霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
三鏡
玉鏡
序
上の巻
[462]皇道と公道
[463]皇道と王道の区別
[464]国体と政体
[465]国家の権威
[466]大和魂と軍部
[467]天津神と国津神
[468]紋所
[469]教育に就て
[470]泥金の日本人
[471]天産自給
[472]放任主義の教育に就て
[473]日本と外国の神がかり
[474]金再禁と日本
[475]経済と会計
[476]仏教は無神論
[477]金銀為本の政策
[478]敬老尊師
[479]天国と現代
[480]法三章
[481]三大民族
[482]高い鼻
[483]食糧問題
[484]皇道と王道
[485]支那といふ国
[486]日本と孟子
[487]波
[488]三種の神器
[489]戦争と支那
[490]飛行機
[491]審判は近づいた
[492]新つの世
[493]武器を持たぬ神軍
[494]満洲と宣統帝
[495]人間の創造
[496]女は神の傑作
[497]日本人種
[498]宗教心
[499]成功したる講演
[500]忍術
[501]猛獣と愛
[502]勇往邁進
[503]正直者日本
[504]不断の用意
[505]手の働き
[506]理智と感情
[507]愛の力
[508]熱すると云ふこと
[509]個性
[510]無我の境
[511]隻手の声
[512]魂の入れ替
[513]祟り
[514]迷信
[515]祖先の命日と死
[516]瓢と水の藻
[517]樹木
[518]シオン運動とモーゼの裏十戒
[519]ヨハネ伝
[520]爆弾三勇士
[521]弘法大師
[522]仏足頂礼
[523]かみなが(髪長)
[524]そめがみ(染紙)
[525]八十平甕
[526]寺
[527]出雲言葉
[528]原始時代の貴重品
[529]行
[530]火渡りの道
[531]比礼
[532]托鉢と巡礼
[533]黄金閣の瓢箪
[534]マリヤ観音
[535]紙雛様と兜
[536]君子は豹変す
[537]女性の功徳
[538]ナヒモフ号の金塊
[539]湖水
[540]亀ノ瀬の地質
[541]猛犬シーゴー
[542]比叡山
[543]強がる人
[544]数字の頭
[545]舎利
[546]武家人
[547]葛の葉の子別れ
[548]児島高徳
[549]月宮殿の仁王様
[550]水も漏らさぬ経綸
[551]世の大峠と信仰
[552]現はれかけたミロク様
[553]神への恋愛
[554]身魂磨き
[555]差添への種
[556]盤古に就て
[557]天書
[558]神がかり
[559]神様と味はひ
[560]ハルナ
[561]「ム」大陸は黄泉島
[562]神といふ言葉
[563]信じきる事
[564]取違ひの信仰
[565]全身の奉仕
[566]修理固成の仕事
[567]大乗と小乗
[568]惟神霊幸倍坐世
[569]大本人の守護
[570]師匠を杖につくな
[571]出産率と救ひ
[572]開祖様のお歌
[573]死獅子と生鼠
[574]世は持ち切りにさせぬ
[575]神諭の九分九厘
[576]水の御恩
[577]小三災
[578]なづな七草
[579]愛善会の調査局に就て
[580]素尊の神業
[581]亜細亜大陸と素尊の御職掌
[582]素尊と稚姫岐美命
[583]稲羽の白兎
[584]八岐大蛇
[585]「酒」と「剣」に就て
[586]日本武尊
[587]三段の型
[588]男女の道
[589]艮坤二神の御歌
[590]国生み神生みの神業
[591]元の生神
[592]五男三女神の働き
[593]変性男子、変性女子
[594]武の神
[595]蓑笠の起原
[596]廻り金神
[597]無間の鐘
[598]神庭会議
[599]再び七夕祭に就て
[600]鼻の世の中
[601]艮の金神様と支那
[602]瓢型の墳墓
[603]憑依霊と聖地
[604]時を告ぐる鶏
[605]蛭子の神
[606]鶏の宵鳴き
[607]爪を剪る時
[608]月は母体
[609]琴の初め
[610]大宇宙
[611]神示の宇宙
[612]宇宙の声音
[613]宇宙の声
[614]人の体は小宇宙
[615]人体と水
[616]天津祝詞と五大父音
[617]言霊学
