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第66巻(巳の巻)
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第10巻(酉の巻)
序歌
凡例
総説歌
信天翁(一)
第1篇 千軍万馬
01 常世城門
〔431〕
02 天地暗澹
〔432〕
03 赤玉出現
〔433〕
04 鬼鼻団子
〔434〕
05 狐々怪々
〔435〕
06 額の裏
〔436〕
07 思はぬ光栄
〔437〕
08 善悪不可解
〔438〕
09 尻藍
〔439〕
10 注目国
〔440〕
11 狐火
〔441〕
12 山上瞰下
〔442〕
13 蟹の将軍
〔443〕
14 松風の音
〔444〕
15 言霊別
〔445〕
16 固門開
〔446〕
17 乱れ髪
〔447〕
18 常世馬場
〔448〕
19 替玉
〔449〕
20 還軍
〔450〕
21 桃の実
〔451〕
22 混々怪々
〔452〕
23 神の慈愛
〔453〕
24 言向和
〔454〕
25 木花開
〔455〕
26 貴の御児
〔456〕
第2篇 禊身の段
27 言霊解一
〔457〕
28 言霊解二
〔458〕
29 言霊解三
〔459〕
30 言霊解四
〔460〕
31 言霊解五
〔461〕
第3篇 邪神征服
32 土竜
〔462〕
33 鰤公
〔463〕
34 唐櫃
〔464〕
35 アルタイ窟
〔465〕
36 意想外
〔466〕
37 祝宴
〔467〕
附録 第三回高熊山参拝紀行歌(三)
余白歌
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第一四章
松風
(
まつかぜ
)
の
音
(
おと
)
〔四四四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
篇:
第1篇 千軍万馬
よみ(新仮名遣い):
せんぐんばんば
章:
第14章 松風の音
よみ(新仮名遣い):
まつかぜのおと
通し章番号:
444
口述日:
1922(大正11)年02月22日(旧01月26日)
口述場所:
筆録者:
桜井重雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年8月20日
概要:
舞台:
ロッキー山の山麓
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
宣伝歌の主は、珍山彦と松・竹・梅の宣伝使であった。淤縢山津見は、固虎の報告を伝え、一刻も早く松・竹・梅の宣伝使を黄泉比良坂の戦いに役立てなければ、と焦りを伝えた。
珍山彦は泰然として、松・竹・梅の三宣伝使は、去年のうちにもう黄泉島に渡っている、と言った。淤縢山津見が現にここに三人とも居るではないか、と問うと、珍山彦は、この三人は化けているのだ、と答えた。三人は消えうせてしまった。
大軍勢が続々とロッキー山から出撃していく。淤縢山津見は、これだけ大部隊が出陣したら、後の陣営は空虚でしょうか、と問うと、珍山彦は、後にはまだ、醜女探女の魔神らが場内に充満しており、彼らは最後に黄泉比良坂に攻めかけるのだ、と注意を促した。
そして、珍山彦の姿も煙と消えてしまった。
この不思議に淤縢山津見と固虎はあっけに取られるが、気を取り直して、ロッキー山の城内に潜入しようとする。
そこへ、突然照彦の姿が現れた。問いかける淤縢山津見に、照彦は、淤縢山津見と固虎がロッキー山にとどめおかれたのも、神界の深い経綸によるのだ、と告げて姿を消してしまう。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-07-15 22:20:16
OBC :
rm1014
愛善世界社版:
114頁
八幡書店版:
第2輯 432頁
修補版:
校定版:
119頁
普及版:
53頁
初版:
ページ備考:
001
風
(
かぜ
)
のまにまに
近
(
ちか
)
より
来
(
きた
)
る
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
に、
002
前方
(
ぜんぱう
)
を
眺
(
なが
)
むれば、
003
山上
(
さんじやう
)
にて
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
ちたる
珍山彦
(
うづやまひこ
)
、
004
松
(
まつ
)
、
005
竹
(
たけ
)
、
006
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
007
悠々
(
いういう
)
として
此方
(
こなた
)
に
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る。
008
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
『ホー、
009
妙
(
めう
)
な
所
(
ところ
)
で
邂逅
(
かいこう
)
しました。
010
大変
(
たいへん
)
でございますよ』
011
珍山彦
(
うづやまひこ
)
(蚊々虎)
『
大変
(
たいへん
)
とは
何
(
なん
)
ですか』
012
淤縢山津見
『
今
(
いま
)
少
(
すこ
)
し
前
(
さき
)
に、
013
法螺
(
ほら
)
の
声
(
こゑ
)
、
014
鼓
(
つづみ
)
の
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えたでせう』
015
珍山彦
『アヽ、
016
あれですか、
