霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二九章 乙女(をとめ)天使(てんし)〔七九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第5篇 神の慈愛 よみ(新仮名遣い):かみのじあい
章:第29章 乙女の天使 よみ(新仮名遣い):おとめのてんし 通し章番号:79
口述日:1921(大正10)年11月03日(旧10月04日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
言霊別命は高白山を中心として善政を敷き、その治下は地上天国というほどよく治まった。
しかし荒熊彦と荒熊姫は、自分の息子・清照彦が、先の駒山彦との戦闘で元照彦に殺された、という風評を聞きつけ、恩神である言霊別命を裏切り、駒山彦と共謀することになってしまった。
駒山彦が攻めてきた際、言霊別命のもとに天使と名乗る女神が現れ、荒熊彦・荒熊姫の変心を警告し、自分に高白山軍の全権を与えるようにと警告した。
しかし、荒熊彦・荒熊姫を深く信頼していた言霊別命は忠告を信じず、かえって女神を邪神と疑い、剣で斬ってかかった。
するとその剣は、女神の頭上から現れた光輝によって三段に折れ、柄のみが命の手に残った。女神の天使・絹子姫は、天津神のご配慮を詳細に説き諭すと、言霊別命はここにいたってようやく女神を天使と信じるにいたった。
はたして荒熊彦は鉄棒を打ち振りながら、やってきて、言霊別命に自決を迫った。しかし天使・絹子姫が合掌するとたちまち天神の神卒が荒熊彦を縛ってしまった。荒熊彦は肝をつぶし、裏切りを白状し、高白山軍の全権を返上した。
高白山は、荒熊姫の裏切りによって応援の元照彦軍も危機に陥り、いまや落城せんとしていたが、絹子姫が指揮を執ると、天使が味方についたことで勇気百倍し、駒山彦軍を撃退した。
荒熊彦は元のように言霊別命軍の部将となり、戦闘で負傷した。また荒熊姫も絹子姫に降伏し、裏切りを謝して元のとおり言霊別命に仕えることになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0229
愛善世界社版:144頁 八幡書店版:第1輯 210頁 修補版: 校定版:146頁 普及版:68頁 初版: ページ備考:
001 言霊別(ことたまわけの)(みこと)は、002高白山(かうはくざん)中心(ちゆうしん)として仁慈(じんじ)をもつて神政(しんせい)をほどこし、003諸神(しよしん)鼓腹(こふく)撃壤(げきじやう)してその()(やす)んじ、004(じつ)地上(ちじやう)天国(てんごく)といふべき聖代(せいだい)現出(げんしゆつ)した。005(みこと)威望(ゐばう)旭日(きよくじつ)昇天(しようてん)(いきほひ)であつた。006荒熊彦(あらくまひこ)荒熊姫(あらくまひめ)使嗾(しそう)により、007内心(ないしん)(とき)をうかがひ、008大恩(だいおん)ある言霊別(ことたまわけの)(みこと)(おとしい)(ふたた)自分(じぶん)()つて(かは)らむと(たく)みてゐた。009かれ荒熊彦(あらくまひこ)は、010常世城(とこよじやう)密使(みつし)()て、011常世姫(とこよひめ)(ちから)()りて、012再生(さいせい)恩神(おんしん)013言霊別(ことたまわけの)(みこと)(ほろ)ぼさむとした。
014 一旦(いつたん)敗走(はいそう)したる駒山彦(こまやまひこ)兵備(へいび)(ととの)へ、015遮二(しやに)無二(むに)高白山(かうはくざん)()めかけた。016言霊別(ことたまわけの)(みこと)荒熊彦(あらくまひこ)(めい)じてこれを(ふせ)がしめた。017しかるに荒熊彦(あらくまひこ)はすでに敵軍(てきぐん)(くわん)(つう)じてゐた。
