霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 我執(がしふ)〔一四三九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻 篇:第2篇 宿縁妄執 よみ:しゅくえんもうしゅう
章:第9章 我執 よみ:がしゅう 通し章番号:1439
口述日:1923(大正12)年03月16日(旧01月29日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:119頁 八幡書店版:第10輯 190頁 修補版: 校定版:126頁 普及版:57頁 初版: ページ備考:
001 求道居士(きうだうこじ)(いき)をこめて()()てた法螺貝(ほらがひ)()にベル、002ヘル、003ケリナの三人(さんにん)(この)()より(けぶり)(ごと)姿(すがた)()した。004求道居士(きうだうこじ)(かげ)もいつしか()えて(かす)かに法螺(ほら)()(とほ)(きこ)えてゐる。005高姫(たかひめ)はシャル、006六造(ろくざう)二人(ふたり)(むか)ひ、
007高姫(たかひめ)『コレ、008シャル、009六造(ろくざう)両人(りやうにん)010(なん)高姫(たかひめ)神力(しんりき)(えら)いものだらうがなア。011(あま)()(つよ)いに()つて、012義理天上様(ぎりてんじやうさま)勘忍袋(かんにんぶくろ)をお()らし(あそ)ばし、013ホンの一寸(ちよつと)(にら)(あそ)ばすと(とも)に、014あの法螺吹(ほらふき)もベル、015ヘルの両人(りやうにん)もハイカラ(をんな)も、016(みな)一度(いちど)煙散霧消(えんさんむせう)跡型(あとかた)もなくなりにけり……といふ悲惨(ひさん)有様(ありさま)だ。017(これ)()改心(かいしん)をしなされ。018(ろく)さんは(また)(おし)(なに)かのやうに一言(ひとこと)もいはずに、019(いま)(まで)どこに()つたのだえ』
020六造(ろくざう)『ヘー、021(あま)法螺(ほら)(かひ)(おそ)ろしいので、022一寸(ちよつと)(かはや)(なか)隠居(いんきよ)して()りました。023随分(ずいぶん)(つよ)(やつ)がやつて()(もの)ですな。024それにしてもベルの(やつ)025(わたし)をライオン(がは)()()みやがつた天罰(てんばつ)(けぶり)(ごと)()えて(しま)つたのは小気味(こぎみ)のよいこつて(ござ)います。026(これ)(まつた)高姫(たかひめ)(さま)御神力(ごしんりき)(いた)(ところ)と、027有難(ありがた)感謝(かんしや)(いた)して()ります』
028高姫(たかひめ)『それだから(かみ)(もた)れてさへ()りたら(かみ)(かたき)()つてやらうと仰有(おつしや)るのだ。029(いま)(まで)のヤンチヤをスツカリ改良(かいりやう)して、030何事(なにごと)(この)生宮(いきみや)(まを)(とほ)りにするが()いぞや』
031六造(ろくざう)『ハイ、032(なん)でも(いた)しますが、033(しか)(なん)だか気分(きぶん)(わる)くなつて()ました。034一杯(いつぱい)おごつて(もら)いませぬと、035元気(げんき)()きませぬワ』
036高姫(たかひめ)『エーエ()(あが)りのした、037(まへ)はそれだから()かぬのだ。038(まへ)(かたき)をあの(とほ)消滅(せうめつ)さしてやり、039結構(けつこう)(をしへ)()かして()るのに、040一杯(いつぱい)()ませなんて、041(なん)()(あつ)かましい(こと)()ふのだいなア』
042六造(ろくざう)『イエ(わたし)(さけ)()ましてくれと()つたのぢや(ござ)いませぬ。043(まへ)さまの()つて()出刃(でば)(ふところ)()まして()しいと()つたのです。044どうか一口(ひとくち)(いただ)(わけ)には()きませぬかな』
045高姫(たかひめ)『ならんならん、046出刃(でば)のやうな兇器(きようき)()つて、047()うする(つもり)だい、048(また)出刃亀(でばがめ)にでもなる(つもり)だらう』
049六造(ろくざう)『イエ、050出刃亀(でばがめ)ぢやありませぬ、051出刃六(でばろく)になる(かんが)へです。052(これ)(もつ)風呂屋(ふろや)障子(しやうじ)四角(しかく)()り、053三助(さんすけ)やおさんの活動(くわつどう)(のぞ)(かんが)へです。054三助(さんすけ)とおさんと()れば(ろく)でせう。055そこへ(ろく)さんが這入(はい)ると六六三(ろくろくさん)十五夜(じふごや)満月(まんげつ)になりませうがな。056(まへ)さまは最前(さいぜん)小声(こごゑ)(うた)つてゐたでせう……十五夜(じふごや)片割月(かたわれづき)があるものか、057(くも)(かく)れてここに半分(はんぶん)……と()きましたよ。058十五夜(じふごや)片割月(かたわれづき)(あま)目出度(めでた)くありませぬから、059(わたし)(これ)から出刃六(でばろく)となり、060三五(さんご)(つき)となりて第一霊国(だいいちれいごく)(のぼ)り、061(つき)大神様(おほかみさま)に、062(まへ)さまの(いま)有様(ありさま)報告(はうこく)せうと(おも)つてゐるのだ。063どうです、064名案(めいあん)でせう』
