霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 白竜(はくりう)〔三〇三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第1篇 大台ケ原 よみ(新仮名遣い):おおだいがはら
章:第3章 白竜 よみ(新仮名遣い):はくりゅう 通し章番号:303
口述日:1922(大正11)年01月30日(旧01月03日) 口述場所: 筆録者:松村仙造 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
岩窟の前に集った三神の前に、あでやかな姫神が現れて慇懃に会釈をし、岩窟の中に進み入った。
三神は意を決して岩窟を探検することにした。一同は果てしのない岩窟を進んで行き、天井高く横幅広い場所に到達した。すると岩窟は次第に展開して、処々から朦朧たる光を表した。
その光の中に、荘厳な宮殿が現れた。三神は驚きつつ、警戒しながら宮殿に近づいていく。宮殿には堅固な石門があった。
日の出神が石門を開こうと力を込めて押していると、宮殿の中から邪神の声が、三神がまんまと計略にかかって包囲されていることを告げた。
真鉄彦は石門をねじ上げて押し倒した。すると門内には、幾百千もの大蛇に包まれて、美しい女性が端然と控えていた。
日の出神は声を張り上げて、日の出神が生魂・康代彦が幸魂・真鉄彦が荒魂となり、三つの魂と現れて神素盞嗚の神となり、大蛇を斬りほふる覚悟である、と歌い始めた。
この歌を聞くと、美しい女性の曲津神は白竜と化し、三神の前に帰順の意を表した。宮殿も大蛇の群れも、どこかへ消えてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0703
愛善世界社版:17頁 八幡書店版:第2輯 42頁 修補版: 校定版:19頁 普及版:7頁 初版: ページ備考:
001 (みづ)より(きよ)(かぜ)よりもいと(さわや)かに、002(つき)にも(まが)(あきら)かさ、003その顔容(かんばせ)(はな)よりも婉麗(あでやか)なりし姫神(ひめがみ)は、004忽焉(こつえん)として巌窟(いはや)(まへ)(あら)はれた。005姫神(ひめがみ)()出神(でのかみ)(はじ)二柱(ふたはしら)(かみ)(まへ)両手(りやうて)つかへ006いと慇懃(いんぎん)会釈(ゑしやく)しながら(もの)をも()はず、007小暗(をぐら)巌窟(いはや)(あな)(ふか)(すす)()りける。008油断(ゆだん)ならじと()出神(でのかみ)双手(もろて)()みて、009(かしら)(かたむ)思案(しあん)()れて(しば)言葉(ことば)もなかりしが、010康代彦(やすよひこの)(みこと)は、011(えり)(ただ)(かたち)(あらた)め、012双手(もろて)()ちて天地(てんち)祈願(きぐわん)(はじ)めた。013拍手(かしはで)(こゑ)大峡(おほがひ)小峡(をがひ)(ひび)(わた)り、014(とき)ならぬ山彦(やまひこ)の、015彼方(あちら)此方(こちら)()()有様(ありさま)016百千(ひやくせん)(にん)一時(いちどき)()()(ごと)くなりけり。
017 三柱(みはしら)(かみ)は、018虎穴(こけつ)()らざれば虎児(こじ)()ず、019(あや)しき(そこ)ひも()れぬこの巌窟(がんくつ)探険(たんけん)し、020(はた)して善神(ぜんしん)住処(すみか)か、021悪魔(あくま)巣窟(さうくつ)か、022探険(たんけん)せむと(さき)(あらそ)(すす)()る。023()けども()けども際限(はてし)なく、024(みぎ)()(ひだり)(まが)り、025(あるひ)(のぼ)(あるひ)(くだ)り、026(やうや)うにして天井(てんじやう)(たか)横巾(よこはば)(ひろ)巌窟(いはや)(なか)到達(たうたつ)したり。
