霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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謝恩(しやおん)の生活(せいくわつ)

インフォメーション
鏡:月鏡 題名:謝恩の生活 よみ: 著者:出口王仁三郎
神の国掲載号:1929(昭和4)年04月号 八幡書店版:214頁 愛善世界社版: 著作集:119頁 第五版:58頁 第三版:58頁 全集:489頁 初版:39頁
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:1174 OBC :kg287
001 天(てん)の不平(ふへい)は豪雨(がうう)を降(ふ)らして大洪水(だいこうずゐ)となし、002風(かぜ)の不平(ふへい)は嵐(あらし)を起(おこ)して総(すべ)てを破壊(はくわい)し、003地(ち)の不平(ふへい)は地震(ぢしん)を起(おこ)して以(もつ)て乾坤(けんこん)を震動(しんどう)せしむる様(やう)に思(おも)はれる。004人間(にんげん)の不平(ふへい)は千様万態(せんやうばんたい)であるが、005先(ま)づ生活(せいくわつ)問題(もんだい)から起(おこ)るのが多(おほ)い様(やう)だ。006この不平(ふへい)を解(かい)する唯一(ゆゐいつ)の方法(はうはふ)は、007報恩(はうおん)謝徳(しやとく)の意義(いぎ)を了解(れうかい)するにある。008仏教(ぶつけう)では、009万象(ばんしやう)は皆(みな)仏陀(ぶつだ)であると云(い)ひ、010大本(おほもと)では宇宙(うちう)に於(お)ける霊力体(れいりよくたい)一切(いつさい)の万有(ばんいう)は、011神(かみ)の本体(ほんたい)であると説(と)く。012然(しか)り我等(われら)が極暑(ごくしよ)と闘(たたか)つた後(のち)の一滴(いつてき)の水(みづ)は、013如何(いか)に多大(ただい)なる感謝(かんしや)の念(ねん)を与(あた)へるか、014風(かぜ)も草(くさ)も木(き)も総(すべ)て吾人(ごじん)に幸福(かうふく)を与(あた)へて居(を)る。015米(こめ)一粒(ひとつぶ)が八十八回(はちじふはちくわい)の労力(らうりよく)を要(えう)して始(はじ)めて人間(にんげん)の口(くち)に入(はい)る事(こと)に、016思(おも)ひをいたす時(とき)は、017吾人(ごじん)は四囲(しゐ)の総(すべ)てに対(たい)して感謝(かんしや)せねばならぬ。018報恩(はうおん)の念(ねん)は吾人(ごじん)に幸福(かうふく)な人生(じんせい)の温情(をんじやう)を教(をし)へて呉(く)れる。019一個(いつこ)の日用品(にちようひん)を買(か)ふものは其(その)品物(しなもの)にて便宜(べんぎ)を得(う)る、020売主(うりぬし)は代価(だいか)の金(かね)で自己(じこ)の欲望(よくばう)を満足(まんぞく)する事(こと)が出来(でき)、021製造人(せいざうにん)は労銀(ろうぎん)にて自己(じこ)生活(せいくわつ)の必需品(ひつじゆひん)を求(もと)むる事(こと)が出来(でき)るのだ。022然(しか)りとするならば以上(いじやう)の三者(さんしや)は何(いづ)れも対者(たいしや)に対(たい)して感謝(かんしや)せねばならぬ事(こと)になる。
023 近時(きんじ)矢釜敷(やかまし)い労働(らうどう)問題(もんだい)にしても然(しか)りである。024経営者(けいえいしや)は天然(てんねん)と労働者(らうどうしや)に対(たい)して感謝(かんしや)すべく、025労働者(らうどうしや)に対(たい)しても相当(さうたう)に利益(りえき)の分配(ぶんぱい)をなすべきは、026当然(たうぜん)であると同時(どうじ)に、027天然(てんねん)否(いな)、028神々(かみがみ)の徳(とく)に対(たい)して感謝(かんしや)すべきである。029又(また)労働者(らうどうしや)は、030経営者(けいえいしや)があつてこそ自己(じこ)が生活(せいくわつ)し得(う)る事(こと)を知(し)つて、031唯(ただ)自己(じこ)の腕力(わんりよく)万能心(ばんのうしん)に囚(とら)はれず、032そこに感謝(かんしや)の意(い)を表(へう)すべきものである。