霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三九章 太白星(たいはくせい)(たま)〔八九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第6篇 神霊の祭祀 よみ(新仮名遣い):しんれいのさいし
章:第39章 太白星の玉 よみ(新仮名遣い):たいはくせいのたま 通し章番号:89
口述日:1921(大正10)年11月06日(旧10月07日) 口述場所: 筆録者:谷口正治 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
竜宮城の黄金水より出た十二の玉のうち、赤玉を奪われた竜宮の従臣・鶴若は、無念のあまりその精霊が丹頂の鶴に変じてしまった。
丹頂鶴は天高く昇って鳴き叫んだため、その声は天の太白星に伝わった。太白星の精霊・生代姫命はこの声を聞いて怪しみ、鶴から玉の経緯を聞いた。丹頂鶴を憐れんだ生代姫命は、「十二の白鳥に命じて貴重な国玉を汝に与えよう、それをもって竜宮城への功績とするように」と託宣した。
丹頂鶴は必死で十二の白鳥の後を追った。力の限り天上に追っていくと、白鳥は各地に降下して白い光となり、光は地上から天に向かって輝いた。丹頂鶴が行ってみると、白鳥らそれぞれ各地に十二の色の玉となっていた。
丹頂鶴はそれらの十二の玉を飲み込んで、ようやく芙蓉山の中腹に帰ってきた。芙蓉山には、色彩鮮やかな雲が立ち上がった。
清国別という神がこれを怪しんで訪れてみると、そこには立派な女神が現れ、十二個の玉を産んでいた。この女神を鶴野姫と言った。清国別は鶴野姫から経緯を聞いて夫婦の契りを結び、ともに竜宮城に玉を奉納しようとした。
しかし夫婦の契りを結んだことで、二人は通力を失い、動くこともままならなくなってしまった。泣き叫ぶ二人の声を聞いて、アルタイ山を守護する大森別は、部下を芙蓉山に遣わした。
清国別と鶴野姫は、十二個の玉を竜宮城の大八洲彦命に献上するように、と頼んだ。大森別は請いを容れ、さっそく、玉を大八洲彦命に献上した。大八洲彦命は大いに喜び、これを神国守護の御玉として、シオン山に立派な宮殿を造営して安置した。
シオン山は竜宮城の東北に位置する要害堅固の霊山であり、竜宮城防衛上の重要地点である。ここに、邪神・美山彦、国照姫はこの霊地を奪って宝玉と竜宮城を手に入れようと進軍を開始した。いよいよシオン山の戦闘が開始されることになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2019-11-13 17:08:02 OBC :rm0239
愛善世界社版:197頁 八幡書店版:第1輯 229頁 修補版: 校定版:201頁 普及版:93頁 初版: ページ備考:
001 竜宮城(りゆうぐうじやう)従臣(じゆうしん)鶴若(つるわか)は、002黄金水(わうごんすゐ)より(いで)たる十二(じふに)(たま)(うち)003一個(いつこ)赤玉(あかだま)(いのち)にかへてアルタイ(ざん)(のが)(まも)つてゐたが、004竹熊(たけくま)一派(いつぱ)奸策(かんさく)(おちい)り、005つひにこれを奪取(だつしゆ)されて無念(むねん)やる(かた)なく、006つひには(なげ)きのあまり、007精霊(せいれい)()つて丹頂(たんちやう)(つる)(へん)じたるは、008さきに()べたところである。
009 丹頂(たんちやう)(つる)昼夜(ちうや)区別(くべつ)なく、010天空(てんくう)(たか)く、011東西(とうざい)南北(なんぽく)(かけ)めぐつて(こゑ)()れむばかりに()(さけ)んだ。012その(こゑ)はつひに九皐(きうこう)(たつ)し、013(てん)太白星(たいはくせい)(つた)はつた。014太白星(たいはくせい)精霊(せいれい)生代姫(いくよひめの)(みこと)はこの(こゑ)()き、015(おほ)いに(あや)しみ、016その()くゆゑを(たづ)ねられた。017ここに鶴若(つるわか)は、
018『われは、019わが()不覚(ふかく)不敏(ふびん)より大切(たいせつ)なる黄金水(わうごんすゐ)(たから)(てき)(うば)はれ、020大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(しや)する(ことば)なく、021いかにもして、022この(たま)(さが)(もと)め、023もつて竜宮城(りゆうぐうじやう)帰参(きさん)(ねが)ひ、024(ふたた)神人(かみ)となり、025この千載(せんざい)一遇(いちぐう)神業(しんげふ)参加(さんか)せむと(ほつ)し、026昼夜(ちうや)区別(くべつ)なく地上(ちじやう)(かけ)めぐり(さが)せども、027(いま)にその行方(ゆくへ)()らず、028(かな)しみにたへずして()(さけ)ぶなり』
