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「酒(さけ)」と「剣(つるぎ)」に就(つい)て

インフォメーション
鏡：玉鏡 題名：「酒」と「剣」に就て よみ： 著者：出口王仁三郎
神の国掲載号：1933（昭和8）年01月号 八幡書店版：362頁 愛善世界社版：48頁 著作集： 第五版：136頁 第三版：136頁 全集： 初版：109頁
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日： OBC ：kg585
001　古事記(こじき)に素盞嗚尊(すさのをのみこと)が出雲(いづも)の国(くに)、002肥(ひ)の河上(かはかみ)に於(おい)て足名椎(あしなづち)、003手名椎(てなづち)の神(かみ)に逢(あ)はれて、004高志(こし)の八俣(やまた)の大蛇(をろち)を退治(たいぢ)られる時(とき)に、005櫛名田比女(くしなだひめ)を「湯津爪櫛(ゆづつまぐし)に取(と)り成(な)して云々(うんぬん)」と書(か)いてあるのは、006同姫(どうひめ)を高(たか)い木(き)の枝(えだ)に登(のぼ)らして置(お)いたと云(い)ふのである。007即(すなは)ち木(き)にとり掛(か)けて大蛇(をろち)の出(い)で来(きた)るを待(ま)たれたと云(い)ふ意味(いみ)である。
008　また「八塩折(やしほをり)の酒(さけ)を醸(か)み」とあるのは八(やつ)つの酒樽(さかだる)を作(つく)つたのであるが、009其(その)酒(さけ)を作(つく)るのは、010今日(こんにち)の様(やう)な酒造法(しゆざうほふ)によつたものではない。011米(こめ)を人(ひと)の口(くち)でよく噛(か)みこなして、012それを樽(たる)の中(なか)に吐(は)き入(い)れて置(お)く。013尤(もつと)もその噛(か)んで吐(は)き入(い)れるのはホンの少(すこ)しで良(よ)い。014それが種(たね)となつて樽(たる)の中(なか)の米(こめ)が次第(しだい)に醗酵(はつかう)して酒(さけ)が醸(かも)されて行(ゆ)くのである。015人間(にんげん)のつばきが一(ひと)つの醗酵素(はつかうそ)となるのである。
016　又(また)愈々(いよいよ)大蛇(をろち)が其(その)酒(さけ)を呑(の)み、017酔(よ)ひ伏(ふ)して来(き)たので、018御佩(みはか)せる十挙(とつか)の剣(つるぎ)を抜(ぬ)きて切(き)り放(はふ)り給(たま)ふと云(い)ふことが出(で)て居(ゐ)るが、019此(こ)の太古(たいこ)に於(おい)ては、020剣(つるぎ)と云(い)ふものは、021後世(こうせい)の様(やう)に常人(じやうじん)に至(いた)る迄(まで)佩(はい)しては居(を)らなかつた。022其(その)時代(じだい)の最高(さいかう)権威者(けんゐしや)とか、023又(また)軍国(ぐんこく)に譬(たと)ふるならば、024其(その)軍国(ぐんこく)の首長(しゆちやう)となるべき者(もの)のみが所持(しよぢ)して居(ゐ)たので、025他(た)の者(もの)は棒(ぼう)の様(やう)なものを武器(ぶき)として居(を)つた。026それだから其(その)剣(つるぎ)に対抗(たいかう)する時(とき)には、027到底(たうてい)勝(か)ち目(め)が無(な)いのである。028剣(つるぎ)を持(も)てる者(もの)に打(う)ち向(むか)うて争(あらそ)ふことは自分(じぶん)の滅亡(めつばう)を招来(せうらい)するので、029剣(つるぎ)を持(も)てる者(もの)に対(たい)しては絶対(ぜつたい)の服従(ふくじう)であつた。030即(すなは)ち剣(つるぎ)の威徳(ゐとく)に服(ふく)すると云(い)ふことになる。031世(よ)が進(すす)むにつれて鍛冶(かぢ)が普及(ふきふ)されたので、032後(のち)には剣(つるぎ)を誰(たれ)でも所持(しよぢ)するやうになつた。033しかし太古(たいこ)は左様(さやう)でなかつたので、034剣(つるぎ)を持(も)つ者(もの)に絶対(ぜつたい)の威徳(ゐとく)があつた。035故(ゆゑ)にこれを持(も)つ者(もの)が首長(しゆちやう)であり又(また)時(とき)の覇者(はしや)となるのであり、036悉(ことごと)くを平定(へいてい)することが出来(でき)たのである。037［＊ここから　天三版、天五版、愛世版、八幡版では削除］今日(こんにち)は剣(つるぎ)を持(も)つてゐても、038それだけではいけぬ。039武器(ぶき)と云(い)ふ意味(いみ)に解釈(かいしやく)して、040他国(たこく)を威服(ゐふく)する様(やう)な国防(こくばう)の軍器(ぐんき)が一切(いつさい)完備(くわんび)しなければならぬ。041其(その)軍器(ぐんき)の威徳(ゐとく)によつて神国(しんこく)に襲来(しふらい)する八岐(やまた)の大蛇(をろち)は切(き)り払(はら)はねばならない。042又(また)まつろはざる国々(くにぐに)があれば服(まつ)ろはさせねばならないのであるから、043いやが上(うへ)にも軍器(ぐんき)と軍備(ぐんび)を整備(せいび)せなくてはならないのである。［＊ここまで削除］
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