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第一四章 (たこ)揚壺(あげつぼ)〔六四二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻 篇:第5篇 五月五日祝 よみ:ごがついつかのいわい
章:第14章 蛸の揚壺 よみ:たこのあげつぼ 通し章番号:642
口述日:1922(大正11)年04月28日(旧04月02日) 口述場所: 筆録者:東尾吉雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年2月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高山彦と黒姫は、玉照姫を迎えに行った富彦、寅若、菊若の消息を待っていた。そこへ三人はそっと中に入ってきた。首尾を尋ねる黒姫に、富彦は数百万の三五教徒に囲まれて奮戦したが、いったん退却してきたのだ、と大法螺を吹く。
黒姫が三人を叱りつけると、すごすごと居間に引き下がって行った。黒姫はふと思い当たることがあり、綾彦を呼んでその身元を尋ねる。綾彦はかたくなに身元を明かすことを拒んだ。
黒姫は青彦を呼んで、綾彦は、豊彦の息子ではないか、と鎌をかける。青彦はそのことを認めてしまう。黒姫は、綾彦夫婦と玉照姫を交換しようと思いつき、青彦に相談を持ちかけた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:231頁 八幡書店版:第3輯 723頁 修補版: 校定版:239頁 普及版:106頁 初版: ページ備考:愛世版・校定版・八幡版・普及版いずれも「壺」を使っている。
001 魔窟ケ原(まくつがはら)地下室(ちかしつ)に、002ウラナイ(けう)双壁(そうへき)(おのれ)(ゆる)(ひと)(ゆる)した、003素人(しろうと)(ばな)れのした黒姫(くろひめ)が、004高山彦(たかやまひこ)(むつま)じさうに晩酌(ばんしやく)をグビリグビリとやつて()る。
005『コレ高山(たかやま)さま、006時節(じせつ)()たねばならぬものだなア。007(まへ)偕老同穴(かいらうどうけつ)(ちぎり)(むす)(なが)ら、008枯木(こぼく)寒巌(かんがん)()つて、009三冬(さんとう)暖気(だんき)()しと()ふやうな、010没分暁漢(わからずや)部下(ぶか)宣伝使(せんでんし)信者(しんじや)動揺(どうえう)(おそ)れて気兼(きが)ねをして、011貴方(あなた)をフサの(くに)本山(ほんざん)に、012(わし)はこの自転倒島(おのころじま)(わた)つて、013神様(かみさま)(ため)にお(みち)(ため)に、014所在(あらゆる)最善(さいぜん)努力(どりよく)(つく)し、015一生懸命(いつしやうけんめい)宣伝(せんでん)して()たが、016(なに)()つても()()ひと(とし)()る、017無常迅速(むじやうじんそく)(かん)()たれて、018何処(どこ)とも()心淋(うらさび)しく、019どうぞ()れて夫婦(めをと)名乗(なの)つて(くら)したいと(おも)つて()たが、020これ(まで)独身(どくしん)主義(しゆぎ)高張(かうちやう)して()手前(てまへ)021今更(いまさら)(てのひら)(かへ)したやうな所作(しよさ)もならず、022本当(ほんたう)(そら)()(くも)(なが)めて(かり)がねの便(たよ)りもがなと、023()()(なみだ)()れた(こと)幾度(いくたび)あつたでせう、024(しか)(なが)何程(なにほど)(くに)(ため)(みち)(ため)だといつても、025自分(じぶん)()つて一生(いつしやう)快楽(くわいらく)犠牲(ぎせい)にしてまで、026()我慢(がまん)をはつて()つても、027こいつは駄目(だめ)だ。028(はじ)めの(うち)は、029黒姫(くろひめ)(えら)いものだ、030言行一致(げんかういつち)だといつて()めて()れよつたが、031(しま)ひには神様(かみさま)御取次(おとりつ)ぎする(もの)は、032(をんな)だつて独身(どくしん)生活(せいくわつ)するのは当然(あたりまえ)だ。033(なに)感心(かんしん)する(こと)があるものか。034あれや大方(おほかた)035どつか身体(からだ)一部(いちぶ)欠陥(けつかん)があるので、036負惜(まけをし)みを()して独身(どくしん)生活(せいくわつ)をやつて()るのだ……(なん)ぞと()(もの)出来(でき)()た。