霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 追劇(ついげき)〔一七九〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第71巻 山河草木 戌の巻 篇:第1篇 追僧軽迫 よみ:ついそうけいはく
章:第1章 第71巻 よみ:ついげき 通し章番号:1790
口述日:1925(大正14)年11月07日(旧09月21日) 口述場所:祥明館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年2月1日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玄真坊は、シャカンナの元部下たちを引き連れて、バルギーといっしょに逃げたダリヤ姫を捜索していた。部下の一人、コブライとともに山中の立岩までやってきた。
コブライは玄真坊の待遇に文句を言いつつ、女に逃げられたことをからかっている。日が暮れてきたため、二人は立岩のくぼみで眠りについた。
そこへダリヤ姫を捜索している山賊の部下たちがやってくる。山賊たちは暗闇に怖気づいて、怖さを紛らわすために歌を歌いだした。
玄真坊とコブライはそれに気づいて目を覚ます。コブライは玄真坊をからかおうと、ダリヤ姫の声色を使い、玄真坊を茨の中へ飛び込ませようとする。
玄真坊はダリヤに近づこうとするが、落とし穴に落ち込んでしまう。その悲鳴に驚いたコブライも、いっしょに穴に落ちてしまう。山賊たちはてっきり化け物の仕業と思い、逃げてしまった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7101
愛善世界社版: 八幡書店版:第12輯 501頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:2頁 初版: ページ備考:
001(かみ)(めぐみ)(ゆた)かなる
002言霊(ことたま)(ひら)天恩郷(てんおんきやう)
003(その)頂上(ちやうじやう)(そび)()
004銀杏(いてふ)大木(おほき)(てん)()
005黄金(こがね)扇子(せんす)をかざしつつ
006これの聖場(せいぢやう)万寿苑(まんじゆゑん)
007五六七(みろく)御代(みよ)(はて)(まで)
008(かは)(こと)なき瑞祥閣(ずゐしやうかく)
009四方(よも)(にしき)山屏風(やまびやうぶ)
010引立(ひきた)てまはし(あや)(はた)
011(たて)(よこ)とに(おり)なして
012(わが)()(もと)()ふも(さら)
013大地(だいち)のあらむ(はて)までも
014神光(しんくわう)()らす光照殿(くわうせうでん)
015いよいよ(ここ)落成(らくせい)
016()げし菊月(きくづき)上八日(かみやうか)
017南桑田(みなみくはだ)平原(へいげん)
018一目(ひとめ)瞰下(みおろ)要害地(えうがいち)
019天正(てんしやう)二年(にねん)(その)(むかし)
020織田(おだ)右府(いうふ)(つか)へたる
021土岐(どき)一族(いちぞく)光秀(みつひで)
022偉業(ゐげふ)(あと)(しの)びつつ
023祥明館(しやうめいくわん)(おく)()
024千年(ちとせ)(ちな)松村(まつむら)()
025三五(さんご)(ひかり)瑞月(ずゐげつ)
026(くら)(この)()(てら)さむと
027(かみ)御言(みこと)(かかぶ)りて
028何時(いつ)もの(とほ)(よこ)()
029(しとね)(ふね)()(まか)
030(たたみ)(なみ)(うか)びつつ
031太平洋(たいへいやう)横断(わうだん)
032印度(いんど)(うみ)乗越(のりこ)えて
033往古文明(わうこぶんめい)(きこ)えたる
034七千余国(しちせんよこく)(つき)(くに)
035タラハン(じやう)(つか)へたる
036左守(さもり)(かみ)(かく)()
037スガの(みなと)のダリヤ(ひめ)
038言葉(ことば)(たくみ)にそそのかし
