霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 空谷(くうこく)足音(そくいん)〔六二五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第17巻 如意宝珠 辰の巻 篇:第3篇 鬼ケ城山 よみ:おにがじょうざん
章:第14章 第17巻 よみ:くうこくのそくいん 通し章番号:625
口述日:1922(大正11)年04月23日(旧03月27日) 口述場所: 筆録者:東尾吉雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年1月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一方、青彦、夏彦、常彦は悦子姫らの後を追って、鬼ヶ城に進んできた。しかし烈風に吹き煽られて、深い谷間に転落し、足腰を痛めて苦しんでいた。そこへ、宣伝歌の声が近づいて来る。
三人は滑稽なやり取りをひとしきり行い、四つ這いになって険しい崖を上った。そこでは、悦子姫一行が、各々雑談に耽っていた。
加米彦は、途中で姿が見えなくなった青彦の噂をし、丹波村のお節のところに行ったのではないか、と勘ぐっている。
そこへ木の中から青彦が登場して、一行は合流する。青彦は、ウラナイ教から夏彦、常彦を引き抜いた顛末を一同に話す。一行はここで夜を明かしてから鬼ヶ城に進むこととして、野宿した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1714
愛善世界社版:212頁 八幡書店版:第3輯 602頁 修補版: 校定版:219頁 普及版:95頁 初版: ページ備考:
001(ころ)しも二月(にぐわつ)十五日(じふごにち)
002(あづま)(そら)(かがや)かし
003(やま)()()づる月影(つきかげ)
004三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
005(いろ)青彦(あをひこ)神司(かむつかさ)
006夏彦(なつひこ)常彦(つねひこ)ともなひて
007鬼ケ城山(おにがじやうざん)()(こも)
008八岐大蛇(やまたをろち)分霊(わけみたま)
009鬼熊別(おにくまわけ)一類(いちるゐ)
010言向(ことむ)(やは)皇神(すめかみ)
011(めぐ)みの(つゆ)(すく)はむと
012比沼(ひぬ)真名井(まなゐ)(あと)にして
013谷間(たにま)(ゆき)をみたけ(やま)
014(かは)()()(やま)()わたり
015立出(たちい)でたまふ悦子姫(よしこひめ)
016音彦(おとひこ)加米彦(かめひこ)三人(さんにん)
017あとを(たづ)ねて(はし)()
018見渡(みわた)(かぎ)(やま)(やま)
019()黄昏(たそがれ)(ちか)づきて
020(ねぐら)たづぬる群烏(むらがらす)
021熊鷹(くまたか)(とんび)百鳥(ももどり)
022(おのおの)すみかへ(かへ)()
023(とき)しもあれや忽然(こつぜん)
024()()烈風(れつぷう)()(あふ)られて
025青彦(あをひこ)夏彦(なつひこ)常彦(つねひこ)
026(ふか)谿間(たにま)転落(てんらく)
027(あし)をいためつ(こし)()
028(くる)しみ(もだ)ゆる(をり)からに
029遠音(とほね)(きこ)ゆる宣伝歌(せんでんか)
030木霊(こだま)にひびきて三人(さんにん)
031鼓膜(こまく)をかすめ(おく)()る。
