる)うて()るのか。118(いま)にこの固虎(かたとら)合図(あひづ)(いた)さば、119(そら)鳥船(とりふね)より(おろ)投弾(なげだま)に、120(なんぢ)()(にん)身体(しんたい)木端(こつぱ)微塵(みぢん)121微塵(みじん)となつて(ほろ)ぶるよりも、122一寸(いつすん)()びれば(ひろ)とやら、123一息(ひといき)()(いのち)()しからう。124サア(この)(はう)()()(ぬか)さず()いて()い。125(ろく)でもない(こと)(さへづ)つても、126この(はう)はエエ七面倒(しちめんだう)くさい、127(あご)(たた)くと()(たふ)して()仕舞(しま)ふのだ。128()こよの(くに)固虎(かたとら)旭日(きよくじつ)昇天(しようてん)()威勢(ゐせい)()らぬか』
129空威張(からゐばり)威張(ゐば)()らして呶鳴(どな)()る。130珍山彦(うづやまひこ)()(いだ)し、
131珍山彦(蚊々虎)『ウワハヽヽヽ、132ヤア固虎(かたとら)133ほざいたりなほざいたりな、134ロッキー(ざん)常世城(とこよじやう)に、135()(かま)へたる八岐(やまた)大蛇(をろち)尻尾(しつぽ)(やつ)ども、136(この)(はう)(なん)心得(こころえ)てをるか、137世界(せかい)名高(なだか)三五教(あななひけう)蚊々虎(かがとら)さまとは(おれ)(こと)だ。138()()いて一同(いちどう)(やつ)139(きも)(つぶ)すな。140何程(なにほど)(うへ)から爆弾(ばくだん)()げたとて、141それが(なに)(おそ)ろしいか。142(いち)()(はや)合図(あひづ)(いた)して、143爆弾(ばくだん)()げさせよ。144(この)(はう)神変(しんぺん)不可思議(ふかしぎ)神力(しんりき)(そな)はる、145いづのみたまの五人(ごにん)()れ。146貴様(きさま)(はう)烏合(うがふ)(しう)だ。147うごうご(いた)した密集(みつしふ)部隊(ぶたい)へ、148爆弾(ばくだん)投下(とうか)(この)(はう)にもつて()いだ。149(てき)武器(ぶき)をもつて(てき)(ほろ)ぼすとはこの(こと)だ。150サア、151貴様(きさま)(もち)ふる合図(あひづ)(この)(はう)がやつてやらう。152自縄(じじよう)自縛(じばく)153自滅(じめつ)(たん)(ひら)(おほ)馬鹿者(ばかもの)
154()ひながら、155蚊々虎(かがとら)(ふところ)より火打(ひうち)()()し、156火口(ほくち)()(うつ)し、157枯葉(かれは)(あつ)めて三箇所(さんかしよ)()()()せば、158固虎(かたとら)は、
159固虎『ヤア、160そりや大変(たいへん)だ。161(この)(はう)合図(あひづ)をどうして()つたか。162味方(みかた)武器(ぶき)味方(みかた)(ほろび)る。163(たま)らぬ(たま)らぬ、164ヤイヤイ、165(みな)(もの)ども、166(いち)()(はや)くあの()()せよ』
167 一同(いちどう)焚火(たきび)(むか)つて()しにかからうとする(やつ)を、168(まつ)169(たけ)170(うめ)(さん)(にん)は、171三ケ所(さんかしよ)()(そば)()()(あが)り、172()()(やつ)手玉(てだま)()つて、173一々(いちいち)カリガネ(わん)()()む。
174 (たちま)轟然(がうぜん)たる(ひびき)(きこ)えて、175爆弾(ばくだん)密集(みつしふ)部隊(ぶたい)頭上(づじやう)破裂(はれつ)せしかば、176(あわ)()いて死傷(ししやう)(さん)なく、177(いのち)辛々(からがら)()()くもあり、178その()(たふ)れて(うめ)(こゑ)179此処(ここ)彼処(かしこ)(きこ)(きた)る。180珍山彦(うづやまひこ)大音声(だいおんじやう)
181珍山彦(蚊々虎)『ヤアヤア、182固虎(かたとら)部下(ぶか)(もの)(ども)183改心(かいしん)したか。184(きも)(つぶ)し、185(こし)()かし、186(はな)(くじ)かれ、187(くち)()()かれ、188眼球(めだま)()()し、189(みみ)はちぎれ、190(うで)()れ、191(あし)むしられ、192(じつ)()(どく)千万(せんばん)なるよ。193(いま)この()(おい)改心(かいしん)(いた)さばよし、194(いや)()ふなら、195一度(いちど)合図(あひづ)をしようか』
196 一同(いちどう)(なか)より、197()(ごゑ)(しぼ)りながら、
198固虎の部下蚊々虎(かがとら)(さま)199(さん)(にん)(ひめ)(さま)200(わたくし)改心(かいしん)(いた)します。201どうぞ(たす)けて(くだ)さいませ』
202珍山彦(蚊々虎)改心(かいしん)(いた)した(やつ)は、203この()(つみ)(ゆる)してやらう。204改心(かいしん)(いた)すほど()(なか)結構(けつこう)はない。205サア一同(いちどう)(この)(はう)(あと)()いて宣伝歌(せんでんか)(うた)へ』
206一同(いちどう)常世(とこよ)(くに)やロッキーの
207(やま)(かく)るる曲津(まがつ)(かみ)
208八岐(やまた)大蛇(をろち)(ねら)はれて
