霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四三章 濡衣(ぬれぎぬ)〔九三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第2巻 霊主体従 丑の巻 篇:第6篇 神霊の祭祀 よみ(新仮名遣い):しんれいのさいし
章:第43章 濡衣 よみ(新仮名遣い):ぬれぎぬ 通し章番号:93
口述日:1921(大正10)年11月08日(旧10月09日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年1月27日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
シオン山は大八洲彦命の戦略によって守られていた。常世姫はシオン山を包囲する魔軍に、決して退却せずに、シオン山に大八洲彦命を釘付けにせよ、と命令した。そして自分たちは芙蓉山、ローマ、モスコー、竜宮城を攻撃しようとした。
竜宮城はこれを察知し、ローマとモスコーへは神国別命と元照彦を、芙蓉山は真鉄彦を派遣し、竜宮城は言霊別命と花森彦を防備に当たらせた。
常世姫の夫・八王大神常世彦はローマ、モスコー、芙蓉山を攻撃し、常世姫は魔我彦・魔我姫とともに竜宮城に入り、内部から崩壊させようと企んでいた。
常世姫は、容色端麗な唐子姫を使って花森彦を誘惑させた。花森彦は唐子姫と逐電してしまったため、花森彦の妻・桜木姫は悲嘆のあまり発狂してしまった。常世姫はこれを利用し、桜木姫と言霊別命の不倫をでっち上げた。
稚桜姫命は常世姫のでっちあげを信じてしまい、言霊別命を追放した。そして、夫の天稚彦に花森彦を迎えにやらせた。
花森彦は竜宮城の使いにたちまち目が覚め、竜宮城に帰還することになった。しかし今度は、使いに来たはずの天稚彦が唐子姫の容色に迷い、逐電してしまったのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0243
愛善世界社版:216頁 八幡書店版:第1輯 236頁 修補版: 校定版:220頁 普及版:102頁 初版: ページ備考:
001 シオン(ざん)はかくのごとく大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)機略(きりやく)縦横(じうわう)戦略(せんりやく)によつて、002容易(ようい)()くこと(あた)はず、003かつ三方(さんぱう)神将(しんしやう)はますます勇気(ゆうき)()しきたり、004魔軍(まぐん)はもはや退却(たいきやく)するのやむなき苦境(くきやう)(おちい)つた。
005 このとき常世姫(とこよひめ)より密使(みつし)()た。
006(なんぢ)らはいかに苦境(くきやう)(おちい)るとも(だん)じて一歩(いつぽ)退却(たいきやく)すべからず。007持久戦(ぢきうせん)をもつて大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)以下(いか)諸神将(しよしんしよう)を、008シオン(ざん)封鎖(ふうさ)せよ。009われは竜宮城(りゆうぐうじやう)をはじめ、010芙蓉山(ふようざん)011モスコー、012ローマ、013竜宮島(りゆうぐうじま)をこの()(じやう)じて占領(せんりやう)せむ』
014とのことであつた。
015 美山彦(みやまひこ)016国照姫(くにてるひめ)017武熊別(たけくまわけ)はこの(めい)(ほう)じて、018あくまでも退却(たいきやく)せざることになつた。019ここに竜宮城(りゆうぐうじやう)諸神将(しよしんしよう)は、020芙蓉山(ふようざん)およびローマ、021モスコーの魔軍(まぐん)攻撃(こうげき)にあひ、022苦戦(くせん)情況(じやうきやう)察知(さつち)し、023神国別(かみくにわけの)(みこと)024元照彦(もとてるひこ)をして、025ローマ、026モスコーへ(むか)はしめ、027真鉄彦(まがねひこ)をして芙蓉山(ふようざん)(むか)はしめた。028竜宮城(りゆうぐうじやう)には言霊別(ことたまわけの)(みこと)029花森彦(はなもりひこ)030主将(しゆしやう)としてこれを(まも)ることとなつた。031言霊別(ことたまわけの)(みこと)内部(ないぶ)統制(とうせい)にあたり、032花森彦(はなもりひこ)敵軍(てきぐん)襲来(しふらい)(そな)へた。