[618]「君」の意味
[619]たまがへしの二三種
[620]新年勅題に就て
[621]声の順序
[622]仮名づかひ
[623]「いざざく」と「いただく」
[624]ア行とヤ行
[625]天地への義務で生きて居る
[626]三十六相と八十八種好
[627]掛軸に就て
[628]宣信徒よ
[629]天恩郷が好きな理由
[630]大槻鹿造と王仁
[631]面会者は辛い
[632]聖賢では出来ぬ
[633]明従せよ
[634]開祖様の御昇天
[635]開祖様をおんぶする
[636]男装坊の再生
[637]直美と操
[638]生れ変り
[639]皇円阿闍梨
[640]亀山城
[641]生身天満宮
[642]老人を友達に
[643]玉の井
[644]初対面
[645]最初の信者
[646]故郷人
[647]巡笏とプログラム
[648]食物
[649]面会
[650]旅行と入湯、食事
[651]瑞穂神霊
[652]米の意味
[653]命ぜられて咲いた桜
[654]雄蟇と雌蟇
[655]天眼通に就て
[656]海潮
[657]自己暴露
[658]霊眼
[659]上田家の姓
[660]外国人の祈り声
[661]惚れられる人
[662]米の三度作
[663]吾子の死
[664]再生
[665]祝詞は一人で
[666]写真も一人で
[667]月
[668]七福神
[669]玉串
[670]神饌に就て
[671]紅葉と歌
[672]光る宝石と曲津
[673]不退転
[674]非常時の人物
[675]遠大なる準備
[676]兇党界と人間
[677]生命は同年
[678]太陽も月も霊体
[679]公卿と熊襲
[680]霊的小説
[681]獅子を御する文珠
[682]愛善紙百万部
[683]細心豪胆
[684]筑波山の悪霊
[685]寝顔と性質
[686]改神慢神
[687]梅で開いて
[688]食物と性格
下の巻
[689]地平説に就て
[690]進化論
[691]太陽の黒点
[692]十ケ月暦
[693]春秋の気候に就て
[694]気温と風の吹き方
[695]近年の暖かさ
[696]気温の調節
[697]大本は型の出る所
[698]歌
[699]明るいのが歌
[700]伊勢物語と和歌
[701]明光
[702]歌人
[703]絵と墨
[704]風を描く
[705]睛を入れる画法
[706]血液と絵
[707]礬水びきの絹本
[708]悠々自適
[709]作歌の法
[710]絵と独創
[711]書道
[712]御玉串について
[713]守護神
[714]他神の守護
[715]愛の分霊
[716]神様と標準
[717]宣伝使の階級
[718]祝詞奏上
[719]三千年に実る桃
[720]フルベユラ
[721]拍手
[722]神饌物
[723]霊媒は短命
[724]霊界の親
[725]霊界の宣伝使
[726]毒瓦斯と菜食
[727]天人と悋気
[728]笏
[729]宣伝使帽
[730]左手右手
[731]弓と蟇目の法
[732]上棟式と幣
[733]三りんぼう
[734]妻としては
[735]温室をやめた理由
[736]水と火を食ふ
[737]安心立命
[738]霊と血
[739]心と魂
[740]血
[741]頭髪
[742]空気のぬけた頭
[743]細胞と毛孔
[744]怒りと毒素
[745]生命と歯
[746]歯
[747]霊の姿
[748]雑念の盛なる人
[749]人魂
[750]一日の修行
[751]棺も旛も
[752]人魚と若がへり法
[753]食物
[754]寝ると水になる
[755]鎌鼬
[756]道の長千羽の神
[757]心配事
[758]石女
[759]天職と職業
[760]哺乳と変態性慾
[761]妊娠
[762]食膳に就て
[763]米
[764]玄米食
[765]酒の起原
[766]扇、団扇
[767]干物の炙り方
[768]焼肴の箸のつけ方
[769]襖の開け閉め
[770]器物の裏底
[771]味のよい所
[772]肉食の害
[773]智、仁、勇の食物
[774]キのつく動物
[775]山椒の樹
[776]植木と主人
[777]茶室
[778]庭石の配置
[779]井戸の位置
[780]床の高さ
[781]宅地と植樹
[782]他家の鼠
[783]梅と桜
[784]菓子と饅頭
[785]因縁の土地
