霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 高砂上陸(たかさごじやうりく)〔八二二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻 篇:第4篇 南米探険 よみ:なんべいたんけん
章:第22章 第28巻 よみ:たかさごじょうりく 通し章番号:822
口述日:1922(大正11)年08月10日(旧06月18日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年8月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫が甲板に来ると、常彦と春彦が手をつないで、歌い踊っている。二人は高姫に勘当されたお祝いに踊っているのだ、と高姫に答える。調子に乗っていると、春彦は足を踏み外して海に落ちてしまった。
常彦は声を限りに助けを求めると、船客の一人が綱に板切れをつけて放り投げ、春彦を助け上げた。常彦がよく見れば、それは国依別であった。国依別は高姫に悟られないようにと、常彦に釘を刺し、姿を隠した。
高姫は、自分に懸っている日の出神が春彦を助けたのだ、と意気を上げている。常彦はそんなはずはないと高姫に反論したが、高姫は怒って常彦の胸倉をとり、喉を締め付けた。常彦は悲鳴を上げる。
春彦は高姫の足をさらえた。今度は高姫が海中に落ちてしまった。常彦と春彦は、高姫に綱を投げて助け上げたが、高姫は日の出神に感謝する。高姫の傲慢な物言いに二人はあきれてしまうが、高姫がまた胸倉を取ったことで、また険悪になってしまう。
船が陸に着いた。高姫は面を膨らして一番に飛び出して行った。常彦と春彦もそっと後を追った。
船長のタルチールは息子に船を与えて船長とすると、言依別命と国依別と一緒に宣伝歌を歌いながら高砂島に進み入った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2822
愛善世界社版:274頁 八幡書店版:第5輯 451頁 修補版: 校定版:284頁 普及版:123頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)大勢(おほぜい)船客(せんきやく)(なか)(ただ)一人(ひとり)002(つら)をふくらして(すわ)つて()たが、003(あま)気分(きぶん)がすぐれぬので、004(ふたた)見晴(みは)らしよき甲板(かんばん)姿(すがた)(あら)はした。005そこには常彦(つねひこ)006春彦(はるひこ)両人(りやうにん)(しき)りに()をつないで、007(うた)(うた)(をど)(くる)うて()る。
008 高姫(たかひめ)()(かど)()て、009(おほ)きな(こゑ)で、
010『コレ常公(つねこう)011春公(はるこう)012千騎一騎(せんきいつき)(この)場合(ばあひ)013(なに)気楽(きらく)さうにグヅグヅ(をど)つて()るのだい。014チト(しつか)りしなさらぬかい』
015常彦(つねひこ)『ハーイ、016何分(なにぶん)五六七(みろく)()(すゑ)(まで)勘当(かんどう)()けたり、017勘当(かんどう)をした(いはひ)に、018空散財(からさんざい)をやつて()りますのだ。019(まへ)さまもそこで一組(ひとくみ)020(しな)よう(をど)つて御覧(ごらん)なさい。021随分(ずゐぶん)見晴(みは)らしのよい(この)甲板(かんばん)(うへ)で、022ソヨソヨ(かぜ)()(なが)(をど)つてゐるのは素的滅法界(すてきめつぽふかい)面白(おもしろ)いものですよ。023アハヽヽヽ』
024春彦(はるひこ)高姫(たかひめ)さま、025そんな(むつ)かしい(かほ)をせずに、026(なが)(うみ)(うへ)道中(だうちう)だ。027チツとは気楽(きらく)になりなさい。028(くるし)んでくらすのも、029(よろこ)んでくらすのも、030()くのも(おこ)るのもヤツパリ一日(いちにち)だよ。031ヤア面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、032ヤア常彦(つねひこ)033サア(をど)つたり(をど)つたり』
