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米(こめ)の三度作(さんどさく)

インフォメーション
鏡：玉鏡 題名：米の三度作 よみ： 著者：出口王仁三郎
神の国掲載号：1931（昭和6）年04月号 八幡書店版：425頁 愛善世界社版：250頁 著作集： 第五版：217頁 第三版：220頁 全集： 初版：185頁
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日： OBC ：kg662
001　我国(わがくに)現今(げんこん)の農業(のうげう)は実(じつ)に幼稚(えうち)であり且(か)つ不経済(ふけいざい)極(きは)まるものである。002一(いつ)ケ年(ねん)に二回(にくわい)米作(べいさく)の取(と)れる国(くに)は四国(しこく)の土佐(とさ)位(ぐらゐ)である。003台湾(たいわん)にては二回(にくわい)は取(と)れるが、004雨水(うすゐ)の都合(つがふ)にては台南州(たいなんしう)あたりは一(いつ)ケ年(ねん)に三回(さんくわい)の収穫(しうくわく)がある。005併(しか)し乍(なが)ら地味(ちみ)の余(あま)り良(よ)からぬ為(ため)、006二回(にくわい)又(また)は三回(さんくわい)の年収穫(ねんしうくわく)と雖(いへど)も内地(ないち)の一回(いつくわい)の収穫(しうくわく)に均(ひと)しいので、007要(えう)するに内地(ないち)に比(ひ)して労力(らうりよく)を多(おほ)く要(えう)する次第(しだい)であつて、008計算上(けいさんじやう)余(あま)り羨望(せんばう)すべきではない。009然(しか)し土佐(とさ)以外(いぐわい)の内地(ないち)に於(おい)て一年(いちねん)に二回(にくわい)又(また)は三回(さんくわい)の米作(べいさく)を取(と)る事(こと)を自分(じぶん)は発見(はつけん)し、010二三年(にさんねん)以前(いぜん)より大本(おほもと)農園(のうゑん)に於(おい)て試作(しさく)してゐるが、011二回(にくわい)収穫(しうくわく)にて優(いう)に五石(ごこく)（一段歩(いつたんぶ)）以上(いじやう)を取(と)る事(こと)を実験(じつけん)し得(え)たのであるが、012本年(ほんねん)よりは更(さら)に方法(はうはふ)を改(あらた)め三回作(さんくわいさく)を試(こころ)むるの計画(けいくわく)である。013我国(わがくに)の古(いにしへ)は人口(じんこう)も尠(すくな)く耕田(かうでん)も沢山(たくさん)要(い)らなかつたので、014年中(ねんぢう)水(みづ)の手(て)の良(よ)い窪田(くぼた)のみを選(えら)んで籾種(もみだね)を田面(でんめん)に撒(ま)き、015それを成育(せいいく)させて居(ゐ)たのが、016人口(じんこう)の増加(ぞうか)すると共(とも)に、017原野(げんや)を開(ひら)き米田(べいでん)とするに至(いた)つたが、018窪田(くぼた)の外(ほか)には水(みづ)の手(て)が悪(あ)しく、019且(か)つ又(また)麦(むぎ)等(とう)の冬季作(とうきさく)もやらねばならぬやうになり、020稲(いね)の苗(なへ)の植付(うゑつ)け時(どき)迄(まで)の便宜上(べんぎじやう)、021苗代(なはしろ)を設(まう)け之(これ)に籾(もみ)を八十八夜(はちじふはちや)即(すなは)ち五月(ごぐわつ)一日(いちじつ)前後(ぜんご)を以(もつ)て籾種(もみだね)を蒔(ま)き苗(なへ)を育(そだ)て、022五月雨(さみだれ)の時節(じせつ)を待(ま)つて実(みの)れる麦(むぎ)を刈(か)り、023其(その)跡(あと)に稲苗(いねなへ)を水(みづ)を湛(たた)へて挿(さ)す事(こと)となつたのであるが、024水(みづ)の手(て)の良(よ)い窪田(くぼた)ならば籾種(もみだね)のまま蒔(ま)いた方(はう)が苗(なへ)の発育(はついく)も良(よ)く、025秋(あき)の稔(みの)りも随(したが)つて良好(りやうかう)である。026先(ま)づ四月(しぐわつ)下旬(げじゆん)頃(ごろ)に早稲(わせ)の籾(もみ)を蒔(ま)き八月(はちぐわつ)頃(ごろ)に刈(か)り入(い)れると、027夏(なつ)の最中(さいちう)とて稲(いね)の切(き)り跡(あと)の株(かぶ)から青々(あをあを)と勢(いきほひ)よき芽(め)を出(だ)し直(ただ)ちに成育(せいいく)して実(み)を結(むす)ぶのである。028そして二回目(にくわいめ)には一回目(いつくわいめ)の苗(なへ)の間(あひだ)に苗代(なはしろ)の苗(なへ)をうつして植(う)ゑ付(つ)けると、029普通(ふつう)の一回作(いつくわいさく)の稔(みの)ると同時(どうじ)に刈(か)り取(と)る様(やう)になるものである。
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