霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
テキストのタイプ[?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示[?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌[?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
外字1の色
外字2の色

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


誰も知らなかった日本史
〈 2016年6月3日緊急発刊 〉
王仁三郎昇天50年目に発見された新事実が明らかになる!
『切紙神示と共に甦る孝明天皇の遺勅(予言) 誰も知らなかった日本史 皇室に隠された重大な真実』
出口恒(著) 飯塚弘明(協力) ヒカルランド
アマゾン等で絶賛発売中!
本書の中に出てくる資料は「出口王仁三郎大学」でダウンロードできます
【新着情報】2017/3/17 王仁三郎関連書籍のPDFがこちらでダウンロードできます。たくさんあります。
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第三章 玉藻山(たまもやま)〔八〇三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻 篇:第1篇 高砂の島 よみ:たかさごのしま
章:第3章 玉藻山 よみ:たまもやま 通し章番号:803
口述日:1922(大正11)年08月06日(旧06月14日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年8月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
真道彦命は、国治立大神の御代より台湾島に鎮まり、子孫はみな真道彦の名を名乗り、新高山の北方に居を定めていた。しかしアークス王は島に漂着したバラモン教に帰依したため、真道彦一派は、アークス王の権力が及ばない、新高山の南方に移って教勢を維持していた。
真道彦は新高山の東南にある高原地・日月潭に居を構えた。サアルボース兄弟は、この地を征服しようと何度も兵を送っていた。
あるとき、ホーロケースは三五教の巡礼に化けて聖地に入り込み、日月潭の玉藻山の聖地に押し寄せた。真道彦は、息子の日楯・月鉾とともに防戦に当たった。
ホーロケースの勢いすさまじく、その剣は真道彦の胸を貫いたと見えた。真道彦は突き倒され、その体から白煙が上がり、女神の姿となって雲の彼方に姿を隠してしまった。
真道彦の軍は敗れて散り散りとなり、玉藻山はホーロケースに占領されてしまった。日楯と月鉾は日月潭の竜の島にのがれ、島山の頂上の岩窟に身を隠した。二人は岩窟の奥へ進んで行くと、日月潭を見渡せる断崖に着いた。
そこから見える玉藻山は、すでにホーロケースに占領されてしまっている。兄弟はもやはこれまでと、この断崖から大神に祈願を籠めて飛び降り、生きていたなら再びバラモン教を打ち負かすことができるだろうと言って、決行しようとした。
すると傍らの木のかげから宣伝歌が聞こえてきた。宣伝歌の主は、言依別命教主と国依別であると名乗り、兄弟に玉藻山を取り戻す神宝を授けようと歌った。
兄弟は夢かとばかり驚いて平身低頭したが、二人が面を上げると、不思議にも二人の宣伝使の姿はなかった。これより兄弟は勇気百倍し、再び玉藻山に向かって言霊戦を開始しようと、七日七夜の禊を修し、言霊の練習に全力を尽くした。
マリヤス姫は、玉藻山の聖地に逃げていたが、ホーロケースの襲来により、捕われてしまった。ホーロケースは玉藻山を占領して我が物顔に振舞っていたが、マリヤス姫を幽閉し、自分の妻となるよう迫っていた。
マリヤス姫がホーロケースの横恋慕に苦しんで述懐の歌を歌っていると、俄かに館内騒がしく、バラモン軍たちが慌しく逃げ出した。ホーロケースは慌ててやってくると、変事が突発したと言って、マリヤス姫を連れ出そうとした。
そこへ琉球の玉の威徳によって五色の霊光を放射しながら、日楯・月鉾が入ってきた。ホーロケースは太刀打ちできず、数多の部下とともに逃げて行った。
