霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 (くしび)(をんな)〔六八六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻 篇:第3篇 男女共権 よみ:だんじょきょうけん
章:第12章 第21巻 よみ:くしびのおんな 通し章番号:686
口述日:1922(大正11)年05月20日(旧04月24日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
竜国別は宣伝歌を歌いながら、大谷山の谷深く進んで行った。年老いた松の木立の下で一夜の雨露を凌ごうと立ち止まった。ふと傍らを見ると、小さな祠がある。竜国別は天津祝詞を奏上し、宣伝歌を歌った。
祠の社の下で横たわっていると、夜更けに女の泣き声で眼を覚ました。数人の男が一人の女をこの場に連れてきた。
男たちは、女にアルプス教のカーリンスの奥方になるように、と無理強いしている。しかし女は強気で男たちに食ってかかり、要求を断固として拒否している。女は物怖じせずに男たちを痛罵した。
男たちは怒って、無理やり女を連れ去ろうとする。竜国別は祠の後ろから、大自在天だと言って怒鳴りつけた。驚いた男たちは走り去ってしまう。女は静かに社に進み来ると、何事か暗祈黙祷している。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2112
愛善世界社版:206頁 八幡書店版:第4輯 340頁 修補版: 校定版:212頁 普及版:93頁 初版: ページ備考:
001 竜国別(たつくにわけ)小声(こごゑ)宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら、002大谷山(おほたにやま)(たに)(ふか)(すす)()る。
003 (ゆふ)べを()ぐる(かね)(こゑ)004諸行無常(しよぎやうむじやう)()(ひび)く。005(そら)(からす)幾千羽(いくせんば)006(ねぐら)(もと)めてカアカアと物憂(ものう)げに()()つる。007()()(かぜ)樹々(きぎ)(こずゑ)七五三(しちごさん)(ゆす)つて()る。008竜国別(たつくにわけ)(とし)()りたる(まつ)木立(こだち)()()りて一夜(いちや)雨露(うろ)(しの)がんと、009(かたはら)()れば(ちひ)さき(ほこら)がある。
010竜国別(たつくにわけ)『アヽ有難(ありがた)い、011(いづ)れかの神様(かみさま)のお(やしろ)()つて()る。012大方(おほかた)013山口(やまぐち)神様(かみさま)(まつ)つてあるのだらう』
014独言(ひとりご)ちつつ神前(しんぜん)(うやうや)しく拍手叩頭(はくしゆこうとう)し、015天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、016宣伝歌(せんでんか)をうたつて(ほこら)(うしろ)(よこた)はる。017(その)(うた)
018三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
019玉治別(たまはるわけ)国依別(くによりわけ)
020(かみ)使(つかひ)諸共(もろとも)
021津田(つだ)湖辺(こへん)到着(たうちやく)
022鷹依姫(たかよりひめ)(ちから)とも
023(つゑ)とも(たの)秘密文(ひみつぶみ)
024ふとした(こと)より()()れて
025(てき)配置(はいち)(ことごと)
026()()(ごと)探索(たんさく)
027(ここ)間道(かんだう)(くぐ)りつつ
028山野(さんや)(つた)ひて(きた)るうち
029()(やうや)くに()()てて
030行手(ゆくて)()えずなりければ
031千引(ちびき)(いは)(いは)()
032そつと()()()(ゆき)
033(しの)ぎて一夜(いちや)()かすうち
034(あら)はれ(きた)妙齢(めうれい)
035(はな)をあざむく(いち)婦人(ふじん)
036赤子(あかご)(むね)(いだ)きつつ
037寒気(かんき)()ぢられ()(あし)
038(まま)にならねば一夜(ひとよさ)
039(われ)暖気(だんき)(あた)へよと
040身辺(しんぺん)(ちか)(おそ)()
041(われ)(この)()(すく)うてふ
042(かみ)(をしへ)宣伝使(せんでんし)
043高春山(たかはるやま)曲神(まがかみ)
044言向(ことむ)(やは)(かへ)るまで
045(をんな)(はだ)()れまじと
