霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第六章 出征(しゆつせい)()

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記 篇:第1篇 日本より奉天まで よみ(新仮名遣い):にっぽんよりほうてんまで
章:第6章 出征の辞 よみ(新仮名遣い):しゅっせいのじ 通し章番号:
口述日:1925(大正14)年08月15日(旧06月26日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年2月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
大正十年二月十二日に、晴天白日の空に、上限の月と太白星が白昼燦然と大阪の空に異様の光輝を放った。この日はまさに、大本事件の勃発した日であった。
下って大正十三年二月十二日、同日の天空に楕円形の月と太白星が、やはり白昼燦然と輝きだしたのであった。
これよりにわかに蒙古入りの決心を定めると、その夜のうちに出発することを、数名の近侍の役員に伝えた。祥雲閣の主人・中野岩太氏に別れを告げるため、二三の従者とともに訪ねて行くと、東京より来合わせていた佐藤六合雄、米倉嘉兵衛、米倉範冶をはじめ、十数人の熱心な信者が期せずして集まっていた。
日出雄はこれらの人々に蒙古入りの決心を打ち明け、演説を試みた。
大本は既成宗教のように、現界を穢土として未来の天国や極楽浄土を希求するものではない。
国祖の神のご神勅により、大神様のご神示を拝し、上は御一人に対し奉り、下は同胞の平和と幸福のため、東亜諸国ならびに世界の平和と幸福をきたすべき神業に奉仕する責任を、大本信者は持っているのです。
大正十年の節分の後、変性女子の御魂を人が行かないところに連れて行く、という神諭は、まず第一次事件による勾留で実現し、また今回蒙古入りにあたって、示されたように考えれらてならないのです。
日出雄は日本建国の大精神を天下に明らかにする所存です。万世一系の皇室の尊厳無比なることをあまねく天下に示し、日本の建国精神は征伐ではなく、侵略でもない、善言美詞の言霊をもって万国の民を神の大道に言向けやわすことにあると、固く信じます。
大正五十一年には日本の人口が一億人を超えると言われており、食糧問題への対処から、政府は植民政策でメキシコ、南米、南洋諸島、米国ら遠方の国へ農耕移民を進めています。
国家の長計から言うと、これではまだ足りないのであって、満蒙の地への開発・殖民こそ、地政学上からも埋蔵資源からも最も重要な課題と考えられます。
そこでいよいよ神勅を奉じて、二三の同志と共に徒手空拳、長途の旅に上ろうとしています。
日出雄は祥雲閣のふすまに書をしたため、発車の間際まで嬉々として東亜の経綸を談じつつ、しきりに筆紙を動かしていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考:2023/12/31出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-12-31 17:38:47 OBC :rmnm06
愛善世界社版:47頁 八幡書店版:第14輯 564頁 修補版: 校定版:48頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 大正(たいしやう)(じふ)(ねん)()(ぐわつ)十二(じふに)(にち)002陰暦(いんれき)(しやう)(ぐわつ)五日(いつか)晴天(せいてん)白日(はくじつ)(そら)上弦(じやうげん)(つき)と、003太白星(たいはくせい)白昼(はくちう)燦然(さんぜん)として浪花(なには)(そら)異様(いやう)光気(くわうき)底本(全集)では「光気」だが校定版や愛善世界社版では「光輝」に修正されている。(はな)ち、004天地(てんち)変動(へんどう)(しめ)してゐる。005(この)()日出雄(ひでを)大阪市(おほさかし)玄関口(げんくわんぐち)梅田(うめだ)駅頭(えきとう)に、006大正(たいしやう)日々(にちにち)新聞(しんぶん)社長(しやちやう)として社務(しやむ)総理(そうり)してゐた。