033 常世姫(とこよひめ)夫神(をつとがみ)八王(やつわう)大神(だいじん)常世彦(とこよひこ)は、034三軍(さんぐん)(しやう)として芙蓉山(ふようざん)(はじ)めローマ、035モスコーの攻撃(こうげき)全力(ぜんりよく)(そそ)ぎ、036常世姫(とこよひめ)魔我彦(まがひこ)037魔我姫(まがひめ)とともに(ふたた)竜宮城(りゆうぐうじやう)()り、038稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(ふか)取入(とりい)り、039表面(へうめん)(ねこ)(かぶ)つて柔順(じうじゆん)(つか)へてゐた。040しかして言霊別(ことたまわけの)(みこと)041花森彦(はなもりひこ)失墜(しつつゐ)せしめ、042みづから城内(じやうない)主権(しゆけん)(にぎ)らむと(かんが)へてゐた。
043 常世姫(とこよひめ)常世(とこよ)(くに)より(きた)れる容色(ようしよく)艶麗(えんれい)(なら)びなき唐子姫(からこひめ)城中(じやうちう)()れ、044言霊別(ことたまわけの)(みこと)045花森彦(はなもりひこ)(ちか)奉仕(ほうし)せしめた。046唐子姫(からこひめ)(すず)しき(まなこ)は、047つひに花森彦(はなもりひこ)()するにいたつた。048花森彦(はなもりひこ)唐子姫(からこひめ)精神(せいしん)(うば)はれ、049大切(たいせつ)なる神務(しんむ)忘却(ばうきやく)し、050(よる)ひそかに()(たづさ)へて壇山(だんざん)(かく)れ、051ここに仮夫婦(かりふうふ)として生活(せいくわつ)をつづけた。
052 言霊別(ことたまわけの)(みこと)(ちから)とたのむ花森彦(はなもりひこ)(うしな)ひ、053ほとんど()すところを()らなかつた。054花森彦(はなもりひこ)(つま)桜木姫(さくらぎひめ)はおほいに(おどろ)き、055かつ(いか)り、056かつ(うら)み、057涕泣(ていきふ)煩悶(はんもん)結果(けつくわ)つひに発狂(はつきやう)するにいたつた。058言霊別(ことたまわけの)(みこと)以下(いか)神将(しんしやう)(おほ)いにこれを(うれ)ひ、059いかにもして花森彦(はなもりひこ)行衛(ゆくへ)(さぐ)り、060ふたたび城内(じやうない)(かへ)らしめ桜木姫(さくらぎひめ)面会(めんくわい)せしめなば、061たちまち全快(ぜんくわい)せむと協議(けふぎ)結果(けつくわ)062神卒(しんそつ)諸方(しよはう)派遣(はけん)し、063その行方(ゆくへ)(さぐ)らしめた。064城内(じやうない)はおひおひ神卒(しんそつ)(すう)(げん)じ、065漸次(ぜんじ)守備(しゆび)手薄(てうす)になつた。
066 桜木姫(さくらぎひめ)はますます暴狂(あれくる)ふのである。067言霊別(ことたまわけの)(みこと)(いま)稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(まへ)()で、068シナイ(ざん)戦況(せんきやう)奏上(そうじやう)する(とき)しも、069桜木姫(さくらぎひめ)(はし)(きた)つて言霊別(ことたまわけの)(みこと)(いだ)き、
070(こひ)しき()(をつと)ここにゐますか』
071と、072かつ()き、073かつ(わら)ひ、074無理(むり)()()けむばかりにして、075自分(じぶん)居間(ゐま)(かへ)らむとする。076常世姫(とこよひめ)心中(しんちゆう)謀計(ぼうけい)()にあたれるをよろこび威丈高(ゐだけだか)になつて、077言霊別(ことたまわけの)(みこと)』と言葉(ことば)(かど)()てて()びとめ、
078(なんぢ)(つね)行状(ぎやうじやう)(あし)内外(ないぐわい)ともにその風評(うはさ)()かぬものはなし。079しかるに天罰(てんばつ)()のあたり、080いま稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)御前(みまへ)にて醜態(しうたい)暴露(ばくろ)したり。081桜木姫(さくらぎひめ)発狂(はつきやう)せしは貴神司(きしん)原動力(げんどうりよく)なり。082これを探知(たんち)したる花森彦(はなもりひこ)温順(おんじゆん)(たち)なれば、083過去(くわこ)因縁(いんねん)断念(だんねん)してすこしも(いろ)(あら)はさず、084桜木姫(さくらぎひめ)(なんぢ)(あた)へ、085みづからは唐子姫(からこひめ)とともにこの()(のが)れたるなり。086花森彦(はなもりひこ)(けつ)して女性(をみな)(なさけ)(ほだ)されて、087大事(だいじ)(あやま)るがごとき神司(かみ)(あら)ず。088しかるに危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)089(みこと)をしてかかる行動(かうどう)()でしめたるは、090(まつた)(なんぢ)(つみ)のいたすところ、091これにてもなほ弁解(べんかい)()あるや』
