霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一一章 鬼娘(おにむすめ)〔六八五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻 篇:第3篇 男女共権 よみ(新仮名遣い):だんじょきょうけん
章:第11章 鬼娘 よみ(新仮名遣い):おにむすめ 通し章番号:685
口述日:1922(大正11)年05月20日(旧04月24日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
雪を踏み分けて、竜国別は谷と谷との十字路に出た。雪道の徒歩は困難を極め、方向もわからなくなってきた。
すると雪の中から何者かが現れて、竜国別の手を引いて歩き出し、小山の麓のあばら屋にいざなった。竜国別は安全な場所に案内してくれたことに礼を言い、何者か尋ねるが、その女は逆に竜国別に、三五教かバラモン教かを問うてきた。
女は、竜国別が自分の味方なら助けるが、敵なら容赦しない、と脅す。竜国別が言葉を濁すと、女は竜国別に説教を始めた。竜国別のウラナイ教時代の失敗をあげつらって戒めを与える。
竜国別が困惑していると、女は被り物をさっと取った。するとそれは松姫のように見えた。竜国別が思わず松姫に話しかけると、女は自分は松姫ではなく雪姫だ、と返した。
最後に女は大きな眼をむいて竜国別を驚かすと、白狐の正体を表して逃げて行った。竜国別は、雪の上の狐の足跡をつけて進んで行く。
すると、一頭の猪が横切った。どこからともなく矢が飛んできて、猪に当たると、猪は山道を逃げて行った。竜国別は憐れに思い、矢を抜いてやろうと血糊を頼りに猪の後を追った。
すると岩穴の前で猪が事切れていた。竜国別は猪を葬ってやろうと穴を掘り始めたが、岩穴の中から鬼女が現れて、猪の血を吸い始めた。鬼女は竜国別を見つけると、竜若と昔の名で竜国別を呼び、睨み付けた。
それは旧知の行方不明になった村娘・お光であった。お光は自分が鬼女となって隠れてここに暮らしていることを明かし、自分の居場所を知った竜国別を生かしては帰せない、と凄む。
竜国別は、お光が幼い頃から世話をした恩義を思い出させ、無体なことはしないようにと諭す。鬼女はその恩に免じて、竜国別の血を少しだけ吸って許してやろうと竜国別を打って気を失わせた。
鬼女は血を吸って竜国別を揺り起こした。竜国別は気分がすっきりして起き上がった。鬼女は、竜国別の血管を通っていた悪霊をすっかり吸ってあげたために、竜国別は大和魂の生粋になったのだ、と言った。
そして竜国別を許す代わりに、自分が鬼女となってここに住んでいることを誰にも言わないように、さもないと竜国別を殺す、と約束させた。竜国別は承諾し、元来た道を引き返し、左に道を取って進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-05-14 00:13:04 OBC :rm2111
愛善世界社版:190頁 八幡書店版:第4輯 334頁 修補版: 校定版:196頁 普及版:85頁 初版: ページ備考:
001 白雪(はくせつ)皚々(がいがい)として四面(しめん)山野(さんや)002白布(しろぬの)(しとね)(かぶ)つた(ごと)満目(まんもく)蕭然(せうぜん)として一点(いつてん)(ちり)(とど)めず、003(みち)()(ひと)もあら(かぜ)(むか)つて(すす)竜国別(たつくにわけ)宣伝使(せんでんし)は、004刻々(こくこく)()(つも)(ゆき)()()け、005(やうや)(たに)(たに)との(ほそ)十字(じふじ)路頭(ろとう)()でたり。
