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第71巻(戌の巻)
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特別編 入蒙記
天祥地瑞
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第7巻(午の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 大台ケ原
01 日出山上
〔301〕
02 三神司邂逅
〔302〕
03 白竜
〔303〕
04 石土毘古
〔304〕
05 日出ケ嶽
〔305〕
06 空威張
〔306〕
07 山火事
〔307〕
第2篇 白雪郷
08 羽衣の松
〔308〕
09 弱腰男
〔309〕
10 附合信神
〔310〕
11 助け船
〔311〕
12 熟々尽
〔312〕
第3篇 太平洋
13 美代の浜
〔313〕
14 怒濤澎湃
〔314〕
15 船幽霊
〔315〕
16 釣魚の悲
〔316〕
17 亀の背
〔317〕
第4篇 鬼門より竜宮へ
18 海原の宮
〔318〕
19 無心の船
〔319〕
20 副守飛出
〔320〕
21 飲めぬ酒
〔321〕
22 竜宮の宝
〔322〕
23 色良い男
〔323〕
第5篇 亜弗利加
24 筑紫上陸
〔324〕
25 建日別
〔325〕
26 アオウエイ
〔326〕
27 蓄音器
〔327〕
28 不思議の窟
〔328〕
第6篇 肥の国へ
29 山上の眺
〔329〕
30 天狗の親玉
〔330〕
31 虎転別
〔331〕
32 水晶玉
〔332〕
第7篇 日出神
33 回顧
〔333〕
34 時の氏神
〔334〕
35 木像に説教
〔335〕
36 豊日別
〔336〕
37 老利留油
〔337〕
38 雲天焼
〔338〕
39 駱駝隊
〔339〕
第8篇 一身四面
40 三人奇遇
〔340〕
41 枯木の花
〔341〕
42 分水嶺
〔342〕
43 神の国
〔343〕
44 福辺面
〔344〕
45 酒魂
〔345〕
46 白日別
〔346〕
47 鯉の一跳
〔347〕
第9篇 小波丸
48 悲喜交々
〔348〕
49 乗り直せ
〔349〕
50 三五〇
〔350〕
附録 第三回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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第二五章
建日別
(
たけひわけ
)
〔三二五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻
篇:
第5篇 亜弗利加
よみ(新仮名遣い):
あふりか
章:
第25章 建日別
よみ(新仮名遣い):
たけひわけ
通し章番号:
325
口述日:
1922(大正11)年02月01日(旧01月05日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月31日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
三人の宣伝使は、阿弗利加の絶景に足を止めて景色を眺めていた。面那芸は谷底になにやら唸り声を聞いて、日の出神に注意を呼びかけた。
日の出神は奇妙な声を目当てに進んでいく。面那芸と祝姫は後からついていく。やや歩いていくと、大岩石が谷間に屹立し、巨大な岩窟があちこちにうがたれた場所があった。
そこには顔の黒い男たちが、一人の青白い眼の悪い男(小島別)を取り巻いて、しきりに脅しをかけている。黒い男たちは、ここは大自在天・常世神王の家来・荒熊別の領分であるとし、三五教の宣伝をした廉で、青白い男を罪に問うていた。
青白い男は負けずに宣伝歌を歌いだす。その声に周りを取り巻いていた黒い男たちはたまらず、大地にかぶりつく。そこへまた、森林の中から宣伝歌が聞こえてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-06 18:49:40
OBC :
rm0725
愛善世界社版:
154頁
八幡書店版:
第2輯 89頁
修補版:
校定版:
160頁
普及版:
65頁
初版:
ページ備考:
001
大海原
(
おほうなばら
)
を
撫
(
な
)
で
渡
(
わた
)
る
002
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
し
003
常世
(
とこよ
)
の
波
(
なみ
)
の
重波
(
しきなみ
)
の
004
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
儘
(
まま
)
に
思
(
おも
)
ひきや
005
筑紫島
(
つくしじま
)
なる
亜弗利加
(
アフリカ
)
の
006
広
(
ひろ
)
き
陸地
(
りくち
)
に
着
(
つ
)
きにけり
007
暗世
(
やみよ
)
を
照
(
て
)
らす
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
008
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
びて
照妙
(
てるたへ
)
の
009
衣
(
ころも
)
を
捨
(
す
)
てて
蓑笠
(
みのかさ
)
の
010
身装
(
みなり
)
も
脚
(
あし
)
もいと
軽
(
かる
)
く
011
崎嶇
(
きく
)