007 (この)()(れい)大本(おほもと)事件(じけん)勃発(ぼつぱつ)した()であつて、008日出雄(ひでを)(どう)新聞社(しんぶんしや)より京都府(きやうとふ)警察部(けいさつぶ)招致(せうち)され、009()いで京都(きやうと)地方(ちはう)裁判所(さいばんしよ)予審(よしん)判事(はんじ)形式(けいしき)(てき)取調(とりしらべ)()けて京都(きやうと)監獄(かんごく)(とう)ぜられた──大本(おほもと)にとつて(じつ)印象(いんしやう)(ふか)()であつた。010(この)天空(てんくう)()ける異様(いやう)現象(げんしやう)(これ)(とど)まらず、011(くだ)つて大正(たいしやう)十三(じふさん)(ねん)()(ぐわつ)十二(じふに)(にち)012(しか)同日(どうじつ)天空(てんくう)楕円形(だゑんけい)(つき)太白星(たいはくせい)白昼(はくちう)燦然(さんぜん)(かがや)()した。013日出雄(ひでを)天空(てんくう)(あふ)いで()大正(たいしやう)(じふ)(ねん)()(ぐわつ)十二(じふに)(にち)追懐(つゐくわい)せずには()られなかつた。014(しか)(まん)(さん)(ねん)()同月(どうげつ)同日(どうじつ)白昼(はくちう)に、015天空(てんくう)同様(どうやう)異変(いへん)あるは(けつ)して只事(ただごと)ではあるまい。016愈々(いよいよ)自分(じぶん)神命(しんめい)(ほう)万民(ばんみん)救済(きうさい)(ため)017人類愛(じんるゐあい)実行(じつかう)(ため)018(てん)より(われ)にその実行(じつかう)(うなが)すものと(かんが)へたのである。019これより(かれ)(にはか)渡支(とし)決心(けつしん)(さだ)め、020今夜(こんや)(うち)出発(しゆつぱつ)せむことを数名(すうめい)側近(そばちか)()する役員(やくゐん)()げた。021あまり急激(きふげき)(かれ)宣言(せんげん)侍者(じしや)(やや)狼狽(らうばい)気味(きみ)であつた。022けれ(ども)(かれ)神命(しんめい)(しん)じ、023是非(ぜひ)今夜(こんや)出発(しゆつぱつ)せむと決心(けつしん)した(うへ)は、024(かれ)平素(へいそ)のやり(かた)(たい)到底(たうてい)その(かんが)へをひるがへすことは出来(でき)ない(こと)()つてゐた。
025 和知川(わちがは)清流(せいりう)026並木(なみき)(まつ)(さかしま)(うつ)し、027(うを)松樹(しようじゆ)(えだ)(をど)つてゐる。028颯々(さつさつ)たる松風(まつかぜ)(おと)029水面(すゐめん)魚鱗(ぎよりん)(なみ)をただよはしてゐる。030その(かたはら)悄然(しようぜん)として()てる祥雲閣(しやううんかく)は、031(かれ)病躯(びやうく)(よこた)へて十万(じふまん)(まい)原稿(げんかう)口述(こうじゆつ)したる霊界(れいかい)物語(ものがたり)発祥地(はつしやうち)であつた。
032 (この)()(かれ)(にはか)旅行(りよかう)決心(けつしん)(さだ)め、033祥雲閣(しやううんかく)主人(しゆじん)中野(なかの)岩太(いはた)()(わか)れを()ぐる(ため)034二三(にさん)従者(じゆうしや)(とも)(たづ)ねて()た。035東京(とうきやう)より()(あは)せてゐた佐藤(さとう)六合雄(くにを)036米倉(よねくら)嘉兵衛(かへゑ)037米倉(よねくら)範治(はんぢ)(はじ)め、038十数(じふすう)(にん)熱心(ねつしん)なる信者(しんじや)()せずして(あつま)つて()た。039(この)(とき)(かれ)神示(しんじ)経綸(けいりん)実行(じつかう)一歩(いつぽ)(すす)むべく蒙古入(もうこいり)決心(けつしん)打明(うちあ)け、040()一場(いちぢやう)演説(えんぜつ)(こころ)みた。041(かれ)演説(えんぜつ)