029奉答(ほうたふ)した。030生代姫(いくよひめの)(みこと)は、
031『そは(じつ)()(どく)のいたりなり。032われは十二(じふに)白鳥(はくてう)(つか)はし、033黄金水(わうごんすゐ)(たから)(まさ)れる貴重(きちよう)なる国玉(くにたま)(なんぢ)(あた)へむ。034(なんぢ)(てき)(うば)はれたる(たま)(いま)死海(しかい)()(しづ)めり。035されどこの(たま)はもはや(けが)されて神業(しんげふ)(もち)ふるの資格(しかく)なし。036されば、037われ(あらた)十二(じふに)(たま)(なんぢ)(あた)へむ。038この(たま)()ちて竜宮城(りゆうぐうじやう)帰還(きくわん)し、039功績(こうせき)()げよ』
040言葉(ことば)をはるや、041忽然(こつぜん)としてその神姿(しんし)(かく)れ、042白気(はくき)となりて太白星(たいはくせい)(ちう)帰還(きくわん)された。043たちまち(はと)のごとき白鳥(はくてう)(てん)より(くだ)るをみとめ雀躍(じやくやく)抃舞(べんぶ)した。044されど鶴若(つるわか)は、045わが()(ひと)つにして十二(じふに)白鳥(はくてう)(あと)()ふはもつとも難事中(なんじちう)難事(なんじ)なり、046いかがはせむと(あん)(わづら)ふをりしも、047天上(てんじやう)より(こゑ)ありて、
048(なんぢ)天空(てんくう)もつとも(たか)(のぼ)()め、049(たま)行方(ゆくへ)仔細(しさい)見届(みとど)けよ』
050といふ(かみ)言葉(ことば)(きこ)えてきた。
051 鶴若(つるわか)はその(こゑ)()くとともに天上(てんじやう)より(ひき)つけらるるごとき心地(ここち)して、052(ちから)のかぎり(のぼ)()めた。053このとき十二(じふに)白鳥(はくてう)諸方(しよはう)飛散(ひさん)してゐたが、054たちまち各地(かくち)降下(かうか)するよと()()(しろ)(ひかり)となり、055地上(ちじやう)より(てん)(ちゆう)して紅霓(こうげい)のごとく(かがや)いた。
056 鶴若(つるわか)はその(ひかり)()あてに(くだ)つた。057()れば白鳥(はくてう)一個(いつこ)赤玉(あかだま)(くわ)してゐる。058鶴若(つるわか)(いそ)いでこれを(はら)(なか)()()んだ。059また(つぎ)白気(はくき)(かがや)くところに()つた。060今度(こんど)はそれは白玉(しらたま)(くわ)してゐた。061これまた(まへ)のごとく(くち)より(はら)()()んだが、062かくして順次(じゆんじ)(あか)063(あを)064(くろ)065(むらさき)066()()十二色(じふにしよく)(たま)をことごとく(はら)()()んだ。067鶴若(つるわか)は、068()(おも)く、069やむをえず低空(ていくう)飛翔(ひしやう)して、070やうやく芙蓉山(ふようざん)中腹(ちゆうふく)(かへ)ることをえた。
071 芙蓉山(ふようざん)中腹(ちうふく)には種々(しゆじゆ)色彩(しきさい)鮮麗(せんれい)なる(くも)()ちあがつた。072この光景(くわうけい)(あや)しみて、073清国別(きよくにわけ)(おとづ)れて()つた。074すると其処(そこ)には立派(りつぱ)なる女神(によしん)一柱(ひとはしら)(あら)はれて、075十二個(じふにこ)(たま)()みつつあつた。076清国別(きよくにわけ)(あや)しみて、
077貴神(きしん)何神(なにがみ)ぞ』
078(たづ)ねた。079女神(めがみ)(こた)ふるに事実(じじつ)をもつてし、080かつ、
081『この(たま)貴下(きか)竜宮城(りゆうぐうじやう)(おく)(とど)けたまはずや』
082(たの)んだ。083この女神(めがみ)鶴野姫(つるのひめ)といふ。
084 清国別(きよくにわけ)はここに肝胆(かんたん)(あひ)()らし、085夫婦(ふうふ)(やく)(むす)び、086竜宮城(りゆうぐうじやう)(あひ)(たづさ)へて帰還(きくわん)し、087この(たま)奉納(ほうなふ)せむとした。