たる
山
(
やま
)
を
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
012
ここに
一条
(
いちでう
)
の
急潭
(
きふたん
)
は
013
怪
(
あや
)
しき
巌
(
いはほ
)
と
相打
(
あひう
)
ちて
014
激怒
(
げきど
)
突喊
(
とつかん
)
飛
(
と
)
ぶ
沫
(
あわ
)
の
015
万斛
(
ばんこく
)
の
咳咤
(
がいだ
)
を
注
(
そそ
)
いで
016
怪岩
(
くわいがん
)
の
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
てば
017
巌
(
いはほ
)
はその
奇
(
く
)
しき
醜
(
みにく
)
き
018
面
(
おもて
)
を
背
(
そむ
)
けて
水
(
みづ
)
は
狂奔
(
きやうほん
)
する
019
奇絶
(
きぜつ
)
壮絶
(
さうぜつ
)
勝景
(
しようけい
)
の
020
谷間
(
たにま
)
の
小径
(
こみち
)
に
差懸
(
さしかか
)
る
021
春
(
はる
)
とはいへど
蒸暑
(
むしあつ
)
き
022
日
(
ひ
)
に
亜弗利加
(
アフリカ
)
の
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
[
※
この山は第34巻第1章の黒姫のセリフの中で「筑紫峠」と呼ばれている。
]
023
暫時
(
しばし
)
木蔭
(
こかげ
)
に
佇
(
たたず
)
みて
024
この
光景
(
くわうけい
)
を
三柱
(
みはしら
)
の
025
名
(
な
)
さへ
芽出度
(
めでた
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
026
飛瀑
(
ひばく
)
の
声
(
こゑ
)
と
相俟
(
あひま
)
つて
027
壮快
(
さうくわい
)
極
(
きは
)
まる
宣伝歌
(
せんでんか
)
028
天地
(
てんち
)
の
塵
(
ちり
)
を
払拭
(
ふつしき
)
し
029
山野
(
さんや
)
を
清
(
きよ
)
むる
如
(
ごと
)
くなり。
030
三柱
(
みはしら
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
031
この
谷川
(
たにがは
)
の
奇勝
(
きしよう
)
を
眺
(
なが
)
め、
032
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は、
033
日の出神
『あゝ
実
(
じつ
)
に
天下
(
てんか
)
の
絶景
(
ぜつけい
)
だ。
034
吾々
(
われわれ
)
も
宣伝使
(
せんでんし
)
となつて、
035
天下
(
てんか
)
を
横行
(
わうかう
)
濶歩
(
くわつぽ
)
して
来
(
き
)
たが、
036
未
(
いま
)
だ
嘗
(
かつ
)
て
見
(
み
)
ざる
壮快
(
さうくわい
)
な
景色
(
けしき
)
である。
037
山
(
やま
)
といひ、
038
谷川
(
たにがは
)
といひ、
039
実
(
じつ
)
に
吾々
(
われわれ
)
の
心境
(
しんきやう
)
を
洗
(
あら
)
ふやうな
心持
(
こころもち
)
がするね』
040
祝姫
(
はふりひめ
)
『
左様
(
さやう
)
でござります。
041
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
を
続
(
つづ
)
けて、
042
少々
(
せうせう
)
勿体
(
もつたい
)
ないこと
乍
(
なが
)
ら
飽
(
あ
)
き
気味
(
ぎみ
)
になつてゐましたが、
043
世界
(
せかい
)
はよくしたものですな。
044
かう
云
(
い
)
ふやうな
天下
(
てんか
)
の
奇勝
(
きしよう
)
を
見
(
み
)
ることの
出来
(
でき
)
るのも、
045
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあ
)
はせ。
046
旅
(
たび
)
は
憂
(
う
)
いもの、
047
辛
(
つら
)
いものと
申
(
まを
)
せども、
048
宣伝使
(
せんでんし
)
でなくては
到底
(
たうてい
)
かう
云
(
い
)
ふ
絶景
(
ぜつけい
)
を
見
(
み
)
ることは
出来
(
でき
)
ない。
049
吾々
(
われわれ
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
感謝
(
かんしや
)
を
捧
(
ささ
)
げねばなりますまい』
050
面那芸
(
つらなぎ
)
『あゝ
時
(
とき
)
に
何
(
なん
)
だか
谷底
(
たにそこ
)
に
流
(
なが
)
れの
音
(
おと
)
か、
051
猛獣
(
まうじう
)
の
呻
(
うめ
)
き
声
(
ごゑ
)
か、
052
人
(
ひと
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
か、
053
はつきり
分
(
わか
)
りませぬが
妙
(
めう
)
な
響
(
ひびき
)
がするではありませぬか』
054
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は、
055
