霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 喬育(けういく)〔一七四八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻 篇:第1篇 清風涼雨 よみ:せいふうりょうう
章:第3章 第69巻 よみ:きょういく 通し章番号:1748
口述日:1924(大正13)年01月22日(旧12月17日) 口述場所:伊予 山口氏邸 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1927(昭和2)年10月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国依別は珍の国の国司になって以来、政治は松若彦に一任し、自分は朝夕皇大神の前に礼拝する以外は、花鳥風月を楽しみ、宣伝使時代の気楽さを懐かしんでいました。
国依別は球の玉の神徳によって世の中を達観していたので、時が至るまでは実際の政治を松若彦一派に委任していたのでした。
国依別は歌を詠んでいます。すべて、今の世の暗さ、しかし夜明けが近いこと、また夜明けの前には大きな「地震」があること、を歌っています。
そこへ妻の末子姫がやってきて、息子と娘の暴言に松若彦が憤慨していると諫言に来ます。
国依別は逆に、時代遅れの親爺連に引退を迫ったのはさすが自分の子、あっぱれと言って、自分の子供たちが立派に育ったのは神様のおかげ、と拝礼を始めます。さすがに末子姫はあきれてしまいます。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6903
愛善世界社版: 八幡書店版:第12輯 293頁 修補版: 校定版:61頁 普及版:66頁 初版: ページ備考:
001 国依別(くによりわけ)元来(ぐわんらい)磊落(らいらく)豪放(がうはう)にして、002小事(せうじ)齷齪(あくせく)せず、003何事(なにごと)(たい)しても無頓着(むとんちやく)なる性質(せいしつ)とて、004(うづ)(くに)国司(こくし)(ほう)ぜられてより、005一切(いつさい)政務(せいむ)重臣(ぢうしん)松若彦(まつわかひこ)一任(いちにん)し、006自分(じぶん)(ただ)事実上(じじつじやう)虚器(きよき)(よう)してゐたに()ぎなかつた。007それ(ゆゑ)(うづ)(くに)大小(だいせう)政治(せいぢ)は、008松若彦(まつわかひこ)(その)()閥族(ばつぞく)手裡(しゆり)(にぎ)られてゐた。009国依別(くによりわけ)(ただ)朝夕(てうせき)皇大神(すめおほかみ)(まへ)拝礼(はいれい)をするのみにて、010花鳥風月(くわてうふうげつ)(たのし)み、011(むかし)宣伝使(せんでんし)時分(じぶん)気楽(きらく)さを(おも)(いだ)しては、012時々(ときどき)吐息(といき)をもらし、013末子姫(すゑこひめ)(しやく)をさせ、014城中(じやうちう)伶人(れいじん)(まね)いて歌舞(かぶ)音楽(おんがく)悶々(もんもん)(じやう)(なぐさ)めてゐた。015そして実子(じつし)国照別(くにてるわけ)016春乃姫(はるのひめ)(たい)しても家庭教育(かていけういく)などの(しち)むつかしいことは()ひず、017自然(しぜん)成熟(せいじゆく)(まか)してゐた。018(ゆゑ)親子(おやこ)関係(くわんけい)兄弟(きやうだい)(ごと)円満(ゑんまん)にして(すこ)しの差別(さべつ)もなく、019和気(わき)藹々(あいあい)として春風(しゆんぷう)(ごと)家庭(かてい)(つく)つてゐた。020国依別(くによりわけ)(きう)(たま)神徳(しんとく)()つて、021(すべ)ての()(なか)成行(なりゆき)達観(たつくわん)してゐた。022それ(ゆゑ)ワザとに(とき)(きた)(まで)政治(せいぢ)干与(かんよ)せず、023なまじひに小刀細工(こがたなざいく)(ほどこ)(とも)024(とき)(いた)らざれば(ほと)んど徒労(とらう)()することを()つてゐたからである。025それ(ゆゑ)当座(たうざ)鼻塞(はなふさ)ぎとして、026実際(じつさい)政治(せいぢ)永年間(ながねんかん)松若彦(まつわかひこ)一派(いつぱ)委任(ゐにん)してゐたのである。