039をびき()したる天真坊(てんしんばう)
040悪鬼(あくき)羅刹(らせつ)憑依(ひようい)され
041タニグク(だに)山奥(やまおく)
042(その)醜態(しうたい)をさらしたる
043滑稽悲惨(こつけいひさん)物語(ものがたり)
044千山万水(せんざんばんすい)山河草木(さんかさうもく)()(いぬ))の(まき)
045初頭(しよとう)にこまごま(しる)しゆく
046あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
047御霊(みたま)(さちは)ひましませよ。
048 稀代(きたい)売僧坊主(まいすばうず)奸侫邪智(かんねいじやち)曲者(くせもの)(なが)ら、049どこともなく()のぬけた面構(つらがまへ)050(あたま)仔細(しさい)らしく(まる)めてゐるが、051元来(ぐわんらい)()のうすい(たち)で、052(べつ)にかみそりの御節介(ごせつかい)(あづか)らなくとも()(はず)のピカピカ(ひか)つた調法(てうはふ)(あたま)持主(もちぬし)053(はな)(さき)(めう)(とが)り、054()(すこ)(ばか)(つり)(あが)り、055前歯(まへば)二本(にほん)056(あつ)(くちびる)からニユツとはみ()し、057(なに)(ほど)オチヨボ(ぐち)をしようとしても、058(この)二枚(にまい)前歯(まへば)(だけ)雰囲気外(ふんゐきぐわい)突出(とつしゆつ)して、059治外法権(ちぐわいはふけん)状態(じやうたい)である。060川瀬(かはせ)乱杭(らんぐひ)(よろ)しくといふ歯並(はなみ)に、061茹損(ゆでぞこな)ひの田螺(たにし)()うな()くそだらけの()をむき()し、062ダリヤ(ひめ)捜索(そうさく)両眼(りやうがん)血走(ちばし)らせ、063谷間(たにあひ)坂道(さかみち)息使(いきづか)(あら)く、064(あわ)()()ばし(なが)ら、065数多(あまた)小盗児連(せうとるれん)四方(しはう)八方(はつぱう)間配(まくば)り、066自分(じぶん)はダリヤ(ひめ)()げたらしいと(おも)はるる山路(やまみち)(えら)んで、067泥棒(どろばう)(なか)でもチツと(ばか)()()いたらしいコブライを()()し、068(しし)(とほ)つた(あと)洋犬(かめ)()ぎつけるやうな調子(てうし)で、069(この)山中(さんちう)名高(なだか)立岩(たていは)(ふもと)(まで)やつて()た。070時々(ときどき)毒虫(どくむし)(おどろ)かされ、071猛獣(まうじう)(きも)をひしがれつつ、072夕陽(ゆふひ)のおつる(ころ)073(あし)(ぼう)になつたと(つぶや)(なが)ら、074根気(こんき)()きて路傍(ろばう)(くさ)(うへ)に、075座骨(ざこつ)突出(とつしゆつ)した貧弱(ひんじやく)(しり)をドスンと(おろ)した。
076天真坊(てんしんばう)『オイ、077コブライ、078どうだ、079一寸(ちよつと)一服(いつぷく)やらうぢやないか、080交通機関(かうつうきくわん)にチツト(ばか)(あぶら)をささなくちや運転不能(うんてんふのう)となりさうだ。081どうも(この)急坂(きふはん)夜昼(よるひる)なしに踏破(たふは)したものだから、082膝坊主(ひざばうず)がチツと(ばか)抗議(かうぎ)(まをし)()でて、083()むを()休養(きうやう)(めい)ずる(こと)にしたのだ。084エヽ(きさま)(この)(あひだ)にそこら(ぢう)を、085一寸(ちよつと)086偵察(ていさつ)して()てくれないか、087あのダリヤだつて、088(なに)(ほど)(あし)(はや)いと()つても(をんな)だ、089(あま)(とほ)くは()くまいからのう』
