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第61巻(子の巻)
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特別編 入蒙記
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特別編 入蒙記
第1篇 日本より奉天まで
01 水火訓
02 神示の経綸
03 金剛心
04 微燈の影
05 心の奥
06 出征の辞
07 奉天の夕
第2篇 奉天より洮南へ
08 聖雄と英雄
09 司令公館
10 奉天出発
11 安宅の関
12 焦頭爛額
13 洮南旅館
14 洮南の雲
第3篇 洮南より索倫へ
15 公爺府入
16 蒙古の人情
17 明暗交々
18 蒙古気質
19 仮司令部
20 春軍完備
21 索倫本営
第4篇 神軍躍動
22 木局収ケ原
23 下木局子
24 木局の月
25 風雨叱咤
26 天の安河
27 奉天の渦
28 行軍開始
29 端午の日
30 岩窟の奇兆
第5篇 雨後月明
31 強行軍
32 弾丸雨飛
33 武装解除
34 竜口の難
35 黄泉帰
36 天の岩戸
37 大本天恩郷
38 世界宗教聯合会
39 入蒙拾遺
附 入蒙余録
大本の経綸と満蒙
世界経綸の第一歩
蒙古建国
蒙古の夢
余白歌
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> 第4篇 神軍躍動 > 第24章 木局の月
<<< 下木局子
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第二四章
木局
(
ムチ
)
の
月
(
つき
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 特別篇 山河草木 入蒙記
篇:
第4篇 神軍躍動
よみ(新仮名遣い):
しんぐんやくどう
章:
第24章 木局の月
よみ(新仮名遣い):
むちのつき
通し章番号:
口述日:
1925(大正14)年08月
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年2月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
五月十四日の午前十時半、盧占魁が兵営の出発を見送りにやってきた。日出雄の一隊は轎車二台、大車一台に荷物を積んで多くの兵士を前後に従え、何度も大原野を流れるトール河を渡り、午後三時半に無事上木局収の仮殿に安着した。
上木局収の仮殿を護衛するため、十五支里ほどの間に三箇所の兵営が設けられた。上木局収の日本人は気楽に日を送っていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
2024/1/25出口王仁三郎全集第6巻を底本として校正。
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-01-25 21:37:19
OBC :
rmnm24
愛善世界社版:
216頁
八幡書店版:
第14輯 626頁
修補版:
校定版:
218頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
五
(
ご
)
月
(
ぐわつ
)
十四日
(
じふよつか
)
即
(
すなは
)
ち
王日
(
わうじつ
)
午前
(
ごぜん
)
九
(
く
)
時
(
じ
)
上将
(
じやうしやう
)
盧
(
ろ
)
占魁
(
せんくわい
)
は
太上将
(
だいじやうしやう
)
日出雄
(
ひでを
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
来
(
きた
)
り、
002
午前
(
ごぜん
)
十
(
じふ
)
時
(
じ
)
半
(
はん
)
、
003
下
(
しも
)
木局収
(
もくきよくしう
)
の
兵営
(
へいえい
)
の
出発
(
しゆつぱつ
)
を
見送
(
みおく
)
つた。
004
轎車
(
けうしや
)
二台
(
にだい
)
、
005
大車
(
だいしや
)
一台
(
いちだい
)
に
荷物
(
にもつ
)
を
積
(
つ
)
み
数多
(
あまた
)
の
兵士
(
へいし
)
を
前後
(
ぜんご
)
に
従
(
したが
)
へ、
006
蜒蜿
(
えんえん
)
として
大原野
(
だいげんや
)
を
流
(
なが
)
るる
洮児
(
トール
)
河
(
がは
)
の
激流
(
げきりう
)
を
幾度
(
いくど
)
となく
騎馬
(
きば
)
にて
渡
(
わた
)
り、
007
午後
(
ごご
)
三
(
さん
)
時
(
じ
)
半
(
はん
)
008
無事
(
ぶじ
)
上
(
かみ
)
木局収
(
もくきよくしう
)
の
仮殿
(
かりどの
)
に
安着
(
あんちやく
)
した。
009
蒙古
(
もうこ
)
の
馬
(
うま
)
は
体躯
(
たいく
)
日本
(
につぽん
)
の
乗馬
(
じようば
)
に
比
(
ひ
)
して
稍
(
やや
)
小
(
せう
)
なれども、
0091
極寒
(
ごくかん
)
極暑
(
ごくしよ
)