玉藻山の聖地は再び三五教に戻り、広大な神殿が造営された。日楯・月鉾の名声は近隣にとどろいた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:37頁 八幡書店版:第5輯 366頁 修補版: 校定版:38頁 普及版:17頁 初版: ページ備考:
001 真道彦命(まみちひこのみこと)国治立大神(くにはるたちのおほかみ)時代(じだい)より、002(この)(しま)(しづ)まり、003子孫(しそん)(みな)真道彦(まみちひこ)()()いで、004新高山(にひたかやま)北方(ほくぱう)に、005聖場(せいぢやう)(さだ)め、006三五(あななひ)(みち)全島(ぜんたう)拡充(くわくじゆう)し、007神国魂(みくにだましひ)根源(こんげん)(つちか)ひつつあつた。008(しか)るにバラモン(けう)一派(いつぱ)(この)(しま)漂着(へうちやく)してより、009花森彦命(はなもりひこのみこと)子孫(しそん)なるアークス(わう)は、010三五(あななひ)(をしへ)()ててバラモン(けう)帰順(きじゆん)せしため、011住民(ぢうみん)上下(じやうか)区別(くべつ)なく、012(のこ)らずバラモンの(をしへ)帰順(きじゆん)して(しま)つた。013されど新高山(にひたかやま)以北(いほく)にのみアークス(わう)権力(けんりよく)も、014バラモンの教権(けうけん)(おこな)はれて()たのみで、015新高山(にひたかやま)以南(いなん)(すこ)しも勢力(せいりよく)(およ)ばなかつた。
016 真道彦(まみちひこ)(とほ)新高山(にひたかやま)()えて、017東南方(とうなんぱう)(あた)高原地(かうげんち)日月潭(じつげつたん)(きよ)(かま)へ、018東南西(とうなんせい)()教化(けうくわ)しつつありき。019(しか)るにアークス(わう)宰相(さいしやう)たるサアルボース兄弟(きやうだい)は、020(この)地点(ちてん)をも占領(せんりやう)第二(だいに)王国(わうこく)()てんと、021時々(ときどき)(へい)引連(ひきつ)れ、022玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)(むか)つて()めよせた。023されど竜世姫(たつよひめ)永久(とことは)(しづ)まり(たま)大湖水(だいこすゐ)(みなみ)()ゆることは容易(ようい)出来(でき)なかつた。
024 (ある)(とき)ホーロケースはバラモンの信徒(しんと)数多(あまた)引連(ひきつ)れ、025三五教(あななひけう)巡礼(じゆんれい)()をやつし、026玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)に、027雲霞(うんか)(ごと)押寄(おしよ)せ、028(すき)(うかが)つて真道彦命(まみちひこのみこと)生擒(せいきん)し、029一挙(いつきよ)全島(ぜんたう)占領(せんりやう)せむと(こころ)みつつあつた。030真道彦命(まみちひこのみこと)はホーロケースの悪竦(あくらつ)なる計画(けいくわく)前知(ぜんち)し、031数多(あまた)信徒(しんと)()(あつ)め、032言霊戦(ことたません)(もつ)て、033()れに(むか)ふこととなし、034玉藻山(たまもやま)山頂(さんちやう)に、035祭壇(さいだん)(あらた)(まう)けて、036()()(てき)(むか)つて、037言霊線(ことたません)発射(はつしや)しつつあつた。038され(ども)039バラモン(けう)のホーロケースは(すこ)しも(くつ)せず、040獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)(もつ)(おのおの)(かく)()つたる兇器(きようき)()(かざ)し、041(とき)(つく)つて一挙(いつきよ)(ほろ)ぼさむと()()んで()た。
042 真道彦(まみちひこ)()日楯(ひたて)043月鉾(つきほこ)()二人(ふたり)信神(しんじん)堅固(けんご)なる屈強(くつきやう)(ざか)りの二児(にじ)があつた。044(ちち)真道彦(まみちひこ)はホーロケースに(むか)つて、045言霊(ことたま)奏上(そうじやう)するや、046ホーロケースは(いか)つて、047真道彦(まみちひこ)胸板(むないた)長剣(ちやうけん)(もつ)()()し、048(この)()打殪(うちたふ)し、049凱歌(がいか)(そう)し、050(その)(いきほひ)天地(てんち)(ふる)(ばか)りであつた。051突刺(つきさ)されて(その)()(たふ)れた真道彦(まみちひこ)身体(しんたい)より白烟(はくえん)(たちま)濛々(もうもう)として(たち)あがり、052(うる)はしき女神(めがみ)となつて、053(くも)彼方(かなた)姿(すがた)(かく)した。