042日出雄神縁(しんえん)()つて(わたし)(ここ)(かみ)経綸(けいりん)一端(いつたん)奉仕(ほうし)し、043今晩(こんばん)()して愈々(いよいよ)渡支(とし)渡蒙(ともう)決行(けつかう)せむとするに(あた)り、044(まね)かずしてお(あつま)りになつた諸氏(しよし)(かなら)ずや神界(しんかい)(ふか)経綸(しぐみ)(いと)()かれて、045(いで)になつた方々(かたがた)(かた)(しん)じます。046(わが)大本(おほもと)既成(きせい)宗教(しうけう)(ごと)く、047現界(げんかい)厭離(えんり)穢土(えど)となし未来(みらい)天国(てんごく)極楽(ごくらく)浄土(じやうど)希求(ききう)するのみの宗教(しうけう)ではありませぬ。048国祖(こくそ)(かみ)仁慈(じんじ)無限(むげん)なる神勅(しんちよく)()り、049日本(につぽん)神州(しんしう)(たみ)(うま)れたる我々(われわれ)皇国(くわうこく)臣民(しんみん)は、050()(たふと)大神(おほかみ)(さま)()神示(しんじ)(はい)し、051(かみ)()一人(いちにん)(たい)(たてまつ)り、052(しも)同胞(どうはう)平和(へいわ)幸福(かうふく)()めのみならず、053東亜(とうあ)諸国(しよこく)(ならび)世界(せかい)平和(へいわ)幸福(かうふく)(きた)すべき神業(しんげふ)奉仕(ほうし)せなくてはならない責任(せきにん)()つてゐるのは大本(おほもと)信者(しんじや)でありませう。054()神示(しんじ)にある(とほ)り「大正(たいしやう)(じふ)(ねん)節分(せつぶん)()みたら055変性(へんじやう)女子(によし)身魂(みたま)(かみ)(ひと)()かない(ところ)()()くぞよ」とお(しめ)しになつて()ることは、056(みな)さま()承知(しようち)のことと(おも)ひます。057その神示(しんじ)毫末(がうまつ)間違(まちが)ひもなく、058()(ぐわつ)十二(じふに)(にち)(わたし)()承知(しようち)京都(きやうと)監獄(かんごく)(とう)ぜられたのでありました。059そして(また)本回(ほんくわい)節分祭(せつぶんさい)のすみた十二(じふに)(にち)に、060(ひと)のよう()かない(ところ)()かねばならぬ(かみ)使命(しめい)(くだ)つて()たやうに(かんが)へられてなりませぬ。061(わたし)日本(につぽん)建国(けんこく)大精神(だいせいしん)天下(てんか)(あきらか)にし、062万世(ばんせい)一系(いつけい)皇室(くわうしつ)尊厳(そんげん)無比(むひ)なる(こと)(あまね)天下(てんか)(しめ)し、063()日本(につぽん)建国(けんこく)精神(せいしん)征伐(せいばつ)(あら)ず、064侵略(しんりやく)(あら)ず、065善言(ぜんげん)美詞(びし)言霊(ことたま)(もつ)万国(ばんこく)(たみ)(かみ)大道(だいだう)言向和(ことむけやわ)するにある(こと)(かた)(しん)じます。066(すべ)世界(せかい)人民(じんみん)(をさ)むるは武力(ぶりよく)智力(ちりよく)では到底(たうてい)駄目(だめ)です。067結局(けつきよく)精神(せいしん)(てき)結合(けつがふ)要素(えうそ)たる、068(すべ)ての旧慣(きうくわん)(とら)はれざる新宗教(しんしうけう)(ちから)()るより(ほか)はないと(しん)じます。
