霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 長高説(ちやうかうぜつ)〔七一六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻 篇:第1篇 南海の山 よみ:なんかいのやま
章:第4章 長高説 よみ:ちょうこうぜつ 通し章番号:716
口述日:1922(大正11)年06月10日(旧05月15日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月19日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
杢助は魔我彦と竹彦をひそかに聖地に連れ帰った後、表戸を閉ざして聖地の様子を窺っていた。また玉治別、若彦、国依別の三人も密かに聖地に戻って高姫一派の陰謀を探っていた。
高姫はそうとは知らず、聖地の役員信者たちに、緊急事態が突発したと触れ回って、錦の宮の八尋殿に集めた。
高姫は、集まった信者一同を前にいかめしく祭典を執り行うと、得意げに壇上に登り、教主言依別命がお節(玉能姫)や杢助を重用することに対して非難を始めた。
座中から加米彦が立って高姫に異議を唱え、秋山彦の館で沓島の鍵を盗んで如意宝珠の玉を呑み込んだ件をたしなめた。
高姫が加米彦に反論すると、加米彦は高姫に異議のある者は起立するように、と呼びかけた。すると満場の者が起立した。
高姫は、自分こそ変性男子の系統で日の出神の生き宮であるから、教祖の資格がある者だとますますいきり立つ。佐田彦と波留彦は立ち上がり、日の出神なら玉の隠し場所を透視せよ、と高姫に挑戦する。
高姫は壇上で、神に理屈を言う者は改心ができていない、魔我彦、竹彦の両宣伝使こそ改心ができた立派な宣伝しだ、とわめきたてる。そこへ杢助が魔我彦と竹彦を連れて現れる。
杢助は、魔我彦と竹彦の説には感服した、と高姫に告げる。高姫はてっきり杢助が自分の見方に付いたと思って居丈高になる。
しかし魔我彦と竹彦は、高姫の案に相違して、高姫の悪事の企みを壇上でしゃべってしまう。杢助に自分の企みを一同の前でさらされて、高姫は壇上から駆け下り、一目散に館に走り帰ってしまった。
そこに言依別命が現れて、一同に会釈すると神前に天津祝詞を唱え、皆は解散することになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:57頁 八幡書店版:第4輯 514頁 修補版: 校定版:58頁 普及版:25頁 初版: ページ備考:
001 杢助(もくすけ)魔我彦(まがひこ)002竹彦(たけひこ)二人(ふたり)(とも)(ひそか)聖地(せいち)(かへ)り、003表戸(おもてど)(とざ)(しば)らく外出(ぐわいしゆつ)せず、004聖地(せいち)様子(やうす)(うかが)つて()た。005玉治別(たまはるわけ)006若彦(わかひこ)007国依別(くによりわけ)(さん)宣伝使(せんでんし)(ひそか)聖地(せいち)(かへ)り、008国依別(くによりわけ)(やかた)(ふか)(しの)び、009高姫(たかひめ)一派(いつぱ)陰謀(いんぼう)偵察(ていさつ)しつつあつた。010(かみ)ならぬ()高姫(たかひめ)(この)(こと)(ゆめ)にも()らず、011(おに)()()洗濯(せんたく)するは(いま)(この)(とき)と、012(ひそ)かに聖地(せいち)役員(やくゐん)信徒(しんと)(たく)布令(ふれ)(まは)し、013緊急(きんきふ)事件(じけん)突発(とつぱつ)せりと()()んで、014(にしき)(みや)八尋殿(やひろどの)(あつ)めた。
015 (この)()(かぜ)(はげ)しく急雨(きふう)(ぼん)(くつが)へす(ごと)く、016雷鳴(かみなり)さへも(てん)東西南北(とうざいなんぼく)巻舌(まきじた)使(つか)つてゴロツキ()した。017()かる(はげ)しき風雨雷電(ふううらいでん)にも(くつ)せず、018緊急事件(きんきふじけん)()いて(ぢい)(ばば)(ねこ)杓子(しやくし)も、019脛腰(すねこし)()(もの)満場(まんぢやう)立錐(りつすゐ)余地(よち)なきまでに()(あつ)まつた。020(この)(とき)高姫(たかひめ)烏帽子(えぼし)021狩衣(かりぎぬ)(いか)めしく神殿(しんでん)(すす)み、022言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)023(けつ)でも(くら)へと()鼻息(はないき)にて斎主(さいしゆ)(つと)め、024(かた)(ごと)祭典(さいてん)()ませ、025アトラスの(やう)曼陀羅(まんだら)(つら)高座(かうざ)(うへ)(さら)し、026満座(まんざ)一同(いちどう)(むか)ひ、027(おに)(くび)(へら)()()つた(やう)得意気(とくいげ)壇上(だんじやう)(かた)(ゆす)り、028(あご)上下(うへした)にしやくり(なが)ら、