に
耐
(
た
)
へ
且
(
か
)
つ
忍耐力
(
にんたいりよく
)
強
(
つよ
)
く
柔順
(
じうじゆん
)
である。
010
河水
(
かすゐ
)
を
見
(
み
)
れば
何
(
いづ
)
れの
馬
(
うま
)
も
頭
(
かしら
)
を
振
(
ふ
)
つて
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち、
011
青味
(
あをみ
)
だつた
激流
(
げきりう
)
を
平然
(
へいぜん
)
として
渡
(
わた
)
る
様
(
さま
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
平地
(
へいち
)
を
行
(
ゆ
)
くやうである。
012
井上
(
ゐのうへ
)
兼吉
(
かねきち
)
は
馬賊
(
ばぞく
)
の
頭目
(
とうもく
)
曼陀汗
(
マンダハン
)
等
(
ら
)
と
旧
(
ふる
)
くより
交際
(
かうさい
)
して
居
(
ゐ
)
ただけあつて、
013
満蒙
(
まんもう
)
の
事情
(
じじやう
)
によく
通
(
つう
)
じて
居
(
ゐ
)
た。
014
彼
(
かれ
)
は
道々
(
みちみち
)
馬上
(
ばじやう
)
にて
日本
(
につぽん
)
馬賊
(
ばぞく
)
の
作
(
つく
)
つたと
云
(
い
)
ふ
勇
(
いさ
)
ましい
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひつつ
進
(
すす
)
む。
015
嵐
(
あらし
)
吹
(
ふ
)
け
吹
(
ふ
)
けマーカツ
颪
(
おろし
)
016
雪
(
ゆき
)
の
蒙古
(
もうこ
)
に
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れて
017
征鞍
(
せいあん
)
照
(
て
)
らす
月影
(
つきかげ
)
に
018
仰
(
あふ
)
げば
高
(
たか
)
し
雁
(
かり
)
の
群
(
むれ
)
019
吾
(
われ
)
には
家
(
いへ
)
なし
妻
(
つま
)
もなし
020
国
(
くに
)
を
離
(
はな
)
れて
十
(
じふ
)
余
(
よ
)
年
(
ねん
)
021
家
(
いへ
)
は
有
(
あ
)
れ
共
(
ども
)
岩
(
いは
)
の
洞
(
ほら
)
022
従
(
したが
)
ふ
手下
(
てした
)
は
二千
(
にせん
)
余
(
よ
)
騎
(
き
)
023
馬上
(
ばじやう
)
叱咤
(
しつた
)
の
戯
(
たはむ
)
れに
024
鎗
(
やり
)
をしごけばスルスルと
025
延
(
の
)
びて
一丈
(
いちじやう
)
の
穂
(
ほ
)
の
光
(
ひか
)
り
026
電光
(
でんくわう
)
閃
(
ひらめ
)
く
玉
(
たま
)
を
為
(
な
)
す
027
興安嶺
(
こうあんれい
)
のかくれ
家
(
が
)
に
028
剣
(
つるぎ
)
の
小尻
(
こじり
)
を
鞭
(
むちう
)
ちて
029
闇
(
やみ
)
をすかせば
二千
(
にせん
)
人
(
にん
)
030
轡
(
くつわ
)
並
(
なら
)
べて
忍
(
しの
)
び
寄
(
よ
)
る
031
殺気
(
さつき
)
立
(
た
)
ちたる
馬賊
(
ばぞく
)
の
群
(
むれ
)
は
032
何処
(
どこ
)
で
呑
(
の
)
んだか
酒
(
さけ
)
臭
(
くさ
)
い
033
無聊
(
むりやう
)
に
苦
(
くる
)
しみ
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
む
034
山
(
やま
)
と
積
(
つ
)
みにし
虎
(
とら
)
の
肉
(
にく
)
035
肌
(
はだ
)
押
(
お
)
し
脱
(
ぬ
)
げば
一面
(
いちめん
)
に
036
日頃
(
ひごろ
)
自慢
(
じまん
)
の
刀傷
(
かたなきず
)
037
今日
(
けふ
)
の
獲物
(
えもの
)
は
五万
(
ごまん
)
両
(
りやう
)
038
明日
(
あす
)
は
襲
(
おそ
)
はむ
蒙古
(
もうこ
)
の
地
(
ち
)
039
イザヤまどろまむ
一時
(
ひととき
)
を
040
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
す
枕
(
まくら
)
は
髑髏
(
しやりかうべ
)
041
ホンニ
忘
(
わす
)
らりよか
古郷
(
ふるさと
)
の
042
可愛
(
かあい
)
稚児
(
ちご
)
さんが
目
(
め
)
に
躍
(
をど
)
る。
043
上
(
かみ
)
木局収
(
もくきよくしう
)
の
仮殿
(
かりどの
)
なる
日出雄
(
ひでを
)
を
護衛
(
ごゑい
)
の
為
(
た
)
め、
044
僅
(
わづ
)
か
十五
(
じふご
)
支里
(
しり
)
の
間
(
あひだ
)
に
三
(
さん
)
ケ
所
(
しよ
)
の
兵営
(
へいえい
)
を
設
(
まを
)
けられた。
045
其
(
その
)
配置
(
はいち
)
