霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
テキストのタイプ[?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示[?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌[?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
外字1の色
外字2の色

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第五章 宿縁(しゆくえん)〔一六一二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻 篇:第1篇 妙法山月 よみ:すだるまさんげつ
章:第5章 宿縁 よみ:しゅくえん 通し章番号:1612
口述日:1923(大正12)年05月18日(旧04月3日) 口述場所:教主殿 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年2月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版: 八幡書店版:第11輯 286頁 修補版: 校定版:68頁 普及版:64頁 初版: ページ備考:
001 伊太彦(いたひこ)002カークス、003ベースの三人(さんにん)004スダルマ(さん)(ふもと)より間道(かんだう)(とほ)()け、005スーラヤの湖辺(こへん)()た。006ここには(この)(みづうみ)渡海(とかい)する船頭(せんどう)(いへ)十四五軒(じふしごけん)()つて()る。007三人(さんにん)一々(いちいち)船頭(せんどう)(いへ)(たづ)ねて、008湖中(こちう)(うか)べるスーラヤ(たう)(わた)るべく(さが)して()たが、009(いづ)れも(すなどり)()留守(るす)()えて一人(ひとり)船頭(せんどう)()なかつた。010(いへ)(のこ)つたものは爺婆(ぢぢばば)か、011(かかあ)子供(こども)ばかりである。012一軒(いつけん)(のこ)らず(たづ)ねて最後(さいご)(いへ)(いた)り、013最早(もはや)(ふね)がなければ仕方(しかた)がない、014船頭衆(せんどうしう)(かへ)つて()(まで)ここに()(こと)にしようと、015(ぢい)さま、016()アさまに渋茶(しぶちや)()んで(もら)ひ、017(つひ)(その)()老人(らうじん)夫婦(ふうふ)親切(しんせつ)によつて宿泊(しゆくはく)する(こと)となつた。
018 庭先(にはさき)には栴檀(ちやんだな)()(かん)ばしく(かを)つて019(ちひ)さき賤ケ屋(しづがや)(なか)(つつ)んで()る。020(ぢい)さま021()アさまの()には二人(ふたり)男女(だんぢよ)があつた。022(あに)をアスマガルダと()(いもうと)をブラヷーダと()つた。023兄妹(きやうだい)(とも)天稟(てんぴん)美貌(びばう)でキメも(こま)かく024(あに)(はう)瑪瑙(めなう)(やう)(うつく)しい(はだ)をしてゐるのでそれを()としたのである。025アスマガルダと()(こと)瑪瑙(めなう)梵語(ぼんご)であり、026ブラヷーダと()ふのは梵語(ぼんご)珊瑚(さんご)である。027伊太彦(いたひこ)(ほか)二人(ふたり)()夕餉(ゆふげ)饗応(きやうおう)され028庭先(にはさき)(むか)つて天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、029(ふたた)(いへ)(かへ)つていろいろの(はなし)をしたり、030是非(ぜひ)とも明日(あす)はスーラヤ(さん)(のぼ)夜光(やくわう)(たま)をとつて()ねばならぬ」と希望(きばう)(いだ)いて(いさ)ましく(うれ)しげに四方八方(よもやも)(はなし)(ふけ)つて()た。