018 ここに荒熊彦(あらくまひこ)()清照彦(きよてるひこ)といふ(ただ)しき神司(かみ)があつた。019この(たび)(たたか)ひに大敗(たいはい)して元照彦(もとてるひこ)のために(ほろ)ぼされたりとの風評(ふうへう)たかく荒熊姫(あらくまひめ)のもとに(とど)いた。020この(とき)元照彦(もとてるひこ)はローマ、021モスコーの視察(しさつ)ををへ、022高白山(かうはくざん)危急(ききふ)(せま)れることを()きて、023はるかに神軍(しんぐん)(ひき)ゐて応援(おうゑん)()たのである。024荒熊姫(あらくまひめ)清照彦(きよてるひこ)の、025元照彦(もとてるひこ)(ほろ)ぼされし(うはさ)()きてますます(いか)り、026ここに言霊別(ことたまわけの)(みこと)神軍(しんぐん)(ひき)ゐて南方(なんぱう)(ぢん)し、027敵軍(てきぐん)(ふせ)ぐと()せかけ、028高白山(かうはくざん)(おとしい)れむとした。029(をり)しも竜馬(りゆうめ)にまたがり天空(てんくう)(かけ)り、030高白山(かうはくざん)城塞(じやうさい)()がけて(くだ)りきたる女神使(によしん)があつた。031(とし)いまだ(わか)容貌(ようばう)秀麗(しうれい)なる天使(てんし)である。032案内(あんない)もなく(うま)()りすてて、033言霊別(ことたまわけの)(みこと)御座(ござ)(ちか)くすすみ、
034(われ)天津(あまつ)(かみ)使神(ししん)なり。035高白山(かうはくざん)は、036(いま)荒熊彦(あらくまひこ)変心(へんしん)によつて、037危機(きき)一髪(いつぱつ)(あひだ)(せま)り、038(みこと)生命(いのち)瞬時(しゆんじ)(せま)りつつあり。039(みこと)にして()天使(てんし)(げん)(しん)じたまはば、040われに全軍(ぜんぐん)指揮(しき)(めい)じたまへ』
041といふのである。042言霊別(ことたまわけの)(みこと)荒熊彦(あらくまひこ)043荒熊姫(あらくまひめ)(ふか)(しん)じ、044全軍(ぜんぐん)指揮(しき)委任(ゐにん)したるくらゐなれば、045(いま)この天使(てんし)言葉(ことば)()いて(おほ)いに(いぶ)かり、
046(なんぢ)天使(てんし)(くわ)して(われ)(いつは)邪神(じやしん)には(あら)ざるか、047(なんぢ)常世姫(とこよひめ)魔術(まじゆつ)によりて(あら)はれたる魔神(ましん)ならむ』
048とただちに(つるぎ)()きてその女神使(によしん)()りつけた。049電光(でんくわう)石火(せきくわ)(いま)天使(てんし)頭上(づじやう)より真二(まふた)つになりしと(おも)瞬間(しゆんかん)050天使(てんし)頭上(づじやう)より異様(いやう)光輝(くわうき)あらはれ、051(つるぎ)三段(さんだん)()れて(みこと)()には(つか)のみ(のこ)つた。052言霊別(ことたまわけの)(みこと)呆然(ばうぜん)として乙女(をとめ)天使(てんし)(なが)めてゐた。053乙女(をとめ)天使(てんし)(わら)ひとともに(みこと)にむかひ、
054『もし()(げん)(うたが)ひたまはば、055高白山(かうはくざん)(ただ)ちに滅亡(めつぼう)すべし。056(われ)天津(あまつ)(かみ)(めい)により、057(ただ)しき神人(かみ)味方(みかた)せむとて(てん)より救援(きうゑん)(きた)りしものぞ』
058天神(てんしん)神慮(しんりよ)詳細(しやうさい)()べられたのである。059言霊別(ことたまわけの)(みこと)はやうやく乙女(をとめ)天使(てんし)(しん)ずるに(いた)つた。060(とき)しも門外(もんぐわい)(さわ)がしく、061足音(あしおと)(たか)(みこと)(まへ)(ちか)づき()るものがある。062(みこと)(あや)しみて()るに、063荒熊彦(あらくまひこ)064鉄棒(てつぼう)()()りつつ御座(ござ)(ちか)(せま)りきたつて、
065言霊別(ことたまわけの)(みこと)にただいま(あらた)めて見参(けんざん)せん。066高白山(かうはくざん)はすでに常世姫(とこよひめ)有力(いうりよく)なる応援(おうゑん)と、067駒山彦(こまやまひこ)巧妙(かうめう)なる戦略(せんりやく)と、068(くは)ふるに(われ)夫婦(ふうふ)変心(へんしん)とによりほとんど全滅(ぜんめつ)せり。069もはや(みこと)運命(うんめい)()きたり。070(いさぎよ)くこの()にて自決(じけつ)さるるや。071いたづらに躊躇(ちうちよ)逡巡(しゆんじゆん)して(とき)(うつ)さるるにおいては、072(おそ)れながら(われ)は、073この鉄棒(てつぼう)をもつて(みこと)粉砕(ふんさい)(たてまつ)らむ。074返答(へんたふ)いかに』
075()()つた。076()るより乙女(をとめ)天使(てんし)絹子姫(きぬこひめ)はその(なか)()り、