054 日楯(ひたて)055月鉾(つきほこ)兄弟(きやうだい)(ちち)真道彦(まみちひこ)行方不明(ゆくへふめい)となりしを(なげ)き、056如何(いか)にもして、057ホーロケースの一族(いちぞく)(ほろ)ぼし、058(ちち)(あだ)(はう)じ、059三五教(あななひけう)(をしへ)(ふたた)樹立(じゆりつ)せむと苦心(くしん)結果(けつくわ)060湖中(こちう)(うか)べる(たつ)(しま)(よる)(ひそ)かに()ぎつけ、061祈願(きぐわん)をこらして()た。062(この)(とき)(すで)玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)は、063ホーロケースの占領(せんりやう)する(ところ)となつて()た。064真道彦(まみちひこ)部下(ぶか)四方(しはう)散乱(さんらん)して、065(その)(かげ)さへも(とど)めなかつた。
066 (たつ)(しま)樹木(じゆもく)鬱蒼(うつさう)として、067湖水(こすゐ)中心(ちうしん)(うか)び、068周囲(しうゐ)(ほとん)一里(いちり)(ばか)りもある霊島(れいたう)であつた。069二人(ふたり)島山(しまやま)頂上(ちやうじやう)目蒐(めが)けて(のぼ)()く。070此処(ここ)高大(かうだい)なる巨岩(きよがん)(かべ)(ごと)立並(たちなら)び、071中央(ちうあう)(ひと)(はい)れる(ばか)りの岩穴(いはあな)()いて()た。072兄弟(きやうだい)(その)岩窟(がんくつ)(おも)はず(あし)()けた。073炎熱(えんねつ)()くが(ごと)(なつ)(そら)()()はれぬ(すず)しき(かん)ばしき(かぜ)074坑内(かうない)より(しき)りに()(きた)る。075二人(ふたり)(なん)となく(この)窟内(くつない)探険(たんけん)したき心持(こころもち)となつて、076(おも)はず()らず四五丁(しごちやう)(ばか)(おく)(すす)んで()つた。
077 (にはか)強烈(きやうれつ)なる光線(くわうせん)何処(いづこ)よりかさし()たる。078(ふり)かへり()れば、079最早(もはや)岩窟(がんくつ)終点(しうてん)()えて、080両方(りやうはう)(まる)天然(てんねん)(あな)穿(うが)たれ、081そこより太陽(たいやう)光線(くわうせん)直射(ちよくしや)してゐた。082あたりを()れば、083階段(かいだん)(ごと)きもの自然(しぜん)にきざまれてゐる。084日楯(ひたて)085月鉾(つきほこ)二人(ふたり)は、086(この)階段(かいだん)(のぼ)()め、087前方(ぜんぱう)(はる)かに見渡(みわた)せば、088紺碧(こんぺき)(なみ)(たた)へた玉藻(たまも)湖水(こすい)089(ちい)さき島影(しまかげ)彼方(あなた)此方(こなた)(うか)み、090(しろ)(つばさ)(ひろ)げたる数多(あまた)水鳥(みづどり)前後左右(ぜんごさいう)()()(さま)091(じつ)(うる)はしく、092二人(ふたり)(この)光景(くわうけい)見惚(みと)れて()た。093(とほ)()東南(とうなん)(そそ)げば、094玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)以前(いぜん)(まま)なれど、095ホーロケースが襲来(しふらい)せしより、096バラモン(けう)()(ところ)となり、097(なん)となく(うら)めしき心地(ここち)せられて、098(やや)今昔(こんじやく)(ねん)(しづ)()たり。
