霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三七章 雲掴(くもつか)み〔二八七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第7篇 黄金の玉 よみ(新仮名遣い):おうごんのたま
章:第37章 雲掴み よみ(新仮名遣い):くもつかみ 通し章番号:287
口述日:1922(大正11)年01月23日(旧12月26日) 口述場所: 筆録者:石破馨 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
中津御国の天教山の木花姫命の御教えを伝える、黄金山・霊鷲山の埴安彦、三葉彦は、教えを一つにまとめて三五教を現した。
黄金山の宣伝使・青雲別は、名を高彦と改めて、青雲山への宣教に旅立った。青雲山を上っていく高彦の耳にきこえて来たのは、ウラル教の宣伝歌を歌いながら道路を開鑿する工事人夫たちの声だった。
かまわず三五教の宣伝歌を歌いながら山上に進んでいく高彦を、ウラル教の人夫の頭・雲掴がさえぎり、首筋を掴んで路上にねじ伏せた。しかし高彦は何とも感じず、平気で神言を小声に奏上し始めた。
雲掴の体は次第に強直して地蔵のようにその場に固まってしまった。人足たちはこの様を見て、一斉に高彦に襲い掛かったが、高彦の神言に、みなやはり石像のように硬直してしまった。
高彦は鎮魂を解いて、雲掴の霊縛を解除した。雲掴は涙を浮かべて無礼を陳謝した。高彦は三五教の仁慈の教えをもって諭し、青雲山の吾妻彦がウラル教に恭順したことを問いただした。
雲掴は吾妻彦がウラル彦に恭順した経緯を語り出した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-24 18:01:23 OBC :rm0637
愛善世界社版:225頁 八幡書店版:第1輯 707頁 修補版: 校定版:225頁 普及版:94頁 初版: ページ備考:
001(あふ)げば(たか)久方(ひさかた)
002天津(あまつ)御神(みかみ)(つく)らしし
003豊葦原(とよあしはら)瑞穂地(みづほぢ)
004(とな)(まつ)るは海原(うなばら)
005(なみ)(ただよ)五大洲(ごだいしう)
006(かみ)御稜威(みいづ)()(ぐり)
007中津(なかつ)御国(みくに)()(もと)
008(かなめ)()れし天教山(てんけうざん)
009木花姫(このはなひめ)御教(みをしへ)
010(かた)(つた)へて経緯(たてよこ)
011(あや)(にしき)(はた)()
012黄金(こがね)(やま)霊鷲(れいしう)
013(やま)(ふもと)()れませる
014埴安彦(はにやすひこ)三葉彦(みつばひこ)
015(きよ)()()瑞御霊(みづみたま)
016(なが)(なが)れて()(あら)
017(みづ)御霊(みたま)勲功(いさをし)
018(かた)めて(ここ)三五教(さんごけう)
019一度(いちど)(ひら)白梅(しらうめ)
020(かを)りも(ゆか)(かみ)(のり)
021()(つた)へむと四方(よも)(くに)
022(やま)尾上(をのへ)(かは)()
023(のこ)(くま)なく青雲(あをくも)
024靉靆(たなび)(きは)白雲(しらくも)
025()()()()()(かぎり)
026(さか)しき(くに)(たひら)けく
027(せま)けき(くに)(いや)(ひろ)
028(かみ)(ひかり)()らさむと
029(ひかり)まばゆき黄金(わうごん)
030(やま)(ふもと)()()でて
031青雲(せいうん)(はるか)()()けて
032(すす)青雲別(あをくもわけ)天使(かみ)
033()高彦(たかひこ)(あらた)めて
034服装(みなり)(かる)宣伝使(せんでんし)
035(さか)しき(やま)()(わた)
036(ふか)谷間(たにま)()()えて
037(こゑ)(すず)しく(うた)()
038世人(よびと)(さま)宣伝歌(せんでんか)
039()烏羽玉(うばたま)(やみ)となり
040(よろづ)(かみ)(おと)なひは
041五月蠅(さばへ)(ごと)()()きて
042(をさ)むる(よし)もなくばかり
043山川(やまかは)どよみ草木(くさき)()
044宛然(さながら)荒野(あれの)(ごと)くなる
045(やま)(やま)とを()()けて
046青雲山(せいうんざん)山麓(さんろく)
047(やうや)辿(たど)()きにけり。
