霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 (たす)(ぶね)〔三一一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第2篇 白雪郷 よみ(新仮名遣い):はくせつきょう
章:第11章 助け船 よみ(新仮名遣い):たすけぶね 通し章番号:311
口述日:1922(大正11)年01月30日(旧01月03日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
大中教の宣伝使・健寅彦は、あまたの従者と共に木に縛り付けた酋長夫婦を取り囲み、右手に剣、左手に徳利を握りながら、一口酒を飲んでは改宗を迫っている。
酋長夫婦は目を閉じ口を結んで、心中に野立彦命、野立姫命の救いを祈願している。このとき、木霊を響かせながら三五教の宣伝歌が聞こえてきた。
大中教の宣伝使たちは、この歌を聞くと顔をしかめ頭を抱えてその場に縮んでしまった。日の出神はその場に現れると、ゆうゆうと酋長夫婦をはじめ村人たちの縛を解いた。
村人たちは日の出神とともに宣伝歌を大合唱した。大中教の使徒たちはたまりかね、みな山頂めがけてこそこそと身を隠してしまった。
日の出神は酋長夫婦の固い信仰を激賞し、面那芸司、面那美司と名を与えた。酋長は、三五教の女宣伝使・祝姫が大中教の者らにかどわかされていることを伝え、救出を要請した。日の出神は酋長夫婦を従えて、救出に向かった。
後に村人たちが、日の出神の出現について、あれこれと話し合っている。そこへ、逃げていた八、六、鹿(第9、10章の甲乙丙)がこわごわ姿を見せると、村人たちは口々にその臆病を非難した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0711
愛善世界社版:63頁 八幡書店版:第2輯 58頁 修補版: 校定版:68頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 岩神(いはがみ)(ほこら)(まへ)健寅彦(たけとらひこ)()大中教(だいちうけう)宣伝使(せんでんし)は、002数多(あまた)従者(じゆうしや)(とも)酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)()(しば)りつけ、003右手(みぎて)(つるぎ)()左手(ひだりて)徳利(どつくり)(にぎ)りながら、004一口(ひとくち)()ンでは、
005()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、006(やみ)(あと)には(つき)()る。
007おい酋長(しうちやう)008貴様(きさま)如何(どう)しても三五教(あななひけう)(おも)()らぬか。009左様(さやう)邪教(じやけう)貴様(きさま)率先(そつせん)して信仰(しんかう)をいたすものだから、010白雪郷(はくせつきやう)(やつ)()(のこ)らず(はう)けるのだ。011さあ、012(おれ)(うた)(うた)つてこの(さけ)()らへ。013結構(けつこう)醍醐味(だいごみ)ぢやぞ。014(これ)()めば生命(いのち)()びる、015気分(きぶん)()()れする、016大中教(だいちうけう)がこンな結構(けつこう)(さけ)()まして、017その(うへ)面白(おもしろ)(うた)(うた)うて(あそ)べと()ふのに、018貴様(きさま)(なに)()()らぬか。019(それ)(きら)ひなら(この)(けん)(さき)()いて()いて()(まく)り、020なぶり(ごろ)しにしてやらうか。021おい、022よく(かんが)へて()ろ、023結構(けつこう)(さけ)()らつて鼻歌(はなうた)(うた)つて、024この()天国(てんごく)浄土(じやうど)のやうにして(いさ)みて(くら)すがよいか。025(かた)()るやうな(くる)しい(うた)(うた)つて、026(うま)(さけ)()()まず、027(うま)(もの)(ろく)()はず、028(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)けるなどと仕様(しやう)()い。029ちと(かんが)へてみよ。030こンな(こと)子供(こども)でも善悪(よしあし)(わか)りさうなものだ。031()うして(しば)りつけた(うへ)は、032(いか)さうと(ころ)さうとこの健寅彦(たけとらひこ)宣伝使(せんでんし)(さま)()(うち)にあるのだ。033返答(へんたふ)()かう』