065高姫(たかひめ)明暗(めいあん)顕幽(けんいう)もあるものか、066(まへ)(みたま)(やみ)(あん)だ。067それだから暗本丹(あんぽんたん)(ひと)()はれるのだよ。068(ろく)でなしだから、069()(まで)六造(ろくざう)だ。070どうで(つき)(くに)()けるやうな代物(しろもの)ぢやない。071六道(ろくだう)辻代物(つじしろもの)だ。072イヒヒヒヒ』
073六造(ろくざう)『コリヤ(たか)074(おれ)何方(どなた)心得(こころえ)てるンでえ、075エエン。076(いま)(まで)法螺(ほら)(ぷき)先生(せんせい)()よつたので、077(おれ)(いささ)面喰(めんくら)つてすつ()んでゐたのだが、078モウ()うなりや(しめ)たものだ。079(たれ)(はばか)(もの)もなし、080(ばば)一匹(いつぴき)二匹(にひき)(おれ)自由自在(じいうじざい)だ。081サア有金(ありがね)をスツパリ(わた)すか、082さなくば、083衣類(いるゐ)一切(いつさい)をここへつん()して、084あやまるか、085どうだ。086(きさま)(やり)(おれ)が、087(じつ)(ところ)はボキボキに()つといたのだ。088ゴテゴテ(まを)すと(いのち)がないぞ』
089高姫(たかひめ)『コレ、090シャル、091(まへ)(わたし)家来(けらい)ぢやないか、092(なに)をグヅグヅしてゐるのだい。093サ、094(この)出刃(でば)()すから、095(まけ)(おと)らず、096此奴(こやつ)対抗(たいかう)して()つつめてやりなさい。097(ぜん)(たす)(あく)(こら)すは(かみ)(みち)だ。098こんな(もの)()(なか)にウヨウヨしてゐると、099世界(せかい)にどれ(だけ)(がい)(なが)すか(わか)らない。100サア、101(これ)(しつか)(にぎ)つて強圧的(きやうあつてき)()るのだよ』
102シャル『高姫(たかひめ)さま、103チツト()れは自愛(じあい)ぢやありませぬか、104(わたし)(なん)だか地獄(ぢごく)()(かた)のやうに(おも)へてなりませぬがな、105威喝(ゐかつ)憤怒(ふんぬ)復讐(ふくしう)などは、106(かみ)(くに)には(かげ)さへもないぢやありませぬか』
107高姫(たかひめ)『エーエ、108()()かぬ(をとこ)だな、109正当防衛(せいたうばうゑい)といふ(こと)()つてゐるかい。110何程(なにほど)(まこと)(みち)だと()つても、111ジツとして()つたら、112(この)高姫(たかひめ)生宮(いきみや)がどんな()()はされまいものでもない。113(この)生宮(いきみや)大神様(おほかみさま)大切(たいせつ)なお道具(だうぐ)だから、114それを守護(しゆご)するのはお(まへ)役目(やくめ)だ。115サアお(まへ)手柄(てがら)(あら)はす(とき)だ。116かういふものの(この)高姫(たかひめ)は、117(ろく)のやうな(もの)千匹(せんびき)万匹(まんびき)(たば)になつて()たとて()とも(おも)うて()ないが、118(まへ)弟子入(でしい)りした初陣(うひぢん)功名(こうみやう)に、119此奴(こいつ)をとつつめさしてなるのだから、120生宮様(いきみやさま)のお(うま)(さき)功名(こうみやう)だ。121サア、122結構(けつこう)御神徳(ごしんとく)(いただ)くのは(いま)だぞえ。123エーエ、124(ふる)つてゐるのかいな、125(なん)()のチヨろい。126そんな(こと)で、127よう(いま)(まで)盗人(ぬすびと)出来(でき)たものだなア』
128六造(ろくざう)『ワツハハハハ、129オイ、130シャル、131(その)ザマは(なん)だ。132随分(ずいぶん)(からだ)微細(びさい)にワク……ワクと(うご)いてゐるぢやないか、133エヘヘヘヘ』
134シャル『オイ(ろく)135(おれ)(けつ)してお(まへ)抵抗(ていかう)する意志(いし)はないのだから、136(おれ)には(けつ)して危害(きがい)(くは)へないやうにしてくれ、137そして高姫(たかひめ)(なに)から(なに)まで()えすく生宮(いきみや)だから、138天下(てんか)(ため)(これ)傷付(きずつ)けるやうな(こと)があつては大変(たいへん)損害(そんがい)だよつて、139何卒(どうぞ)140そんな無理(むり)(こと)()はずに、141トツトと(かへ)つてくれ、142(たの)みだからなア』