は
最前方
(
さいぜんぱう
)
即
(
すなは
)
ち
西北方
(
せいほくはう
)
には
鄒
(
すう
)
団長
(
だんちやう
)
が
二百
(
にひやく
)
の
兵
(
へい
)
を
引
(
ひ
)
きつれ
警護
(
けいご
)
し、
046
中央
(
ちうあう
)
には
何
(
か
)
団長
(
だんちやう
)
又
(
また
)
百
(
ひやく
)
数十
(
すうじふ
)
名
(
めい
)
にて
警固
(
けいご
)
し、
047
最後
(
さいご
)
即
(
すなは
)
ち
東南方
(
とうなんはう
)
の
営所
(
えいしよ
)
には
中将
(
ちうじやう
)
張
(
ちやう
)
彦三
(
けんさん
)
旅長
(
りよちやう
)
として
之
(
これ
)
を
警固
(
けいご
)
して
居
(
ゐ
)
た。
048
日出雄
(
ひでを
)
は
此
(
この
)
間
(
かん
)
を
悠々
(
いういう
)
として
何
(
なん
)
の
憚
(
はばか
)
る
所
(
ところ
)
もなく
部下
(
ぶか
)
の
兵士
(
へいし
)
と
共
(
とも
)
に
馳駆
(
ちく
)
して
馬術
(
ばじゆつ
)
を
錬
(
ね
)
つた。
049
日出雄
(
ひでを
)
が
各兵営
(
かくへいえい
)
を
訪
(
おと
)
づるるや、
050
各
(
かく
)
団長
(
だんちやう
)
は
兵
(
へい
)
を
門外
(
もんぐわい
)
に
整列
(
せいれつ
)
させ、
051
一斉
(
いつせい
)
に
捧
(
ささ
)
げ
銃
(
つつ
)
の
礼
(
れい
)
を
施
(
ほど
)
こし、
052
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
つて
兵営
(
へいえい
)
に
入
(
い
)
るのが
常
(
つね
)
であつた。
053
張
(
ちやう
)
旅長
(
りよちやう
)
はモーゼル
銃
(
じゆう
)
を
自
(
みづか
)
ら
修繕
(
しうぜん
)
する
際
(
さい
)
、
054
誤
(
あやま
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
脛
(
はぎ
)
を
討
(
う
)
ち、
055
其
(
そ
)
の
弾丸
(
だんぐわん
)
は
骨
(
ほね
)
に
当
(
あた
)
つて
肉
(
にく
)
深
(
ふか
)
く
残留
(
ざんりう
)
し
苦痛
(
くつう
)
を
訴
(
うつた
)
へた。
056
急報
(
きふはう
)
により
日出雄
(
ひでを
)
は
医務
(
いむ
)
処長
(
しよちやう
)
猪野
(
ゐの
)
大佐
(
たいさ
)
及
(
およ
)
び
真澄別
(
ますみわけ
)
、
057
守高
(
もりたか
)
其
(
その
)
他
(
た
)
を
引
(
ひ
)
きつれ、
058
旅長
(
りよちやう
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
に
馳
(
は
)
せつけ、
059
局所
(
きよくしよ
)
に
鎮魂
(
ちんこん
)
を
施
(
ほどこ
)
し
激痛
(
げきつう
)
を
其
(
その
)
場
(
ば
)
で
止
(
と
)
め、
060
猪野
(
ゐの
)
大佐
(
たいさ
)
は
直
(
ただ
)
ちに
刀
(
とう
)
を
取
(
と
)
つて
弾丸
(
だんぐわん
)
の
抉出
(
けつしゆつ
)
に
尽瘁
(
じんすゐ
)
した。
061
されど
弾丸
(
だんぐわん
)
は
骨
(
ほね
)
に
深
(
ふか
)
くうち
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
るので
抉出
(
けつしゆつ
)
することは
出来
(
でき
)
なかつたので、
062
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
日出雄
(
ひでを
)
は
其
(
その
)
儘
(
まま
)
平癒
(
へいゆ
)
すべく
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
つた。
063
所
(
ところ
)
が
不思議
(
ふしぎ
)
にも
旅長
(
りよちやう
)
は
俄
(
にはか
)
に
苦痛
(
くつう
)
を
忘
(
わす
)
れ、
064
平然
(
へいぜん
)
として
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り
部下
(
ぶか
)
を
指揮
(
しき
)
するを
得
(
え
)
たので、
065
将卒
(
しやうそつ
)
一同
(
いちどう
)
は
其
(
そ
)
の
奇瑞
(
きずゐ
)
に
感歎
(
かんたん
)
の
声
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
つた。
066
日本人
(
につぽんじん
)
側
(
がは
)
数名
(
すうめい
)
と
白凌閣
(
パイリンク
)
、
067
温
(
をん
)
長興
(
ちやうこう
)
、
068
大
(
たい
)
師文
(
しぶん
)
、
069
