霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 蘇鉄(そてつ)(もり)〔七三五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻 篇:第2篇 南洋探島 よみ:なんようたんとう
章:第5章 蘇鉄の森 よみ:そてつのもり 通し章番号:735
口述日:1922(大正11)年07月02日(旧閏05月08日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年5月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一方、娘の黄竜姫に会うために蜈蚣姫一行は、部下を引き連れて船に乗って竜宮島に向かっていた。船には蜈蚣姫に表面上心を合わせた高姫が乗っていた。
大島に着いた一行は、水を求めて島内に進み入った。しかし数々の怪異に妨げられ、高姫は意識を失った蜈蚣姫らに責められて苦悶を味わう。そのさなかに真正の日の出神が現れて、高姫は戒めを受けた。
空中より巨大な光玉が現れて高姫の面前に轟然として落下した。ふと眼を覚ますと、蘇鉄の木の下に一同は倒れていた。蜈蚣姫らバラモン教の一行は、息も絶え絶えになって苦しんでいる。
高姫は思わず貫州を呼んだ。貫州は一人、水を見つけて瓢箪に汲んで戻ってきた。高姫は日の出神の訓戒も忘れて、バラモン教徒たちを置き去りにして、自分たちだけで竜宮島に渡ろうと貫州に持ちかけるが、貫州は高姫を諌めバラモン教徒たちに水を含ませて蘇生させた。
蘇生した蜈蚣姫やスマートボールは高姫を暗に非難するが、高姫はバラモン教徒たちの守護神が自分に懸って言ったのだ、と気にも留めない。高姫と蜈蚣姫はひとしきり、口合戦をやっている。
一同は貫州に水のありかを教えられ、ありったけの器に水を入れてまた船に戻り、西南に向けて出港した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:73頁 八幡書店版:第4輯 638頁 修補版: 校定版:75頁 普及版:34頁 初版: ページ備考:
001生命(いのち)(つな)(たの)みてし
002()つの神宝(しんぱう)所在(ありか)をば
003執念深(しふねんぶか)何処(どこ)までも
004(さが)さにや()かぬと高姫(たかひめ)
005夜叉(やしや)(ごと)くに(くる)()
006(つも)(おも)ひの明石潟(あかしがた)
007(なみ)淡路(あはぢ)島影(しまかげ)
008(ふね)()()てて沈没(ちんぼつ)
009九死一生(きうしいつしやう)大難(だいなん)
010玉能(たまの)(ひめ)(たす)けられ
011感謝(かんしや)するかと(おも)ひきや
012(こころ)(おく)(ひそ)むなる
013自尊(じそん)悪魔(あくま)(さへぎ)られ
014生命(いのち)(おや)をさまざまに
015(ののし)(あざけ)東助(とうすけ)
016(あやつ)(ふね)()(まか)
017(たま)所在(ありか)家島(えじま)ぞと
018(こころ)(いら)ちて到着(たうちやく)
019イロイロ雑多(ざつた)()(つく)
020(こころ)(くだ)きし(その)揚句(あげく)
021絶望(ぜつばう)(ふち)()(しづ)
022如何(いかが)はせむと とつおいつ
023思案(しあん)()るる折柄(をりから)
024浜辺(はまべ)(つな)げる新調(しんてう)
025小舟(こぶね)()をば(まか)せつつ
026貫州(くわんしう)(したが)(たま)()
027生命(いのち)瀬戸(せと)海面(かいめん)
028(ちから)(かぎ)りに()(いだ)
029小豆ケ島(せうどがしま)漂着(へうちやく)
030(また)もや(たま)所在(ありか)をば
031(さぐ)らんものと国城(くにしろ)
032(やま)目蒐(めが)けて駆登(かけのぼ)
033岩窟(いはや)(なか)にてバラモンの
034(かみ)(つかさ)蜈蚣姫(むかでひめ)
035(やかた)(おも)はず(まよ)()
036早速(さそく)頓智(とんち)高姫(たかひめ)
037蜈蚣(むかで)(ひめ)(こころ)()
038表面(うはつら)ばかり親善(しんぜん)
039姿(すがた)(よそほ)(やうや)うに
040(てき)毒手(どくしゆ)(のが)れつつ
041蜈蚣(むかで)(ひめ)利用(りよう)して