034(また)もや無茶苦茶(むちやくちや)に、035(めう)()つきし(なが)ら、036ステテコ(をどり)(はじ)()した。037高姫(たかひめ)()(かど)()(あし)ふみならし、
038『コレ常公(つねこう)039春公(はるこう)040(たれ)勘当(かんどう)すると()ひました。041(けつ)して高姫(たかひめ)(まを)しませぬよ。042あれはお(まへ)憑依(ひようい)してゐた副守護神(ふくしゆごじん)が、043(わたし)(くち)()つてあんな(こと)()つたのだ。044海洋万里(かいやうばんり)航海(かうかい)杖柱(つゑはしら)(たの)むお前達(まへたち)勘当(かんどう)して如何(どう)なるものか。045よう(かんが)へて御覧(ごらん)なさい』
046春彦(はるひこ)(なん)()つても、047こつちは荒男(あらをとこ)二人連(ふたりづれ)048(まへ)さまは何程(なんぼ)(つよ)(さう)(こと)()つても、049大体(だいたい)(をんな)だから、050(こころ)(さび)しくなつて()たので、051(また)そんな(こと)()つて旧交(きうかう)(あたた)めようとするのだらう。052(その)()には吾々(われわれ)だつて、053さう何遍(なんべん)()りませぬよ、054御生憎(おあひにく)さま、
055(いま)他人(たにん)ぢやホツチツチ
056一家(いつけ)になつたらかもてんか
057ウントコドツコイ高姫(たかひめ)さま
058ヤツトコドツコイ常彦(つねひこ)さま
059ゴテゴテ()ふと(おに)(わらび)がお見舞(みまひ)(まを)
060(あたま)のてつぺを春彦(はるひこ)さま
061アヽドツコイドツコイドツコイシヨ』
062調子(てうし)()つて(をど)(くる)ひ、063春彦(はるひこ)甲板(でつき)をふみはづし、064(さか)まく(なみ)にザンブと(ばか)落込(おちこ)んで(しま)つた。065常彦(つねひこ)甲板(でつき)(うへ)(みぎ)(ひだり)真青(まつさを)(かほ)をして、066キリキリと(くる)(まは)つた。067高姫(たかひめ)は、
068『コレ常彦(つねひこ)069何程(なにほど)キリキリ(まひ)(いた)しても、070(この)荒波(あらなみ)()()んだが最後(さいご)071到底(たうてい)(いのち)(たす)かりませぬ。072(あきら)めなさいよ。073それだから、074(あま)慢心(まんしん)をいたすと、075(さき)になりてからジリジリもだえを(いた)し、076キリキリ()ひをして(さわ)いでも(あと)(まつ)り、077そこになりてから何程(なにほど)(かみ)(いの)りたとて、078(かみ)はモウ()らぬぞよとお(ふで)()いてありませうがなア。079これを()御改心(ごかいしん)なされ。080()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(あご)をはづきなさるから、081こんな()()うのですよ、082サアこれから(わたし)絶対服従(ぜつたいふくじゆう)をなさるか。083()()らねば(また)春彦(はるひこ)(やう)神様(かみさま)()つて(はう)られますよ』
084 常彦(つねひこ)(みみ)にもかけず、085一生懸命(いつしやうけんめい)()をいらち、086(こゑ)(かぎ)りに、
087(たす)けてやつてくれーい』
088(さけ)んで()る。089船客(せんきやく)一人(ひとり)(なが)(つな)板片(いたぎれ)(くく)りつけ、090春彦(はるひこ)(なみ)(ただよ)()(はう)(むか)つて、091ハツシと()げた。092春彦(はるひこ)手早(てばや)(その)(いた)(くら)()いた。093船客(せんきやく)(ちから)(かぎ)りに(その)(つな)引寄(ひきよ)せ、094(やうや)くにして春彦(はるひこ)船中(せんちう)(すく)()げた。095常彦(つねひこ)(おほい)(よろこ)び、096(ただち)甲板(かんばん)(くだ)り、097春彦(はるひこ)(すく)()げたる船客(せんきやく)(そば)(はし)()り、098(こころ)(そこ)より(なみだ)(なが)して感謝(かんしや)する。099よくよく()れば、100(その)船客(せんきやく)国依別(くによりわけ)であつた。
101常彦(つねひこ)『ヤアあなたは国依別(くによりわけ)さま、102よくマア(たす)けてやつて(くだ)さいました』
103 国依別(くによりわけ)104()()(なが)ら、