032青彦(あをひこ)『アヽ大変(たいへん)(こと)であつたワイ。033レコード(やぶ)りの烈風(れつぷう)()()らされ、034千仭(せんじん)谷間(たにま)陥落(かんらく)少々(せうせう)(こし)()ち、035(しばら)くは()(まはか)して()たが、036宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(みみ)(かすか)にひびき、037これでどうやら此方(こつち)のものらしい気分(きぶん)がして()た。038夏彦(なつひこ)039常彦(つねひこ)040(まへ)はどうだ。041何処(どこ)怪我(けが)()かつたか』
042夏彦(なつひこ)其処(そこ)一面(いちめん)真暗(まつくら)がりになつて、043大蛇(をろち)(やつ)044大空(おほぞら)から(おほ)きな(した)()し、045中天(ちうてん)にぶら(さが)つた(とき)(おそ)ろしさ、046それから(あと)はどう()つたか、047一向(いつかう)(おぼ)えて()りませぬが、048どうやら(あし)(くじ)いたらしい。049(かかと)がキクキクと(いた)()した。050一体(いつたい)此処(ここ)何処(どこ)でせうな』
051青彦(あをひこ)此処(ここ)矢張(やつぱり)三嶽山(みたけやま)谷底(たにそこ)ぢや。052オイ常彦(つねひこ)053(まへ)はどうぢや』
054常彦(つねひこ)『いや()うも()うも()りませぬ(わい)055(いた)いと()つても、056(くる)しいと()つても、057コンナ非道(ひど)()にあふのなら、058矢張(やつぱり)黒姫(くろひめ)御用(ごよう)をきくのだつたに、059丹波村(たんばむら)(わか)れた(とき)060黒姫(くろひめ)(やつ)(おほ)きな()をむきよつて、061(いや)らしい(わら)(がほ)をして()きよつたが、062その(わら)ひには(たし)かに貴様等(きさまら)(おれ)(そむ)くと、063谷底(たにそこ)()ちてエライ()()ふぞよといふ、064()はず(かた)りの(いろ)()えて()つた、065アーアー膝節(ひざぶし)()けた(やう)だ。066ウラナイ(けう)大神様(おほかみさま)067(まこと)心得(こころえ)(ちが)ひを(いた)しました。068どうぞお(ゆる)(くだ)さいませ』
069青彦(あをひこ)『アハヽヽヽ、070よう精神(せいしん)動揺(どうえう)する(やつ)ぢやなア、071貴様(きさま)信仰(しんかう)は、072砂上(さじやう)楼閣(ろうかく)073風前(ふうぜん)灯火(ともしび)同様(どうやう)だ』
074夏彦(なつひこ)『こいつは風前(ふうぜん)灯火(ともしび)では()うて風後(ふうご)変心(へんしん)ですよ。075アハヽヽヽ。076モシモシ青彦(あをひこ)さま、077三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)益々(ますます)近寄(ちかよ)つて()るぢやありませぬか。078此方(こちら)から(ひと)(おほ)きな(こゑ)()して合図(あひづ)をしたらどうでせう』
079青彦(あをひこ)『あれは(たし)かに悦子姫(よしこひめ)さまの御一行(ごいつかう)らしい。080コンナ谷底(たにそこ)()()ばされ、081名自(めいめい)怪我(けが)をしてみつともない。082自分(じぶん)怪我(けが)自分(じぶん)処置(しよち)せなくては()るまい。083卑怯(ひけふ)未練(みれん)にも(ひと)(すく)ひを(もと)めるとは、084男子(だんし)()()(ところ)だ。085それよりも此方(こちら)から(こゑ)(たづ)ねて()かけたらどうだ』
086常彦(つねひこ)()かけると()つた(ところ)で、087(ひざ)()けて(しま)ひ、088コンパスの使用(しよう)不可能(ふかのう)()つて()るのにどうして(ある)けませうか』