[786]油虫
[787]朝顔
[788]猫は家につく
[789]鏡餅
[790]門松
[791]二本の門松
[792]生松
[793]倉と便所
[794]槙の木に就て
[795]猫は魔の王
[796]竹籔と悪魔
[797]艮の方角
[798]空中肥料
[799]再び花咲かぬ枝
[800]香具の果実
[801]竹と筍
[802]竹と豌豆
[803]竹と蕎麦
[804]糸瓜と白水
[805]筍と鰯
[806]松茸
[807]烏
[808]魚を釣る時
[809]鰻に就て
[810]信仰と病気
[811]服薬について
[812]七草の効用
[813]魚の中毒
[814]痣を癒す
[815]糖尿病の薬
[816]胆石病
[817]早漏の療法
[818]血の道
[819]リウマチス
[820]脱腸
[821]イボの薬
[822]目の薬
[823]香茸と胃腸病
[824]ジフテリヤの全治法
[825]動脈硬化と食物
[826]条虫駆除法
[827]妊娠と授乳
[828]中耳炎の妙薬
[829]瘭疽の妙薬
[830]お土
[831]柿の夢
[832]肺炎の妙薬
[833]多汗
[834]百日咳
[835]鯛の骨
[836]産後の為に
[837]薬二三種
[838]色を白くする法
[839]梅干の効用
[840]流行性感冒
[841]按摩
[842]喘息全治の法
[843]血の道
[844]火傷の薬
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
三鏡
>
玉鏡
> [680]霊的小説
<<< [679]公卿と熊襲
(B)
(N)
[681]獅子を御する文珠 >>>
霊的
(
れいてき
)
小説
(
せうせつ
)
インフォメーション
鏡:
玉鏡
題名:
霊的小説
よみ:
著者:
出口王仁三郎
神の国掲載号:
1934(昭和9)年04月号
八幡書店版:
314頁
愛善世界社版:
225頁
著作集:
第五版:
233頁
第三版:
236頁
全集:
初版:
200頁
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
kg680
001
王仁
(
わたし
)
が
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
村
(
むら
)
の
古老
(
こらう
)
から
聞
(
き
)
かされた
話
(
はなし
)
であるが、
002
御維新前
(
ごゐしんぜん
)
穴太
(
あなを
)
の
隣村
(
りんそん
)
犬甘野
(
いぬかんの
)
と
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
にお
末
(
すゑ
)
と
呼
(
よ
)
ぶ
女
(
をんな
)
があつた。
003
穴太村
(
あなをむら
)
の
徳
(
とく
)
さんと
云
(
い
)
ふ
若人
(
わかうど
)
と
熱烈
(
ねつれつ
)
な
恋
(
こひ
)
に
陥
(
おちい
)
つて
内縁
(
ないえん
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
関係
(
くわんけい
)
を
結
(
むす
)
んで
居
(
ゐ
)
たのであつたが、
004
身分
(
みぶん
)
の
釣合
(
つりあひ
)
とか
親戚
(
しんせき
)
の
関係
(
くわんけい
)
とか
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
から、
005
女
(
をんな
)
の
親
(
おや
)
たちが
生木
(
なまき
)
を
引裂
(
ひきさ
)
く
様
(
やう
)
に
引
(
ひ
)
き
放
(
はな
)
して
犬甘野
(
いぬかんの
)
にやつて
仕舞
(
しま
)
つたのである。
006
泣
(
な
)
く
泣
(
な
)
く
思
(
おも
)
はぬ
人
(
ひと
)
の
妻
(
つま
)
となつたお
末
(
すゑ
)
も
遂
(
つひ
)
に
母
(
はは
)
となつて
一人
(
ひとり
)
の
子
(
こ
)
を
持
(
も
)
つに
至
(
いた
)
つたが、
007
不幸
(
ふかう
)
にして
程
(
ほど
)