048 高彦(たかひこの)天使(かみ)(やうや)くにして青雲山(せいうんざん)山麓(さんろく)辿(たど)()きしに、049山中(さんちゆう)幾百(いくひやく)(にん)とも()れぬ人声(ひとごゑ)あり。050何事(なにごと)ならむと(しばら)木蔭(こかげ)(こし)()()けて、051その(こゑ)()くともなしに(いき)(やす)()たり。052数多(あまた)人々(ひとびと)()()柄物(えもの)()つて、053山上(さんじやう)(たつ)する道路(だうろ)開鑿中(かいさくちう)なり。054高彦(たかひこの)天使(かみ)木蔭(こかげ)()()で、055またもや宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら(のぼ)りゆく。056数多(あまた)人足(にんそく)土工(どこう)従事(じうじ)しながら(こゑ)()()げて、
057()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)暗夜(やみよ)058(やみ)(あと)には(つき)()る。059(ひと)()()へ、060()てころべ』
061(うた)ひながら汗水(あせみづ)()らして(はたら)いて()る。062その(なか)を、063高彦(たかひこの)天使(かみ)宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら(のぼ)()く。
064 多人数(たにんずう)(なか)より頭領(かしら)らしき一人(ひとり)が、065宣伝使(せんでんし)(まへ)(あら)はれ大手(おほて)(ひろ)げて()(ふさ)がり、
066当山(たうざん)(のぼ)ること(まか)りならぬ』
067(ふくろ)のごとき()()きだし、068(くち)(とが)らせながら呶鳴(どな)りつけたるに、069宣伝使(せんでんし)(わら)ひながら、070()(した)(くぐ)つて(のぼ)らむとするを、071(だい)(をとこ)矢庭(やには)首筋(くびすぢ)()(つか)みて路上(ろじやう)()()せ、072(みぎ)()にて拳骨(げんこつ)(かた)め、
073通行(つうかう)ならぬと(まを)すに何故(なぜ)無断(むだん)にて当山(たうざん)(のぼ)()るか、074当山(たうざん)(なん)心得(こころえ)()る。075(むかし)吾妻彦(あづまひこの)(みこと)校正本では「吾妻別命」076八頭神(やつがしらがみ)として当山(たうざん)中心(ちうしん)神政(しんせい)()(たま)うたが、077世界(せかい)大洪水(だいこうずゐ)(のち)は、078ウラル彦神(ひこのかみ)079盤古(ばんこ)神王(しんわう)管轄(くわんかつ)のもとに()かれ、080吾妻彦(あづまひこの)(みこと)校正本では「吾妻別命」はその配下(はいか)として当山(たうざん)守護(しゆご)し「()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)闇夜(やみよ)081(やみ)(あと)には(つき)()る」と(うた)つてこの()人民(じんみん)気楽(きらく)(くら)さして(くだ)さるのだ。082それに(なん)ぞや七六(しちむつ)()()い、083(かた)()るやうな宣伝歌(せんでんか)とやらを(うた)ひよつて、084()のがせ(きき)のがせのと、085()んのことだい。086見逃(みのが)せと()つたつて、087聞逃(ききのが)せと()つたつて、088吾々(われわれ)()のがし()のがし(まか)りならぬのだ。089この(うへ)一寸(いつすん)でもこの(やま)(のぼ)るなら(のぼ)つて()よれ、090生首(なまくび)()()いて(しま)ふぞ』
091呶鳴(どな)()てる。092宣伝使(せんでんし)はこの(をとこ)首筋(くびすぢ)(つか)まれ()()せられては()るが、093(べつ)(よわ)つても()ない、094()(あぶ)一二疋(いちにひき)(かた)()まつた(くらゐ)(かん)じてゐる。095引掴(ひつつか)んで中天(ちうてん)()()げるくらゐは(なん)でもないが、096神示(しんじ)の「見直(みなほ)聞直(ききなほ)せ」の戒律(かいりつ)(やぶ)ることが出来(でき)ぬので、097わざと柔順(すなほ)(かれ)()すままに()(まか)してゐた。098(しか)して小声(こごゑ)になりて神言(かみごと)奏上(そうじやう)(はじ)めたり。