031 伊太彦(いたひこ)はスダルマ(さん)(ふもと)(おい)(しば)らく神懸(かむがかり)状態(じやうたい)となつてより(にはか)若々(わかわか)しくなり、032(からだ)相好(さうがう)から(かほ)(いろ)(まで)(たま)(ごと)(うつく)しくなつて(しま)つた。033これは木花姫命(このはなひめのみこと)御霊(みたま)伊太彦(いたひこ)(ひと)つの使命(しめい)(はた)さすべく、034それに()いては大変(たいへん)大事業(だいじげふ)であるから御守護(ごしゆご)になつたからである。035(しか)(なが)伊太彦(いたひこ)自分(じぶん)(かほ)姿(すがた)優美(いうび)高尚(かうしやう)になつた(こと)()がつかず、036依然(いぜん)として(もと)蜴蜥面(とかげづら)であると(みづか)(しん)じてゐた。037三人(さんにん)(はなし)をして()ると038土間(どま)(ふすま)をソツと()けて珊瑚樹(さんごじゆ)(やう)(かほ)をした(をんな)がチヨイチヨイ(ぬす)(やう)()をして(のぞ)いて()た。039伊太彦(いたひこ)は「(むすめ)(なん)()自分(じぶん)()(のぞ)くであらうか、040(あま)珍妙(ちんめう)(かほ)をして()るので面白(おもしろ)がつて、041チヨコチヨコと化物(ばけもの)無料(むれう)見物(けんぶつ)をやつて()るのだらう。042アヽ()うなつて()ると人間(にんげん)(うつく)しう(うま)れたいものだ。043何故(なぜ)(おれ)はこんなヒヨツトコに(うま)れて()たのだらう」と(こころ)(そこ)(つぶ)やいて()た。044(ぢい)さまも()アさまもカークスもベースも045(なん)となく伊太彦(いたひこ)威厳(ゐげん)(そな)はりたるに畏敬(ゐけい)尊信(そんしん)(ねん)(おこ)046(あたか)救世主(きうせいしゆ)降臨(かうりん)(やう)にあらゆる(うつく)しい言葉(ことば)(なら)べて、047(なに)()れとなく世話(せわ)をする。048伊太彦(いたひこ)は、
049(なん)とまア親切(しんせつ)(ひと)もあるものだな。050こんな僻地(へきち)だから人間(にんげん)純朴(じゆんぼく)親切(しんせつ)なのであらう。051まるで神代(かみよ)(やう)だなア』
052今度(こんど)感謝(かんしや)意味(いみ)(おい)(はら)(そこ)(ささや)いた。053(この)老夫婦(らうふうふ)()は、054(ぢい)さまをルーブヤ((ぎん))と()055()アさまをバヅマラーカ(真珠(しんじゆ))と()つた。056(とし)はとつて()るものの、057何処(どこ)ともなしにブラヷーダの(やう)(うつく)しい面影(おもかげ)(のこ)つて()る。058(ぢい)さまのルーブヤは(うれ)しさうに伊太彦(いたひこ)(まへ)(すす)みよつて両手(りやうて)(つか)へ、
059『これはこれは何処(どこ)のお(きやく)さまか(ぞん)じませぬが、060よくもこんな山間(さんかん)僻地(へきち)(たづ)ねて()(くだ)さいました。061(うけたま)はりますればスーラヤの(しま)夜光(やくわう)(たま)をおとりの(ため)(わた)りとの(こと)ですが、062(むかし)からあの(しま)(わた)つて(たま)()りに()つたものは063一人(ひとり)()きて(かへ)つたものは(ござ)りませぬ。064夜分(やぶん)になると、065それはそれは立派(りつぱ)(ひかり)()ますので066(よく)()のない人間(にんげん)はソツと(わた)つて(いのち)をとられるのです。067(しか)貴方(あなた)はかう()(ところ)普通(あたりまへ)人間(にんげん)()えませぬ。068神様(かみさま)御化身(ごけしん)(おも)はれます。069何卒(どうぞ)あの(たま)をとつてお(かへ)りになれば070(この)村中(むらぢう)(まを)すに(およ)ばず、071国人(くにびと)(ふたた)生命(いのち)をとられる(こと)がなくなります。072貴方(あなた)なれば屹度(きつと)(たま)をとつて(かへ)れるでせう。073(せがれ)のアスマガルダが明日(あす)(かへ)るでせうからお(とも)(いた)させます。074何卒(どうぞ)御成功(ごせいこう)をお(いの)(いた)します。075そして(わたし)(うち)御存(ごぞん)じの(とほ)り、076かう()ふむさくるしい(せま)(ところ)(ござ)いますが、077まさかの(とき)用意(ようい)(うら)(はやし)(せま)(なが)らも(あたら)しい(ちん)()ててありますから078何卒(どうぞ)それへお(やす)(くだ)さいませ』