006 太陽(たいやう)雪雲(ゆきぐも)にしきられて(ひかり)中空(ちうくう)(つつ)み、007東西(とうざい)南北(なんぼく)方向(はうかう)さへも(わか)らなくなつて()た。008()(やうや)雪雲(ゆきぐも)西天(せいてん)(ぼつ)したと()えて、009(なん)とはなしに薄暗(うすぐら)(さび)し。010されど(ゆき)(ひかり)四面(しめん)月夜(つきよ)(ごと)朦朧(もうろう)(ひか)つてゐる。011竜国別(たつくにわけ)()(しやく)有余(いうよ)(ゆき)(とざ)され進退(しんたい)(きは)まつて、012最早(もはや)凍死(とうし)せむばかりに(くる)しみつつ、013言霊(ことたま)(つづ)(かぎ)天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、014()()くるを()つの()むなき破目(はめ)とはなりぬ。
015 (わづ)(いち)()(ばか)りの山路(やまみち)(いち)(にち)(つひ)やしたるを()れば、016如何(いか)通路(つうろ)困難(こんなん)なりしかを(さつ)するに(あま)りあり。017真白(まつしろ)(ゆき)(なか)より(しろ)(かげ)018むくむくと(ふく)()し、019一塊(いつくわい)(しろ)立姿(たちすがた)となつて竜国別(たつくにわけ)(たたず)(まへ)(あら)はれ(きた)り、020(もの)をも()はず(つめ)たき()()ばして、021竜国別(たつくにわけ)()()(すす)んで()く。
022 竜国別(たつくにわけ)(こころ)(うち)(あや)しみ(なが)ら、023最早(もはや)如何(いかん)ともすること(あた)はず、024怪物(くわいぶつ)()()かれたる(まま)不安(ふあん)(ねん)()られて(すす)()く。025怪物(くわいぶつ)小山(こやま)(ふもと)荒屋(あばらや)(なか)に、026竜国別(たつくにわけ)(いざな)うた。
027竜国別如何(いか)なる(かた)(ぞん)じませぬが、028(ゆき)(とざ)され身動(みうご)きもならず、029困難(こんなん)(ところ)へお()(くだ)さいまして、030斯様(かやう)安全(あんぜん)地帯(ちたい)()案内(あんない)(くだ)さいましたのは、031(まこと)有難(ありがた)(ぞん)じます』
032怪物(そなた)蜈蚣姫(むかでひめ)部下(ぶか)か、033(ただし)言依別(ことよりわけの)(みこと)部下(ぶか)なるか、034返答(へんたふ)次第(しだい)吾々(われわれ)にも(ひと)つの(かんが)へがあるから、035(てき)か、036味方(みかた)()かして()しい』
037竜国別『さう()貴方(あなた)は、038(なん)()()婦人(ふじん)でございますか』
039怪物貴方(あなた)返答(へんたふ)()くまで(まを)すまい。040吾々(われわれ)(てき)ならば(いま)此処(ここ)で、041(そなた)征伐(せいばつ)せなければならず、042もし味方(みかた)ならば何処迄(どこまで)(たす)ける覚悟(かくご)だよ。043サア、044バラモン(けう)三五教(あななひけう)か、045(ふた)つに(ひと)つの返答(へんたふ)()きませう』
046竜国別仮令(たとへ)バラモン(けう)でも、047三五教(あななひけう)でも(まこと)(みち)(かは)りはありませぬ。048(わたくし)(まこと)(みち)宣伝使(せんでんし)です。049三五教(あななひけう)050バラモン(けう)051(また)アルプス(けう)()ふやうな区分(くぶん)した名称(めいしよう)に、052(あま)(おも)きを()いては()りませぬ』
053怪物『それは(たれ)しも(おな)じこと。054(しか)(いま)(そなた)(ぞく)して()教派(けうは)は、055何教(なにけう)だと(たづ)ねてゐるのだ』
056竜国別何教(なにけう)でも()いぢやありませぬか。057兎角(とかく)天下(てんか)国家(こくか)(ため)最善(さいぜん)()くすのが、058宣伝使(せんでんし)天職(てんしよく)だと心得(こころえ)てゐます』
059怪物『アハヽヽヽ、060どうも卑怯(ひけふ)千万(せんばん)(をとこ)だこと。061三五教(あななひけう)なら三五教(あななひけう)だと、062キツパリ()つたら如何(どう)ですか』