037エヽ、038アタ阿呆(あはう)らしい。039これだけ辛抱(しんばう)して()つても(わる)()はれるのなら、040()ちたい(をつと)()つて、041公然(こうぜん)とやつた(はう)が、042何程(なにほど)ましか()れないと、043いよいよ決行(けつかう)して()たが、044(はじ)めの(うち)夏彦(なつひこ)045常彦(つねひこ)をはじめ、046頑固連(ぐわんこれん)追々(おひおひ)脱退(だつたい)し、047(いささ)面喰(めんくら)つたが、048(あん)じるより()むが(やす)いといつて、049何時(いつ)()にやら、050(わたし)貴方(あなた)結婚(けつこん)問題(もんだい)信者(しんじや)話頭(わとう)(のぼ)らなくなり、051この(ごろ)はソロソロと、052青彦(あをひこ)やお(せつ)053おまけに紫姫(むらさきひめ)といふ(やう)な、054賢明(けんめい)淑女(しゆくぢよ)(まで)帰順(きじゆん)したり、055入信(にふしん)したり、056(じつ)結構(けつこう)機運(きうん)(むか)つて()たものだ。057これからは高山(たかやま)さま、058もう一寸(ちよつと)遠慮(ゑんりよ)はいらないから、059(わたし)ばかりに命令(めいれい)をささずに、060あなたは天晴(あつぱ)黒姫(くろひめ)(をつと)として、061権利(けんり)(ふる)うて(くだ)さいねエ』
062高山彦(たかやまひこ)『アヽさうだなア、063()てば海路(かいろ)(かぜ)()くとやら、064(とき)(ちから)(くらゐ)065結構(けつこう)なものの(おそ)ろしいものは()いなア』
066黒姫(くろひめ)(とき)寅若(とらわか)067富彦(とみひこ)068菊若(きくわか)三人(さんにん)は、069ここを()てから四五日(しごにち)にもなるに、070まだ(かへ)つて()ない。071(なに)(みち)(かは)つた(こと)でも出来(でき)たのではあるまいか。072(なん)だか()にかかつて仕方(しかた)()いワ』
073高山彦(たかやまひこ)『そう心配(しんぱい)するものでも()い。074何事(なにごと)時節(じせつ)(ちから)だ』
075 かく()(をり)しも、076ソツと(いは)()()けて(すべ)()んだ三人(さんにん)(をとこ)
077黒姫(くろひめ)『アヽ、078(うはさ)をすれば(かげ)とやら、079寅若(とらわか)エロウ(おそ)かつたぢやないか。080首尾(しゆび)はどうだつたなナ』
081寅若(とらわか)『ハイ、082委細(ゐさい)様子(やうす)(ゆつ)くりと、083明日(あす)(あさ)でも申上(まをしあ)げませう。084ナア菊若(きくわか)085富彦(とみひこ)086エライ()()うたぢやないか』
087黒姫(くろひめ)『お前達(まへたち)は、088あまり(とほ)(みち)でも()いのに、089どうして御座(ござ)つた。090今日(けふ)七日目(なぬかめ)ぢやないか。091何時(いつ)都合(つがふ)()(とき)は、092(おほ)きな(こゑ)門口(かどぐち)から呶鳴(どな)つて(かへ)つて()るが、093今日(けふ)はコソコソと(ほそ)うなつて這入(はい)つて()たのは、094(あま)結構(けつこう)(はな)しぢや()るまい、095明日(あす)(あさ)(まを)()げるとは、096そら(なん)(こと)だ。097(この)(あひだ)から、098日日(ひにち)毎日(まいにち)指折(ゆびお)(かぞ)へて()つて()たのだ。099サア(はや)実地(じつち)(こと)を、100(つつ)まず(かく)さず()ひなさいや』
101 寅若(とらわか)102(あたま)をガシガシ()(なが)ら、103()(にく)さうに、
104寅若(とらわか)『あの、105(なん)御座(ござ)います。106それはそれは、107大変(たいへん)(こと)で、108(なん)とも()とも、109注進(ちうしん)仕方(しかた)()りませぬワイ。110(しか)(なが)ら、111物質的(ぶつしつてき)獲物(えもの)一寸(ちよつと)時期(じき)尚早(しやうそう)で、112暫時(ざんじ)()(じゆく)するまで保留(ほりう)して()きましたが、113霊的(れいてき)には大変(たいへん)収獲(しうくわく)がありました』
