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(あぶ)になつて

インフォメーション
鏡:月鏡 題名:虻になつて よみ: 著者:出口王仁三郎
神の国掲載号:1929(昭和4)年08月号 八幡書店版:116頁 愛善世界社版: 著作集: 第五版:186頁 第三版:186頁 全集:571頁 初版:155頁
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :kg376
001 山崎(やまざき)()忍術(にんじゆつ)師匠(ししやう)が、002或時(あるとき)(あぶ)()(へん)じて遠距離(ゑんきより)飛行(ひかう)をやり、003一寸(ちよつと)休憩(きうけい)せんと、004(かべ)にとまつたところ、005左官(さくわん)無意識(むいしき)にそれを()()んで仕舞(しま)つたので、006(あやふ)(いき)()えやうとしたのを必死(ひつし)となつて(のが)()たといふ(はなし)があるが、007(わたし)(あぶ)()(へん)じて、008支部(しぶ)分所(ぶんしよ)(くま)なく(まは)つたことがあるが、009(たれ)()つては()まい。010(わたし)がかういふ(はなし)をしても(しん)じないかも()れないが、011(いま)(むかし)京都(きやうと)土田(つちだ)勝弘(かつひろ)()信者(しんじや)があつて、012(わたし)(あぶ)()(へん)ずる(はなし)をすると(うたが)つて、013そんな(こと)なんぼなんでも出来(でき)はしますまいと()ふ。014「よし、015それでは(かへ)りに(さん)(みや)綾部(あやべ)より三里(さんり)(ばか)りの地点(ちてん))に一服(いつぷく)してをれ、016(あぶ)となつて()んで()きお(まへ)洋傘(こうもり)周囲(しうゐ)三辺(さんべん)(まは)つてやる」と()うて()いた。017土田(つちだ)はまさかと(おも)ひながらも、018もしやといふ気持(きもち)もあつて注意(ちうい)しながら檜山(ひのきやま)(さん)(みや)(やす)んで()ると、019突如(とつじよ)(おほ)きな(あぶ)()んで()てブンブンと(おと)たてながら洋傘(こうもり)周囲(しうゐ)三度(さんど)(いきほひ)よく飛行(ひかう)して、020ずつと何処(どこ)かへ()つて仕舞(しま)つた。021土田(つちだ)はこの異変(いへん)吃驚(びつくり)して(ふたた)()つて(かへ)し、022(まこと)(おそ)()りましたと挨拶(あいさつ)()た。023神秘(しんぴ)言霊(ことたま)使(つか)へば(あぶ)(ぐらゐ)(なん)でもなく、024どんな(こと)でも出来(でき)るのである。025(むかし)(ひと)竜神(りうじん)言霊(ことたま)をもつて駆使(くし)したものだが、026(いま)はさかさまに竜神(りうじん)はおろか、027狐狸(こり)などにまで使(つか)はれて()るのだから、028万物(ばんぶつ)霊長(れいちやう)もあはれそれ()以下(いか)のものに堕落(だらく)して、029言霊(ことたま)がとんと()かないやうになつて仕舞(しま)つた。
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