063最後(さいご)一言(いちごん)(ちから)()(らい)(ごと)呶鳴(どな)()てた。064()ればその怪物(くわいぶつ)(こぶし)のやうな目玉(めだま)をクルクルと廻転(くわいてん)させてゐる。
065竜国別先程(さきほど)より(めう)なことを(たづ)ねる怪物(くわいぶつ)だと(おも)つて()たら、066いよいよ(あや)しき(やつ)だ。067(その)(はう)古狸(ふるだぬき)であらうがなア。068(ゆき)(とざ)され食料(しよくれう)(くる)しみ、069吾々(われわれ)(こし)弁当(べんたう)()しさにやつて()たのだらう。070貴様(きさま)(あた)へるのは(やす)いこと(なが)ら、071(いささ)(この)(はう)迷惑(めいわく)(いた)す。072マア()(どく)(なが)ら、073此処(ここ)(はや)立去(たちさ)つたがよからうぞ。074そんな請求(せいきう)駄目(だめ)だから』
075怪物『お(まへ)(ひと)(すく)宣伝使(せんでんし)ぢやないか。076わが()()てて(ひと)(すく)はねばならぬ職務(しよくむ)にあり(なが)ら、077現在(げんざい)()ゑたる吾々(われわれ)見殺(みごろ)しに(いた)し、078自分(じぶん)さへ(はら)(ふく)れたら、079それで()いのか、080それでも(ひと)(すく)宣伝使(せんでんし)(おも)うて()るか。081(この)()(たばか)偽物(にせもの)()082吾々(われわれ)化物(ばけもの)(まを)すが、083(そなた)こそ(しん)化物(ばけもの)だ。084人間(にんげん)(かは)(かぶ)つては()るものの、085(そなた)身魂(みたま)四足(よつあし)同然(どうぜん)ぢや』
086竜国別『オイ(きつね)か、087(たぬき)()らないが、088(ひと)食物(くひもの)をねだるのに、089そんな驕慢(けうまん)言葉(ことば)があるかい』
090怪物(たれ)貴様(きさま)のやうな(けが)れた人間(にんげん)所持(しよぢ)する食物(しよくもつ)をくれいと()つたか。091吾々(われわれ)失礼(しつれい)(なが)乞食(こじき)真似(まね)(いた)さぬ。092(ただ)(ひと)()しいものがある。093それを頂戴(ちやうだい)すれば()いのだ』
094竜国別『お(まへ)()しいと()ふのは一体(いつたい)(なん)だ』
095怪物(ほか)でも()い。096()(たか)(はな)(さき)(けづ)つて(もら)ひたいのだ』
097竜国別(この)(はな)(おや)から(あづ)かつた(ひと)つの貴重品(きちようひん)だ。098こればかりは()ることは出来(でき)ない』
099怪物『そんなら(ひと)交換(かうくわん)して()しいものがある。100(おほ)きな(もの)と、101(ちひ)さい(もの)交換(かうくわん)するのだから、102どちらかと()へば(おれ)(はう)余程(よほど)(そん)がゆくやうなものだが、103申込(まをしこ)んだ(はう)から実物(じつぶつ)二倍(にばい)三倍(さんばい)提供(ていきよう)すると()ふことは、104現代(げんだい)人間(にんげん)不文律(ふぶんりつ)だから、105(おれ)(もの)(おほ)きいが交換(かうくわん)をして(もら)ひたい』
106竜国別八畳敷(はちでふじき)交換(かうくわん)して(たま)るものかい。107(ある)くのに妨害(ばうがい)になつて仕方(しかた)()いワ』
108怪物『アハヽヽヽ、109人間(にんげん)()ふものは(きたな)いものだな。110(すぐ)にそんなとこへ()(まは)しよる。111(おれ)要望(えうばう)するのは、112そんなものぢやない。113貴様(きさま)(あま)()(ちひ)さいから、114(むか)(さき)()えぬ盲目(めくら)同様(どうやう)化物(ばけもの)だ。115それで(おれ)()貴様(きさま)()交換(かうくわん)して()れと()ふのだ』
116竜国別『その(やう)(おほ)きな()(おれ)(つら)()てやうものなら、117(ひと)つで一杯(いつぱい)になつて(しま)ふワ』