027 (おく)()丸窓(まるまど)(ひら)いて夏風(なつかぜ)室内(しつない)()(なが)ら、028脇息(けうそく)にもたれ、029作歌(さくか)(ふけ)つてゐた。030そこへ静々(しづしづ)(ふすま)押開(おしあ)入来(いりき)たるは末子姫(すゑこひめ)であつた。031国依別(くによりわけ)作歌(さくか)(こころ)()られて032末子姫(すゑこひめ)(いり)(きた)りしことに()がつかなかつた。033末子姫(すゑこひめ)両手(りやうて)をついて、034言葉(ことば)もしとやかに、
035(わが)君様(きみさま)036御機嫌(ごきげん)如何(いかが)(ござ)いますか……』
037四五回(しごくわい)(くり)(かへ)した。038国依別(くによりわけ)色紙(しきし)()(そそ)(なが)ら、
039黎明(れいめい)(むか)はむとして天地(あめつち)
040(あさ)(ゆふ)なに(ふる)ひをののく。
041大空(おほぞら)(つき)()(ども)村雲(むらくも)
042(ふか)(つつ)みて地上(ちじやう)()えず。
043甲子(きのえね)(はる)をば()ちて(ひら)かむと
044(ゆき)()へつつ(にほ)梅ケ香(うめがか)
045(とき)(いま)天地(あめつち)(くら)刈菰(かりごも)
046みだれに(みだ)黎明(れいめい)(まへ)に。
047天地(あめつち)(かみ)(めぐみ)(ふか)ければ
048()(まも)らむと地震(なゐふる)(いた)る』
049口吟(くちずさ)んでゐる。050末子姫(すゑこひめ)一層(いつそう)(こゑ)(たか)めて、
051(わが)君様(きみさま)052御機嫌(ごきげん)如何(いかが)(ござ)います』
053(くり)(かへ)した。054国依別(くによりわけ)はハツと()がつき、
055『あゝ末子姫(すゑこひめ)か、056(なん)(よう)かね』
057末子(すゑこ)『ハイ、058至急(しきふ)御相談(ごさうだん)(ござ)いまして、059御勉強(ごべんきやう)最中(さいちう)御驚(おおどろ)かせ(いた)しました』
060国依(くにより)『ナアニ、061勉強(べんきやう)でも(なん)でもない。062三十一文字(みそひともじ)腰折(こしをれ)をひねくつてゐたのだ』
063末子(すゑこ)立派(りつぱ)なお(うた)()めたでせう。064(わらは)にも一度(いちど)()かして(くだ)さいませぬか』
065国依(くにより)『ナアニ、066()かせるやうな名歌(めいか)ぢやない。067(あま)()がムシヤクシヤしてゐるので、068(うた)(まで)がムシヤついてゐる。069今日(けふ)何時(いつ)にない出来(でき)(わる)いよ』
070末子(すゑこ)貴方(あなた)(うた)(のち)になる(ほど)071()くなりますからね。072()みになつた(とき)は、073失礼(しつれい)(なが)らこんな(うた)(おも)つてゐましても、074後日(ごじつ)になつて拝読(はいどく)しますと、075(うた)(みな)予言録(よげんろく)となつて(あら)はれて()りますの。076松若彦(まつわかひこ)(わが)(きみ)のお(うた)はウツカリ見逃(みのが)すことは出来(でき)ぬ、077(のこ)らず予言(よげん)だと()つて()りましたよ』
078国依(くにより)予言(よげん)五言(ごげん)妖言(ようげん)()らぬが、079(たい)したことはないよ。080()(かく)自身(じしん)(ため)によんだ(うた)だからな、081ハヽヽ』
082末子(すゑこ)『エ、083(なん)仰有(おつしや)います。084(また)(なぞ)()つてゐらつしやるのでせう。085(ちか)(うち)地震(ぢしん)があると仰有(おつしや)るのですか』
086国依(くにより)『ウン、087地震(ぢしん)088(かみなり)089火事(くわじ)090親爺(おやぢ)091現代(げんだい)はモ(ひと)()(もの)出来(でき)た、092それは所謂(いはゆる)(かか)だ、093ハツハヽヽヽ』
