霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四四章 (にわか)百姓(ひやくしやう)〔二九四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第8篇 五伴緒神 よみ(新仮名遣い):いつとものおのかみ
章:第44章 俄百姓 よみ(新仮名遣い):にわかひゃくしょう 通し章番号:294
口述日:1922(大正11)年01月24日(旧12月27日) 口述場所: 筆録者:井上留五郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台:御年村 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
広道別と雲路別は、百姓たちが忙しく働いている様を見て感心し、また感謝のためにひとつ農作業を手伝おうということになった。
農民の中に喧嘩を始める者がいたが、そこへ宣伝使が仲裁に入り、農作業の手伝いを申し出た。
広道別と雲路別は汗みどろになって、田植えが済むまであちこちを手伝いまわった。このことが百姓たちに感謝され、早苗饗祭まで、田んぼの中での生活を続けた。
早苗饗祭では宣伝使たちも招かれて、餅を振舞われた。このとき、二人の宣伝使は三五教の教理を説き諭した。このため、この村一村は神の恩恵に浴することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2019-09-12 11:06:32 OBC :rm0644
愛善世界社版:267頁 八幡書店版:第1輯 722頁 修補版: 校定版:269頁 普及版:111頁 初版: ページ備考:
001 狭田(さだ)長田(ながた)002高田(たかた)窪田(くぼた)三々(さんさん)五々(ごご)隊伍(たいご)(ととの)へ、003(すき)後均(あとなら)しする(をとこ)004(こゑ)面白(おもしろ)(うた)ひながら(なへ)()早乙女(さをとめ)姿(すがた)(いさ)ましさ。
005 二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)はこの光景(くわうけい)()てゐたりしが、006広道別(ひろみちわけ)開口(かいこう)一番(いちばん)
007広道別嗚呼(ああ)立派(りつぱ)なものだ。008この光景(くわうけい)()ると、009まるで天国(てんごく)のやうな(おも)ひがするね。010世界中(せかいぢう)人間(にんげん)が、011かうやつて一生(いつしやう)懸命(けんめい)(はたら)かうものなら、012()(なか)(ひと)つも苦情(くじやう)(おこ)りはしない。013吾々(われわれ)宣伝使(せんでんし)(つら)いと(おも)つてをるが、014この百姓(ひやくしやう)(はたら)きを()れば、015(べつ)にどんな苦労(くらう)艱難(かんなん)しても()りないやうな心持(こころもち)がする。016粒々(りうりう)みな辛苦(しんく)になつた(こめ)吾々(われわれ)(いただ)いて、017(かみ)(さま)社会(しやくわい)(おん)(よく)し、018手厚(てあつ)保護(ほご)()けながら、019()(みち)(ため)だの、020(くに)(ため)だのと()つて、021宣伝使(せんでんし)(づら)()げて(ある)いて()るのは、022(じつ)にお百姓(ひやくしやう)(たい)しても、023(てん)(かみ)(さま)(たい)しても、024(はづ)かしいやうな()がする。025(ひと)吾々(われわれ)冥加(みやうが)だ、026百姓(ひやくしやう)(たの)んで手伝(てつだ)はして(もら)ひたいものだナア』
027 雲路別(くもぢわけの)天使(かみ)も、
028雲路別『なるほどそれは結構(けつこう)だ。029(ひと)()()つてみようかな』
030覚束(おぼつか)なげに(かしら)(かたむ)けたりける。
031田男(たをとこ)(かふ)(田子作)『アーア、032百姓(ひやくしやう)さまも随分(ずゐぶん)(くる)しいね。033オヽ、034吾輩(わがはい)はモヽモウ(あき)がきた。035アー(いや)いや』
036溜息(ためいき)をつく。
037(おつ)(虎公)『なンだい。038(からす)案山子(おどし)のやうに()(なか)()てつて、039(おほ)きい(くち)()けよつて、040欠伸(あくび)ばかり()よつて、041(あき)がきたなンて、042(なに)とぼけてゐるのだい。043()てつて(ゆめ)みる(やつ)があるかい。044(あき)()りやお(こめ)()れて結構(けつこう)だが、045まだ(なつ)最中(さいちう)だぞ。046泥水(どろみづ)なと(すく)つて、047手水(てうづ)でも使(つか)へ。048貴様(きさま)のやうに()てつてをると、049(そら)(とんび)()(くそ)()つかけるぞ。050案山子(かがし)野郎(やらう)()
051(かふ)(田子作)(ねこ)()(ひと)()なンて、052なンぼ(せは)しいといつて、053人間(にんげん)()(ねこ)()にしよつて……』
054(おつ)(虎公)『さうだから手水(てうづ)使(つか)へといふのだ。055昨日(きのふ)(あめ)()るといつて、056(おれ)ンとこの三毛(みけ)(つばき)をつけては自分(じぶん)(かほ)をなでて手水(てうづ)使(つか)うてをつた。057貴様(きさま)()(ねこ)結構(けつこう)だ』
058 (かふ)(おこ)つて、059(たづさ)()つた(くは)()()げ、060泥田(どろた)(ちから)かぎりびしやつ()(たた)いた。061その途端(はずみ)泥水(どろみづ)(おつ)(かほ)どさりとかかつた。062(おつ)(おこ)つて、