099日楯(ひたて)『オイ(おとうと)100(かく)(ごと)聖場(せいぢやう)(てき)蹂躙(じうりん)され、101父上(ちちうへ)行方不明(ゆくへふめい)とならせ(たま)ひ、102吾々(われわれ)兄弟(きやうだい)()置所(おきどころ)なく、103(やうや)くにして(この)(たつ)(しま)()(きた)りしものの、104(いま)安心(あんしん)する(ところ)へは()かない。105(まか)(ちが)へばバラモン(けう)奴原(やつばら)106(この)(しま)(まで)吾等(われら)(あと)追跡(つゐせき)(きた)るやも(はか)られ(がた)し、107吾等(われら)兄弟(きやうだい)(いま)此処(ここ)(おい)て、108三五教(あななひけう)大神(おほかみ)祈願(きぐわん)をこらし、109(うん)一時(いちじ)(けつ)せば如何(いか)に。110見下(みおろ)せば千丈(せんぢやう)断崖(だんがい)絶壁(ぜつぺき)111(かみ)祈願(きぐわん)をこめ、112(この)青淵(あをぶち)()()み、113生死(せいし)(ほど)(ため)()む。114万一(まんいち)吾等(われら)両人(りやうにん)生命(いのち)()()めなば、115(ふたた)三五教(あななひけう)(もと)(ごと)勢力(せいりよく)盛返(もりかへ)し、116バラモン(けう)一派(いつぱ)新高山(にひたかやま)北方(ほつぱう)追返(おひかへ)()む。117月鉾(つきほこ)118(なんぢ)如何(いか)(おも)ふや』
119決心(けつしん)(いろ)(あら)はして(はな)しかけた。
120月鉾(つきほこ)兄上(あにうへ)(あふ)せの(ごと)く、121これより天地神明(てんちしんめい)祈願(きぐわん)をこめ、122(この)断崖(だんがい)より湖中(こちう)()()み、123神慮(しんりよ)(うかが)()む』
124同意(どうい)(へう)し、125二人(ふたり)天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、126(この)()名残(なごり)(あま)数歌(かずうた)数回(すうくわい)繰返(くりかへ)(とな)へて()た。127(かたはら)密樹(みつじゆ)(かげ)より、
128(かみ)(おもて)(あら)はれて
129(ぜん)(あく)とを立別(たてわけ)
130(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
131(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
132(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
133直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
134()(あやま)ちは()(なほ)
135三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
136言依別(ことよりわけ)国依別(くによりわけ)
137(かみ)(つかさ)此処(ここ)()
138国治立大神(くにはるたちのおほかみ)
139(をしへ)(つた)ふる真道彦(まみちひこ)
140(もろ)くも(てき)聖地(せいち)()はれ
141玉藻(たまも)(やま)(あと)にして
142(くも)(かすみ)()()りぬ
143(あと)(のこ)りし兄弟(きやうだい)
144(ちから)(たの)(ちち)には(わか)
145(をしへ)御子(みこ)には見棄(みす)てられ
146寄辺渚(よるべなぎさ)捨小船(すてをぶね)
147()()聖地(せいち)立出(たちい)でて
148ここに荒波(あらなみ)(たつ)(しま)
149(なみだ)(あめ)()(なが)
150(この)岩窟(いはやど)(たづ)()
151玉藻(たまも)湖面(こめん)打眺(うちなが)
152感慨無量(かんがいむりやう)(おも)()
153(いま)生死(せいし)(けつ)せむと
154(おも)(わづら)(あは)れさよ
155日楯(ひたて)月鉾(つきほこ)両人(りやうにん)
156(かなら)(こころ)(なや)ますな
157(りう)(きう)との宝玉(ほうぎよく)
158御稜威(みいづ)()()()(きた)
159三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
160汝等(なれら)二人(ふたり)玉藻山(たまもやま)
161(もと)(むかし)恢復(くわいふく)
162(まこと)(みち)にバラモンの
163(てき)言向(ことむ)(やは)すてふ
164(うづ)神宝(しんぽう)(さづ)けなむ
165あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