114黒姫(くろひめ)(また)しても(また)しても、115霊的(れいてき)収獲(しうくわく)仰有(おつしや)るが、116それはお(まへ)慣用的(くわんようてき)辞令(じれい)だ。117もう霊的(れいてき)収獲(しうくわく)には、118この黒姫(くろひめ)もウンザリしました。119ハツキリと成功(せいこう)だつたとか、120不成功(ふせいこう)だつたとか、121女王(ぢよわう)(まへ)陳述(ちんじゆつ)するのだよ』
122(こゑ)(とが)らせ、123()(まる)うして(にら)みつける。
124 三人(さんにん)(ちぢ)(あが)り、
125『イヤもう、126()うなれば委細(ゐさい)(のこ)らず言上(ごんじやう)いたします。127紫雲(しうん)棚引(たなび)東北(とうほく)(てん)128如何(いか)なる(かみ)出現(しゆつげん)したまふやと、129(こころ)(きよ)()(きよ)め、130途々(みちみち)宣伝歌(せんでんか)(とな)へながら、131弥仙(みせん)山麓(さんろく)までやつて()つた。132(とき)しもあれ、133(うはさ)(たか)玉照姫(たまてるひめ)生母(せいぼ)(たま)(かた)は、134吾々(われわれ)三人(さんにん)威風(ゐふう)(おそ)れてか、135一生懸命(いつしやうけんめい)嬰児(あかご)()に、136弥仙山(みせんざん)(むか)つて(くも)(おこ)し、137(あめ)()び、138(ため)()(ふる)雷鳴(らいめい)(とどろ)き、139山岳(さんがく)一度(いちど)(くづ)るる(ばか)りの大音響(だいおんきやう)(はつ)し、140(おもて)()()からざる景色(けしき)となつて()た。141流石(さすが)寅若(とらわか)142富彦(とみひこ)143菊若(きくわか)三勇将(さんゆうしやう)も、144(しば)躊躇(ためら)折柄(をりから)に、145(たちま)ちあなたの御霊(みたま)や、146高山彦(たかやまひこ)御霊(みたま)が、147吾々(われわれ)三人(さんにん)憑依(ひようい)(あそ)ばされ、148勇気(ゆうき)百倍(ひやくばい)して弥仙山(みせんざん)目蒐(めが)けて驀地(まつしぐら)にかけ(のぼ)()く。149(とき)しもあれや、150(やま)中腹(ちうふく)より、151(あら)はれ(いで)たる三五教(あななひけう)奴輩(やつぱら)152各自(てんで)柄物(えもの)(たづさ)へ、153(わづ)三人(さんにん)吾々(われわれ)一隊(いつたい)(むか)つて()めよせ(きた)るその(いきほひ)(すさま)じさ、154されども黒姫(くろひめ)さま、155高山彦(たかやまひこ)(さま)御霊(みたま)(かか)つた吾々(われわれ)三人(さんにん)156何条(なんでう)(ひる)むべき。157(むら)がる(てき)(むか)つて電光石火(でんくわうせきくわ)158突撃(とつげき)攻撃(こうげき)159言霊(ことたま)火花(ひばな)()らして(たたか)うたり。160さはさり(なが)ら、161此方(こちら)(かたち)(ばか)りの九寸五分(くすんごぶ)162(ただ)一本(いつぽん)あるのみ。163(むら)がる(てき)数百千万(すうひやくせんまん)同勢(どうぜい)164全山(ぜんざん)(ひと)(もつ)(うづ)まり、165如何(いか)(ふせ)(たたか)うとも、166(さすが)黒姫(くろひめ)(さま)御神力(ごしんりき)()れには(てき)()ねたりと()え、167吾々(われわれ)三人(さんにん)肉体(にくたい)自由自在(じいうじざい)にお使(つか)(あそ)ばされ、168血路(けつろ)(ひら)いてターターターと、169滝水(たきみづ)()ちるが(ごと)く、170一潟千里(いつしやせんり)(いきほひ)にて、171こなたに(むか)つて予定(よてい)退却(たいきやく)172鬼神(おにがみ)(あざむ)くその早業(はやわざ)173(いさ)ましかりける次第(しだい)なり』
174黒姫(くろひめ)『コレ、175富彦(とみひこ)176寅若(とらわか)(いま)()つた(とほ)り、177間違(まちがひ)()からうなア』