029高姫(たかひめ)(みな)さま、030今日(けふ)()くの(ごと)結構(けつこう)なお日和(ひより)にも(かかは)らず、031(のこ)らず御参集(ごさんしふ)(くだ)さいまして、032()出神(でのかみ)生宮(いきみや)満足(まんぞく)(ぞん)じます。033言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)先日(せんじつ)より(すこ)しく病気(びやうき)(てい)にて()(こも)られ、034(また)杢助(もくすけ)総務殿(そうむどの)(いづ)れへかお()でになり、035(この)三五教(あななひけう)本山(ほんざん)(くび)()人間(にんげん)(やう)だ、036二進(につち)三進(さつち)(うご)きが()れないと、037大勢(おほぜい)(さま)(なか)には御心配(ごしんぱい)(あそ)ばしたお(かた)があつた(やう)ですが、038()出神(でのかみ)御神徳(ごしんとく)(えら)いものです。039教主(けうしゆ)出勤(しゆつきん)せなくても、040杢助(もくすけ)(その)()幹部(かんぶ)宣伝使(せんでんし)()なくても、041御神力(ごしんりき)()つて、042()くの(ごと)一人(ひとり)(のこ)らず参集(さんしふ)して(くだ)さつたと()ふのは、043(いま)天道様(てんだうさま)(この)高姫(たかひめ)()(たま)はざる(しるし)御座(ござ)いませう。044杢助(もくすけ)総務(そうむ)召集(せうしふ)でも言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)召集(せうしふ)でも、045(この)八尋殿(やひろどの)建設(けんせつ)以来(いらい)046(これ)だけ立錐(りつすゐ)余地(よち)なき(まで)(あつ)まりになつた(こと)御座(ござ)いませぬ。047それだから神力(しんりき)(つよ)いか、048学力(がくりき)(つよ)いか、049神力(しんりき)学力(がくりき)との力競(ちからくら)べを(いた)さうと神様(かみさま)仰有(おつしや)るのです。050(ろん)より証拠(しようこ)051実地(じつち)()御改心(ごかいしん)なさるが一等(いつとう)です。052(とき)緊急事件(きんきふじけん)(まを)しまするのは(ほか)でも御座(ござ)らぬ。053我々(われわれ)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)054(しか)変性男子(へんじやうなんし)系統(ひつぽう)肉体(にくたい)055(およ)錚々(さうさう)たる幹部(かんぶ)御連中(ごれんちう)差措(さしお)き、056たか()れたお(せつ)()(あが)りの玉能姫(たまのひめ)や、057杢助(もくすけ)(むすめ)(はつ)(ごと)(もの)に、058ハイカラの教主(けうしゆ)大切(たいせつ)なる御神業(ごしんげふ)をソツと命令(めいれい)し、059吾々(われわれ)(はじ)幹部(かんぶ)御歴々(おれきれき)にスツパヌケを()はすと()(こと)は、060如何(いか)御神業(ごしんげふ)とは()へ、061吾々(われわれ)一同(いちどう)侮辱(ぶじよく)したる仕打(しう)ちでは御座(ござ)りますまいか。062幹部(かんぶ)役員(やくゐん)(まを)すも(さら)なり此処(ここ)にお(あつ)まりの方々(かたがた)(いづ)れも熱心(ねつしん)なる三五教(あななひけう)信者(しんじや)(さま)(ばか)りで御座(ござ)りませう、063神様(かみさま)のお仕組(しぐみ)御用(ごよう)各々(めいめい)(いた)()いばつかりで、064地位(ちゐ)財産(ざいさん)()てて此処(ここ)()(なが)ら、065(わけ)(わか)らぬ杢助(もくすけ)一派(いつぱ)(もの)蹂躙(じうりん)されて、066(ゆび)(くは)へてアフンとして()()ると()(こと)がありませうか。067()見渡(みわた)(ところ)068大分(だいぶん)立派(りつぱ)(をとこ)さまも()られますが、069貴方等(あなたがた)睾丸(きんたま)()げて()られますか。070(じつ)心外(しんぐわい)千万(せんばん)ではありますまいかな』
071 加米彦(かめひこ)満座(まんざ)(なか)よりヌツと()(あが)り、
072高姫(たかひめ)さまに質問(しつもん)があります、073何事(なにごと)神界(しんかい)御経綸(ごけいりん)我々(われわれ)人間(にんげん)容喙(ようかい)すべき(ところ)ではありますまい。074如何(いか)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)ぢやと仰有(おつしや)つても、075神様(かみさま)高姫(たかひめ)さまの命令(めいれい)服従(ふくじゆう)せよとは、076何処(どこ)筆先(ふでさき)にも()いてはありませぬ。077()出神(でのかみ)()ばはりは()めて(もら)()い。078貴女(あなた)こそ聖地(せいち)(およ)神界(しんかい)御経綸(ごけいりん)混乱(こんらん)顛覆(てんぷく)させる魔神(まがみ)容器(いれもの)でせう』
079 高姫(たかひめ)高座(かうざ)より地団駄(ぢだんだ)()み、080()()りあげ、
081(たれ)かと(おも)へば(おまへ)秋山彦(あきやまひこ)門番(もんばん)加米彦(かめひこ)ではないか。082世界(せかい)大門開(おほもんびら)きを(いた)(この)高姫(たかひめ)(まを)(こと)083たか()れた一軒(いつけん)(うち)門番(もんばん)容喙(ようかい)すべき(かぎ)りでない。084すつ()つで()なされ』
085一口(ひとくち)(たた)きつけ(やう)とする。086加米彦(かめひこ)(まけ)()になり、087高姫(たかひめ)()てる壇上(だんじやう)(あら)はれて一同(いちどう)見渡(みわた)し、
