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肺病(はいびやう)について

インフォメーション
鏡：月鏡 題名：肺病について よみ： 著者：出口王仁三郎
神の国掲載号：- 八幡書店版：458頁 愛善世界社版： 著作集：310頁 第五版：261頁 第三版：261頁 全集：618頁 初版：222頁
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日： OBC ：kg447
001　肺病(はいびやう)になま葱(ねぎ)が効能(かうのう)あることは嘗(かつ)て話(はな)しておいたが、002それには一(ひと)つの条件(でうけん)が伴(ともな)ふので、003其(その)条件(でうけん)といふのは男女(だんぢよ)の交(まじは)りをたつ事(こと)である。004断(た)つと云(い)うても一生涯(いつしやうがい)たつと云(い)ふのではなく、005病気(びやうき)の時(とき)だけで、006全快(ぜんくわい)した後(あと)は勿論(もちろん)差支(さしつか)えないのであるが、007その辛抱(しんぼう)が出来(でき)ないでみすみす大切(たいせつ)な命(いのち)を失(うしな)ふ者(もの)があるのは情(なさけ)ない事(こと)である。008肺病(はいびやう)の中(なか)でも喀血(かくけつ)［＊「喀血」…底本では「咯血」。］するのは一番(いちばん)性質(せいしつ)のよいもので、009悪(わる)いものを皆(みな)咯(は)き出(だ)して仕舞(しま)ふのであるから、010性交(せいかう)さへ慎(つつし)んだらきつと癒(なほ)るのである。
011　今(いま)は昔(むかし)の話(はなし)となつたが京都(きやうと)にＮといふ男(をとこ)があつて、012人妻(ひとづま)であるＴと云(い)ふ女(をんな)と通(つう)じて不都合(ふつがふ)のありたけを盡(つく)す。013Ｔは全(まつた)く亭主(ていしゆ)を尻(しり)に敷(し)いて、014情夫(じやうふ)と共(とも)にあれせい、015これせいと命令(めいれい)を下(くだ)すと、016お人(ひと)よしの亭主(ていしゆ)は諾々(だくだく)として其(その)命令(めいれい)に服従(ふくじう)するといふ風(ふう)で、017全(まつた)くお話(はなし)にならぬ。018私(わたし)が矢釜(やかま)しう云(い)うて叱(しか)つてやると、019其(その)時(とき)は神妙(しんめう)に改心(かいしん)するのであるが、020しばらくすると、021又(また)本(もと)の木阿弥(もくあみ)、022これは双方(さうはう)［＊「双方」…底本では「相方」。］に夫婦(ふうふ)の狐(きつね)がついて居(ゐ)たのである。023Ｎは肺病(はいびやう)にかかつて居(ゐ)たので、024「男女(だんぢよ)の交(まじは)りをたたぬと三年(さんねん)の中(うち)に命(いのち)が終(をは)るからよせ」と云(い)ふと、025「仰(あふ)せの通(とほ)り三年(さんねん)にして命(いのち)が終(をは)つてもよろしい、026好(す)きな事(こと)をして死(し)にとう御座(ござ)います、027好(す)きな事(こと)せん位(くらゐ)なら生(い)きて居(ゐ)ても仕方(しかた)がないのです」と云(い)うて聞(き)かなかつたので、028とうとう死(し)んで仕舞(しま)つた。029狐(きつね)の生活(せいくわつ)をしようといふのだから仕方(しかた)がない、030其(その)狐(きつね)が又(また)或(ある)人(ひと)に憑依(ひようい)して仕舞(しま)つたのだが、031其(その)人(ひと)は神(かみ)の道(みち)に居(ゐ)ながら、032性的(せいてき)生活(せいくわつ)に没頭(ぼつとう)して仕舞(しま)つて、033人間(にんげん)の能事(のうじ)了(を)はれりと云(い)ふ有様(ありさま)である。034人間(にんげん)が肺病(はいびやう)にかかると、035兎角(とかく)情欲(じやうよく)が昂進(かうしん)するもので、036これを抑(おさへ)切(き)る勇気(ゆうき)が為(な)いと到底(たうてい)助(たす)からぬのである。
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