178富彦(とみひこ)『ヘーヘー、179間違(まちが)つて(たま)りますものか。180あなたは(つね)吾々(われわれ)()(うへ)に、181仁慈(じんじ)のお(こころ)をお(そそ)(くだ)さいまする、182(その)一念(いちねん)(さち)はひ(たま)ひて、183御分霊(ごぶんれい)(たちま)降下(かうか)(たま)ひ、184さしもの強敵(きやうてき)(むか)つて、185獅々奮迅(ししふんじん)応戦(おうせん)をやつたのも、186(まつた)くあなた(さま)御両人(ごりやうにん)神徳(しんとく)(しか)らしむる(ところ)187万々一(まんまんいち)両方(ふたかた)御霊(みたま)御守護(ごしゆご)()(とき)は、188如何(いか)吾々(われわれ)(ゆう)なりと(いへど)も、189(たちま)木端微塵(こつぱみぢん)粉砕(ふんさい)されしは勿論(もちろん)のこと、190(しか)るに(わづか)三人(さんにん)(もつ)て、191かく(まで)よく奮闘(ふんとう)し、192(てき)(きも)(さむ)からしめたるは、193形体上(けいたいじやう)(おい)ては()(かく)も、194精神上(せいしんじやう)(おい)て、195(てき)威嚇(ゐくわく)せしこと、196幾何(いくばく)なるか(はか)()られませぬ。197マアマア御喜(およろこ)(くだ)さいませ』
198黒姫(くろひめ)『それは()結構(けつこう)であつた。199(しか)し、200(たま)玉照姫(たまてるひめ)()うなつたのか』
201富彦(とみひこ)『オイ菊若(きくわか)202これからは貴様(きさま)(ばん)だ。203(しつか)りと(まを)()げるのだぞ』
204菊若(きくわか)『ハイハイ、205申上(まをしあ)げます。206いやもう(なん)のかのと()うた(ところ)で、207(むか)うはたつた(をんな)一人(ひとり)
208黒姫(くろひめ)『ナニ、209(をんな)一人(ひとり)
210菊若(きくわか)(をんな)一人(ひとり)(おも)ひきや、211四辺(あたり)物蔭(ものかげ)より()るワ()るワ、212(あたか)(あり)宿替(やどが)への(ごと)く、213ゾロゾロゾロと此方(こなた)(むか)つて()(きた)る。214三人(さんにん)丹州(たんしう)霊縛(れいばく)にかけられ、215身体(しんたい)(たちま)強直(きやうちよく)し』
216黒姫(くろひめ)(なに)217前達(まへたち)三人(さんにん)が』
218菊若(きくわか)『イエイエ、219滅相(めつさう)な、220丹州(たんしう)()(やつ)221吾々(われわれ)三人(さんにん)目蒐(めが)けて、222霊縛(れいばく)(くは)強直(きやうちよく)させようとかかつた(ところ)223流石(さすが)黒姫(くろひめ)(さま)224高山彦(たかやまひこ)(さま)御威霊(ごゐれい)(かか)らせ(たま)吾々(われわれ)三人(さんにん)如何(いかん)ともするに(よし)なく、225(てき)一生懸命(いつしやうけんめい)死力(しりよく)(つく)して()しよせ(きた)る。226吾々(われわれ)三人(さんにん)は、227アヽ面白(おもしろ)面白(おもしろ)いと、228勇気(ゆうき)百倍(ひやくばい)して、229(いど)(たたか)はむとする(をり)しも、230吾々(われわれ)三人(さんにん)(かか)(たま)うた御魂(みたま)命令(めいれい)231(なんぢ)一先(ひとま)引返(ひきかへ)し、232時機(じき)()つて捲土重来(けんどぢうらい)準備(じゆんび)をなすが得策(とくさく)なりと、233流石(さすが)神謀(しんぼう)鬼略(きりやく)()ませ(たま)黒姫(くろひめ)(さま)234高山彦(たかやまひこ)(さま)御霊(おんみたま)命令(めいれい)もだし(がた)く、235みすみす(てき)見捨(みす)一目散(いちもくさん)立帰(たちかへ)つて(さふらふ)
236()ひをはつて冷汗(ひやあせ)()く。
237黒姫(くろひめ)『コレコレ、238(わたし)馬鹿(ばか)になつて()いて()ればお(まへ)239それや(なん)という法螺(ほら)()くのだい。240みな(うそ)だらう。241一人(ひとり)二人(ふたり)木端武者(こつぱむしや)(おそ)れて一目散(いちもくさん)()(かへ)つたのだらう。242そんなお(まへ)さん(たち)下司身魂(げすみたま)(わし)霊魂(みたま)(うつ)つて(たま)るものか。243馬鹿(ばか)にしなさるな』
244寅若(とらわか)『そんなら、245あなたの()(かた)つて、246四足(よつあし)(なん)かが()いたのでせうか』
247富彦(とみひこ)『そうかも()れぬよ。248豊彦(とよひこ)(ぢぢ)()つて()ただ()いか』
249黒姫(くろひめ)『それ()なさい。250(まへ)らは豊彦(とよひこ)(うち)()つて(けつ)()はされて、251謝罪(あやま)つて()げて(かへ)つたのだらう。252エヽ仕方(しかた)のない(をとこ)だ。253はるばる高山(たかやま)さまがフサの(くに)から、254()りに()つて()れて御座(ござ)つたお(まへ)大将株(たいしやうかぶ)ぢやないか。255そらまた(なん)とした腰抜(こしぬ)けだ』
