霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 仇花(あだばな)〔一四三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻 篇:第1篇 自愛之柵 よみ:じあいのしがらみ
章:第3章 第56巻 よみ:あだばな 通し章番号:1433
口述日:1923(大正12)年03月14日(旧01月27日) 口述場所:竜宮館 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2017-05-17 17:23:16 OBC :rm5603
愛善世界社版:30頁 八幡書店版:第10輯 156頁 修補版: 校定版:32頁 普及版:13頁 初版: ページ備考:
001さつき()花橘(はなたちばな)()()げば
002(むかし)(ひと)(そで)()ぞする
003 (ゆめ)にも(むす)(こひ)しき(わが)()(きみ)如何(いかが)なしつらむと、004恋路(こひぢ)(ふか)(おも)(ぐさ)
005 (はな)いろいろのブラックリストを()()()づる()(はな)や、006燕子花(かきつばた)007(むらさき)(そむ)山吹(やまぶき)色香(いろか)()でて(ただ)一人(ひとり)トボトボと青野ケ原(あをのがはら)辿(たど)()く。008(はな)(わが)()(すす)()(みち)()(わら)へども、009(ただ)一声(ひとこゑ)(おとづ)れもせず、010(その)足音(あしおと)さへも(きこ)えず、011百鳥(ももどり)四辺(あたり)山林(さんりん)()(さけ)べども、012(わが)(なみだ)(いま)()きず。013()にも()きざる(こひ)(いろ)014百花(ももばな)種子(たね)015(みどり)016(くれなゐ)017(しろ)018(あか)019()020爛漫(らんまん)()()づる(うらみ)(ふか)深百合(ふかゆり)や、021(かみ)(めぐみ)深見草(ふかみぐさ)022(こころ)()せて(すす)()の、023(こひ)しき()(をつと)(わらは)(こころ)白露(しらつゆ)の、024(こずゑ)(しも)はおくとても、025(なほ)常磐(ときは)なれや、026(たちばな)目覚草(めざめぐさ)のいと(きよ)し、027(きみ)御身(おんみ)には何事(なにごと)恙在(つつま)(たま)(こと)()くとも、028何方(いづかた)(おは)しますか、029(むかし)(こひ)(しの)(ぐさ)030(はる)めき(わた)りて花霞(はながすみ)031立上(たちのぼ)()(そら)()すてて()(かり)は、032(はな)()(さと)()みや(なら)へるかと、033(こころ)(そら)なる(うたが)ひに()ちぬ。034テルモン(ざん)神苑(しんゑん)()(ほこ)りたる若芽(わかめ)(はな)見捨(みす)ててはや一年(ひととせ)035(かへり)(たま)はぬ(をつと)情無(つれな)さ。036仮令(たとへ)(この)()(かばね)野辺(のべ)(さら)すとも、037(おも)ひつめたる(こひ)意地(いぢ)038足乳根(たらちね)父母(ふぼ)(ゆる)さぬ(こひ)(こが)れし()は、039款冬(くわんとう)(あやま)つて晩春(ばんしゆん)(かぜ)(ほころ)び、040躑躅(つつじ)夜遊(やいう)(ひと)(をり)()て、041(おどろ)(はる)(ゆめ)(うち)042胡蝶(こてふ)(たはむ)色香(いろか)()でしも、043(いま)となり(おも)(まは)せば(こころ)仇花(あだばな)なりしか。044(いま)()()夏草(なつぐさ)の、045湿茸(しめじ)(まじは)姫百合(ひめゆり)の、046手折(たを)(ひと)なき()浅間(あさま)しさ。047アア(こひ)しき鎌彦(かまひこ)(きみ)は、048(いづ)れにましますか、049(ただ)一目(ひとめ)()はまほしやと、050吹来(ふきく)(かぜ)(ひびき)にも、051とつおひつ(こころ)(なや)ませ(なが)ら、052(きた)(きた)へと(すす)()く。