088(みな)さま、089(わたくし)(いま)高姫(たかひめ)さまの(あふ)せられた(ごと)く、090秋山彦(あきやまひこ)門番(もんばん)(いた)して()りました加米彦(かめひこ)御座(ござ)いますが、091(しか)(なが)高姫(たかひめ)さまも大門(おほもん)番人(ばんにん)ぢやと只今(ただいま)自白(じはく)されたではありませぬか。092門番(もんばん)分際(ぶんざい)として大奥(おほおく)(こと)如何(どう)して(わか)りませう。093それに()いても(わたくし)秋山彦(あきやまひこ)(やかた)094(すなは)神素盞嗚大神(かむすさのをのおほかみ)095国武彦命(くにたけひこのみこと)(さま)御隠(おんかく)(やかた)門番(もんばん)(いた)して()つた(もの)096(その)(とき)冠島(かむりじま)097沓島(くつじま)(かぎ)応答(こたへ)なく(ぬす)んで()つて(たま)()()んだ(ひと)があると()(こと)は、098(わたくし)(いま)(まを)()げずとも、099(みな)さんは(すで)(すで)御承知(ごしようち)(こと)(ぞん)じます。100斯様(かやう)なる権謀術数(けんぼうじゆつすう)(いた)らざるなき生宮(いきみや)さまの言葉(ことば)が、101如何(どう)して真剣(しんけん)真面目(まじめ)(しん)ぜられませうか。102(みな)(さま)冷静(れいせい)によく御考(おかんが)へを(ねが)ひます』
103 座中(ざちう)より『(もつと)(もつと)も』『賛成(さんせい)々々(さんせい)』『ヒヤヒヤ』『ノウノウ』の(こゑ)交々(こもごも)(おこ)つて()る。
104 高姫(たかひめ)烈火(れつくわ)(ごと)く、
105高姫(たかひめ)(いま)「ノウノウ」と()つたお(かた)(この)()出神(でのかみ)(まへ)()()(くだ)さい。106(わが)(たう)()(かんが)へます。107サア(はや)此処(ここ)へお()しなされ』
108加米彦(かめひこ)(おそ)らく一人(ひとり)もありますまい、109(わたくし)(せつ)(たい)し「ノウノウ」と()つたお(かた)賛成(さんせい)意味(いみ)間違(まちが)つて()はれたのでせう。110(みな)さま、111失礼(しつれい)(まを)(ぶん)御座(ござ)いますが、112(なか)には老人(らうじん)子供衆(こどもしう)()られますから、113一寸(ちよつと)説明(せつめい)(いた)します。114「ヒヤヒヤ」と()へば(わたくし)(せつ)賛成(さんせい)したと()(こと)115「ノウノウ」と()へば賛成(さんせい)せないと()(こと)です。116如何(どう)です。117()一度(いちど)()(なほ)して(もら)ひませう。118さうして不賛成(ふさんせい)のお(かた)は「ノウノウ」と()つて(くだ)さい』
119 (ぢやう)四隅(しすみ)よりは『ヒヤヒヤ』の(こゑ)(ばか)りである。120殊更(ことさら)(おほ)きな(こゑ)で『ノウノウ、121(しか)高姫(たかひめ)(せつ)にはノウノウだ』と()(くは)へた。122高姫(たかひめ)口角(こうかく)(あわ)()(なが)ら、
123(みな)さま、124(いま)となつて(わか)らぬと()うても(あんま)りぢやありませぬか、125大切(たいせつ)なるお(たから)(かく)されて、126よう平気(へいき)()られますな。127第一(だいいち)言依別(ことよりわけ)のドハイカラの教主(けうしゆ)は、128杢助(もくすけ)(やう)(やつ)にチヨロまかされ、129系統(ひつぽう)生宮(いきみや)高姫(たかひめ)疎外(そぐわい)し、130さうして(その)(たから)をば何処(どこ)かへ(かく)して仕舞(しま)つた。131(みな)さまはそんな章魚(たこ)揚壺(あげつぼ)()はされた(やう)()()(なが)ら、132平気(へいき)御座(ござ)るとは無神経(むしんけい)にも(ほど)があるぢやありませぬか。133何程(なにほど)言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)(えら)くても、134杢助(もくすけ)(ちから)(つよ)くても、135神界(しんかい)(こと)(がく)智慧(ちゑ)(わか)りますか。136(むかし)からの根本(こつぽん)因縁(いんねん)137大先祖(おほせんぞ)如何(いか)なる(こと)(いた)して()つたか、138如何(いか)なる因縁(いんねん)(この)()(うま)れて()たか、139()出神(でのかみ)(まこと)のお活動(はたらき)如何(どん)なものか、140竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)御正体(ごしやうたい)如何(どう)かと()明瞭(めいれう)(こた)へが出来(でき)ますか。141モウ(これ)からは(にしき)(みや)(はじ)(この)八尋殿(やひろどの)は、142(およ)ばず(なが)(この)高姫(たかひめ)総監(そうかん)(いた)します。143玉能姫(たまのひめ)初稚姫(はつわかひめ)(をんな)(えら)んで、144大切(たいせつ)御用(ごよう)をさせると()(わけ)(わか)からぬ教主(けうしゆ)に、145随喜渇仰(ずゐきかつかう)して()方々(かたがた)()()れませぬ。146チツと(みな)さん、147(みみ)(あな)掃除(さうぢ)して()出神(でのかみ)託宣(たくせん)()き、148活眼(くわつがん)(ひら)いて実地(じつち)(おこな)ひをよくお調(しら)べなされ。149根本(こつぽん)(かなめ)(つか)んだ()出神(でのかみ)生宮(いきみや)差措(さしお)いて、150(えだ)(かみ)(うつ)つた肉体(にくたい)(なに)(わか)りますか。151ここは(ひと)つ……(たれ)(こと)でも()い、152(みな)(まへ)さん()一身上(いつしんじやう)(くわん)する大問題(だいもんだい)153(いや)国家(こくか)大問題(だいもんだい)です』
154加米彦(かめひこ)只今(ただいま)高姫(たかひめ)さまのお言葉(ことば)()いて異議(いぎ)のある(かた)起立(きりつ)(ねが)ひます』
155 一同(いちどう)(のこ)らず起立(きりつ)し『異議(いぎ)あり異議(いぎ)あり』と(さけ)んだ。