090コブライ『成程(なるほど)091そりやさうかも()れませぬな、092(しか)(なが)吾々(われわれ)はもう暮六(くれむ)(さが)つてをりますから、093()角膜院(かくまくゐん)就寝(しうしん)喇叭(らつぱ)()きかけました。094夜分(やぶん)(まで)日当(につたう)(もら)つて()りませぬから、095コブライも化身(けしん)さまと一所(いつしよ)休養(きうやう)さして(もら)ひませうかい、096(なん)()つてもタカが人間(にんげん)です、097天帝(てんてい)化身(けしん)ともあらう聖者(せいじや)が、098根気(こんき)()きて行倒(ゆきだふ)れを(あそ)ばすといふ(この)場合(ばあひ)099どうしてコンパスが(はたら)きませう。100そんな(こと)いはずに(やす)(とき)にや気良(きよ)(やす)まして(くだ)はいな、101こん(だけ)(ひろ)山野(さんや)一人(ひとり)(をんな)何時(いつ)(まで)(さが)したつて、102さう易々(やすやす)見付(みつ)かるものぢやありませぬワ。103()うして一服(いつぷく)して()ると、104ダリヤさまが(あと)からバルキーと一緒(いつしよ)意茶(いちや)つきもつて(とほ)るかも()れませぬ。105さうすりや、106()(なが)らにして、107目的(もくてき)瑞宝(ずゐほう)()()れるも同然(どうぜん)ですからなア』
108(てん)『エー、109泥棒(どろばう)(くせ)弱音(よわね)をふく(やつ)だな。110エ、111(しか)(なが)人間(にんげん)万事(ばんじ)塞翁(さいをう)(うし)(けつ)といふから、112(なに)都合(つがふ)になるとも(わか)らない。113今日(けふ)特別(とくべつ)恩典(おんてん)(もつ)黙許(もくきよ)しておかうかい、114ウツフヽヽヽ』
115コブ『天真坊(てんしんばう)さま、116(わら)ひごつちやありませぬよ。117(ぼく)は、118(わたくし)真剣(しんけん)(よわ)つてるのですからな。119エ、120(しか)人間(にんげん)万事(ばんじ)塞翁(さいをう)(うし)(けつ)仰有(おつしや)いましたね、121塞翁(さいをう)(うま)(くそ)とは(ちが)ひますか』
122(てん)(うま)でも(うし)でも()いぢやないか、123(おれ)(うし)(けつ)といふたのは、124物識(ものしり)といふ意味(いみ)だ』
125コ『成程(なるほど)126天帝(てんてい)化身(けしん)さま(だけ)あつて、127(なん)でも()(もの)()つて御座(ござ)るといふ(なぞ)ですな』
128(てん)『きまつた(こと)だ、129三千世界(さんぜんせかい)(こと)なら、130宇宙開闢(うちうかいびやく)(はじ)めから、131(せう)微塵(みぢん)(いた)(まで)132()れなく(おち)なく、133(かがみ)にかけたる(ごと)()りぬいてゐる名僧(めいそう)知識(ちしき)だ、134オツホン』
135コ『エツヘヽヽ、136それ(ほど)(なに)もかも()(わか)(うし)のケツ先生(せんせい)が、137あれ(ほど)(おほ)きいダリヤ(ひめ)行方(ゆくへ)(さが)すのに、138シヤカンナ頭目(とうもく)部下(ぶか)二百人(にひやくにん)(まで)借用(しやくよう)して、139捜索(そうさく)せにやならぬとはチツと矛盾(むじゆん)ぢやありませぬか』
140(てん)馬鹿(ばか)をいふな、141(こひ)()なもの(おつ)なもの、142オツとどつこい、143(こひ)曲者(くせもの)といふぢやないか、144久米(くめ)仙人(せんにん)でさへも、145(をんな)(しろ)(はぎ)をみて空中(くうちう)から墜落(つゐらく)したといふ(はなし)がある。146(なに)(ほど)天帝(てんてい)化身(けしん)でも、147(をんな)(まよ)ふた以上(いじやう)咫尺暗澹(しせきあんたん)148(まつた)常暗(とこやみ)となるのは当然(たうぜん)()だ』
149コ『ヘーン、150さうですかいな、151(めう)ですな、152怪体(けつたい)(こと)をいひますな、153不可思議(ふかしぎ)千万(せんばん)154奇妙頂礼(きめうちやうらい)155古今独歩(ここんどつぽ)156珍々無類(ちんちんむるゐ)157(いし)(なが)れて()()(しづ)んで、158(てん)()となり、159()(てん)となりさうな塩梅式(あんばいしき)だ。160(をんな)といふ(やつ)ア、161(これ)()くと(じつ)(おそ)ろしい代物(しろもの)だワイ。162さうすると天真坊(てんしんばう)さま、163(まへ)さまを(めくら)にする(だけ)器量(きりやう)()つてゐるダリヤ(ひめ)は、164()(ぽど)(えら)(もの)ですなア。165婦人(ふじん)孱弱(かよわ)男子(だんし)なりといふ熟語(じゆくご)()いてをりますが、166婦人(ふじん)(もつとも)(つよ)男子(だんし)なりと()ひたくなるぢやありませぬか』