046(ただ)一言(いちごん)(ことわ)れば
047(をんな)(また)もや()(あは)
048()()()れよと(ねが)()
049ふと(かたはら)()をやれば
050(てん)(あた)へか枯小柴(かれこしば)
051(たちま)(ひうち)()()でて
052()(てん)ずれば炎々(えんえん)
053四辺(あたり)真昼(まひる)(ごと)くなり
054(をんな)(かほ)はありありと
055生地(きぢ)(まで)スツカリ()えて()
056男尊女卑(だんそんぢよひ)言論(げんろん)
057女尊男卑(ぢよそんだんぴ)弁舌(べんぜつ)
058(あま)瓊鉾(ぬぼこ)(舌)を()()まし
059火花(ひばな)()らして(たたか)へば
060(をんな)もさるもの中々(なかなか)
061(わが)言霊(ことたま)(おそ)れない
062(すで)(あやふ)()えし(とき)
063彼方(あちら)此方(こちら)谷々(たにだに)
064木霊(こだま)(ひび)かせ(すす)()
065法螺貝(ほらがひ)()いた大男(おほをとこ)
066(たちま)(この)()(あら)はれて
067魔性(ましやう)(をんな)一睨(ひとにら)
068(をんな)(おどろ)()きし()
069(すぐ)火中(くわちう)()()てて
070(くも)(かすみ)()げて()
071(われ)睡魔(すゐま)(おそ)はれて
072夢路(ゆめぢ)辿(たど)折柄(をりから)
073()(おこ)されて()(ひら)
074四辺(あたり)きよろきよろ見廻(みまは)せば
075大江(おおえ)(やま)(あら)はれし
076鬼武彦(おにたけひこ)白狐神(びやくこがみ)
077(つづ)いて言依姫神(ことよりひめのかみ)
078()眼前(がんぜん)(あら)はれて
079急場(きふば)(すく)(たま)ひつつ
080妙音菩薩(めうおんぼさつ)音楽(おんがく)
081()れて(この)()()えたまふ
082竜国別(たつくにわけ)(ただ)一人(ひとり)
083(いはほ)(せな)にうとうとと
084(ねむ)りながらに()けを()
085(ゆき)(しき)りに()(きた)
086(みち)(ふさ)がり進退(しんたい)
087自由(じいう)(うしな)ユキ()まる
088(なか)をも(いと)はず荒魂(あらみたま)
089勇気(ゆうき)()してザクザクと
090(すす)(をり)しもむくむくと
091(ゆき)(なか)より(あら)はれし
092不思議(ふしぎ)(をんな)()をひかれ
093(やぶ)れた小屋(こや)(ともな)はれ
094種々(いろいろ)雑多(ざつた)問題(もんだい)
095()きかけられて(こま)()
096如何(いかが)はせんと(おも)ふうち
097(かさ)のやうなる()()いて
098パツと()えたと(おも)ひきや
099(たちま)(かは)大白狐(おほびやくこ)
100山路(やまぢ)目蒐(めが)けて駆出(かけい)だす
101よくよく()ればこは如何(いか)
102五尺(ごしやく)有余(いうよ)(つも)りたる
103(ゆき)山路(やまぢ)はいつとなく
104()えて(わづ)かな薄雪(うすゆき)
105不審(ふしん)(むね)()きながら
106ふと(かたはら)(なが)むれば
107(あに)(はか)らんや(いは)()
108くだらぬ夢路(ゆめぢ)辿(たど)りつつ
109(こころ)(まなこ)()ぢて()
110朝日(あさひ)(ひかり)()沿()びて
111此処(ここ)()()でスタスタと
112(ゆき)(いん)した足跡(あしあと)
113(たづ)ねて(すす)(をり)もあれ
114(ゆき)()()けて駆来(かけきた)
115野猪(のじし)出遇(であ)(しばら)くは
116(みち)(たたず)(なが)()
117(くう)(かす)めて何処(どこ)よりか
118白羽(しらは)征矢(そや)()(きた)
119(しし)(かしら)()()てば
120(しし)(おどろ)右左(みぎひだり)
121(まへ)(うしろ)(くる)ひつつ
122(みね)尾上(をのへ)()(わた)
123谷間(たにま)()をば(かく)したり
124(とり)(けだもの)(すゑ)までも
125(すく)(たす)くる(かみ)(みち)
126これが見捨(みす)てて()かれうか
127(たす)けやらんと足跡(あしあと)
128(さぐ)りて谷間(たにま)(くだ)()
129(かや)茫々(ばうばう)()(しげ)
130人跡(じんせき)()えし(たに)(そこ)
131血糊(ちのり)(しる)べに()()れば
132自然(しぜん)穿(うが)てる(いは)(ほら)
133(その)(かたはら)(よこた)はる
134(しし)(かばね)(あは)れみて