053 (かか)(ところ)前方(むかふ)より、
054 とぼとぼ(きた)一人(ひとり)(をとこ)
055 (をんな)()るより(たたず)みて、
056 いぶかし()にも(なが)()る。
057 (をんな)()るより(おどろ)きの(こゑ)()()げて、
058ケリナ『アア貴方(あなた)(こひ)しき鎌彦(かまひこ)さまぢや(ござ)いませぬか、059()うしてマアこんな(ところ)()られましたか。060(わたし)貴方(あなた)がエルシナ(だに)(いほり)()て、061(ちつ)とばかり商売(あきなひ)をして(かね)(まう)けて()るからと仰有(おつしや)つて、062駱駝(らくだ)(ひき)つれ御出(おい)でになつた(その)(あと)は、063(おとな)(ひと)()一人住居(ひとりずまゐ)064晨夕(あしたゆふべ)一人寝(ひとりね)猛獣(まうじう)(こゑ)(おど)ルビは「おどろ」ではなく「おど」かされ、065(あき)(ゆふべ)(むし)()()いては哀傷(あいしやう)(なみだ)にくれ、066(うき)(かさな)つて(こころ)益々(ますます)感傷的(かんしやうてき)となり()()もあられぬ(おも)ひに()果敢(はか)なみて、067エルシナ(がは)()()げたと(おも)ひきや、068()()らぬ斯様(かやう)(ところ)(まよ)つて(まゐ)りました。069さても(うれ)しや斯様(かやう)(ところ)貴方(あなた)御目(おめ)(かか)らうとは(ゆめ)にも(ぞん)じませ(なん)だ、070(なつか)しう(ござ)います』
071()きつけば鎌彦(かまひこ)()(はな)し、
072鎌彦(かまひこ)『ケリナ(ひめ)073(まへ)(さだ)めて苦労(くらう)をしたであらう、074(まこと)にすまなかつた。075(しか)(なが)(わし)はお(まへ)には()(かく)して()はなかつたが、076(まへ)結婚(けつこん)する(まへ)に、077(こひ)(かたき)(おも)()み、078ベルジーと()(をとこ)をうまくチヨロマカして(ふち)()()み、079生命(いのち)をとつた()のお(かげ)で、080(まへ)(うれ)しい(なか)となり、081両親(りやうしん)()(しの)んでエルシナ(だに)(いほり)(むす)び、082偕老同穴(かいらうどうけつ)(ちぎ)(をり)しも()()なベルジーの怨霊(をんりやう)(あら)はれ、083(おそ)ろしい(かほ)をして(にら)みつけるのでお(まへ)(そば)()(こと)出来(でき)ず、084(また)(まへ)(かほ)がベルジーに()えて()(おそ)ろしくて仕方(しかた)()いので、085行商(ぎやうしやう)事寄(ことよ)せ、086駱駝(らくだ)引連(ひきつ)れて、087(まへ)(わか)れ、088彼方此方(あなたこなた)彷徨(さまよ)ふうち三人組(さんにんぐみ)泥坊(どろばう)出逢(であ)ひ、089持物(もちもの)一切(いつさい)掠奪(りやくだつ)され赤裸(まつぱだか)(まま)090ライオン(がは)()げこまれ、091(つみ)(むく)ひで(いま)冥途(めいど)八衢(やちまた)彷徨(さまよ)ふて()るのだ。092何卒(どうぞ)(わし)(こと)(おも)()つてくれぬと何時(いつ)(まで)天国(てんごく)()(こと)出来(でき)ないのだ。093(まへ)()此処(ここ)()精霊(せいれい)ではないやうだ。094(なん)とかして(はや)引返(ひきかへ)し、095御両親様(ごりやうしんさま)御詫(おわび)をなし、096相当(さうたう)(をつと)()一生(いつしやう)(おく)つてくれ。097それが(わし)(たの)みだ』
098()(あは)(なみだ)(とも)(をが)んでゐる。
099 ケリナは鎌彦(かまひこ)言葉(ことば)不審(ふしん)(むね)(いだ)(なが)(かしら)(かたむ)けて、100寸時(しばし)思案(しあん)(しづ)んでゐた。101(しばら)くあつて(かほ)()げ、
