霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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胆力(たんりよく)養成家(やうせいか)

インフォメーション
鏡:月鏡 題名:胆力養成家 よみ: 著者:出口王仁三郎
神の国掲載号:1930(昭和5)年03月号 八幡書店版:190頁 愛善世界社版: 著作集: 第五版:236頁 第三版:236頁 全集:603頁 初版:200頁
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:637 OBC :kg420
001 今(いま)は昔(むかし)、002御嶽教(みたけけう)の主事(しゆじ)に小野(をの)某(ぼう)といふ人(ひと)があつて、003胆力(たんりよく)養成書(やうせいしよ)と言(い)ふ小冊子(せうさつし)を発行(はつかう)し、004傲然(がうぜん)と、005常(つね)に座蒲団(ざぶとん)を積(つ)み重(かさ)ねてバイの化物然(ばけものぜん)とかまへこみ、006「仮令(たとへ)白刄(はくじん)頭上(づじやう)に閃(ひら)めくとも、007絶壁(ぜつぺき)前(まへ)に聳(そび)ゆとも大地震(だいぢしん)、008洪水(こうずい)来(きた)るとも、009胆力(たんりよく)さへあれば断(だん)じて驚(おどろ)くものにあらず」と豪語(がうご)して居(ゐ)た。010そこで私(わたし)は小野(をの)某(ぼう)に向(むか)ひ「あなたは、011今(いま)言(い)はるる通(とほ)りの度胸(どきよう)が据(す)はつて居(ゐ)ますか」と尋(たづ)ねて見(み)た処(ところ)、012「勿論(もちろん)の事(こと)なり」と答(こた)へ乍(なが)ら腕(うで)を組(く)んで鷹揚(おうやう)振(ぶ)りを見(み)せてゐた。013そこで私(わたし)は次(つぎ)の間(ま)に入(い)り、014少時(しばらく)して一刀(いつたう)を抜(ぬ)き放(はな)ちてをどりこんでやつた。015さうすると周章狼狽(しうしやうらうばい)顔色(がんしよく)を変(か)へブルブル震(ふる)へながら六七間(ろくしちけん)ばかりころげ、016庭(には)に落(お)ち込(こ)み両手(りやうて)を合(あは)して「許(ゆる)して呉(く)れ」と詫(わ)[*「詫」…底本では「詑」。]びた事(こと)がある。017今(いま)から考(かんが)へると若気(わかげ)の至(いた)りでいろんな事(こと)をやつたものだ。
018 又(また)或時(あるとき)の事(こと)、019私(わたし)を刺(さ)す目的(もくてき)をもつて面会(めんくわい)を求(もと)めて来(き)た一人(ひとり)の若(わか)い男(をとこ)があつた。020懐中(くわいちう)に短刀(たんたう)を呑(の)んで来(き)て居(ゐ)る事(こと)がよく分(わか)つて居(ゐ)るので、021私(わたし)は火鉢(ひばち)に手(て)を翳(かざ)しながら、022右手(みぎて)で火箸(ひばし)を鉾(ほこ)に構(かま)へ、023いざと言(い)ふ場合(ばあひ)にはあつ灰(ばい)を跳飛(はねと)ばして防禦(ばうぎよ)しようと思(おも)ひつつ「君(きみ)、024人(ひと)を刺(さ)さうと思(おも)ふものは余程(よほど)胆力(たんりよく)が据(す)わつて居(を)らねばならぬなア、025自分(じぶん)の着物(きもの)に居(ゐ)る蚤(のみ)でも虱(しらみ)でも殺(ころ)し盡(つく)せないものだ。026まして人間(にんげん)を殺(ころ)すと言(い)ふ事(こと)は余程(よほど)の大胆者(だいたんもの)か、027発狂者(はつきやうしや)でなければ出来(でき)ない芸当(げいたう)だ」と言(い)うてやると、028急(きふ)にビリビリ震(ふる)ひ出(だ)して「どうも悪(わる)う御座(ござ)いました、029許(ゆる)して下(くだ)さい」と言(い)ひながら短刀(たんたう)を取(と)り出(だ)して平謝(ひらあやま)りに謝(あやま)つて、030夜(よ)ふけて帰(かへ)つた者(もの)もあつた。031深(ふか)い深(ふか)い信仰(しんかう)を持(も)つた善人(ぜんにん)位(ぐらゐ)本当(ほんたう)の胆力(たんりよく)の据(す)わつたものは無(な)いのである。
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