康
(
かう
)
国宝
(
こくはう
)
等
(
ら
)
は
或
(
ある
)
日
(
ひ
)
兵営
(
へいえい
)
と
兵営
(
へいえい
)
との
間
(
あひだ
)
を
馬
(
うま
)
をかけて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
、
070
何
(
なに
)
に
驚
(
おどろ
)
いたか
萩原
(
はぎはら
)
敏明
(
としあき
)
の
馬
(
うま
)
は
突然
(
とつぜん
)
直立
(
ちよくりつ
)
した
刹那
(
せつな
)
、
071
萩原
(
はぎはら
)
は
大地
(
だいち
)
へ
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
落
(
おと
)
され
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
になつて
倒
(
たふ
)
れた。
072
萩原
(
はぎはら
)
の
乗馬
(
じやうば
)
は
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
つた。
073
後
(
あと
)
から
来
(
き
)
た
日出雄
(
ひでを
)
は
我
(
わが
)
脚下
(
きやくか
)
に
萩原
(
はぎはら
)
の
倒
(
たふ
)
れてゐるのを
見
(
み
)
て、
074
俄
(
にはか
)
に
馬腹
(
ばふく
)
に
鞭
(
むち
)
を
加
(
くは
)
へ
其
(
その
)
上
(
うへ
)
を
一足
(
いつそく
)
飛
(
と
)
びに
飛
(
と
)
んで
馬蹄
(
ばてい
)
蹂躙
(
じうりん
)
の
難
(
なん
)
をさけたが、
075
今度
(
こんど
)
は
又
(
また
)
もや
白凌閣
(
パイリンク
)
の
馬
(
うま
)
は
白
(
パイ
)
を
地上
(
ちじやう
)
に
投
(
な
)
げすて
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
とかけ
出
(
だ
)
す。
076
数多
(
あまた
)
の
騎馬兵
(
きばへい
)
を
四方
(
しはう
)
に
出
(
だ
)
して
幸
(
さいは
)
ひ
両馬
(
りやうば
)
とも
捕獲
(
ほくわく
)
することを
得
(
え
)
た。
077
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
すると
奉天
(
ほうてん
)
に
軍使
(
ぐんし
)
に
行
(
い
)
つた
名田彦
(
なだひこ
)
が、
078
支那兵
(
しなへい
)
数名
(
すうめい
)
と
共
(
とも
)
に
上
(
かみ
)
木局収
(
もくきよくしう
)
の
仮殿
(
かりどの
)
に
無事
(
ぶじ
)
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
079
名田彦
(
なだひこ
)
は
日出雄
(
ひでを
)
を
見
(
み
)
るより
声
(
こゑ
)
をあげて
懐
(
なつ
)
かしさに
泣
(
な
)
いた。
080
彼
(
かれ
)
は
幾度
(
いくど
)
も
途中
(
とちう
)
危難
(
きなん
)
に
遭遇
(
さうぐう
)
し
081
漸
(
やうや
)
くにして
生命
(
せいめい
)
を
全
(
まつた
)
うして
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た
嬉
(
うれ
)
しさが
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
込
(
こ
)
み
上
(
あ
)
げて
来
(
き
)
たのである。
082
守高
(
もりたか
)
と
名田彦
(
なだひこ
)
はそれより
日々
(
ひび
)
乗馬
(
じやうば
)
の
練習
(
れんしふ
)
に
余念
(
よねん
)
がなかつた。
083
さうして
守高
(
もりたか
)
は
王
(
わう
)
連長
(
れんちやう
)
や
王
(
わう
)
参謀
(
さんぼう
)
に
暇
(
ひま
)
ある
毎
(
ごと
)
に
柔術
(
じうじゆつ
)
を
教授
(
けうじゆ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
084
守高
(
もりたか
)
に
柔術
(
じうじゆつ
)
を
学
(
まな
)
ぶものは
支那
(
しな
)
将校
(
しやうかう
)
の
中
(
うち
)
四五
(
しご
)
名
(
めい
)
はあつた、
085
併
(
しか
)
し
大部分
(
だいぶぶん
)
の
将卒
(
しやうそつ
)
は
柔術
(
じうじゆつ
)
を
蔑視
(
べつし
)
して
居
(
ゐ
)
た。
086
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
云
(
い
)
ふ『
何程
(
いかほど
)
柔術
(
じうじゆつ
)
が
達者
(
たつしや
)
でも
飛
(
と
)
び
道具
(
だうぐ
)
には
叶
(
かな
)
ふまい、
087
今日
(
