第一章 日出山上〔三〇一〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇:第1篇 大台ケ原
よみ(新仮名遣い):おおだいがはら
章:第1章 日出山上
よみ(新仮名遣い):ひのでさんじょう
通し章番号:301
口述日:1922(大正11)年01月30日(旧01月03日)
口述場所:
筆録者:外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:中国一の大高山である大台ケ原の中央に、雲突くばかりの大岩窟があった。日の出神は踏み分け踏み分け、この岩窟の前にやってきた。
折から、天地も崩れるばかりの大音響ものすごく、八岐の大蛇を先頭にして大蛇の群れが渓谷を這い、岩窟を指して進んでくる。凄まじい光景の中、日の出神は黙然として瞑目静座不動の姿勢を保っている。
忽然として白髪異様の妖神が現れ、この山は盤古神王・塩長彦の娘・塩治姫が鎮まる霊山であれば、即刻に立ち去るように日の出神に警告した。
日の出神はむっくと立ち上がり、盤古神王は地教山に隠れており、エルサレムには国治立命の従者・紅葉別が盤古神王と名乗って天下の形成を観望している、と明かした。そしてその事実を知らない妖神は、偽盤古神王・ウラル彦の邪神一派ではないかと詰め寄った。
妖神は日の出神に喝破されて、自分は大事忍男であると正体を明かした。そして大蛇悪鬼を呼び寄せ、日の出神に降伏を迫った。
日の出神は刀の柄に手をかけて、あくまで徹底抗戦の意を表した。すると大事忍男はその勢いにおされ、岩窟に逃げ入ってしまった。悪鬼邪神の姿は煙となって消えうせた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2018-05-02 12:52:59
OBC :rm0701
愛善世界社版:7頁
八幡書店版:第2輯 39頁
修補版:
校定版:9頁
普及版:4頁
初版:
ページ備考:
001千歳の老松杉林 002檜雑木苔蒸して
003神さび立てる大森林 004麓を廻る中国一の大高山
005東南西に千波万波の押寄する
007雲井に高く神徳も 008大台ケ原の中央に
009雲つくばかりの大岩窟あり 010盤古神王自在天
011自由自在に世の中を
013万古不動の礎を
016探り知られぬ其の企み
017天津御神の勅以て 018豊葦原の中津国
021神の光の四方の国 022暗夜を開く大道別命の分霊
023日の出神は朝露を 024踏み分け登る宣伝使
025漸う岩窟の前に辿り着く 026彼方此方に鳴き渡る
027百鳥千鳥の鳴く声は 028岩戸の前に百神の
030折から深き山奥より
032大音響の物凄く
033火焔の舌を吐きながら 034渓間を目がけ降りくる
035八岐の大蛇を先頭に 036数限りもなき大蛇の群
037巌窟を指して進みくる
039心震ひ魂縮まる許りなり 040日の出の神は黙然と
041瞑目静坐不動の態。
042 忽然として現はれたる白髪異様の老神、043右手に赤銅の太き杖をつき、044左手に玉を捧げながら、045日の出神に向ひ鏡の如き両眼を刮と見開き声をかけ、
046『何者なればこの神山に断りも無く登り来るか。047抑も当山は、048盤古神王塩長彦命の御娘神、049塩治姫神の永久に鎮まりたまふ神界所定の霊山なり。050一刻も早くこの場を立ち去れ。051早く早く』
053 日の出神は、054むつくとばかり立ち上り、
055『実に心得ぬ汝が今の言、056盤古神王とは彼れ何者ぞ。057兇悪無道の常世彦命に擁立され諸越山に住所を構へ、058畏れ多くも国祖国治立命をして窮地に陥れしめたる大逆無道の根元神、059今は僅かにヱルサレムの聖地に割拠し、060螢火のごとき微々たる光を照らし、061漸くにしてその神威を保続し、062神政を布くといへども、063暴力飽くまで強き大国彦神の神威に圧迫され、064部下の諸神司は日に夜に反覆離散し、065神政の基礎はなはだ危し。066さはさりながら、067いま汝の述べ立つる盤古大神は、068果してヱルサレムの城主塩長彦命の娘神塩治姫命には非ざるべし。069察する所アーメニヤの野に神都を開く、070偽盤古神王ウラル彦神の一味の邪神、071この神山に身を遁れ諸神を偽り、072時を待つて天教山を占領し、073己れ代つて盤古神王たるに非ざるか。074ヱルサレムに現はれ給ふ盤古神王は、075真の塩長彦命なれども、076現在は仔細あつて地教の山に隠れ給ひ、077ヱルサレムに在す盤古神王は、078勢力微々たる国治立命の従神紅葉別命、079今は盤古神王と故あつて偽り、080天下の形勢を観望しつつあり。081汝が言ふところ事実に全く相反し信憑すべき事実毫末もなし。082盤古神王をヱルサレムに迎へ奉り、083かつまた地教山に遷し奉りしは斯く申す日の出神なり。084この上尚ほ答弁あるか』
085と刀の柄に手をかけ、086返答次第によつては容赦はならぬと詰め寄れば、087白髪異様の老神は、088大口開けてカラカラと打笑ひ、
089『われは大事忍男神なり。090盤古大神が娘塩治姫命の御隠れ家と言挙げしたるは真赤な偽り。091もはや是非なし。092汝に看破されしこの上は、093破れかぶれの我が活動、094いまに吠面かわくな。095汝いかに武勇絶倫にして、096たとへ獅子王の勢あるとも、097この嶮しき神山にただ一人分け入り、098いかに千変万化の智勇を揮ふも、099汝一人の力におよばむや。100すみやかに兜を脱いで我が前に降参するか、101ただしは汝が携へもてる錆刀を以て、102潔く割腹するか、103返答如何に』
104と百雷の一時に轟くごとき怒りの声、105天地も割るるばかりであつた。106山中俄に騒がしく、107峰の頂谷の底一度に高き鬨の声、108大蛇や悪鬼を始めとし、109異様の怪物雲霞のごとく一度に押寄せ、110咆哮怒号するさま身の毛も竦立つ許りなりけり。
111 日の出神は、112少しも屈せず立岩を脊に、113刀の柄に手を掛けて、
114『たとへ幾億万の強敵きたるとも、115斬つて斬つて斬り捲り、116やむを得ざれば屍の山に、117血潮の河、118全山ことごとく唐紅に染めなさむ、119いざ来い勝負』
121 大事忍男神と自称する白髪異様の妖神は、122この勢に辟易し巌窟めがけて一目散に逃げ入り、123押寄せきたる悪鬼邪神の姿は煙のごとく消え失せて、124後には渓間を流るる水の音、125松吹く風の響、126面を撫でる春の陽気も美はしかりける。
127 渓間に囀る百鳥の声は、128たちまち天の原雲路を分けて降りくる。129天女の奏づる音楽かと疑はるる許りなりける。
130(大正一一・一・三〇 旧一・三 外山豊二録)