042(たま)所在(ありか)(さぐ)らむと
043(ふたた)(ふね)()(まか)
044一行(いつかう)数人(すうにん)(なみ)(うへ)
045馬関海峡(ばくわんかいけふ)打過(うちよ)ぎり
046西(にし)(みなみ)(すす)()
047蜈蚣(むかで)(ひめ)第一(だいいち)
048(たま)所在(ありか)(もと)めつつ
049(こひ)しき(むすめ)所在(ありか)をば
050(さぐ)らむ(ため)(ふた)(だま)
051(あい)(よく)とに(から)まれて
052スマートボール(その)(ほか)
053(とも)(したが)高姫(たかひめ)
054(ふね)(さを)さし(すす)()
055(こころ)そぐはぬ敵味方(てきみかた)
056さしもに(ひろ)海原(うなばら)
057(なみ)()げども村肝(むらきも)
058(こころ)(うみ)()(なみ)
059(おだや)かならぬ風情(ふぜい)なり。
060 (こげ)つく(やう)(あつ)日光(につくわう)()びた一行(いつかう)は、061(あせ)(たき)(ごと)くに(しぼ)()し、062(かつ)(かん)(みづ)(もと)めむと、063やうやうにして海中(わだなか)(うか)べる大島(おほしま)磯端(いそばた)(ふね)(よこ)たへ、064彼方此方(あなたこなた)淡水(たんすゐ)(もと)めつつ草木(くさき)()けて(たがひ)に『オーイオイ』と(こゑ)()け、065連絡(れんらく)(たも)(なが)ら、066島内(たうない)(ふか)(すす)()つた。067(かわ)()つたる(のど)よりは最早(もはや)皺嗄(しわが)(ごゑ)()なくなりにけり。
068 高姫(たかひめ)(やうや)くにして蘇鉄(そてつ)(もり)()きぬ。069一丈(いちぢやう)(ばか)りの蘇鉄(そてつ)(みき)大蛇(をろち)突立(つつた)つて雨傘(あまがさ)(ひろ)げた(ごと)く、070(ところ)()(まで)立並(たちなら)ぶ。071蘇鉄(そてつ)のマラを(なが)めて矢庭(やには)貫州(くわんしう)(めい)じ、072むしり()らしめてしがみ(はじ)めたるに、073(なん)とも()れぬ甘露(かんろ)(ごと)(あま)(しる)074()むに(したが)つて(にじ)()で、075(やうや)蘇生(そせい)(おも)ひをなせり。076………蜈蚣姫(むかでひめ)一行(いつかう)(やうや)くにして(この)()(あら)はれ、077高姫(たかひめ)むしり()つたるマラに()(そそ)(かつ)()する(ため)に、078餓鬼(がき)(ごと)(くら)()かんとする一刹那(いちせつな)079マラの()(たちま)延長(えんちやう)一丈(いちぢやう)(ばか)りの大蜈蚣(おほむかで)となつてノロノロと()()し、080(その)(まま)蘇鉄(そてつ)(みき)にのぼり、081(つぎ)から(つぎ)へと条虫(さなだむし)(ごと)延長(えんちやう)して蘇鉄(そてつ)(みき)(のこ)らず()き、082一指(いつし)をも()へざらしめむとせり。083蜈蚣(むかで)(なが)さと(ふと)さを時々刻々(じじこくこく)()し、084一時(いつとき)(ほど)(うち)(この)大島(おほしま)全体(ぜんたい)()(つく)したりける。
085 高姫(たかひめ)086蜈蚣姫(むかでひめ)(その)()一行(いつかう)は、087樹木(じゆもく)(とも)蜈蚣(むかで)(つつ)まれ、088(いき)()()えに天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、089バラモン(けう)経文(きやうもん)(とな)へ、090只管(ひたすら)()安全(あんぜん)(いの)(こと)のみに余念(よねん)なかりけり。
091 マラの変化(へんげ)より成出(なりい)でたる蜈蚣(むかで)は、092大島(おほしま)十重(とへ)二十重(はたへ)()き、093四面(しめん)暗澹(あんたん)として(くら)く、094()()はれぬ不快(ふくわい)空気(くうき)に、095呼吸器(こきふき)(はたら)きも停止(ていし)せむ(ばか)りとなりき。096九死一生(きうしいつしやう)破目(はめ)(おちい)りたる高姫(たかひめ)は、097最早(もはや)(これ)までなりと(すべ)ての執着心(しふちやくしん)(はな)れ、098運命(うんめい)惟神(かむながら)(まか)せ、099観念(かんねん)()()()()ちつつありける。