なく
夫
(
をつと
)
は
病
(
やまひ
)
を
得
(
え
)
て
不帰
(
ふき
)
の
客
(
きやく
)
となつて
仕舞
(
しま
)
つた。
008
さなきだに
忘
(
わす
)
れ
得
(
え
)
ぬ
恋人
(
こひびと
)
徳
(
とく
)
さんの
事
(
こと
)
が、
009
かういふ
身分
(
みぶん
)
となつて
一層
(
いつそう
)
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
されてならなかつた。
010
彼女
(
かのぢよ
)
は
遂
(
つひ
)
に
意
(
い
)
を
決
(
けつ
)
して、
011
徳
(
とく
)
さんと
恋
(
こひ
)
の
復活
(
ふつくわつ
)
を
遂
(
と
)
げたのであるが、
012
家
(
いへ
)
には
姑
(
しうとめ
)
や
子供
(
こども
)
も
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
、
013
自由
(
じいう
)
に
逢
(
あ
)
ふ
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ないので、
014
燃
(
も
)
ゆる
恋火
(
れんくわ
)
は
身
(
み
)
を
焼
(
や
)
く
如
(
ごと
)
く
堪
(
た
)
へ
切
(
き
)
れず、
015
人
(
ひと
)
静
(
しづ
)
まつて
後
(
のち
)
夜
(
よ
)
な
夜
(
よ
)
な
家
(
いへ
)
を
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
し、
016
二里半
(
にりはん
)
からの
道
(
みち
)
を
穴太
(
あなを
)
なる
徳
(
とく
)
さんの
許
(
もと
)
へと
通
(
かよ
)
うた。
017
途中
(
とちう
)
には
法貴谷
(
ほふきだに
)
、
018
明智戻
(
あけちもどり
)
などいふ
恐
(
おそ
)
ろしい
山里
(
やまざと
)
があつて、
019
狼
(
おほかみ
)
が
盛
(
さかん
)
に
出没
(
しゆつぼつ
)
するのである。
020
恋
(
こひ
)
に
狂
(
くる
)
うたお
末
(
すゑ
)
はかかる
恐
(
おそ
)
ろしき
山路
(
やまみち
)
をも
意
(
い
)
とせず、
021
雨
(
あめ
)
のふる
夜
(
よ
)
も
風
(
かぜ
)
の
夜
(
よ
)
も
通
(
かよ
)
ひつめたのであるが、
022
身
(
み
)
の
危険
(
きけん
)
を
怖
(
おそ
)
れて
途中
(
とちう
)
からすつかり
鬼女
(
きぢよ
)
の
姿
(
すがた
)
に
変装
(
へんさう
)
して
顔
(
かほ
)
は
絵具
(
ゑのぐ
)
を
塗
(
ぬ
)
つて
口
(
くち
)
は
耳
(
みみ
)
まで
裂
(
さ
)
け、
023
頭
(
あたま
)
に
三徳
(
さんとく
)
をのせて
蝋燭
(
らふそく
)
を
立
(
た
)
て、
024
鋏
(
はさみ
)
、
025
釘抜
(
くぎぬき
)
などをつるし、
026
胸
(
むね
)
には
鏡
(
かがみ
)
をかけ、
027
長
(
なが
)
い
白
(
しろ
)
い
帯
(
おび
)
を
曳
(
ひ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
028
遉
(
さすが
)
の
狼
(
おほかみ
)
も
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
に
辟易
(
へきえき
)
して
敢
(
あへ
)
て
彼女
(
かのぢよ
)
に
迫
(
せま
)
らうとは
為
(
し
)
なかつた。
029
雨風
(
あめかぜ
)
激
(
はげ
)
しい
或
(
ある
)
夜
(
よ
)
の
事
(
こと
)
である。
030
徳
(
とく
)
さんは、
031
こんな
暴風雨
(
ばうふうう
)
にも
彼女
(
かのぢよ
)
はあの
山坂
(
やまさか
)
を
越
(
こ
)
して
居
(
ゐ
)
るであらう、
032