167(てん)『そこらにゴロゴロしてゐる、1671コンマ以下(いか)(をんな)(ちが)ひ、168(なん)といつても(あま)河原(かはら)(たま)(ふね)(うか)べ、169天降(あまくだ)(あそ)ばした棚機姫(たなばたひめ)化身(けしん)だもの、170そりや当然(あたりまへ)だよ』
171コ『成程(なるほど)172それぢや(ひと)七夕(たなばた)さまをお(いの)りしてダリヤ(ひめ)在処(ありか)判然(はつきり)()らして(いただ)かうぢやありませぬか。173(まへ)さまも天帝(てんてい)化身(けしん)で、174七夕姫(たなばたひめ)夫婦(ふうふ)ぢやと仰有(おつしや)つた(こと)(おぼ)えてゐますが、175なんぼ(なん)でも天帝(てんてい)化身様(けしんさま)女帝(によてい)行方(ゆくへ)(わか)らないとは、176チツと理窟(りくつ)()はないやうに(おも)ひますがな』
177(てん)『きまつた(こと)だい、178七夕姫(たなばたひめ)彦星(ひこぼし)(おれ)とは(むかし)から(ねん)一度(いちど)より()はれない規則(きそく)だから、179(わか)らぬのも無理(むり)はない。180それを毎日(まいにち)日日(ひにち)()ふて(たのし)まふといふのだから、181チツとはこちにも無理(むり)があると()ふものだ。182(しか)(なが)一旦(いつたん)(おも)()んだ(こと)はやり(とほ)さなくちや、183男子(だんし)意地(いぢ)()たない、184(いな)天真坊(てんしんばう)威厳(ゐげん)(くわん)する問題(もんだい)だ』
185コ『成程(なるほど)186いかにも、187御尤(ごもつと)千万(せんばん)188エ、189万々一(まんまんいち)190ダリヤ(ひめ)肱鉄(ひぢてつ)をかました(とき)貴方(あなた)如何(どう)するお(かんが)へですか』
191(てん)『ヘン、192馬鹿(ばか)いふな、193そんな(こと)があつて(たま)らうかい、194ダリヤはぞつこん(おれ)にラブしてゐるよ』
195コ『ウツフヽヽ、196それ(ほど)ラブしてゐる(もの)が、197なぜお(まへ)さまの()てゐる()(かんが)へ、198(かほ)落書(らくがき)までして遁亡(とんばう)したのですか』
199(てん)『そりやお(まへ)解釈(かいしやく)(ちが)ふ。200ダリヤも(あま)(なが)山道(やまみち)(ある)いて()たものだから大変(たいへん)にくたぶれてゐよつた。201そこへメツタ矢鱈(やたら)(さけ)()ましたものだから、202グツタリと寝込(ねこ)んで(しま)ひ、203()がくらんで人間違(ひとまちがひ)をしよつたのだ。204バルギーの(やつ)205()でも菎蒻(こんにやく)でもゆかぬ悪党(あくたう)だから、206ダリヤや(おれ)(たち)()()に、207そつと(つら)落書(らくがき)(いた)し、208一見(いつけん)(おれ)(つら)とみえないやうにしておき、209(その)()にダリヤをゆすり(おこ)し、210(おれ)声色(こはいろ)使(つか)ひ、211(うま)夜陰(やいん)(まぎ)れ、212をびき()しよつたものと(さつ)する。213ダリヤは今朝(けさ)あたり、214ハツキリ(ひと)(つら)がみえるやうになつてから、215バルキーのしやつ(つら)(なが)めて、216さぞ(あん)相違(さうゐ)しびつくり仰天(ぎやうてん)した(こと)だらうよ。217ダリヤに(かぎ)つて、218(おれ)()すてるやうな(こころ)は、2181微塵毛頭(みぢんまうとう)()つてゐやう(はず)がない、219屹度(きつと)バルギーが(おれ)()けて、220()とぼけ(まなこ)(さいはひ)221ゴマかしよつたのだ。222(なん)()つても、223世界(せかい)(をんな)は、224一度(いちど)(おれ)(つら)(をが)んだが最後(さいご)225(けつ)して(わす)れるものぢやない。226(いはん)(あま)つたるい(こと)一口(ひとくち)でもかけて(もら)つた(をんな)は、227何程(なにほど)(はち)(はら)ふやうにしたつて、228(おれ)にや()(はな)れないのだ、229エヘヽヽヽ』
