霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四四章 福辺面(ふくべづら)〔三四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第7巻 霊主体従 午の巻 篇:第8篇 一身四面 よみ(新仮名遣い):いっしんしめん
章:第44章 福辺面 よみ(新仮名遣い):ふくべづら 通し章番号:344
口述日:1922(大正11)年02月02日(旧01月06日) 口述場所: 筆録者:井上留五郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月31日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一同は突然聞こえた宣伝歌に肝をつぶしている。蚊取別がこのすきに逃げようとするのをまた住民たちに捕まり、腰の酒の入ったひょうたんを割られて酒びたしになってしまった。
するとまた闇の中に宣伝歌が聞こえ、酒は常世の国の少彦名神様が醸した神酒なので、少しはほどほどに飲めよ、と諭す。蚊取別はこの宣伝歌に、ウラル教の加勢が来たと勘違いして、勢いづいた。
住民たちは恐れをなして逃げてしまった。後には、蚊取別は一人威張り散らしている。
そこへまた面那芸の宣伝歌が聞こえてきた。蚊取別はこの歌を聞いてにわかに醒め、頭を抱えてしゃがみこんでしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-05-06 19:40:40 OBC :rm0744
愛善世界社版:267頁 八幡書店版:第2輯 130頁 修補版: 校定版:277頁 普及版:113頁 初版: ページ備考:
001 (おも)ひがけなき(やぶ)から(ぼう)宣伝歌(せんでんか)に、002一同(いちどう)(きも)(つぶ)し、003キヨロキヨロと四辺(あたり)見廻(みまは)したれど、004それきり(なん)(こゑ)もなければ、005群衆(ぐんしう)(また)もや口々(くちぐち)(しやべ)りはじめけり。
006(いま)(こゑ)(なん)だらうな。007大変(たいへん)(すず)しい、008(ちから)のある、009(げん)として(をか)()からざる、010荘重(さうちよう)なる、011立派(りつぱ)なる、012厳格(げんかく)なる』
013『オイ貴様(きさま)014(おな)じことばつかり(なら)べよつて、015(わけ)(わか)らぬ(やつ)だな。016厳格(げんかく)だの、017荘重(さうちよう)だのと、018(なん)(こと)だい。019貴様(きさま)蚊取別(かとりわけ)仲間(なかま)だナ』
020(だま)れツ。021貴様(きさま)のやうな不分漢(わからずや)に、022(わか)つてたまるかい』
023『おい、024蚊取別(かとりわけ)()げるぞ()げるぞ。025(みな)()()けぬかい』
026 蚊取別(かとりわけ)は、027この(こゑ)(おどろ)きて()りかへり、028()まつた()(たた)くやうな()つきをして、029自分(じぶん)(かほ)ぴしやり()(たた)き、030(ねこ)のやうに(みぎ)()を、031(くち)(あた)りにちよこなん()ゑながら、032(ひだり)()に、033()つる(なみだ)(ぬぐ)ひ、034()()くやうな(こゑ)()して、
035蚊取別(みな)のお(かた)036どうぞ(ゆる)して(くだ)さいませ。037その(かは)りにこのお(さけ)()まして()げます』
038馬鹿(ばか)(やつ)ぢやな、039(さけ)いかん()うて吾々(われわれ)は、040貴様(きさま)談判(だんぱん)をして()るのだ。041吾々(われわれ)(おな)人間(にんげん)だ。042(さけ)と○○「○○」は校定版では「博奕」(をんな)(きら)ひな(やつ)は、043三千(さんぜん)世界(せかい)にありやしないよ。044それでも吾々(われわれ)三五教(あななひけう)(をしへ)(まも)つて、045()きな(さけ)もよう()まずに辛抱(しんばう)してゐるのだ。046ただ(かみ)(さま)()神酒(みき)(いただ)くばかりのことだ。047貴様(きさま)のやうに粟嶋(あはしま)さまの化物(ばけもの)のやうに(こし)(おも)たいほど瓢箪(ふくべ)()りよつて、048世界(せかい)(さけ)(みだ)さうとしても、049筑紫(つくし)(くに)(かぎ)つて、050貴様(きさま)らに(みだ)される人間(にんげん)一人(ひとり)もゐないのだ』
051蚊取別『ソヽヽそれはごもつとも、052(おも)ひは(おな)(さけ)(あぢ)053(さけ)(きら)ひな人間(にんげん)が、054(ひろ)世界(せかい)にあるものか、055(さけ)生命(いのち)(おや)ぢやぞい』
056渋太(しぶと)(やつ)だ、057こやつは(さけ)(たましひ)(くさ)らしてけつかる。058(なん)()うても(わか)らぬ(やつ)だな。059おい蚊取別(かとりわけ)060(おれ)(まへ)でその瓢箪(へうたん)(みな)(から)にして(しま)へ』
061 蚊取別(かとりわけ)(みみ)(すこ)左方(さはう)(かたむ)けながら、062(みぎ)()(ひたい)をぴしやりと()ち、
063蚊取別貴方(あなた)(いま)かんとり(ざけ)とおつしやつたが、064瓢箪(へうたん)()にかけて(かん)をする(わけ)にも()かず、065どうした拍子(へうし)瓢箪(へうたん)やら』