017
あれは
敵
(
てき
)
が
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
に
進軍
(
しんぐん
)
するのですよ。
018
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
が
始
(
はじ
)
まつて
来
(
き
)
た。
019
吾々
(
われわれ
)
共
(
ども
)
が
斯
(
か
)
うして
宣伝
(
せんでん
)
に
歩
(
ある
)
いたのも、
020
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
の
戦
(
たたか
)
ひに
出陣
(
しゆつぢん
)
せむが
為
(
ため
)
の
用意
(
ようい
)
であつた。
021
ヤア、
022
面白
(
おもしろ
)
うなつて
来
(
き
)
たワイ』
023
淤縢山津見
『
珍山
(
うづやま
)
さま、
024
面白
(
おもしろ
)
いどころぢやありませぬワ。
025
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く、
026
松
(
まつ
)
、
027
竹
(
たけ
)
、
028
梅
(
うめ
)
は
桃
(
もも
)
の
実
(
み
)
の
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
たねばならぬ。
029
敵
(
てき
)
に
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
を
占領
(
せんりやう
)
せられぬ
先
(
さ
)
きにと
今
(
いま
)
まで
思
(
おも
)
つてゐたが、
030
余
(
あま
)
り
俄
(
にはか
)
の
敵軍
(
てきぐん
)
の
出陣
(
しゆつぢん
)
で
時期
(
じき
)
を
逸
(
いつ
)
して
了
(
しま
)
つた。
031
あゝ
如何
(
どう
)
したら
宜
(
よろ
)
しからう』
032
珍山彦
『
何
(
ど
)
うも
斯
(
か
)
うもあるものか。
033
松
(
まつ
)
、
034
竹
(
たけ
)
、
035
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
去年
(
きよねん
)
の
中
(
うち
)
に
黄泉島
(
よもつじま
)
に
渡
(
わた
)
つて
居
(
を
)
られますよ』
036
淤縢山津見
『そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
がありますか。
037
ここに
現
(
げん
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
038
松
(
まつ
)
、
039
竹
(
たけ
)
、
040
梅
(
うめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
がゐられるではないか』
041
珍山彦
『この
山
(
やま
)
を
御覧
(
ごらん
)
なさい。
042
松
(
まつ
)
は
世界
(
せかい
)
に
一本
(
いつぽん
)
より
生
(
は
)
えないといふ
規定
(
きてい
)
はない
筈
(
はず
)
だ。
043
竹
(
たけ
)
も
梅
(
うめ
)
もその
通
(
とほ
)
りだ。
044
この
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
実
(
じつ
)
は
化物
(
ばけもの
)
だよ』
045
言葉
(
ことば
)
の
終
(
をは
)
ると
共
(
とも
)
に、
046
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
娘
(
むすめ
)
の
姿
(
すがた
)
は
烟
(
けむり
)
となりて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける。
047
淤縢山津見
『イヨー、
048
珍山
(
うづやま
)
さま、
049
あなたは
余程
(
よつぽど
)
変
(
かは
)
つてゐますね』
050
珍山彦
『
変
(
かは
)
つてゐるでせうが、
051
今
(
いま
)
気
(
き
)
がつきましたか。
052
随分
(
ずゐぶん
)
ウスノロな
眼力
(
がんりき
)
ですな』
053
淤縢山津見
『あなたのお
口
(
くち
)
の
悪
(
わる
)
いこと、
054
それでも
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
し
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しと
仰有
(
おつしや
)
るのだから、
055
妙
(
めう
)
なものだ。
056
まるで
狐
(
きつね
)
に
魅
(
つま
)
まれた
様
(
やう
)
だワイ』
057
この
時
(
とき
)
、
058
又
(
また
)
もや
人馬
(
じんば
)
の
物音
(
ものおと
)
凄
(
すさま
)
じく
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
059
見
(
み
)
れば
鼻
(
はな
)
の
めしやげ
た
鷹取別
(
たかとりわけ
)
、
060
照山彦
(
てるやまひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