230口角(こうかく)よりツーツーとさがる(いと)のやうな、231ねんばりしたものを、232()(かふ)手繰(たぐ)つてゐる。
233コ『イツヒヽヽヽ、234此奴(こいつ)面白(おもしろ)い、235奇妙(きめう)奇天烈(きてれつ)236珍々無類(ちんちんむるゐ)だ』
237 ()西山(せいざん)(しづ)んで(てん)から(やみ)(くだ)けた()うにおちて()た。238(くら)がりはゴムをふくらしたやうに四方(しはう)八方(はつぱう)(ひろ)がつてゆく。239時鳥(ほととぎす)(こゑ)彼方(あなた)此方(こなた)より競争的(きやうさうてき)(きこ)えて()る。240二人(ふたり)()むを()ず、241立岩(たていは)(くぼ)みに(からだ)をもたせかけ(はや)くも(いびき)(まく)がおりた。
242 シヤカンナの部下(ぶか)(つか)へてゐた四五人(しごにん)小盗児連(せうとるれん)は、243(これ)もヤツパリ、244ダリヤ(ひめ)捜索(そうさく)(たの)まれて、245彼方(あなた)此方(こなた)密林(みつりん)をかきわけ、246蜘蛛(くも)()だらけになつてやつて()たが、247背丈(せたけ)にのびた道傍(みちばた)(くさ)や、248(ふか)()かげに(ほし)(ひと)()えず、249進退(しんたい)(きは)まつて、250一同(いちどう)(ここ)(まくら)(なら)べようと(よこ)になつた。251(なん)だか(くら)がりで(わか)らないがグヅグヅグヅと雑炊(ざふすゐ)でもたいてゐる()うな(こゑ)がする。
252(かふ)『オイ(なん)だか(めう)(おと)がするぢやないか。253ここは立岩(たていは)といつて、254(むかし)から化州(ばけしう)()(ところ)だ、255チツと用心(ようじん)せななるまいよ』
256(おつ)成程(なるほど)257此奴(こいつ)(いや)らしい。258(しか)時鳥(ほととぎす)があれ(だけ)ないてゐるから、259マア一寸(ちよつと)(その)(はう)(みみ)(かたむ)けてグツグツを()かないやうにすりや()いぢやないか、260(おれ)やモウ、261そこらが(さむ)くなつて、262(からだ)(こま)かく活動(くわつどう)()した。263()ても()つても()られない(やう)だ、264エーエー265モツと時鳥(ほととぎす)()いてくれると()いのだけれどなア』
266(かふ)『ヒヨツとしたら、267天真坊(てんしんばう)さまが(この)(へん)(いびき)をかいて()てゐるのぢやあるまいかな。268さうでなけりや、269時鳥(ほととぎす)(おやぢ)イが()がぬけて、270あんな(なき)(ざま)をしてゐやがるのだらう』
271(おつ)『エー、272かふいふ(とき)にや(うた)(うた)ふに(かぎ)る。273(ひと)(きも)をほり()して、274土手(どて)()(うた)つてみようぢやないか』
275(かふ)『よからう、276それが一番(いちばん)だ、277オイ(みな)(やつ)278(きさま)(うた)はないかい』
279(へい)『こんな(ところ)(うた)でも(うた)ふてみよ、280立岩(たていは)(まへ)人間(にんげん)ありと化物(ばけもの)(さと)り、281四方(しはう)八方(はつぱう)から(ひと)()小僧(こぞう)()()小僧(こぞう)(おし)よせ(きた)らば、282(きさま)どうする(つもり)だ。283(だま)つて()ろよ、284のう(てい)285(ぼう)286さうぢやないか』
287 (てい)(ぼう)とはウンともスンとも()はず、288(ちひ)さくなつて(ふる)うてゐる。289(おつ)(あは)れつぽいふるい(ごゑ)()(なが)ら、290カラ元気(げんき)をおつぽり()(うた)()した。