077荒熊彦(あらくまひこ)078しばらく()て』
079(やさ)しき女神使(によしん)()ず、080言葉(ことば)(するど)(まなじり)()つて(さけ)んだ。081荒熊彦(あらくまひこ)はかよわき乙女(をとめ)(あなど)嘲笑(あざわら)つていふやう、
082大廈(たいか)(くつが)へらむとするとき、083一木(いちぼく)のよく(ささ)ふべきに(あら)ず。084いはんや乙女(をとめ)のただ一柱(ひとはしら)如何(いか)でか(ちから)(およ)ばむや、085邪魔(じやま)ひろぐな』
086乙女(をとめ)()(たふ)さむとした。087乙女(をとめ)天使(てんし)(こゑ)をはげまし、
088(なんぢ)天使(てんし)(むか)つて挑戦(てうせん)するか。089()(もの)()せむ』
090といふより合掌(がつしやう)した。091勇猛(ゆうまう)なる神卒(しんそつ)はたちまち(てん)より(くだ)り、092荒熊彦(あらくまひこ)前後(ぜんご)左右(さいう)取囲(とりかこ)み、093つひにその()引据(ひきす)ゑた。094荒熊彦(あらくまひこ)(きも)をつぶし、095(すく)ひを(もと)め、096かつ(すべ)ての罪状(ざいじやう)自白(じはく)し、097全軍(ぜんぐん)指揮権(しきけん)返上(へんじやう)した。098荒熊姫(あらくまひめ)はかかる出来事(できごと)(ゆめ)にも()らず、099南麓(なんろく)原野(げんや)において元照彦(もとてるひこ)(しのぎ)(けづ)つてゐたのである。100この(とき)元照彦(もとてるひこ)(ふか)(すす)みて重囲(ぢうゐ)(おちい)り、101ほとんど全滅(ぜんめつ)せむとする間際(まぎは)であつた。
102 駒山彦(こまやまひこ)魔軍(まぐん)はますます(いきほひ)()(いま)城内(じやうない)()らむとする。103常世姫(とこよひめ)応援軍(おうゑんぐん)(とき)をつくつて(いきほひ)(あふ)り、104(あなど)りがたき猛勢(まうせい)である。105この(とき)言霊別(ことたまわけの)(みこと)は、106乙女(をとめ)天使(てんし)全軍(ぜんぐん)指揮(しき)(めい)じた。107ほとんど絶望(ぜつぼう)(ひん)したる味方(みかた)神軍(しんぐん)は、108にはかに天使(てんし)(あら)はれしに(いさ)みたち、109勇気(ゆうき)はここに百倍(ひやくばい)した。110乙女(をとめ)天使(てんし)(きん)采配(さいはい)打振(うちふ)全軍(ぜんぐん)指揮(しき)し、111駒山彦(こまやまひこ)魔軍(まぐん)にむかつて、112驀地(まつしぐら)突入(とつにふ)した。113敵軍(てきぐん)雪崩(なだれ)をうつて、114()けつ(まろ)びつ数多(あまた)死傷者(ししやうしや)()しつつ、115山麓(さんろく)()がけて()()つた。
116 荒熊彦(あらくまひこ)改心(かいしん)(うへ)一方(いつぱう)部将(ぶしやう)となり、117常世姫(とこよひめ)援軍(ゑんぐん)にむかつて(きび)しく()()り、118奮闘(ふんとう)のすゑ足部(そくぶ)大負傷(だいふしやう)をなし、119身体(しんたい)自由(じいう)(うしな)ひ、120従臣(じゆうしん)(すく)はれやうやく城塞(じやうさい)()(かへ)つた。121乙女(をとめ)天使(てんし)駒山彦(こまやまひこ)魔軍(まぐん)(やぶ)り、122(ふたた)(てん)じて荒熊姫(あらくまひめ)頭上(づじやう)より攻撃(こうげき)をはじめた。123荒熊姫(あらくまひめ)周章(あわて)狼狽(ふため)き、124つひに乙女(をとめ)天使(てんし)にむかつて(かう)()うた。125ここに乙女(をとめ)忠告(ちゆうこく)により元照彦(もとてるひこ)無礼(ぶれい)(しや)し、126高白山(かうはくざん)目出(めで)たく平和(へいわ)()し、127(てき)四方(しはう)散乱(さんらん)した。
128大正一〇・一一・三 旧一〇・四 加藤明子録)
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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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