は、
061
戎衣
(
じゆうい
)
の
袖
(
そで
)
に
日光
(
につくわう
)
をキラキラ
浴
(
あ
)
びながら
駿馬
(
しゆんめ
)
に
跨
(
またが
)
り、
062
采配
(
さいはい
)
揮
(
ふ
)
つて
進
(
すす
)
め
進
(
すす
)
めと
下知
(
げち
)
してゐる。
063
今度
(
こんど
)
は
余程
(
よほど
)
の
大舞台
(
おほぶたい
)
[
※
八幡版では「大部隊」に修正してある。
]
で、
064
部将
(
ぶしやう
)
には、
065
大雷
(
おほいかづち
)
、
066
黒雷
(
くろいかづち
)
、
067
火雷
(
ほのいかづち
)
、
068
拆雷
(
さくいかづち
)
が
各自
(
めいめい
)
部隊
(
ぶたい
)
を
引率
(
いんそつ
)
し、
069
白地
(
しろぢ
)
に
葵
(
あふひ
)
の
紋所
(
もんどころ
)
の
旗
(
はた
)
を
春風
(
はるかぜ
)
に
靡
(
なび
)
かせながら、
070
旗鼓
(
きこ
)
堂々
(
だうだう
)
として
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
勇
(
いさ
)
ましき
光景
(
くわうけい
)
なり。
071
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
『あれだけの
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
繰
(
く
)
り
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
つたら、
072
後
(
あと
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
は
空虚
(
くうきよ
)
でせうか』
073
珍山彦
(
うづやまひこ
)
『
形
(
かたち
)
に
於
(
おい
)
ては
空虚
(
くうきよ
)
だ。
074
そのかはりに
幾百千
(
いくひやくせん
)
万
(
まん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなき
醜女
(
しこめ
)
探女
(
さぐめ
)
の
魔神
(
まがみ
)
が
城
(
しろ
)
の
内外
(
ないぐわい
)
に
充満
(
じうまん
)
してゐる。
075
最後
(
さいご
)
になつて
彼
(
か
)
の
魔軍
(
まぐん
)
は
比良坂
(
ひらさか
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せるのだ』
076
といふより
早
(
はや
)
く、
077
珍山彦
(
うづやまひこ
)
の
姿
(
すがた
)
は
又
(
また
)
もや
煙
(
けむり
)
となつて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける。
078
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
『アヽ
何
(
なん
)
だ、
079
怪体
(
けつたい
)
な
事
(
こと
)
だワイ。
080
オイオイ
固虎
(
かたとら
)
さま、
081
お
前
(
まへ
)
も
煙
(
けむり
)
となつて
消
(
き
)
えるのではないかな』
082
固虎
(
かたとら
)
『
余
(
あま
)
り
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
さまばかりで、
083
恥
(
はづ
)
かしくて
私
(
わたし
)
は
消
(
き
)
えたいやうに
思
(
おも
)
つてゐるが、
084
どうしても
消
(
き
)
えられないのですよ』
085
淤縢山津見
『あゝ
仕方
(
しかた
)
がない。
086
これからロッキー
山
(
ざん
)
の
城内
(
じやうない
)
に
化
(
ば
)
け
込
(
こ
)
んで
様子
(
やうす
)
を
探
(
さぐ
)
らうか。
087
今
(
いま
)
から
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
へ
行
(
ゆ
)
くのも
後
(
あと
)
の
祭
(
まつ
)
りだ。
088
オー
固虎
(
かたとら
)
殿
(
どの
)
、
089
そなたは
今
(
いま
)
まで
常世城
(
とこよじやう
)
の
家来
(
けらい
)
であつたのを
幸
(
さいは
)
ひに、
090
私
(
わたし
)
を
連
(
つ
)
れて
城内
(
じやうない
)
に
導
(
みちび
)
いてくれまいか』
091
固虎
『それはお
安
(
やす
)
いことながら、
092
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
の
名
(
な
)
を
知
(
し
)
らぬものは
滅多
(
めつた
)
にない。
093
また
大国姫
(
おほくにひめの
)
命
(
みこと
)
は
元
(
もと
)
の
貴方
(
あなた
)
の
素性
(
すじやう
)
もお
顔
(
かほ
)
も
知
(
し
)
つてゐる。
094
軽々
(
かるがる
)
しく
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
るは
剣呑
(
けんのん
)
ですよ』
095
淤縢山津見
『さうかな。
096
併
(
しか
)
し、
097