118怪物(ひと)()小僧(こぞう)()化物(ばけもの)があるそうだ。119(まへ)恰度(ちやうど)それに(たましひ)適合(てきがふ)して()る。120霊肉(れいにく)一致(いつち)だから交換(かうくわん)してくれ』
121竜国別(ひと)つの()(あま)るぢやないか』
122怪物(のこ)(ひと)つは後頭部(こうとうぶ)()けたらよからう。123さうすれば(まへ)(うし)ろも、124よくわかつて調法(てうはふ)だぞ。125サア強圧(きやうあつ)(てき)眼玉(めだま)()いて()()へてやらうか』
126竜国別(おれ)人間(にんげん)(さま)だ。127(この)()十分(じふぶん)(よう)()して()るのだ。128()交換(かうくわん)御免(ごめん)(かうむ)る』
129怪物一旦(いつたん)()()した(こと)(あと)退()かぬ(それがし)だ。130そんなら仕方(しかた)がない。131(まへ)(くさ)つた(たましひ)受取(うけと)らう』
132竜国別馬鹿(ばか)()ふな。133(おれ)(たましひ)水晶玉(すいしやうだま)だ。134何処(どこ)(くさ)つて()るか。135(おほ)きな()()きよつて、136それが()えぬのか』
137怪物貴様(きさま)高城山(たかしろやま)山麓(さんろく)138松姫(まつひめ)(やかた)(おい)四足(よつあし)になつた代物(しろもの)ぢやないか。139(おれ)素性(すじやう)(わか)らぬ(はず)はあるまい』
140竜国別『ハテナー、141一体(いつたい)貴様(きさま)何者(なにもの)だ。142(おれ)(こと)をよく()つてるぢやないか』
143怪物『アハヽヽヽ』
144(わら)(なが)ら、145被物(かぶりもの)をツツと()げばこは如何(いか)に、146(まが)(かた)なき松姫(まつひめ)であつた。
147竜国別『ヤア貴女(あなた)松姫(まつひめ)さま、148随分(ずゐぶん)悪戯(いたづら)をなさいますな。149本当(ほんたう)肝玉(きもだま)転宅(てんたく)しかけましたよ』
150怪物『オホヽヽヽ、151(わたし)松姫(まつひめ)()えますかな。152それだから()()(たま)交換(かうくわん)しようと()つたのだよ』
153竜国別『そんならお(まへ)何者(なにもの)だ』
154怪物(ゆき)(せい)から(あら)はれた雪姫(ゆきひめ)()ふものだよ』
155竜国別(ゆき)にでも(れい)があるのかなア』
156雪姫(怪物)『お(まへ)(こころ)(そら)真如(しんによ)太陽(たいやう)(かがや)(わた)らぬ(かぎ)り、157()雪姫(ゆきひめ)(なぞ)()けないよ。158(くも)()つた今日(けふ)(そら)のやうな身魂(みたま)では、159可愛相(かあいさう)()(ろく)()えまい』
160竜国別(まり)のやうな()()いて(あら)はれて()るものだから、161的切(てつき)(たぬき)のお(ばけ)(おも)つたのだ。162雪姫(ゆきひめ)はそんなに種々(いろいろ)変化(へんげ)出来(でき)るものかなア』
163雪姫ゆき(つま)つて、164()くに()かれぬ橡麺棒(とちめんぼう)()つた(とき)は、165(まへ)でも(おほ)きな()()()して(こま)るだらうがなア。166さうだからデカイきつい()()うたと()ふのだ。167モー(ひと)()(のぞ)みなら(おほ)きな()()いて、168御覧(ごらん)()れようか』
169竜国別『いやモー沢山(たくさん)だ。170めい惑千万(わくせんばん)171これで()遠慮(ゑんりよ)(まを)して()かう』
172 雪姫(ゆきひめ)は、
173雪姫『これでもかア』
174()(なが)ら、175(じや)()(かさ)のやうな、176(おほ)きな()()いて()せる。177竜国別(たつくにわけ)(おどろ)いて(うしろ)(たふ)れる途端(とたん)に、178雪姫(ゆきひめ)(たちま)白狐(びやくこ)となつて一目散(いちもくさん)山道(やまみち)駆出(かけだ)()げて()く。