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
つて
耳
(
みみ
)
を
澄
(
すま
)
しながら、
056
日の出神
『はー、
057
如何
(
いか
)
にも
何
(
なん
)
だか
合点
(
がつてん
)
のゆかぬ
唸鳴
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
ですな。
058
何
(
なん
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
059
私
(
わたくし
)
はその
声
(
こゑ
)
を
目標
(
めあて
)
に
調
(
しら
)
べて
来
(
き
)
ませう。
060
貴使
(
あなた
)
は
此処
(
ここ
)
に
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さい』
061
二柱
(
ふたはしら
)
は
口
(
くち
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
062
祝姫、面那芸
『いや、
063
吾々
(
われわれ
)
も
御
(
お
)
伴
(
とも
)
いたしませう』
064
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
『
然
(
しか
)
らば
私
(
わたくし
)
が
一歩先
(
ひとあしさき
)
に
参
(
まゐ
)
ります。
065
貴下
(
あなた
)
は
見
(
み
)
え
隠
(
かく
)
れに
跟
(
つ
)
いて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
066
万一
(
もしも
)
の
事
(
こと
)
があれば
合図
(
あひづ
)
を
致
(
いた
)
しますから、
067
こちらが
合図
(
あひづ
)
をするまで、
068
出
(
で
)
て
来
(
き
)
てはなりませぬぞ』
069
と
云
(
い
)
ひながら、
070
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
谷
(
たに
)
深
(
ふか
)
く
声
(
こゑ
)
を
捜
(
たづ
)
ねて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
071
行
(
ゆ
)
くこと
二三町
(
にさんちやう
)
斗
(
ばか
)
り、
072
此処
(
ここ
)
には
見上
(
みあ
)
ぐるばかりの
大岩石
(
だいがんせき
)
が
谷間
(
たにま
)
に
屹立
(
きつりつ
)
し、
073
五六
(
ごろく
)
尺
(
しやく
)
もある
大
(
だい
)
なる
巌窟
(
がんくつ
)
が、
074
彼方
(
あちら
)
にも
此方
(
こちら
)
にも、
075
天然
(
てんねん
)
に
穿
(
うが
)
たれあり。
076
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の
赤
(
あか
)
い、
077
顔
(
かほ
)
の
炭
(
すみ
)
ほど
黒
(
くろ
)
いやや
赤銅色
(
あかがねいろ
)
を
帯
(
お
)
びた
数多
(
あまた
)
の
男
(
をとこ
)
が、
078
幅
(
はば
)
の
分厚
(
ぶあつ
)
い
唇
(
くちびる
)
を
鳥
(
とり
)
の
嘴
(
くちばし
)
のやうに
突出
(
つきだ
)
した
奴
(
やつ
)
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
安座
(
あぐら
)
をかいて、
079
一人
(
ひとり
)
の
色
(
いろ
)
の
蒼白
(
あをじろ
)
い
少
(
すこ
)
しく
眼
(
め
)
の
悪
(
わる
)
い
男
(
をとこ
)
を
中
(
なか
)
に
置
(
お
)
いて
何
(
なに
)
か
頻
(
しきり
)
に
揶揄
(
からか
)
つてゐる。
080
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は、
081
木蔭
(
こかげ
)
に
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
ばせこの
様子
(
やうす
)
を
聞
(
き
)
き
入
(
い
)
つた。
082
甲
『やい、
083
貴様
(
きさま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
とか、
084
何
(
なん
)
とか
吐
(
ぬ
)
かしよつて、
085
この
島
(
しま
)
に
案内
(
あんない
)
も
無
(
な
)
く
肩
(
かた
)
の
凝
(
こ
)
るやうな
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
つて
参
(
まゐ
)
り、
086
俺
(
おい
)
らの
一族
(
いちぞく
)
を
滅茶
(
めちや
)
々々
(
めちや
)
にしよるのか。
087
此処
(
ここ
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てをる。
088
勿体
(
もつたい
)
なくも
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
領分
(
りやうぶん
)
だぞ。
089
それに