156加米彦(かめひこ)(みな)さまの御精神(ごせいしん)(わか)りました。157(わたくし)(まを)した(こと)御賛成(ごさんせい)のお(かた)何卒(どうぞ)()一度(いちど)起立(きりつ)(ねが)ひます』
158 高姫(たかひめ)(はやぶさ)(ごと)()(みは)り、159各人(かくじん)行動(かうどう)監視(かんし)して()る。160壇下(だんか)信者(しんじや)高姫(たかひめ)(かほ)(にら)まれ、161起立(きりつ)もせず(すわ)りもせず、162中腰(ちうごし)()るものも沢山(たくさん)あつた。
163加米彦(かめひこ)(みな)さまに(うかが)ひますが、164教主(けうしゆ)神界(しんかい)御命令(ごめいれい)()つて、165玉能姫(たまのひめ)さま、166初稚姫(はつわかひめ)さまに御用(ごよう)(あふ)()けられたのが(わる)いとすれば、167まだまだ横暴(わうばう)(きは)まる(わる)(こと)此処(ここ)(ひと)つある(やう)(おも)ひます』
168 聴衆(ちやうしう)(なか)より『()()る、169沢山(たくさん)にある』と呶鳴(どな)(もの)がある。
170加米彦(かめひこ)『その(しよく)(あら)ざる()(もつ)て、171神勅(しんちよく)(うかが)はず、172教主(けうしゆ)承諾(しようだく)()ず、173部下(ぶか)役員(やくゐん)任免黜陟(にんめんちゆつちよく)すると()(こと)は、174(すこ)しく横暴(わうばう)ではありますまいか。175黒姫(くろひめ)(さま)176鷹依姫(たかよりひめ)(さま)177竜国別(たつくにわけ)(さま)178テーリスタン、179カーリンスを聖地(せいち)より追出(おひだ)したのは、180(はた)して何人(なんぴと)所為(しよゐ)だと(おも)ひますか』
181 (この)(とき)高姫(たかひめ)(かた)(ななめ)(そび)やかし(なが)ら、
182高姫(たかひめ)加米彦(かめひこ)183そりや(なに)()ひなさる。184系統(ひつぽう)生宮(いきみや)185()出神(でのかみ)命令(めいれい)をなさつて、186黒姫(くろひめ)以下(いか)海外(かいぐわい)諸国(しよこく)(たま)(さが)しにお()(あそ)ばしたのだ。187何程(なにほど)言依別(ことよりわけ)初稚姫(はつわかひめ)(えら)いと()つても、188()出神(でのかみ)には(かな)ひますまい。189(がく)智慧(ちゑ)(さだ)めた規則(きそく)(なに)になるか。190そんな屁理屈(へりくつ)神界(しんかい)には(とほ)りませぬぞや』
191加米彦(かめひこ)『これ高姫(たかひめ)さま、192(まへ)さまは(ふた)()には()出神(でのかみ)だと仰有(おつしや)るが、193そんな立派(りつぱ)神様(かみさま)なら何故(なぜ)宝玉(ほうぎよく)(かく)されて、194それを()らずに()りましたか。195それの(わか)らぬ(やう)()出神(でのかみ)なら我々(われわれ)信頼(しんらい)する()けの価値(かち)がありませぬ』
196 一同(いちどう)は『ヒヤヒヤ』と(さけ)ぶ。197(なか)には『加米彦(かめひこ)さま、198(しつか)(たの)みます』と弥次(やじ)(もの)もあつた。
199高姫(たかひめ)(たれ)(なん)()つても()出神(でのかみ)間違(まちが)ひはない。200そんな(ちひ)さい(こと)齷齪(あくせく)して()(やう)()出神(でのかみ)なれば、201如何(どう)して(この)三千世界(さんぜんせかい)御用(ごよう)(つと)まりますか。202(もの)(わか)らぬにも(ほど)がある。203仮令(たとへ)(この)高姫(たかひめ)一人(ひとり)になつたとて(この)(こと)仕遂(しと)げねば()きませぬぞ』
204加米彦(かめひこ)高姫(たかひめ)さま、205一人(ひとり)になつてもと(いま)()はれましたな。206(この)(とほ)沢山(たくさん)方々(かたがた)()えて()つても、207(ただ)一人(ひとり)貴女(あなた)(せつ)賛成(さんせい)する(もの)()いのを()れば、208(すで)(すで)一人(ひとり)になつて()るのではありませぬか』
209 (ぢやう)四隅(よすみ)より『妙々(めうめう)』『賛成(さんせい)々々(さんせい)』『しつかり(たの)む』『孤城落日(こじやうらくじつ)(とう)弥次(やじ)(ごゑ)(きこ)えて()た。
210高姫(たかひめ)盲目(めくら)千人(せんにん)211目明(めあき)一人(ひとり)()(なか)とはよくも()つた(もの)だ。212神様(かみさま)御心中(ごしんちう)をお(さつ)(まを)す。213あゝあ、214()んな(わか)らぬ身魂(みたま)(くも)つた人民(じんみん)(ばか)りを、215()(くに)216(そこ)(くに)(くる)しみから(たす)けてやらうと思召(おぼしめ)大神様(おほかみさま)や、217()出神(でのかみ)(さま)広大無辺(くわうだいむへん)のお(こころ)おいとしい』
218(なみだ)(ぬぐ)ふ。