105『モウチツと小声(こごゑ)()つて(くだ)さい。106高姫(たかひめ)さまの(みみ)這入(はい)ると(こま)るから………サア春彦(はるひこ)をお(まへ)(まか)すから、107介抱(かいほう)して()げて()れ。108そして高姫(たかひめ)国依別(くによりわけ)(この)(ふね)()つてゐると()(こと)()ふでないぞ』
109常彦(つねひこ)(けつ)して(けつ)して、110これ(だけ)御世話(おせわ)になつたあなたの御頼(おんたの)み、111(くび)千切(ちぎ)れても秘密(ひみつ)(まも)ります。112サア(はや)くあなたの居間(ゐま)御隠(おかく)(くだ)さい。113高姫(たかひめ)()りて()()つかると、114(また)一悶錯(ひともんさく)(おこ)りますから………』
115 国依別(くによりわけ)怱々(さうさう)姿(すがた)(かく)した。116そこへ高姫(たかひめ)がノソリノソリと(あら)はれ(きた)り、117矢庭(やには)春彦(はるひこ)横面(よこつら)()()打叩(うちたた)き、
118高姫(たかひめ)『コリヤ春彦(はるひこ)119しつかりせぬか。120()(たし)かに()て、121()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(つな)をかけて(たす)けてやつたぞよ。122モウ大丈夫(だいぢやうぶ)だ』
123 春彦(はるひこ)(なみ)にさらはれ、124半死半生(はんしはんしやう)(てい)になつてゐたが、125高姫(たかひめ)(なぐ)()けられて、126(やうや)()取直(とりなほ)し、
127春彦(はるひこ)『ヤア高姫(たかひめ)さま、128ヨウマアお(たす)(くだ)さいました。129オウお(まへ)常彦(つねひこ)130エライ御世話(おせわ)になりましたなア』
131常彦(つねひこ)『ナアニ、132(おれ)(たす)けたのぢやない。133あの(くに)イ……ドツコイ国人(くにびと)(にはか)(つな)()げて、134(まへ)(すく)つて(くだ)さつたのだよ』
135春彦(はるひこ)(その)(かた)はどこに()られるか、136(いのち)(おや)恩人(おんじん)137御礼(おれい)(まを)さねばならぬから、138一寸(ちよつと)()らして()れ』
139常彦(つねひこ)(その)(かた)はどつかへ姿(すがた)御隠(おかく)しになつた。140キツト神様(かみさま)(ちがひ)ない。141神様(かみさま)にお(れい)(まを)せば()いのだよ』
142高姫(たかひめ)春彦(はるひこ)(たす)けた(かた)は、143姿(すがた)()えなくなつただらう。144そら(その)(はず)よ。145()出神(でのかみ)(さま)人間(にんげん)姿(すがた)(あら)はし、146竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまが(うみ)(そこ)からお手伝(てつだ)(あそ)ばして、147高姫(たかひめ)家来(けらい)だと(おも)つて、148春彦(はるひこ)(たす)けて(くだ)さつたのだ。149甲板(かんばん)(うへ)から(この)高姫(たかひめ)はヂツとして調(しら)べて()つた。150それに間違(まちが)ひはあろまいがな。151……常彦(つねひこ)152それだから、153どこまでも(この)生宮(いきみや)(したが)うて()りさへすれば、154どこへ()つても大安心(だいあんしん)だと、155いつも()うて()かしてあるぢやないか』
156常彦(つねひこ)『ヘン、157(うま)(こと)仰有(おつしや)りますワイ。158春彦(はるひこ)(たす)けて()れたのは()出神(でのかみ)ぢや()りませぬぞ。159(くに)……(くに)……国治立尊(くにはるたちのみこと)(さま)御眷属(ごけんぞく)使(つか)うて(たす)けて(くだ)さつたのだ。160()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(かみ)(ばち)(あた)つたのだからと()つて、161袖手傍観(しうしゆばうくわん)(てい)()つてゐ(なが)ら、162()出神(でのかみ)さまと竜宮(りうぐう)さまがお(たす)(あそ)ばしたなどと、163(うま)(こと)仰有(おつしや)いますワイ。164自分(じぶん)(わる)(こと)(みな)(ひと)にぬりつけ、165(ひと)手柄(てがら)(みな)自分(じぶん)手柄(てがら)にせうと()ふ、166抜目(ぬけめ)のない高姫(たかひめ)さまだから、167(おそ)()ります。168アハヽヽヽ』