いとしのものよ、
033
せめては
途中
(
とちう
)
まで
迎
(
むか
)
へに
行
(
い
)
つてやらうと、
034
犬飼
(
いぬかひ
)
の
墓場
(
はかば
)
の
辺
(
へん
)
までいつたところ、
035
真夜中
(
まよなか
)
に
世
(
よ
)
にも
恐
(
おそ
)
ろしい
鬼女
(
きぢよ
)
に
出会
(
であ
)
つて
仕舞
(
しま
)
つたので、
036
魂
(
たましひ
)
も
身
(
み
)
に
添
(
そ
)
はないが、
037
小屋
(
こや
)
に
隠
(
かく
)
れて
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ると
蝋燭
(
らふそく
)
に
照
(
てら
)
された
女
(
をんな
)
の
顔
(
かほ
)
がどうもお
末
(
すゑ
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
るので、
038
眼
(
め
)
を
定
(
さだ
)
めてよくよく
見
(
み
)
ると、
039
擬
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
なき
彼女
(
かのぢよ
)
であつた。
040
彼
(
かれ
)
は
冷水
(
れいすゐ
)
を
頭上
(
づじやう
)
よりぶつかけられた
心地
(
ここち
)
して、
041
急
(
いそ
)
ぎ
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
り、
042
戸
(
と
)
を
固
(
かた
)
く
鎖
(
とざ
)
して
彼女
(
かのぢよ
)
を
拒
(
こば
)
んだ。
043
かくとは
知
(
し
)
らぬお
末
(
すゑ
)
は、
044
同
(
おな
)
じ
犬飼
(
いぬかひ
)
の
墓場
(
はかば
)
の
小屋
(
こや
)
で
変装
(
へんさう
)
を
解
(
と
)
いて
恋人
(
こひびと
)
の
家
(
いへ
)
に
急
(
いそ
)
いだが、
045
叩
(
たた
)
けど
押
(
お
)
せど
遂
(
つひ
)
に
開
(
あ
)
けては
呉
(
く
)
れなかつた。
046
恋人
(
こひびと
)
の
心変
(
こころがは
)
りにがつかりして
仕舞
(
しま
)
つてふらふらと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
047
再
(
ふたた
)
び
変装
(
へんさう
)
する
勇気
(
ゆうき
)
もなく、
048
彼女
(
かのぢよ
)
はトボトボとして
其儘
(
そのまま
)
山里
(
やまざと
)
を
辿
(
たど
)
つたのであるが、
049
普通
(
ふつう
)
の
姿
(
すがた
)
をした
女
(
をんな
)
をどうして
見逃
(
みのが
)
さう、
050
群
(
むれ
)
がり
迫
(
せま
)
つた
狼
(
おほかみ
)
の
為
(
た
)
めに、
051
彼
(
かれ
)
お
末
(
すゑ
)
は
遂
(
つひ
)
に
喰
(
く
)
ひ
殺
(
ころ
)
されて
仕舞
(
しま
)
つて、
052
翌日
(
よくじつ
)
は
生々
(
なまなま
)
しい
骨
(
ほね
)
や
頭髪
(
とうはつ
)
のみが
散乱
(
さんらん
)
されて
居
(
ゐ
)
たのみであつた。
053
其
(
その
)
後
(
ご
)
徳
(
とく
)
さんは
何度
(
なんど
)
も
妻
(
つま
)
を
迎
(
むか
)
へたが、
054
お
末
(
すゑ
)
の
怨霊
(
をんりやう
)
に
悩
(
なや
)
まされ
皆
(
みな
)
死
(
し
)
んでいつた。
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< [679]公卿と熊襲
(B)
(N)
[681]獅子を御する文珠 >>>
三鏡
>
玉鏡
> [680]霊的小説
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【霊的小説|玉鏡|/kg680】
合言葉「みろく」を入力して下さい→