166御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
167(うた)ひながら、168(この)()二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(あら)はれ(きた)り、169兄弟(きやうだい)(まへ)直立(ちよくりつ)して、170(かる)目礼(もくれい)した。
171 兄弟(きやうだい)(ゆめ)かと(ばか)打驚(うちおどろ)き、172平身(へいしん)低頭(ていとう)(やや)少時(しばし)173(なん)(いら)へもなく(ばか)り。174やうやうにして両人(りやうにん)(おもて)をあぐれば、175こはそも如何(いか)に、176二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(かげ)何処(どこ)()()せしか、177(やま)()()(かよ)(かぜ)(おと)颯々(さつさつ)(ひび)(わた)るのみなり。
178 これより二人(ふたり)兄弟(きやうだい)は、179勇気(ゆうき)日頃(ひごろ)百倍(ひやくばい)し、180(あま)数歌(かずうた)(うた)(なが)ら、181湖上(こじやう)(うか)べる島々(しまじま)(のこ)(くま)なく駆巡(かけめぐ)り、182二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)所在(ありか)(たづ)ねたれ(ども)183(いづ)れへ()きたりしか、184(その)(かげ)さへも()ることは出来(でき)なかつた。185されど二人(ふたり)(なん)となく勇気(ゆうき)()ち、186(ふたた)玉藻山(たまもやま)(むか)つて言霊戦(ことたません)開始(かいし)せむと、187湖水(こすゐ)()きつ(しづ)みつ、188七日七夜(なぬかななや)御禊(みそぎ)(しう)し、189言霊(ことたま)練習(れんしふ)全力(ぜんりよく)(つく)(こと)となつた。
190
191 セールス(ひめ)侍女(じぢよ)として(なが)(つか)()たるアークス(わう)落胤(らくいん)なるマリヤス(ひめ)は、192サアルボースの(やかた)()()で、193()()(つい)で、194新高山(にひたかやま)東南(とうなん)()え、195玉藻(たまも)湖辺(こへん)(めぐ)つて、196玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)(すく)はれて()た。197(しか)るに、198(この)(たび)のホーロケースの襲来(しふらい)()りて、199真道彦命(まみちひこのみこと)行方不明(ゆくへふめい)となり、200数多(あまた)部下(ぶか)四方(しはう)散乱(さんらん)し、201日楯(ひたて)202月鉾(つきほこ)二人(ふたり)はこれ(また)203行方不明(ゆくへふめい)となり、204進退(しんたい)(きは)まる(をり)しも、205ホーロケースに(とら)へられ、206散々(さんざん)責苦(せめく)()ひ、207(つひ)には一室(いつしつ)厳重(げんぢう)なる監視人(かんしにん)をつけ、208幽閉(いうへい)されにける。
209 ホーロケースは(あに)のサアルボースと相応(あひおう)じて、210(この)全島(ぜんたう)主権(しゆけん)(にぎ)らむと、211意気昇天(いきしようてん)(いきほひ)にて、212玉藻山(たまもやま)にバラモン(けう)聖場(せいぢやう)(ひら)き、213吾物顔(わがものがほ)()るまつて()た。214さうしてマリヤス(ひめ)幽閉(いうへい)し、215時々(ときどき)(その)居間(ゐま)(いた)りて、216強談判(こはだんぱん)開始(かいし)することもあつた。
217 (はな)(かは)つて、218マリヤス(ひめ)は、219悲歎(ひたん)(なみだ)()(なが)ら、220(ひとり)ごちつつ、221(こころ)()さを(うた)()たり。
222(みづ)(なが)れと(ひと)行末(ゆくすゑ)
223(かは)れば(かは)()(なか)
224遠津御祖(とほつみおや)(その)(みなもと)(たづ)ぬれば
225高天原(たかあまはら)のエルサレム
226花森彦(はなもりひこ)のエンゼルと
227(つか)(たま)ひし(わが)御祖(みおや)
228(うま)しの(みこと)御裔(みすゑ)なる
229アークス(わう)()(うま)
230浮世(うきよ)(しの)落胤(らくいん)
