霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四六章 若年神(わかとしのかみ)〔二九六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第8篇 五伴緒神 よみ(新仮名遣い):いつとものおのかみ
章:第46章 若年神 よみ(新仮名遣い):わかとしのかみ 通し章番号:296
口述日:1922(大正11)年01月24日(旧12月27日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台:御年村 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ある年、御年村の二三の百姓たちが、木陰で話をしていた。大歳神様が黄金山に帰られてから、三五教の教えに必ずしも従わない者多く、それがためか、作物の実りがよくなくなってきた、というのである。
そこへ容色端麗な女宣伝使が通りかかった。百姓たちが呼び止めると、女宣伝使は、正に教えを守っていないことが、不作の原因である、と指摘した。
そして、傍らの長い草をむしって男根の形を作ると、清めのまじないを行った。すると不思議にも、たちまち田から害虫はいなくなり、稲は青々と繁茂した。
百姓たちは喜んだが、いつのまにか女宣伝使は姿を消していた。これは若年神の変化であった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0646
愛善世界社版:277頁 八幡書店版:第1輯 725頁 修補版: 校定版:278頁 普及版:115頁 初版: ページ備考:
001 三伏(さんぷく)炎暑(えんしよ)002酷烈(こくれつ)にして火房(くわばう)()するがごとく、003釜中(ふちゆう)にあるがごとき(なか)に、004御年村(みとせむら)田圃(たんぼ)木蔭(こかげ)四五(しご)農夫(のうふ)005(をり)から()きくる涼風(りやうふう)()(よく)しながら田圃(たんぼ)(のぞ)みて(はなし)(ふけ)()る。
006(かふ)今年(ことし)(なん)といふ(へん)(とし)だらうね。007大歳(おほとしの)(かみ)(さま)がこの(むら)にお出遊(いであそ)ばしてからといふものは、008年々(ねんねん)(つづ)いた不作(ふさく)もすつかり()んで(いね)はよく(みの)り、009吾々(われわれ)百姓(ひやくしやう)鼓腹(こふく)撃壌(げきじやう)有難(ありがた)()(くら)してきたが、010あの(かみ)(さま)が、011黄金山(わうごんざん)とやらへ(かへ)られてからといふものは、012又々(またまた)不作(ふさく)がつづき、013百姓(ひやくしやう)(こめ)(つく)りながらその(こめ)一粒(ひとつぶ)(くち)にする(こと)はできず、014()()()つたり()(かは)をむいて、015やうやう(いのち)をつないでゐる。016(なん)悲惨(みじめ)なことだらう。017(なに)かこれについては、018(かみ)(さま)のお()()さぬ(こと)があるのではあるまいか』
019(おつ)『サア、020どうかなア、021(こま)つたことだ、022この(いね)()ろ、023吾々(われわれ)()()けて()られぬぢやないか。024去年(きよねん)といひ、025今年(ことし)といひ、026せつかく青々(あをあを)(かぶ)(しげ)()()びたと(おも)ふと、027田圃(たんぼ)一面(いちめん)稲虫(いなむし)発生()きやがつて、028()()稲葉(いなば)はコロリコロリと(たふ)れて、029青田(あをた)はまるで(ふゆ)草野(くさの)のやうに真赤(まつか)いけに(しほ)れてしまふ。030これでは今年(ことし)もまた結構(けつこう)なお(こめ)(いただ)くことはできはしない。031(いのち)(おや)ともいふべきお(こめ)()が、032かう、033ベタベタ(たふ)れてしまつては、034(こめ)()(むし)吾々(われわれ)(いづ)れはこの(いね)のやうな運命(うんめい)()はなければなるまい、035アーア』
036吐息(といき)()く。
037(へい)『それだから(おれ)毎度(いつも)いふのだ。038御年村(みとせむら)人間(にんげん)頑迷(ぐわんめい)不霊(ふれい)(もの)(わか)らぬから(こま)るのだ。039大歳(おほとしの)(かみ)(さま)毎度(いつも)仰有(おつしやつ)たぢやないか、040結構(けつこう)なお(こめ)のできるのは(みな)天道(てんだう)(さま)のお(ひかり)と、041結構(けつこう)(きよ)らかなお(みづ)と、042(つち)御恩(ごおん)だ。043百姓(ひやくしやう)第一(だいいち)この()(みづ)とお(つち)御恩(ごおん)(わす)れたり、044()(けが)したり、045(みづ)(けが)したり、046(つち)(けが)すと、047(いね)(むし)がついて一粒(ひとつぶ)もお(こめ)(いただ)けぬから()をつけと仰有(おつしや)つただらう、048(おれ)やそれを(いち)(にち)(わす)れた(こと)はない。049それで(おれ)やその有難(ありがた)(をしへ)をいつも(まも)つてをるのだがなア』
050(おつ)『そんなら貴様(きさま)ところの田畑(たはた)(むし)()ひさうもないものだ。051貴様(きさま)()もやはり(むし)()つてゐるぢやないか』
052(へい)『それや時節(じせつ)だよ。053時節(じせつ)には(かみ)(さま)(かな)はぬと仰有(おつしや)るからなア』
054(おつ)貴様(きさま)()(みづ)やお(つち)(けが)さぬやうにして(かみ)(さま)のお()()るのなら、055なぜ貴様(きさま)のところの田地(でんち)だけは(むし)()はさぬやうにして、056()(かみ)(をしへ)(まも)るものはこんなものだと、057手本(てほん)()さつしやりさうなものぢやないか』