143六造(ろくざう)『オイ(たか)144ツベコベと(ひと)受売(うけうり)(ばか)りしやがつて、145日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)標榜(へうばう)してゐるが、146一遍(いつぺん)(その)出刃(でば)此方(こつち)(わた)せ、147(じつ)(ところ)はお(まへ)(はら)()()つて、148日出神(ひのでのかみ)出現(しゆつげん)(ねが)(つもり)だ。149日出神(ひのでのかみ)もこんな肉体(にくたい)這入(はい)つて(ござ)つてはお()(どく)だからなア』
150 高姫(たかひめ)(やや)(ふる)(なが)ら、151ワザと空元気(からげんき)()し、
152(この)生宮(いきみや)(なん)とお(まへ)心得(こころえ)てるのか、153ヘグレのヘグレのヘグレ武者(むしや)154(ある)(とき)(てん)(わだか)まる(りう)ともなり、155(ある)(とき)蠑螈(いもり)となつて()(ひそ)め、156千変万化(せんぺんばんくわ)活動(くわつどう)をいたして、157(この)()守護(しゆご)(いた)弥勒様(みろくさま)太柱(ふとばしら)だ。158左様(さやう)(こと)(まを)すと神罰(しんばつ)(あた)つて、159(たちま)地獄行(ぢごくゆき)(いた)さねばならぬぞや』
160六造(ろくざう)(なん)だか(おれ)はお(まへ)(つら)()るとムカついて仕方(しかた)がないのだ。161地獄(ぢごく)(おと)されうが、162そんなこたア、163(かま)ふものかい。164地獄(ぢごく)()ちるのが(いや)だと()つて、165(こころ)にもないおベツカを使(つか)ふのは、166自分(じぶん)(いさぎよ)しとせざる(ところ)だ。167そんな(こころ)になれば、168(まへ)最前(さいぜん)()はれたやうに自愛心(じあいしん)になるのだから、169()つといて()れ。170それよりも一旦(いつたん)()()したらば(あと)へは()かぬ六造(ろくざう)だ。171サア、172キレーサツパリと、173(なに)もかも(わた)して(もら)ひませう』
174 シャルは一生懸命(いつしやうけんめい)に、
175義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)(さま)176一時(いつとき)(はや)(この)六造(ろくざう)改心(かいしん)さして(くだ)さいませ。177生宮様(いきみやさま)御難儀(ごなんぎ)(ござ)います。178惟神(かむながら)(たま)()はひませ』
179小声(こごゑ)(いの)つてゐる。180高姫(たかひめ)はツト()つて(この)()()()(さう)様子(やうす)()えた。181(ろく)背後(うしろ)からグツと首筋(くびすぢ)引掴(ひつつか)み、182(ちから)(まか)して引倒(ひきたふ)した。183シャルは(これ)()て、184(わが)()一大事(いちだいじ)と、185矢庭(やには)(ろく)胸倉(むなぐら)()り、186(ちから)(かぎ)りに()めつけた。187不思議(ふしぎ)(ろく)はスボツと()けて三間(さんげん)(ばか)(うしろ)につつ()ち、188大口(おほぐち)をあけて、
189六造(ろくざう)『アツハハハ』
190(わら)つてゐる。191そこへ何処(どこ)ともなしに宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(きこ)えて()た。192(この)(こゑ)()くより(ろく)は、193天井(てんじやう)(まど)から(けぶり)(ごと)逃出(にげだ)して(しま)つた。194高姫(たかひめ)はヤツと安心(あんしん)し、195(また)もや法螺(ほら)吹出(ふきだ)した。
196高姫(たかひめ)『オホホホホ、197コレ、198シャル、199日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)御神徳(ごしんとく)(えら)いものだらう。200あの(とほ)御神徳(ごしんとく)(おそ)れて()えて(しま)ふのだからな』
201シャル『それでも、202貴方(あなた)203大変(たいへん)(からだ)がフラックツァールしてゐたぢやありませぬか。204(この)シャルは高姫(たかひめ)さまが(おそ)れて精神動揺(せいしんどうえう)(あそ)ばしたのだと(おも)ひ、205随分(ずいぶん)心配(しんぱい)(いた)しましたよ』
