霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 疑問(ぎもん)艶書(えんしよ)〔七〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第4篇 常世の国 よみ(新仮名遣い):とこよのくに
章:第20章 疑問の艶書 よみ(新仮名遣い):ぎもんのえんしょ 通し章番号:70
口述日:1921(大正10)年10月31日(旧10月01日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
言霊別命が竜宮城に帰還した後、ふたたび勢力を取り戻したため、常世姫は魔我彦、魔我姫、小島別、田依彦、安川彦らに策を授けて常世の国に帰って行った。
安川彦は艶書をでっちあげて言霊別命を排斥しようとした。一時は成功し、言霊姫も艶書を信じるまでに至ったが、神国別命に見破られて安川彦が自白したため、事なきを得た。
安川彦は鬼城山に逃げ、国照姫の部下となった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0220
愛善世界社版:99頁 八幡書店版:第1輯 194頁 修補版: 校定版:101頁 普及版:48頁 初版: ページ備考:
001 言霊別(ことたまわけの)(みこと)妻神(つまがみ)言霊姫(ことたまひめ)稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)第五女(だいごぢよ)であり、002常世姫(とこよひめ)第三女(だいさんぢよ)である。003言霊別(ことたまわけの)(みこと)帰城(きじやう)により城内(じやうない)疑雲(ぎうん)一掃(いつさう)され、004親子(おやこ)兄弟(きやうだい)夫婦(ふうふ)目出(めで)たき対面(たいめん)となつた。005邪智(じやち)(ふか)常世姫(とこよひめ)表面(へうめん)祝意(しゆくい)(へう)し、006城内(じやうない)諸神将(しよしんしよう)(また)心底(しんてい)より平和(へいわ)にをさまりしことを(しゆく)した。007しばらくの(あひだ)竜宮城(りゆうぐうじやう)はきはめて平穏(へいおん)無事(ぶじ)であつた。
008 ここに常世姫(とこよひめ)稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)009以下(いか)諸神将(しよしんしよう)信頼(しんらい)一身(いつしん)(あつ)めた。010しかしてその勢力(せいりよく)()ごとに()して()たのであつた。011言霊別(ことたまわけの)(みこと)声望(せいばう)以前(いぜん)(ごと)くならず、012(いち)()叛将(はんしやう)として上下(しやうか)一般(いつぱん)より侮蔑(ぶべつ)(まなこ)をもつて()らるるにいたつた。013しかし稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)信任(しんにん)(あつ)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)014真澄姫(ますみひめ)(かく)れたる努力(どりよく)により、015()(つき)言霊別(ことたまわけの)(みこと)声望(せいばう)回復(くわいふく)(むか)つていた。016そこで言霊別(ことたまわけの)(みこと)はふたたび神務(しんむ)掌握(しやうあく)し、017神国別(かみくにわけの)(みこと)依然(いぜん)として神政(しんせい)総攬(そうらん)し、018言霊別(ことたまわけの)(みこと)神国別(かみくにわけの)(みこと)のあひだは(きは)めて(まどか)にして、019あたかも(した)しい夫婦(ふうふ)のごとくであつた。020常世姫(とこよひめ)はふたたび魔我彦(まがひこ)021魔我姫(まがひめ)左右(さいう)補佐(ほさ)となし、022種々(しゆじゆ)手段(しゆだん)をめぐらし、023二神(にしん)信望(しんばう)失墜(しつつゐ)せしめむとした。
024 言霊別(ことたまわけの)(みこと)声望(せいばう)日々(ひび)回復(くわいふく)するとともに、025常世姫(とこよひめ)奸黠(かんかつ)なる心情(しんじやう)はやうやく諸神司(しよしん)感知(かんち)するところとなつた。026しかるに小島別(こじまわけ)027田依彦(たよりひこ)028安川彦(やすかはひこ)029竹彦(たけひこ)一派(いつぱ)常世姫(とこよひめ)(ふか)信頼(しんらい)してゐた。030稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)もつひにその心情(しんじやう)察知(さつち)し、031信任(しんにん)前日(ぜんじつ)()して(おほ)いに(うす)らいだのである。