こんにち
)
の
戦争
(
せんそう
)
は
銃砲
(
じゆうはう
)
より
外
(
ほか
)
に
力
(
ちから
)
になるものはない、
088
柔術
(
じうじゆつ
)
など
云
(
い
)
ふものは
一種
(
いつしゆ
)
の
遊芸
(
いうげい
)
だ』と。
089
守高
(
もりたか
)
は
或
(
あるひ
)
は
騎馬
(
きば
)
にて
郊外
(
かうぐわい
)
を
散策
(
さんさく
)
する
時
(
とき
)
、
090
例
(
れい
)
のシーゴーに
吠
(
ほ
)
えつかれ、
091
乗馬
(
じやうば
)
が
驚
(
おどろ
)
いて
馳
(
か
)
け
出
(
だ
)
す
途端
(
とたん
)
に
落馬
(
らくば
)
したが、
092
彼
(
かれ
)
は
落馬
(
らくば
)
したのではない
無事
(
ぶじ
)
着陸
(
ちやくりく
)
したのだと
不減口
(
へらずぐち
)
を
云
(
い
)
つて
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
093
名田彦
(
なだひこ
)
も
自
(
みづか
)
ら
乗馬
(
じやうば
)
の
達人
(
たつじん
)
と
称
(
しよう
)
して
居
(
ゐ
)
たが、
094
これもシーゴー
数十
(
すうじつ
)
頭
(
とう
)
に
取囲
(
とりかこ
)
まれ
馬
(
うま
)
が
驚
(
おどろ
)
いて
馳
(
か
)
け
出
(
だ
)
す
途端
(
とたん
)
に
地上
(
ちじやう
)
に
遺棄
(
ゐき
)
され、
095
驚
(
おどろ
)
いて
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つた
時分
(
じぶん
)
には、
096
乗馬
(
じやうば
)
は
影
(
かげ
)
の
見
(
み
)
えない
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
遠
(
とほ
)
く
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
097
日出雄
(
ひでを
)
は
此
(
この
)
報告
(
はうこく
)
を
聞
(
き
)
くなり
数名
(
すうめい
)
の
士官
(
しくわん
)
や
兵卒
(
へいそつ
)
に
命
(
めい
)
じ
遁馬
(
にげうま
)
を
捕獲
(
ほくわく
)
すべく
命
(
めい
)
じた。
098
温
(
をん
)
少佐
(
せうさ
)
は
六
(
ろく
)
名
(
めい
)
の
兵士
(
へいし
)
と
共
(
とも
)
に
際限
(
さいげん
)
なき
荒野
(
くわうや
)
を
駆
(
か
)
け
廻
(
めぐ
)
り、
099
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
るる
頃
(
ころ
)
漸
(
やうや
)
く
馬
(
うま
)
を
捉
(
とら
)
へて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たので、
100
日出雄
(
ひでを
)
は
温
(
をん
)
以下
(
いか
)
の
労苦
(
らうく
)
を
謝
(
しや
)
し
種々
(
しゆじゆ
)
と
菓子
(
くわし
)
や
煙草
(
たばこ
)
などを
与
(
あた
)
へて
慰
(
なぐさ
)
めた。
101
さうして
名田彦
(
なだひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
102
日出雄
『オイ、
103
名田彦
(
なだひこ
)
、
104
乗馬
(
じやうば
)
の
達人
(
たつじん
)
が
落馬
(
らくば
)
するとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だい』
105
と
一本
(
いつぽん
)
参
(
まゐ
)
つた、
106
すると
名田彦
(
なだひこ
)
は
頭
(
あたま
)
をガシガシ
掻
(
か
)
き
乍
(
なが
)
ら、
107
名田彦
『ハイ、
108
弘法
(
かうぼふ
)
も
筆
(
ふで
)
の
誤
(
あやま
)
りです』
109
と
相変
(
あひかは
)
らずの
負
(
ま
)
け
惜
(
をし
)
みである。
110
上
(
かみ
)
木局収
(
もくきよくしう
)
の
仮殿
(
かりどの
)
にゐる
日本人
(
につぽんじん
)
は
何
(
いづ
)
れも
気楽
(
きらく
)
なもので、
111
『オチココテノ、
112
ウツトコハテナ、
113
ボホラヌボ、
114
オンクスアルテチ、
115
ウンヌルテ、
116
オホノトルテ、
117
ピーシヤムツトルテ、
118
マラカウンスナ、
119
コトラアンテイナ、
120
パサパーナ、
121
シエスシエーナ』
122
などと
他愛
(
たあい
)
もない
下
(
しも
)
がかつた
話
(
はなし
)
計
(
ばか
)
りして
暮
(
くら
)
して
居
(
ゐ
)
た。
123
日出雄
(
ひでを
)
は
上
(
かみ
)
木局収
(
もくきよくしう
)
の
仮殿
(
かりどの