079伊太(いた)『これはこれはお爺様(ぢいさま)080(にはか)御厄介(ごやくかい)になりまして、081さう()()んで(もら)ひましては(まこと)()みませぬ。082(には)(すみ)でも結構(けつこう)です。083夜露(よつゆ)(しの)げたら(よろ)しいのです。084(わたし)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)として085(やま)()たり()()たりして修行(しうぎやう)(まは)るものですから、086そんな(ところ)(やす)まして(もら)うと(おそ)(おほ)(ござ)います』
087ルーブヤ『さう仰有(おつしや)らずに何卒(どうぞ)老人(らうじん)夫婦(ふうふ)(ねが)ひで(ござ)いますから088新建(しんだち)()つてお(やす)みを(ねが)ひます』
089伊太(いた)『そこ(まで)仰有(おつしや)つて(くだ)さるのにお(ことわ)りするのも(かへつ)失礼(しつれい)(あた)りますから、090(しか)らば御厄介(ごやくかい)になりませう』
091バヅマラーカ『何卒(どうぞ)そうなさつて(くだ)さいませ。092(とこ)をチヤンとして()きましたから』
093伊太(いた)(しか)らば(やす)まして(いただ)きませう。094カークスさま、095ベースさま、096サア御一緒(ごいつしよ)にお(とも)(いた)しませう』
097 カークス、098ベースの両人(りやうにん)はモヂモヂとして()る。
099ルーブヤ『いえいえ、100このお二人様(ふたりさま)(わたし)(うち)(やす)んで(いただ)きませう。101貴方(あなた)神様(かみさま)ですから102何卒(どうぞ)(あたら)しい(ところ)(やす)んで(くだ)さいませ』
103伊太(いた)左様(さやう)ならば御主人(ごしゆじん)御命令(ごめいれい)(したが)ひお世話(せわ)になりませう』
104()アさまのバヅマラーカに(みちび)かれ105清洒(こんもり)とした(すず)しい新建(しんだち)案内(あんない)された。
106 このルーブヤの(いへ)(この)近辺(きんぺん)里庄(りしやう)をつとめて()るので、107()(わり)とは富裕(ふゆう)であつた。108それ(ゆゑ)万事(ばんじ)万端(ばんたん)109座敷(ざしき)道具(だうぐ)(など)整頓(せいとん)して(なん)とも()へぬ気分(きぶん)のよい住居(すまゐ)である。
110 伊太彦(いたひこ)()アさまに案内(あんない)され111(ひさ)()りに(うつく)しき座敷(ざしき)(とま)(こと)()非常(ひじやう)(よろこ)び、112()明日(あす)希望(きばう)(おも)()すと(なん)だか()(いさ)んで()(こと)出来(でき)ぬので、113(よこ)()たまま()をパチつかせて()た。
114 ()(こく)とも(おぼし)(とき)115ソツと表戸(おもてど)()けて足音(あしおと)(しの)ばせ(なが)116(やみ)()いた(やう)年若(としわか)(うつく)しい(をんな)が、117伊太彦(いたひこ)枕辺(まくらべ)(ちか)くやつて()た。
118伊太(いた)『ハテ不思議(ふしぎ)(こと)だなア。119(よさり)でしつかりは(わか)らぬが、120どうやら素敵(すてき)美人(びじん)らしい。121(この)(いろ)(くろ)蜴蜥面(とかげづら)の、122自分(じぶん)でさへ愛憎(あいそ)()くる(やう)(おれ)(をんな)秋波(しうは)(おく)つてやつて()(はず)もなし、123これは屹度(きつと)(この)(はやし)()(きつね)(ばけ)()るのかも()れない。124こりや、125しつかりせねばなるまい』