206高姫(たかひめ)『ホホホホ、207(わたし)がフラックツァールしたのは一厘(いちりん)のお仕組(しぐみ)(あら)はしてみたのだよ。208彼奴(あいつ)(かげ)代物(しろもの)だから、209此方(こちら)()(とほ)りになるのだ。210(かげ)(かたち)(したが)ふものだ。211()()(ところ)()て、212(からだ)(うご)かして()なさい、213キツと影法師(かげぼふし)(うご)くだらう。214さうだから高姫(たかひめ)動揺(どうえう)して()せたのは、215影人足(かげにんそく)六公(ろくこう)をゆり()らす(かみ)御神法(ごしんぱふ)だ。216(なん)御神力(ごしんりき)といふものは結構(けつこう)なものだらうがなア』
217シャル『成程(なるほど)矢張(やつぱり)貴女(あなた)は、218チェンジェーブルの(じゆつ)()けてゐられますな。219それでヘグレのヘグレのヘグレ武者(むしや)といふ(こと)合点(がつてん)(まゐ)りました。220イヤもう大変(たいへん)御神徳(ごしんとく)(いただ)きました。221サンキューサンキュー』
222高姫(たかひめ)『コレ、223サンキューとは(なに)()ふのだい。224(ろく)()んだと(おも)へば、225(また)三九(さんきう)だのと、226三九(さんきう)(かず)十二(じふに)ぢやないか、227(なん)()意味(いみ)だい。228ハツキリと()かして(もら)ひませう。229チェンジェーブルだの、230三九(さんきう)だのと、231(とり)のなくやうな(こゑ)()して……(かみ)には(わか)りませぬぞや』
232シャル『(べつ)にお(まへ)さまの御考(おかんが)(あそ)ばすやうな(ふか)意味(いみ)があるのぢや(ござ)いませぬ、233サンキュー()つたのは有難(ありがた)うと感謝(かんしや)したので(ござ)います。234チェンジェーブルと()つたのは、235(なに)にもよく(へん)(あそ)ばす(たふと)神様(かみさま)だと感心(かんしん)したので(ござ)います』
236高姫(たかひめ)『ウン成程(なるほど)237そんなら(これ)から(せい)()して、238(わたし)をチェンジェーブルの大神様(おほかみさま)といふのだよ。239サンキューも(ゆる)しますから、240(せい)()してサンキュー サンキューと()ひなさい』
241シャル『チェンジェーブル大神様(おほかみさま)242サンキュー サンキュー、243サンキュー サンキュー サンキュー、244(ひと)つサンキューまだサンキュー、245……サンキュー サンキュー サンキュー、246モシモシ(これ)でお()()りますかな』
247高姫(たかひめ)『エーエ、248()ぎたるは(およ)ばざるが(ごと)しといふぢやないか、249サンキューも()いかげんにしときなさい、250融通(ゆうづう)()かぬ(をとこ)だなア』
251シャル『コルブス コルブス、252サークイ サークイ』
253高姫(たかひめ)(また)(わか)らぬことを()ふぢやないか、254コルブスとは(なん)(こと)だい』
255シャル『ハイ、256コルブスといふ(こと)は、257死体(したい)といふ(こと)です、258サークイといふ(こと)(くさ)いといふ(こと)です』
259高姫(たかひめ)『エー、260増長(ぞうちよう)するも(ほど)がある。261何程(なにほど)したいと()つても、262ヘン、263前等(まへら)相手(あひて)になる生宮(いきみや)ぢやありませぬぞや。264そして(くさ)いとは、265(なん)といふ無礼(ぶれい)(こと)をほざくのだい。266()れほど(くさ)ければ、267そこに()つて(くだ)さるな』
268シャル『(じつ)(ところ)死体(したい)のやうな(くさ)(にほ)ひがしたといふのです。269それは(たか)……オツトドツコイ(たか)(まど)から()けて()にやがつた(ろく)(こと)ですよ。270本当(ほんたう)(くさ)(やつ)でしたなア』
271高姫(たかひめ)『お(まへ)()(とほ)鼻持(はなもち)のならぬ代物(しろもの)だつた。272マアマア悪魔(あくま)(はら)へて結構(けつこう)だ。273サア(これ)からお(まへ)何事(なにごと)(わたし)()(とほ)りに(いた)すのだよ』
274シャル『一旦(いつたん)貴女(あなた)(からだ)(まか)した以上(いじやう)(なん)でも()きますが、275(しか)(なが)らかうして男女(なんによ)二人(ふたり)(ひと)()住居(すまゐ)をし(なが)ら、276両方(りやうはう)がセリバシー生活(せいくわつ)をやつてゐるのも無駄(むだ)ぢやありませぬか。277(なん)とかそこは妥協(だけふ)余地(よち)がありさうなものですなア』