069 つらつら現今(げんこん)(わが)国情(こくじやう)(かんが)へて()まするに、070我国(わがくに)人口(じんこう)年々(ねんねん)七十万(しちじふまん)(づつ)増加(ぞうか)(もつ)(すす)みつつあると統計(とうけい)学者(がくしや)()つて()ります。071(この)割合(わりあひ)(すす)んで()けば大正(たいしやう)三十一(さんじふいち)(ねん)には七千(ななせん)七百万(ななひやくまん)同胞(どうはう)となり、072(おな)じく五十一(ごじふいち)(ねん)には一億余万(いちおくよまん)(にん)(たつ)すると()計算(けいさん)になります。073()(かく)我国(わがくに)人口(じんこう)増加(ぞうか)年々(ねんねん)事実(じじつ)証明(しようめい)する(ところ)であつて、074(これ)(えう)する食糧品(しよくりやうひん)たる米麦(こめむぎ)075(げん)年々(ねんねん)七八十万(しちはちじふまん)(ごく)不足(ふそく)()げつつある(こと)(また)事実(じじつ)である以上(いじやう)076(この)人口(じんこう)食糧(しよくりやう)との不均衡(ふきんかう)は、077我国(わがくに)存立(そんりつ)(うへ)(おい)一問題(いちもんだい)たらねばなりませぬ。078国内(こくない)現在(げんざい)未墾地(みこんち)開拓(かいたく)耕地(かうち)整理(せいり)徹底(てつてい)(てき)断行(だんかう)すれば、079(やく)二百万(にひやくまん)町歩(ちやうぶ)水田(すゐでん)火田(くわでん)()られ、080二千万(にせんまん)(ごく)米麦(こめむぎ)増収(ぞうしう)出来(でき)るとの(せつ)もありますが、081乍然(しかしながら)(この)開墾(かいこん)整理(せいり)何時(いつ)になつたら完成(くわんせい)されるでせうか。082仮令(たとへ)(わが)官民(くわんみん)熱誠(ねつせい)努力(どりよく)結果(けつくわ)083幾十(いくじふ)(ねん)かの(のち)にそれが完成(くわんせい)されるものとしても、084その(とき)には人口(じんこう)(すで)一億(いちおく)以上(いじやう)になつてゐる(はづ)であります。085()人口(じんこう)食糧(しよくりやう)との均衡(きんかう)依然(いぜん)として(たも)たれるでせうか。086国家(こくか)前途(ぜんと)(あん)ずれば百千(ひやくせん)(ねん)長計(ちやうけい)目途(もくと)とせねばならぬ。087(いち)()糊塗策(ことさく)(けつ)して国家(こくか)永遠(ゑいゑん)存立(そんりつ)保障(ほしやう)することは出来得(できえ)ないでせう。088乍然(しかしながら)我国(わがくに)植民(しよくみん)政策(せいさく)はかかる基調(きてう)から発足(はつそく)してゐるやうであります。089(こと)(わが)国家(こくか)将来(しやうらい)存立(そんりつ)(および)発展(はつてん)(つい)ては(たん)米麦(こめむぎ)満足(まんぞく)()らるるのみではすまされませぬ。090日進(につしん)月歩(げつぽ)世界(せかい)前途(ぜんと)には、091鋼鉄(かうてつ)綿類(わたるゐ)毛布(まうふ)皮革(ひかく)(とう)(しゆ)として幾多(いくた)物資(ぶつし)無限(むげん)需要(じゆえう)さるる(こと)は、092今日(こんにち)(おい)ても(あきらか)なる題目(だいもく)であるのに、093我国(わがくに)(おい)ては(これ)将来(しやうらい)充実(じゆうじつ)せしむべき安全(あんぜん)なる政策(せいさく)()つて()りますか、094(じつ)(おも)うて()れば心細(こころぼそ)次第(しだい)であります。095一朝(いつてう)有事(いうじ)(とき)に、096海外(かいぐわい)からその供給(きようきふ)()たれたならば、097我国(わがくに)如何(いか)なる方法(はうはふ)(もつ)てその需要(じゆえう)()たす(こと)出来(でき)やうか、098(おも)うて此処(ここ)(いた)れば099(じつ)慄然(りつぜん)たらざるを()ないのであります。100我国(わがくに)為政(ゐせい)(きよく)(あた)人々(ひとびと)国家(こくか)前途(ぜんと)焦慮(せうりよ)した結果(けつくわ)101植民(しよくみん)政策(せいさく)なるものを()て、102過剰(くわじよう)人口(じんこう)()(うつ)して、103その移住者(いぢゆうしや)生活(せいくわつ)安定(あんてい)()せしめむとして()ります。