100 (たちま)頭上(づじやう)より熱湯(ねつたう)()びせかけた(ごと)焦頭爛額(せうとうらんがく)(くるし)みを(かん)ずると(とも)に、101紫磨(しま)黄金(わうごん)(はだへ)(あら)はしたる巨大(きよだい)神人(しんじん)102忽然(こつぜん)として(この)()(あら)はれ(きた)り、
103(なんぢ)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(しよう)する高姫(たかひめ)104(いま)(ここ)()(あらた)めずば(なんじ)永遠(ゑいゑん)(いま)(くるし)みを(あぢ)はひ、105根底(ねそこ)(くに)()えぬ()(やか)るべし』
106()つた(まま)姿(すがた)()へたり。107一方(いつぱう)蜈蚣姫(むかでひめ)は、108頭上(づじやう)より(こほり)(やいば)(もつ)()()されし(ごと)大苦痛(だいくつう)(かん)じ、109七転八倒(しちてんばつたふ)()(もが)(をり)しも、110(すみ)(ごと)(くろ)巨顔(きよがん)(あら)はし、111眼球(がんきう)(べに)(ごと)(かがや)きたる異様(いやう)怪物(くわいぶつ)112(くび)から(うへ)(ばか)りを暗黒(あんこく)(なか)にも殊更(ことさら)(くろ)輪廓(りんくわく)(あら)はし(なが)ら、113(なが)(した)()して蜈蚣姫(むかでひめ)頭部(とうぶ)面部(めんぶ)()めた(その)(おそ)ろしさ、114流石(さすが)気丈(きぢやう)蜈蚣姫(むかでひめ)(その)(いや)らしさに()()もよだち、115(なん)応答(いらへ)()(ばか)り、116怪物(くわいぶつ)(した)(さき)よりは無数(むすう)(ちひ)さき蜈蚣(むかで)117(あめ)(ごと)くに(あら)はれ(きた)り、118蜈蚣姫(むかでひめ)身体(からだ)空地(あきち)もなく(つつ)み、119(ところ)(かま)はず無数(むすう)(するど)舌剣(ぜつけん)(もつ)()みつける(その)(くる)しさ『キヤツ』と(さけ)んで(その)()(たふ)れ、120(みぎ)(ひだり)(ころ)(まは)る。121(この)(とき)高姫(たかひめ)(やうや)正気(しやうき)(ふく)四辺(あたり)()れば、122酷熱(こくねつ)太陽(たいやう)晃々(くわうくわう)(かがや)(わた)り、123数多(あまた)樹木(じゆもく)青々(あをあを)として、124()()海風(うなかぜ)無心(むしん)舞踏(ぶたう)をなし()たり。125高姫(たかひめ)は、
126『アヽ(ゆめ)であつたかイナア。127それにしても(この)(あや)しき蘇鉄(そてつ)128()かる怪異(くわいい)続出(ぞくしゆつ)する(しま)長居(ながゐ)(おそ)れ、129一時(いちじ)(はや)(この)(しま)(はな)れ、130(たから)所在(ありか)(さぐ)らむ。131貫州(くわんしう)(きた)れツ』
132四辺(あたり)()れば、133貫州(くわんしう)はドツカと()し、134瞑目(めいもく)した(まま)(うで)()み、135石像(せきざう)(ごと)くに(かた)まり()る。136高姫(たかひめ)一生懸命(いつしやうけんめい)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、137(ほほ)(つめ)り、138(はな)(つま)み、139イロイロ介抱(かいほう)をすること半時(はんとき)ばかりを(つひや)したり。140されど貫州(くわんしう)()()(かよ)はざる石像(せきざう)(やう)に、141何処(どこ)()でても(すこ)しの(あたた)()()くなり()る。142高姫(たかひめ)(なん)となく(さび)しさに(おそ)はれ、143()(ごゑ)まぜりになつて、
144『コレ貫州(くわんしう)145(いま)(まへ)()んな(ところ)()なれて、146どうなるものか、147……チツト(しつ)かりしてお()れ』
148()口説(くど)く。149貫州(くわんしう)(やうや)くにして(ひだり)()をパツチリ()けた。150されど黒球(くろたま)はどこへか(かく)れ、151白眼(しろめ)(ばか)()()し、152()()(やう)(すぢ)(あか)()(みなぎ)らし、153(あか)珊瑚樹(さんごじゆ)(えだ)(やう)顔面(がんめん)()えて()る。