256寅若(とらわか)(なに)()つてもフサの(くに)なれば、257地理(ちり)をよく(ぞん)じて()りますが、258この自転倒島(おのころじま)地理(ちり)不案内(ふあんない)で、259(おも)うやうに戦闘(せんとう)出来(でき)ず、260さうして陽気(やうき)(ねむ)たいですから、261(おも)うやうな活動(くわつどう)も、262実際(じつさい)(こと)出来(でき)なかつたのです。263(しか)一遍(いつぺん)失敗(しつぱい)したつて、264さう()なげをしたものぢやありませぬ。265失敗(しつぱい)(ごと)経験(けいけん)(かさ)ね、266(つひ)には成功(せいこう)するものですから、267マア今度(こんど)失敗(しつぱい)結局(けつきよく)成功(せいこう)門口(かどぐち)ですなア』
268黒姫(くろひめ)『エヽ、269おきなされ。270敗軍(はいぐん)(しやう)(へい)(かた)らずという(こと)()るぢやないか。271(あま)(おほ)きな(こゑ)()らず(ぐち)(たた)くものぢや()い。272(おく)這入(はい)つて麦飯(むぎめし)なと、273ドツサリ()つて(やす)みなさい。274折角(せつかく)機嫌(きげん)よう()んで()つた(さけ)までさめて(しま)つた。275エヽ(はや)()なさらぬか』
276長煙管(ながぎせる)()れる(ほど)火鉢(ひばち)(たた)く。277三人(さんにん)(あたま)(かか)へ、278こそこそと(おく)(かげ)(かく)した。
279黒姫(くろひめ)高山(たかやま)さま、280もうお(やす)みなさいませ。281(わたし)一寸(ちよつと)綾彦(あやひこ)詮議(せんぎ)をしたい(こと)がありますからお(まへ)(そば)()られると、282ツイ()めてよう()はないと(こま)るから、283(わたし)(をんな)(こと)であり、284やあはりと(たづ)ねて()ますから、285(はや)(やす)んで(くだ)さい』
286高山彦(たかやまひこ)『ハイハイ、287邪魔(じやま)になりませう。288さやうなればお()御免(ごめん)(かうむ)りませう』
289黒姫(くろひめ)記憶(おぼ)えて()らつしやい。290貴方(あなた)こそお邪魔(じやま)になりませう。291紫姫(むらさきひめ)のお(そば)へでも()つて、292ゆつくりと夜明(よあ)かしをなさいませ』
293と、294ツンとした(かほ)をする。
295高山彦(たかやまひこ)『ハヽヽヽ、296形勢(けいせい)(すこぶ)不隠(ふおん)()つて()た。297どれどれ(かみなり)()ちぬ(うち)退却(たいきやく)しよう、298アヽ桑原(くはばら)桑原(くはばら)
299捨台詞(すてぜりふ)(のこ)し、300ノソリノソリと(おく)()く。
301黒姫(くろひめ)高山(たかやま)さまはあゝ()えても、302やつぱり可愛相(かはいさう)(ほど)正直(しやうぢき)(ひと)だ。303何処(どこ)ともなしに、304身魂(みたま)にいいとこが()るワイ』
305(かた)(ゆす)り、306(また)もや長煙管(ながぎせる)煙草(たばこ)をつぎ(なが)ら、
307綾彦(あやひこ)綾彦(あやひこ)
308()(こゑ)綾彦(あやひこ)はこの()(あらは)れ、309両手(りやうて)をつき、
310(いま)()びになりましたのは(わたくし)御座(ござ)いましたか』
311黒姫(くろひめ)『アヽ左様(さやう)ぢや左様(さやう)ぢや、312(まへ)折入(をりい)つて(たづ)ねたいと(この)(あひだ)から(おも)うて()たのぢやが、313ここへ()てから大分(だいぶ)になりますが、314一体(いつたい)(まへ)のお国許(くにもと)何処(どこ)ぢやな、315色々(いろいろ)(たれ)(たづ)ねさしても()ひなさらぬが、316大方(おほかた)何処(どこ)かで(わる)(こと)をして()げて()たのだらう。317それを(てい)よう真名井(まなゐ)さまへ(まゐ)つたなぞと、318誤魔化(ごまくわ)しとるのだらう』
319綾彦(あやひこ)『イエイエ滅相(めつさう)もない、320(うま)れてから(わる)(こと)は、321(ちり)(ほど)もやつた(おぼ)えは()りませぬ』
