霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 抔盤(はいばん)狼藉(らうぜき)〔二五五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第1篇 山陰の雪 よみ(新仮名遣い):さんいんのゆき
章:第5章 抔盤狼藉 よみ(新仮名遣い):はいばんろうぜき 通し章番号:255
口述日:1922(大正11)年01月16日(旧12月19日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
美山彦は、春日姫が結婚を申し出てきたことで有頂天になって部下に式の準備を命じた。
春日姫と春姫は、美山彦をへべれけに酔わせてひっくり返らせてしまった。そして月照彦神、足真彦とともに今後の作戦を協議した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-10 14:20:57 OBC :rm0605
愛善世界社版:33頁 八幡書店版:第1輯 643頁 修補版: 校定版:33頁 普及版:15頁 初版: ページ備考:
001 (にはか)(やかた)大広間(おほひろま)陽気(やうき)()(のぼ)り、002(さけ)果物(くだもの)沢山(たくさん)(はこ)ばれ、003木葉奴(こつぱやつこ)(はし)(いた)るまでずらりと(せき)(れつ)し、004大樽(おほたる)(かめ)中央(ちうあう)()ゑ、005(たけ)輪切(わぎり)にした(しやく)にて、006()みては()み、007()みては()み、008一生(いつしやう)懸命(けんめい)(うた)(はじ)めたり。009しかして(ゑひ)(まは)るに()れて(しやく)引奪(ひつたく)()ひが(はじ)まり、010(あたま)(しやく)こつりとこづかれ、011禿頭(はげあたま)(おやぢ)面部(めんぶ)頭部(とうぶ)とに沢山(たくさん)出店(でみせ)()し、012次第(しだい)々々(しだい)(した)(もつ)れ、013()(やつ)014(わら)(やつ)015(いか)(やつ)016様々(さまざま)なり。
017(かふ)『ヤイ、018(みな)(やつ)ら、019けつたい(わる)いぢやないか。020美山彦(みやまひこ)大将面(たいしやうづら)しよつて、021毎日(まいにち)々々(まいにち)022(おい)らを(かたき)(すゑ)(なん)かのやうに()使(つか)ひよつて、023自分(じぶん)ばかり(さけ)(くら)ひよつて、024春日姫(かすがひめ)膝枕(ひざまくら)()(たま)もとろかしよつて、025()けに(あし)()め、026()()めと(ひと)(うれ)しいところを()せつけ、027自分(じぶん)ばかり(さけ)(くら)つて、028(おい)らには一口(ひとくち)でも()めと()ひよつた(こと)はありやしない。029()りや、030いつも(うつは)片付(かたづ)けるときに(さかづき)(ひと)(ひと)(ねぶ)つて(にほひ)()いで満足(たんのう)しとつたのだ。031今日(けふ)春日姫(かすがひめ)にや、032()(うま)()顛倒(かへ)すやうにして()やがられて()たのが、033どうした(かぜ)()(まは)しやら、034(あま)つちよ(はう)から結婚(けつこん)してくれと、035ぬかしよつたとか()つて、036(しわ)(ぼう)美山彦(みやまひこ)が、037地獄(ぢごく)(かま)一足飛(いつそくと)びをするやうな()到頭(たうとう)なりよつて、038(くさ)りかけた(さけ)(おれ)(たち)鱈腹(たらふく)()めと()ひよるのだ、039(じつ)業腹(ごふはら)だ。040(あま)()よつて馬鹿(ばか)にするにも(ほど)があるぢやないか』
041(うで)(まく)つて、042自分(じぶん)(はら)(ふた)()(こぶし)(たた)きながら、043(つら)ふくらして()ふ。
044(おつ)(おほ)きな(こゑ)()ふな、045(みな)(まへ)だ。046また(しやく)一杯(いつぱい)(ねぶ)らして(もら)はうと(おも)ひよつて、047貴様(きさま)(いま)()つた悪口(わるくち)大将(たいしやう)()げる(やつ)があつたらどうする』
048(かふ)『どうするも、049かうするも(おれ)らの()つた(こと)ぢやない。050春日姫(かすがひめ)美山彦(みやまひこ)大将(たいしやう)が、051どうかするのだらう。052(おれ)らはどうするあてもありやしないし、053マア(くさ)つた(さけ)でも()ンでおとなしく()(こと)だよ』
054(へい)『オイあまり()(さび)しくなつたやうだ、055(ひと)(うた)つたらどうだ。056あのウラル(ひこ)(かみ)さまの宣伝歌(せんでんか)(おい)らには天国(てんごく)福音(ふくいん)だ。057()めや(さわ)げや一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、058(やみ)(あと)には(つき)がでるなンて(うま)()ひやあがらア、059(おい)らは(さけ)さへありや、060(かか)(なに)()らぬ』
061(てい)『お(まへ)(なに)ほど天来(てんらい)福音(ふくいん)でも、062()めぬ(さけ)()へるかい。063(さけ)百薬(ひやくやく)(ちやう)だとか、064生命(いのち)(みづ)だとか()ふけれど、065()みたい(さけ)もよう()まずに、066毎日(まいにち)()使(つか)はれて、067ナイヤガラの(あか)(みづ)(さけ)だと(おも)ふて()みて()ても、068ねつからとつくり()はぬぢやないか、069これを(おも)へば(かな)しい浮世(うきよ)だ』