094末子(すゑこ)(わが)君様(きみさま)095上流(じやうりう)家庭(かてい)(おい)て、096(かか)なんて、097そんな下卑(げび)言葉(ことば)をお使(つか)ひなさいますな。098(せがれ)(むすめ)()きましては、099(また)見習(みなら)つて(こま)りますからね』
100国依(くにより)『ナアニ奥様(おくさま)()つても、101後室(こうしつ)()つても、102御令室(ごれいしつ)()つても、103(やま)(かみ)()つても、104(かか)()つても、105ヤツパリ女房(にようばう)だ。106人間(にんげん)()した名称(めいしよう)(ぐらゐ)拘泥(こうでい)する必要(ひつえう)はないぢやないか』
107末子(すゑこ)(いま)貴方(あなた)地震(ぢしん)108(かみなり)109火事(くわじ)110親爺(おやぢ)……と仰有(おつしや)いましたが、111それもキツト深遠(しんゑん)(なぞ)(ござ)いませう。112どうも貴方(あなた)のお言葉(ことば)滑稽洒脱(こつけいしやだつ)(なか)(おそ)ろしい意味(いみ)(ふく)んでゐるのですから、113容易(ようい)(きき)(なが)しは出来(でき)ませぬワ』
114国依(くにより)『ハツハヽヽヽ、115地震(ぢしん)(かみなり)といふことは、116国依別(くによりわけ)自身(じしん)(かみ)(なり)といふ(こと)だ。117(まへ)自信力(じしんりよく)神様(かみさま)のやうに(つよ)いから、118ヤツパリお(まへ)自信(じしん)(かみ)(なり)だ』
119末子(すゑこ)『ホツホヽヽヽ、120()くしらばくれ(あそ)ばすこと、121そんな意味(いみ)では(ござ)いますまい。122火事(くわじ)親爺(おやぢ)といふことは()ういふ意味(いみ)(ござ)いますか、123それを()かして(くだ)さいな』
124国依(くにより)(いま)警鐘乱打(けいしようらんだ)(こゑ)(きこ)えてゐただらう。125松若彦(まつわかひこ)126伊佐彦(いさひこ)親爺連(おやぢれん)が、127薬鑵頭(やくわんあたま)陳列(ちんれつ)して、128国政(こくせい)とか(なん)とかの評議(ひやうぎ)最中(さいちう)火事(くわじ)がいつたものだから、129親爺(おやぢ)(おどろ)いて高欄(かうらん)から転落(てんらく)し、130(こし)()つて、131(わが)部屋(へや)へかつぎこまれ、132(かか)アの世話(せわ)になつたと()(なぞ)だよ、133ハツハヽヽヽ』
134末子(すゑこ)『あれマア、135松若彦(まつわかひこ)高欄(かうらん)から転落(てんらく)したことを(たれ)にお()きになりましたか』
136国依(くにより)『そんなことは霊眼(れいがん)でチヤンと(わか)つてるのだ。137それだから国依別(くによりわけ)自身(じしん)(かみ)(なり)()つたのだ。138火事(くわじ)(おどろ)いて親爺(おやぢ)転落(てんらく)したから火事(くわじ)親爺(おやぢ)だ』
139末子(すゑこ)(その)松若彦(まつわかひこ)(おも)()したが、140(いま)(うかが)ひに(まゐ)りましたのも松若彦(まつわかひこ)(くわん)しての(こと)(ござ)います。141(さいは)捨子姫(すてこひめ)参勤(さんきん)してゐたので、142(ただち)自分(じぶん)居間(ゐま)(かつ)()まれ、143捨子姫(すてこひめ)介抱(かいはう)()けて()ります。144(わらは)(あま)可哀相(かあいさう)なので病床(びやうしやう)見舞(みま)つてやりましたが、145松若彦(まつわかひこ)大変(たいへん)憤慨(ふんがい)(いた)して()りますよ』
146国依(くにより)『それは(かわや)(さう)糞外(ふんぐわい)してゐるのだらう。147(おれ)だつて()一遍(いつぺん)(ぐらゐ)高野(かうや)(まゐ)りをして糞外(ふんぐわい)するのだからな、148ハツハヽヽヽ』
149末子(すゑこ)冗談(じようだん)仰有(おつしや)るも(とき)場合(ばあひ)()ります。150一遍(いつぺん)(かれ)()ふことも()いてやつて(いただ)かねばなりませぬ』