154 高姫(たかひめ)一生懸命(いつしやうけんめい)祈願(きぐわん)()らす。155(この)(とき)今迄(いままで)大地(だいち)()(たふ)れて()蜈蚣姫(むかでひめ)無言(むごん)(まま)ムクムクと立上(たちあが)り、156高姫(たかひめ)(まへ)にヌツと(あら)はれ、157(いか)りの形相(ぎやうさう)(すさま)じく、158(こぶし)(かた)め、159平家蟹(へいけがに)(やう)(つら)をさらして睨付(ねめつ)()した。160(また)もやスマートボールむくむくと立上(たちあが)り、161白玉(しろたま)(ばか)りの両眼(りやうがん)()()し、162(くち)(とが)らせ、163蟷螂(かまきり)(やう)手付(てつき)をし(なが)ら、164鶴嘴(つるはし)(もつ)土方(どかた)大地(だいち)()(やう)に、165高姫(たかひめ)頭上(づじやう)目蒐(めが)けてコツンコツンと機械的(きかいてき)()(はじ)めた。166(その)()(てつ)(ごと)(かた)くなつて()る。167高姫(たかひめ)(この)鋭鋩(えいばう)()くる(ため)168()をかはさむと(あせ)れども、169土中(どちう)より()えたる()(ごと)く、170一寸(ちよつと)身動(みうご)きならず、171()むを()(おな)箇所(かしよ)幾回(いくくわい)となく、172(こぶし)鶴嘴(つるはし)につつかれて()るより仕方(しかた)なかりけり。
173 (この)(とき)天上(てんじやう)(くも)()(ひら)き、174天馬(てんば)(またが)此方(こなた)(むか)つて(くだ)(きた)勇壮(ゆうさう)なる神人(しんじん)あり。175数百人(すうひやくにん)騎馬(きば)従卒(じうそつ)(ともな)ひ、176(すず)(おと)シヤンシヤンと一歩(ひとあし)々々(ひとあし)空中(くうちう)(くだ)(きた)大音声(だいおんじやう)にて、
177(なんじ)高姫(たかひめ)ならずや。178()出神(でのかみ)自称(じしよう)する(なんじ)守護神(しゆごじん)は、179常世(とこよ)(くに)のロツキー(ざん)発生(はつせい)したる銀毛八尾(ぎんまうはちび)悪狐(あくこ)なるぞ。180只今(ただいま)(なんぢ)霊縛(れいばく)()かむ。181今日(こんにち)(かぎ)()(あらた)め、182()りにも()出神(でのかみ)などと名乗(なのり)(べか)らず。183(われ)こそは真正(しんせい)()出神(でのかみ)なり。184一先(ひとま)(この)()神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)()(なほ)し、185(なんぢ)(つみ)(ゆる)すべし。186()れより(なんじ)蜈蚣姫(むかでひめ)一行(いつかう)(とも)南洋(なんやう)(わた)り、187竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)(いた)りて、188黒姫(くろひめ)(すく)へ。189ゆめゆめ(うたが)ふな』
190()()てて馬首(ばしゆ)(てん)じ、191数多(あまた)従神(じうしん)(とも)に、192(くつわ)(なら)べて天上(てんじやう)(たか)(のぼ)らせ(たま)ひぬ。193(この)(とき)何処(いづく)ともなく空中(くうちう)より(だい)なる光玉(くわうぎよく)(あら)はれ(きた)り、194高姫(たかひめ)面前(めんぜん)轟然(がうぜん)たる(ひびき)(とも)落下(らくか)し、195()四辺(しへん)爆発(ばくはつ)飛散(ひさん)し、196高姫(たかひめ)一行(いつかう)()粉砕(ふんさい)せしかと(おも)途端(とたん)()(さま)せば、197大蘇鉄(だいそてつ)(もと)にマラをしがみながら(たふ)れて()た。198蜈蚣姫(むかでひめ)(その)()一同(いちどう)は、199炎天(えんてん)(くさ)(うへ)(あたま)巨大(きよだい)なる虻蠅(あぶはへ)などに、200(あるひ)()され、201(あるひ)()められ(なが)ら、202(いき)()()えに(たふ)()たり。203貫州(くわんしう)はと()れば、204そこらに(かげ)もない。205高姫(たかひめ)(ちから)(かぎ)りに、
206『オイ、207オーイ、208貫州(くわんしう)々々(くわんしう)
209(さけ)(はじ)めたるに、210あたりの森林(しんりん)雑草(ざつさう)()()けて、211(だい)なる瓢箪(ふくべ)(みづ)()り、212ニコニコとして此処(ここ)(あら)はれ(きた)(をとこ)姿(すがた)()れば、213(まが)(かた)なき貫州(くわんしう)なり。