278高姫(たかひめ)『ホホホホ、279チツトお(まへ)のスタイルと相談(さうだん)して御覧(ごらん)280そんな(こと)()へた義理(ぎり)ぢやありますまい。281(とし)から()つても三十(さんじふ)(ばか)りも(ちが)ふぢやないか、282せうもない(こと)()つて生宮(いきみや)をおだてるものぢやありませぬぞや』
283シャル『お(まへ)さまは神様(かみさま)のアボッスルだから、284到底(たうてい)(わたし)のやうな俗人(ぞくじん)(そば)へおよりになつても神格(しんかく)(よご)れるでせう。285無理(むり)とは(まを)しませぬ、286(しか)(なが)肉体上(にくたいじやう)から()へば、287貴女(あなた)(わたし)もウルスヴルングは(みな)(かみ)から(はつ)してゐるのですから、288(みたま)()(かく)として、289さう軽蔑(けいべつ)するものぢやありませぬワイ』
290高姫(たかひめ)『ウルスヴルングなんて、291(また)怪体(けたい)(こと)()ふぢやないか、292どこ(まで)もうるさく口説(くど)くといふのかなア。293そんな野心(やしん)はやめたがよからう。294師匠様(ししやうさま)生宮(いきみや)(むか)つて、295チと無礼(ぶれい)ぢやないか』
296シャル『貴女(あなた)何処(どこ)までもセリバシー生活(せいくわつ)(つづ)けて()(かんが)へですか、297四十後家(しじふごけ)()つても五十後家(ごじふごけ)()たぬといふぢやありませぬか。298何程(なにほど)表面(おもて)立派(りつぱ)男嫌(をとこぎらひ)標榜(へうばう)してる(をんな)でも、299何時(いつ)とはなしに(その)インスチンクトが(あら)はれて、300(つひ)には(みさを)(やぶ)るのが()(べか)らざる(をんな)境遇(きやうぐう)ですよ。301さうだから露骨(ろこつ)素直(すなほ)(この)シャルが直接(ちよくせつ)交渉(かうせふ)(ひら)いたのです。302(わたし)だつてハタの友達(ともだち)(みな)(まへ)さまの(せつ)反抗(はんかう)するにも(かかは)らず同情(どうじやう)(へう)し、303味方(みかた)になつたのも、304そこにはそれ、305(ひと)(いは)因縁(いんねん)がなくちや(かな)ひますまい』
306高姫(たかひめ)『エー、307(きたな)い、308インスだとか、309チンクトだとか、310(ろく)なこた()はせぬのぢやないか、311そんな(こと)(まを)すと、312風俗壊乱(ふうぞくくわいらん)になりますぞや、313チツとたしなみなされ』
314シャル『あああ、315サツパリ サツパリだ。316(をとこ)(うま)れて(しか)もこんなお(ばあ)さまに、317エッパッパをくはされちや、318どうして(をとこ)(かほ)()つものか。319エー()(まで)初志(しよし)貫徹(くわんてつ)するのが(をとこ)だ。320コレ高姫(たかひめ)さま、321(なん)()つても駄目(だめ)ですよ。322何程(なにほど)(まへ)さまが神力(しんりき)(つよ)いと()つても、323肉体(にくたい)肉体(にくたい)(あらそ)へば、324到底(たうてい)(をとこ)には(かな)ひますまい』
325 高姫(たかひめ)厳然(げんぜん)として威儀(ゐぎ)(ただ)し、
326『コリヤ、327シャル、328(なん)心得(こころえ)てゐる。329(この)肉体(にくたい)勿体(もつたい)なくも、330時置師神(ときおかしのかみ)331斎苑(いそ)(やかた)総務(そうむ)をして(ござ)つた杢助様(もくすけさま)奥方(おくがた)だぞえ、332(なん)心得(こころえ)てゐるか』
333シャル『ヘー、334さうで(ござ)いましたか、335(なん)でも杢助(もくすけ)さまといふ宣伝使(せんでんし)(えら)神力(しんりき)(そな)はつてゐると()いて()りましたが、336その杢助様(もくすけさま)(いま)何処(どこ)にゐられますか』
337高姫(たかひめ)『お(まへ)(また)それを(たづ)ねてどうする(かんが)へだ』
338シャル『(べつ)()うせうと()(かんが)へも(ござ)いませぬが、339一遍(いつぺん)()にかかつてみたいのです』
340高姫(たかひめ)『オホホホホ、341()にかかりたければ、342モツと(みたま)(みが)きなされ、343杢助様(もくすけさま)神変不思議(しんぺんふしぎ)(じゆつ)使(つか)つて、344(くも)()り、345(てん)(のぼ)られたのだ。346(てん)では時置師神(ときおかしのかみ)(さま)天人(てんにん)(みたま)守護(しゆご)(あそ)ばされ、347()では高姫(たかひめ)(けが)れた(みたま)洗濯(せんたく)をしてゐるのだ。348(いづ)(くだ)つて(ござ)るに(ちが)ひないから、349(その)(とき)()(くら)まぬやうに、350何事(なにごと)高姫(たかひめ)(まを)(とほ)り、351神妙(しんめう)御用(ごよう)(いた)すのだ。352今後(こんご)一切(いつさい)口答(くちごた)へなどしてはなりませぬぞや、353そして(をんな)などには(こころ)()せることは出来(でき)ませぬぞ。354(まへ)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)になつた以上(いじやう)は、355(わし)相当(さうたう)女房(にようばう)(えら)んで(あた)へてやるから、356それ(まで)辛抱(しんばう)なさい』
