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[277]魂の大きさ
[278]過去の失敗
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[280]人間と現世
[281]安全な代物
[282]人の面貌
[283]堪忍
[284]信教の自由
[285]信仰に苔が生えた
[286]意志想念の儘なる天地
[287]謝恩の生活
[288]広大無辺の御神徳
[289]宗教団と其教祖
[290]忘れると云ふ事
[291]日本人の抱擁性
[292]至誠と徹底
[293]慧春尼
[294]社会学の距離説
[295]神と倶にある人
[296]夏
[297]惟神の心
[298]悪魔の世界
[299]人間と云ふ問題
[300]学問も必要
[301]有難き現界
[302]梅で開いて松でをさめる
[303]地租委譲問題
[304]不戦条約
[305]細矛千足の国
[306]短い言語
[307]言霊奏上について
[308]性慾の問題
[309]秘密
[310]学と神力の力競べ
[311]軍備撤廃問題
[312]偽善者
[313]宗教より芸術へ
[314]年を若くする事
[315]精力と精液
[316]最後の真理
[317]上になりたい人
[318]壇訓(扶乩)について
[319]エト読込の歌
[320]動物愛護について
[321]易
[322]軍縮問題
[323]小さい事
[324]善言美詞は対者による
[325]淋しいといふこと
[326]空相と実相
[327]刑法改正問題
[328]二大祖神
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(B)
(N)
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胆力
(
たんりよく
)
養成家
(
やうせいか
)
インフォメーション
鏡:
月鏡
題名:
胆力養成家
よみ:
著者:
出口王仁三郎
神の国掲載号:
1930(昭和5)年03月号
八幡書店版:
190頁
愛善世界社版:
著作集:
第五版:
236頁
第三版:
236頁
全集:
603頁
初版:
200頁
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
kg420
001
今
(
いま
)
は
昔
(
むかし
)
、
002
御嶽教
(
みたけけう
)
の
主事
(
しゆじ
)
に
小野
(
をの
)
某
(
ぼう
)
といふ
人
(
ひと
)
があつて、
003
胆力
(
たんりよく
)
養成書
(
やうせいしよ
)
と
言
(
い
)
ふ
小冊子
(
せうさつし
)
を
発行
(
はつかう
)
し、
004
傲然
(
がうぜん
)
と、
005
常
(
つね
)
に
座蒲団
(
ざぶとん
)
を
積
(
つ
)
み
重
(
かさ
)
ねてバイの
化物然
(
ばけものぜん
)
とかまへこみ、
006
「
仮令
(
たとへ
)
白刄
(
はくじん
)
頭上
(
づじやう
)
に
閃
(
ひら
)
めくとも、
007
絶壁
(
ぜつぺき
)
前
(
まへ
)
に
聳
(
そび
)
ゆとも
大地震
(
だいぢしん
)
、
008
洪水
(
こうずい
)
来
(
きた
)
るとも、
009
胆力
(
たんりよく
)
さへあれば
断
(
だん
)
じて
驚
(
おどろ
)
くものにあらず」と
豪語
(
がうご
)
して
居
(
ゐ
)
た。
010
そこで
私
(
わたし
)
は
小野
(
をの
)
某
(
ぼう
)
に
向
(
むか
)
ひ「あなたは、
011
今
(
いま
)
言
(
い
)
はるる
通
(
とほ
)
りの
度胸
(
どきよう
)
が
据
(
す
)
はつて
居
(
ゐ
)
ますか」と
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
、
012
「
勿論
(
もちろん
)
の
事
(
こと
)
なり」と
答
(
こた
)
へ
乍
(
なが
)
ら
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
んで
鷹揚
(
おうやう
)
振
(
ぶ
)
りを
見
(
み
)
せてゐた。
013
そこで
私
(
わたし
)
は
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
入
(
い
)
り、
014
少時
(
しばらく
)
して
一刀
(
いつたう
)
を
抜
(
ぬ
)
き
放
(
はな
)
ちてをどりこんでやつた。
015
さうすると
周章狼狽
(
しうしやうらうばい
)
顔色
(
がんしよく
)
を
変
(
か
)
へブルブル
震
(
ふる
)
へながら
六七間
(
ろくしちけん
)
ばかりころげ、
016
庭
(
には
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
み
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
して「
許
(
ゆる
)
して
呉
(
く
)
れ」と
詫
(
わ
)
[
*
「詫」…底本では「詑」。
]
びた
事
(
こと
)
がある。
017
今
(
いま
)
から
考
(
かんが
)
へると
若気
(
わかげ
)
の
至
(
いた
)
りでいろんな
事
(
こと
)
をやつたものだ。
018
又
(
また
)
或時
(
あるとき
)
の
事
(
こと
)
、
019
私
(
わたし
)
を
刺
(
さ
)
す
目的
(
もくてき
)
をもつて
面会
(
めんくわい
)
を
求
(
もと
)
めて
来
(
き
)
た
一人
(
ひとり
)
の
若
(
わか
)
い
男
(
をとこ
)
があつた。
020
懐中
(
くわいちう
)
に
短刀
(
たんたう
)
を
呑
(
の
)
んで
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
がよく
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
るので、
021
私
(
わたし
)
は
火鉢
(
ひばち
)
に
手
(
て
)
を
翳
(
かざ
)
しながら、
022
右手
(
みぎて
)
で
火箸
(
ひばし
)
を
鉾
(
ほこ
)
に
構
(
かま
)
へ、
023
いざと
言
(
い
)
ふ
場合
(
ばあひ
)
にはあつ
灰
(
ばい
)
を
跳飛
(
はねと
)
ばして
防禦
(
ばうぎよ
)
しようと
思
(
おも
)
ひつつ「
君
(
きみ
)
、
024
人
(
ひと
)
を
刺
(
さ
)
さうと
思
(
おも
)
ふものは
余程
(
よほど
)
胆力
(
たんりよく
)
が
据
(
す
)
わつて
居
(
を
)
らねばならぬなア、
025
自分
(
じぶん
)
の
着物
(
きもの
)
に
居
(
ゐ
)
る
蚤
(
のみ
)
でも
虱
(
しらみ
)
でも
殺
(
ころ
)
し
盡
(
つく
)
せないものだ。
026
まして
人間
(
にんげん
)
を
殺
(
ころ
)
すと
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
余程
(
よほど
)
の
大胆者
(
だいたんもの
)
か、
027
発狂者
(
はつきやうしや
)
でなければ
出来
(
でき
)
ない
芸当
(
げいたう
)
だ」と
言
(
い
)
うてやると、
028
急
(
きふ
)
にビリビリ
震
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
して「どうも
悪
(
わる
)
う
御座
(
ござ
)
いました、
029
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さい」と
言
(
い
)
ひながら
短刀
(
たんたう
)
を
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
して
平謝
(
ひらあやま
)
りに
謝
(
あやま
)
つて、
030
夜
(
よ
)
ふけて
帰
(
かへ
)
つた
者
(
もの
)
もあつた。
031
深
(
ふか
)
い
深
(
ふか
)
い
信仰
(
しんかう
)
を
持
(
も
)
つた
善人
(
ぜんにん
)
位
(
ぐらゐ
)
本当
(
ほんたう
)
の
胆力
(
たんりよく
)
の
据
(
す
)
わつたものは
無
(
な
)
いのである。
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