貴様
(
きさま
)
は
大
(
おほ
)
きな
面
(
つら
)
を
提
(
さげ
)
よつて、
090
この
世
(
よ
)
が
変
(
かは
)
るの、
091
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
けるのと、
092
大
(
おほ
)
きな
喇叭
(
ラツパ
)
を
吹
(
ふ
)
きよつて
何
(
なん
)
のことだい。
093
もうこれ
限
(
ぎ
)
り
宣伝使
(
せんでんし
)
を
止
(
や
)
めて、
094
俺
(
おい
)
らの
奴隷
(
どれい
)
になればよし。
095
ならなならぬで
是
(
これ
)
から
成敗
(
せいばい
)
をしてやる。
096
返答
(
へんたふ
)
せい』
097
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
は、
098
少
(
すこ
)
しも
屈
(
くつ
)
せず
四辺
(
あたり
)
に
響
(
ひび
)
く
声
(
こゑ
)
を
張上
(
はりあ
)
げて、
099
男(小島別)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る』
100
乙、丙
『こら、
101
しぶとい
奴
(
やつ
)
だ。
102
未
(
ま
)
だ
吐
(
ぬ
)
かすのか。
103
おい、
104
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
105
石塊
(
いしころ
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
こ
)
い。
106
此奴
(
こいつ
)
の
口
(
くち
)
を
塞
(
ふさ
)
いでやらうぢやないか』
107
丁
『おい、
108
宣伝使
(
せんでんし
)
、
109
此処
(
ここ
)
は
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くも
常世国
(
とこよのくに
)
に
現
(
あら
)
はれました
伊弉冊
(
いざなみの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
が、
110
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
といふ
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
御
(
お
)
使
(
つか
)
ひになつて、
111
その
御
(
ご
)
家来
(
けらい
)
の
荒熊別
(
あらくまわけ
)
といふ
力
(
ちから
)
の
強
(
つよ
)
い
御
(
ご
)
威勢
(
ゐせい
)
の
高
(
たか
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が、
112
御
(
お
)
守
(
まも
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
結構
(
けつこう
)
な
国
(
くに
)
だぞ。
113
此処
(
ここ
)
の
人間
(
にんげん
)
は
毎日
(
まいにち
)
々々
(
まいにち
)
、
114
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
で、
115
一
(
ひと
)
つも
働
(
はたら
)
かず
無花果
(
いちじゆく
)
の
実
(
み
)
を
食
(
く
)
つたり、
116
橘
(
たちばな
)
や、
117
橙
(
だいだい
)
その
他
(
た
)
の
結構
(
けつこう
)
なものを
頂
(
いただ
)
いて、
118
梨
(
あり
)
の
実
(
み
)
の
酒
(
さけ
)
を
醸
(
つく
)
つて「
呑
(
の
)
めよ
騒
(
さわ
)
げよ
一寸先
(
いつすんさき
)
や
暗
(
やみ
)
よ、
119
暗
(
やみ
)
の
後
(
あと
)
には
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
る」と
日々
(
にちにち
)
勇
(
いさ
)
ンで
暮
(
くら
)
す
天国
(
てんごく
)
だ。
120
それに
何
(
なん
)
ぞや、
121
七六
(
しちむつ
)
ケ
(
か
)
敷
(
し
)
い
劫託
(
ごふたく
)
を
列
(
なら
)
べよつて、
122
立替
(
たてかへ
)
るも
立別
(
たてわけ
)
るもあつたものかい。
123
さあ、
124
これから
皆
(
みな
)
寄
(
よ
)
つて
此奴
(
こいつ
)
を
荒料理
(
あられうり
)
して
食
(
く
)
つて
了
(
しま
)
つてやらうかい』
125
甲
『やい、
126
そんな
無茶
(
むちや
)
をするない。
127
此奴
(
こいつ
)
は
剛情
(
がうじやう
)
我慢
(
がまん
)
の
奴
(
やつ
)
だが、
128
併
(
しか
)
しあの
細
(
ほそ
)
い
目
(
め
)
から
恐
(
おそ
)
ろしい
光
(
ひかり
)
を
出
(
だ
)
して
居
(
を
)
るぞ。
129
何
(
なん
)
でも
天
(
てん
)
から
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
た
神
(
かみ
)
さまの
化物
(
ばけもの
)
かも
知
(
し
)
