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第三五章 南高山(なんかうざん)神宝(しんぽう)〔八五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第5篇 神の慈愛 よみ(新仮名遣い):かみのじあい
章:第35章 南高山の神宝 よみ(新仮名遣い):なんこうざんのしんぽう 通し章番号:85
口述日:1921(大正10)年11月04日(旧10月05日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
常世の国のカシハ城に割拠して声望をとどろかしていた若豊彦という神があったが、大自在天のために城を追われたため、竜宮城の神政成就に参画しようと訪ねてきた。
言霊別命は神国別命に命じて、若豊彦を審神したところ、数多の邪霊が憑依していることがわかったが、邪霊は審神によって逃げ散り、若豊彦は正しい神人に戻った。
若豊彦は言霊別命の参加に加わり、天上に使いして天神・高照姫命を竜宮城に迎えた。高照姫命は稚桜姫命に謁見し、天上の混乱を伝え、地上の修祓を宣旨した。
しかし魔神・大魔我彦が高照姫命の後をつけており、この秘密の会合のことが邪神に知られることになってしまった。
そこで言霊別命が召し出され、わずかな従神を従え、高照姫命と共に南高山に密かに出立した。途中大魔我彦一派の妨害を避けると、高照姫命は南高山に秘め置かれた神宝を点検し、言霊別命に授けた。
この南高山は天上から降った神宝が秘められた霊山であり、これらの神宝はみろく神政成就のために使われるものである。そして神宝は言霊別命だけが点検することを許された。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2019-11-12 16:51:30 OBC :rm0235
愛善世界社版:174頁 八幡書店版:第1輯 221頁 修補版: 校定版:178頁 普及版:82頁 初版: ページ備考:
001 竜宮城(りゆうぐうじやう)表大門(おもておほもん)(ぐち)花森彦(はなもりひこ)002道貴彦(みちたかひこ)二神司(にしん)(ひか)へてゐた。003この(とき)004天下(てんか)形勢(けいせい)(うれ)へ、005四方(しはう)八方(はつぱう)より神業(しんげふ)参加(さんか)せむとして(あつ)まる神司(かみがみ)日増(ひま)しに()えてきた。006(をり)しも(ひがし)(そら)より(あや)しき(ひかり)(はな)つて()(きた)神司(かみ)があつた。007この神司(かみ)若豊彦(わかとよひこ)といふ。008若豊彦(わかとよひこ)常世(とこよ)(くに)にありて、009数多(あまた)神司(かみがみ)(とも)神界(しんかい)(すく)ふべく種々(しゆじゆ)画策(くわくさく)をなし、010(いち)()一方(いつぱう)主将(しゆしやう)となり声望(せいばう)遠近(ゑんきん)(とどろ)かした神司(かみ)である。011(しか)るに時節(とき)()にして大自在天(だいじざいてん)忌諱(きゐ)にふれ、012たちまち猛烈(まうれつ)なる攻撃(こうげき)にあひ、013カシハ(じやう)をすて味方(みかた)四方(しはう)散乱(さんらん)し、014自分(じぶん)はわづかに()をもつて(まぬが)れた。015この神司(かみ)はいかにしても初志(しよし)(たつ)せむとし、016()()せたる味方(みかた)神将(しんしやう)(あつ)めむとしたが、017カシハ(じやう)陥落(かんらく)のために、018目的(もくてき)(たつ)することができなかつた。019ここにおいて、020()高天原(たかあまはら)稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)あらはれ神政(しんせい)成就(じやうじゆ)経綸(けいりん)(おこ)したまふと()き、021自分(じぶん)もその幕下(ばくか)参加(さんか)せむとし、022はるばる(たづ)ねてきたのである。023道貴彦(みちたかひこ)024花森彦(はなもりひこ)一見(いつけん)してその真偽(しんぎ)(うたが)ひ、025これを言霊別(ことたまわけの)(みこと)進言(しんげん)した。026言霊別(ことたまわけの)(みこと)はただちに神国別(かみくにわけの)(みこと)(めい)じて、027その正邪(せいじや)審判(しんぱん)せしめた。028八咫(やあた)大広間(おほひろま)()れゆき、029ここに厳粛(げんしゆく)なる審神(さには)がはじまつた。030若豊彦(わかとよひこ)肉体(にくたい)には数多(あまた)邪神(じやしん)がひそかに憑依(ひようい)してゐた。031大神(おほかみ)神殿(しんでん)端座(たんざ)し、032神国別(かみくにわけの)(みこと)審神(さには)()くるや、033たちまち憑霊(ひようれい)(あら)はれて前後(ぜんご)左右(さいう)()びまはり、034野天狗(のてんぐ)035野狐(のぎつね)036悪蛇(あくじや)037(たぬき)(たぐひ)さかんに()びだし、038その(かず)幾十百(いくじふひやく)とも(かぞ)ふるに(いとま)なきほどであつた。039これらの数多(あまた)邪霊(じやれい)美山彦(みやまひこ)部下(ぶか)魔神(まがみ)であつて、040若豊彦(わかとよひこ)(たい)憑依(ひようい)竜宮城(りゆうぐうじやう)(ふか)(しの)()らむとした。041ここに厳粛(げんしゆく)なる審神(さには)によつて邪霊(じやれい)全部(ぜんぶ)その正体(しやうたい)(あら)はし、042四方(しはう)八方(はつぱう)()()つた。