322黒姫(くろひめ)『そんならお(まへ)(ところ)何処(どこ)ぢや。323(しらみ)でさへも(うま)(どこ)()るのに、324滅多(めつた)(てん)から()つたのでもあるまい。325()(そこ)から()いて()たのでも()るまい。326(とう)さまや、327(かあ)さまが()るだらう。328(ところ)(おや)()()かして(くだ)さい』
329綾彦(あやひこ)『これ(ばか)りはどうぞ(ゆる)して(くだ)さいませ』
330黒姫(くろひめ)『それ()たかな。331矢張(やつぱり)(あや)しい(ひと)ぢや。332(わし)何処(どこ)までも、333()うて(わる)(こと)秘密(ひみつ)(まも)る、334(わし)(だけ)()ひなさらぬかいな』
335綾彦(あやひこ)貴方(あなた)(さま)はいつも仰有(おつしや)(とほ)り、336世界中(せかいぢう)(すみ)から(すみ)まで()()く、337竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)生宮(いきみや)ぢやありませぬか。338そんな(こと)(たづ)ねなさらないでも、339(とほ)(むかし)(なに)()御存(ごぞん)じの(はず)340煽動(おだて)(くだ)さいますな』
341黒姫(くろひめ)『ソラさうぢや。342(れい)(はう)ではお(まへ)身魂(みたま)(なん)身魂(みたま)ぢや、343(むかし)根本(こつぽん)()んな(こと)をして()つた。344また()(さき)()()ると()(こと)は、345()(わか)つて()るが、346肉体上(にくたいじやう)(こと)(はたけ)(ちが)うから、347()いた(はう)便利(べんり)がよい。348こんな(こと)(かみ)さまに勿体(もつたい)なうて、349御苦労(ごくらう)かけずともお(まへ)()いた(はう)(はや)いぢやないか。350(また)(まへ)も、351これ(だけ)(なが)らく世話(せわ)()つて()ながら、352何故(なぜ)(うま)れた(ところ)()はれぬのか』
353言葉(ことば)(かど)()て、354長煙管(ながぎせる)(たたみ)(ふた)()(たた)いた。
355綾彦(あやひこ)(なん)仰有(おつしや)つても、356これ(だけ)申上(まをしあ)げられませぬ。357どうぞあなた、358天眼通(てんがんつう)でお調(しら)(くだ)さいませ、359(わたくし)(くち)一旦(いつたん)いかなる(こと)があつても国処(くにところ)360(おや)()()うで()いと、361両親(りやうしん)にいましめられ、362(けつ)して生命(いのち)にかかる(やう)(こと)()つても(まを)しませぬと約束(やくそく)をして()以上(いじやう)は、363何処迄(どこまで)申上(まをしあ)げる(こと)出来(でき)ませぬ』
364黒姫(くろひめ)『ハヽヽヽ、365(まへ)(おや)孝行(かうかう)(ひと)ぢや。366(おや)言葉(ことば)をよく(まも)つて、367どうしてもいけぬと仰有(おつしや)るのは、368(じつ)感心(かんしん)ぢや。369人間(にんげん)はさう()くては()らぬ。370(しか)(なが)ら、371(まへ)はモ(ひと)大事(だいじ)(おや)()つて()ますか。372大方(おほかた)(わす)れたのだらう』
373綾彦(あやひこ)(わたくし)(おや)()つたら、374(とう)さまと、375(かあ)さまと二人(ふたり)より御座(ござ)いませぬ。376(その)(うへ)にま(ひと)大事(だいじ)(おや)とは、377それや(なん)(こと)御座(ござ)いますか』
378黒姫(くろひめ)『アーアー、379(まへ)()(わり)とは愚鈍(ぐどん)(ひと)ぢやな。380あれ(ほど)毎日(まいにち)日日(ひにち)381竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまのお筆先(ふでさき)()んで()つて、382まだ(わか)らぬのかいなア。383自分(じぶん)肉体(にくたい)()んで()れた(おや)(かり)(おや)ぢやぞい。384吾々(われわれ)霊魂(みたま)385肉体(にくたい)根本(こつぽん)をお(さづ)(くだ)さつた、386天地(てんち)(まこと)(おや)()(こと)を、387(まへ)()いて()るぢや()いか』
388綾彦(あやひこ)『ハイ、389それはお筆先(ふでさき)でお(かげ)をいただいて()ります』
390黒姫(くろひめ)『お(まへ)は、391(まこと)(おや)大切(だいじ)か、392肉体(にくたい)(おや)大切(たいせつ)か、393どちらが大切(たいせつ)(かんが)へてみなされ』