099 (だい)(をとこ)()雲掴(くもつかみ)()ふ。100雲掴(くもつかみ)()はだんだんと痲痺(しび)()(つひ)には全身(ぜんしん)強直(きやうちよく)して石地蔵(いしぢざう)のごとくに硬化(かうくわ)して(しま)つた。101数多(あまた)人足(にんそく)(ども)はこの(てい)()前後(ぜんご)左右(さいう)より宣伝使(せんでんし)(むか)つて、102()()(かま)や、103(くは)や、104鶴嘴(つるはし)105(やま)こぼち(など)()()()(かか)つた。106宣伝使(せんでんし)(すこ)しも(さわ)がず、107路上(ろじやう)端坐(たんざ)して(さかん)神言(かみごと)奏上(そうじやう)した。108四方(しはう)八方(はつぱう)より()(かこ)んだ人足(にんそく)()(いづ)れも柄物(えもの)(もつ)(うで)をふり()げたるまま石像(せきざう)のごとく強直(きやうちよく)硬化(かうくわ)して身動(みうご)きもならず、109(ただ)(ふた)ツの眼球(めだま)ばかり白黒(しろくろ)転回(てんくわい)させて()るのみであつた。110宣伝使(せんでんし)鎮魂(ちんこん)神術(かむわざ)(もつ)雲掴(くもつかみ)霊縛(れいばく)()いた。111雲掴(くもつかみ)(たちま)身体(しんたい)自由(じいう)()112両眼(りやうがん)(なみだ)()かべて大地(だいち)平伏(へいふく)しその無礼(ぶれい)(しや)したり。
113 宣伝使(せんでんし)言葉(ことば)(あらた)めて()ふ。
114先刻(せんこく)(なんぢ)(げん)によれば当山(たうざん)守護職(しゆごしよく)吾妻彦(あづまひこ)校正本では「吾妻別」は、115ウラル(ひこ)帰順(きじゆん)せりと()(およ)ぶが、116はたして真実(しんじつ)なるや、117詳細(しやうさい)逐一(ちくいち)物語(ものがた)れ』
118()はれて雲掴(くもつかみ)大団扇(おほうちは)(やう)()(もつ)(てん)(むか)拍手(かしはで)(ひび)かせながら、119またも地上(ちじやう)(ひざまづ)き、120(こは)さに(ふる)うて、
121申上(まをしあ)げます、122モー()うなる(うへ)(なに)もかも、123(つつ)(かく)さず綺麗(きれい)サツパリと、124白状(はくじやう)いたしますから生命(いのち)ばかりはお(たす)け』
125男泣(をとこな)きに()く、126その()つともなさ。127数多(あまた)人足(にんそく)(ども)(いづ)れも石地蔵(いしぢざう)となつて、128()ばかりギロツカせこの光景(くわうけい)()()たり。
129 宣伝使(せんでんし)は、
130(われ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)である。131何事(なにごと)見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、132(あやま)ちを()(なほ)すのが吾々(われわれ)主旨(しゆし)であるから、133(けつ)して(なんぢ)らを(にく)しとは(おも)はぬ。134(いづ)れも(みな)(かみ)(さま)最愛(さいあい)御子(みこ)である。135吾々(われわれ)もまた(かみ)(あい)(たま)御子(みこ)である以上(いじやう)は、136(なんぢ)らと(われ)らは同一(どういつ)(かみ)御子(みこ)であつて、137いはば兄弟(きやうだい)である。138吾々(われわれ)はどうして兄弟(きやうだい)(しひた)げることができるであらうか。139(かみ)(ひろ)万物(ばんぶつ)(あい)(たま)ふ。140(われ)らは(たふと)(かみ)御子(みこ)なれば、141(たがひ)相愛(あひあい)相助(あひたす)けねばならぬ。142人間(にんげん)差別(さべつ)()けるといふことは、143(もつと)(かみ)(きら)はせ(たま)ふところである。144(なんぢ)らも今迄(いままで)(こころ)(あらた)め、145本心(ほんしん)()(かへ)り、146(かみ)(たふと)御子(みこ)として、147(ぜん)(おこな)(ひと)(たす)け、148(かみ)(さま)大御心(おほみこころ)(かな)至善(しぜん)(おこな)ひをするが人間(にんげん)本分(ほんぶん)である』
149諄々(じゆんじゆん)として人道(じんだう)()(はじ)めたるにぞ、150さしも暴悪(ばうあく)無頼(ぶらい)雲掴(くもつかみ)も、151宣伝使(せんでんし)言葉(ことば)感激(かんげき)して、152(なみだ)(ぬぐ)ひながら一伍(いちぶ)一什(しじふ)物語(ものがた)りける。
153大正一一・一・二三 旧大正一〇・一二・二六 石破馨録)
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