089夏彦(なつひこ)馬鹿(ばか)()ふな、090(おれ)だつて(あし)(いた)い、091青彦(あをひこ)さまだつて(こし)(ほね)(くじ)いて御座(ござ)るのだ。092コンナ(ところ)弱音(よわね)()いて(たま)るものかい。093何事(なにごと)精神(せいしん)()つのだ。094七尺(しちしやく)男子(だんし)が、095身体(からだ)一箇所(いつかしよ)二箇所(にかしよ)怪我(けが)したと()つて、096屁古垂(へこた)れるといふ(こと)()るものか。097(かへる)蜥蜴(とかげ)()い、098身体(からだ)半分(はんぶん)(くらゐ)()られても、099平気(へいき)でピヨコピヨコ()ンで()るではないか。100兎角(とかく)人間(にんげん)精神(せいしん)第一(だいいち)ぢや、101サアサア()かう』
102常彦(つねひこ)『ソンナ(こと)()つたつて、103(うご)かぬぢやないか』
104夏彦(なつひこ)(おれ)(やう)(こし)(まが)つた中年寄(ちうとしより)が、105(あし)怪我(けが)してもこれ()けの元気(げんき)だ。106それに(なん)だ。107(わか)屈強(くつきやう)(ざか)りの()(もつ)て、108モウ(うご)かぬの(うご)けぬのと、109(よわ)(こと)()ふない』
110常彦(つねひこ)『ハヽヽヽ、111(おれ)天下無双(てんかむさう)豪傑(がうけつ)だ、112信仰心(しんかうしん)磐石(ばんじやく)(ごと)く、113チツトも(うご)かぬ。114(まこと)生粋(きつすゐ)日本魂(やまとだましひ)だ。115如何(いか)なる難局(なんきよく)にブツカツても動揺(どうえう)しないと()代物(しろもの)だからな』
116夏彦(なつひこ)『ヘン、117(くち)(ばか)黒姫(くろひめ)仕込(じこ)みだけあつて、118仰有(おつしや)います(わい)119貴様(きさま)信仰(しんかう)はガタガタ(ぶる)ひの動揺(どうえう)(ぶる)ひだが、120(うご)かぬのは親譲(おやゆづ)りの交通機関(かうつうきくわん)(ばか)りだらう。121グズグズ(ぬか)すと邪魔(じやま)(くさ)いから、122谷底(たにそこ)にホツトイてやるぞ。123サアサア青彦(あをひこ)さま、124此奴(こいつ)矢張(やつぱり)黒姫党(くろひめたう)だ。125見捨(みす)てて(まゐ)りませうか』
126青彦(あをひこ)常彦(つねひこ)さまの(あし)()つやうに、127鎮魂(ちんこん)(ねが)ひませうか』
128夏彦(なつひこ)『イヤもう結構(けつこう)129コンナ(やつ)鎮魂(ちんこん)して、130(あし)でも()つたが最後(さいご)131(また)もや黒姫(くろひめ)(ところ)信仰(しんかう)逆転(ぎやくてん)旅行(りよかう)早変(はやがは)り、132膺懲(こらしめ)()めに、133御筆先(おふでさき)(どほ)り、134改心(かいしん)(いた)さぬと谷底(たにそこ)(おと)すぞよ。135(おと)して()きませう』
136常彦(つねひこ)『アハヽヽヽ、137(うそ)(うそ)だ、138ドツコも()()()いた(ほど)怪我(けが)()いのだよ。139完全無欠(くわんぜんむけつ)ネツトプライスの完全体(くわんぜんたい)だ。140(おほ)きに色々(いろいろ)御心配(ごしんぱい)をかけました。141サアサア(まゐ)りませう、142二人(ふたり)のお(かた)143(わたくし)(あと)()いてうせやがれ』
144夏彦(なつひこ)『ヤイ常彦(つねひこ)145(おれ)何程(なにほど)(きたな)言葉(ことば)使(つか)うても、146友達(ともだち)(なか)だから(かま)はないが、147ソンナ(こと)()うと、148青彦(あをひこ)さまに御無礼(ごぶれい)ぢやぞ。149(すみや)かに()(なほ)さぬかい』
150常彦(つねひこ)(はじ)めのは青彦(あをひこ)さまに(たい)して御叮嚀(ごていねい)申上(まをしあ)げたのだ。151()いてうせやがれと()うたのは御註文(ごちうもん)(どほ)貴様(きさま)()つたのだ。152アハヽヽヽ』