357 かかる(ところ)美妙(びめう)音楽(おんがく)(きこ)え、358(うる)はしき三十(さんじふ)前後(ぜんご)天人(てんにん)(あら)はれ(きた)りぬ。359高姫(たかひめ)()るより仰天(ぎやうてん)し、360アツと(ばか)りに(その)()(たふ)れたり。361シャルは()(ふさ)ぎ、362床上(きじやう)喰付(くひつ)いて(ふる)うてゐる。363天人(てんにん)言葉(ことば)(しづ)かに高姫(たかひめ)耳許(みみもと)にて、
364天人(てんにん)(われ)こそは中間天国(ちうかんてんごく)のエンゼル文治別命(あやはるわけのみこと)(ござ)る。365其方(そなた)高姫(たかひめ)では(ござ)らぬか』
366 (この)(こゑ)高姫(たかひめ)(なん)となく(ちから)()て、367()(ひら)き、368目映(まば)(さう)(かほ)をし(なが)ら、
369高姫(たかひめ)『お(まへ)さまは一寸(ちよつと)()()いたエンゼルとみえるが、370杢助(もくすけ)さまのお使(つかひ)()たのかい。371底津岩根(そこついはね)根本(こつぽん)弥勒(みろく)生宮(いきみや)372(この)高姫(たかひめ)にお(まへ)(なに)御用(ごよう)があつて()たのだなア。373オホホホホ、374(なん)とまア(わか)(をとこ)だこと、375随分(ずいぶん)天国(てんごく)では、376それ(だけ)(うつく)しいと、377(をんな)にもてるだらうな』
378文治(あやはる)高姫(たかひめ)殿(どの)379拙者(せつしや)をお(わす)れになりましたか。380小北山(こぎたやま)受付(うけつけ)(いた)して()つた文助(ぶんすけ)(ござ)るぞや』
381高姫(たかひめ)『ナニ、382(まへ)があの(めくら)文助(ぶんすけ)かい、383ホホホホホ、384そんな(うそ)()ふものでない。385そんな立派(りつぱ)(ふう)をして()けて()ても、386(この)日出神(ひのでのかみ)(ふた)つの()(にら)んだら、387(ちが)ひは(いた)しませぬぞや。388(まへ)大方(おほかた)中界(ちうかい)魔神(まがみ)だらう、389(いま)(いま)とて(この)シャル()390せうもない(こと)()ひよる(なり)391(また)中界(ちうかい)魔神(まがみ)(まで)高姫(たかひめ)姿(すがた)にラブして(くだ)つて()ても、392いつかな いつかな、393(うご)きませぬぞや。394容貌(きれう)(わか)(とし)(ほれ)るやうな柔弱(にうじやく)高姫(たかひめ)とは、395ヘン、396チツと(ちが)ひますぞや。397(をとこ)とも(をんな)とも(わか)らぬやうな(つら)をして(だま)しに(きた)つて、398そんな(こと)()るやうな生宮(いきみや)ぢや(ござ)いませぬぞえ。399サアサア(あきら)めて、400トツトと(かへ)つて(くだ)さい』
401文治(あやはる)高姫(たかひめ)殿(どの)402文助(ぶんすけ)間違(まちがひ)(ござ)らぬ、403拙者(せつしや)(しばら)中有界(ちううかい)(おい)修行(しゆぎやう)(いた)(やうや)諸天人(しよてんにん)(をしへ)()いて(こころ)(みが)き、404(いま)(この)(とほ)第二霊国(だいにれいごく)のエンゼルとなり、405中有界(ちううかい)地獄界(ぢごくかい)宣伝(せんでん)(まは)つて()ります。406(まへ)さまも(はや)()(あらた)めて、407この中有界(ちううかい)脱出(だつしゆつ)し、408(はや)天国(てんごく)(のぼ)つて(くだ)さい。409(この)(まま)にしておけば、410貴女(あなた)地獄(ぢごく)()ちるより(みち)(ござ)いませぬぞ。411生前(せいぜん)交誼(よしみ)()つて、412一応(いちおう)御注意(ごちうい)(ため)(あら)はれて()たのです』
413高姫(たかひめ)『ホホホホ、414ようまア仰有(おつしや)いますワイ。415第一霊国(だいいちれいごく)天人(てんにん)(みたま)高姫(たかひめ)光明(くわうみやう)がお(まへ)さまには()えませぬかな。416(かみ)至仁(しじん)至愛(しあい)だから現界(げんかい)(あら)はれて衆生済度(しゆじやうさいど)を、417糞糟(くそかす)()をおとしてやつてゐるのだ。418文助(ぶんすけ)なぞと、419そんな(いつは)りを()つてもあきませぬぞや。420(いま)正体(しやうたい)(あら)はしてやるから、421(その)(つもり)でゐなさい、422オホホホホ、423油断(ゆだん)(すき)もあつたものぢやない』