291夕日(ゆふひ)はおちて御空(みそら)から
292(やみ)はくだけておつるとも
293(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
294如何(いか)なる悪魔(あくま)(おそ)(とも)
295いかでか(おそ)れむ泥棒(どろばう)
296大頭目(だいとうもく)のシヤカンナが
297乾児(こぶん)()れし哥兄(にい)さまだ
298幽霊(いうれい)なりと(なに)なりと
299()るなら()()天真坊(てんしんばう)
300天帝(てんてい)化身(けしん)命令(めいれい)
301御用(ごよう)()()(おれ)だぞよ
302(なに)(ほど)(えら)悪魔(あくま)でも
303(この)()をお(つく)(あそ)ばした
304天帝(てんてい)さまには(かな)ふまい
305(いち)乾児(こぶん)(おれ)(たち)
306(とり)(なほ)さず八百万(やほよろづ)
307(かみ)(うち)なる一柱(ひとはしら)
308もしも曲津(まがつ)()るならば
309十里四方(じふりしはう)(とび)のけよ
310マゴマゴ(いた)してゐよつたら
311手足(てあし)をもぎ()(ほね)くだき
312(にく)をだんごにつき(まる)
313禿(はげ)わし(ども)()はすぞや
314天下無双(てんかむさう)豪傑(がうけつ)
315五人(ごにん)(うち)一人(ひとり)をる
316(おそ)れよおそれ曲津(まがつ)(ども)
317あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
318(かみ)(まこと)太柱(ふとばしら)
319天真坊(てんしんばう)御家来(ごけらい)
320(たて)つく悪魔(あくま)()にあらじ
321さがれよさがれトツトとさがれ
322(やみ)()()れ、一時(いちじ)(はや)
323(つき)()()(ほし)()
324(この)()(かみ)のゐます(くに)
325悪魔(あくま)()むべき場所(ばしよ)でない
326あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
327御霊(みたま)(さちは)ひましませよ』
328()のなくやうな(こゑ)(さへづ)つてゐる。329(かふ)はドラ(ごゑ)張上(はりあ)(なが)ら、330焼糞(やけくそ)になり(うた)()した。
331『どつこいしようどつこいしよう
332天帝(てんてい)さまの御化身(ごけしん)
333(いま)何処(いづこ)にましますか
334ここは()()立岩(たていは)
335山中一(さんちういち)化物場(ばけものば)
336化物退治(ばけものたいぢ)にやつて()
337(おれ)英雄(えいゆう)スカンナだ
338(おれ)()(こと)スカンなら
339(はや)何処(どこ)なと()げなされ
340天真坊(てんしんばう)生神(いきがみ)
341やがて此処(ここ)をば(とほ)るだろ
342そしたら悪魔(あくま)一族(いちぞく)
343(あさひ)(つゆ)()ゆる(ごと)
344(あさ)ましザマをさらすだろ
345(なん)だか()らぬが(この)場所(ばしよ)
346自然(しぜん)(からだ)(ふる)()
347小気味(こぎみ)(わる)(やみ)(みち)
348あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
349御霊(みたま)(さちは)ひましまして
350天帝様(てんていさま)御化身(ごけしん)
351一時(いちじ)(はや)御光来(ごくわうらい)
352(あそ)ばす(やう)(ねが)ひます
353あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
354(かな)はぬ(とき)神頼(かみだの)み』
355 天真坊(てんしんばう)(この)(こゑ)にふつと()をさまし、