394綾彦(あやひこ)『それは何方(どちら)大切(たいせつ)御座(ござ)います』
395黒姫(くろひめ)何方(どちら)大切(たいせつ)(こと)(きま)つてゐるが、396(しか)(その)(なか)でも、397(おも)(かる)いが()るだらう。398(わづ)百年(ひやくねん)二百年(にひやくねん)肉体(にくたい)()んで()れた(おや)大切(だいじ)か、399幾億万年(いくおくまんねん)()れぬ身魂(みたま)生命(いのち)(あた)へて万劫末代(まんごふまつだい)(まも)つて(くだ)さる、400慈悲(じひ)(ぶか)神様(かみさま)大切(だいじ)か、401それが()きたい』
402綾彦(あやひこ)『ハイ………』
403黒姫(くろひめ)天地(てんち)根本(こつぽん)神様(かみさま)生宮(いきみや)(わし)は、404つまり大神様(おほかみさま)(かは)りぢや。405何故(なぜ)(おや)()(こと)()いて(わし)()(こと)()けぬのかい。406一寸(ちよつと)信心(しんじん)仕方(しかた)間違(まちが)うて()やせぬか』
407 かかる(ところ)紫姫(むらさきひめ)(あら)はれ(きた)り、
408紫姫(むらさきひめ)(いま)(うけたま)はりますれば、409大変(たいへん)綾彦(あやひこ)さまに、410(なに)かお(たづ)ねのやうですが、411()うぞ(わたくし)(まか)して(くだ)さいませ。412(わたくし)(をり)()て、413綾彦(あやひこ)さまに(とつく)りと(たづ)ねまして、414返事(へんじ)(いた)します』
415黒姫(くろひめ)『さよかさよか、416どうぞ貴女(あなた)417やあはりと()うて()(くだ)さい。418何分(なにぶん)(ばば)()ふことは、419()()らぬと()えますワイ、420綺麗(きれい)貴女(あなた)のお(たづ)ねなら、421綾彦(あやひこ)惜気(をしげ)なく()ひませう』
422紫姫(むらさきひめ)『ホヽヽヽ、423サア、424綾彦(あやひこ)さま、425もうお(やす)みなさいませ。426黒姫(くろひめ)さま、427()()けました、428何卒(どうぞ)御休息(ごきうそく)を』
429黒姫(くろひめ)『ハイハイ、430(はや)()(くだ)さい』
431紫姫(むらさきひめ)『さやうなら』
432 紫姫(むらさきひめ)綾彦(あやひこ)()()き、433廊下(らうか)(づた)ひに(おく)()る。
434 黒姫(くろひめ)(また)もや疳声(かんごゑ)()して、
435青彦(あをひこ)青彦(あをひこ)
436()()ててゐる。
437 青彦(あをひこ)周章(あわ)てて()()(はし)(きた)り、
438『ハイ、439(なん)御用(ごよう)御座(ござ)いましたか』
440黒姫(くろひめ)青彦(あをひこ)441(まへ)もお(せつ)高城山(たかしろやま)へやつて、442さぞ(さび)しからう。443(こころ)(うち)(わたし)もよく(さつ)して()る。444本当(ほんたう)にお()(どく)ぢや。445同情(どうじやう)(なみだ)は、446いつも(そと)(こぼ)さずに、447(うち)(なが)して()る』
448追従(つゐしやう)らしく()ふ。
449青彦(あをひこ)(なに)御用(ごよう)かと(おも)へば、450そんな(こと)御座(ござ)いますか。451イヤそんな(こと)なら、452御心配(ごしんぱい)(くだ)さいますな、453(かへつ)(わたし)気楽(きらく)(よろ)しう御座(ござ)います』
454黒姫(くろひめ)『お(まへ)折入(をりい)つて(たづ)ねたい(こと)がある。455(ほか)でも()いが、456あの綾彦(あやひこ)()(をとこ)は、457弥仙山(みせんざん)(ふもと)の、458於与岐(およぎ)(むら)豊彦(とよひこ)()(をとこ)息子(むすこ)ぢやないか』
459青彦(あをひこ)『あなた、460それが()うして(わか)りましたか』
461 黒姫(くろひめ)はしたり(がほ)にて、
462黒姫(くろひめ)『そんな(こと)(わか)らないで、463竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまの生宮(いきみや)ぢやと()はれますかいな。464(じや)(みち)矢張(やつぱり)(へび)だ。465間違(まちが)ひは()らうまいがな』
466青彦(あをひこ)『ヤア、467あなたの御明察(ごめいさつ)には恐縮(きようしゆく)(いた)しました。468それに間違(まちが)ひは()りますまい』