219加米彦(かめひこ)高姫(たかひめ)さま、220貴女(あなた)誠心(まごころ)我々(われわれ)(みと)めて()りますが、221(しか)(なが)根本的(こんぽんてき)大誤解(だいごかい)があるのを我々(われわれ)遺憾(ゐかん)(ぞん)じます。222貴女(あなた)肉体(にくたい)変性男子(へんじやうなんし)系統(ひつぽう)だから曲津神(まがつかみ)抱込(だきこ)んで、223国治立大神(くにはるたちのおほかみ)のおでましを妨害(ばうがい)し、224(ふたた)悪魔(あくま)世界(せかい)にしやうとして()るのですから、225ちつとは(かへり)みなさつたが(よろ)しからう、226我々(われわれ)(やう)肉体(にくたい)(うつ)つた(ところ)悪魔(あくま)目的(もくてき)(たつ)しない。227()つても()れぬ系統(ひつぽう)肉体(にくたい)応用(おうよう)して()出神(でのかみ)だと誤魔化(ごまくわ)すのですから御用心(ごようじん)なさらぬと、228(つひ)には貴女(あなた)()破滅(はめつ)()ふに(およ)ばず、229大神様(おほかみさま)御経綸(ごけいりん)妨害(ばうがい)天下(てんか)大害毒(だいがいどく)(なが)(やう)になりますから、230此処(ここ)(ひと)冷静(れいせい)にお(かんが)へを(ねが)ひたい。231()ると(さは)ると幹部(かんぶ)(はじ)数多(あまた)信者(しんじや)は、232(この)(こと)(ばか)りに(あたま)(なや)めて()りますが、233(しか)貴女(あなた)変性男子(へんじやうなんし)系統(ひつぽう)でもあり、234()つても()れぬお(かた)ぢやと()ふので(みんな)遠慮(ゑんりよ)して()るのです。235(この)加米彦(かめひこ)なればこそ、236(しよく)()して()かる苦言(くげん)(まを)()げるのです。237(けつ)して貴女(あなた)排斥(はいせき)しようとか、238()(もの)にしようとの(わる)(こころ)(すこ)しもありませぬ。239第一(だいいち)貴女(あなた)のお()(うへ)(あん)じ、240大神様(おほかみさま)御経綸(ごけいりん)完全(くわんぜん)成就(じやうじゆ)して(いただ)き、241世界(せかい)人民(じんみん)もミロクの神政(しんせい)謳歌(おうか)し、242一時(いちじ)(はや)(まつ)()をつくり()()いとの熱心(ねつしん)から御忠告(ごちうこく)(まを)()げるのです。243何卒(どうぞ)よくお(かんが)へを(ねが)ひます』
244高姫(たかひめ)秋山彦(あきやまひこ)門番(もんばん)245加米彦(かめひこ)246そりや(なに)()ふか。247ヤツとの(こと)宣伝使(せんでんし)末席(はしくれ)(くは)へられたと(おも)つて、248ようツベコベと()んな屁理屈(へりくつ)()へたものだ。249系統(ひつぽう)()()んで目的(もくてき)()てると()(こと)は、250それは言依別命(ことよりわけのみこと)(こと)だ。251(この)高姫(たかひめ)正真正銘(しやうしんしやうめい)変性男子(へんじやうなんし)よりも(はや)神様(かみさま)御降臨(ごかうりん)252()はば変性男子(へんじやうなんし)よりも高姫(たかひめ)(はう)先輩(せんぱい)()つても異論(いろん)はありますまい。253打割(うちわ)つて()へば、254変性男子(へんじやうなんし)よりも(この)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)教祖(けうそ)とならねばならぬ(もの)だ。255変性男子(へんじやうなんし)肉体(にくたい)最早(もはや)昇天(しようてん)されたのだから、256(あと)高姫(たかひめ)教祖(けうそ)御用(ごよう)をするのが神界(しんかい)経綸上(けいりんじやう)当然(たうぜん)帰結(きけつ)であります。257(しか)(なが)一歩(いつぽ)(ゆづ)つて変性女子(へんじやうによし)言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)にしてやつて()いてあるのは、258(みんな)(この)高姫(たかひめ)(だま)つて()るからだ。259(しか)最早(もはや)()うなつては勘忍袋(かんにんぶくろ)()がきれて()た。260()出神(でのかみ)加米彦(かめひこ)宣伝使(せんでんし)今日(けふ)(かぎ)免職(めんしよく)させ、261杢助(もくすけ)総務役(そうむやく)()き、262言依別命(ことよりわけのみこと)放逐(はうちく)し、263玉治別(たまはるわけ)264国依別(くによりわけ)没分暁漢(わからずや)今日(けふ)(かぎ)免職(めんしよく)させるから、265今後(こんご)ノソノソ(かへ)つて()ても(みな)さまは相手(あひて)になつてはなりませぬぞ』
266加米彦(かめひこ)『アハヽヽヽ、267何程(なにほど)高姫(たかひめ)さまが地団駄(ぢだんだ)()んで呶鳴(どな)らつしやつても、268(すこ)しも我々(われわれ)(おい)ては痛痒(つうよう)(かん)じませぬ。269(まへ)任命(にんめい)されたのではない。270言依別神(ことよりわけのかみ)(さま)(にん)ぜられたのだから、271()らぬ御心配(ごしんぱい)をして(くだ)さいますな』
272高姫(たかひめ)『お前等(まへら)()つた(こと)ぢや()い。273善一筋(ぜんひとすぢ)(まこと)正直(しやうぢき)()(とほ)(わたし)仕込(しこ)んだ魔我彦(まがひこ)274竹彦(たけひこ)両人(りやうにん)こそ、275本当(ほんたう)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)だ。276(これ)から(たれ)(なん)()つても魔我彦(まがひこ)総務(そうむ)にし、277竹彦(たけひこ)副総務(ふくそうむ)(かみ)(いた)すから左様(さやう)心得(こころえ)なされ。278(いや)なお(かた)退()いて(くだ)され。279(この)(にしき)(みや)高姫(たかひめ)(たれ)(なん)()つても総監(そうかん)(いた)すのだから』
280 (この)(とき)佐田彦(さだひこ)281波留彦(はるひこ)両人(りやうにん)壇上(だんじやう)駆上(かけあが)り、