179竜国別『アヽ(えら)いビツクリさせよつた。180奴狐(どぎつね)野郎(やらう)181彼奴(あいつ)正体(しやうたい)がモウ()(わか)つた以上(いじやう)(べつ)(おそ)れることもない。182(あと)()つかけて往生(わうじやう)させねば宣伝使(せんでんし)(やく)(つと)まらぬ。183(しか)しこの大雪(おほゆき)(なか)184四足(よつあし)(ある)きよからうが、185人間(にんげん)一寸(ちよつと)(こま)るワイ』
186独語(どくご)(なが)四辺(あたり)()れば(ろく)(しやく)有余(いうよ)もタマつたと(おも)(ゆき)は、187(わづ)一寸(いつすん)(ばか)り、188(きつね)足形(あしかた)がついて()る。
189 竜国別(たつくにわけ)()()んでドツカと(すわ)り、
190竜国別『アヽ(なん)(こと)だ、191(きつね)(やつ)192(おれ)(つま)()つたなア。193(いち)(にち)(ほね)()つて(ふか)雪路(ゆきみち)(すす)んだ(つも)りだつたが、194矢張(やつぱり)(もと)岩蔭(いはかげ)だつたワイ。195(おれ)はどうかして()ると()える。196サアこれから(ひと)天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、197大神(おほかみ)()神力(しんりき)頂戴(ちやうだい)して前進(ぜんしん)することにしよう。198(おも)はぬ(ところ)(おも)はぬ(ゆめ)()たものだ。199どうやら()()けたらしい。200()(きつね)足跡(あしあと)()むで()けば、201道路(みち)(わか)るだらう』
202薄雪(はくせつ)(いん)した足跡(あしあと)(たよ)りにドシドシ(すす)()く。
203 七八丁(しちはつちやう)(ばか)前進(ぜんしん)したと(おも)(とき)204一頭(いつとう)(しし)(あら)はれ(まへ)(よこ)ぎる。
205竜国別『ハテ不思議(ふしぎ)だ。206(きつね)足跡(あしあと)があると(おも)へば(また)(しし)だ。207今度目(こんどめ)本当(ほんたう)(たぬき)野郎(やらう)出会(でつくは)すのかも()れないぞ』
208(たたず)(をり)しも、209何処(どこ)ともなく(くう)()つてヒユウと(うな)(なが)ら、210頭上(づじやう)(かす)めて一本(いつぽん)(なが)()(しし)面部(めんぶ)発止(はつし)突立(つきた)つ。
211 (しし)狼狽(うろた)(さわ)いで(ころ)(まは)り、212(つひ)(ひと)つの禿山(はげやま)()えて、213(むか)ふの(たに)姿(すがた)(かく)したり。
214竜国別『アヽ可愛相(かあいさう)なことだ。215(とり)216(けだもの)でも(たす)けるのが吾々(われわれ)(やく)だ。217これや(かみ)(さま)吾々(われわれ)()()いて御座(ござ)るのかも()れない。218(これ)見捨(みす)てて()つては大変(たいへん)だ。219(さいは)薄雪(はくせつ)(のこ)つた足跡(あしあと)(たづ)ねて、220(しし)のお宿(やど)(さが)し、221鎮魂(ちんこん)(ほどこ)して(たす)けてやらねばならぬ。222(また)()()()いてやらねば到底(たうてい)(たす)かるまい。223(なに)()もあれこれを(すく)ふが第一(だいいち)だ』
224禿山(はげやま)をトントン(のぼ)(すす)()く。
225 此処(ここ)大谷山(おほたにやま)山麓(さんろく)226岩ケ谷(いはがたに)といふ(すすき)()(しげ)つた、227(ひと)()つたことのないやうな草原(くさはら)である。228彼方(あちら)此方(こちら)()ちたる血糊(ちのり)(たづ)ねて(すす)んで()くと、229其処(そこ)(ひと)つの岩穴(いはあな)があり、230以前(いぜん)(しし)(すで)縡切(ことき)れてゐる。
231竜国別(たつくにわけ)『ハヽア此処(ここ)(しし)棲処(すみか)だつたなア。232それでも途中(とちう)()なずに、233自分(じぶん)棲処(すみか)まで(かへ)つて(たふ)れたのはまだしも、234(しし)()つては幸福(しあはせ)だ。235何処(どこ)此処(ここら)(あつ)(はうむ)つてやらう』