153夏彦(なつひこ)(おれ)もお(かげ)(のみ)()(ほど)怪我(けが)()い。154(おほ)きに御心配(ごしんぱい)をかけました』
155青彦(あをひこ)『アヽ(わたくし)大丈夫(だいぢやうぶ)だ。156サアサア()かう』
157常彦(つねひこ)『モシモシ青彦(あをひこ)さま、158貴方(あなた)最前(さいぜん)159(こし)()けたと仰有(おつしや)つたぢや()りませぬか。160あれは(うそ)でしたか。161宣伝使(せんでんし)たるものが、162()りにも(うそ)()いて()いのですか』
163青彦(あをひこ)(こし)()けかけたと()うたのは、164常彦(つねひこ)さまの信仰(しんかう)(こし)()けさうだと()つたのだよ。165まかり(ちが)へばまたもやウラナイ(けう)逆転(ぎやくてん)する(ところ)でしたね』
166常彦(つねひこ)三五教(あななひけう)入信(はい)つてから、167三嶽山(みたけやま)()(はな)しを(ある)いて()つた(とき)168大変(たいへん)大風(おほかぜ)169脚下(あしもと)はヨロヨロ、170両方(りやうはう)千仭(せんじん)谷間(たにま)171これやテツキリ三五教(あななひけう)ぢやない、172アブナイ(をしへ)ぢやと(おも)つて、173怖々(こわごわ)(ある)いて()ると、174(たちま)一陣(いちぢん)烈風(れつぷう)()(まく)られ、175空中(くうちう)幾回(いくくわい)となく逆転(ぎやくてん)して(つひ)にこの谷底(たにそこ)無事(ぶじ)着陸(ちやくりく)176これ()逆転(ぎやくてん)修行(しうぎやう)をすれば、177モウ(この)(うへ)逆転(ぎやくてん)()()りです。178御安心(ごあんしん)して(くだ)さいませ』
179夏彦(なつひこ)常彦(つねひこ)安心(あんしん)して()れも()加減(かげん)なものだ。180常平常(つねへいぜい)から(こころ)(きま)らぬ(やつ)で、181(きつね)(やう)(うそ)(ばか)()ふから、182同僚間(どうれうかん)から、183彼奴(あいつ)狐彦(きつねひこ)だと()つて()るのを()らぬのか』
184常彦(つねひこ)狐彦(きつねひこ)でも狸彦(たぬきひこ)でも、185(かま)御無用(ごむよう)186サアサア狐彦(きつねひこ)山中(さんちう)勝手(かつて)をよく()つて()ります。187(きつね)(あと)から(うま)()るのだよ』
188青彦(あをひこ)『アハヽヽヽ』
189 三人(さんにん)月夜(つきよ)(さいは)ひ、190()()ひに()つて(けは)しき山腹(さんぷく)()(のぼ)る。191こちらには悦子姫(よしこひめ)一行(いつかう)192皎々(かうかう)たる満月(まんげつ)(なが)め、193山上(さんじやう)(いは)(おのおの)(こし)()()け、194雑談(ざつだん)(ふけ)()る。
195音彦(おとひこ)今日(けふ)暴風(ばうふう)といつたら()うだらう、196真黒(まつくろ)けの(くも)(なか)より、197大蛇(をろち)(やつ)198(おつ)芸当(げいたう)(えん)じやがる。199(かぜ)()いて()いて()()くる。200イヤもう落花狼藉(らくくわらうぜき)201修羅道(しゆらだう)旅行(りよかう)のやうだつたね。202加米彦(かめひこ)二百十日(にひやくとをか)だなぞと、203大風呂敷(おほぶろしき)(ひろ)げるものだから、204アンナ(こと)突発(とつぱつ)したのでせう。205何事(なにごと)言霊(ことたま)(さちは)()(なか)206言霊(ことたま)(つつし)まねばなりませぬなア』
207悦子姫(よしこひめ)『さうですとも、208言霊(ことたま)天照(あまて)(くに)209言霊(ことたま)(たす)くる(くに)210言霊(ことたま)(いけ)(くに)ですもの』