092と、093()()にまげ、094誣言(ぶげん)をもつて稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(こころ)(うご)かさむとした。095言霊別(ことたまわけの)(みこと)()なほつて常世姫(とこよひめ)にむかひ、
096『こは奇怪(きくわい)なることを(うけたま)はるものかな。097貴神司(きしん)(なん)証拠(しようこ)あつて、098かくのごとき暴言(ばうげん)()きたまふや』
099()はせもはてず、100常世姫(とこよひめ)(まなこ)(いか)らし、101(くち)(とが)らし、102(すこ)しく(そら)(あふ)いで、103フフンと(はな)(いき)をなし、
104証拠(しようこ)貴神司(きしん)(こころ)()へ』
105()めつけた。
106 桜木姫(さくらぎひめ)言霊別(ことたまわけの)(みこと)花森彦(はなもりひこ)誤解(ごかい)し、107狂気(きやうき)()ながらも常世姫(とこよひめ)にむかつて()びつき、
108(なんぢ)何故(なにゆゑ)なれば最愛(さいあい)(わが)(をつと)にたいし、109暴言(ばうげん)()くか。110われは(をつと)(かは)り、111()(もの)()せてくれむ』
112と、113いふより(はや)(たぶさ)()をかけ、114(ちから)かぎりに(ひき)ずりまはした。115常世姫(とこよひめ)(こゑ)()げて(たす)けを(さけ)んだ。116城内(じやうない)神司(かみがみ)はこの(こゑ)(おどろ)いて諸方(しよはう)より()けつけた。
117 言霊別(ことたまわけの)(みこと)濡衣(ぬれぎぬ)容易(ようい)()れず、118稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)厳命(げんめい)により、119竜宮城(りゆうぐうじやう)追放(つゐはう)さるることとなつたのである。120ここに稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)常世姫(とこよひめ)誣言(ぶげん)(しん)じ、121言霊別(ことたまわけの)(みこと)追放(つゐはう)し、122花森彦(はなもりひこ)壇山(だんざん)より召還(せうくわん)し、123城内(じやうない)主将(しゆしやう)たらしめむとしたまうた。124ここに天稚彦(あめのわかひこ)協議(けふぎ)結果(けつくわ)壇山(だんざん)にむかひ、125花森彦(はなもりひこ)(まね)(かへ)らしめむと出発(しゆつぱつ)せしめられた。126天稚彦(あめのわかひこ)容色(ようしよく)(うる)はしき男性(おのこ)にして、127稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(たす)けてゐた。
128 天稚彦(あめのわかひこ)(あま)磐船(いはふね)()つて壇山(だんざん)にむかひ、129花森彦(はなもりひこ)稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)(めい)(つた)へ、130かつ唐子姫(からこひめ)との()()り、131(いち)()(はや)帰還(きくわん)せむことを(つた)へた。
132 花森彦(はなもりひこ)はおほいに(よろこ)び、133ただちに迷夢(めいむ)()まし、134(あま)磐船(いはふね)()つて竜宮城(りゆうぐうじやう)帰還(きくわん)し、135稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)帷幄(ゐあく)(さん)ずることとなつた。
136 城内(じやうない)常世姫(とこよひめ)137花森彦(はなもりひこ)二神司(にしん)牛耳(ぎうじ)()つてゐた。138(じつ)竜宮城(りゆうぐうじやう)常世姫(とこよひめ)奸策(かんさく)によつて、139何時(いつ)破壊(はくわい)さるるか(わか)らぬ状態(じやうたい)であつた。
140 天稚彦(あめのわかひこ)唐子姫(からこひめ)姿(すがた)()るより、141にはかに精神(せいしん)恍惚(くわうこつ)として挙措(きよそ)動作(どうさ)()(うしな)ひ、142つひに()()をとつて山奥(やまおく)(ふか)隠遁(いんとん)し、143竜宮城(りゆうぐうじやう)へは(かへ)つてこなかつた。
144 稚桜姫(わかざくらひめの)(みこと)といふ(うる)はしき妻神(つまがみ)があり、145また八柱(やはしら)御子(みこ)のあるにもかかはらず、146唐子姫(からこひめ)心魂(しんこん)(とろ)かしたるは、147(かへ)(がへ)すも残念(ざんねん)次第(しだい)である。
148大正一〇・一一・八 旧一〇・九 外山豊二録)
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