236手頃(てごろ)(いし)(ひろ)つて、237(つち)をカチカチ()(はじ)める。
238 岩穴(いはあな)(なか)より二十(にじふ)五六(ごろく)(をんな)239(つの)()やして莞爾(にこ)々々(にこ)(なが)()(きた)り、240矢庭(やには)(しし)屍骸(しがい)(とり)つき()()(はじ)める。241竜国別(たつくにわけ)(だま)つて(この)様子(やうす)(なが)めて()ると鬼娘(おにむすめ)は、242美味(うま)さうにチウチウと(おと)をさせて全身(ぜんしん)()をスツカリと()つて(しま)ひ、243(はら)両手(りやうて)()(なが)竜国別(たつくにわけ)()つて()るのに()がついたと()え、244()(まる)くし、245(くち)(とが)らし、
246女(お光)『ヤアお(まへ)竜若(たつわか)ぢやないか』
247()めつける(もの)すごさに、248竜国別(たつくにわけ)は、
249竜国別『オイ、250(まへ)はお(みつ)ぢやないか。251(まへ)両親(りやうしん)行方(ゆくへ)()れぬので毎日(まいにち)日日(ひにち)心配(しんぱい)して()つたよ。252ウラナイ(けう)高城山(たかしろやま)(やかた)へも幾度(いくど)参拝(さんぱい)して()たが、253如何(どう)しても()れないので、254()()命日(めいにち)(さだ)めて立派(りつぱ)葬式(さうしき)(いとな)まれたが、255()(とき)(おれ)祭官(さいくわん)(れつ)したことがある。256サアサアお(まへ)(はや)(おや)(うち)(かへ)れ。257こんな(ところ)鬼娘(おにむすめ)になつては(たま)らないぞ。258高春山(たかはるやま)(おれ)征伐(せいばつ)()くものだが、259これから()れて()つてやるのは(やす)いけれど、260(をんな)同道(どうだう)(ゆる)されないから、261これから(はや)(いへ)(かへ)つたら如何(どう)だ』
262お光『コレ竜若(たつわか)さん、263(わたし)祖母(おばあ)さんの眉毛(まゆげ)()つて()ました(とき)264(あやま)つて(かほ)()り、265沢山(たくさん)()()たので、266(おどろ)いて()めて()たところ、267それから生血(いきち)(あぢ)をおぼえて、268人間(にんげん)(けだもの)()()ひたくなり、269到頭(たうとう)こんなに(あたま)(つの)()えて鬼娘(おにむすめ)になつて(しま)つたのだ。270()んな(ざま)して如何(どう)して我家(うち)(かへ)れませう。271(まへ)さんも(わたし)所在(ありか)()つた以上(いじやう)は、272(むら)(かへ)つて(しやべ)るであらう。273さうすれば(わたし)最早(もはや)()(をは)りだから、274自分(じぶん)肉体(にくたい)保護(ほご)(うへ)から、275()(どく)(なが)らお(まへ)生命(いのち)(もら)ふのだ。276覚悟(かくご)()され』
277竜国別『そんな無茶(むちや)(こと)()ふない。278チツとはお(まへ)恩義(おんぎ)()ふことを()つて()るだらう。279()小父(をぢ)さんが貴様(きさま)子供(こども)(とき)には、280()うたり、281()いたり、282小便(せうべん)をさしてやつたり、283うんこ掃除(さうぢ)まで世話(せわ)をやいてやつたのを(おぼ)えて()るだらう。284ちつとは()義理(ぎり)ででも、285(おれ)()ふなんて()ふことが出来(でき)るものか。286(おん)()らぬものは、287人間(にんげん)ぢやないぞ。288(からす)反哺(はんぽ)(かう)あり、289(いぬ)三日(みつか)()うて(もら)つた主人(しゆじん)を、290一生(いつしやう)(わす)れぬと()ふぢやないか』
291お光『そんな(こと)(わか)つて()つて、292如何(どう)して鬼娘(おにむすめ)になれますか。293()(なか)義理(ぎり)や、294人情(にんじやう)(かま)つて()つたら、295(おに)修行(しうぎやう)出来(でき)るものぢやない。296サア小父(をぢ)さん、297此処(ここ)()うたがお(まへ)(うん)()きだ。298アヽ美味(うま)さうな()(にほひ)がして()る。299()まないけれどよばれませう』