)
に
起臥
(
きぐわ
)
して
居
(
ゐ
)
る
中
(
うち
)
、
124
沢山
(
たくさん
)
の
歌
(
うた
)
や
俳句
(
はいく
)
を
詠
(
よ
)
んだが
其
(
その
)
中
(
なか
)
の
一部
(
いちぶ
)
を
茲
(
ここ
)
に
紹介
(
せうかい
)
する。
125
国
(
くに
)
を
出
(
で
)
て
四
(
よ
)
つの
月
(
つき
)
をば
重
(
かさ
)
ねつつ
吾
(
わが
)
生
(
うま
)
れたる
月夜
(
つきよ
)
に
会
(
あ
)
ふかな
126
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
むれば
神島
(
かみしま
)
に
似
(
に
)
し
雲
(
くも
)
の
浮
(
うか
)
べる
127
昨夜
(
よべ
)
降
(
ふ
)
りし
雨
(
あめ
)
の
大空
(
おほぞら
)
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
十二
(
じふに
)
日
(
にち
)
の
月
(
つき
)
光
(
ひかり
)
目出度
(
めでた
)
し
128
東方
(
とうはう
)
の
空
(
そら
)
のみ
村雲
(
むらくも
)
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
るいかなる
神
(
かみ
)
の
示
(
しめ
)
しなるらむ
129
野雪隠
(
のせつちん
)
掘
(
ほ
)
りて
日々
(
にちにち
)
パサパーナ
為
(
な
)
さむ
為
(
た
)
め
守高
(
もりたか
)
鍬
(
くわ
)
を
手
(
て
)
にする
130
温突
(
オンドル
)
の
暖気
(
だんき
)
を
避
(
さ
)
けむと
庭
(
には
)
の
面
(
も
)
に
今日
(
けふ
)
改
(
あらた
)
めて
久土
(
くど
)
築
(
つ
)
きにけり
131
山火事
(
やまくわじ
)
と
吾
(
わが
)
出発
(
しゆつぱつ
)
の
写真
(
しやしん
)
をば
仕上
(
しあ
)
げの
際
(
さい
)
に
焦
(
こが
)
せし
惜
(
を
)
しさよ
132
静
(
しづか
)
なる
月
(
つき
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
る
毎
(
ごと
)
にナラヌオロスの
信徒
(
まめひと
)
思
(
おも
)
ふ
133
ホイモール
眼
(
まなこ
)
は
弥々
(
いよいよ
)
丸
(
まる
)
くなりて
夕日
(
ゆふひ
)
の
空
(
そら
)
に
月
(
つき
)
は
輝
(
かがや
)
く
134
窓
(
まど
)
明
(
あ
)
けて
月
(
つき
)
の
面
(
おも
)
をば
眺
(
なが
)
めつつ
心
(
こころ
)
静
(
しづ
)
かに
行末
(
ゆくすへ
)
おもふ
135
バラモンの
醜
(
しこ
)
の
鋭鋒
(
えいほう
)
避
(
さ
)
けながら
蒙古
(
もうこ
)
の
空
(
そら
)
に
月
(
つき
)
を
眺
(
なが
)
むる
136
十二夜
(
じふにや
)
の
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
樺
(
かば
)
の
幹
(
みき
)
のみ
山
(
やま
)
に
光
(
ひか
)
れる
137
司令部
(
しれいぶ
)
を
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むちう
)
ち
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
今日
(
けふ
)
上
(
かみ
)
木局収
(
ムチヅ
)
の
月
(
つき
)
を
見
(
み
)
るかな
138
忽
(
たちま
)
ちに
魚鱗
(
ぎよりん
)
の
雲
(
くも
)
の
塞
(
ふさ
)
がりて
可惜
(
あたら
)
月影
(
つきかげ
)
呑
(
の
)
まむとぞする
139
野
(
の
)
の
中
(
なか
)
に
放
(
はな
)
ちやりたる
馬
(
うま
)
の
群
(
む
)
れ
寝屋
(
ねや
)
に
帰
(
かへ
)
るを
厭
(
いと
)
ひて
走
(
はし
)
る
140
日
(
ひ
)
の
出
(
い
)
づる
国
(
くに
)
にて
見
(
み
)
たる
月
(
つき
)
よりも
蒙古
(
もうこ
)
の
空
(
そら
)
は
珍
(
めづ
)
らしく
見
(
み
)
る
141
雨雲
(
あまぐも
)
は
空
(
そら
)
一面
(
いちめん
)
に
塞
(
ふさ
)
がりぬ
今宵
(
こよひ
)
の
月
(
つき
)
の
別
(
わか
)
れおしさよ
142
瑞月
(
ずゐげつ
)
の
雲
(
くも
)
かくれせしを
守
(
まも
)
らむと
十二夜
(
じふにや
)
の
月
(
つき
)
かくれしならむ
143
浮雲
(
うきぐも
)
の
薄
(
うす
)
き
衣
(
きぬ
)
をば
通
(
とほ
)
してゆほのかに
見
(
み
)
えし
今
(
けふ
)
の
月
(
つき
)
かげ
144
すがすがし
