第二章 邪神の再来〔五二〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻
篇:第1篇 神界の混乱
よみ(新仮名遣い):しんかいのこんらん
章:第2章 邪神の再来
よみ(新仮名遣い):じゃしんのさいらい
通し章番号:52
口述日:1921(大正10)年10月27日(旧09月27日)
口述場所:
筆録者:外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:竹熊の再来である棒振彦と、木常姫の再来である高虎姫は、八王大神常世彦を謀主として、盤古大神塩長彦の神政にしようと、艮の金神国治立命を退去させようとしていた。その悪念は、竹熊のときよりもいっそう激しくなっていた。
棒振彦・高虎姫は、大八洲彦命の部下に名前を変えて、美山彦・国照姫と偽名を使った。そして奸智に長けた侍女の鷹姫を加えて謀議をこらすことになった。
高虎姫の夫は猿飛彦である。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2016-12-23 03:47:43
OBC :rm0202
愛善世界社版:16頁
八幡書店版:第1輯 164頁
修補版:
校定版:18頁
普及版:8頁
初版:
ページ備考:
001 ここに竹熊の再来なる棒振彦と木常姫の再来なる高虎姫は八王大神常世彦を謀主とし、002盤古大神塩長彦の神政に覆さむと欲し、003艮の金神国治立命を地上より退去せしめむとする一念は、004竹熊の時よりも一層激烈の度を増した。005棒振彦はここに美山彦と名を変じ、006高虎姫は国照姫と偽名して、007大八洲彦命の部下の神軍を欺く手段をとつた。
008 この偽美山彦には温順にして正直一途の玉能姫といふ妻神があつた。009美山彦の行動を見て、010天地の道理に背反せるを歎き、011しばしば涙とともに善道に立帰らむことを諫めた。
012 しかるに美山彦は妻の諫言を一言も耳に入れず、013偽国照姫とともに種々の悪策を凝議しつつあつた。014玉能姫は夫の心を改めしめむと焦心し、015一通の遺書を残し紅海に身を投げて帰幽した。016後に美山彦はわが目的の妨害者の亡び失せたるをかへつて愉快となし、017偽国照姫とともに相謀りて最初の大望を達せむとした。
018 ここに国照姫は、019自分の部下にしてもつとも奸智に長たる小杉姫を美山彦の正妻とした。020小杉姫は奸智にたける女なれば、021棒振彦、022高虎姫の奸計を探知しながら、023素知らぬ顔をしてゐた。024小杉姫の心中には万一の場合、025その悪計を、026憤怒の極点に達したるとき、027これを大八洲彦命に内々奏上し、028もつてその恨みを報ずるの準備としてゐた。029アゝ女の瞋恚ほど世に恐ろしいものはない。
030 棒振彦、031高虎姫は小杉姫の心中穏かならざる色あるを怪しみ、032小杉姫の侍女鷹姫をして、033その心中を探らしめた。
034 あるとき鷹姫は小杉姫にしたがひ、035美はしき丘上に上り、036散歩を試みながら無花果の実を採つて遊んだ。037ふたりは山の頂に草をしきて坐し、038四方山の景色を賞めつつ、
039『世の中に多くの神司ゐませども貴女のごとき幸福なる御方は外に一柱もゐまさざるべし。040げに親しき睦じき御夫婦の間柄にましますこそ羨ましさの限りよ』
041と言葉たくみに小杉姫の心中を探り、042その返答やいかにと、043顔をながめて待侘びた。044小杉姫は自分の信ずる鷹姫の言なれば、045心措きなく小声になつて、046あたりを見廻しながら、047耳に口をあて、048棒振彦と高虎姫との悪逆無道の計画を、049瞋恚の念とともに打明けた。050ここに鷹姫は、
051『貴女の御立腹は実にごもつとも。052妾は実に同情の念にたへませぬ』
053と額に袖をあてて空泣きに泣きながら、
054『妾は貴女のためには生命に代へても充分の力を添へ、055おふたりの仲を割き、056もつて貴神に安心をえさせ奉らむ。057今後は何事にても介意なく仰せられたし』
058と忠義さうにいつた。059賢明なやうでもさすがは女の浅はかさ、060鷹姫の詐術に深く陥つたのである。
061 心きたなき鷹姫は棒振彦、062高虎姫にむかつて、063小杉姫の心中ならびに一切の秘密を密告した。064ふたりは大いに驚き大事の前の小事油断は大敵なりと、065鷹姫をして謀計をもつて小杉姫を逐はしめた。066ここに鷹姫はふたりの寵を得、067つひに抜擢されて謀議に参ずるにいたつた。068これより棒振彦、069高虎姫、070鷹姫は三つ巴となつて陰謀成就のために、071大活動をはじめたのである。072さうして高虎姫には立派なる猿飛彦という夫があつた。
073(大正一〇・一〇・二七 旧九・二七 外山豊二録)