356『ハハア小泥棒(こどろぼう)(やつ)357ここ(まで)やつて()てヘコ()れよつたとみえるワイ。358何奴(どいつ)此奴(こいつ)仕方(しかた)のない(やつ)だな、359(しか)(なが)らダリヤを(うま)(つかま)へてくれよつたかな』
360(いき)をこらして(かんが)へてゐる。361コブライも(また)()をさまし、362天真坊(てんしんばう)()(おこ)して何事(なにごと)(かんが)へてゐる様子(やうす)なので、363(やみ)(さいは)ひ、364自分(じぶん)三間(さんげん)(ばか)立岩(たていは)のうしろへ(まは)り、365(やさ)しい(をんな)声色(こわいろ)使(つか)ひ、
366天真坊(てんしんばう)さま、367(まち)()ねました。368バルギーの悪人(あくにん)にたばかられ、369貴方(あなた)間違(まちが)ひ、370(よる)(みち)371()てみれば、372(あん)相違(さうゐ)蛙面(かはづづら)373こら如何(どう)せうかと思案(しあん)(あま)り、374バルギーの睾丸(きんたま)をしめつけ、375途中(とちう)(たふ)し、376(この)立岩(たていは)のうしろに(かく)れて一夜(ひとよ)(あか)さむと()つて()りました。377(こひ)しい()君様(きみさま)378どうぞ此処(ここ)までお()(あそ)ばし、379(あたい)()引張(ひつぱ)つて(くだ)さいな。380ジヤツケツいばらに(からだ)()りまかれ、381身動(みうご)きが出来(でき)ませぬワ』
382 天真坊(てんしんばう)(この)(こゑ)()いて小躍(こをど)りし(なが)ら、383(やや)少時(しばし)(かんが)()んでゐる。384スカンナ(ほか)四人(よにん)(また)(いき)をこらして様子(やうす)(かんが)へてゐたが、385(この)連中(れんぢう)はテツキリ化物(ばけもの)早合点(はやがつてん)し、386(かほ)をグツスリとタオルで(つつ)んで(しま)ひ、387(うつむ)いて(ふる)ふてゐる。
388コブライ『モシ天真坊(てんしんばう)さま、389ダリヤで御座(ござ)います、390どうぞ(はや)()(くだ)さいな。391エー()かぬたらしい、392(まへ)さまはコブライさまぢやないか、393貴方(あなた)(よう)はありませぬよ、394(まへ)さまに(たす)けてくれとはいひませぬ、395天真坊(てんしんばう)さまに(たす)けて()しいのだもの』
396 コブライは今度(こんど)自分(じぶん)地声(ぢごゑ)()し、
397『コレ、398ダリヤ(ひめ)(さま)399(わたし)(けつ)してお(まへ)さまに野心(やしん)()つては()りませぬ。400天帝(てんてい)化身(けしん)さまは、401勿体(もつたい)ない、402(みづか)ら、403かやうな茨室(いばらむろ)へお()しになる(わけ)()きませぬから、404(わたし)がチツとは茨掻(いばらがき)をしても(かま)はぬ、405犠牲(ぎせい)となつてお(すく)ひに()たのだ。406エーエーさうすつ()んでは、407余計(よけい)(いばら)(ひつ)かかるぢやありませぬか……、408女声(をんなごゑ)で)イエイエ(なん)仰有(おつしや)つても(わたし)天真坊(てんしんばう)さまに()てほしいのですワ、409チツと(ばか)り、410怪我(けが)をなさつたつて(なん)ですか。411(しん)(あたい)(あい)して(くだ)さるなら、412仮令(たとへ)()(なか)(みづ)(そこ)413茨室(いばらむろ)414どこだつてかまはないと、415仰有(おつしや)つた(こと)があるのですもの、416(いま)こそ誠意(せいい)のためし(どき)417(この)茨室(いばらむろ)(くら)がりに飛込(とびこ)んで(すく)ふてくれないやうな誠意(せいい)のない天真坊様(てんしんばうさま)なら、418(あたい)(はう)からキツパリとお(ことわ)(まを)しますわ。419ねえ天真坊(てんしんばう)さま、420キツと(あたい)(あい)して(くだ)さるでせう。421アイタヽヽ、422(つら)()(あし)(いばら)がきだらけよ、423(はや)(たす)けて()しいものだワ、424ねえ……。425今度(こんど)はコブライの地声(ぢごゑ)で)さてさて合点(がてん)(わる)(ひめ)さまだ。426では(ぼく)貴方(あなた)のお世話(せわ)()(いた)しませぬ。427モシモシ天真坊(てんしんばう)さま、428()づから親切(しんせつ)(つく)して()げて(くだ)さいな』