126(とどろ)(むね)(おさ)へ、127(やや)(ふる)ひを(おび)(こゑ)で、
128伊太(いた)(たれ)だ。129この真夜中(まよなか)(ひと)寝所(しんしよ)(おそ)(やつ)妖怪変化(えうくわいへんげ)か、130(ただ)しは人目(ひとめ)(しの)盗人(ぬすびと)か、131返答(へんたふ)(いた)せ』
132 (やみ)(かげ)(かす)かの(こゑ)(はづ)かしさうに、
133(わたし)はブラヷーダで(ござ)います』
134伊太(いた)『ブラヷーダさまが(この)伊太彦(いたひこ)何用(なによう)あつて(いま)(ごろ)おいでになりましたか。135御用(ごよう)があらば明日(あす)(うけたま)はりませう。136(をとこ)寝所(しんしよ)夜中(よなか)御婦人(ごふじん)がおいでになるとは、137チツと可怪(をか)しいぢやありませぬか』
138 ブラヷーダはモヂモヂし(なが)ら、
139『ハイ、140(わたし)一寸(ちよつと)(この)座敷(ざしき)(わす)(もの)(いた)しましたので(たづ)ねに()たので(ござ)います。141夜中(やちう)にお()()まして(まこと)()まない(こと)(ござ)いました』
142伊太(いた)『ハテ、143合点(がつてん)()かぬ(こと)仰有(おつしや)います。144貴女(あなた)(うち)貴女(あなた)(もの)があるのをお(わす)れになつたといふ道理(だうり)はありますまい。145(また)明日(あす)(さが)しになつては如何(いかが)ですか』
146ブラヷーダ『いえいえ是非(ぜひ)とも今晩(こんばん)147それを(つか)まへなくてはならないのですもの』
148伊太(いた)『その(また)(とら)へなくてはならぬと仰有(おつしや)るのは()んなもので(ござ)いますか。149(なん)なら(わたし)もお手伝(てつだ)ひして(さが)しませうか』
150ブラヷーダ『ハイ、151有難(ありがた)(ござ)います。152何卒(どうぞ)手伝(てつだひ)(ねが)ひます』
153伊太(いた)品物(しなもの)(なん)(ござ)いますか。154それを()かなくちや(さが)見当(けんたう)がつきませぬがな。155(かんざし)ですか、156(くし)ですか、157(かうがひ)ですか』
158ブラヷーダ『いえいえ、159そんな(ちひ)さいものでは(ござ)いませぬ。160(わたし)大切(たいせつ)大切(たいせつ)一生(いつしやう)(たから)のイタ……で(ござ)います』
161伊太(いた)『それは(また)不思議(ふしぎ)なものをお(たづ)ねになるのですな。162(あら)()りでもなさるのですか。163ゆつくり明日(あす)になさつたらどうです』
164ブラヷーダ『いいえ、165(いた)ぢや(ござ)いませぬ。166あの……(ひこ)さまで(ござ)います』
167伊太(いた)『ますます(わか)らぬぢやありませぬか。168(いた)だとか(ひこ)だとか、169まるで(わたし)()(やう)なものをお(さが)しになるのですな』
170ブラヷーダ『その伊太彦(いたひこ)さまを(さが)しに()たので(ござ)いますよ』
171伊太(いた)『ハヽア、172さうするとお(まへ)はここのお(ぢやう)さまに()けて()てゐるが、173大方(おほかた)ナーガラシャーだらう。174(この)伊太彦(いたひこ)明日(あす)夜光(やくわう)(たま)()りに()くのを前知(ぜんち)し、175(がい)(くは)へにやつて()たウバナンダ竜王(りうわう)使(つかひ)だらうがな』
176ブラヷーダ『いえいえ、177(けつ)して(その)(やう)(おそ)ろしいものでは(ござ)いませぬ。178(わたし)(この)()(むすめ)179正真正銘(しやうしんしやうめい)のブラヷーダで(ござ)います。180貴方(あなた)神様(かみさま)のお(さだ)めになつた(わたし)(をつと)(ござ)います』
181伊太(いた)『もしお(ぢやう)さま、182冗談(じようだん)()つちやいけませぬよ。183(この)(やう)(いろ)(くろ)菊目石面(あばたづら)蜴蜥面(とかげづら)揶揄(からか)つて(もら)つちや(こま)るぢやありませぬか。184自分(じぶん)でさへも愛憎(あいそ)のつきた(この)面付(つらつき)185そんな(こと)仰有(おつしや)つても伊太彦(いたひこ)(しん)ずる(こと)出来(でき)ませぬ』