211加米彦(かめひこ)『ヤア悦子姫(よしこひめ)さま有難(ありがた)う。212只今(ただいま)(かぎ)り、213(あく)言霊(ことたま)停電(ていでん)(めい)じます。214どうぞ今日(けふ)のところ見直(みなほ)して(くだ)さいませ。215それについても青彦(あをひこ)はどうして()るのだらう。216三嶽山(みたけやま)(のぼ)(ぐち)まで()いて()よつたが、217(はやし)(なか)小便(こよう)にでも()くやうな(かほ)をして、218それきり姿(すがた)()せぬぢやありませぬか。219大方(おほかた)丹波村(たんばむら)のお(せつ)さまの(ところ)へでも()つたのぢや()るまいかなア。220青彦(あをひこ)()(あひだ)221真名井ケ原(まなゐがはら)(うづ)宝座(ほうざ)(まへ)で、222(せつ)(かほ)(あな)のあく(ほど)(なが)めて()た。223さうしてお(せつ)さまは()(をんな)だ、224()(をんな)だと、225口癖(くちぐせ)のやうに執着心(しふちやくしん)発揮(はつき)して()たから、226大方(おほかた)今頃(いまごろ)は、227(せつ)(ひざ)(まくら)に、228夜中(やちう)(ゆめ)でも()()るのでせう』
229音彦(おとひこ)『ナニ、230ソンナ(こと)()るものか。231深山(しんざん)(こと)だから、232吾々(われわれ)一行(いつかう)姿(すがた)見失(みうしな)ひ、233(まよ)うて()るのかも()れない。234都合(つがふ)()れば、235吾々(われわれ)よりも(さき)()つて()るかも(わか)らない。236さう断定的(だんていてき)判断(はんだん)(くだ)すものぢやないよ』
237加米彦(かめひこ)貧乏人(びんばふにん)材木屋(ざいもくや)だ。238ワルぎを(まは)すのだ。239アハヽヽヽ。240青彦(あをひこ)青瓢箪彦(あをべうたんひこ)241実際(じつさい)(なに)をして()るのだ。242(なん)だか()らぬが、243(わし)胸騒(むなさわ)ぎがして、244(さる)小便(せうべん)ぢや()いが、245きにかかつて仕方(しかた)がない』
246 青彦(あをひこ)247()(しげ)みより、
248加米彦(かめひこ)さま、249心配(しんぱい)有難(ありがた)う』
250加米彦(かめひこ)『ヤア、251(なん)ぢや、252姿(すがた)()いのに(こゑ)(ばか)(きこ)えてゐるぞ。253ハヽア(わか)つた、254途中(とちう)(おい)鬼熊別(おにくまわけ)部下(てした)奴等(やつら)に、255岩窟(がんくつ)()()まれ、256散々(さんざん)にさいなまれて生命(いのち)()られ、257幽霊(いうれい)()つて()けて()よつたのだ。258杜鵑(ほととぎす)ぢやないが、259(こゑ)()けども姿(すがた)()えずぢや、260エーイ、261ケツタイの(わる)(よさ)だ。262音彦(おとひこ)さま、263(しつか)りせぬと青彦(あをひこ)(あを)(あを)(かほ)をして、264ヒユードロドロとやつて()ますぜ』
265音彦(おとひこ)加米彦(かめひこ)266(まへ)随分(ずゐぶん)元気(げんき)(をとこ)ぢやが、267()んだ(もの)何故(なぜ)そのやうに(こわ)いのか。268(こわ)いものは()()(なか)人間(にんげん)(ばか)りだ。269人間(にんげん)(くらゐ)(こわ)(もの)()いぞ。270仮令(たとへ)幽霊(いうれい)()たつて、271人間(にんげん)()んだのぢや()いか。272マア()()()けたらどうだ、273(なに)をビクビク(ふる)うて()るのだ』
274 ()(なか)より夏彦(なつひこ)(こゑ)