088 しかるに夫婦(ふうふ)(ちぎり)(むす)びしより、089ふたりはたちまち通力(つうりき)(うしな)ひ、090次第(しだい)身体(しんたい)(おも)く、091(うご)くことさへままならぬまでに()ちいたつた。
092 ふたりは神聖(しんせい)なる宝玉(ほうぎよく)はともかく、093夫婦(ふうふ)(ちぎり)によりてその身魂(みたま)(けが)し、094通力(つうりき)(うしな)ひたることを()い、095(こゑ)をはなつて()(さけ)ぶ。
096 その(こゑ)はアルタイ(ざん)(まも)守護神(まもりがみ)大森別(おほもりわけ)(もと)()にとるごとく(きこ)えた。097大森別(おほもりわけ)従臣(じゆうしん)高山彦(たかやまひこ)(めい)じ、098芙蓉山(ふようざん)にいたつてその(こゑ)所在(ありか)(さぐ)らしめた。
099 高山彦(たかやまひこ)(めい)(ほう)じ、100ただちに芙蓉山(ふようざん)天羽衣(あまのはごろも)をつけて、101空中(くうちゆう)はるかに(かけ)()いた。102()ればふたりは十二(じふに)(たま)(まへ)()()(さけ)んでゐる。103高山彦(たかやまひこ)(おほ)いにあやしみ、
104(なんぢ)105かかる(うつく)しき宝玉(ほうぎよく)()ちながら、106(なに)(かな)しんで(なげ)きたまふや』
107()ふた。108ふたりは(こた)ふるに事実(じじつ)をもつてし、109かつ、
110貴神司(きしん)はこの十二(じふに)(たま)竜宮城(りゆうぐうじやう)()ちゆき、111大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)伝献(でんけん)したまはずや』
112(くち)ごもりつつ歎願(たんぐわん)した。
113 高山彦(たかやまひこ)はこの物語(ものがたり)()き、114しばし(かうべ)(かたむ)け、115不審(ふしん)面持(おももち)にて思案(しあん)(てい)であつた。116たちまち(もの)をも()はず、117ふたたび羽衣(はごろも)(ちやく)し、118アルタイ(ざん)めがけて中空(ちゆうくう)はるかに(かけ)()つた。
119 (あと)にふたりは絶望(ぜつぼう)(ねん)にかられ、120その()(ごゑ)はますます(たか)天上(てんじやう)(とど)くばかりであつた。121ふたりのまたの()泣沢彦(なきさはひこ)122泣沢姫(なきさはひめ)といふ。
123 高山彦(たかやまひこ)はアルタイ(ざん)(かへ)り、124大森別(おほもりわけ)委細(ゐさい)復命(ふくめい)した。125大森別(おほもりわけ)は、
126『こは看過(みのが)すべからず。127(なんぢ)(とも)にきたれ』
128といふより(はや)(あま)羽衣(はごろも)(ちやく)し、129芙蓉山(ふようざん)(むか)つた。130さうして(こころ)よくふたりの(こひ)()れ、131十二個(じふにこ)(たま)受取(うけと)り、132ただちに竜宮城(りゆうぐうじやう)にいたり、133この(たま)奉献(ほうけん)した。
134 大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(おほ)いに(よろこ)び、135これを千載(せんざい)神国(しんこく)守護(しゆご)御玉(みたま)とせむと、136シオン(ざん)立派(りつぱ)なる宮殿(きうでん)造営(ざうえい)し、137これを安置(あんち)した。
138 シオン(ざん)竜宮城(りゆうぐうじやう)東北(とうほく)(くらゐ)し、139要害(えうがい)堅固(けんご)霊山(れいざん)にして、140もしこの霊山(れいざん)魔軍(まぐん)()(うば)はれむか、141()高天原(たかあまはら)竜宮城(りゆうぐうじやう)(まも)ることのできない重要(ぢうえう)地点(ちてん)である。
142 ここに棒振彦(ぼうふりひこ)(かり)()美山彦(みやまひこ)143高虎姫(たかとらひめ)(かり)()国照姫(くにてるひめ)は、144この霊地(れいち)(うば)ひ、145かつ十二(じふに)宝玉(ほうぎよく)をとり、146ついで竜宮城(りゆうぐうじやう)および()高天原(たかあまはら)占領(せんりやう)せむとして、147(しゆ)としてシオン(ざん)驀進(ばくしん)した。148かくていよいよシオン(ざん)戦闘(せんとう)開始(かいし)さるるのである。
149大正一〇・一一・六 旧一〇・七 谷口正治録)
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