151国依(くにより)『そりや()いてやらぬことはない。152(せがれ)(むすめ)揶揄(からか)はれて、1521薬鑵(やくわん)から湯気(ゆげ)()て、153火事(くわじ)二度(にど)吃驚(びつくり)して負傷(ふしやう)したと()ふのだらう。154マア()いワイ、155松若彦(まつわかひこ)もモウ()加減(かげん)引込(ひきこ)んでも()時分(じぶん)だからのう』
156末子(すゑこ)何卒(どうぞ)157今日(けふ)真剣(しんけん)(ござ)いますから、158真面目(まじめ)()いて(くだ)さいませ。159何時(いつ)瓢箪(へうたん)(なまづ)(おさ)へるやうに、160ヌルリ ヌルリと言霊(ことたま)切先(きつさき)をお(はづ)(あそ)ばす貴方(あなた)のズルサ加減(かげん)161いつも(かぜ)(なは)(しば)るやうな(つか)まへ(どころ)のない、162(こま)つた(わが)君様(きみさま)だと、163松若彦(まつわかひこ)がこぼしてゐましたよ。164無頓着(むとんちやく)(よろ)しいが、165貴方(あなた)(なん)(ため)(うづ)(くに)国司(こくし)にお()りなさつたのですか』
166国依(くにより)(なん)(ため)でもない、167大神様(おほかみさま)言依別(ことよりわけ)(さま)がお(まへ)(をつと)になつてやつて()れと仰有(おつしや)つたものだから、168(いや)(かな)はぬ(こと)のないお(まへ)(をつと)になつた(ばか)りだ。169(その)(とき)にお(まへ)()つてるだらうが、170大神様(おほかみさま)言依別(ことよりわけ)(さま)にダメを()して()いたぢやないか。171……(わたし)(わか)(とき)から家潰(いへつぶ)しの後家(ごけ)(たふ)し、172(をんな)たらしの野良苦良者(のらくらもの)173こんなガラクタ人間(にんげん)末子姫(すゑこひめ)(さま)婿(むこ)になさつた(ところ)駄目(だめ)ですから……と()つて、1731(ことわ)(まをし)()げたら、174それが()()つたと大神様(おほかみさま)仰有(おつしや)つたぢやないか。175(これ)でも(おれ)十分(じふぶん)窮屈(きうくつ)()(しの)んで、176勃々(ぼつぼつ)たる勇気(ゆうき)(おさ)神命(しんめい)(まも)つてゐるのだ。177(この)(うへ)(おれ)追及(ついきふ)するのは殺生(せつしやう)だ。178政治(せいぢ)なんかは俗物(ぞくぶつ)のやることだ。179老子経(らうしきやう)()ふてあるぢやないか、180太上(たいじやう)下知在之(しもこれあるをしる)……と()つて、181国民(こくみん)(この)(くに)国王(こくわう)()ると()ふこと(だけ)()つて()ればそれで()いのだ。182なまじひに、183チヨツカイを()し、184拙劣(へた)政治(せいぢ)でもやつて()よ、185国依別(くによりわけ)()(たちま)失墜(しつつゐ)し、186()いて大神様(おほかみさま)御名(おんな)(まで)(けが)すぢやないか』
187末子(すゑこ)『お(せつ)御尤(ごもつと)もで(ござ)いますが、188太上(たいじやう)とは大昔(おほむかし)のこと、189人智未開(じんちみかい)(いにしへ)なれば、190(くに)(わう)あることさへ()れば、191それで民心(みんしん)(をさ)まりましたが、192今日(こんにち)世態(せたい)はさう()(わけ)には()きますまい』
193国依(くにより)老子経(らうしきやう)には太上(たいじやう)下知在之(しもこれあるをしる)194次褒之(つぎはこれをほむ)195次畏之(つぎはこれをおそる)1951次譏之(つぎはこれをそしる)196次侮之(つぎはこれをあなどる)1961……と()てゐるぢやないか。197()(なか)段々(だんだん)(すす)むに()れ、198(とく)がおちて()ると慈善(じぜん)だとか、199救済(きうさい)だとか()つて、200万衆(ばんしう)機嫌(きげん)()らねばならぬやうになつて()る。