102ケリナ『モシ鎌彦(かまひこ)さま、103(いま)(はじ)めて貴方(あなた)御言葉(おことば)()いて(おどろ)きました。104(まへ)()(あい)らしいベルジーさまを(ころ)したのですか。105何故(なぜ)そんな(わる)(こと)をして(くだ)さいました。106あのベルジーさまは(じつ)(ところ)(わたし)(あに)(ござ)います。107(とう)さまが内証女(ないしようをんな)(はら)ませて(はは)(かく)して首陀(しゆだ)(いへ)へやつたので(ござ)いますよ。108(わたし)(その)(こと)(ちち)から()いて()りましたから、109(これ)(まで)ベルジーさまが(わたし)(いもうと)()らず幾度(いくたび)()()(あそ)ばした(こと)(ござ)いますが、110そこは(てい)よく(ことわ)つて()りました。111(おも)へば(おも)へば(こひ)しき(をつと)(あに)(かたき)であつたか。112(その)(はなし)()くにつけ、113貴方(あなた)(にく)らしいやら、114(こひ)しいやら(われ)(なが)(わが)(こころ)(あや)しうなつて(まゐ)りました』
115鎌彦(かまひこ)(わし)一度(いちど)ベルジーさまに御目(おめ)(かか)つてお(わび)をせなくてはなりませぬ。116(それ)(ゆゑ)霊界(れいかい)()てから所々(しよしよ)方々(はうばう)(その)所在(ありか)(さが)一言(ひとこと)御許(おゆる)しを(いただ)きたいとあせつて()りますが、117(うはさ)()けば、118()うやら天国(てんごく)にお()でになつたさうで御目(おめ)にかかる(こと)出来(でき)ず、119(じつ)(こま)()つて()ります。120貴方(あなた)兄妹(きやうだい)とあれば御兄(おあにい)さまに(かは)つて何卒(どうぞ)一言(ひとこと)(ゆる)すと()つて(くだ)さいませ。121さうすれば(この)鎌彦(かまひこ)(つみ)(ほど)けて天国(てんごく)生涯(しやうがい)(おく)れるでせう。122何卒(どうぞ)(いま)(まで)厚誼(よしみ)一言(ひとこと)(ゆる)すとの御言葉(おことば)(いただ)()(ござ)います』
123ケリナ『(わたし)貴方(あなた)(ゆる)すといふ資格(しかく)(ござ)いませぬ。124(また)(わたし)(あに)(あだ)()らずに夫婦(ふうふ)になつた(つみ)中々(なかなか)容易(ようい)なものでは(ござ)いますまい。125屹度(きつと)地獄(ぢごく)のドン(ぞこ)()ちねばならぬ(この)霊魂(みたま)126どうして左様(さやう)(こと)出来(でき)ませうか。127アア残念(ざんねん)(ござ)います』
128()(たふ)れる。
129 鎌彦(かまひこ)双手(もろて)()(くさ)生茂(おひしげ)地上(ちじやう)にドツカと()し、130悔悟(くわいご)(なみだ)()れてゐる。131(かか)(ところ)ヘスタスタとベル、132シャル、133ヘルの三人(さんにん)134覆面頭巾(ふくめんづきん)黒装束(くろしやうぞく)135(なが)(けん)(こし)にぶら()(なが)ら、136ドシドシとやつて()た。137ベルは鎌彦(かまひこ)姿(すがた)()るより(おどろ)いて、
138ベル『ヤア、139(まへ)はライオン(がは)川縁(かはべり)(おい)駱駝(らくだ)(ひき)行商(ぎやうしやう)にやつて()旅人(たびびと)ではなかつたか』
140鎌彦(かまひこ)『ウン、141さうだ。142あの(とき)泥坊(どろばう)はお前等(まへら)三人(さんにん)であつたなア。143到頭(たうとう)天命(てんめい)()きてお(まへ)冥途(めいど)(おく)られたのだな』