032 やうやく言霊別(ことたまわけの)(みこと)一派(いつぱ)常世姫(とこよひめ)一派(いつぱ)とがここに(あら)はれた。033されど常世姫(とこよひめ)一派(いつぱ)はきはめて少数(せうすう)にして微力(びりよく)であつた。034常世姫(とこよひめ)はつひに(さく)()らざるを()り、035時機(じき)をまつてその目的(もくてき)(たつ)せむとし、036(おもて)不平(ふへい)(つつ)み、037莞爾(につこ)として稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(いとま)()ひ、038常世国(とこよのくに)事変(じへん)突発(とつぱつ)せりと(しよう)して、039帰国(きこく)せむことを()ふた。040稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(おも)ふところあつて、041(これ)をただちに(ゆる)したまふた。042常世姫(とこよひめ)魔我彦(まがひこ)043魔我姫(まがひめ)(とも)なひ、044帰国(きこく)(さい)して小島別(こじまわけ)045田依彦(たよりひこ)046安川彦(やすかはひこ)一派(いつぱ)密策(みつさく)(さづ)け、047公然(こうぜん)帰国(きこく)した。
048 常世姫(とこよひめ)退城(たいじやう)したるあとは、049言霊別(ことたまわけの)(みこと)勢力(せいりよく)(じつ)旭日(きよくじつ)昇天(しようてん)(いきほひ)となつた。050田依彦(たよりひこ)051安川彦(やすかはひこ)(みこと)声望(せいばう)(きず)つけむとし、052容色(ようしよく)(なら)びなき数子姫(かずこひめ)城内(じやうない)()し、053言霊別(ことたまわけの)(みこと)近侍(きんじ)せしめた。054数子姫(かずこひめ)はいと懇切(こんせつ)(みこと)(つか)へて、055かゆきところへ()のまはるごとく()(はたら)いた。056(みこと)数子姫(かずこひめ)誠意(せいい)(よろこ)び、057外出(ぐわいしゆつ)のときは(かなら)侍女(じぢよ)として(あひ)(とも)なふこととしてゐた。
058 あるとき城内(じやうない)一通(いつつう)手紙(てがみ)()ちてゐた。059安川彦(やすかはひこ)手早(てばや)くこれを(ひろ)つて懐中(くわいちゆう)し、060ただちに小島別(こじまわけ)()(わた)した。061小島別(こじまわけ)はこれを披見(ひけん)し、062稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(たてまつ)つた。063その手紙(てがみ)数子姫(かずこひめ)より言霊別(ことたまわけの)(みこと)(おく)れる艶書(えんしよ)であつた。064その文面(ぶんめん)によれば、065すでに数回(すうくわい)要領(えうりやう)をえたる(あと)にして、066かつ(みこと)強圧(きやうあつ)(てき)非行(ひかう)(うら)み、067天則(てんそく)違反(ゐはん)したる(つみ)(しや)し、068(みづか)らはヨルダン(がは)()(とう)じて(つみ)(つぐな)はむとの意味(いみ)(したた)めてあつた。069ここに稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)はおほいに(おどろ)き、070ひそかに言霊姫(ことたまひめ)にその手紙(てがみ)(しめ)された。
071 言霊姫(ことたまひめ)夫神(をつとがみ)行為(かうゐ)(なげ)き、072()して(をつと)(いさ)めむと覚悟(かくご)(さだ)めた。073言霊別(ことたまわけの)(みこと)はかかる奸計(かんけい)ありとは(ゆめ)にも()らず、074一間(ひとま)()つて安臥(あんぐわ)しゐたりしに、075夜半(よは)ひそかに(しつ)押戸(おしど)押開(おしひら)きて()りきたる(あや)しき(かげ)がある。076何心(なにごころ)なく()ちながめてゐると、077その(かげ)(まさ)しく言霊姫(ことたまひめ)であつた。078しばらく熟睡(じゆくすい)をよそほひ姫神(ひめがみ)様子(やうす)をうかがつてゐた。079姫神(ひめがみ)(みこと)枕辺(まくらべ)端坐(たんざ)し、080小声(こごゑ)にて何事(なにごと)耳語(じご)しつつ寝姿(ねすがた)三拝(さんぱい)して(ただ)ちにその(しつ)()()でた。081言霊別(ことたまわけの)(みこと)はこれを(あや)しみて(ただ)ちに()きあがり、082姫神(ひめがみ)(あと)()(あし)()(あし)しつつ()ふていつた。083姫神(ひめがみ)(あま)真名井(まなゐ)(きし)()ち、084天地(てんち)(はい)して合掌(がつしやう)神言(かみごと)奏上(そうじやう)しをはりて(いま)投身(とうしん)せむとす。085(みこと)(おどろ)いて背後(はいご)より不意(ふい)にこれを(いだ)きとめ、086仔細(しさい)(たづ)ぬれば、087数子姫(かずこひめ)(おと)したる艶書(えんしよ)次第(しだい)物語(ものがた)り、088かつ()いていふ。
089折角(せつかく)声望(せいばう)回復(くわいふく)したまへる夫神(をつとがみ)にして、090かかる(きたな)御心(みこころ)ましますはかならず天魔(てんま)魅入(みい)りしならむ。091(わらは)()をもつて夫神(をつとがみ)(かは)り、092天地(てんち)神明(しんめい)(をつと)罪科(ざいくわ)(しや)し、093かつ夫神(をつとがみ)をして悔改(くいあらた)本心(ほんしん)()ちかへらしめ(たてまつ)らむと、094女心(をんなごころ)一心(いつしん)(むね)せまりてかかる行動(かうどう)()でしなり』
095との陳弁(ちんべん)であつた。096(みこと)(おどろ)きはあたかも寝耳(ねみみ)(みづ)のごとく、097呆気(あつけ)にとられて(なん)言葉(ことば)()なかつた。098(とき)しも城内(じやうない)言霊姫(ことたまひめ)(かげ)(うしな)ひしに(おどろ)き、099(うへ)(した)へと動揺(どよ)めきわたつた。100神国別(かみくにわけの)(みこと)姫神(ひめがみ)(たづ)ねむとしてここに(あら)はれ、101二神(にしん)姿(すがた)()てやや安堵(あんど)し、102二神(にしん)をなだめて殿内(でんない)(かへ)つた。
103 稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)言霊別(ことたまわけの)(みこと)非行(ひかう)質問(しつもん)したまふた。104諸神司(しよしん)はただ(おどろ)くばかりである。105この(とき)思慮(しりよ)(ふか)神国別(かみくにわけの)(みこと)安川彦(やすかはひこ)をひそかに(まね)き、106(かた)をたたき敬意(けいい)(へう)して、
107貴下(きか)謀計(ぼうけい)巧妙(かうめう)至極(しごく)にして、108(われ)らは(じつ)(した)()くに()へたり。109(われ)貴下(きか)同腹(どうふく)なり。110いかにもして言霊別(ことたまわけの)(みこと)失墜(しつつゐ)せしめむと日夜(にちや)苦慮(くりよ)せしが、111もとより愚鈍(ぐどん)(われ)112かかる神策(しんさく)鬼謀(きぼう)(ゆめ)にも(おも)ひよらず。113(われ)今日(こんにち)より貴下(きか)総裁(そうさい)(あふ)ぎ、114貴下(きか)部下(ぶか)となつて(つか)(たてまつ)らむ』
115言葉(ことば)たくみに()べたてた。116安川彦(やすかはひこ)()()げられて(こころ)おごり、117鼻高々(はなたかだか)(われ)腕前(うでまへ)はかくの(ごと)しといはむばかりの面色(めんしよく)にて、
118(じつ)数子姫(かずこひめ)(われ)間者(かんじや)なり。119(けつ)して言霊別(ことたまわけの)(みこと)非行(ひかう)あるに(あら)ず。120数子姫(かずこひめ)をしてわざと艶書(えんしよ)(したた)め、121殿内(でんない)遺失(ゐしつ)せしめたるなり。122しかしながら(われ)貴下(きか)(しん)じて秘密(ひみつ)打明(うちあ)けたれば、123貴下(きか)もまた(われ)(しん)じて口外(こうぐわい)したまふ(なか)れ』
124と、125かたく口止(くちど)めた。126神国別(かみくにわけの)(みこと)(ただ)ちに(いろ)(へん)じ、127安川彦(やすかはひこ)両手(りやうて)()(うしろ)へまはして(しば)りあげ、128稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(おん)(まへ)()()れ、129(かれ)自白(じはく)のことを逐一(ちくいち)進言(しんげん)した。
130 ここに言霊別(ことたまわけの)(みこと)(たい)する(うたが)ひは(まつた)()れた。131神国別(かみくにわけの)(みこと)諸神司(しよしん)(あつ)めて、132安川彦(やすかはひこ)133数子姫(かずこひめ)罪状(ざいじやう)審議(しんぎ)し、134つひに退去(たいきよ)(めい)じたのである。135安川彦(やすかはひこ)退(やら)はれて(ただ)ちに鬼城山(きじやうさん)にある国照姫(くにてるひめ)城塞(じやうさい)使(つか)はるることとなつた。
136大正一〇・一〇・三一 旧一〇・一 桜井重雄録)
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