282佐田彦(さだひこ)吾々(われわれ)言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)より(ある)特別(とくべつ)使命(しめい)()び、283御神宝(ごしんぱう)御用(ごよう)(つと)めた(もの)であります。284(なん)()つても高姫(たかひめ)さまは(その)(かく)場所(ばしよ)(わか)らなくては駄目(だめ)ですよ。285大勢(おほぜい)(もの)如何(どう)しても貴女(あなた)畏服(ゐふく)するのは、286貴方(あなた)天眼力(てんがんりき)(たま)所在(ありか)()(あて)なくては()出神(でのかみ)(とほ)りませぬ』
287 高姫(たかひめ)()(いか)らせ、
288高姫(たかひめ)『エヽ、289(また)しても門掃(かどはき)成上(なりあが)りがツベコベと(なに)()ふのだ。290(たま)所在(ありか)(わか)らぬ(やう)(こと)で、291()んな啖呵(たんか)がきれますか。292屹度(きつと)時節(じせつ)()たなれば(あらは)して()せて()げよう』
293佐田彦(さだひこ)()出神(でのかみ)時節(じせつ)には(かな)ひませぬかな』
294波留彦(はるひこ)吾々(われわれ)(こころ)(うち)にチヤンと仕舞(しま)()んであるのだが、295常平生(つねへいぜい)から(ひと)(こころ)()()くと仰有(おつしや)()出神(でのかみ)さまに、296(この)(むね)(なか)一寸(ちよつと)透視(とうし)して(もら)ひませうか』
297(えり)両方(りやうはう)()け、298胸板(むないた)()して(やや)反身(そりみ)になり、299(にぎ)(こぶし)(かた)めてウンウンと(なぐ)つて()せた。
300高姫(たかひめ)『ツベコベと(かみ)(むか)つて理屈(りくつ)()(あひだ)駄目(だめ)だ。301(たれ)(なん)()つても魔我彦(まがひこ)302竹彦(たけひこ)(ぐらゐ)立派(りつぱ)(もの)はありませぬワイ。303(わたし)()ふことが()()はぬ(ひと)はトツトと(しり)からげて(かへ)つて(くだ)さい。304筆先(ふでさき)(この)大本(おほもと)大勢(おほぜい)()らぬ。305(まこと)(もの)三人(さんにん)さへあれば立派(りつぱ)御用(ごよう)(つと)めあがると、306変性男子(へんじやうなんし)のお(ふで)にチヤンと()()る。307(いま)立替(たてかへ)立直(たてなほ)しの時期(じき)ぢや、308サアサア(はや)各自(めいめい)覚悟(しがく)()さいませ。309此処(ここ)大勢(おほぜい)()りませぬ。310大勢(おほぜい)あるとゴテついて、311肝腎(かんじん)御用(ごよう)邪魔(じやま)になる。312()出神(でのかみ)生宮(いきみや)天晴(あつぱ)神政(しんせい)成就(じやうじゆ)さして()せるから、313(その)(とき)には(また)(あつ)まつて御座(ござ)れ。314(かみ)(わが)()315他人(ひと)()(へだ)ては(いた)さぬから、316(その)(とき)になつたら、317高姫(たかひめ)(さま)(はじ)魔我彦(まがひこ)318竹彦(たけひこ)宣伝使(せんでんし)319エライ取違(とりちが)ひを(いた)して()りましたから、320何卒(どうぞ)御勘弁(ごかんべん)(くだ)さりませ」と(さか)トンボリになつてお(わび)()なされ。321気好(きよ)(ゆる)して()げるから、322(いま)御神業(ごしんげふ)邪魔(じやま)になるからトツトと(かへ)つて(くだ)され。323(かへ)るのが(いや)なら高姫(たかひめ)()(こと)()いて、324改心(かいしん)をなさるが()からう』
325 ()かる(ところ)杢助(もくすけ)魔我彦(まがひこ)326竹彦(たけひこ)両人(りやうにん)(したが)へ、327ノソリノソリと(ひと)()けてやつて()た。328群集(ぐんしふ)三人(さんにん)姿(すがた)()(おも)はず雨霰(あめあられ)拍手(はくしゆ)した。329杢助(もくすけ)一行(いつかう)一同(いちどう)目礼(もくれい)(なが)高座(かうざ)(のぼ)り、
330杢助(もくすけ)『アヽ(これ)(これ)高姫(たかひめ)(さま)331御演説(ごえんぜつ)御苦労(ごくらう)御座(ござ)いました。332(さぞ)(つか)れでせう。333貴女(あなた)御信任(ごしんにん)(あつ)魔我彦(まがひこ)334竹彦(たけひこ)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)()えました。335(これ)から貴女(あなた)(かは)つて演説(えんぜつ)なさるさうです。336(わたし)大変(たいへん)両人(りやうにん)さんのお(せつ)には感服(かんぷく)(いた)しました』
337 高姫(たかひめ)百万(ひやくまん)援軍(ゑんぐん)()たる(ごと)得意面(とくいづら)(さら)し、338(かた)(そび)やかし(やや)仰向(あふむ)(なが)ら、
339高姫(たかひめ)杢助殿(もくすけどの)340アヽそれは御苦労(ごくらう)であつた。341よう其処(そこ)(まで)改心(かいしん)出来(でき)結構(けつこう)だ。342(これ)から何事(なにごと)高姫(たかひめ)(まを)(こと)()きなさるか、343イヤ改心(かいしん)をなさるか』
344杢助(もくすけ)改心(かいしん)徹底(とことん)(まで)いつたものは、345最早(もはや)改心(かいしん)する余地(よち)がありませぬ。346貴女(あなた)(やう)改心(かいしん)から後戻(あともど)りをして慢心(まんしん)出来(でき)ると、347(また)改心(かいしん)する機会(きくわい)がありまするが、348吾々(われわれ)(ごと)(もの)は、349融通(ゆうづう)()かぬ(こま)つた(もの)です。350貴女(あなた)(やう)慢心(まんしん)しては改心(かいしん)し、351改心(かいしん)しては慢心(まんしん)し、352慢心(まんしん)改心(かいしん)353改心(かいしん)慢心(まんしん)自由自在(じいうじざい)芸当(げいたう)は、354到底(たうてい)吾々(われわれ)(やう)朴訥(ぼくとつ)人間(にんげん)では不可能事(ふかのうじ)です、355アツハヽヽヽ』