300竜国別『コラコラ(おれ)今迄(いままで)竜若(たつわか)とは(ちが)ふぞ。301神力(しんりき)無限(むげん)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)302言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)(おん)(おぼ)芽出度(めでた)竜国別(たつくにわけの)(みこと)ぢや。303馬鹿(ばか)(こと)(いた)すと地獄(ぢごく)どん(ぞこ)(おと)されて、304(おに)成敗(せいばい)()はねばならぬぞ。305未来(みらい)(おそ)れぬか』
306お光『ホヽヽヽヽ、307鬼娘(おにむすめ)地獄(ぢごく)(おに)(こは)くて、308如何(どう)なりませう。309これでも地獄(ぢごく)()つたら、310立派(りつぱ)鬼娘(おにむすめ)()たと()つて、311持囃(もてはや)されるのだ。312(わたし)(おに)になるのが願望(ぐわんばう)だ。313(まへ)生血(いきち)()へば、314もう一層(いつそう)立派(りつぱ)鬼娘(おにむすめ)になれる。315(しし)生血(いきち)最早(もはや)()()いたから』
316竜国別如何(どう)しても(おれ)()ふと()ふのか。317イヤ()()はうと(まを)すのか』
318お光如何(どう)しても()はねば(わたし)身体(からだ)()えて()る。319(わたし)(くる)しいから、320義理(ぎり)321人情(にんじやう)(かへり)みる(いとま)がない。322(しか)しあんまり()世話(せわ)になつたのだから、323何処(どこ)とはなしに()(どく)なやうな(かん)じがする。324ちつとばかり()うてこらへて()げませう』
325手頃(てごろ)(いし)(もつ)て、326竜国別(たつくにわけ)(ひたひ)をカツカツと()つた。327竜国別(たつくにわけ)()(とほ)くなり、328()()(たふ)れた。
329お光『アヽ()(どく)小父(をぢ)さんだ。330沢山(たくさん)()むと生命(いのち)(あやふ)いから、331一二升(いちにしよう)(ばか)()んでこらへて()げよう』
332傷口(きずぐち)(くち)()て、333チウチウと()(はじ)めた。
334お光『アヽ如何(どう)したものか、335()()はエグイ。336なかなか苦味(にがみ)がある。337矢張(やつぱり)身魂(みたま)(くも)つて()ると()えて、338(なが)れる()まで(あぢ)(わる)いのかなア。339サアサア小父(をぢ)さん、340モーこらへて()げよう。341()きなさい』
342()(おこ)されて竜国別(たつくにわけ)(われ)(かへ)り、
343竜国別『アヽなんだか気分(きぶん)がスイツとした。344(にはか)身体(からだ)(かる)くなり、345()までハツキリして()たやうだ』
346お光『お(まへ)血管(けつくわん)(とほ)つて()悪霊(あくれい)薩張(さつぱり)()うて()げたのだから、347モーお(まへ)さんは結構(けつこう)(あか)(まこと)()(ばか)りになつて(しま)つたのだよ。348(この)(うへ)最早(もはや)(わたくし)()()はぬ。349(まへ)さんは(いよいよ)大和(やまと)(だましひ)生粋(きつすゐ)になつて(しま)つた。350(しか)(この)(こと)(たれ)にも(はな)してはなりませぬぞや。351(はな)すが最後(さいご)(せん)()()かふからでも(わたし)(みみ)(きこ)えるから、352(ちう)(かけ)つて()き、353(まへ)素首(そつくび)引抜(ひきぬ)くから、354()覚悟(かくご)でゐて(くだ)さいや。355此処(ここ)(ころ)すのは(やす)いけれど、356(まへ)(たす)けられたと()弱味(よわみ)があるので、357如何(いか)悪党(あくたう)鬼娘(おにむすめ)でも如何(どう)する(こと)出来(でき)ない。