214高姫(たかひめ)(さま)215()()きましたか。216サア(この)(みづ)をおあがり(くだ)さいませ』
217(みづか)()(すく)うて高姫(たかひめ)(ふく)ませた。218高姫(たかひめ)(はじ)めて心神(しんしん)爽快(さうくわい)(おぼ)え、
219『アヽ()つべき(もの)家来(けらい)なりけり、220(まへ)がなかつたら(わたし)如何(どう)なつたか(わか)らない。221(つい)ては(さいは)蜈蚣姫(むかでひめ)(その)()連中(れんちう)(この)(とほ)昏倒(くたば)つて()れば、222(いま)(うち)にお(まへ)二人(ふたり)223あの(ふね)()つて竜宮島(りうぐうじま)(わた)り、224(たま)所在(ありか)(さが)さうぢやないか』
225()(なが)(やや)(くび)(かた)()みを(たた)へて貫州(くわんしう)(かほ)(のぞ)()み、226貫州(くわんしう)返辞(へんじ)もどかしげに()ちわび()る。227貫州(くわんしう)高姫(たかひめ)にむかい、
228『それだから貴女(あなた)不可(いか)ないのです。229仮令(たとへ)(てき)でも味方(みかた)でも(たす)くるのが(かみ)(みち)230(この)(しま)(かく)(ごと)(よわ)()つた人々(ひとびと)(のこ)し、231我々(われわれ)両人(りやうにん)(ふね)(あやつ)()(かへ)るなどと、232左様(さやう)残酷(ざんこく)(こと)がどうして出来(でき)ませうか。233貴女(あなた)はまだ改心(かいしん)出来(でき)()ないのですなア』
234大功(たいこう)細瑾(さいきん)(かへり)みず、235天下(てんか)国家(こくか)(ため)には少々(せうせう)犠牲(ぎせい)(はら)はなければならぬぢやないか。236(まへ)はそれだから(こま)るのだよ。237まるで(をんな)(くさ)つた(やう)()(よわ)(をとこ)だから……サア貫州(くわんしう)238(わたし)()いておいで、239()れから二人(ふたり)出世(しゆつせ)仕放題(しはうだい)240こんな(やつ)()れて()かうものなら足手纏(あしてまと)ひになるばかりか、241大変(たいへん)邪魔者(じやまもの)だ。242サア()かう』
243元気(げんき)恢復(くわいふく)したのを(さいは)ひに、244(ゆめ)(うち)()出神(でのかみ)訓戒(くんかい)(わす)れ、245功名心(こうみやうしん)()られスタスタと(さき)()ちて磯辺(いそべ)(すす)まうとする。246貫州(くわんしう)高姫(たかひめ)(かほ)(こころ)()げに見遣(みや)(なが)ら、247(みみ)()らざるものの(ごと)(よそほ)ひ、248瓢箪(ふくべ)清水(しみづ)蜈蚣姫(むかでひめ)(くち)(ふく)ませた。249蜈蚣姫(むかでひめ)(はじ)めて()(きた)心地(ここち)(なが)()きあがり、250両手(りやうて)(あは)せて貫州(くわんしう)感謝(かんしや)()(へう)する。251貫州(くわんしう)()れに(ちから)()てスマートボールを(はじ)め、252(その)()一同(いちどう)(みづ)(あた)へたり。253高姫(たかひめ)(この)(てい)()()()()げ、254(つら)をふくらせ(なが)めて()る。255蜈蚣姫(むかでひめ)(たち)あがり、
256高姫(たかひめ)(さま)御指図(おさしづ)()つて、257貫州(くわんしう)(さま)厭々(いやいや)(なが)ら、258主人(しゆじん)(めい)だと(おも)ひ、259(わたくし)(たち)結構(けつこう)(みづ)をドツサリ(あた)へて元気(げんき)恢復(くわいふく)させて(くだ)さいました。260(かげ)(わたくし)身内(みうち)(もの)(みな)(たす)かりました。261主人(しゆじん)(こころ)下僕(しもべ)()らずとやら、262仁慈無限(じんじむげん)高姫(たかひめ)(さま)大御心(おほみこころ)反抗(はんかう)する貫州(くわんしう)さまは、263余程(よつぽど)可愛(かあい)(ひと)です。264貴女(あなた)(がた)主従(しゆじう)御争論(おいさかひ)を、265(わたし)一伍一什(いちぶしじふ)()かして(いただ)きました。266……高姫(たかひめ)(さま)267御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)います。268(この)御恩(ごおん)はキツトお(かへ)(まを)します。269オホヽヽヽ』