027 (いぶ)かしや、028()(とど)かぬ(ばか)りのこの巌窟(がんくつ)は、029次第(しだい)展開(てんかい)して、030処々(しよしよ)より朦朧(もうろう)たる(ひかり)(あら)はし、031(ほとん)朧月夜(おぼろづきよ)のごとき光景(くわうけい)なり。
032 ()出神(でのかみ)立止(たちとど)まり、033二神(にしん)にむかひ、
034二柱(ふたはしら)(かみ)035彼方(かなた)一方(いつぱう)熟視(じゆくし)されよ』
036(しめ)(たま)へば、037二神(にしん)()()らし、038(ゆび)さす(かた)()039()(てん)ずれば、040荘厳(さうごん)(たと)ふるに(もの)なき宮殿(きうでん)(あら)はれ()たり。041二神(にしん)(おも)はず、
042『ヤア』
043驚愕(おどろき)(こゑ)張上(はりあげ)ながら、044前後(ぜんご)左右(さいう)(こころ)(くば)り、045宮殿(きうでん)()がけて(すす)みゆく。
046(あま)岩戸(いはと)仙境(せんきやう)
047(みぎ)(ひだり)(まへ)うしろ
048岩戸(いはと)(いは)にて(かた)めたる
049堅磐(かきは)常磐(ときは)巖窟(がんくつ)
050石土(いはつち)毘古(びこ)穿(うが)ちたる
051(かみ)(つく)りし神仙境(しんせんきやう)
052天人(てんにん)天女(てんによ)(とき)ならぬ
053(きた)りて(もも)音楽(おんがく)
054(かな)づる(ばか)(おも)はれて
055(こころ)(いさ)(あし)(すす)
056(すす)三柱(みたり)神人(かみびと)
057(やうや)うここに()きにける。
058 (ちか)よりて()れば、059またもや堅固(けんご)なる石門(いしもん)(きづ)かれあり。060(さう)して石門(いしもん)(いただき)(そび)()つたる朱塗(しゆぬり)宮殿(きうでん)は、061巍然(ぎぜん)として巌窟(いはや)天井(てんじやう)(あつ)するばかりなりき。
062 ()出神(でのかみ)は、063金剛力(こんがうりき)発揮(はつき)し、064(ちから)()めて、065岩戸(いはと)(とびら)押開(おしひら)かむとするに、066(なか)より何神(なにがみ)(こゑ)とも()れず、
067(なんぢ)()出神(でのかみ)068我々(われわれ)計略(けいりやく)甘々(うまうま)()せられ、069(かち)(じやう)じてこの巌窟(いはや)(なか)(しの)()おほけなくも八頭(やつがしら)八尾(やつを)八岐(やまた)大蛇(をろち)(おん)住居所(すまゐどころ)070(まよ)(きた)りしその果敢(はか)なさよ。071()くなる(うへ)はもはや(なんぢ)らは(ふくろ)(ねずみ)072釜中(ふちう)(うを)073()(ころ)さうと、074()(ころ)さうと、075(あぶ)つて()はうと()()はうと、076こつちの(こころ)次第(しだい)077天運(てんうん)()きし(あは)れさよ』
078銅鑼声(どらごゑ)張上(はりあ)げてカラカラと(わら)ふ。079三柱(みはしら)(かみ)()がみをなし、080眼尻(まなじり)釣上(つりあ)げ、081(かたな)(つか)()をかけ、082四方(しはう)八方(はつぱう)(まなこ)(くば)るをりからに東天紅(とうてんくれなゐ)(てう)して、083四辺(あたり)(にはか)(ひる)(ごと)くなり()たりぬ。084(あや)しき巌窟(がんくつ)奥深(おくふか)く、085()(かみ)(あら)はる()道理(だうり)なし、086何者(なにもの)変化(へんげ)ぞと、087三柱(みはしら)(ひと)しく(ひかり)(むか)つて(まなこ)(そそ)ぎける。