034(ひだり)()(さけ)()たした徳利(とくり)()ち、035酋長(しうちやう)(くちびる)(へん)押付(おしつ)け、036一方(いつぱう)には(するど)(つるぎ)()(まへ)にひらつかせ(なが)ら、037返答(へんたふ)如何(いか)にと()(かま)()る。
038 酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)()()ぢ、039(くち)(むす)びて(きこ)えぬふりを()し、040心中(しんちう)(ふか)野立彦(のだちひこの)(みこと)041野立姫(のだちひめの)(みこと)(すく)ひを祈願(きぐわん)()たり。042この(とき)(むか)ふの(はう)より木霊(こだま)(ひび)かせ(なが)ら、
043(かみ)(おもて)(あら)はれて
044(ぜん)(あく)とを立別(たてわけ)る』
045との宣伝歌(せんでんか)(うた)つて(すす)()るものあり。046健寅彦(たけとらひこ)はこの(こゑ)()くと(とも)に、047()()てる(つるぎ)徳利(とくり)(おも)はずバツタリと(おと)し、048(あたま)(かか)(かほ)(しか)めてその()(ちぢ)みけり。049健寅彦(たけとらひこ)従者(じゆうしや)(ども)は、050(おな)じく()()(あたま)(かか)へて大地(だいち)蹲踞(しやが)(ふる)()る。
051 この()悠々(いういう)として(あら)はれたる宣伝使(せんでんし)は、052(まが)(かた)()()出神(でのかみ)なり。053()出神(でのかみ)大樹(だいじゆ)(しば)りつけられたる酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)(はじ)め、054その()人々(ひとびと)(いましめ)()きしに、055健寅彦(たけとらひこ)一派(いつぱ)(いき)(ころ)して(ちぢ)()るのみ。056()出神(でのかみ)(こゑ)()()げて宣伝歌(せんでんか)(うた)ふ。057酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)もつづいて宣伝歌(せんでんか)(しき)りに(うた)ひはじむる。058この()にありし白雪郷(はくせつきやう)老若(らうにやく)男女(なんによ)は、059またもや一斉(いつせい)宣伝歌(せんでんか)(とな)()したるに、060健寅彦(たけとらひこ)(たま)()(ねずみ)(ごと)くなつて数多(あまた)従者(じゆうしや)(とも)に、061山頂(さんちやう)目蒐(めが)けてこそこそと()(かく)しける。
062 ()出神(でのかみ)酋長(しうちやう)夫婦(ふうふ)(かた)信仰(しんかう)激賞(げきしやう)し、063これに面那芸(つらなぎの)(かみ)064面那美(つらなみの)(かみ)()(あた)へたまふ。065面那芸(つらなぎの)(かみ)は、066(つま)面那美(つらなみの)(かみ)白雪郷(はくせつきやう)(まも)らしめ、067(みづか)宣伝使(せんでんし)となつて天下(てんか)(みち)(ひろ)めたりける。
068 この(とき)(たに)(おく)(あた)つて騒々(さうざう)しき物音(ものおと)(きこ)えたり。069酋長(しうちやう)面那芸(つらなぎの)(かみ)は、070()出神(でのかみ)(むか)ひ、071三五教(あななひけう)(をんな)宣伝使(せんでんし)祝姫(はふりひめ)(かれ)らの一味(いちみ)(とら)はれ、072山奥(やまおく)(さそ)()かれし(こと)(なみだ)(とも)物語(ものがた)れば、073()出神(でのかみ)()くより(はや)く、074二人(ふたり)(うしろ)(したが)へ、075山奥(やまおく)()して足早(あしばや)(すす)()く。
076 (あと)(のこ)りし白雪郷(はくせつきやう)老若(らうにやく)男女(なんによ)は、077口々(くちぐち)()出神(でのかみ)救援(きうゑん)(よろこ)()ひける。