209(かみ)御国(みくに)(みだ)さむと
210鼻息(はないき)(たか)鷹取別(たかとりわけ)
211(しこ)魔神(まがみ)(こし)()かし
212(はな)みしやがれたその家来(けらい)
213(かた)(かぜ)()固虎(かたとら)
214部下(てした)(もの)よ、よつく()
215(あさひ)()るとも(くも)るとも
216(つき)()つとも()くるとも
217常世(とこよ)(くに)(しづ)むとも
218曲津(まがつ)(とりで)(やぶ)るとも
219三五教(あななひけう)()(すく)
220(くち)()()(はな)(まが)
221眼球(めだま)()()(みみ)ちぎれ
222(かいな)()れて(あし)はとれ
223子供(こども)玩具(おもちや)人形箱(にんぎやうばこ)
224ぶち()けたやうな(いま)(ざま)
225改心(かいしん)するのは(この)(とき)
226改心(かいしん)するのは(この)場合(ばあひ)
227月日(つきひ)(そら)蚊々虎(かがとら)
228()言霊(ことたま)(みみ)()ませ
229(くち)(きよ)めて()(あら)
230(はな)()くして天地(あめつち)
231(かみ)(たた)ふる神言(かみごと)
232一度(いちど)()れよ(みな)のもの
233のれよのれのれ皇神(すめかみ)
234(すく)ひの(ふね)(みな)()れよ
235ロッキー(ざん)(あら)はれし
236()出神(でのかみ)伊弉冊(いざなみ)
237(かみ)(まを)すは()(みだ)
238大蛇(をろち)金狐(きんこ)化身(けしん)ぞや
239()()()ませ()()ませ
240(こころ)にかかる村雲(むらくも)
241(わが)言霊(ことたま)()(はら)
242(きよ)めて(すく)(かみ)(みち)
243(くに)てふ(くに)(おほ)けれど
244(かみ)てふ(かみ)(おほ)けれど
245常世(とこよ)(くに)常久(とことは)
246(やみ)ではおけぬ(かみ)(むね)
247ロッキー(ざん)曲神(まがかみ)
248(しこ)(たく)みを(この)(まま)
249()ててはおかぬ神心(かみごころ)
250この()(つく)りし神直日(かむなほひ)
251(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
252(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
253直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
254(おに)大蛇(をろち)曲神(まがかみ)
255(しこ)(たけ)びを皇神(すめかみ)
256(すくひ)(ふね)()(なほ)
257(こころ)(なほ)せよ諸人(もろびと)
258この()(わた)麻柱(あななひ)
259(かみ)(つく)りし方船(はこぶね)
260どこにも(ひと)(あな)はない
261あな有難(ありがた)(たふと)やと
262(ひだり)(みぎ)りの()(あは)
263(いの)れよ(いの)れカリガネの
264この島人(しまびと)固虎(かたとら)
265部下(てした)のものよ逸早(いちはや)
266(かみ)(ひかり)()()ませ
267(かみ)(ひかり)()()ませ
268()()(ひか)(つき)()
269()出神(でのかみ)(あら)はれて
270常夜(とこよ)(やみ)(てら)せども
271行方(ゆくへ)()らぬ荒浪(あらなみ)
272(なか)(ただよ)醜船(しこぶね)
273(かぢ)()られて人心(ひとごころ)
274(こころ)(うみ)日月(じつげつ)
275(ひかり)(たた)へて黄泉島(よもつじま)
276黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)(たたかひ)
277(ちから)(つく)()(つく)
278(かみ)(まも)りは()のあたり
279(かみ)(めぐ)みは(この)(とほ)り』
280(うた)()ふ。
281 固虎(かたとら)(はじ)部下(ぶか)(もの)(ども)(おも)はず()らず、282蚊々虎(かがとら)言霊車(ことたまぐるま)()せられて、283自分(じぶん)(こと)()りながら、284()らず()らずに(うた)()(をど)(くる)ふ。285()(はな)(くち)(みみ)()(あし)も、286(かみ)(めぐ)みに(すく)はれ、287(もと)(とほ)りの完全(くわんぜん)肉体(にくたい)還元(くわんげん)して、288負傷(ふしやう)(あと)さへ(とど)めざるこそ不可思議(ふかしぎ)なる。
289 これより固虎(かたとら)は、290珍山彦(うづやまひこ)(うた)(かん)じ、291翻然(ほんぜん)として(さと)り、292道案内(みちあんない)となつてロッキー(ざん)(すす)()く。293固虎(かたとら)(のち)固山(かたやま)津見(づみ)神名(しんめい)(いただ)き、294神界(しんかい)のために大活動(だいくわつどう)()すに(いた)れり。
295大正一一・二・二二 旧一・二六 加藤明子録)
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