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[276]無作の詩
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[281]安全な代物
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[283]堪忍
[284]信教の自由
[285]信仰に苔が生えた
[286]意志想念の儘なる天地
[287]謝恩の生活
[288]広大無辺の御神徳
[289]宗教団と其教祖
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鈿女
(
うずめ
)
物語
(
ものがたり
)
インフォメーション
鏡:
月鏡
題名:
鈿女物語
よみ:
著者:
出口王仁三郎
神の国掲載号:
1930(昭和5)年09月号
八幡書店版:
353頁
愛善世界社版:
著作集:
第五版:
163頁
第三版:
163頁
全集:
558頁
初版:
136頁
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
kg363
001
石器
(
せきき
)
時代
(
じだい
)
の
信刕
(
しんしう
)
安曇野
(
あずみの
)
は
一面
(
いちめん
)
の
沼地
(
ぬまち
)
であつた。
002
その
当時
(
たうじ
)
、
003
安曇野
(
あずみの
)
の
一角
(
いつかく
)
に
高
(
たか
)
く
聳
(
そび
)
えて
居
(
ゐ
)
た
有明山
(
ありあけやま
)
には、
004
恐
(
おそ
)
ろしき
山賊
(
さんぞく
)
の
群
(
むれ
)
が
棲
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
005
(
又
(
また
)
八面
(
はちめん
)
大王
(
だいわう
)
との
説
(
せつ
)
もある)
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
を
切
(
き
)
り
開
(
ひら
)
いた
手力男命
(
たぢからをのみこと
)
の
後裔
(
こうえい
)
に、
006
一人
(
ひとり
)
の
美
(
うつく
)
しい
姫
(
ひめ
)
があつた。
007
この
姫
(
ひめ
)
の
名
(
な
)
を
鈿女姫
(
うずめひめ
)
といふ。
008
姫
(
ひめ
)
は
何
(
な
)
んと
思
(
おも
)
つたか、
009
父母
(
ふぼ
)
を
棄
(
す
)
てて
家出
(
いへで
)
をした。
010
それで
両親
(
りやうしん
)
等
(
たち
)
は、
011
姫
(
ひめ
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
に
就
(
つ
)
いて
各々
(
おのおの
)
心当
(
こころあた
)
りの
方面
(
はうめん
)
を
探
(
さが
)
して
見
(
み
)
たが、
012
容易
(
ようい
)
に
判
(
わか
)
らなかつた。
013
そのうちに
何処
(
いづこ
)
からともなく、
014
姫
(
ひめ
)
は
信刕
(
しんしう
)
の
有明山
(
ありあけやま
)
に
居
(
ゐ
)
るとの
噂
(
うはさ
)
が
故郷
(
こきやう
)
にパツト
拡
(
ひろ
)
まつた。
015
早速
(
さつそく
)
姫
(
ひめ
)
の
行衛
(
ゆくゑ
)
を
探
(
さぐ
)
らうと、
016
近親者
(
きんしんしや
)
数名
(
すうめい
)
は
遥々
(
はるばる
)
信刕路
(
しんしうぢ
)
を
尋
(
たづ
)
ねたが
目的
(
もくてき
)
の
有明山
(
ありあけやま
)
には
姫
(
ひめ
)
は
見
(
み
)
へないで、
017
有明山
(
ありあけやま
)
の
程近
(
ほどちか
)
くで
姫
(
ひめ
)
は
病死
(
びやうし
)
したとの
事
(
こと
)
が、
018
風
(
かぜ
)
の
便
(
たよ
)
りに
耳
(
みみ
)
に
入
(
はい
)
つた。
019
それが
今日
(
こんにち
)
の
鈿女屋敷
(
うずめやしき
)
附近
(
ふきん
)
である。
020
姫
(
ひめ
)
が
松川村
(
まつかはむら
)
で
倒
(
たふ
)
れるまでには、
021
又
(
また
)
左
(
さ
)
の
如
(
や
)
うな
伝説
(
でんせつ
)
が
残
(
のこ
)
つてゐる。
022
故郷
(
こきやう
)
を
去
(
さ
)
つた
姫
(
ひめ
)
は、
023
あてどもなく
諸国
(
しよこく
)
を
彷徨
(
はうくわう