231(われ)果敢(はか)なき()因果(いんぐわ)
232高砂島(たかさごじま)所知食(しろしめ)
233カールス(わう)(いもうと)(うま)
234(こころ)(きた)なきサアルボースが(むすめ)
235セールス(ひめ)侍女(じぢよ)となり
236(しこ)(たく)みを(さぐ)らむと
237(ちち)御言(みこと)(かしこ)みて
238(こころ)(つく)折柄(をりから)
239セールス(ひめ)のあぢきなき
240(その)振舞(ふるまひ)()()てられ
241(いま)果敢(はか)なき独身(ひとりみ)
242行方(ゆくへ)()らぬ旅枕(たびまくら)
243(かみ)(なさけ)(たす)けられ
244真道彦神(まみちひこのかみ)(ひら)きます
245三五教(あななひけう)霊場(れいぢやう)
246(おと)(きこ)えし玉藻山(たまもやま)
247これの(やかた)(すく)はれて
248(たの)しき月日(つきひ)(おく)(をり)
249(つき)村雲(むらくも)(はな)には(あらし)
250浮世(うきよ)(かぜ)(あふ)られて
251今日(けふ)(かな)しき幽閉(いうへい)()
252あゝ(なん)とせむ(ただ)()(なみだ)
253かはき()てたる(ゆふ)まぐれ
254(こひ)しと(おも)月鉾(つきほこ)
255(かみ)(いづ)れにましますか
256親子(おやこ)兄弟(きやうだい)諸共(もろとも)
257夜半(よは)(あらし)()らされて
258行方(ゆくへ)()かぬ(たび)(そら)
259仮令(たとへ)何処(いづこ)にますとても
260マリヤス(ひめ)真心(まごころ)
261山野海河(やまのうみかは)幾千里(いくせんり)
262(へだ)つるとても(なん)のその
263(たづ)ねて()かむ(きみ)(そば)
264とは()(なが)(なさけ)()
265(こころ)(きた)なき醜神(しこがみ)
266ホーロケースに(とら)へられ
267(くら)一間(ひとま)幽閉(いうへい)されて
268面白(おもしろ)からぬ月日(つきひ)(おく)(わが)()(うへ)
269(あさ)(ゆふべ)(なみだ)(そで)(しぼ)りつつ
270(こひ)しき(ひと)行方(ゆくへ)(たづ)
271(ゆめ)になりとも(わが)()ふる
272月鉾(つきほこ)(かみ)()はせかしと
273木花姫(このはなひめ)御前(おんまへ)
274(いの)りし甲斐(かひ)もあら(かな)しや
275ホーロケースの横恋慕(よこれんぼ)
276牢獄(ひとや)(くら)(わが)居間(ゐま)
277()()(きた)りてかき口説(くど)
278(その)(こと)()(いや)らしさ
279()()りたくは(おも)(ども)
280(かみ)ならぬ()如何(いか)にせむ
281(のが)るる(よし)もなくばかり
282(こひ)しき(ひと)()まさずに
283(まむし)(ごと)()(きら)
284(しこ)曲霊(まがひ)執念深(しふねんぶか)
285(あさ)(ゆふ)なに()(ねら)
286バラモン(けう)神司(かむづかさ)
287(わが)()(つばさ)あるならば
288牢獄(ひとや)(まど)()()えて
289(こひ)しき(ぬし)御許(おんもと)
290天翔(あまかけ)()かむものを
291あゝもどかしや(くる)しや』と
292小声(こごゑ)になつて(なみだ)(とも)掻口説(かきくど)く。
293
294(をり)しもあれや館内(くわんない)(にはか)騒々(さうざう)しく
295数多(あまた)人々(ひとびと)右往左往(うわうさわう)()(まど)
296(その)様子(やうす)一方(ひとかた)ならざるに
297マリヤス(ひめ)は『真道彦命(まみちひこのみこと)
298味方(みかた)数多(あまた)引連(ひきつ)れて
299弔戦(とむらひいくさ)(むか)(たま)ひしか
300(ただし)日楯(ひたて)月鉾(つきほこ)二人(ふたり)
301数多(あまた)神軍(しんぐん)引率(いんそつ)して
302(ここ)(あら)はれ(たま)ひしか
303(なん)とはなしに()(こころ)
304(いさ)ましくなりぬ
305あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
306御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