270(かた)(ゆす)り、271(いや)らしさうに(わら)ふ。272スマートボールは(たち)あがり、
273『コリヤ貫州(くわんしう)274……貴様(きさま)余程(よつぽど)(はら)(わる)(やつ)ぢや……()いワイ。275よう(おれ)(たす)けて()れやがつた。276キツト御礼(おれい)(まを)すから、277さう(おも)うて()れ。278……モシ高姫(たかひめ)さま、279貴女(あなた)三五教(あななひけう)反旗(はんき)(かか)げて、280ウラナイ(けう)創立(さうりつ)なさつた(やう)()出神(でのかみ)偽宮(にせみや)だから、281流石(さすが)仁慈(じんじ)()み、282申分(まをしぶん)()善人(ぜんにん)ぢや……()い。283よう我々(われわれ)(たす)けてやらうと(おも)ひくさらなんだ。284アツクアツク御礼(おれい)(まを)しますぞ』
285『オツホヽヽヽ、286(みな)さまの(てい)のよい()てこすりワイの。287こりや(けつ)して高姫(たかひめ)精神(せいしん)から()つたのぢやない。288蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)やお前達(まへたち)守護神(しゆごじん)高姫(たかひめ)体内(たいない)()つて()つたのだ。289高姫(たかひめ)守護神(しゆごじん)臨時(りんじ)貫州(くわんしう)(うつ)つたのだよ。290それだから(むかし)根本(こつぽん)身魂(みたま)因縁(いんねん)(わか)らぬと、291(ぜん)(あく)()えたり、292(あく)(ぜん)()えたり(いた)しますぞや。293神様(かみさま)のイロイロとして(こころ)をお()(あそ)ばす()つかけ(もど)しのお仕組(しぐみ)だから、294(ひと)(あく)()えたら、295自分(じぶん)(こころ)(かへり)みて改心(かいしん)なされ。296(ひと)(わる)いのは(みな)(われ)(わる)いのだ。297(この)高姫(たかひめ)水晶玉(すいしやうだま)世界(せかい)(かがみ)298(みな)(こころ)姿(すがた)(うつ)るのだから、299キツト取違(とりちが)ひをしては()けませぬぞや。300アーア蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)余程(よほど)身魂(みたま)(みが)けたお(かた)ぢやと(おも)うたが、301()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(まへ)()()ると、302まだまだ完全(くわんぜん)(ところ)へは()けませぬワイ』
303 蜈蚣姫(むかでひめ)()()し、
304『オホヽヽヽ』
305 一同(いちどう)は、
306『アハヽヽヽ』
307共笑(きようせう)する。308貫州(くわんしう)は、
309『アー(なに)(なん)だか、310サツパリ見当(けんたう)()れなくなつて()たワイ』
311 高姫(たかひめ)(あご)をシヤクリ、
312『きまつた(こと)だよ。313見当(けんたう)()れぬお仕組(しぐみ)と、314変性男子(へんじやうなんし)仰有(おつしや)つたぢやないか。315(この)(こと)(わか)りて()(もの)世界(せかい)一人(ひとり)よりない……とお(ふで)(あら)はされて()るだらう。316前達(まへたち)(まこと)仕組(しぐみ)(わか)りたら、317途中(とちう)邪魔(じやま)這入(はい)りて、318物事(ものごと)成就(じやうじゆ)(いた)さぬぞよ。319オホヽヽヽ』
320(おほ)きう(かた)(ゆす)つて雄叫(をたけ)びする。321蜈蚣姫(むかでひめ)眉毛(まゆげ)にそつと(つばき)をつけて素知(そし)らぬ(かほ)……
322『モシ高姫(たかひめ)さま、323貴女(あなた)大自在天(だいじざいてん)(さま)御眷族(ごけんぞく)生宮(いきみや)だと仰有(おつしや)るかと(おも)へば、324()出神(でのかみ)生宮(いきみや)とも仰有(おつしや)(やう)だし、325実際(じつさい)(こと)何方(どちら)守護神(しゆごじん)がお(かか)りなのですか』