104 ()第一(だいいち)合衆国(がつしゆうこく)(ごと)異人種(いじんしゆ)憎悪(ぞうを)()んでゐる国土(こくど)(ほか)105メキシコや、106南米(なんべい)や、107南洋(なんやう)諸島(しよたう)目的(もくてき)としてゐるやうですが、108国家(こくか)万年(まんねん)長計(ちやうけい)からすれば、109(これ)()遠隔(ゑんかく)(しよ)地方(ちはう)農耕(のうかう)移民(いみん)(おく)つた(ばか)りでは()みますまい。110(わが)接境(せつきやう)比隣(ひりん)には国家(こくか)としての支那(しな)露西亜(ろしあ)があり、111相互(さうご)関係(くわんけい)(ぜん)にもあれ、112(あく)にもあれ到底(たうてい)(はな)るべからざるものがあるのであります。113(また)(わが)領土内(りやうどない)には朝鮮(てうせん)あり、114その将来(しやうらい)については所謂(いはゆる)識者(しきしや)()はるる人々(ひとびと)不断(ふだん)(あたま)をなやましてゐるやうです。115(わが)皇国(くわうこく)がその永遠(えいゑん)存立(そんりつ)安全(あんぜん)ならしめ、116関係(くわんけい)諸国(しよこく)(とも)共存(きようぞん)共栄(きようえい)福利(ふくり)(たの)しまむとすれば、117是非(ぜひ)とも(これ)()ふべき一大(いちだい)国策(こくさく)樹立(じゆりつ)せなくてはなりませぬ。118所謂(いはゆる)帝国(ていこく)満蒙(まんもう)政策(せいさく)(すなは)(この)目的(もくてき)精神(せいしん)から()てられたものであります。119(けだ)満蒙(まんもう)()はその位置(ゐち)支那(しな)本部(ほんぶ)露領(ろりやう)シベリアとの中間(ちうかん)にはさまり、120(わが)朝鮮(てうせん)とは鴨緑(あひなれ)(みづ)(へだ)てて(あひ)(つら)つてゐるのみならず、121あらゆる産業(さんげふ)資源(しげん)(そな)はらざるなく、122開発(かいはつ)前途(ぜんと)(じつ)春風(しゆんぷう)洋々(やうやう)(かん)があり、123(しか)近世(きんせい)歴史(れきし)(てき)関係(くわんけい)必然(ひつぜん)(てき)(わが)皇国(くわうこく)がその開発(かいはつ)任務(にんむ)()はねばならぬやうになつたのであります。124(ゆゑ)(いま)我国(わがくに)上下(じやうげ)一致(いつち)努力(どりよく)して既定(きてい)開発策(かいはつさく)徹底(てつてい)せしむるには、125(わが)対支(たいし)政策(せいさく)全部(ぜんぶ)基調(きてう)満蒙(まんもう)におくことにより、126行詰(ゆきつま)つた日支(につし)関係(くわんけい)現状(げんじやう)相互(さうご)(てき)善導(ぜんだう)()ると(とも)に、127将来(しやうらい)永遠(ゑいゑん)円満策(ゑんまんさく)樹立(じゆりつ)する(こと)出来(でき)るでせう。128(また)ロシアとの交渉(かうせふ)中継点(ちうけいてん)とする(こと)出来(でき)るでせう。129鮮人(せんじん)多数(たすう)生活(せいくわつ)安定(あんてい)()せしめて、130朝鮮(てうせん)統治(とうち)(じやう)有力(いうりよく)なる補助(ほじよ)とする(こと)出来(でき)るでせう。131人口(じんこう)食糧(しよくりやう)調節(てうせつ)(うへ)にも(じつ)偉大(ゐだい)なる効験(かうけん)をなし()らるるでせう。132(また)(わが)重要(ぢうえう)物資(ぶつし)供給地(きようきふち)たらしむる(こと)出来(でき)るでせう。133(わが)皇国(くわうこく)国防(こくばう)第一線(だいいつせん)要地(えうち)たらしむる(こと)出来(でき)るでせう。134乍然(しかしながら)満蒙(まんもう)経営(けいえい)議論(ぎろん)実地(じつち)大変(たいへん)径庭(けいてい)がある。135如何(いか)なる有識者(いうしきしや)徹底(てつてい)せる立策(りつさく)(いへど)も、136肝腎(かんじん)(かなめ)のその(ひと)()ざれば到底(たうてい)完成(くわんせい)するものでは()い。137渺々(べうべう)として(てん)(つらな)満蒙(まんもう)大沙漠(だいさばく)138此処(ここ)には無限(むげん)富源(ふげん)天地(てんち)開闢(かいびやく)当初(たうしよ)より委棄(ゐき)されてある。139()蒙古(もうこ)大平原(だいへいげん)こそ(てん)我国(わがくに)(あた)へたる唯一(ゆいつ)賜物(たまもの)でなければならぬ。