070とそろそろ()きだす可笑(をか)しさ。
071(ぼう)『オイ、072こんな目出度(めでた)場所(ばしよ)で、073メソメソ()くやつがあるかイ』
074(てい)()かいでか、075今夜(こんや)美山彦(みやまひこ)春日姫(かすがひめ)しつぽり()きよるのだ。076(おい)らはその乾児(こぶん)だ、077()くのがあたり(まへ)よ』
078(ぼう)貴様(きさま)()くのと、079春日姫(かすがひめ)()くのとは()きやうが(ちが)ふ。080丁度(ちやうど)(うぐひす)(うめ)()にとまつて陽気(やうき)(はる)(むか)へて()くのと、081(にはとり)(くび)(ねぢ)られ()()かれ絶命(ぜつめい)(こゑ)()()げて()くのと(ほど)相違(さうゐ)があるのだ』
082(かふ)『この(あひだ)(あだ)けつたい(わる)天教山(てんけうざん)癲狂人(てんきやうじん)が、083そこらうちを(ある)(まは)りよつて、084()るとか、085(くも)るとか、086()くとか()ぬとか、087時鳥(ほととぎす)がどうとか、088()(ある)くものだから、089毎日(まいにち)々々(まいにち)地響(ぢひび)きは仕出(しだ)す、090(あめ)べそべそ貴様(きさま)(なみだ)のやうに()りしきる。091谷間(たにま)(みづ)赤泥(あかどろ)となつて、092(みづ)ろく()まれやせないぢやないか、093あんな(やつ)(いち)()(はや)くどうかして、094ナイヤガラの(たき)にでも()()みて仕舞(しま)()いものだなア』
095(おつ)『ウン、096その宣伝使(せんでんし)か、097それや今夜(こんや)()てきをつた。098(おく)()鯱固張(しやちこばつ)(おほ)きな目玉(めだま)をむいて、099生命(いのち)のもはや()きとる(ひこ)とか月照(つきてる)とか()(やつ)と、100(はら)がすいて、101ひだる(ひこ)とか()(やつ)が、102美山彦(みやまひこ)計略(けいりやく)にかかつて、103(いま)はほとんど(かご)(とり)104あれさへやつて仕舞(しま)へば、105(あめ)()むだらうし、106地響(ぢひびき)()まるだらう。107縁起糞(げんくそ)(わる)(こと)をふれ(まは)るものだから、108天気(てんき)がだんだん(わる)くなるばかり、109()りや、110彼奴(あいつ)たちの(さへづ)(うた)()くと(めう)(あたま)ががんがん()かして、111(むね)竹槍(たけやり)()かれるやうな()がするのだよ』
112(ぼう)『そこが美山彦(みやまひこ)(えら)いのだ。113(まへ)(たち)がその宣伝歌(せんでんか)とやらを()いて(くる)しむのを(たす)けてやらうと()(だい)慈悲心(じひしん)から、114その宣伝使(せんでんし)をこの(やかた)(うま)()()()みて、115今夜(こんや)荒料理(あられうり)する(こと)となつて()るのだ。116マアそれでも(さかな)(ゆつ)くり(さけ)()みて夜明(よあ)かしでもしようぢやないか』
117(いづ)れの(やつ)(みな)へべれけ()ひつぶれ、118(ろく)(こし)()つものも()有様(ありさま)なりける。
119 (おく)一間(ひとま)には、120美山彦(みやまひこ)121春日姫(かすがひめ)今日(けふ)をかぎりと盛装(せいさう)()らし、122結婚(けつこん)(しき)()げつつあつた。123そして容色(ようしよく)(うるは)しき春姫(はるひめ)(しやく)(つと)めつつあつた。124春日姫(かすがひめ)(ちから)かぎり(こび)(てい)して美山彦(みやまひこ)無理(むり)やりに、125面白(おもしろ)(うた)(うた)ひながら(さけ)(すす)むる。126美山彦(みやまひこ)春日姫(かすがひめ)(すす)むるままに酒杯(しゆはい)(かさ)ね、127(つひ)には酩酊(めいてい)(きよく)128(あたま)(いた)眩暈(めまひ)すると()ひつつ()()御校正本、愛世版では「其場(そば)」、校定版では「その場」にドツと(たふ)れ、129(かみなり)のごとき鼾声(かんせい)をあげて正体(しやうたい)もなく寝入(ねい)つて仕舞(しま)つた。130春姫(はるひめ)()(あが)るとたんに(なが)(たか)酒樽(さかだる)衝突(しようとつ)し、131(たる)()けて美山彦(みやまひこ)頭上(づじやう)(さけ)(たき)のごとく(そそ)いだ。132美山彦(みやまひこ)両手(りやうて)にて虚空(こくう)(さぐ)るごとき()つきして寝返(ねがへ)りをうち、133(くる)しげに(うな)つて()る。
134 春日姫(かすがひめ)春姫(はるひめ)(ともな)奥殿(おくでん)(すす)みいり、135月照彦(つきてるひこの)天使(かみ)委細(ゐさい)物語(ものがた)り、136春姫(はるひめ)をして一室(いつしつ)(ひか)へたる足真彦(だるまひこ)(まね)かしめ、137男女(だんぢよ)四柱(よはしら)はここに緊急(きんきふ)会議(くわいぎ)(ひら)きける。138アヽこの会議(くわいぎ)結果(けつくわ)如何(いかん)
139大正一一・一・一六 旧大正一〇・一二・一九 加藤明子録)
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