霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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悪魔(あくま)の世界(せかい)

インフォメーション
鏡:月鏡 題名:悪魔の世界 よみ: 著者:出口王仁三郎
神の国掲載号:1929(昭和4)年06月号 八幡書店版:104頁 愛善世界社版: 著作集: 第五版:81頁 第三版:81頁 全集:505頁 初版:61頁
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:1188 OBC :kg298
001 吾(われ)嘗(かつ)て霊界(れいかい)に或(ある)夜(よ)誘(さそ)はれて、002幻怪(げんくわい)なる夢魔(むま)の世界(せかい)に入(はい)つた。003その時(とき)自分(じぶん)は無劫(むがふ)の寂寥(せいれう)と恐怖(きようふ)に襲(おそ)はれた。004右(みぎ)も左(ひだり)も真(しん)の闇(やみ)で、005面前(めんぜん)も背後(はいご)も咫尺(しせき)を弁(べん)ぜざる斗(ばか)りの暗黒裡(あんこくり)に落(お)ち込(こ)んだ。006そして何(な)んとなく寒(さむ)さを感(かん)じ、007戦慄(せんりつ)止(や)まずして非常(ひじやう)に怖(おそ)ろしい、008頭(あたま)の頂辺(てつぺん)から脚(あし)の爪先(つまさき)まで吾(わが)神経(しんけい)は、009針(はり)の如(や)うに尖(とが)つてゐる。010闇(やみ)の中(なか)から黒(くろ)い翼(つばさ)を拡(ひろ)げて、011黙々(もくもく)として迫(せま)り来(きた)る凄(すさ)まじい物(もの)の息(いき)を感(かん)ずる。012慥(たしか)に何物(なにもの)かが迫(せま)つて来(く)る、013地震(ぢしん)、014雷(かみなり)、015火事(くわじ)、016親爺(おやぢ)よりも海嘯(つなみ)よりも、017噴火(ふんくわ)よりも恐(おそ)ろしい怪物(くわいぶつ)が、018虚空(こくう)を圧(あつ)し、019大地(だいち)を踏(ふ)み躙(にじ)つて、020今(いま)にも吾(わが)身心(しんしん)に迫(せま)り来(く)るかの如(ごと)くに思(おも)はれて、021大蛇(をろち)に睨(にら)まれた蛙(かはづ)、022猫(ねこ)に魅入(みい)られた鼠(ねずみ)の如(や)うに、023自分(じぶん)の身体(からだ)は微動(びく)とも出来(でき)ない。024果然(くわぜん)真蒼(まつさを)な剣(つるぎ)の如(ごと)き光(ひかり)が闇(やみ)を劈(つんざ)いて、025吾(わが)目(め)を射貫(いとう)した。026其(その)光(ひかり)は次第(しだい)にメラメラと周囲(しうゐ)に燃(も)え拡(ひろ)がり、027八方(はつぱう)に飛(と)び散(ち)らかつて、028狂(くる)ひ初(はじ)めた。029さながら光(ひかり)の乱舞(らんぶ)、030火焔(くわえん)の活動(くわつどう)で、031何(なん)とも形容(けいよう)の出来(でき)ない厭(いや)らしさであつた。032そして此(こ)の物凄(ものすご)い火焔(くわえん)の海(うみ)に、033蒼白(あをじろ)い横目(よこめ)の釣(つ)つた鬼(おに)と、034赤黒(あかぐろ)い巌(いはほ)の如(や)うな鬼(おに)とが、035灰紫(はひむらさき)に煮(に)えくりかへる泥(どろ)の中(なか)に絡(から)み合(あ)ひ、036縺(もつ)れ合(あ)つてゐる。037やがて其(そ)の鬼(おに)が一(ひと)つになつて、038振(ふ)り廻(まは)される火縄(ひなは)の様(やう)に、039火焔(くわえん)の螺旋(らせん)を描(ゑが)きつつ、040幾千台(いくせんだい)の飛行機(ひかうき)が低空(ていくう)飛行(ひかう)をやつてゐるやうな、041巨大(きよだい)な音(おと)を轟(とどろ)かせながら、042天上(てんじやう)めがけて昇(のぼ)つて行(ゆ)く、043その幻怪(げんくわい)さ、044実(じつ)に奇観(きくわん)であつた。