088 真鉄彦(まがねひこ)石門(いしもん)(はしら)()をかけ、089金剛力(こんがうりき)()して、090門柱(もんばしら)力限(ちからかぎ)りに捻上(ねぢあ)げければ、091(もん)はメキメキと(おと)()てその()(たふ)れたり。092門内(もんない)には幾百千(いくひやくせん)とも(かぞ)(がた)大蛇(だいじや)(むれ)(つつ)まれて、093(さき)(あら)はれし(うるは)しき女性(ぢよせい)094端然(たんぜん)として(ひか)えゐたり。095()出神(でのかみ)(こゑ)張上(はりあ)げて、
096八岐(やまた)大蛇(をろち)のひそみたる
097(かた)岩戸(いはと)村肝(むらきも)
098真鉄(まがね)(ひこ)真心(まごころ)
099打砕(うちくだ)かれて門柱(もんばしら)
100ても心地(ここち)よく淡雪(あはゆき)
101()ゆるが(ごと)(のぞ)かれぬ
102(かみ)(まか)せし真心(まごころ)
103(まこと)(ちから)はどこまでも
104()永遠(とこしへ)にのび(ひら)
105(かぞ)へつきせぬ曲神(まががみ)
106大蛇(をろち)棲処(すみか)突止(つきと)めて
107(まこと)(つらぬ)三柱(みはしら)
108(つるぎ)(さび)となりひびく
109さしもに堅固(けんご)岩山(いはやま)
110不動(ふどう)(いは)朽木(くちき)()
111(かぜ)にもまれて(たふ)るごと
112(まこと)(つらぬ)剣刃(つるぎは)
113十束(とつか)(つるぎ)()りはふり
114石土(いはつち)毘古(びこの)(かみ)となり
115この()(まが)(はら)はなむ
116()烏羽玉(うばたま)(くら)くとも
117()出神(でのかみ)(あら)はれて
118八岐(やまた)大蛇(をろち)寸断(すんだん)
119(もも)曲神(まがみ)悉々(ことごと)
120(わが)言霊(ことたま)になびけなむ
121刃向(はむか)(きた)らむ(もの)あらば
122(きた)れよ(きた)れいざ(きた)
123御国(みくに)(まも)真心(まごころ)
124(つるぎ)刃向(はむか)(てき)はなし
125この()(すく)真心(まごころ)
126(かみ)刃向(はむか)(やいば)なし
127たとへ天地(てんち)(かは)るとも
128大地(だいち)(うみ)となるとても
129(まこと)(ちから)()(すく)
130(すく)ひの(かみ)(あら)はれし
131()出神(でのかみ)生魂(いくみたま)
132康代(やすよ)(ひこ)幸魂(さちみたま)
133真鉄(まがね)(ひこ)荒魂(あらみたま)
134()つの(みたま)(あら)はれて
135(かむ)素盞嗚(すさのを)(かみ)となり
136大蛇(をろち)(かしら)(はじ)めとし
137その()眷族(かみ)(ことごと)
138()りはふりなむ覚悟(かくご)せよ
139打滅(うちほろぼ)さむ覚悟(かくご)せよ』
140大音声(だいおんじやう)(うた)(はじ)めたるに、141容色(ようしよく)端麗(たんれい)なりし曲津(まがつ)(かみ)はこの(うた)(かん)じてや、142(たちま)白竜(はくりゆう)(くわ)し、143蜿蜒(えんえん)として、144三柱(みはしら)(かみ)(まへ)(あら)はれ(きた)り、145帰順(きじゆん)歓迎(くわんげい)()(へう)し、146(なが)尻尾(しつぽ)(さき)前後(ぜんご)左右(さいう)振廻(ふりまは)しつつ()()せけり。147四辺(あたり)()れば(いま)まで荘厳(さうごん)(きは)めたる宮殿(きうでん)跡形(あとかた)もなく、148数十百(すうじつぴやく)大蛇(をろち)(むれ)何処(どこ)へやら、149もとの朧夜(おぼろよ)四辺(あたり)(くわ)()りにける。
150大正一一・一・三〇 旧一・三 松村仙造録)
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