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
の
聞
(
きこ
)
えけり
守高
(
もりたか
)
のホラの
雄
(
を
)
たけびならむ
145
河辺
(
かはべり
)
に
立出
(
たちい
)
で
団長
(
だんちやう
)
等
(
ら
)
と
共
(
とも
)
に
騎馬
(
きば
)
の
照相
(
せうさう
)
写
(
うつ
)
し
撮
(
と
)
りけり
146
暫時
(
しばらく
)
は
此
(
この
)
地
(
ち
)
にありて
外蒙
(
ぐわいもう
)
に
進
(
すす
)
まむ
時
(
とき
)
の
英気
(
えいき
)
養
(
やしな
)
ふ
147
林間
(
りんかん
)
に
駒
(
こま
)
を
並
(
なら
)
べて
勇
(
いさ
)
ましく
涼
(
すず
)
しき
風
(
かぜ
)
を
受
(
う
)
けつつすすむ
148
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
万里
(
ばんり
)
の
原野
(
げんや
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
草野
(
くさの
)
の
小村
(
こむら
)
に
経綸
(
けいりん
)
を
立
(
た
)
つ
149
九十六
(
くじふろく
)
の
日
(
ひ
)
を
重
(
かさ
)
ねつつ
我
(
われ
)
は
今
(
いま
)
蒙古
(
もうこ
)
の
奥
(
おく
)
に
駒
(
こま
)
に
鞭打
(
むちう
)
つ
150
時々
(
ときどき
)
に
国
(
くに
)
の
事
(
こと
)
など
思
(
おも
)
ひ
出
(
い
)
でて
今日
(
けふ
)
の
我
(
わが
)
身
(
み
)
の
幸
(
さち
)
をよろこぶ
151
蒙古語
(
もうこご
)
を
学
(
まな
)
ばむとして
今日
(
けふ
)
も
亦
(
また
)
肩
(
かた
)
こらしつつペンを
走
(
はし
)
らす
152
窓
(
まど
)
障子
(
しやうじ
)
破
(
やぶ
)
れて
風
(
かぜ
)
のあたるたび
猶
(
なほ
)
ペラペラと
言
(
い
)
ひさやぐかな
153
桃太郎
(
ももたらう
)
誕生
(
たんじやう
)
したる
照相
(
せうさう
)
を
馬飼
(
うまかひ
)
が
原
(
はら
)
に
撮
(
と
)
りし
今日
(
けふ
)
かな
154
大空
(
おほぞら
)
の
雲
(
くも
)
かき
分
(
わ
)
けて
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
もあきらかに
照
(
て
)
る
155
雲
(
くも
)
の
戸
(
と
)
を
明
(
あ
)
けて
今宵
(
こよひ
)
の
月影
(
つきかげ
)
は
吾
(
わ
)
が
賤
(
しづ
)
の
家
(
や
)
を
照
(
てら
)
したまひぬ
156
肩
(
かた
)
痛
(
いた
)
み
腰
(
こし
)
張
(
は
)
り
頭痛
(
づつう
)
鉢巻
(
はちまき
)
でペンを
執
(
と
)
りつつ
窓
(
まど
)
の
月
(
つき
)
見
(
み
)
る
157
トルコノロホルまで
痛
(
いた
)
む
今宵
(
こよひ
)
こそ
曲神
(
まがみ
)
の
吾
(
われ
)
を
窺
(
うかが
)
ふなるらむ
158
ナルンオロス
曲
(
まが
)
の
関所
(
せきしよ
)
を
潜
(
くぐ
)
り
来
(
き
)
て
又
(
また
)
もや
蒙古
(
もうこ
)
の
曲
(
まが
)
に
襲
(
おそ
)
はる
159
背
(
せな
)
に
肩
(
かた
)
脚
(
あし
)
腕
(
うで
)
までも
痛
(
いた
)
みてゆ
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ずして
昼寝
(
ひるね
)
せし
哉
(
かな
)
160
○
161
木局
(
ムチ
)
の
野
(
の
)
に
駒
(
こま
)
嘶
(
いなな
)
きて
草
(
くさ
)
萌
(
も
)
ゆる
162
木局
(
ムチ
)
の
野
(
の
)
の
初夏
(
しよか
)
の
夕
(
ゆふ
)
べや
杜鵑
(
ほととぎす
)
啼
(
な
)
く
163
人心
(
ひとごころ
)
荒
(
あら
)
き
木局収
(
ムチヅ
)
の
宿営
(
しゆくえい
)
かな
164
無頼
(
ぶらい
)
の
徒
(
と
)
集
(
あつ
)
まりて
住
(
す
)
む
木局収
(
もくきよくしう
)
165
陽
(
ひ
)
は
清
(
きよ
)
く
風
(
かぜ
)
暖
(
あたた
)
かに
草
(
くさ
)
萌
(
も
)
ゆる
166
豚
(
ぶた
)
の
児
(
こ
)
に
石
(
いし
)
を
投
(
な
)
げつつ
野遊
(
やいう
)
かな
167
食物
(
しよくもつ
)
に
乏
(
とぼ
)
しき
木局収
(
ムチヅ
)
の
仮寝
(
かりね
)
かな
168
ハタハタと
白旗
(
しらはた
)
の
鳴
(
な
)
る
初夏
(
しよか
)
の
風
(
かぜ
)
169
山
(
やま
)
低
(
ひく
)
く
雲
(
くも
)
また
低
(
ひく
