霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三一章 襤褸(つづれ)(にしき)〔二八一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第6篇 百舌鳥の囁 よみ(新仮名遣い):もずのささやき
章:第31章 襤褸の錦 よみ(新仮名遣い):つづれのにしき 通し章番号:281
口述日:1922(大正11)年01月22日(旧12月25日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ウラル山の麓アーメニヤに勢力を振るったウラル彦は、大洪水に大神の大慈大悲に救われ、アルタイ山で蟻の責め苦を受けて一時は改心した。しかし年月を経るにしたがって再び、ウラル彦夫婦は色食の道に耽溺し、大蛇の霊魂に憑依された。
大洪水によって活動を抑えられていた悪霊たちも、世が泰平となり人の心が馴れるにしたがって、再び跋扈跳梁するようになってしまった。
盤古神王を偽称したウラル彦は、大中教という教えを興した。これは極端な個人主義、利己主義の教えである。
自分ひとりを中心とする、というもともとの意義は、ウラル彦のみを世界の最大主権者と認める、というものであった。しかしこれもまた大中教の宣伝使たち自身によって誤解され、自分ひとりを中心とする、利己主義の教えとなってしまった。
大中教は葦原の瑞穂国(地球上)に広く行き渡った。
アーメニヤの都の南にカイン河という広い河が流れている。そのほとりで、乞食たちが盤古神王(=ウラル彦)と大中教の利己主義のやり方に不平を語らいあっていた。
そこへ盤古神王の手下の目付がやってきて、乞食たちの話の内容を問いただした。目付たちは、盤古神王の悪口を言うものを捕らえて危害迫害を加えていたのである。
乞食の一人が耳が聞こえない振りをして滑稽な応答で返し、その場をごまかして目付を退散させた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-01 11:48:08 OBC :rm0631
愛善世界社版:185頁 八幡書店版:第1輯 692頁 修補版: 校定版:183頁 普及版:75頁 初版: ページ備考:
001 ()のウラル(さん)およびアーメニヤの()神都(しんと)(ひら)き、002体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(てき)神政(しんせい)天下(てんか)流布(るふ)し、003つひには温順(をんじゆん)にして、004かつ厳粛(げんしゆく)なる盤古(ばんこ)神王(しんわう)追放(つゐはう)し、005(みづか)(にせ)盤古(ばんこ)神王(しんわう)となり、006大蛇(をろち)霊魂(みたま)使嗾(しそう)されて、007(いち)()暴威(ばうゐ)(ふる)ひたりし所謂(いはゆる)盤古(ばんこ)神王(しんわう)は、008大神(おほかみ)大慈(だいじ)大悲(だいひ)恩恵(おんけい)(むち)(くは)へられ、009アルタイ(さん)(すく)はれて蟻虫(ぎちう)責苦(せめく)()ひ、010ここに翻然(ほんぜん)として前非(ぜんぴ)()い、011(ふたた)びウラル(さん)立帰(たちかへ)り、012アーメニヤに神都(しんと)(ひら)きて、013諸方(しよはう)神人(しんじん)を、014よく(をさ)仁徳(じんとく)(ほどこ)し、015天地(てんち)(だい)変動後(へんどうご)(すく)ひの(かみ)として、016人々(ひとびと)尊敬(そんけい)もつとも(ふか)かりしが、017年月(としつき)()るに(したが)ひ、018(すこ)しく夫婦(ふうふ)二神(にしん)神政(しんせい)()み、019色食(しきしよく)(みち)耽溺(たんでき)し、020(ふたた)び、
021()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)
022 (やみ)(あと)には(つき)()
023(ひと)()()()(ころ)べ』
024と、025(また)もや大蛇(をろち)霊魂(みたま)憑依(ひようい)されて、026体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(てき)行動(かうどう)(はじ)むるに(いた)りける。
027 さしもに(あく)(つよ)大蛇(をろち)身魂(みたま)も、028金狐(きんこ)および(おに)身魂(みたま)も、029宇宙(うちう)大変動(だいへんどう)(たい)しては、030蠑螈(いもり)031蚯蚓(みみず)()(ひそ)め、032神威(しんゐ)赫灼(かくしやく)たるに畏縮(ゐしゆく)してその(かげ)(ひそ)めてゐたが、033やや()泰平(たいへい)()神人(しんじん)(こころ)油断(ゆだん)(しやう)ずるに(およ)んで、034またもや悪鬼(あくき)邪神(じやしん)(あたま)(もた)跋扈(ばつこ)跳梁(てうりやう)するの惨状(さんじやう)となりける。
035 神諭(しんゆ)にも、