469黒姫(くろひめ)『さうだらう さうだらう、470流石(さすが)はお(まへ)はよう改心(かいしん)出来(でき)()る。471正直(しやうぢき)(をとこ)だ。472(とき)にお(まへ)折入(をりい)つて相談(さうだん)があるが、473()つて(くだ)さるまいかな』
474青彦(あをひこ)『これは(また)475(あらた)まつての御言葉(おことば)476(なん)なりと御遠慮(ごゑんりよ)なく仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ』
477黒姫(くろひめ)『ヤア、478有難(ありがた)有難(ありがた)い。479(まへ)(うはさ)()いて()(とほ)於与岐(およぎ)(さと)に、480(たま)といふ綺麗(きれい)(むすめ)()つて玉照姫(たまてるひめ)とかいふ、481不思議(ふしぎ)()出来(でき)たといふ(こと)ぢや。482それは()うしても()うしても、483ウラナイ(けう)()()れねば、484神界(しんかい)のお仕組(しぐみ)成就(じやうじゆ)しないから、485()(あひだ)も、486寅若(とらわか)や、487富彦(とみひこ)488菊若(きくわか)三人(さんにん)(つか)はして交渉(かうせふ)()つたが、489()うやら失敗(しつぱい)して(かへ)つたらしい、490(しか)(なが)ら、491よう(かんが)へて()れば、492(むか)うの老爺(おやぢ)(まご)()れんのも、493(ひと)つの理由(りいう)がある。494何故(なぜ)といつたら、495あの綾彦(あやひこ)夫婦(ふうふ)行衛(ゆくゑ)不明(ふめい)となり、496(ただ)一人(ひとり)(むすめ)(たま)とやらが、497年寄(としより)世話(せわ)をして()るさうだ。498そのお(たま)に、499(をとこ)()いのに()(やど)り、500(その)()(また)(めう)神力(しんりき)()つて()るので、501エライ評判(へうばん)ぢやげな。502そこで(その)()(もら)うには、503綾彦(あやひこ)夫婦(ふうふ)(もと)(かへ)してやらねば()るまい。504()しも三五教(あななひけう)連中(れんちう)が、505綾彦(あやひこ)とお(たみ)が、506(ぢい)さまの()ぢやと()(こと)探知(さとら)うものなら、507()んな手段(しゆだん)(めぐ)らしてでも、508引張(ひつぱ)()んで交換(かうくわん)玉照姫(たまてるひめ)(もら)つて(しま)ふに(ちが)()い。509さうなれば、510此方(こつち)薩張(さつぱり)511(たこ)揚壺(あげつぼ)()つた(やう)羽目(はめ)()らねばならぬ。512どうぢや、513青彦(あをひこ)514(なん)とかお(まへ)智慧(ちゑ)で、515玉照姫(たまてるひめ)此方(こつち)(もの)にする工夫(くふう)()るまいかな』
516青彦(あをひこ)『それは重大事件(ぢうだいじけん)ですなア。517よくよく(かんが)へませう。518どうぞ此処(ここ)(かぎ)()()れないやうに、519絶対(ぜつたい)秘密(ひみつ)(まも)つて(くだ)さいませ』
520黒姫(くろひめ)『よしよし、521(まへ)(わし)二人(ふたり)()りだ。522高山彦(たかやまひこ)さまにだつて、523()(こと)成就(じやうじゆ)する(まで)は、524()はぬと()つたら()はないから、525安心(あんしん)して(くだ)さい』
526青彦(あをひこ)左様(さやう)ならば充分(じゆうぶん)熟考(じゆくかう)した(うへ)527(また)コツソリと御相談(ごさうだん)(いた)しませう。528今晩(こんばん)はこれでお(やす)みなされませ』
529 青彦(あをひこ)一間(ひとま)姿(すがた)(かく)した。530(あと)黒姫(くろひめ)はニタリと(わら)ひ、
531『アーアー、532(なん)()つても青彦(あをひこ)だ。533(いま)ウラナイ(けう)(たれ)がエライと()つても、534(かれ)()した(やつ)()りはしない、535三五教(あななひけう)()しがつた(はづ)だ。536()()きものは家来(けらい)なりけりだ、537アヽどれどれ、538高山(たかやま)さまが(さび)しがつて御座(ござ)るであらう、539一寸(ちよつと)話相手(はなしあひて)になつて()げませう』
540と、541独言(ひとりご)ちつつ一間(ひとま)()る。
542大正一一・四・二八 旧四・二 東尾吉雄録)
543(昭和一〇・六・二 王仁校正)