135天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)
136(よみがへ)らせて(たす)けんと
137(おも)(をり)しも岩窟(がんくつ)
138(なか)より()づる鬼娘(おにむすめ)
139(たちま)(しし)にかぶりつき
140血汐(ちしほ)()()(いや)らしさ
141はて(いぶ)かしとよく()れば
142高城山(たかしろやま)近村(きんそん)
143(たつ)(むすめ)(うま)れたる
144(みつ)(かほ)によく()たり
145(みつ)血汐(ちしほ)()(をは)
146(わが)(かほ)じつと()(なが)
147(まへ)(となり)小父(をぢ)さまか
148(まへ)はお(みつ)(なん)として
149この山奥(やまおく)(しの)()
150(はや)(かへ)れと(うなが)せば
151(みつ)(くび)をふりながら
152(しし)血糊(ちのり)()()いた
153美味(うま)(にほひ)のするお(まへ)
154()はしておくれと強要(ねだり)よる
155これや大変(たいへん)(おどろ)いて
156なだめ(すか)しついろいろと
157義理(ぎり)人情(にんじやう)(をし)ふれば
158(みつ)はフンと(はな)(さき)
159馬耳東風(ばじとうふう)()(なが)
160義理(ぎり)人情(にんじやう)(わきま)へて
161如何(どう)して(おに)になれますか
162(まへ)生血(いきち)(ただ)一度(いちど)
163()ましてくれいと()ひながら
164手頃(てごろ)(いし)()()つて
165(たちま)(くだ)()(ひたひ)
166血潮(ちしほ)(かは)(ほとばし)
167(われ)(もろ)くも気絶(きぜつ)して
168前後(ぜんご)()らずなりけるが
169(にはか)()()寒風(かんぷう)
170(まなこ)()ませばこは如何(いか)
171(ひたひ)(すこ)(いた)けれど
172霊肉(れいにく)(とも)清々(すがすが)
173(あら)つたやうな心地(ここち)して
174(おに)(むすめ)誓約(うけひ)しつ
175やつと虎口(ここう)(のが)()
176崎嶇(きく)たる山路(やまぢ)辿(たど)りつつ
177(やうや)此処(ここ)につきにけり
178(つき)御空(みそら)(かがや)けど
179木立(こだち)(しげ)(ふか)くして
180(わが)(かげ)だにも()えかぬる
181椿(つばき)(もり)(みや)(した)
182明日(あす)はいよいよ大谷(おほたに)
183(やま)()()高春山(たかはるやま)
184(まが)(とりで)(むか)ふなり
185あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
186御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましまして
187三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
188高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)両人(りやうにん)
189(すく)(いだ)させ(たま)へかし
190野立(のだち)(ひこ)野立姫(のだちひめ)
191神素盞嗚大御神(かむすさのをのおほみかみ)
192木花姫(このはなひめ)御前(おんまへ)
193竜国別(たつくにわけ)神司(かむづかさ)
194(はるか)(いの)(たてまつ)る』
195(うた)(をは)つて古社(ふるやしろ)床下(ゆかした)(よこた)はり()る。
196 ()深々(しんしん)()(わた)り、197寂然(せきぜん)として()()のそよぎもピタリと()まつた丑満(うしみつ)(ころ)198(さる)()めるやうな(をんな)()(ごゑ)199刻々(こくこく)(ちか)づき(きた)る。200竜国別(たつくにわけ)()()まし(みみ)(かたむ)けて、201何者(なにもの)なるかと(いき)()らして(かんが)へて()る。202バタバタと数人(すうにん)足音(あしおと)203(をんな)一人(ひとり)(この)()()(きた)り、
204『サア、205もう()うなつた(うへ)は、206じたばたしても駄目(だめ)だ。207(てい)よくカーリンスの宣伝使(せんでんし)(おく)さまになつて、208左団扇(ひだりうちは)数多(あまた)乾児(こぶん)(あご)使(つか)身分(みぶん)となるのが、209(かへ)つてお(まへ)()()つて幸福(かうふく)だらう。210土臭(つちくさ)田舎者(ゐなかつぺい)心中立(しんぢうだ)てをしたつて(なん)になるか、211サア(はや)うウンと()へ』