169春彦(はるひこ)『どちらに(たす)けて(もら)うたのか、170テンと(わけ)(わか)らぬよになつて()た。171()(かく)どちらでもよい、172(たす)けて()れた神様(かみさま)に、173これからは絶対服従(ぜつたいふくじゆう)をするのだ』
174高姫(たかひめ)()出神(でのかみ)(すく)はれたのだから、175(その)生宮(いきみや)たる高姫(たかひめ)にこれからは唯々諾々(ゐゐだくだく)として、176一言(ひとこと)理屈(りくつ)()はず、177仮令(たとへ)水火(すゐくわ)(なか)をくぐれと()つても、178(いのち)恩人(おんじん)()(こと)179神妙(しんめう)()きなされよ。180(また)慢心(まんしん)して一言(ひとこと)でも口答(くちごた)へをするが最後(さいご)181()つて()かされますで……』
182常彦(つねひこ)『アハヽヽヽ、183どこ(まで)高姫式(たかひめしき)だなア。184言依別(ことよりわけ)(さま)や、185国依別(くによりわけ)さまが愛想(あいさう)をつかして、186聖地(せいち)()()しなさつたのも無理(むり)はないワい。187本当(ほんたう)()(つよ)悪垂(あくた)(ばあ)ぢやなア』
188 高姫(たかひめ)189常彦(つねひこ)胸倉(むなぐら)をグツと()り、
190『コラ(つね)191()はしておけば際限(さいげん)もない雑言(ざふごん)無礼(ぶれい)192モウ了見(りやうけん)(いた)さぬぞや』
193(のど)をギユウギユウとしめつける。194数多(あまた)船客(せんきやく)総立(さうだち)となつて……乱暴(らんばう)(ばば)アもあるものだ……と(あき)れて()てゐる。195常彦(つねひこ)(くる)しき(ごゑ)(しぼ)(なが)ら、
196常彦(つねひこ)『ハヽ春彦(はるひこ)197タヽヽヽ(たす)けて()れ』
198(こゑ)もきれぎれに(さけ)んだ。199春彦(はるひこ)矢庭(やには)高姫(たかひめ)両足(りやうあし)をさらへた。200高姫(たかひめ)はモンドリ()つて、201海中(かいちう)にザンブと(ばか)()()んだ。
202 常彦(つねひこ)最前(さいぜん)国依別(くによりわけ)(のこ)しておいた板片(いたぎれ)(くく)つた(つな)高姫(たかひめ)目蒐(めが)けてパツと()げた。203高姫(たかひめ)手早(てばや)板子(いたご)にすがりついた。204春彦(はるひこ)205常彦(つねひこ)一生懸命(いつしやうけんめい)(つな)()ぐり、206(やうや)(すく)()げた。
207高姫(たかひめ)『アヽ()出神(でのかみ)さま、208ようマアお(たす)(くだ)さいました。209有難(ありがた)御座(ござ)います』
210()()つて(をが)んでゐる。
211常彦(つねひこ)『コレコレ高姫(たかひめ)さま、212()出神(でのかみ)ぢやない、213吾々(われわれ)両人(りやうにん)(この)(つな)()げて、214(まへ)生命(いのち)(たす)けたのだよ』
215高姫(たかひめ)『ソリヤ(なん)()(だい)それたことを()ふのだい。216人間(にんげん)がすると(おも)うてゐると、217量見(りやうけん)(ちが)ひますぞえ。218(みな)(かみ)からさされてをると()ふお(ふで)(なん)心得(こころえ)なさる。219()出神(でのかみ)さまが臨時(りんじ)にムサ(くる)しいお(まへ)肉体(にくたい)使(つか)うて御用(ごよう)をさして(くだ)さつたのだ。220(その)()出神(でのかみ)(さま)(すぐ)(この)高姫(たかひめ)肉体(にくたい)へお(しづ)まり(あそ)ばして御座(ござ)るから、221(この)高姫(たかひめ)(にく)(みや)(をが)みなさい。222アーア神界(しんかい)(こと)(わか)らぬ宣伝使(せんでんし)(こま)つた(もの)だ。223(なに)から(なに)まで実地(じつち)教育(けういく)をしてやらねばならぬとは、224()高姫(たかひめ)(ほね)()れた(こと)だワイ』
225 常彦(つねひこ)226春彦(はるひこ)(あま)りの(こと)(あき)()て、227両人(りやうにん)(くち)をポカンと()けて、