043 邪霊(じやれい)退(しりぞ)きさつた若豊彦(わかとよひこ)は、044はじめて本心(ほんしん)にたちかへり、045(ただ)しき神司(かみ)となつて竜宮城(りゆうぐうじやう)奉仕(ほうし)することとなつた。046そこで言霊別(ことたまわけの)(みこと)花森彦(はなもりひこ)神務(しんむ)につかしめ、047若豊彦(わかとよひこ)には、048その(あと)(おそ)はしめた。049それより表大門(おもておほもん)道貴彦(みちたかひこ)050若豊彦(わかとよひこ)二神(にしん)厳守(げんしゆ)することとなつた。051若豊彦(わかとよひこ)漸次(ぜんじ)すすんで、052言霊別(ことたまわけの)(みこと)帷幄(ゐあく)(さん)ずるやうになつた。
053 若豊彦(わかとよひこ)(みこと)内命(ないめい)をうけ(てん)高天原(たかあまはら)にいたり、054天上(てんじやう)において(もつと)有力(いうりよく)なる女神(めがみ)高照姫(たかてるひめの)(みこと)百方(ひやつぱう)(ちから)をつくして()きつけ、055竜宮城(りゆうぐうじやう)(くだ)つてきた。056ここに高照姫(たかてるひめの)(みこと)城内(じやうない)諸神司(しよしん)(むか)へられ、057鄭重(ていちよう)なる饗応(きやうおう)()け、058ついで稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(えつ)し、059天上(てんじやう)における混乱(こんらん)状態(じやうたい)詳細(しやうさい)()(つた)へ、060かつ天上(てんじやう)修理(しうり)固成(こせい)し、061(しん)天国(てんごく)たらしめむとせば、062まづ地上(ちじやう)修祓(しうばつ)第一着(だいいちちやく)とするの必要(ひつえう)なることを詳細(しやうさい)宣示(せんじ)された。
063 稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)はその真意(しんい)(りやう)し、064ここに天地(てんち)(あひ)(おう)じて、065神業(しんげふ)参加(さんか)せむことを(たが)ひに(あひ)(やく)された。066この(とき)067(あめ)八衢(やちまた)より高照姫(たかてるひめの)(みこと)様子(やうす)をうかがひ、068ひそかに()けきたりし大魔我彦(おほまがひこ)はその()(あら)はれて、
069(われ)両神(りやうしん)秘密(ひみつ)計画(けいくわく)(のこ)らず()きたり。070さればこれよりこの一伍(いちぶ)一什(しじふ)八王(やつわう)大神(だいじん)報告(はうこく)し、071もつて根底(こんてい)より破壊(はくわい)せしめむ。072後悔(こうくわい)するな』
073()ひをはるとともに、074姿(すがた)()黒雲(こくうん)となつて逸早(いちはや)東方(とうはう)(てん)(むか)つて()つた。075両神司(りやうしん)魔神(ましん)神策(しんさく)暴露(ばくろ)せむことを(おそ)れ、076奥殿(おくでん)()つて(ふか)()()ぢ、077真澄姫(ますみひめ)(くは)へて種々(しゆじゆ)協議(けふぎ)ををへ、078その結果(けつくわ)079言霊別(ことたまわけの)(みこと)(まね)神界(しんかい)秘策(ひさく)(さづ)けられた。
080 言霊別(ことたまわけの)(みこと)高照姫(たかてるひめの)(みこと)先頭(せんとう)に、081神国別(かみくにわけの)(みこと)082花照姫(はなてるひめ)083火水姫(かみひめ)084梅若彦(うめわかひこ)085広照彦(ひろてるひこ)086秋足彦(あきたるひこ)087村幸彦(むらさちひこ)088若豊彦(わかとよひこ)以下(いか)五神将(ごしんしやう)をともなひ、089長駆(ちやうく)して南高山(なんかうざん)微行(びかう)することとなつた。090このとき(あめ)八衢(やちまた)()()せたる大魔我彦(おほまがひこ)一派(いつぱ)は、091一行(いつかう)()れる(あめ)磐船(いはふね)(くつが)へさむとし、092数多(あまた)部下(ぶか)()()れ、093(しこ)磐船(いはふね)をあまた()(あつ)め、094中空(ちうくう)にありて(さか)んに攻撃(こうげき)をはじめた。
095 高照姫(たかてるひめの)(みこと)一行(いつかう)は、096ただちに方向(はうこう)(へん)じて北方(ほくぱう)()きかへし、097東方(とうはう)(てん)にめぐり、098つひに東北(とうほく)さして大空(おほぞら)(たか)く、099やうやくにして南高山(なんかうざん)到着(たうちやく)した。
100 南高山(なんかうざん)天上(てんじやう)より(くだ)りたる種々(しゆじゆ)神宝(しんぽう)秘蔵(ひざう)されし霊山(れいざん)である。101五六七(みろく)神政(しんせい)成就(じやうじゆ)のために使用(しよう)すべき種々(しゆじゆ)神物(しんもつ)充満(じゆうまん)してゐる。102高照姫(たかてるひめの)(みこと)一々(いちいち)その神宝(しんぽう)点検(てんけん)し、103一切(いつさい)言霊別(ことたまわけの)(みこと)(さづ)け、104若豊彦(わかとよひこ)(したが)へて一旦(いつたん)天上(てんじやう)(かへ)られた。105言霊別(ことたまわけの)(みこと)一行(いつかう)一切(いつさい)秘密(ひみつ)(かた)(まも)り、106目出(めで)たく竜宮城(りゆうぐうじやう)帰還(きくわん)した。107この南高山(なんかうざん)神物(しんもつ)は、108()神司(かみがみ)には(すこ)しも点検(てんけん)(ゆる)さず、109言霊別(ことたまわけの)(みこと)ただ一柱(ひとはしら)がこれを(もと)のごとく()めおかれた。
110大正一〇・一一・四 旧一〇・五 桜井重雄録)
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