140 我国(わがくに)為政者(ゐせいしや)満蒙(まんもう)開発策(かいはつさく)として満鉄(まんてつ)敷設(ふせつ)し、141鄭家屯(ていかとん)や、142洮南府(たうなんふ)や、143パインタラの(ひがし)蒙古(もうこ)一部(いちぶ)(すこ)(ばか)()をつけてゐる(くらゐ)では、144到底(たうてい)(この)開発策(かいはつさく)(もの)にはならないであらう。145どうしても(わが)皇国(くわうこく)存立(そんりつ)(ため)146東亜(とうあ)安全(あんぜん)(ため)147世界(せかい)平和(へいわ)(ため)に、148我国(わがくに)率先(そつせん)して天与(てんよ)大蒙古(だいもうこ)開拓(かいたく)せなくてはならない位置(ゐち)にある(こと)(わたし)(かた)(しん)じます。149そしてその目的(もくてき)(たつ)するには、150旧慣(きうくわん)(とら)はれざる新宗教(しんしうけう)宣伝(せんでん)(もつ)第一(だいいち)手段(しゆだん)方法(はうはふ)(かんが)へるのであります。151我国(わがくに)()ける既成(きせい)宗教(しうけう)現状(げんじやう)()れば、152宗教(しうけう)発展(はつてん)どころか、153現状(げんじやう)維持(ゐぢ)汲々(きふきふ)たる有様(ありさま)ではありませぬ()154気息(きそく)奄々(えんえん)として瀕死(ひんし)(さかひ)にある我国(わがくに)既成(きせい)宗教(しうけう)が、155如何(いか)にして(この)大事業(だいじげふ)着手(ちやくしゆ)するの余裕(よゆう)がありませう。156(また)一人(ひとり)英雄(えいゆう)(てき)宗教家(しうけうか)輩出(はいしゆつ)せむとする気配(けはい)もなき、157我国(わがくに)瀕死(ひんし)(てき)宗教(しうけう)(たよ)るの()なる(こと)(げん)をまたないでありませう。158(ゆゑ)(わたし)日本(につぽん)人口(じんこう)増加(ぞうか)(ともな)発生(はつせい)する生活(せいくわつ)不安定(ふあんてい)憂慮(いうりよ)し、159朝鮮(てうせん)()ける同胞(どうはう)安危(あんき)(うれ)ひ、160()いで東亜(とうあ)動乱(どうらん)発生(はつせい)せむ(こと)(おそ)るるのあまり、161愈々(いよいよ)神勅(しんちよく)(ほう)じて徒手(としゆ)空拳(くうけん)二三(にさん)同志(どうし)(とも)長途(ちやうと)(たび)(のぼ)らむとするのであります。162(わたし)()承知(しようち)(とほ)支那語(しなご)蒙古語(もうこご)皆目(かいもく)()りませぬ。163さうして蒙古(もうこ)我国(わがくに)面積(めんせき)(くら)べて(ほとん)十六倍(じふろくばい)面積(めんせき)があり、164その(たみ)慓悍(ひやうかん)にして支那(しな)民衆(みんしう)古来(こらい)恐怖(きようふ)する獰猛(だうもう)(たみ)である。165(くは)ふるに馬賊(ばぞく)横行(わうかう)(はなはだ)しく、166旅人(たびびと)(かす)生命(せいめい)(うば)ひ、167日支人(につしじん)奥地(おくち)()るものは一人(ひとり)生還者(せいくわんしや)もないと(つた)へられてゐる蒙古(もうこ)()に、168大胆(だいたん)()はふか、169無謀(むぼう)()はふか、170(ほとん)(ゆめ)(ひと)しい経綸(けいりん)(むね)(ゑが)いて()()(わたし)としては、171(じつ)名状(めいじやう)すべからざる感慨(かんがい)()たれるのであります。