066『おいおい(みな)(もの)067此奴(こやつ)(さけ)(くら)()うて(おれ)らを(さかな)にしよつて、068いい()になつて玩弄(おもちや)にしよるのだよ。069(おれ)らが蚊取別(かとりわけ)(いぢ)めた(つも)りで、070(かへ)つて蚊取別(かとりわけ)(くだ)()かれて(いぢ)められて()るのだよ。071馬鹿(ばか)々々(ばか)しいぢやないか。072(ひと)(あたま)をこの(つゑ)かんとり(わけ)とやつてやろかい』
073 群衆(ぐんしう)は『よからう、074よからう』
075と、076四方(しはう)八方(はつぱう)より棒千切(ぼうちぎれ)(もつ)て、077蚊取別(かとりわけ)(あたま)()がけて()ちかからうとするを、078蚊取別(かとりわけ)(こし)瓢箪(へうたん)両手(りやうて)(かか)へ、079(あたま)(うへ)()せて、080()つなら()てと()はぬ(ばか)りに、081身構(みがまへ)する。
082 群衆(ぐんしう)(われ)(おと)らじと()つてかかる。083()たれて瓢箪(へうたん)(やぶ)れ、084(さけ)四方(しはう)()()る。085蚊取別(かとりわけ)(あたま)から(さけ)()びて、086(にはか)誕生(たんじやう)のお釈迦(しやか)さまになりてしまひける。
087 このとき(やみ)()いて、088(また)もや宣伝歌(せんでんか)(きこ)えきたりぬ。
089常世(とこよ)(くに)()れませる
090少彦名(すくなひこな)(かみ)(さま)
091(かも)(たま)ひし神酒(みき)なれば
092(すこ)しは()めよ(ほど)ほどに
093()神酒(みき)()むはよけれども
094(さけ)()まれな(もも)(ひと)
095()みたい(さけ)()まずして
096気張(きば)つてをれば何時(いつ)(また)
097(こころ)(すさ)びて暗雲(やみくも)
098(さけ)()まねばならうまい
099(かみ)(そな)へた()(のち)
100神酒(みき)()まずに(いただ)けよ
101神酒(みき)()まずに(いただ)けよ』
102(すず)しき(こゑ)(きこ)()たる。103蚊取別(かとりわけ)はこの(こゑ)(さと)くも(みみ)()れ、
104蚊取別『やい、105(みな)(やつ)106(いま)(うた)()いたか。107貴様(きさま)らは大勢(おほぜい)だと(おも)つて、108(おれ)馬鹿(ばか)にしたが、109(おれ)(いま)まで多勢(たぜい)無勢(ぶぜい)だ。110(つよ)(やつ)にア()けて()けと、111むかつく(はら)をじつと(こら)へて疳癪玉(かんしやくだま)(をさ)へて()たが、112モヽヽもう(おれ)承知(しようち)せぬぞ。113(いま)(うた)()いたかい。114()神酒(みき)()むな(いただ)けと(きこ)えたであらう。115()むのも(いただ)くのも(おな)じことだ。116さあ、117(おれ)味方(みかた)のウラル(ひこ)宣伝使(せんでんし)(あら)はれた以上(いじやう)は、118もはや(おに)鉄棒(かなぼう)だ。119なンぼなと(しやべ)れ、120(あたま)(たた)け、121(たた)いて(あと)後悔(こうくわい)するな』
122鼻息(はないき)(あら)両臂(りやうひぢ)()つて威張(ゐば)()しける。
123甲乙丙『やいやい、124禿頭(はげあたま)瓢箪面(へうたんづら)(にはか)はしやぎよつたぞ。125愚図(ぐづ)々々(ぐづ)してゐると、126彼奴(あいつ)同類(どうるゐ)(くら)がりから()()て、127どンな(こと)をするか(わか)らない。128()げろ()げろ』
129 群衆(ぐんしう)はこの(こゑ)(おどろ)き、130(さき)(あらそ)(やみ)(まぎ)れて()()りにけり。
131 蚊取別(かとりわけ)はただ一人(ひとり)篝火(かがりび)(まへ)()(ふさ)がり大音声(だいおんじやう)()りあげて、
132蚊取別(おれ)(たれ)だと(おも)うて()るか。133勿体(もつたい)なくも鬼城山(きじやうざん)(やかた)(かま)へて、134()威勢(ゐせい)(なら)びなき美山彦(みやまひこ)第一番(だいいちばん)家来(けらい)
135 (すこ)小声(こごゑ)で、
136蚊取別家来(けらい)のその家来(けらい)の、137(ひと)家来(けらい)(また)家来(けらい)蚊取別(かとりわけ)とは(わが)(こと)なるぞ。138ごくにも()たぬ雲虫(くもむし)()ら、139(くも)(かすみ)()()せたな』
140威張(ゐば)()らしをる。141(また)もや(やみ)(なか)より、
142(かみ)(おもて)(あら)はれて
143(ぜん)(あく)とを()(わけ)
144蚊取(かとり)(わけ)曲神(まがかみ)
145鬼城山(きじやうざん)をば()けて()
146筑紫(つくし)(くに)まで(なが)されて
147瓢箪面(へうたんづら)(さら)しつつ
148()らぬ他国(たこく)人々(ひとびと)
149(あたま)()られ(あぶら)()られ
150その有様(ありさま)(なん)(こと)
151三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
152面那芸(つらなぎ)(ひこ)とは(わが)(こと)
153面那芸(つらなぎ)(ひこ)とは(わが)(こと)ぞ』
154大音声(だいおんじやう)歌交(うたまじ)りに()ばはりける。
155 蚊取別(かとりわけ)はこの(こゑ)()きて(にはか)(ゑい)()め、156(あたま)(かか)へてその()蹲踞(しやが)みたりにける。
157大正一一・二・二 旧一・六 井上留五郎録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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