201そこで万衆(ばんしう)(ほどこ)しをするから仁者(じんしや)だ、202尭舜(げうしゆん)御世(みよ)だと()つて頭主(とうしゆ)をほめるのだ、203(つぎ)(これ)(おそ)るといふことはつまり()うだ、204(あま)頭主(とうしゆ)仁慈(じんじ)(なれ)て、205衆生(しゆじやう)気儘(きまま)になり、206慢心(まんしん)した結果(けつくわ)207不正義(ふせいぎ)をたくらんだり、208強盗(がうたう)殺人(さつじん)放火(はうくわ)(とう)所在(あらゆる)悪事(あくじ)敢行(かんかう)し、209()(なか)秩序(ちつじよ)(みだ)(やう)になつて()る。210そこで頭主(とうしゆ)(きび)しい法規(はふき)(まう)けて、211(ぜん)(しやう)し、212(あく)(ばつ)する(やう)になつて()る。213丁度(ちやうど)八衢(やちまた)白赤(しろあか)守衛(しゆゑい)(つと)める(やう)なものだ。214それならまだしも()いが、215()段々(だんだん)(すす)むと、216(その)(つぎ)には(これ)(あなど)ると()(こと)になつて()る。217(つひ)衆生(しゆじやう)(しん)汚濁(をぢよく)して頭主(とうしゆ)大老(たいらう)(あに)(しゆ)あらむやなど(とな)ふる馬鹿者(ばかもの)出来(でき)()る。218(えう)するに頭主(とうしゆ)たる()(かみ)代表者(だいへうしや)として、219(くに)中心(ちうしん)()つてゐれば()いのだ。220色々(いろいろ)小刀(こがたな)細工(ざいく)をする(やう)なことでは最早(もはや)駄目(だめ)だ。221だから(この)国依別(くによりわけ)(うづ)(くに)衆生(しゆじやう)からは国司(こくし)(あふ)がれてゐるが、222自分(じぶん)としては国司(こくし)でも(なん)でもないヤハリ一個(いつこ)国依別(くによりわけ)223(もと)宗彦(むねひこ)だ。224(たれ)が……馬鹿(ばか)らしい、225(おほ)きな(つら)をして(おもて)()られるものか……アーア』
226大欠伸(おほあくび)をし、227両手(りやうて)(にぎ)(こぶし)(かた)めて頭上(づじやう)(たか)(さし)()げた。
228末子(すゑこ)『モウ仕方(しかた)がありませぬ。229何時(いつ)貴方(あなた)はそれだから愚昧(ぐまい)(わらは)()ふことは一口(ひとくち)茶化(ちやくわ)されて(しま)ひますからね。230(しか)(なが)(わが)君様(きみさま)231(あま)貴方(あなた)天然教育(てんねんけういく)とか自然教育(しぜんけういく)とか仰有(おつしや)つて、232二人(ふたり)子供(こども)気儘(きまま)放任(はうにん)して()かれたものだから、233松若彦(まつわかひこ)234伊佐彦(いさひこ)老臣(らうしん)(むか)ひ、235傍若無人(ばうじやくぶじん)暴言(ぼうげん)()き、236……お(まへ)のやうな骨董品(こつとうひん)一時(いちじ)(はや)引退(いんたい)した(はう)国家(こくか)利益(りえき)だとか衆生(しゆじやう)幸福(かうふく)だらう……とか()つたさうですよ。237(なに)(ほど)放任教育(はうにんけういく)がよいと()つても、238チツとは教誡(けうかい)(あた)へて(くだ)さらぬと(こま)るぢやありませぬか』
239国依(くにより)子供(こども)教育(けういく)(はは)にあるのだ。240(まへ)()所謂(いはゆる)良妻賢母(りようさいけんぼ)だから(こま)るのだ。241賢妻良母(けんさいりやうぼ)でなくては本当(ほんたう)教育(けういく)出来(でき)ないよ。242国依別(くによりわけ)教育家(けういくか)でもなければ子守(こもり)でもなし、243家庭教師(かていけうし)でもないから、244そんなことア畑違(はたけちが)ひだよ。245(しか)しあの時代遅(じだいおく)れの親爺連(おやぢれん)に、246(せがれ)(むすめ)引退(いんたい)(せま)つたといふのか、247流石(さすが)(おれ)()だ、248あゝ感心(かんしん)々々(かんしん)249(この)(ちち)にして(この)()あり、250国依別(くによりわけ)知己(ちき)()たりと()ふべしだ、251アツハヽヽヽ』