358(しか)(わたし)(いま)約束(やくそく)して、359それを(やぶ)れば、360(はじ)めてお(まへ)さんに破約(はやく)(つみ)出来(でき)たのだから、361(その)(とき)堂々(だうだう)生命(いのち)()りに()くから、362()覚悟(かくご)(かへ)つて(くだ)さい。363これで高春山(たかはるやま)征伐(せいばつ)立派(りつぱ)出来(でき)るだらう。364人間(にんげん)万事(ばんじ)塞翁(さいをう)(うま)だ。365(わたし)(えら)()()はされて、366(その)結果(けつくわ)(まこと)手柄(てがら)(あら)はす(やう)になるので、367()はば(わたくし)はお(まへ)さんの守護神(しゆごじん)のやうなものだ。368感謝(かんしや)しなさい』
369竜国別(めう)理屈(りくつ)もあるものだなア。370(あたま)こつかれ、371()()はれて感謝(かんしや)するとは、372開闢(かいびやく)以来(いらい)()いたことがない。373何処(どこ)()うも勘定(かんぢやう)(ちが)つたのだらう』
374お光(きま)つた(こと)だ。375(ところ)(かは)れば(しな)(かは)る、376(いへ)(かは)れば(ふう)(かは)る、377(がう)()つては(がう)(したが)へだ。378世界(せかい)には賭博(ばくち)のアラを()つて(くに)会計(くわいけい)(たす)け、379国民(こくみん)安楽(あんらく)(くら)して()(くに)さへもあるぢやないか。380また一方(いつぱう)(くに)では賭博(ばくち)罪悪(ざいあく)としてゐるやうなもので、381社会(しやくわい)(ちが)へば善悪(ぜんあく)標準(へうじゆん)(ちが)ふのだ。382(しか)何処(どこ)()つても約束(やくそく)(やぶ)ると()(こと)罪悪(ざいあく)だぞえ。383天照(あまてらす)大神(おほかみ)(さま)素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)が、384(あま)(やす)河原(かはら)(なか)()いて誓約(うけひ)(あそ)ばしたではないか。385()(なか)には現界(げんかい)386幽界(いうかい)387神界(しんかい)区別(くべつ)なく、388約束(やくそく)(まも)ると()ふことが(もつと)大切(たいせつ)なことだ。389(これ)(やぶ)るのは罪悪(ざいあく)骨頂(こつちやう)だ。390(まへ)(わし)所在(ありか)(たれ)にも()はないと()ふことを誓約(せいやく)なされ。391さうでなければ、392(いま)此処(ここ)でお(まへ)生命(いのち)()つて(しま)ふ』
393竜国別(たつくにわけ)『なに、394(まへ)(たち)生命(いのち)()られるやうな(おれ)では()いが、395(まへ)生命(いのち)(うば)つた(ところ)仕方(しかた)がない。396つまり(おれ)罪人(ざいにん)になるだけだから、397此処(ここ)はうまく妥協(だけふ)して(たがひ)()はないと()約束(やくそく)をしよう』
398(みつ)『そんなら(たす)けて()げよう。399トツトとお(かへ)りなさい。400屹度(きつと)()ひませぬな』
401竜国別(たつくにわけ)『ウン、402(おれ)(をとこ)だ。403屹度(きつと)約束(やくそく)(まも)るから安心(あんしん)して()れ』
404(みつ)左様(さやう)なら』
405()つた()り、406岩窟(がんくつ)(なか)(ふか)(かげ)(ぼつ)したり。
407 竜国別(たつくにわけ)(ひたひ)(きず)()(なが)ら、408(もと)()(みち)引返(ひきかへ)し、409それより(ひだり)()つて枯草(かれくさ)(しげ)小径(こみち)悄々(すごすご)(のぼ)()く。
410大正一一・五・二〇 旧四・二四 外山豊二録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→