144ベル『馬鹿(ばか)をいふない。145貴様(きさま)()(ちが)ふたのか。146此処(ここ)冥途(めいど)ぢやないぞ。147俺達(おれたち)(いま)テルモン(ざん)(ふもと)(とほ)り、148泥坊稼(どろぼうかせ)ぎに(ある)いて()最中(さいちう)だ。149ライオン(がは)激流(げきりう)(おと)()んでやつた以上(いじやう)(その)(はう)最早(もはや)冥途(めいど)()つたと(おも)ひしに、150さてもさても生命冥加(いのちめうが)(やつ)ぢや。151何処(どこ)かの(やつ)(たす)けられ、152こんな(ところ)彷徨(さまよ)うてゐやがるのだな。153アハハハハ、154……アツお(まへ)はケリナとかいふナイスぢやないか。155何時(いつ)()にこんな(ところ)()()たのぢや。156サア、157此処(ここ)()つけたを(さいは)(おれ)女房(にようばう)になるのだぞ』
158ケリナ『ホホホホホ、159これはこれは泥坊(どろばう)親方様(おやかたさま)160貴方(あなた)はエルシナ(がは)()()んで(わたし)(たち)一緒(いつしよ)冥途(めいど)彷徨(さまよ)(きた)(なが)ら、161()泥坊(どろばう)をやらうとなさるのか。162好加減(いいかげん)改心(かいしん)をなさいませ』
163ベル『ハテナ、164さう()くと、165エー、166此奴等(こいつら)二人(ふたり)(やつ)とお(まへ)取合(とりあ)ひから格闘(かくとう)(はじ)め、167深淵(ふかぶち)落込(おちこ)んだと(おも)つたら、168(その)(とき)矢張(やつぱ)()んだのかなア。169ハテ、170合点(がてん)()かぬ(こと)ぢやワイ。171(わし)(ころ)したと(おも)(をとこ)此処(ここ)()つている。172(また)ナイスも此処(ここ)にゐる。173さうして四辺(あたり)景色(けしき)(べつ)(かは)つてゐないやうだし、174合点(がつてん)()かぬ(こと)だ。175オイ、176ヘル、177シャル、178貴様(きさま)此処(ここ)(なん)(おも)ふか』
179ヘル『ウン、180どうも俺達(おれたち)には現界(げんかい)とも幽界(いうかい)とも見当(けんたう)はつかないわ』
181シャル『(ゆめ)でも()てゐるのぢやなからうかなア』
182鎌彦(かまひこ)(けつ)して此処(ここ)現界(げんかい)ぢやありませぬよ。183モウ(すこ)(むか)ふへ()つて()なさい。184伊吹戸主神(いぶきどぬしのかみ)(さま)のお関所(せきしよ)(ござ)います。185さうしたらスツカリとお(まへ)()んでゐるか、186()きてゐるか(わか)るでせう。187(わたし)もお(まへ)御蔭(おかげ)生命(いのち)をとられ、188霊界(れいかい)()たので生前(せいぜん)(ひと)(ころ)した(つみ)(くる)しめられてゐるよりは、189(すこ)(ばか)(くる)しさが(うす)らいだやうに(おも)ふ。190(しか)(なが)(ひと)(ころ)した(つみ)何処(どこ)(まで)()ゆるものではない。191(まへ)(また)(わたし)肉体(にくたい)(ころ)したのだから、192屹度(きつと)(その)(つみ)()れまい。193(しか)(なが)神様(かみさま)吾々(われわれ)地獄(ぢごく)(おと)さうとはなさらぬ。194(この)中有界(ちううかい)彷徨(さまよ)はして天晴(あつば)(まこと)霊身(れいしん)になり、195(かみ)(ひかり)()()天国(てんごく)生涯(しやうがい)(おく)()()たせ(たま)ふのだ。196これからお(まへ)もモウ()うなつては仕方(しかた)がないから()(あらた)めて善道(ぜんだう)立帰(たちかへ)り、197天国(てんごく)生涯(しやうがい)(おく)つたがよからう』
198ベル『ハーテ、199(わけ)(わか)らぬ(こと)ばかり()(やつ)(あら)はれたものだなア』
200鎌彦(かまひこ)『サア、201(みな)さま、202これから(わたし)案内(あんない)(いた)しませう』
203(さき)()つ。204男女(なんによ)四人(よにん)(あと)(したが)ひ、205(くさ)茫々(ばうばう)()え、206種々(いろいろ)(はな)()(にほ)青芝道(あをしばみち)(こころ)欣々(いそいそ)(すす)()く。