)
して
何時
(
いつ
)
か
信刕路
(
しんしうぢ
)
に
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
み
入
(
い
)
れ、
024
有明山
(
ありあけやま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はした。
025
そして
有明山
(
ありあけやま
)
に
棲
(
す
)
む、
026
前記
(
ぜんき
)
の
山賊
(
さんぞく
)
どもに発見されて
了
(
しま
)
つた。
027
山賊
(
さんぞく
)
は
姫
(
ひめ
)
の
色香
(
いろか
)
に
迷
(
まよ
)
ひ、
028
岩窟
(
がんくつ
)
に
導
(
みちび
)
いて
自由
(
じいう
)
になれとせがんだが、
029
姫
(
ひめ
)
は
頑
(
ぐわん
)
として
応
(
おう
)
じなかつた。
030
山賊
(
さんぞく
)
は
踊
(
をど
)
りが
大好物
(
だいかうぶつ
)
であつた。
031
ある
日
(
ひ
)
のこと
姫
(
ひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
踊
(
をど
)
りが
出来
(
でき
)
るかと
質
(
ただ
)
した。
032
姫
(
ひめ
)
は
心
(
こころ
)
能
(
よ
)
く
承諾
(
しようだく
)
を
与
(
あた
)
へた、
033
そして
姫
(
ひめ
)
の
踊
(
をど
)
りは
堂
(
だう
)
に
入
(
い
)
つたものであつた。
034
或
(
ある
)
夜
(
よ
)
のこと、
035
毎晩
(
まいばん
)
の
通
(
とほ
)
り
山賊
(
さんぞく
)
は
姫
(
ひめ
)
の
踊
(
をど
)
りを
懇望
(
こんまう
)
した。
036
併
(
しか
)
しその
夜
(
よ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
岩窟
(
がんくつ
)
の
外
(
そと
)
で
踊
(
をど
)
れと
命
(
めい
)
じた。
037
姫
(
ひめ
)
の
踊
(
をど
)
りで
山賊
(
さんぞく
)
の
一味
(
いちみ
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
酔
(
よ
)
つて
了
(
しま
)
つてウトウトとして
寝
(
しん
)
に
就
(
つ
)
いた。
038
姫
(
ひめ
)
はこの
時
(
とき
)
と
斗
(
ばか
)
り
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
して
身
(
み
)
を
脱
(
のが
)
れた。
039
後刻
(
ごこく
)
になつて
姫
(
ひめ
)
が
逃
(
に
)
げたと
判
(
わか
)
つて、
040
有明山
(
ありあけやま
)
の
一帯
(
いつたい
)
は
大騒
(
おほさわ
)
ぎとなつた。
041
姫
(
ひめ
)
は
逃
(
に
)
げる
事
(
こと
)
は
何
(
ど
)
うやら
逃
(
に
)
げ
延
(
の
)
びたが、
042
藪原
(
やぶはら
)
の
中
(
なか
)
を、
043
所
(
ところ
)
きらはず
逃
(
に
)
げ
廻
(
まは
)
つたので、
044
至
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
に
生傷
(
なまきず
)
を
負
(
お
)
うた。
045
これが
因
(
もと
)
となつて
姫
(
ひめ
)
は
遂
(
つい
)
に
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
つた。
046
村人
(
むらびと
)
は
姫
(
ひめ
)
の
死
(
し
)
んだ
処
(
ところ
)
に
小祠
(
ほこら
)
を
建
(
た
)
て
其
(
その
)
霊
(
れい
)
を
鄭重
(
ていちよう
)
に
祀
(
まつ
)
つた。
047
そこを
通称
(
つうしよう
)
鈿女屋敷
(
うずめやしき
)
と
呼
(
よ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
048
里人
(
さとびと
)
は
記紀
(
きき
)
天岩戸開
(
あまのいはとびら
)
きの
天鈿女命
(
あめのうずめのみこと
)
なりと
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
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