424()(なが)両手(りやうて)(あは)せ、
425高姫(たかひめ)底津岩根(そこついはね)弥勒(みろく)大神様(おほかみさま)426義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)(さま)427末代(まつだい)()(わう)(てん)大神様(おほかみさま)
428(いの)()した。429文治別(あやはるわけ)のエンゼルは高姫(たかひめ)(あま)りの脱線振(だつせんぶ)りに取付(とりつ)(しま)もなく、430(かたはら)(たふ)れてゐるシャルを(ゆす)(おこ)し、
431文治(あやはる)『お(まへ)はバラモンのシャルといふ(をとこ)ぢやないか。432こんな(ところ)何時(いつ)(まで)()つても仕方(しかた)がない。433まだ現界(げんかい)生命(せいめい)(のこ)つてゐるから、434(いま)(うち)に、435サア(はや)(かへ)つたがよからう。436グヅグヅしてゐると肉体(にくたい)腐敗(ふはい)して(かへ)ることが出来(でき)なくなりますぞ』
437シャル『ハイ、438(わたし)(この)(とほ)肉体(にくたい)()つてをります。439(この)(ほか)にまだ肉体(にくたい)があるとは合点(がつてん)(まゐ)りませぬ。440そんな(こと)()つて、441(だま)さうとなさつても、442高姫(たかひめ)さまの片腕(かたうで)となつた(この)シャルは、443いつかな いつかな(だま)されませぬ。444そんな(こと)()はずに、445何卒(どうぞ)(かへ)つて(くだ)さいませ。446あとで高姫(たかひめ)(さま)御機嫌(ごきげん)(わる)いと(こま)りますから……』
447文治(あやはる)『お前達(まへたち)()うしても()()めないのかな。448(また)高姫(たかひめ)さまも高姫(たかひめ)さまだ。449中有界(ちううかい)彷徨(さまよ)(なが)ら、450ヤツパリここを現界(げんかい)(おも)つてゐると()えて、451(わたし)姿(すがた)()化物(ばけもの)(うたが)つてゐるらしい。452ああ(もと)肉体(にくたい)になつてみせてやりたいが、453さうすれば(たちま)神格(しんかく)(くだ)つて、454(ふたた)(いま)地位(ちゐ)になるのは容易(ようい)(こと)ではなし、455どうしたら(たす)けることが出来(でき)やうかなア』
456()()んで思案(しあん)にくれてゐる。457四辺(あたり)芳香(はうかう)(くん)じ、458嚠喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)()(しき)りに(きこ)え、459(この)伏家(ふせや)周囲(しうゐ)には(もも)天人(てんにん)(たい)()して取巻(とりま)いてゐる。460高姫(たかひめ)(ほと)んど()(くる)はむ(ばか)りに(もだ)(くる)しみ()した。461エンゼルはいかにもして高姫(たかひめ)(すく)はむと、462天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、463数歌(かずうた)(うた)つた。464高姫(たかひめ)益々(ますます)()(きら)ひ、465手足(てあし)をヂタバタさせ(なが)ら、466裏口(うらぐち)()けるや(いな)や、467エンゼルの(あひだ)(くぐ)つて(うら)禿山(はげやま)()して、468野猪(のじし)(ごと)四這(よつば)ひになつて()げゆく。469シャルは(この)(てい)()るなり、470(また)もや高姫(たかひめ)(あと)()ひ、471数多(あまた)のエンゼルの(あひだ)(くぐ)()け、472()けり()く。
473 (これ)より高姫(たかひめ)禿山(はげやま)(ふた)()()え、474四面(しめん)(やま)(つつ)まれた赤濁(せきだく)()なり(ひろ)(ぬま)(ほとり)()いた。475(さう)して(ぬま)(みづ)()(すく)うて一生懸命(いつしやうけんめい)(かつ)をいやしてゐる。476皺枯声(しわがれごゑ)()()げ、
477『オーイオイ』
478()ばはり(なが)ら、479禿山(はげやま)(うへ)から、480(ころ)げる(やう)にやつて()たのはシャルであつた。