172(しか)(なが)(わたし)天地(てんち)創造(さうざう)(かみ)(しん)じます。173天下(てんか)万民(ばんみん)(ため)十字架(じふじか)()ひあらゆる艱難(かんなん)()め、174生死(せいし)(さかひ)出入(しゆつにふ)することを(むし)本懐(ほんくわい)とするものであります。175(いま)(とき)(おい)満蒙(まんもう)開発(かいはつ)実行(じつかう)着手(ちやくしゆ)せなくては、176金甌(きんわう)無欠(むけつ)(わが)皇国(くわうこく)前途(ぜんと)(はなは)心細(こころぼそ)(こと)になるであらうと憂慮(いうりよ)()へないのであります。177吾々(われわれ)(かみ)(くに)(うま)れ、178(かみ)(くに)(あは)()み、179(かみ)(くに)大君(おほぎみ)(つか)へ、180(かみ)(えら)まれたる(たみ)として、181今日(こんにち)世界(せかい)現状(げんじやう)坐視(ざし)するに(しの)びないのであります。182どうか(いま)()(せき)にお(あつま)りになつた神縁(しんえん)(ふか)諸氏(しよし)は、183今回(こんくわい)(わたし)遠征(ゑんせい)首途(かどで)(たい)()諒解(りやうかい)あらむことを希望(きばう)(いた)します。184云々(うんぬん)
185 と()(をは)り、186記念(きねん)(ため)とて祥雲閣(しやううんかく)(ふすま)()(ごと)文章(ぶんしやう)ともつかず、187()ともつかないやうな文字(もじ)()いた。
 
188推倒全身之智勇(ぜんしんのちゆうをすゐたふし)189開拓万里之荒原(ばんりのくわうげんをかいたくす)190神竜(しんりゆう)雖潜淵(ふちにひそむといへども)191曷池中物(いづくんぞちちゆうのものならむや)192天運(てんうん)(ここに)循環(じゆんかん)来而(しきたり)193代天地(てんちにかははりて)樹立鴻業(こうげふをじゆりつす)194嗚呼(ああ)北蒙(ほくもう)()仙境(せんきやう)195山河草木(さんがさうもく)凝盛装(せいさうをこらし)196歓呼而(くわんこして)待望我神軍到矣(わがしんぐんのいたるをたいばうす)197英雄(えいゆう)()心事(しんじ)亦々(またまた)非壮快哉(さうくわいにあらずや)全身の智勇を推倒し、万里の荒原を開拓す。神竜、淵に潜むと雖も、いづくんぞ池中の物ならむや。天運ここに循環し来たり、天地に代はりて鴻業を樹立す。ああ北蒙の仙境、山河草木盛装を凝らし、歓呼して我が神軍の到るを待望す。英雄の心事、またまた壮快に非ずや。
 
198 (また)(かれ)発車(はつしや)間際(まぎは)まで199嘻々(きき)として快活(くわいくわつ)東亜(とうあ)経綸(けいりん)(だん)じつつ(しき)りに筆紙(ひつし)(うご)かして()た。200(かたはら)より(うかが)(もの)()には、201寸時(すんじ)(のち)海外(かいぐわい)万里(ばんり)未開国(みかいこく)(むか)つて出発(しゆつぱつ)する(ひと)態度(たいど)とは()えなかつた。202(かれ)出発(しゆつぱつ)(さい)()んだ沢山(たくさん)(うた)がある。203その(なか)一首(いつしゆ)()紹介(せうかい)しよう。
 
204 日地月(につちげつ)(ほし)団子(だんご)()()きて(いま)宇宙(うちう)天海(てんかい)()
 
205 ここに(いた)つて(かれ)心理(しんり)状態(じやうたい)益々(ますます)異状(ゐじやう)なるに(おどろ)かざるを()ない。206(かみ)か、207()か、208(ひと)か、209誇大(こだい)妄想狂(まうさうきやう)か、210二重(にぢう)人格者(じんかくしや)か、211(はた)(また)変態(へんたい)心理(しんり)極地(きよくち)(たつ)せる狂人(きやうじん)か、212(ほとん)(ひやう)するの言葉(ことば)()ない。
213大正一四、八、一五加藤明子筆録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki