言霊別命は高白山を中心として善政を敷き、その治下は地上天国というほどよく治まった。
しかし荒熊彦と荒熊姫は、自分の息子・清照彦が、先の駒山彦との戦闘で元照彦に殺された、という風評を聞きつけ、恩神である言霊別命を裏切り、駒山彦と共謀することになってしまった。
駒山彦が攻めてきた際、言霊別命のもとに天使と名乗る女神が現れ、荒熊彦・荒熊姫の変心を警告し、自分に高白山軍の全権を与えるようにと警告した。
しかし、荒熊彦・荒熊姫を深く信頼していた言霊別命は忠告を信じず、かえって女神を邪神と疑い、剣で斬ってかかった。
するとその剣は、女神の頭上から現れた光輝によって三段に折れ、柄のみが命の手に残った。女神の天使・絹子姫は、天津神のご配慮を詳細に説き諭すと、言霊別命はここにいたってようやく女神を天使と信じるにいたった。
はたして荒熊彦は鉄棒を打ち振りながら、やってきて、言霊別命に自決を迫った。しかし天使・絹子姫が合掌するとたちまち天神の神卒が荒熊彦を縛ってしまった。荒熊彦は肝をつぶし、裏切りを白状し、高白山軍の全権を返上した。
高白山は、荒熊姫の裏切りによって応援の元照彦軍も危機に陥り、いまや落城せんとしていたが、絹子姫が指揮を執ると、天使が味方についたことで勇気百倍し、駒山彦軍を撃退した。
荒熊彦は元のように言霊別命軍の部将となり、戦闘で負傷した。また荒熊姫も絹子姫に降伏し、裏切りを謝して元のとおり言霊別命に仕えることになった。