)
し
木局
(
ムチ
)
の
野辺
(
のべ
)
170
牧草
(
ぼくさう
)
の
乏
(
とぼ
)
しき
木局収
(
ムチヅ
)
駒
(
こま
)
細
(
ほそ
)
り
171
駒
(
こま
)
止
(
と
)
めて
少時
(
しばし
)
見入
(
みい
)
りぬ
河
(
かは
)
の
面
(
おも
)
172
河水
(
かはみづ
)
の
音
(
おと
)
高々
(
たかだか
)
と
夢
(
ゆめ
)
に
入
(
い
)
る
173
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
び
気力
(
きりよく
)
養
(
やしな
)
ひ
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
ち
174
コルギーホワラ、チチクさへ
無
(
な
)
き
上
(
かみ
)
木局収
(
ムチヅ
)
175
オンクスアルテチ、ウンヌルテと
鼻
(
はな
)
摘
(
つま
)
み
176
来客
(
らいきやく
)
にモンタラパンナと
席
(
せき
)
譲
(
ゆづ
)
り
177
夜
(
よ
)
な
夜
(
よ
)
なに
啼
(
な
)
く
杜鵑
(
ほととぎす
)
気
(
き
)
に
懸
(
かか
)
り
178
雨雲
(
あまぐも
)
や
瞬
(
またた
)
く
中
(
うち
)
に
空
(
そら
)
塞
(
ふさ
)
ぎ
179
空
(
そら
)
に
雲
(
くも
)
覆
(
お
)
ひて
忽
(
たちま
)
ち
風
(
かぜ
)
寒
(
さむ
)
し
180
イリチーカ
最
(
いと
)
も
悲
(
かな
)
しげな
声
(
こゑ
)
搾
(
しぼ
)
り
181
ガーガーとガーハイの
声
(
こゑ
)
耳
(
みみ
)
に
立
(
た
)
ち
182
喇嘛服
(
ラマふく
)
に
着替
(
きか
)
へて
馬上
(
ばじやう
)
の
照相
(
すがた
)
撮
(
と
)
り
183
千万
(
せんまん
)
里
(
り
)
荒野
(
くわうや
)
の
奥
(
おく
)
の
馬遊
(
ばいう
)
かな
184
寝
(
ね
)
そべりつ
窓
(
まど
)
の
側
(
そば
)
にてペンを
執
(
と
)
り
185
ペン
先
(
さき
)
は
早
(
はや
)
くも
坊主
(
ばうず
)
となりにけり
186
山
(
やま
)
も
野
(
の
)
も
吾
(
われ
)
も
坊主
(
ばうず
)
の
蒙古
(
もうこ
)
かな
187
ポロハナの
力
(
ちから
)
も
薄
(
うす
)
き
蒙古
(
もうこ
)
喇嘛
(
ラマ
)
188
どの
山
(
やま
)
も
金字形
(
きんじがた
)
なり
上
(
かみ
)
木局収
(
ムチヅ
)
189
駒
(
こま
)
並
(
な
)
べて
軍
(
いくさ
)
の
司
(
つかさ
)
来
(
きた
)
りけり
190
紅
(
くれなゐ
)
の
夕日
(
ゆふひ
)
の
空
(
そら
)
に
月
(
つき
)
清
(
きよ
)
し
191
夕日影
(
ゆふひかげ
)
山野
(
さんや
)
をボルに
染
(
そ
)
めにけり
192
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
たなびきて
入日
(
いりひ
)
近
(
ちか
)
し
193
十四
夜
(
や
)
の
月
(
つき
)
は
日
(
ひ
)
の
内
(
うち
)
輝
(
かがや
)
けり
194
窓
(
まど
)
明
(
あ
)
けて
初夏
(
しよか
)
の
満月
(
まんげつ
)
拝
(
をが
)
みけり
195
初夏
(
しよか
)
の
月
(
つき
)
初
(
はじ
)
めて
見
(
み
)
たり
蒙古地
(
もうこち
)
に
196
月
(
つき
)
清
(
きよ
)
く
星
(
ほし
)
稀
(
まれ
)
にして
風
(
かぜ
)
寒
(
さむ
)
し
197
吾
(
わが
)
友
(
とも
)
は
今宵
(
こよひ
)
の
月
(
つき
)
を
吾
(
われ
)
と
見
(
み
)
む
198
月次
(
つきなみ
)
の
今日
(
けふ
)
の
祭
(
まつ
)
りや
月
(
つき
)
丸
(
まる
)
し
199
雪
(
ゆき
)
解
(
と
)
けて
河水
(
かはみづ
)
日々
(
ひび
)
に
増
(
まさ
)
りけり
200
草
(
くさ
)
も
木
(
き
)
も
青
(
あを
)
み
出
(
い
)
でけり
初夏
(
しよか
)
の
雨
(
あめ
)
201
大空
(
おほぞら
)
の
月
(
つき
)
を
包
(
つつ
)
みし
雲
(
くも
)
散
(
ち
)
りぬ
202
雪
(
ゆき
)
とけて
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
空
(
そら
)
に
照
(
て
)
り
203
日人
(
にちじん
)
の
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らぬ
吾
(
わが
)
神業
(
しんげふ
)
204
(
大正一四、八
、筆録)
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