212『お(まへ)立派(りつぱ)(をとこ)(くせ)に、213(わたし)のやうな繊弱(かよわ)一人(ひとり)(をんな)()つて(たか)つて、214無理往生(むりわうじやう)をさせようとは(ちつ)卑怯(ひけふ)ではありませぬか。215カーリンスとか()(ひと)に、216それだけの徳望(とくばう)があれば、217天下(てんか)(をんな)何程(なにほど)(そで)(はち)(はら)ふやうにして()つても、218獅噛(しが)みついてゆきます。219世間(せけん)から高春山(たかはるやま)のカーリンスの(おに)(うはさ)され、220蚰蜒(げぢげぢ)(へび)のやうに(きら)はれて()るお(かた)に、221(たれ)(なび)くものが()りませう。222前等(まへら)はその蚰蜒(げぢげぢ)(あご)使(つか)はれて()人間(にんげん)だから、223なほ(さら)鼻持(はなもち)のならぬ(をとこ)だ。224エヽ(けが)らはしい、225もう(さは)つて(くだ)さるな』
226此奴(こいつ)中々(なかなか)剛情(がうじやう)(をんな)だ、227よしよし貴様(きさま)がさう()れば此方(こつち)にも覚悟(かくご)がある』
228(その)覚悟(かくご)()かして(もら)ひませう』
229『そんな(こと)俺達(おれたち)秘密(ひみつ)だ、230貴様(きさま)()かす必要(ひつえう)何処(どこ)にあるか』
231『ありますとも、232(わたし)貴方等(あなたがた)目的物(もくてきぶつ)233()はば当局者(たうきよくしや)である。234秘密(ひみつ)()らずにどうして一日(いちにち)だつて(をさ)まつて()きますか』
235『エヽ、236(をんな)(くせ)(なに)ツベコベ(ほざ)くのだ、237()()いてやらうか』
238(くち)()()きなさつても(よろ)しい。239(しか)(なが)万々一(まんまんいち)(わたし)がカーリンスの女房(にようばう)になると(きま)つたら、240(まへ)(わたし)家来(けらい)ぢやないか。241さうすれば主人(しゆじん)(くち)()()き、242折角(せつかく)綺麗(きれい)(をんな)傷者(きずもの)にしたと()(つみ)を、243()うしてカーリンスにお(わび)をなさるか、244(わび)仕方(しかた)がありますまい』
245『たつて()()かうとは(まを)しませぬ。246(しか)(なが)我々(われわれ)要求(えうきう)()れて、247(おく)さまになつて(くだ)さいますか』
248『ホヽヽヽヽ、249()かんたらしい、250カーリンスの(よめ)になる(くらゐ)なら(からす)(よめ)()きますワ』
251七尺(しちしやく)男子(だんし)貴様(きさま)翻弄(ほんろう)するのか』
252(きま)つた(こと)ですよ。253(をんな)()ふものは(つよ)いものです。254(をんな)(かみ)()一条(ひとすぢ)あれば大象(だいざう)(つな)ぐと()魔力(まりよく)をもつて()る。255ヒヨツトコ野郎(やらう)五人(ごにん)六人(ろくにん)256(たば)になつて()(ところ)到底(たうてい)駄目(だめ)ですワ、257そんな謀反(むほん)大抵(たいてい)にしてお()めなさい。258(やま)()(いへ)(くら)も、259(した)(さき)()(さき)一遍(いつぺん)消滅(せうめつ)させたり、260顛覆(てんぷく)させたりするのは(をんな)(ちから)です。261前達(まへたち)(をとこ)(うま)れたと()つてエラさうにして()るが、262多寡(たくわ)()れた青瓢箪(あをべうたん)のお(ばけ)()(やう)なカーリンスに、263口汚(くちぎたな)なく()使(つか)はれて、264満足(まんぞく)をして()るやうな腰抜(こしぬ)けだから、265(おも)へば(おも)へば()(どく)なものだよ』
266『これや(をんな)267そんな劫託(がふたく)(なら)べる(くせ)に、268何故(なぜ)キヤツキヤツと悲鳴(ひめい)()げたのだ。269そんな空威張(からいば)りをしたつて駄目(だめ)だぞ』
270『ホヽヽヽヽ、271キヤアキヤアと()(こゑ)()(ごゑ)ですか。272(まへ)こそ(をんな)(くさ)つたやうな(さる)とも人間(にんげん)とも弁別(べんべつ)のつかぬ代物(しろもの)は、273キヤアキヤアと()うて()くだらうが、274(わたし)はお前等(まへたち)のする(こと)(あんま)可笑(をか)しいので、275キヤツキヤツと()つて(わら)つたのですよ』
276(なん)とマア強太(しぶと)(をんな)もあればあるものだなア。277(おれ)(うま)れてからこんな(をんな)出遇(であ)つた(こと)がないワ』