036『この世界(せかい)は、037悪魔(あくま)(すき)()(ねら)うて()るから、038腹帯(はらおび)をゆるめぬやうに(いた)されよ』
039(しめ)されたる(ごと)く、040一寸(ちよつと)油断(ゆだん)あれば悪神(あくがみ)(かぜ)のごとく(おそ)ひきたつて、041その身魂(みたま)悪化(あくくわ)せしめ根底(ねそこ)(くに)(おと)()かむとするものなり。
042 盤古(ばんこ)神王(しんわう)校定版・八幡版ではここに「(ウラル彦の偽称)」という補足が挿入されている。は、043大蛇(をろち)霊魂(みたま)身魂(しんこん)左右(さいう)され、044つひには一派(いつぱ)(をしへ)()てた。045これを大中教(だいちうけう)といふ。046この(をしへ)意味(いみ)は、047(えう)するに極端(きよくたん)なる個人(こじん)主義(しゆぎ)教理(けうり)にして、048己一人(おのれひとり)中心(ちうしん)とする主義(しゆぎ)である。049(だい)(いち)(にん)である。050一人(ひとり)中心(ちうしん)とするといふ意義(いぎ)は、051盤古(ばんこ)神王(しんわう)(ただ)(いち)(にん)052この世界(せかい)(かみ)であり、053王者(わうじや)であり、054最大(さいだい)権威者(けんゐしや)である、055(この)一人(ひとり)中心(ちうしん)として、056(すべ)ての命令(めいれい)服従(ふくじう)せよと()(をしへ)()(かた)であつた。057(しか)るに数多(あまた)宣伝使(せんでんし)は、058立教(りつけう)意義(いぎ)誤解(ごかい)し、059大蛇(をろち)金狐(きんこ)眷属(けんぞく)悪霊(あくれい)左右(さいう)されて(つひ)には(おの)一人(ひとり)中心(ちうしん)とするを(もつ)て、060大中教(だいちうけう)主義(しゆぎ)誤解(ごかい)するに(いた)つたのである。061(じつ)(もつと)()()利己主義(われよし)()(かた)(かは)りける。
062 この大中教(だいちうけう)は、063葦原(あしはら)瑞穂国(みづほのくに)地球(ちきう)(じやう))に(あまね)(ひろ)がり(わた)りて、064大山杙(おほやまぐひの)(かみ)065小山杙(こやまぐひの)(かみ)066野槌(のづちの)(かみ)067茅野姫(かやぬひめの)(かみ)跋扈(ばつこ)跳梁(てうりやう)となり、068金山彦(かなやまひこ)069金山姫(かなやまひめ)070(ほの)焼速男(やきはやをの)(かみ)071迦具槌(かぐづちの)(かみ)072(ひの)迦々毘野(かがびのの)(かみ)073大宜津(おほげつ)(ひめの)(かみ)074(あま)磐樟船(いはくすぶねの)(かみ)075(あま)鳥船(とりぶねの)(かみ)などの体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)(てき)荒振(あらぶる)神々(かみがみ)が、076地上(ちじやう)各所(かくしよ)顕現(けんげん)するの大勢(たいせい)馴致(じゆんち)したりける。
077 ここに(おい)(くに)御柱(みはしらの)(かみ)なる(かむ)伊弉冊(いざなみの)(みこと)は、078地上(ちじやう)神人(しんじん)統御(とうぎよ)(ちから)()(たま)ひて、079黄泉国(よもつくに)神避(かむさ)りましたることは、080(すで)()べたる(とほ)りなり。
081 アーメニヤの神都(しんと)(みなみ)()ること(わづ)かに数十丁(すうじつちやう)田舎(いなか)(むら)を、082東西(とうざい)(なが)れてゐる()なり(ひろ)(かは)あり、083(これ)をカイン(がは)といふ。084(はる)()日向(ひなた)ぼつこりに、085雑談(ざつだん)(ふけ)四五(しご)乞食(こじき)(むれ)あり。086口々(くちぐち)何事(なにごと)(しき)りに(かた)らひ()りぬ。
087(かふ)()(なか)(やつ)は、088乞食(こじき)三日(みつか)すりや(あぢ)(わす)れられぬと()うてるさうだ。089一体(いつたい)乞食(こじき)()ふものは一定(いつてい)事業(しごと)もなし、090世界中(せかいぢう)をぶらついて(ひと)(あま)(もの)を、091(あたま)をペコペコと()げて、092(もら)つては()ひ、093名所(めいしよ)旧蹟(きうせき)勝手(かつて)気儘(きまま)()(ある)き、094鼻唄(はなうた)でも(うた)つて気楽(きらく)にこの()(わた)るものの(やう)(かんが)へてゐるらしい。095なかなか乞食(こじき)だつて(つら)いものだ。096三日(みつか)乞食(こじき)するや、097万劫(まんご)末代(まつだい)その(つら)さが(わす)れられぬと()ふことを、098()(なか)利己主義(われよし)人間(にんげん)苦労(くらう)()らずだから、099そんな(ぼつ)ちやま()たやうな囈語(たはごと)()くのだよ。