033此(かく)の如(ごと)くにして、034両者(りやうしや)が互(たがひ)に諒解(りやうかい)し、035始(はじ)めて不平(ふへい)不満(ふまん)を去(さ)り、036温(あたた)かい生存(せいぞん)を続(つづ)くる事(こと)が出来(でき)る。037然(しか)るに現代(げんだい)には感謝(かんしや)報恩(はうおん)の念慮(ねんりよ)なき、038利益(りえき)一点(いつてん)張(ば)りの人間(にんげん)がままあるのは歎(なげ)かはしい。039兵庫(ひやうご)あたりの某(ぼう)紡績(ばうせき)工場(こうぢやう)の近隣(きんりん)に、040火災(くわさい)が起(おこ)つた時(とき)に、041多大(ただい)の綿花(めんくわ)が倉庫(さうこ)に在(あ)つたので職工連(しよくこうれん)が万一(まんいち)を気遣(きづか)つてどんどんと他所(よそ)へ運(はこ)び出(だ)して居(ゐ)た。042そこへ幹部(かんぶ)の役員(やくゐん)が出(で)て来(き)て、043此(こ)の状(さま)を見(み)るなり、044火(ひ)の如(や)うになつて叱(しか)りつけた。045そして「此(こ)の綿花(めんくわ)には十万円(じふまんゑん)の保険(ほけん)がつけてあるから、046他(た)へ運(はこ)ぶ必要(ひつえう)は無(な)い、047焼(や)けても原価(げんか)に該当(がいたう)するだけの保険金(ほけんきん)が取(と)れる、048運搬(うんぱん)すればそれだけの労銀(ろうぎん)が要(い)る、049いらぬ世話(せわ)を焼(や)くな」といつたとの事(こと)であるが此(この)役員(やくゐん)どもは、050どうして綿花(めんくわ)が出来(でき)たかといふ事(こと)を知(し)らぬ冥加(みやうが)知(し)らずである。051そして多数者(たすうしや)の労力(らうりよく)を反故(ほご)にするものである。052代償(だいしやう)の金(かね)さへあれば、053社会(しやくわい)の損失(そんしつ)を知(し)らぬ、054利己(りこ)主義(しゆぎ)の人間(にんげん)である。055猶(なほ)この綿花(めんくわ)を焼失(せうしつ)したなら、056多(おほ)くの人々(ひとびと)が、057寒(さむ)さを防(ふせ)ぐ衣類(いるゐ)が、058出来(でき)なくなると云(い)ふ社会(しやくわい)の人(ひと)の幸福(かうふく)を、059度外視(どぐわいし)したる悪魔(あくま)の所為(しよゐ)である。060滔々(たうたう)たる天下(てんか)、061殆(ほと)んど是(これ)に類(るゐ)する人々(ひとびと)の多(おほ)きは、062浩歎(かうたん)すべきである。063天地(てんち)の大恩(たいおん)自然界(しぜんかい)の殊恩(しゆおん)を知(し)らず、064宗教心(しうけうしん)なき人間(にんげん)は総(すべ)て斯(かく)の如(ごと)き者(もの)である。065青砥(あをと)藤綱(ふぢつな)[※青砥藤綱(あおと・ふじつな)は鎌倉時代の武将。太平記(巻第三十五)によると藤綱は夜、外出した際に誤つて川に落した十文銭を探すため、五十文で松明を買い求めた。それでは大損ではないかと笑った人に対して藤綱は「十文は探さなくては再び社会で利用されることがないので天下の大損である。しかし五十文は自分は損をしたかも知れないが他人の手に渡り利用されるので、探した十文と合わせて六十文、社会の損にはならない。」と教え諭したいう。]は滑川(なめりがは)に一銭(いつせん)の金(かね)を落(おと)し、066五十銭(ごじつせん)の日当(につたう)を与(あた)へて、067川底(かはぞこ)を探(さぐ)らしめたと云(い)ふ、068斯(かく)の如(ごと)きは天下(てんか)の宝(たから)を将来(しやうらい)に失(うしな)ふ事(こと)を恐(おそ)れた謝恩心(しやおんしん)に外(ほか)ならないのである。069吾人(ごじん)は何処(どこ)までも青砥(あをと)藤綱(ふぢつな)の心事(しんじ)を学(まな)ばねばならぬ。
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