278出遇(であ)つた(こと)がない(はず)279世界(せかい)(をんな)はお(まへ)姿(すがた)()ても、280(まへ)(はう)から(かぜ)()いても、281(いや)がつて(みな)()げて仕舞(しま)ふ。282それもお(まへ)(つよ)いとか、283(こは)いとか()うて()げるのではない。284(けが)らはしくつて、285怪体(けつたい)(にほひ)がして鼻持(はなも)ちがならないから、286化物(ばけもの)だと(おも)つて()げるのですよ』
287仕方(しかた)のない(をんな)だなア。288こんな(をんな)()れて(かへ)つて、289カーリンスの(おく)さまにでもしようものなら、290俺達(おれたち)(かへ)つて迷惑(めいわく)になるかも()れやしないぞ』
291『ナニ(けつ)して迷惑(めいわく)にやなりませぬ。292キヨロキヨロ間誤(まご)ついて()ると、293ちよいちよい長煙管(ながきせる)がお前等(まへたち)のお(つむり)にお見舞(みまひ)(まを)(くらゐ)なものだよ。294けれども生命(いのち)には別条(べつでう)はないから安心(あんしん)なさい、295ホヽヽヽヽ』
296女子(によし)小人(せうじん)(やしな)(がた)し、297到底(たうてい)弁舌(べんぜつ)では俺達(おれたち)敗軍(はいぐん)だ。298不言実行(ふげんじつかう)(かぎ)る。299サア各自(めいめい)手足(てあし)()り、300高春山(たかはるやま)(かへ)つてゆかう。301これや(をんな)302()んぼ(あご)達者(たつしや)でも直接(ちよくせつ)行動(かうどう)には(かな)ふまい、303(をとこ)(くち)下手(へた)だが実地(じつち)(ちから)(つよ)いぞ』
304『ホヽヽヽヽ、305たつた一人(ひとり)繊弱(かよわ)(をんな)(たい)()つともない、306五人(ごにん)六人(ろくにん)一丈(いちぢやう)(まはし)をかいた荒男(あらをとこ)が、307蚯蚓(みみづ)(あり)()つて(たか)つて()()()むやうにせねば、308一人(ひとり)(をんな)引捉(ひつとら)へて、309その目的(もくてき)(たつ)する(こと)出来(でき)ないとは、310(なん)(をとこ)(ほど)(こま)つたものはないものだなア』
311(えら)さうに()ふない、312(をとこ)(はだか)百貫(ひやくくわん)()つて、313(からだ)(ひと)つあれば()(なか)立派(りつぱ)一人前(いちにんまへ)大丈夫(だいぢやうぶ)として通用(つうよう)するのだ。314(をんな)(かげ)ものだ。315もつと(をんな)らしく(しと)やかにしたら如何(どう)だい。316(をんな)(とく)柔順(じうじゆん)にあるのだぞ』
317(わたし)柔順(じうじゆん)なんか(だい)(きら)ひだ。318(わたし)(をんな)としての(とく)柔術(じうじゆつ)だ。319(ひと)見本(みほん)にお前達(まへたち)六人(ろくにん)を、320(つき)さまの世界(せかい)(まで)(はう)りあげて()ようか』
321『オイ(みな)(やつ)322如何(どう)しようかなア。323こんな(をんな)迂濶(うつかり)()れて(かへ)らうものなら、324()んな大騒動(だいさうどう)勃発(ぼつぱつ)するか()れたものぢやないぞ』
325『それだと()つて、326()れて(かへ)らねばカーリンスの親方(おやかた)(あは)(かほ)がなし、327(こま)つた(こと)になつたものだなア』
328(ひと)柔術(じうじゆつ)をお()にかけませうかな、329オホヽヽヽ』
330『エヽ、331この(うへ)直接(ちよくせつ)行動(かうどう)だ。332(おつ)333(へい)334(てい)335(ぼう)336()337一度(いちど)にかかれ』
338『ヨシ、339合点(がつてん)だ』
340六人(ろくにん)(をとこ)手取(てと)足取(あしと)無理(むり)(をんな)(かつ)()かむとする。341(をんな)(また)もやキヤツ キヤツと(しき)りに(さけ)ぶ。342(ほこら)(うしろ)より、
343(しばら)()てツ、344大自在天(だいじざいてん)大国別命(おほくにわけのみこと)これにあり、345(まを)(わた)仔細(しさい)がある』
346(らい)(ごと)呶鳴(どな)りつけた。347六人(ろくにん)(をんな)(その)()()()(くも)(かすみ)()()つた。348(をんな)静々(しづしづ)神前(しんぜん)(まう)で、349拍手(はくしゆ)しながら何事(なにごと)暗祈黙祷(あんきもくたう)をして()る。
350大正一一・五・二〇 旧四・二四 加藤明子録)