326変幻出没(へんげんしゆつぼつ)千変万化(せんぺんばんくわ)327自由自在(じいうじざい)活動(くわつどう)(あそ)ばす大自在天(だいじざいてん)(さま)御守護神(ごしゆごじん)だから、328(とき)あつて()出神(でのかみ)(あら)はれ、329(また)大国別命(おほくにわけのみこと)眷族(けんぞく)……実際(じつさい)(ところ)大黒主命(おほくろぬしのみこと)御守護(ごしゆご)(おも)なるものです』
330()()(おほ)クロと………大変(たいへん)懸隔(けんかく)ですなア。331蜈蚣姫(むかでひめ)には、332善悪(ぜんあく)区別(くべつ)(まつた)裏表(うらおもて)(やう)(おも)へますワ』
333『お(まへ)さまにも似合(にあ)はぬ愚問(ぐもん)(はつ)する(かた)ですなア。334顕幽一致(けんいういつち)335善悪(ぜんあく)不二(ふじ)336(うら)があれば(おもて)があり、337(おもて)があれば(うら)がある。338表裏反覆(へうりはんぷく)(つね)なき微妙(びめう)大活動(だいくわつどう)(あそ)ばすのが(まこと)神様(かみさま)ぢや。339馬車馬的(ばしやうまてき)行動(かうどう)()(かみ)は、340畢竟(つまり)(ひと)指揮(しき)する資格(しかく)()いもの、341(わたし)(たち)大黒主命(おほくろぬしのみこと)生宮(いきみや)たる以上(いじやう)は、342すべての神人(しんじん)を、343大自在天(だいじざいてん)(さま)(かは)つて、344指揮(しき)命令(めいれい)する特権(とくけん)惟神(かむながら)具備(ぐび)して()る。345所謂(いはゆる)()出神(でのかみ)岩戸(いはと)(びら)きの生宮(いきみや)御座(ござ)る。346(かみ)はイロイロとして(こころ)()くから引掛戻(ひつかけもど)しに(かか)らぬ(やう)御用心(ごようじん)をなされませ』
347何時(いつ)()にやら、348貴女(あなた)顕恩城(けんおんじやう)信者(しんじや)()()んで()られた(とき)とは、349口車(くちぐるま)余程(よほど)運転(うんてん)する(やう)になりましたなア。350蜈蚣姫(むかでひめ)感心(かんしん)(いた)しましたよ』
351()()んだとはソラ(なに)仰有(おつしや)る。352誠正直(まことしやうじき)生粋(きつすゐ)日本魂(やまとだましひ)大自在天(だいじざいてん)(さま)信仰(しんかう)して()りました。353ウラナイ(けう)()つても、354三五教(あななひけう)()つてもバラモンでもジアンナイ(けう)でも、355(もと)一株(ひとかぶ)356天地(てんち)根本(こつぽん)大神様(おほかみさま)(かは)りはない。357(しか)(なが)今日(こんにち)(ところ)ではお(まへ)さまの(ほう)ずるバラモン(けう)行方(やりかた)一番(いちばん)峻酷(しゆんこく)で、358不言実行(ふげんじつかう)で、359荒行(あらぎやう)をなさるのが御神慮(ごしんりよ)(かな)ふと(おも)つたから、360国城山(くにしろやま)でお()(かか)つてより、361層一層(そういつそう)バラモンが(すき)になつたのですよ。362サアサア()うなれば姉妹(きやうだい)同様(どうやう)363一時(いちじ)(はや)所在(ありか)(さが)しに(まゐ)りませう』
364(わたし)最早(もはや)(たま)なんかに執着心(しふちやくしん)はありませぬ。365それよりも(こころ)(たま)(みが)くのが肝腎(かんじん)だと()がつきました』
366『ホヽヽヽヽ、367重宝(ちようはう)なお(くち)だこと。368(てん)にも()にも(ただ)一人(ひとり)小糸姫(こいとひめ)(さま)所在(ありか)(わか)りかけたものだから、369(たま)(どころ)(さわ)ぎではない。370一刻(いつこく)(はや)小糸姫(こいとひめ)さんに()ひたいと()ふのが貴女(あなた)一念(いちねん)らしい。371それは無理(むり)もありませぬ。372(なん)()つても()(なか)這入(はい)つても(いた)くない一人娘(ひとりむすめ)(こと)だから、373国家(こくか)興亡(こうばう)よりも自分(じぶん)(むすめ)大切(たいせつ)なのは、374そりや人情(にんじやう)ですワ』
375(あざけ)(やう)()ふ。376蜈蚣姫(むかでひめ)高姫(たかひめ)言葉(ことば)にムツとしたが、377(なに)()うても(ただ)一艘(いつそう)(ふね)378高姫(たかひめ)機嫌(きげん)()らねば目的地(もくてきち)(たつ)する(こと)出来(でき)ないと(おも)つて、379ワザと機嫌(きげん)よげに、