あまりグヅグヅいたして
居
(
を
)
つて、
098
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
遅
(
おく
)
れて
了
(
しま
)
つた。
099
それだから
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
本陣
(
ほんぢん
)
と
連絡
(
れんらく
)
を
取
(
と
)
つておかねばならぬのだ。
100
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
を
執
(
と
)
つたばかりで、
101
吾
(
わが
)
計画
(
けいくわく
)
は
六日
(
むゆか
)
の
菖蒲
(
あやめ
)
、
102
十日
(
とをか
)
の
菊
(
きく
)
となつて
了
(
しま
)
つたのか。
103
エヽ
残念
(
ざんねん
)
な、
104
口惜
(
くちを
)
しい。
105
どうしてこの
失敗
(
しつぱい
)
を
挽回
(
ばんくわい
)
しようか』
106
と
悔
(
くや
)
し
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
びながら、
107
両手
(
りやうて
)
を
拍
(
う
)
つて
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
108
力
(
ちから
)
なげに
宣伝歌
(
せんでんか
)
をうたひ
始
(
はじ
)
むる
時
(
とき
)
しも、
109
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
宣伝使
(
せんでんし
)
あり。
110
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は、
111
淤縢山津見
『オー、
112
貴方
(
あなた
)
は
照彦
(
てるひこ
)
、
113
戸山津見
(
とやまづみ
)
様
(
さま
)
、
114
エヽお
互
(
たがひ
)
に
残念
(
ざんねん
)
な
事
(
こと
)
をいたしましたなア。
115
千載
(
せんざい
)
一遇
(
いちぐう
)
の
比良坂
(
ひらさか
)
の
戦
(
たたかひ
)
に
参加
(
さんか
)
し
遅
(
おく
)
れたのは
口惜
(
くちを
)
しい。
116
最早
(
もはや
)
ロッキー
山
(
ざん
)
の
魔神
(
まがみ
)
らは
退去
(
たいきよ
)
[
※
校定版・八幡版では「大挙」に修正してある。
]
、
117
黄泉島
(
よもつじま
)
へ
出陣
(
しゆつぢん
)
して
了
(
しま
)
つた。
118
どうしたら
宜
(
よ
)
からうか』
119
照彦
(
てるひこ
)
(戸山津見)
『イヤ、
120
別
(
べつ
)
に
心配
(
しんぱい
)
はいりませぬ。
121
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
によつて、
122
貴方
(
あなた
)
を
此処
(
ここ
)
に
止
(
と
)
め
置
(
お
)
く
必要
(
ひつえう
)
があるのですよ。
123
幸
(
さいは
)
ひ、
124
固虎
(
かたとら
)
さまを
案内者
(
あんないしや
)
として、
125
ロッキー
山
(
ざん
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
126
伊弉冊
(
いざなみ
)
の
贋神
(
にせがみ
)
の
様子
(
やうす
)
を
探
(
さぐ
)
る
必要
(
ひつえう
)
がある。
127
遅
(
おく
)
れたのは
所謂
(
いはゆる
)
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
だ。
128
戦
(
たたかひ
)
に
出陣
(
しゆつぢん
)
するのみが
神業
(
しんげふ
)
ではない。
129
サア、
130
これから
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
はロッキー
城
(
じやう
)
にお
進
(
すす
)
み
下
(
くだ
)
さい。
131
吾々
(
われわれ
)
は
常世城
(
とこよじやう
)
に
忍
(
しの
)
び
入
(
い
)
り、
132
一切
(
いつさい
)
の
計画
(
けいくわく
)
を
調査
(
てうさ
)
いたしまする。
133
左様
(
さやう
)
なら』
134
と
言
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
れば
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
えて
白煙
(
しらけむり
)
、
135
松
(
まつ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
のみぞ
聞
(
きこ
)
ゆる。
136
あゝ、
137
この
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
如何
(
いか
)
なる
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
するであらうか。
138
(
大正一一・二・二二
旧一・二六
桜井重雄
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