275(なつ)276(なつ)277(なつ)278夏彦(なつひこ)幽霊(いうれい)ぢや。279青彦(あをひこ)(あを)()(とも)して、280(たに)(そこ)幽霊(いうれい)()つて()るわいのう。281加米(かめ)さまが(こひ)しいから、282(いま)()にかかる。283夏彦(なつひこ)一足先(ひとあしさき)()つて偵察(ていさつ)をして()いと仰有(おつしや)つた。284ヒユードロドロ ドロドロ』
285(こし)(かが)みた夏彦(なつひこ)加米彦(かめひこ)(まへ)(かみ)をサンバラにし、286(めう)手真似(てまね)をして(あらは)れた。287加米彦(かめひこ)は、
288『キヤツ』
289一声(ひとこゑ)(こし)()かし、
290『ヤイヤイ、291貴様(きさま)幽霊(いうれい)乾児(こぶん)か。292アヽもう仕方(しかた)()い。293青彦(あをひこ)()()うて()れ、294()にかかつたも同然(どうぜん)ぢや。295御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)いが、296(いま)では無事(ぶじ)(くら)して()る。297黄泉(あのよ)()つたらもう仕方(しかた)()い。298(おれ)執着心(しふちやくしん)(おこ)さずに、299トツトと神界(しんかい)()けと伝言(ことづて)をして()れ、300(なん)だ、301(まへ)(こし)はよう(まが)つて()るぢやないか、302幽霊(いうれい)のお(ぢい)さまだらう、303サアサア、304トツトと()ンだり()ンだり』
305悦子姫(よしこひめ)『ホヽヽヽヽ』
306紫姫(むらさきひめ)『ホヽヽヽヽ』
307加米彦(かめひこ)『エーエー、308イヤらしい(こゑ)()して、309コンナ(やま)(うへ)で、310おいて(くだ)さいな』
311 青彦(あをひこ)この()にヌツと(あら)はれ、
312『アハヽヽヽ、313これはこれは悦子姫(よしこひめ)(さま)314()たせ(いた)しました。315ヤア音彦(おとひこ)さま、316加米彦(かめひこ)さま、317()まなかつた。318()なれぬ御女中(おぢよちう)沢山(たくさん)のお(とも)()られますが、319(いづ)れの(かた)ですか。320これはこれは(はじ)めてお()(かか)ります。321どうか御昵懇(ごぢつこん)(ねが)ひます』
322加米彦(かめひこ)『アハヽヽ、323オイ青彦(あをひこ)324貴様(きさま)谷底(たにそこ)(かぜ)()()ばされて、325蟄居(ちつきよ)して()よつたのだな、326(せつ)(なん)()つた。327加米(かめ)さまに(よろ)しう、328どうぞ一時(いちじ)(はや)鬼ケ城(おにがじやう)魔神(まがみ)言向(ことむ)(やは)し、329(やさ)しい加米(かめ)さまのお(かほ)(をが)まして(くだ)さいと、330伝言(ことづて)をして()つただらう』
331音彦(おとひこ)『オイ加米彦(かめひこ)332()うだ、333(にはか)元気(げんき)づいたぢやないか』
334加米彦(かめひこ)『あまり退屈(たいくつ)なから、335(ひと)臆病者(おくびやうもの)演劇(しばゐ)をして、336悦子姫(よしこひめ)さまなり、337紫姫(むらさきひめ)さまのお(なぐさ)みに(きよう)したのだ。338アハヽヽヽ』
339 一同(いちどう)(こゑ)(そろ)へて(わら)ひこける。
340青彦(あをひこ)悦子姫(よしこひめ)さま、341音彦(おとひこ)(さま)にお(ねが)ひが御座(ござ)います。342どうぞ御聴(おき)(とど)(くだ)さいませぬか』
343悦子姫(よしこひめ)『これは(また)(あらた)まつたお言葉(ことば)344(ねが)ひとは何事(なにごと)御座(ござ)います』
345青彦(あをひこ)『ハイ、346(いぬ)()二匹(にひき)(ひろ)つて()ました』
347音彦(おとひこ)()(いぬ)何処(どこ)()るのだ』
348 青彦(あをひこ)は、
349『ハイ』