207 (やうや)くにして八衢(やちまた)関所(せきしよ)()いた。208(しろ)(あか)との守衛(しゆゑい)(れい)(ごと)儼然(げんぜん)として(ひか)へてゐる。209鎌彦(かまひこ)何時(いつ)()にやら姿(すがた)()えなくなつてゐた。210(あか)守衛(しゆゑい)四人(よにん)姿(すがた)()て、211まづ第一(だいいち)にベルを()()し、212一々(いちいち)生前(せいぜん)罪状(ざいじやう)()調(しら)べ、
213(あか)『アアお(まへ)()うしても地獄行(ぢごくゆ)きだなア。214可愛相(かあいさう)だけれど、215自分(じぶん)(つく)つた地獄(ぢごく)だから、216アア仕方(しかた)がないわ』
217ベル『()(ほど)218(わたし)(おほ)せの(ごと)くよからぬ(こと)(いた)して()ました。219(しか)(なが)らコレも不知不識(しらずしらず)(あやま)ちで(ござ)いますから、220何卒(どうぞ)(ゆる)して(いただ)きたう(ござ)います。221神様(かみさま)(あい)(もつ)御本体(ごほんたい)となさるぢやありませぬか。222何処(どこ)(まで)悪人(あくにん)悪人(あくにん)として(ばつ)せず、223地獄(ぢごく)(くる)しみを(くわ)せず、224天国(てんごく)(すく)つて(くだ)さるが神様(かみさま)だと(おも)ひます。225悪人(あくにん)(ばつ)するのならそれは(けつ)して(あい)とは(まを)されますまい。226(あい)()けた(かみ)最早(もはや)(かみ)ではありますまい』
227(あか)『お(まへ)(ただち)地獄(ぢごく)()くべきものだが、228(いま)此処(ここ)でエンゼルが御説教(おせつけう)をなさるから、229(それ)()つて悔改(くいあらた)め、230エンゼルの御言葉(おことば)(みみ)()り、231(こころ)浸潤(しみこま)したならば屹度(きつと)天国(てんごく)(すく)はれるだらう。232(しか)(なが)らお(まへ)(つく)つた悪業(あくごふ)では、233エンゼルの御言葉(おことば)(みみ)()るまい。234人間(にんげん)霊肉脱離(れいにくだつり)して霊界(れいかい)(きた)八衢(やちまた)関所(せきしよ)()えて伊吹戸主(いぶきどぬし)(やかた)(みちび)()れられた(とき)には、235エンゼルが冥官(めいくわん)調(しら)べる以前(いぜん)一応(いちおう)接見(せつけん)して、236大神様(おほかみさま)高天原(たかあまはら)(およ)天人的(てんにんてき)生涯(しやうがい)(こと)をお()らせになり、237諸々(もろもろ)(ぜん)や、238真実(しんじつ)(をし)へて(くだ)さるやうになつてゐる。239(しか)(なが)らお(まへ)精霊(せいれい)()()つた(とき)に、240(かみ)屹度(きつと)八衢(やちまた)(おい)善悪(ぜんあく)(をしへ)をなし(その)(こころ)()けやうに()つて(あるひ)天国(てんごく)へ、241(あるひ)地獄(ぢごく)(みづか)()くと()(こと)生前(せいぜん)より(すで)承知(しようち)(なが)らも(こころ)(うち)(これ)(いな)んだり、242(あるひ)(これ)(かる)()てゐたから、243()うしてもエンゼルの言葉(ことば)(くる)しくて()(こと)出来(でき)まい。244エンゼルの御面(おかほ)(おそ)ろしくなり(むね)(いた)み、245居堪(ゐた)たまらず(よろこ)んで自分(じぶん)(むか)地獄(ぢごく)(みづか)()()むであらう。246(かみ)(けつ)して世界(せかい)人間(にんげん)精霊(せいれい)一人(ひとり)地獄(ぢごく)(おと)さうとは御考(おかんが)へなさるのではない。247(その)(ひと)(みづか)神様(かみさま)(せな)()(ひかり)(そむ)地獄(ぢごく)(むか)ふのである。248(その)地獄(ぢごく)はお(まへ)現世(げんせ)()つた(とき)(すで)和合(わがふ)した(ところ)のもので、249(あく)虚偽(きよぎ)とを(あい)する(こころ)(あつ)まり場所(ばしよ)である。