307(おも)はず合掌(がつしやう)する。308其処(そこ)密室(みつしつ)()(あら)かに押開(おしあ)けて、309形相(ぎやうさう)(すさ)まじく()(きた)れるホーロケースは、
310『ヤア、311マリヤス(ひめ)312変事(へんじ)突発(とつぱつ)(いた)した。313サア()れに(つづ)いて(きた)れ』
314無理(むり)()(かか)へ、315(この)()()(いだ)さむとする(その)周章(あわて)加減(かげん)316マリヤス(ひめ)はキツとなり、
317()りにもバラモン(けう)神司(かむづかさ)318数多(あまた)部下(ぶか)引率(いんそつ)(たま)御身(おんみ)(もつ)て、319(その)周章(あわて)(かた)何事(なにごと)ぞ。320()()(しづ)まり(たま)へ。321様子(やうす)(うけたま)はりし(うへ)にては、322あなたの御後(おあと)(したが)ひ、323(まゐ)らうも()れませぬ』
324とワザとに落付払(おちつきはら)つて、325(とき)(うつ)さうとする。326ホーロケースは、
327(とき)(おく)れては一大事(いちだいじ)
328有無(うむ)()はせず、329小脇(こわき)にひんだき、330密室(みつしつ)駆出(かけいだ)さむとする(とき)しも、331日楯(ひたて)332月鉾(つきほこ)両人(りやうにん)は、333(りう)334(きう)(たま)威徳(ゐとく)(かん)じたりけむ、335身体(しんたい)より強烈(きやうれつ)なる五色(ごしき)(ひかり)放射(はうしや)(なが)ら、336(この)()(あら)はれ(きた)り、
337両人(りやうにん)『ヤア、338ホーロケース、339(しばら)()たれよ』
340(こゑ)をかけた。341ホーロケースは()けつ(まろ)びつ、342マリヤス(ひめ)(あと)(のこ)し、343数多(あまた)部下(ぶか)(とも)に、344(くも)(かすみ)夜陰(やいん)(まぎ)れ、345何処(いづこ)ともなく姿(すがた)(かく)した。
346月鉾(つきほこ)『あゝマリヤス(ひめ)殿(どの)347御無事(ごぶじ)御座(ござ)つたか、348芽出度(めでた)芽出度(めでた)い。349これと()ふも(まつた)く、350大神様(おほかみさま)御恵(おめぐ)み』
351両手(りやうて)(あは)せて、352感謝(かんしや)(なみだ)(なが)して()る。
353 マリヤス(ひめ)(ゆめ)(うつつ)(まぼろし)かと、354()()(ばか)(よろこ)(いさ)み、355あたりをキヨロキヨロ見廻(みまは)(なが)ら、356ヤツと(むね)()でおろし、
357マリヤス『(かな)しき(おそ)ろしき(くる)しき(ところ)へお()(くだ)さいまして、358(わたし)(すく)(たま)はり、359(うれ)しいやら、360有難(ありがた)いやら、361(なん)とも申上(まをしあ)ぐる言葉(ことば)御座(ござ)いませぬ。362……日楯(ひたて)(さま)363月鉾(つきほこ)(さま)364最早(もはや)(やかた)(うち)別状(べつじやう)御座(ござ)いませぬか』
365()ひつつ、366月鉾(つきほこ)にすがり()いた。
367月鉾(つきほこ)『マリヤス(ひめ)殿(どの)368御安心(ごあんしん)なさりませ。369最早(もはや)(てき)(のこ)らず散乱(さんらん)(いた)しました。370今後(こんご)警戒(けいかい)(もつと)肝要(かんえう)御座(ござ)います。371まづまづ御心(おこころ)落着(おちつ)けられよ』
372日楯(ひたて)『サアサア、373(みな)さま、374打揃(うちそろ)うて神前(しんぜん)天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)(いた)しませう』
375 (ここ)玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)(ふたた)び、376三五教(あななひけう)(かへ)り、377宏大(くわうだい)なる神殿(しんでん)造営(ざうえい)され、378日楯(ひたて)379月鉾(つきほこ)声名(せいめい)遠近(をちこち)()(ひろ)まり、380旭日昇天(きよくじつしようてん)(いきほひ)となり()たれり。381あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
382大正一一・八・六 旧六・一四 松村真澄録)
383(昭和一〇・六・六 王仁校正)