350()(なが)ら、351夏彦(なつひこ)352常彦(つねひこ)(ゆび)さし、
353『これで御座(ござ)います』
354夏彦(なつひこ)『エイ、355殺生(せつしやう)な』
356常彦(つねひこ)(あを)サン、357(あんま)馬鹿(ばか)にして(もら)ふまいかい。358ソンナ(こと)()うと、359(せつ)(こと)素破抜(すつぱぬ)かうか』
360青彦(あをひこ)『ハヽヽヽ、361前達(まへたち)両人(りやうにん)(たい)只今(ただいま)より嵌口令(かんこうれい)()く。362(しばら)沈黙(ちんもく)するのだよ』
363加米彦(かめひこ)『ワハヽヽヽヽ、364(なん)だか意味(いみ)ありげな()()光景(くわうけい)だ。365ナニ、366加米彦(かめひこ)(ゆる)す。367二匹(にひき)(いぬ)とやら、368充分(じゆうぶん)(ほえ)(ほえ)吠立(ほえた)てるのだよ』
369青彦(あをひこ)『エヽ(やかま)しい。370(おれ)口切(くちき)りする(まで)371(だま)つて()いて()らう。372エヽ悦子姫(よしこひめ)さま、373(じつ)はこの(をとこ)二人(ふたり)は、374ウラナイ(けう)黒姫(くろひめ)四天王(してんわう)()ばれたる、375(その)(うち)二人(ふたり)で、376夏彦(なつひこ)377常彦(つねひこ)()(がう)(もの)御座(ござ)います。378さうした(ところ)黒姫(くろひめ)内幕(うちまく)をすつかり看破(かんぱ)し、379三五教(あななひけう)教理(けうり)優秀(いうしう)なる(こと)を、380(こころ)(そこ)より(さと)りまして、381どうぞ入信(にふしん)させて()れいと、382(いぬ)つく()いになつて、383低頭平身(ていとうへいしん)嘆願(たんぐわん)(いた)しますので、384(もの)(あは)れを()吾々(われわれ)385さう無情(むげ)見捨(みす)ても()らず、386貴方(あなた)がたにお目玉(めだま)頂戴(ちやうだい)するかも()れぬと、387(おそ)(おそ)此処(ここ)まで()れて(まゐ)りました。388(しか)(なが)何時(なんどき)(いま)(かた)信仰(しんかう)がグラツイて、389(もと)古巣(ふるす)()()つて()ぬかも()れませぬ、390その(だん)保証(ほしよう)出来(でき)ないので、391イヌものと覚悟(かくご)し、392二匹(にひき)(いぬ)申上(まをしあ)げました』
393加米彦(かめひこ)『オイ青彦(あをひこ)さま、394言霊(ことたま)(わる)いぞ、395()(なほ)()(なほ)せ』
396悦子姫(よしこひめ)『オホヽヽヽ』
397音彦(おとひこ)(すぐ)真似(まね)をしよるなア、398アハヽヽヽ、399()()()ひと()けて()ました。400(いま)から()けば途中(とちう)()()けますまいから、401一同(いちどう)此処(ここ)(ゆつ)くりと休息(きうそく)し、402明日(あす)黎明(よあけ)()つて、403鬼ケ城(おにがじやう)立向(たちむか)(こと)(いた)しませうか』
404悦子姫(よしこひめ)『アヽそれが(よろ)しからう。405紫姫(むらさきひめ)さま、406(わたし)(そば)でお(やす)(くだ)さい』
407紫姫(むらさきひめ)有難(ありがた)御座(ござ)います』
408と、409一同(いちどう)(ひぢ)(まくら)に、410(つき)(ひかり)()びて、411(みの)()きゴロリと(よこ)たはる。412(たちま)(きこ)ゆる(いびき)(こゑ)413無心(むしん)(つき)は、414一行(いつかう)頭上(づじやう)をにこにこ(わら)(なが)射照(いて)らし()る。
415大正一一・四・二三 旧三・二七 東尾吉雄録)
   
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