228『アハー』
229(あご)(はづ)れるような欠伸(あくび)をしてゐる。
230高姫(たかひめ)『コレコレそんな(おほ)きな(くち)()けると、231(あご)(はづ)れますぞえ。232(あま)りの(おほ)きなお仕組(しぐみ)で、233()いた(くち)がすぼまらず、234(あご)(はづ)れたり、235逆様(さかさま)になつて、236そこらあたりをのたくらねばならぬぞよと、237変性男子(へんじやうなんし)のお(ふで)立派(りつぱ)()いてあるだないか、238チト改心(かいしん)なされ。239神様(かみさま)結構(けつこう)御用(ごよう)をさせられ(なが)ら、240高姫(たかひめ)(たす)けてやつたなぞと、241(ゆめ)にも慢神心(まんしんごころ)()してはなりませぬぞ。242(つみ)(おも)いお前等(まへら)二人(ふたり)(しづ)(ところ)を、243()高姫(たかひめ)肉体(にくたい)(かみ)使(つか)うてまぢなうて(くだ)さつたのぢや。244高姫(たかひめ)(たす)けたのぢやない。245つまり高姫(たかひめ)犠牲的(ぎせいてき)行動(かうどう)()つて、246前達(まへたち)(うみ)におちて()(ところ)(たす)けて(いただ)いたのだ。247あゝ(なん)と、248神界(しんかい)御仕組(おしぐみ)人民(じんみん)では見当(けんたう)()れぬものだワイ。249サア常彦(つねひこ)250春彦(はるひこ)251()れで改心(かいしん)出来(でき)たでせう。252(この)(うへ)何事(なにごと)高姫(たかひめ)()(とほ)りにするのですよ』
253常彦(つねひこ)『ヘン』
254春彦(はるひこ)『ヒン、255馬鹿(ばか)にしてゐるワイ。256(おれ)両足(りやうあし)をかつさらへて()()んでやつたのだ。257(あま)(にく)らしいから……それに(かみ)がしたのだなどと、258都合(つがふ)()弁解(べんかい)して()れるワイ。259()()(とき)には高姫(たかひめ)さまの御託宣(ごたくせん)満更(まんざら)260無用(むよう)にはならぬ。261ハヽヽヽヽ』
262高姫(たかひめ)(かへる)(くち)から、263とうとう白状(はくじやう)しよつたなア。264(まへ)()生宮(いきみや)(あし)をさらへて、265(うみ)()()んだのだなア。266まてまて、267(こら)しめの(ため)制敗(せいばい)してやらう』
268(また)もや胸倉(むなぐら)をグツと()り、269()めつけようとする。
270常彦(つねひこ)『オイ高姫(たかひめ)さま、271()出神(でのかみ)(うつ)つたぞよ。272(まへ)両足(りやうあし)をさらへて、273(うみ)(なか)()()んでやらうか、274それが(いや)なら、275胸倉(むなぐら)(はな)してお(わび)をしたがよからうぞ』
276 高姫(たかひめ)()言葉(ことば)(おどろ)き、277胸倉(むなぐら)()つた()(はな)し、278(つら)ふくらし(なが)ら、279(また)もや甲板(かんばん)さして(のぼ)()く。280(ふね)(やうや)くにしてテルの(みなと)安着(あんちやく)した。281高姫(たかひめ)衆人(しうじん)押分(おしわ)け、282(あつ)かましく、283一番(いちばん)(ふね)()()した。284春彦(はるひこ)285常彦(つねひこ)(やや)(おく)れて上陸(じやうりく)した。286高姫(たかひめ)一生懸命(いつしやうけんめい)にテルの(みやこ)()して(はし)()く。287常彦(つねひこ)288春彦(はるひこ)両人(りやうにん)()えつ(かく)れつ、289高姫(たかひめ)(あと)()うて()く。
290 船長(せんちやう)のタルチールは副船長(ふくせんちやう)たる(わが)()のテルチルに(ふね)(あた)へ、291()(これ)船長(せんちやう)となし、292言依別命(ことよりわけのみこと)293国依別(くによりわけ)(とも)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、294高砂島(たかさごじま)何処(いづこ)ともなく、295(すす)()つた。296惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
297大正一一・八・一〇 旧六・一八 松村真澄録)