186ブラヷーダ『貴方(あなた)187そんな(うそ)()()()へますね。188三十二相(さんじふにさう)(そろ)ふた女神(めがみ)(やう)なお姿(すがた)をして(ござ)るぢやありませぬか。189(わたし)はここ一週間(いつしうかん)(ほど)以前(いぜん)三五(あななひ)神様(かみさま)のお()げによつて190(をつと)(さづ)けてやらうと仰有(おつしや)いましたが、191只今(ただいま)神様(かみさま)(わたし)(みみ)(はた)でお(ささや)きになるのには、192(まへ)(をつと)は、193今晩(こんばん)(とま)りになるあの宣伝使(せんでんし)だと仰有(おつしや)いました。194是非(ぜひ)とも(わたし)(をつと)になつて(いただ)()いもので(ござ)います。195否々(いないな)196神様(かみさま)からお(さだ)めになつた(をつと)(ござ)います』
197伊太(いた)『ハーテ、198ますます(わか)らぬ(やう)になつて()たわい。199アヽ如何(どう)したら()いかな。200(うれ)しい(やう)()もするし、201(なん)だか、202つままれて()るやうな()もするし、203神様(かみさま)()まぬやうな()にもなつて()た。204ハハアこいつは神様(かみさま)のお試練(ためし)だらう。205ヤア剣呑(けんのん)々々(けんのん)206惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
207ブラヷーダ『マアお(なさけ)のない貴方(あなた)のお言葉(ことば)208さうじらすものではありませぬよ』
209伊太(いた)『それだと()つて(あま)(おも)ひがけもないぢやありませぬか。210マア明日(あす)(まで)()つて(くだ)さいな。211ゆつくり(かんが)へさして(もら)ひませうから』
212ブラヷーダ『明日(あす)(まで)()てる(くらゐ)なら(をんな)()として貴方(あなた)居間(ゐま)(たれ)()(まゐ)りませう。213(けつ)して不潔(ふけつ)(こころ)()たのではありませぬから御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ。214(ただ)一言(ひとこと)「ウン」と仰有(おつしや)つて(いただ)けばそれで(よろ)しう(ござ)います』
215伊太(いた)『アヽ()(かく)216(わたし)にはお師匠様(ししやうさま)(ござ)います。217(また)貴女(あなた)にも御両親(ごりやうしん)やお兄様(あにさま)がありますから、218双方(さうはう)相談(さうだん)(うへ)219どんな約束(やくそく)でも(いた)しませう』
220ブラヷーダ『(おほ)御尤(ごもつと)もでは御座(ござ)いますが、221神様(かみさま)のお()げは一刻(いつこく)猶予(いうよ)(ござ)いませぬ。222そんな(こと)仰有(おつしや)らずに何卒(どうぞ)よい返事(へんじ)をして(くだ)さいませ』
223伊太(いた)『ハテ、224どうしたらよからうかな。225あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
226ブラヷーダ『惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
227 かく両人(りやうにん)はお(たがひ)()ひつ(こた)へつ(あかつき)(とり)(こゑ)する(まで)()()かした。228(はた)して、229如何(いかが)落着(らくちやく)をしたであらうか。
230(おも)はざる(いへ)(とま)りて(おも)はざる
231(とき)(おも)はぬ(ひと)()ひける。
232ブラヷーダ明日(あす)をも()たず(すぐ)ここで
233返答(いらへ)せよやと(せま)(わり)なさ。
234大正一二・五・一八 旧四・三 於教主殿 北村隆光録)