356豪傑(がうけつ)(わら)ひをする。357群集(ぐんしふ)()()つて(わら)ふ。
358高姫(たかひめ)『アヽ魔我彦(まがひこ)359竹彦(たけひこ)360()(ところ)(かへ)つて御座(ござ)つた。361(みな)さまに合点(がつてん)()(やう)此処(ここ)改心(かいしん)(はなし)()かして(くだ)さい。362さうすれば(この)高姫(たかひめ)日頃(ひごろ)教育(けういく)した(ちから)(あら)はるるなり、363(まへ)さまの善一筋(ぜんひとすぢ)一分一厘(いちぶいちりん)(くる)はぬ日本魂(やまとだましひ)生粋(きつすゐ)証明(しようめい)されるのだから、364サア(はや)うチヤツと(みな)さまに大々的(だいだいてき)訓戒(くんかい)(あた)へて(くだ)さい。365これこれ加米彦(かめひこ)366佐田彦(さだひこ)367波留彦(はるひこ)368(あんま)沢山(たくさん)高座(かうざ)()ると窮屈(きうくつ)でいかぬ。369(しば)らく(した)へおりて、370魔我彦(まがひこ)や、371竹彦(たけひこ)大宣伝使(だいせんでんし)御説教(ごせつけう)()くのだよ。372さうすれば、373チツトはお(まへ)さまの()()れて()からう』
374得意(とくい)満面(まんめん)(あふ)(かた)(ゆす)りイソイソといきつ()る。375魔我彦(まがひこ)大勢(おほぜい)(むか)ひ、
376(みな)さま、377(わたくし)高姫(たかひめ)(さま)神様(かみさま)御熱心(ごねつしん)なる御態度(ごたいど)(こころ)(そこ)から感銘(かんめい)(いた)しまして、378如何(どう)かして高姫(たかひめ)(さま)思惑(おもわく)()てさし()いと(おも)ひ、379御心中(ごしんちう)忖度(そんたく)(いた)しまして紀伊(きい)(くに)(まか)()で、380(じつ)(ところ)若彦(わかひこ)(うま)(たぶら)かし聖地(せいち)()(かへ)り、381杢助(もくすけ)さま、382言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)(ある)難題(なんだい)()りつけ放逐(はうちく)しやうと(たく)みつつ、383大台ケ原(おほだいがはら)峰続(みねつづ)青山峠(あをやまたうげ)までスタスタやつて()つた(ところ)384玉治別(たまはるわけ)385国依別(くによりわけ)両宣伝使(りやうせんでんし)(たに)風景(ふうけい)(なが)めて、386休息(きうそく)して()られました。387そこで高姫(たかひめ)(さま)一番(いちばん)邪魔(じやま)になるのは言依別命(ことよりわけのみこと)388それについで(みこと)信任(しんにん)(あつ)玉治別(たまはるわけ)389国依別(くによりわけ)両人(りやうにん)を、390(なん)とかして(はうむ)()らうと(おも)(すす)んで()つた(ところ)391(をり)よくも()暮前(くれまへ)両人(りやうにん)出会(でつくわ)し、392二人(ふたり)(すき)(うかが)千仭(せんじん)谷間(たにま)突落(つきおと)し、393高姫(たかひめ)(さま)邪魔(じやま)ものを(のぞ)かむものと(かんが)へて()りました。394万々一(まんまんいち)都合(つがふ)よく()けば、395あとに(のこ)つた言依別命(ことよりわけのみこと)(ぐらゐ)最早(もはや)(もの)(かず)でもないと、396(たちま)悪心(あくしん)(おこ)し、397(おも)ひきつて谷底(たにぞこ)()()みました。398両人(りやうにん)五体(ごたい)滅茶々々(めちやめちや)になつて斃死(くたば)つただらうと(おも)つて()ましたが、399あに(はか)らむや妹図(いもうとはか)らむや、400若彦(わかひこ)(やかた)(おい)杢助様(もくすけさま)(はじ)(たま)401(くに)両宣伝使(りやうせんでんし)出会(でくわ)した(とき)のその(くる)しさ(こは)さ、402屹度(きつと)復讎(かたき)()たれるに相違(さうゐ)ないと(おも)つて心配(しんぱい)(いた)し、403()きた心地(ここち)()くガタガタ(ふる)(なが)ら、404矢庭(やには)庭先(にはさき)(まつ)()駆上(かけのぼ)り、405神憑(かむがか)りの(げん)(しん)(くも)()つて()()さうと(おも)ひ、406(あやま)つて二人(ふたり)(とも)樹上(じゆじやう)より大地(だいち)(むか)つて真逆様(まつさかさま)墜落(つゐらく)し、407人事不省(じんじふせい)(おちい)つて()(ところ)を、408(たま)409(くに)両宣伝使(りやうせんでんし)手厚(てあつ)御保護(ごほご)()け、410さうして()()(つゆ)ほども(うら)(たま)はず、411(かへつ)神様(かみさま)から結構(けつこう)教訓(けうくん)()けたと(よろこ)んで(くだ)さつた(とき)吾々(われわれ)(こころ)412到底(たうてい)高姫(たかひめ)さまの(をし)へられる(こと)とは天地(てんち)雲泥(うんでい)(ちが)ひで御座(ござ)いました。413そこで(わたくし)何故(なぜ)(この)(やう)(ぜん)のお(かた)(わる)(おも)つたか()らぬと、414懺悔(ざんげ)(ねん)()へず(かんが)()んで()りましたが、415矢張(やつぱり)言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)教理(けうり)()いて御座(ござ)るお(かげ)で、416()んな立派(りつぱ)人格(じんかく)になられたのであらうと(ふか)(かん)じました。