100(おな)時代(じだい)(うま)れ、101横目(よこめ)立鼻(たちはな)(かみ)(さま)愛児(あいじ)(うま)れて、102一方(いつぱう)には沢山(たくさん)(やま)田地(でんち)()ち、103(いへ)104(くら)()て、105(てかけ)106足懸(あしか)けを沢山(たくさん)(かこ)うて綾錦(あやにしき)(つつ)まれ、107毎日(まいにち)々々(まいにち)(さけ)(くら)()うて、108()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、109()(くら)()(ころ)べ」なんて、110盤古(ばんこ)大尽(だいじん)気取(きど)りやがつて、111天下(てんか)()(もの)(がほ)してゐる餓鬼(がき)と、112(おれ)らのやうに毎日(まいにち)々々(まいにち)(ひと)(いへ)(のき)拝借(はいしやく)したり、113()(した)雨露(うろ)(しの)ぎ、114若布(わかめ)行列(ぎやうれつ)か、115雑巾屋(ざふきんや)看板(かんばん)のやうな(まこと)にどうも()立派(りつぱ)襤褸錦(つづれにしき)(まと)うてござる()(かた)(くら)べたら()うだらう。116(つき)さまに(すつぽん)か、117(てん)(くも)(ぬま)(どろ)か、118本当(ほんたう)馬鹿(ばか)々々(ばか)しい。119(これ)(おも)へば(おれ)はもう()(なか)(いや)になつてきた。120一体(いつたい)盤古(ばんこ)大神(だいじん)てな(やつ)は、121ありや八岐(やまた)大蛇(をろち)再来(さいらい)だよ』
122(おつ)『コラコラ、123(おほ)きな(こゑ)()ふない。124それまた向方(むかふ)(へん)(やつ)がきをるぞ。125あいつは山杙(やまぐひ)とか川杙(かはぐひ)とか()悪神(わるがみ)使(つか)はれて()奴役人(どやくにん)だらう。126この(あいだ)鈍刕(どんしう)盤古(ばんこ)神王(しんわう)()(かた)をひそひそ(はなし)して()たら、127山杙(やまぐひ)とかの(いぬ)()()しやがつて、128無理(むり)矢理(やり)鈍刕(どんしう)踏縛(ふんじば)つて、129ウラル(さん)山奥(やまおく)()れて()つて(なぶり)ものにしたと()ふことだ。130(こは)(こは)い、131(おに)()(なか)だ。132(だま)つて()()れ。133()はぬは()ふにいや(まさ)るだ』
134 この(とき)135(くろ)()をぎよろつかせた顔色(がんしよく)赭黒(あかぐろ)目付役(めつけやく)が、136乞食(こじき)(むれ)(まへ)()()まり、
137『ヤイ、138貴様(きさま)(いま)(なに)(ささや)いてゐたのか』
139(かふ)『ハイ、140結構(けつこう)なお日和(ひより)さまで(あたた)かいことでございますな。141(うれ)しさうに四方(よも)山々(やまやま)(わら)ひ、142(とり)(はな)()(うた)つてゐます。143(じつ)結構(けつこう)天国(てんごく)(はる)ですな。144これも(まつた)盤古(ばんこ)神王(しんわう)(さま)()仁政(じんせい)(たまもの)(おも)へば、145(うれ)(なみだ)がこぼれます。146ハイハイ』
147他事(よそごと)をいふ。148目付役(めつけやく)はやや(こゑ)(とが)らして、
149馬鹿(ばか)ツ、150そんなことを()つて()るのぢや()い。151(いま)(なに)(ささや)いてゐたかといふのだ』
152(かふ)(くび)(かたむ)け、153(みみ)()(かこ)ふやうな(ふう)して(つんぼ)(よそほ)ひ、
154(わたくし)一寸(ちよつと)(みみ)(とほ)いので、155しつかり貴方(あなた)()言葉(ことば)()きとれませぬが、156(なん)でも(ささや)くとかささ()んでゐるとか、157仰有(おつしや)るやうに()きました。158間違(まちが)ひましたら真平(まつぴら)御免(ごめん)なさい。159イヤもうこの(ごろ)は、160()(なが)(はら)()るなり、161(のど)(かわ)くなり、162(うま)ささ一杯(いつぱい)でも()ましてくれる(ひと)があれば、163本当(ほんたう)結構(けつこう)ですが、164(いま)このカイン(がは)(みづ)をどつさり()んで、165ささやつとこせいと(はら)(たた)きました。166(はら)はよう()りますよ。167(わたくし)(つんぼ)でさへ(きこ)えるくらゐですから、168貴方(あなた)がたが()()きになつたら、169本当(ほんたう)面白(おもしろ)いでせうよ。170()白狸(しろだぬき)腹鼓(はらつづみ)171面白(おもしろ)うなつておいでたな。172ささやつとこせー、173よーいやな。174なんぼよういやなと()つたつて、175(みづ)では尚且(やつぱり)(ゑひ)がまはらぬ。176よいささ一杯(いつぱい)ふれまつて(くだ)さい』
177()()うたやうな(こた)へに、178目付(めつけ)(とり)つくしまも()く、179(つら)ふくらし(きびす)(かへ)して(かへ)()く。
180大正一一・一・二二 旧大正一〇・一二・二五 外山豊二録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
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