078(かふ)『やつぱり信心(しんじん)はせなならぬものだのー。079(おれ)はもう(とて)此奴(こいつ)(かな)はぬと(おも)つたので、080一杯(いつぱい)()まされてやらうかと(おも)つた。081さあ、082さうすると(のど)(むし)()()苦労(くらう)さま、083()苦労(くらう)さまと(うな)りよつてな。084如何(どう)にも()うにも(たま)つたものぢやない。085けれども肝腎(かんじん)酋長(しうちやう)が、086()(うま)さうな(さけ)()まずに、087(ころ)されても信神(しんじん)()めぬと仰有(おつしや)るのだもの、088(おれ)一人(ひとり)裏切(うらぎ)(わけ)にはゆかず、089どうして()からうと(おも)つてゐたが、090さあ(いま)九分(くぶ)九厘(くりん)()(ところ)(をんな)宣伝使(せんでんし)仰有(おつしや)つたやうに結構(けつこう)(かみ)さまが()(たす)けて(くだ)さつたのは、091()(がた)いのう』
092(おつ)『あゝ、093(おれ)結構(けつこう)だつたが、094しかし(はち)鹿(しか)(ろく)はどこへ()きよつたのだらうか。095白雪郷(はくせつきやう)(をきて)として(いき)るも()ぬるも酋長(しうちやう)(さま)一緒(いつしよ)にせなくてはならぬのに、096彼奴(あいつ)中途(ちうと)()()しよつて仕様(しやう)()(やつ)だ。097(いづ)()せしめに(さん)(にん)(やつ)らは、098酋長(しうちやう)からどえらい(ばつ)(かうむ)るかも()れないぜ』
099(へい)『いや、100そンな心配(しんぱい)()らぬよ。101三五教(あななひけう)大慈(だいじ)大悲(だいひ)(をしへ)だから何事(なにごと)も「直日(なほひ)見直(みなほ)せ、102聞直(ききなほ)せ、103()(あやま)ちは()(なほ)せ」といふ信条(しんでう)がある。104()(だけ)信仰(しんかう)(つよ)酋長(しうちやう)さまは、105そンなことの(わか)らぬ()(かた)ぢやない。106()して()出神(でのかみ)(さま)()弟子(でし)となつて面那芸(つらなぎ)とか、107浦凪(うらなぎ)とか()()まで(いただ)かつしやつたぢやないか。108エーン』
109(かふ)浦凪(うらなぎ)なンて、110そンな(おそ)ろしい()御免(ごめん)だ。111ウラル(ひこ)()(おも)ひだすよ。112うら(とこ)難儀(なんぎ)になるやうな、113そンな()()へて()しいものだなア』
114(てい)浦凪(うらなぎ)ぢやない。115()()いて()かぬかい二度(にど)三度(さんど)仰有(おつしや)つたじやらう。116この(はう)酋長(しうちやう)さまは面那芸(つらなぎ)(かみ)さま、117奥様(おくさま)面那美(つらなみ)(かみ)さまとなられたのだよ』
118(かふ)『そらまあー、119(なん)といふ(つら)難儀(なんぎ)()(もら)はつしやつたものだナア。120(おく)さまも(おく)さまぢや、121(つら)(なみだ)()るやうな()(もら)つて、122(いさ)むで()かつしやつた。123なンぼ宣伝使(せんでんし)さまだつて、124そンな()は、125(おい)らは御免(ごめん)だよ』
126(おつ)『おい、127心配(しんぱい)するない。128貴様(きさま)らには滅多(めつた)にそンな()(くだ)さらぬワ。129面那芸(つらなぎ)といふ(こと)はなあ、130貴様(きさま)らが(みな)難儀(なんぎ)(つら)をさらしよつて、131もうウラル(ひこ)宣伝使(せんでんし)(はう)につかうかと()つて、132(なみだ)(なが)して吠面(ほえづら)かわいてゐたのを、133それをば(かみ)さまに(いの)つて(たす)けて(くだ)さつた(おん)()だ。134それで面那芸(つらなぎ)135面那美(つらなみ)申上(まをしあ)げるのだよ』
136 ()かる(ところ)つまらぬ(かほ)をして恐々(こはごは)ながら、137(はち)(ろく)鹿(しか)とは(あら)はれ()たりければ、138一同(いちどう)は、
139『やい、140(こし)ぬけ野郎(やらう)
141口々(くちぐち)呶鳴(どな)りける。
142大正一一・一・三〇 旧一・三 外山豊二録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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