380『ホヽヽヽヽ、381これはこれは高姫(たかひめ)さまの御教訓(ごけうくん)382(かん)()りました。383つい(わが)()(あい)(おぼ)れ、384大事(だいじ)(あやま)りました(わたし)不覚(ふかく)385はしたない(をんな)とお(わら)(くだ)さいますな。386そんなら()れより(かみ)第一(だいいち)387(わが)()第二(だいに)(いた)しませう』
388高姫(たかひめ)第三(だいさん)(たま)ですか、389あなたのお(せつ)(とほ)り、390そこまで(みが)けた以上(いじやう)は、391有形的(いうけいてき)(たま)よりも、392貴女(あなた)小糸姫(こいとひめ)(さま)()ひさへすれば結構(けつこう)なのでせう。393モウ(たま)なんかに執着心(しふちやくしん)()たぬ(やう)になされませ。394(その)(かは)りに(わたし)(その)(たま)発見(はつけん)次第(しだい)御預(おあづか)(いた)し、395(わたし)()より大自在天(だいじざいてん)(さま)御渡(おわた)(まを)しませう。396(よろ)しいか。397一旦(いつたん)貴女(あなた)のお(くち)から()たこと、398()いた唾液(つば)()()(わけ)にもいきますまい』
399()()ゑて蜈蚣姫(むかでひめ)(かほ)一寸(ちよつと)()る。400蜈蚣姫(むかでひめ)はワザとに(かほ)(そむ)け、401何喰(なにく)はぬ(かほ)にて、
402何事(なにごと)貴女(あなた)(まか)せませう』
403『モシモシ蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)404そりや目的(もくてき)(ちが)ひませう。405貴女(あなた)魔谷ケ岳(まやがだけ)(なが)らく御苦労(ごくらう)なさつたのも、406(たま)所在(ありか)(さが)さむ(ため)でせう。407(なん)()()(よわ)(こと)仰有(おつしや)るのだ。408仮令(たとへ)高姫(たかひめ)さまが(なん)仰有(おつしや)つても、409スマートが承知(しようち)しませぬぞ』
410何事(なにごと)(わたし)(むね)()るのだから(だま)つて()なさい』
411(むね)()るとは、412蜈蚣姫(むかでひめ)さま、413(なに)があるのですか。414余程(よほど)陰険(いんけん)(こと)仰有(おつしや)るぢやありませぬか。415さうすると(いま)(わたし)仰有(おつしや)つた(こと)(いつは)りでせう』
416(かり)にも神様(かみさま)(つか)へる(わたし)417鬼熊別(おにくまわけ)女房(にようばう)418どうして(うそ)(いつは)りを()ひませう。419あまり軽蔑(けいべつ)なさると、420(この)蜈蚣姫(むかでひめ)だつて(この)(まま)には()きませぬぞ』
421(かた)(いか)らし(くち)をへの()(むす)んで()ぎりし(なが)ら、422形相(ぎやうさう)(すさま)じく高姫(たかひめ)(かほ)(にら)みつけたり。
423『ホヽヽヽヽ、424平家蟹(へいけがに)陀羅助(だらすけ)()つた(やう)なお(かほ)をなされますな。425貴女(あなた)もヤツパリ(はら)()ちますか。426忍耐(にんたい)()(たから)如何(どう)なさいました』
427『それは貴女(あなた)のお見違(みちが)ひ、428(わたし)(はら)(にはか)(いた)くなつて(くる)しみ(もだ)えた結果(けつくわ)429顔付(かほつき)(こは)くなつたのです。430アヽお(かげ)(さま)大分(だいぶん)(ゆる)んで()ました。431サアサア(みな)さま、432(なか)ようして(ひと)つの(ふね)でこの荒波(あらなみ)(わた)りませう。433十分(じふぶん)(みづ)用意(ようい)をして………』
434各自(めいめい)(うつは)()(だけ)引抱(ひつかか)へ、435檳榔樹(びんらうじゆ)()(しげ)(はやし)(なか)(くぐ)り、436貫州(くわんしう)(みちび)かれて、437谷間(たにま)水溜(みづたま)りを(もと)め、438(から)うじて(みづ)()たせ、439(やうや)(ふね)()()み、440月明(げつめい)()(さいは)ひ、441(をり)からの順風(じゆんぷう)()()西南(せいなん)(かぢ)()り、442海上(かいじやう)起伏(きふく)する小島(こじま)()うて(すす)()く。
443大正一一・七・二 旧閏五・八 松村真澄録)