045真暗(まつくら)の空(そら)は、046忽(たちま)ちその邪鬼(じやき)を呑(の)んで了(しま)つたが、047やがて大(おほ)きな真赤(まつか)な口(くち)を開(あ)けて、048美(うつく)しい金色(こんじき)の星(ほし)を吐(は)き出(だ)した。049一(ひと)つ二(ふた)つ三(みつ)つ五(いつ)つと、050百千億(ひやくせんおく)と刻々(こくこく)数(かず)を増(ま)す、051金色(こんじき)の星(ほし)は降(ふ)るわ降(ふ)るわ、052始(はじ)めは霰(あられ)のやうに、053雨(あめ)の如(や)うに、054果(は)ては大飛瀑(だいひばく)のやうに降(ふ)つて来(く)る。055しかし其(そ)の星瀑(せいばく)の流(なが)るる大地(だいち)はと見(み)れば、056白(しろ)いとも白(しろ)い、057凝視(ぎようし)すると一面(いちめん)の白骨(はくこつ)で、058自分(じぶん)も既(すで)に白骨(はくこつ)を踏(ふ)んで居(ゐ)る。059何方(どちら)向(む)いても髑髏(どくろ)の山(やま)、060散乱(さんらん)したる手(て)や足(あし)の骨(ほね)からは、061蒼白(あをじろ)い焔(ほのほ)がめらめらと、062燃(も)えに燃(も)えて何(なん)とも云(い)へぬ臭気(しうき)が、063芬々(ふんふん)として鼻(はな)を衝(つ)くのであつた。
064 自分(じぶん)は斯(こ)んな幻怪(げんくわい)なる世界(せかい)から一刻(いつこく)も早(はや)く脱(のが)れ出(い)でんと、065一生懸命(いつしやうけんめい)に走(はし)り出(だ)した。066足首(あしくび)が千切(ちぎ)れる斗(ばか)りに突走(つつぱし)つた、067併(しか)し幾(いく)ら駈(か)けても白骨(はくこつ)の広野(くわうや)は際限(さいげん)が無(な)く、068疲(つか)れ切(き)つて思(おも)はず打倒(うちたふ)れたが、069忽(たちま)ち深(ふか)い深(ふか)い渓河(たにがは)へ真逆様(まつさかさま)に落(お)ち込(こ)んだ。070河水(かはみづ)は悉(ことごと)く腥(なまぐさ)い血(ち)であつた。071自分(じぶん)は逆巻(さかま)く血(ち)の波(なみ)に翻弄(ほんろう)されつつ、072河下(かはしも)へ河下(かはしも)へと流(なが)されて、073正気(しやうき)を喪(うし)なつて了(しま)つた。074その瞬間(しゆんかん)、075何物(なにもの)かに強(し)たたか五体(ごたい)を殴(なぐ)りつけられて、076我(われ)に復(かへ)つたが、077雲(くも)衝(つ)く斗(ばか)りの、078一大(いちだい)摩天楼(まてんろう)が頭上(づじやう)にそびえ立(た)つてゐるのであつた。079そして自分(じぶん)は、080其(そ)の門柱(もんちう)に衝突(しようとつ)した途端(とたん)に、081助(たす)かつた如(や)うな心持(こころもち)になつた。082自分(じぶん)は覚(おぼ)えず其(その)楼(ろう)へ飛(と)び込(こ)んで、083矢庭(やには)に玄関(げんくわん)へ駆(か)け上(あが)つた、084すると目眩(まぶ)しいばかりの電燈(でんとう)、085否(いな)神(かみ)の大燈(だいとう)が、086恐怖(きようふ)に閉(とざ)されて居(ゐ)た自分(じぶん)の魂(たましひ)の渓間(たにま)を、087皎々(こうこう)と照(て)らし居(を)るのであつた。088吁々(ああ)過去(くわこ)数十年(すうじふねん)の自分(じぶん)の幻影(げんえい)は、089この恐(おそ)ろしかつた夢(ゆめ)の絵巻物(ゑまきもの)となつて、090今(いま)猶(なほ)時々(ときどき)自分(じぶん)の魂(たましひ)に刺激(しげき)[*「刺激」…底本では「刺撃」。]を与(あた)へたり、091鞭撻(べんたつ)を加(くは)へて呉(く)れる。092吁々(ああ)惟神(かむながら)霊幸倍坐世(たまちはへませ)。
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