481シャル『ああ、482先生(せんせい)483()うマア此処(ここ)()つて(くだ)さいました、484大変(たいへん)(こと)(ござ)いましたなア。485ありや一体(いつたい)(なん)(ござ)いませう。486何万(なんまん)とも()れぬ(こは)(かほ)した(おに)()鉄棒(かなぼう)()つて(いへ)のぐるりを取巻(とりま)き、487(いや)らしい鳴物(なりもの)()らし、488(はな)(ふさ)がるやうな(にほ)ひをさして()めかけた(とき)(こは)さ、489(つら)さ、490生宮(いきみや)さまでさへもお()(あそ)ばす(くらゐ)だから、491到底(たうてい)自分(じぶん)(たす)かりつこはないと、492(あと)(した)うて此処(ここ)(まで)()げて(まゐ)りました。493モウ()つかけて()気遣(きづか)ひは(ござ)いますまいかなア』
494高姫(たかひめ)『ホホホホ仮令(たとへ)幾万(いくまん)(おに)()ようとも、495そんな(こと)にビクともする高姫(たかひめ)ぢや(ござ)いませぬぞや。496(これ)(かみ)秘密(ひみつ)(はふ)()つて、497あの悪魔(あくま)をここ(まで)(さそ)()し、498(この)()(いけ)(みな)()りこむ算段(さんだん)で、499ワザとに()げて()たのだよ。500(せん)(まん)(おに)()()すやうな高姫(たかひめ)(おも)つて(もら)つちや片腹痛(かたはらいた)いわいの、501オホホホホ』
502(むね)(おどろ)きを(かく)して、503ワザと何気(なにげ)なき(てい)(よそほ)(わら)つて()る。
504シャル『高姫(たかひめ)さま、505そんな(つよ)(さう)(こと)仰有(おつしや)いますけれど、506あの(とき)貴女(あなた)のスタイルには随分(ずいぶん)狼狽(らうばい)のサマがみえて()りました、507不減口(へらずぐち)ぢや(ござ)いますまいかな』
508高姫(たかひめ)『まだお(まへ)(まで)(わたし)(うたが)うてをるのかい、509(こま)つた(をとこ)だなア。510文助(ぶんすけ)(みたま)だなどと()ひやがつて、511()けて()よつたのを看破(かんぱ)する(だけ)御神力(ごしんりき)があるのだから、512到底(たうてい)(まへ)では、513(この)高姫(たかひめ)真価(しんか)(わか)りますまい、514マア(だま)つてゐなさい。515(さう)して高姫(たかひめ)のする(こと)(かんが)へてをれば、516成程(なるほど)と、517二三日(にさんにち)(うち)には合点(がつてん)がゆくだらう。518オホホホホ、519あのまア(こは)(さう)(かほ)はいの。520これだから弱虫(よわむし)()れてゐると、521足手(あして)まとひになつて、522本当(ほんたう)神力(しんりき)()すことが出来(でき)ないのだ。523(まへ)さへゐなかつたら、524あんな(やつ)ア、525一人(ひとり)(のこ)さず、526最前(さいぜん)のやうに(けぶり)にして(しま)ふのだけれど、527(まへ)(くも)つた(みたま)邪魔(じやま)をするものだから、528とうとう位置(ゐち)(てん)じて第二(だいに)作戦(さくせん)計画(けいくわく)をせなけりやならぬ面倒(めんだう)(おこ)つたのだよ。529(しか)流石(さすが)(おに)此処(ここ)(まで)530ヨモヤ高姫(たかひめ)神力(しんりき)(おそ)れて追掛(おひかけ)ては()ますまい。531まア(ちつ)落着(おちつ)きなさい』
532 ()かる(ところ)(また)もや音楽(おんがく)(こゑ)533(やま)(いただき)より文治別(あやはるわけ)先頭(せんとう)()ち、534数百人(すうひやくにん)天人(てんにん)(したが)へて(くだ)つて()る。
535シャル『モシモシ高姫(たかひめ)さま、536やつて()ました、537サア、538此処(ここ)見事(みんごと)539彼奴(あいつ)(ほろ)ぼして(くだ)さいませ。540(わたし)()では彼奴(あいつ)(おに)()えたり、541(また)綺麗(きれい)天人(てんにん)()えたりして仕方(しかた)がありませぬワ……それそれ、542大速力(だいそくりよく)此方(こちら)(くだ)つて()ませうがな、543(はや)準備(じゆんび)をして(くだ)され』
544高姫(たかひめ)『エー、545準備(じゆんび)をせうと(おも)ふておつたのに、546(まへ)()()て、547せうもない(こと)(しやべ)り、548肝腎(かんじん)時間(じかん)(つぶ)さして(しま)つたものだから、549悪魔(あくま)(はう)(はや)()よつたのだ。550ああ此処(ここ)でも具合(ぐあひ)(わる)い、551第三(だいさん)計画(けいくわく)(うつ)らう』
552()(なが)ら、553(かほ)真青(まつさを)になし、554(また)もや(つぎ)(やま)()けつ(まろ)びつ()(のぼ)る。555シャルも是非(ぜひ)なく(くろ)(ふんどし)をたらし(なが)ら、556高姫(たかひめ)足型(あしがた)(たづ)ねて、557(いき)(くる)しげに()いて()く。
558大正一二・三・一六 旧一・二九 於竜宮館 松村真澄録)