れやしない。
130
うつかり
手出
(
てだし
)
をしたら、
131
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
るぞよ』
132
乙
『
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
いことを
言
(
い
)
ふな。
133
吾々
(
われわれ
)
は
伊弉諾
(
いざなぎの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
氏子
(
うぢこ
)
だ。
134
天
(
てん
)
から
降
(
ふ
)
つたか、
135
地
(
ち
)
から
湧
(
わ
)
いたか
知
(
し
)
らぬが、
136
こンなものの
一疋
(
いつぴき
)
位
(
ぐらゐ
)
にびくびくするない』
137
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
、
138
声
(
こゑ
)
を
張上
(
はりあ
)
げて、
139
小島別
『
神
(
かみ
)
がこの
世
(
よ
)
に
現
(
あら
)
はれて
140
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
141
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
の
国々
(
くにぐに
)
や
142
島
(
しま
)
の
八十島
(
やそしま
)
八洲国
(
やしまぐに
)
143
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
144
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みも
大島
(
おほしま
)
や
145
小島
(
こじま
)
の
別
(
わけ
)
の
神司
(
かんつかさ
)
146
眼
(
まなこ
)
は
少
(
すこ
)
し
悪
(
わる
)
けれど
147
汝
(
なんぢ
)
の
眼
(
まなこ
)
に
映
(
うつ
)
らない
148
心
(
こころ
)
の
眼
(
まなこ
)
は
日月
(
じつげつ
)
の
149
光
(
ひかり
)
に
擬
(
まが
)
ふ
小島別
(
こじまわけ
)
150
わけも
知
(
し
)
らずに
言
(
こと
)
さやぐ
151
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
集
(
あつ
)
まれる
152
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
153
熊襲
(
くまそ
)
の
国
(
くに
)
の
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
154
山路
(
やまぢ
)
を
別
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
155
われは
汝
(
なんぢ
)
の
助
(
たす
)
け
神
(
がみ
)
156
世
(
よ
)
は
常暗
(
とこやみ
)
の
熊襲国
(
くまそぐに
)
157
残
(
のこ
)
る
隈
(
くま
)
なく
照
(
て
)
らさむと
158
綾
(
あや
)
の
高天
(
たかま
)
を
立出
(
たちい
)
でて
159
心
(
こころ
)
のたけの
建日別
(
たけひわけ
)
160
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
と
現
(
あら
)
はれて
161
この
国魂
(
くにたま
)
と
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
162
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
のよさしなり
163
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
のよさしなり
164
荒
(
あら
)
ぶる
神
(
かみ
)
よ
醜人
(
しこびと
)
よ
165
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわけ
)
る
166
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
神勅
(
みことのり
)
』
167
と
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
むるや、
168
一同
(
いちどう
)
は
耳
(
みみ
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
169
目
(
め
)
を
閉
(
と
)
ぢ、
170
一同
『やあ、
171
こいつは
堪
(
たま
)
らぬ』
172
と
大地
(
だいち
)
にかぶりつく。
173
この
時
(
とき
)
またもや、
174
森林
(
しんりん
)
の
中
(
なか
)
より
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
聞
(
きこ
)
えきたりぬ。
175
(
大正一一・二・一
旧一・五
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