252末子(すゑこ)『あゝ(こま)つたことになつたものだなア。253(まる)(わが)君様(きみさま)(むか)つては如何(いか)なる箴言(しんげん)豆腐(とうふ)(かすがひ)254(ぬか)(くぎ)だワ。255(この)(まま)にして放任(はうにん)して()かうものなら、256(せがれ)(むすめ)(あたら)しがつて乗馬生活(じやうめせいくわつ)()て、257両親(りやうしん)()て、258どこへ逐電(ちくでん)するか(わか)らないと()()めてならないのですワ。259松若彦(まつわかひこ)もそれが心配(しんぱい)でならないと()つてゐましたよ』
260国依(くにより)(せがれ)(むすめ)乗馬生活(じやうめせいくわつ)(きら)つて(いづ)れは()るだらう。261(なん)()つても、262(おれ)()()けてる子供(こども)だからな。263(いま)こそ()うして(うづ)(くに)国司(こくし)仮名(かめい)(とら)はれ、264鍍金的(めつきてき)権威(けんゐ)(たも)つてすまし()んでゐるものの、265(もと)(ただ)せば、266(かつ)巡礼(じゆんれい)をして()つた宗彦(むねひこ)()れの(はて)だ、267(その)(せがれ)だもの当然(たうぜん)だよ。268(おや)()()鬼子(おにご)()ふから、269(おれ)もヤツパリ(まこと)()()つたと()えるワイ、270アツハヽヽヽ。271オイ末子姫(すゑこひめ)272人間(にんげん)教育(けういく)肝心(かんじん)だよ。273教育(けういく)行方(やりかた)によつて、274人物(じんぶつ)(おほ)きくもなり(ちひ)さくもなるのだからな』
275末子(すゑこ)『ホヽヽヽヽ、276教育(けういく)()いて(あき)れますワ。277貴方(あなた)教育(けういく)(けう)獣扁(けものへん)(わう)(きやう)でせう』
278国依(くにより)無論(むろん)(けもの)でも(わう)になれば結構(けつこう)だが、279(しか)(おれ)()教育(けういく)(けう)はそんなのではない。280森林(しんりん)(なか)(くも)(しの)いで(そび)()喬木(けうぼく)(けう)だ。281現代(げんだい)()うな教育(けういく)行方(やりかた)では、282(とこ)()(かざ)盆栽(ぼんさい)(つく)れても、283(はしら)になる良材(りやうざい)出来(でき)ない。284野生(やせい)(すぎ)(ひのき)(まつ)などは、285(すこ)しも人工(じんこう)(くは)へず、286惟神(かむながら)(まま)成育(せいいく)してゐるから、287立派(りつぱ)(はしら)となるのだ。288今日(こんにち)()うに児童(じどう)性能(せいのう)天才(てんさい)無視(むし)して、289圧迫教育(あつぱくけういく)詰込教育(つめこみけういく)(ほどこ)し、290折角(せつかく)大木(たいぼく)にならうとする若木(わかぎ)針金(はりがね)()いたり、291(しん)()んだり、292つつぱりをかうたりして、293(ちひ)さい(はち)()れて(しま)ふものだから、294(ろく)人間(にんげん)(ひと)つも出来(でき)やしない。295惟神(かむながら)(まか)して、296(おも)ふままに子供(こども)発達(はつたつ)させ、297智能(ちのう)伸長(しんちやう)させるのが(しん)教育(けういく)だ。298大魚(たいぎよ)小池(こいけ)()まず、299(せがれ)余程(よほど)人格(じんかく)()()げたと()えて、300(この)(せま)高砂城(たかさごじやう)窮屈(きうくつ)になつたとみえる。301それでこそ世界的(せかいてき)人物(じんぶつ)だ、302(いや)崇敬(すうけい)すべき人格者(じんかくしや)だ、303てもさても神様(かみさま)御恵(みめぐ)有難(ありがた)感謝(かんしや)(いた)します』
304拍手(はくしゆ)(なが)神殿(しんでん)(むか)つて拝礼(はいれい)する。305末子姫(すゑこひめ)(あま)りのことに(あき)()て、306(かへ)言葉(ことば)()らなかつた。
307大正一三・一・二二 旧一二・一二・一七 於伊予 山口氏邸、松村真澄録)
   
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