058(へい)(おれ)んとこ一軒(いつけん)なにほど(きよ)めたつて、059(となり)()から(うつ)つてくるのだもの仕方(しかた)がないさ。060村中(むらぢう)一同(いちどう)改心(かいしん)せなくちや、061(きよ)(もの)まで巻添(まきぞ)へに()はされて共倒(ともだふ)れにならねばならぬ。062それで(かみ)(さま)村中(むらぢう)一致(いつち)和合(わがふ)して信心(しんじん)せよとおつしやるのだ』
063(かふ)(けが)すなといつたつて、064百姓(ひやくしやう)してをれば(くそ)小便(せうべん)()にやらねばならず、065肥料(こえ)をやらねば(いね)(おほ)きくならず、066収穫(しうくわく)(したが)つて(すく)なく、067(けが)さぬわけにゆきやしない。068それは(かみ)(さま)無理(むり)といふものぢや』
069(へい)勿論(もちろん)肥料(こやし)もやらねばならぬが、070それは(とき)による。071(いま)肝腎(かんじん)()()ゑるときに、072(くそ)()いたり、073小便(せうべん)()いたり、074()(なか)便(はばかり)をしたり、075そんな(ふざ)けたことをやると、076(かみ)(さま)(まも)つては(くだ)さらぬのだ。077()()ゑるときは(こころ)(きよ)め、078(からだ)清潔(きれい)にし、079(かみ)(さま)(まつ)つて、080月経(げつけい)などある(とき)はなんぼ(いそが)しくつても、081田植(たうゑ)(とき)だけは遠慮(ゑんりよ)をせぬと、082その()(かみ)(さま)(まも)つて(くだ)さるのだからなア。083(あひ)()はチト(きたな)いものをやつても、084(つち)()ふてそれが(いね)()(まは)つて肥料(こやし)になるのだ。085それにこの(ごろ)田植(たうゑ)のときに(かみ)(さま)(まつ)るのでもなく、086(くそ)小便(せうべん)()(なか)肥料(こやし)になると()つてやりはうだい。087おまけに百姓(ひやくしやう)(たから)たるべき牛肉(ぎうにく)()つたり、088月経(げつけい)(をんな)(はい)つたりするから、089大歳(おほとしの)(かみ)(さま)()守護(しゆご)して(くだ)さらぬのだ。090(みな)村中(むらぢう)難儀(なんぎ)だから各自(めいめい)心得(こころえ)()しいものだ』
091と、092かく(かた)()()のところへ、093()(たか)からず(ひく)からず、094容色(ようしよく)端麗(たんれい)なる(をんな)宣伝使(せんでんし)(あら)はれ()たりける。
095(いのち)(おや)()ゑつける
096(なつ)(はじめ)田人(たびと)()
097(つち)(けが)()(けが)
098(みづ)まで(けが)して(うし)(しし)
099()つた(むく)いは()(あた)
100見渡(みわた)すかぎり広野原(ひろのはら)
101(やま)木草(きくさ)蒼々(あをあを)
102(しげ)れる(なか)()(おも)
103(ふゆ)荒野(あれの)(ごと)くなり
104嗚呼(ああ)大歳(おほとし)(かみ)(さま)
105百姓(おほみたから)(おこな)ひを
106立替(たてか)へさせて()(きよ)
107(とし)(ゆた)かに(みの)らせて
108豊受(とゆけ)(くに)となさしめよ
109埴安彦(はにやすひこ)埴安(はにやす)
110(ひめ)御心(みこころ)()みとりて
111百姓(おほみたから)()()ひし
112田人(たびと)(こころ)(あらた)めよ
113(あき)(みの)りのたわたわに
114(いのち)(おや)()(くら)
115(ふく)るるばかり(あた)へかし
116(ふく)るるばかり(あた)へかし』
117低声(ていせい)(うた)ひつつ、118木蔭(こかげ)(いこ)田人(たびと)(まへ)()ぎらむとせり。
119 (かふ)は、
120『モシモシ』
121()()めたるより、122宣伝使(せんでんし)()()まり
123貴郎(あなた)はこの(むら)のお百姓(ひやくしやう)見受(みう)けますが、124この(いね)(むし)()はれて()くのごとく全滅(ぜんめつ)せむとするのは(なん)(おも)はれます。125大歳(おおとしの)(かみ)(さま)()立腹(りつぷく)ではありますまいか。126百姓(ひやくしやう)(たから)(ころ)して()つた(かた)が、127きつとこの(むら)にありませう。128この()はさういふ(けが)れた(こと)をなさらぬやうに(こころ)がけられたが(よろ)しからう。129(わたくし)(いま)禁厭(まじなひ)をしてあげますから、130今後(こんご)(けつ)して百姓(ひやくしやう)(たから)()はないやうにして(くだ)さい』
131(かたはら)(なが)(くさ)むし男根(だんこん)(かたち)(つく)り、132これを()水口(みなぐち)(まつ)り、133祝詞(のりと)奏上(そうじやう)したるに、134()るみる(いね)青々(あをあを)として、135霜野(しもの)のごとき田面(たのも)はにはかに青海原(あをうなばら)(なみ)のやうに、136稲葉(いなば)(かぜ)そよぎ137()()繁茂(はんも)してさやさや(おと)()つるに(いた)つた。138百姓(ひやくしやう)どもは()()つて(よろこ)んだ。139(かたはら)()れば、140(をんな)宣伝使(せんでんし)何処(どこ)()つたか、141姿(すがた)()えなくなりゐたり。142これは若年(わかとしの)(かみ)変化神(へんげしん)なりける。
143大正一一・一・二四 旧大正一〇・一二・二七 加藤明子録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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