250大神様(おほかみさま)はエンゼルの()()たり、251(かつ)高天原(たかあまはら)内流(ないりう)()つて(おのおの)精霊(せいれい)自分(じぶん)(はう)引寄(ひきよ)せむと(あそ)ばすけれども、252(もと)より(あく)虚偽(きよぎ)とに()()つたお前達(まへたち)精霊(せいれい)は、253仁慈無限(じんじむげん)神様(かみさま)御取計(おとりはか)らひを忌嫌(いみきら)ひ、254(ちから)(かぎ)(これ)抵抗(ていかう)し、255自分(じぶん)(はう)から神様(かみさま)()()(はな)()くものである。256自分(じぶん)所有(しよいう)する(ところ)(あく)虚偽(きよぎ)(かね)(くさり)(もつ)地獄(ぢごく)(みづか)引入(ひきい)るるが(ごと)きものである。257()はばお前等(まへたち)自由(じいう)意志(いし)(もつ)(みづか)地獄(ぢごく)堕落(だらく)するものだから神様(かみさま)(これ)()(あい)(ぜん)(しん)との(ちから)(あた)へ、258一人(ひとり)地獄(ぢごく)(おと)そまいと()せつて(ござ)るのだ。259どうぢやこれからエンゼルの御話(おはなし)()いて、260神様(かみさま)(そむ)いた(あく)虚偽(きよぎ)とをスツカリと払拭(ふつしき)天国(てんごく)生涯(しやうがい)(おく)()はないか』
261ベル『ハイ、262()(かく)人間(にんげん)意志(いし)自由(じいう)束縛(そくばく)される(ぐらゐ)(くる)しい(こと)(ござ)いませぬ。263天国(てんごく)()つて自分(じぶん)意志(いし)()はぬ(くる)しい生活(せいくわつ)をするよりも、264一層(いつそう)(こと)地獄(ぢごく)()つて(ちから)一杯(いつぱい)活動(くわつどう)して()たう(ござ)います』
265(あか)『ウン、266さうだらう。267(まへ)はどうしても地獄代物(ぢごくしろもの)だ。268(おのおの)所主(しよしゆ)(あい)()つて精霊(せいれい)(せき)(さだ)まるものだから、269どうしても(たす)けやうがないワ。270(しか)(なが)(この)生死簿(せいしぼ)には()だお(まへ)此処(ここ)()精霊(せいれい)ぢやないから、271(この)関所(せきしよ)()ゆる(こと)出来(でき)ない』
272ベル『ハテ、273合点(がてん)()かぬ(こと)だなア。274()きて()るのか、275()んで()るのか、276自分(じぶん)には(すこ)しも合点(がてん)()かぬ。277どうも()んだやうな(おぼ)えもなし、278だと()ふてエルシナ(がは)()()んだ(こと)(たしか)だし、279(その)(あひだ)(ひと)(すく)はれて()きてゐるのか、280(あるひ)()んでからも(のこ)つて()意志(いし)がハツキリしてゐるのか、281どうも(その)(てん)(わたし)には(わか)りませぬがなア』
282(あか)『ウン、283そらさうだ、284わかるまい。285仮令(たとへ)肉体(にくたい)(ほろ)ぶるとも、286人間(にんげん)本体(ほんたい)たる精霊(せいれい)意志想念(いしさうねん)継続(けいぞく)してゐるなり、287(また)生前(せいぜん)同様(どうやう)肉体(にくたい)(たも)つて()るのだから、288合点(がつてん)()かぬのは無理(むり)もない。289(しか)(なが)此処(ここ)幽冥界(いうめいかい)だ。290霊肉脱離後(れいにくだつりご)人間(にんげん)(すなは)精霊(せいれい))の()(ところ)だ。291サア、292(はや)此処(ここ)立去(たちさ)れ。293やがて(たれ)かが(むか)へに()るだらう。294モシ(むか)へに()なかつたならば、295(まへ)()きな地獄(ぢごく)()くだらう。296サア(はや)()てツ』
297金棒(かなぼう)(もつ)突出(つきだ)せば、298ベルはヨロヨロとし(なが)ら、299(かたはら)茫々(ばうばう)たる(くさ)(なか)(たふ)れて(しま)つた。
300大正一二・三・一四 旧一・二七 於竜宮館二階 外山豊二録)