063虎公貴様(きさま)なにをする』
064といひながら、065(また)もや(くは)()()げて、066(かふ)(はう)めがけてぴしやつ泥田(どろた)()つた。067泥水(どろみづ)(かふ)(かほ)に、068(いや)といふほど()びかかれば、
069(かふ)(田子作)『オイ、070喧嘩(けんくわ)か。071喧嘩(けんくわ)なら()(めし)より()きだ』
072泥田(どろた)(なか)()つて、073両手(りやうて)(つばき)しながら四股踏(しこふ)()らし、
074田子作『サア()い』
075大手(おほで)(ひろ)げる。076(おつ)()けぬ()になり、
077虎公(おの)田吾作(たごさく)見違(みちが)ひするな。078(とら)()をふさぎ(つめ)(かく)してをれば、079(ねこ)だと(おも)ひよつて、080コラ、081この(とら)はんの腕力(わんりよく)()せてやらう』
082といふより(はや)く、083(ふし)くれだつたり、084気張(きば)つたり、085仁王(にわう)(やう)(こぶ)だらけの(うで)(まく)つて、086泥田(どろた)(なか)にて角力(すまう)をはじめた。087数多(あまた)百姓(ひやくしやう)は、088(いち)()仕事(しごと)()めて、
089百姓『オイ、090田吾(たご)()()て、091喧嘩(けんくわ)なら(やま)でせい』
092四方(しはう)八方(はつぱう)より(はし)()る。093田吾作(たごさく)一生(いつしやう)懸命(けんめい)()()す。094(とら)()ひかける。095(へい)(とら)(みの)()つつかみ、
096丙(杢兵衛)()げる(やつ)()ひかけるに(およ)ばぬ、097降参(かうさん)した(やつ)(ゆる)せゆるせ』
098虎公(とらこう)杢兵衛(もくべゑ)()つたことかい。099貴様(きさま)俯向(うつむ)いて蛙飛(かへると)ばしが(しやう)()ふてゐらア。100(おれ)をなんと心得(こころえ)てをる。101(うし)(とし)(うま)れた(とら)さまだぞ。102丑寅(うしとら)金神(こんじん)さまぢや。103相手(あひて)になつたら(たた)るぞ』
104眼玉(めだま)()いて呶鳴(どな)りつけた。105二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(おも)はず()らず、106()(なか)()()み、
107二人の宣伝使(広道別、雲路別)『マアマア、108丑寅(うしとら)金神(こんじん)さま、109どうぞ(おだや)かにお(しづ)まりを(ねが)ひます。110(わたくし)貴方(あなた)(かは)つて()手伝(てつだひ)をさして(いただ)きますから、111どうぞ貴方(あなた)はお(つか)れでせうから(しばら)くお(やす)みください』
112虎公(とらこう)『どこの何者(なにもの)か。113百姓(ひやくしやう)のやうなえらい仕事(しごと)は、114どうしてもよう宣伝使(せんでんし)115貴様(きさま)たちは気楽相(きらくさう)に「()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)だ」なんぞと()かして、116気楽相(きらくさう)(ある)風来者(ふうらいもの)だらう。117一遍(いつぺん)百姓(ひやくしやう)(つら)(あぢ)()つたがよからう。118サア、119この(くは)()してやらう、120これで(どろ)(なら)すのだ、121(わか)つたか。122アヽ(おれ)(やす)みたいと(おも)つてをつたとこへ、123(めう)(やつ)()つてきよつたものだ。124オイここに田吾(たご)(くは)もあるわ。125丁度(ちやうど)()うたり、126(かな)うたり、127神妙(しんめう)にやつてくれ。128()褒美(ほうび)には麦飯(むぎめし)握飯(にぎりめし)でも、129(ひと)つや半分(はんぶん)()()つてやるからな』
130 二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)何事(なにごと)もただ「ハイハイ」といつて、131田植(たうゑ)手伝(てつだ)ひを、132(あせ)みどろになつて()つて()た。133さうしてその翌日(よくじつ)も、134その翌々日(よくよくじつ)田植(たうゑ)()むまで、135彼方(あちら)此方(こちら)手伝(てつだ)(まは)つた。
136 この(こと)百姓(ひやくしやう)仲間(なかま)感謝(かんしや)されて、137たうとう早苗饗(さなぶり)(まつり)まで水田(みづだ)(なか)生活(せいくわつ)(つづ)けたりける。
138 早苗饗(さなぶり)(まつり)には、139田植(たうゑ)無事(ぶじ)終了(しうれう)(しゆく)するため村中(むらぢう)老若(らうにやく)男女(なんによ)(あつ)まり、140団子(だんご)(もち)()きて(いは)ふ。
141 この(とき)二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(まね)かれて(この)(せき)(れつ)し、142三五教(あななひけう)教理(けうり)()(さと)したれば、143これがためこの一村(いつそん)は、144全部(ぜんぶ)(かみ)(めぐみ)(よく)する(こと)となりける。
145大正一一・一・二四 旧大正一〇・一二・二七 井上留五郎録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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