429(てん)『いかにもダリヤ(ひめ)(こゑ)には()てゐるが、430どこともなしに(あや)しい(てん)がある。431コリヤ化物(ばけもの)ではあるまいかのう』
432コ(女声(をんなごゑ)で)『エーエー辛気臭(しんきくさ)い、433天真坊(てんしんばう)さまとした(こと)が、434(わらは)(とほ)山坂(やまさか)をかけ(まは)りお(なか)がすき、435(こゑ)はかれ、436(つか)れはててをりますから、437本当(ほんたう)のダリヤの(こゑ)()ませぬよ。438どうか御推量(ごすいりやう)して(くだ)さいませ、439(けつ)して化物(ばけもの)ぢや御座(ござ)いませぬから』
440 天真坊(てんしんばう)(こゑ)のする(はう)(むか)つて、441二足(ふたあし)三足(みあし)(すす)(をり)しも(いは)をふみ(はづ)し、442三間(さんげん)(ばか)りの(くさ)茫々(ばうばう)()(しげ)真黒(まつくろ)(あな)へ、443キヤツと()つたぎり()()んで(しま)つた。444スカンナ(ほか)四人(よにん)はいよいよ化物(ばけもの)早合点(はやがつてん)し、445(よつ)(ばひ)となつて坂路(さかみち)をのたりのたりと(いのち)からがらころげゆく。446コブライも天真坊(てんしんばう)(こゑ)(おどろ)いて(こゑ)する(はう)目当(めあて)(あゆ)()途端(とたん)447(また)もや()(はづ)し、448天真坊(てんしんばう)()()んだ(あな)へと一蓮托生(いちれんたくしやう)449(すべ)りこんだ途端(とたん)(やは)らかいぬくい(もの)(からだ)にさはつたので、450ギヨツとし(なが)ら、
451『イヤア(たす)けてくれ(たす)けてくれ』
452大声(おほごゑ)(さけ)ぶ。453天真坊(てんしんばう)()ちた途端(とたん)気絶(きぜつ)してゐたので、454コブライの()()んだのは(すこ)しも()らなかつた。455少時(しばらく)あつて天真坊(てんしんばう)(いき)ふき(かへ)した。
456天真坊(てんしんばう)(たれ)(たれ)だ、457(おれ)をこんな(ところ)へつきはめやがつて』
458コブライ『モシ天真坊(てんしんばう)さま、459しつかりして(くだ)さい。460(やみ)陥穽(おとしあな)へ、461貴方(あなた)(わたし)()()んだのですよ、462モウ()うなりや()()ける(まで)463ここに逗留(とうりう)するより(みち)がありませぬワ』
464(てん)『いかにも、465さう()けば(たしか)にそんな(かん)じもする、466(しか)しあの(とき)467(たしか)にダリヤ(ひめ)(こゑ)がしてゐたやうだが、468(をし)(こと)をしたでないか』
469コ『本当(ほんたう)(をし)(こと)をしましたね、470(たしか)にダリヤさまに間違(まちがひ)ありませなんだ。471大変(たいへん)にあの(かた)貞操(ていさう)(かた)(かた)ですなア、472(わたし)(たす)けようとしても、473(ゆび)一本(いつぽん)さえさせないんですもの』
474(てん)『エヘヽヽ、475そらさうだらうよ、476(しか)しダリヤは心配(しんぱい)してゐるだらうよ。477()()()()ける(まで)仕方(しかた)がないな、478あれ(くらゐ)親切(しんせつ)(をんな)だから、479()()ける(まで)480(おれ)(たち)安否(あんぴ)(かんが)(なが)ら、481立岩(たていは)のはたに()つてるに(ちが)ひないワ、482あゝ惟神(かむながら)(たま)(ちは)ひませ』
483大正一四・一一・七 旧九・二一 於祥明館 松村真澄録)
   
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