417(また)(わたくし)があの(やう)悪心(あくしん)(おこ)したのも、418矢張(やつぱり)高姫(たかひめ)さまの感化力(かんくわりよく)がさせた(こと)だとホトホト(おそ)ろしくなりました。419如何(どう)しても人間(にんげん)師匠(ししやう)(えら)ばねばなりませぬ。420(みづ)方円(はうゑん)(うつは)(したが)ふとか(まを)しまして、421(をそ)はる師匠(ししやう)422(まじ)はる(とも)によつて(ぜん)にもなり、423(あく)にもなるものと(かた)(しん)じます。424(わたくし)(みな)さまに今日(こんにち)(まで)取違(とりちがひ)此処(ここ)にお(わび)(いた)します』
425高姫(たかひめ)『コレコレ魔我彦(まがひこ)426(たれ)がそんな乱暴(らんばう)(こと)をせいと()ひましたか、427それは大方(おほかた)言依別(ことよりわけ)(れい)(うつ)つたのだらう』
428竹彦(たけひこ)『イヽエ、429言依別(ことよりわけ)さまの身魂(みたま)(あんま)(たふと)(きよ)らかで、430我々(われわれ)(やう)(ちひ)さい(くも)つた(かがみ)にはおうつりに()りませぬ。431(まつた)高姫(たかひめ)さまや、432黒姫(くろひめ)さまの生霊(いきりやう)(うつ)りましてな』
433 聴衆(ちやうしう)()()つてドヨメキ(わた)る。434杢助(もくすけ)(また)もや(くち)(ひら)き、
435杢助(もくすけ)(みな)さま、436(わたくし)言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)より内命(ないめい)(ほう)じ、437十津川(とつがは)谷間(たにあひ)急行(きふかう)せよとの(あふ)せにより()つて()れば、438谷川(たにがは)似合(にあ)はぬ大滝(おほたき)(した)立派(りつぱ)(あを)(ふち)がありました。439そこで水行(すゐぎやう)して()ると(うへ)から二人(ふたり)(をとこ)突然(とつぜん)()(きた)り、440ザンブとばかり(ふち)()()んだ。441()(くれ)(まぎ)れに何人(なんぴと)(わか)らねども見逃(みのが)(わけ)にも()かぬ、442(ただち)(ふち)へとび()んで(すく)()色々(いろいろ)介抱(かいほう)した(ところ)443二人(ふたり)(をとこ)(やうや)(いき)()(かへ)しました。444よくよく()れば、445玉治別(たまはるわけ)446国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)御座(ござ)いました。447それより両人(りやうにん)(むか)如何(どう)して()んな(ところ)()()んだのですかと(たづ)ねて()ましたが、448御両人(ごりやうにん)他人(たにん)瑕瑾(きず)をつけまいと()誠心(まごころ)から、449現在(げんざい)(この)魔我彦(まがひこ)450竹彦(たけひこ)につき(おと)された(こと)一言(いちごん)(はつ)せず(かく)して()られました。451さうして二人(ふたり)(たい)して毛頭(まうとう)(うら)みを(いだ)いて()られないのには(わたくし)感服(かんぷく)(いた)しました。452(これ)()ふのも(まつた)(みづ)御霊(みたま)大精神(だいせいしん)体得(たいとく)して()られるからだと、453流石(さすが)杢助(もくすけ)感涙(かんるゐ)(むせ)び、454それより三人(さんにん)(みち)(いそ)いで若彦(わかひこ)(やかた)()つて()れば、455魔我彦(まがひこ)456竹彦(たけひこ)両人(りやうにん)何事(なにごと)()からぬ虚言(きよげん)(かま)若彦(わかひこ)(そその)かし大陰謀(だいいんぼう)(たく)まむとして()(ところ)でありました。457(しか)(なが)流石(さすが)悪人(あくにん)(まこと)(こころ)(かん)()くの(ごと)改心(かいしん)(いた)して、458自分(じぶん)罪状(ざいじやう)逐一(ちくいち)(みな)さまの(まへ)(さら)()真心(まごころ)(しめ)して()られます。459(これ)でも言依別(ことよりわけ)(さま)(をしへ)(あく)()はれませうか。460高姫(たかひめ)さまの(をしへ)(はた)して完全(くわんぜん)なもので御座(ござ)いませうか』
461(くぎ)をさされて高姫(たかひめ)はグツとつまり、462壇上(だんじやう)蹴散(けち)らす(ごと)(いきほひ)(かた)(はすかい)(くび)左右(さいう)()(なが)ら、463(おの)(やかた)足早(あしばや)(かへ)()く。
464 ()かる(ところ)言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)莞爾(くわんじ)として(あら)はれ、465一場(いちぢやう)演説(えんぜつ)(こころ)みた。466玉治別(たまはるわけ)467国依別(くによりわけ)468若彦(わかひこ)三人(さんにん)(この)()悠然(いうぜん)として(あら)はれ(きた)り、469一同(いちどう)会釈(ゑしやく)し、470神殿(しんでん)(むか)天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)(をは)つて一同(いちどう)解散(かいさん)したり。471今後(こんご)高姫(たかひめ)如何(いか)なる行動(かうどう)()るならむか。
472大正一一・六・一〇 旧五・一五 北村隆光録)