霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 偽恋(にせこひ)〔一一〇七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第1篇 天空地平 よみ:てんくうちへい
章:第3章 第41巻 よみ:にせこい 通し章番号:1107
口述日:1922(大正11)年11月10日(旧09月22日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ユーフテスは王に一喝されて自宅に戻り、思案に暮れていた。すると番頭が、門前に美人が現れて手紙をユーフテスに渡してくれと言っているという。ユーフテスが手紙を開いて見ると、それはセーリス姫からの恋文だった。
ユーフテスは、門番に命じてセーリス姫を室内に呼び出させた。セーリス姫はユーフテスに気があるような素振りをし、右守カールチンのたくらみをすっかり聞き出してしまった。そして明日また登城してから会う約束をしてその日は別れた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4103
愛善世界社版:40頁 八幡書店版:第7輯 544頁 修補版: 校定版:41頁 普及版:19頁 初版: ページ備考:
001 セーラン(わう)一喝(いつかつ)にあひ、002悄然(せうぜん)として早々(さうさう)城内(じやうない)()(かへ)り、003自宅(じたく)(おく)()()()んで思案(しあん)()れて()るのは、004当時(たうじ)城内(じやうない)にては()(とり)(おと)すやうな勢力(せいりよく)(さかん)なる右守(うもり)(かみ)カールチンの家老職(からうしよく)ユーフテスである。005そこへ番頭(ばんとう)のコールが、006(あわただ)しく()(きた)り、
007『もしもし旦那様(だんなさま)008門前(もんぜん)素敵滅法界(すてきめつぱふかい)美人(びじん)(あら)はれまして、009(この)手紙(てがみ)旦那様(だんなさま)(わた)して()れと(まを)しました。010さうして直様(すぐさま)御返事(ごへんじ)(いただ)きたいとの(こと)(ござ)います。011随分(ずゐぶん)旦那様(だんなさま)(かた)くるしいお(かた)のやうで(ござ)いますが、012○○の(みち)(また)格別(かくべつ)()えますなア。013本当(ほんたう)油断(ゆだん)がなりませぬわい』
014とニヤリと(わら)ひ、015一通(いつつう)手紙(てがみ)をユーフテスに(わた)す。016ユーフテスは、
017『コール、018(なん)()失礼(しつれい)(こと)(まを)すか、019ちと心得(こころえ)たがよからうぞよ』
020『ハイ、021承知(しようち)(いた)しました。022コールからキツト心得(こころえ)ます、023イヒヽヽヽ』
024(ちひ)さく(わら)ひながら、025(うづくま)つて(ひか)へて()る。026ユーフテスは手早(てばや)(その)信書(しんしよ)()(ひら)(あらた)()れば、
 
027(わたし)貴方様(あなたさま)幾度(いくたび)御親切(ごしんせつ)なお手紙(てがみ)(いただ)きましたセーリス(ひめ)(ござ)ります。028早速(さつそく)返事(へんじ)申上(まをしあ)げたいのは山々(やまやま)(ござ)いましたが、029(なに)()うても人目(ひとめ)(せき)(へだ)てられ、030()ゆる(おも)ひを()(かく)し、031今日(こんにち)(まで)(こら)(しの)んで(まゐ)りましたが、032もはや(こひ)(ほのほ)()()かれ()つても()てもゐられなくなつて()ました。033それ(ゆゑ)(をんな)()をもつて御迷惑(ごめいわく)とは(ぞん)じながら人目(ひとめ)(しの)びお(した)(まを)して(まゐ)つたので(ござ)います。034何卒(なにとぞ)御迷惑(ごめいわく)(ござ)いませうが、035一目(ひとめ)()はして(くだ)さいませぬか。036(わらは)はお返事(へんじ)のある(まで)表門(おもてもん)にお()(まを)して()ります。037一時(いちじ)(はや)(いろ)よきお返事(へんじ)をお()(まを)します。038穴賢(あなかしこ)
039セーリスより
040  ユーフテス様へ
 
041(しる)しあるを()るより、042ユーフテスは(にはか)(にが)()つた(かほ)(ひも)無雑作(むざふさ)(ゆる)め、043牡丹餅(ぼたもち)砂原(すなはら)()ちつけたやうな(くづ)れた相好(さうがう)で、044右手(みぎて)(かふ)(なが)()つる口辺(くちばた)唾涎(よだれ)始末(しまつ)をつけながら、045()(まで)(ほそ)くして猫撫声(ねこなでごゑ)となり、
046『オー、047コール、048よう使(つかひ)()()れた。049旦那様(だんなさま)が、050御多用中(ごたようちう)なれども万障(ばんしやう)繰合(くりあは)せ、051(しばら)くの(あひだ)面会(めんくわい)すると仰有(おつしや)るから(はや)くお()でなさいと案内(あんない)をして()るのだぞ』
052 コールは(すこ)(みみ)(とほ)いので、053(みぎ)()(みみ)(かか)へながら、054ユーフテスの言葉(ことば)()(かぢ)怪訝(けげん)(かほ)して、
055『エヽ(なん)仰有(おつしや)います。056多忙中(たばうちう)だから面会(めんくわい)出来(でき)ない、057(また)出直(でなほ)して()(くだ)さいと申上(まをしあ)げるのですか。058折角(せつかく)あんな天女(てんによ)天降(あまくだ)つて()たのに素気(すげ)なう()(かへ)すと()(こと)がありますかい。059三五教(あななひけう)ぢやないが、060(ちつ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)()(なほ)しをなさつて、061一目(ひとめ)()つておやりなさつたらどうでせう』
062『エヽ(つんぼ)()(やつ)仕方(しかた)のないものだなア。063(また)()(ぞこな)ひをして折角(せつかく)()恋人(こひびと)()()してしまはれては大変(たいへん)だ。064手紙(てがみ)()いてやるが一番(いちばん)間違(まちが)ひがなくて()からう』
065とユーフテスは、066文箱(ふばこ)より料紙(れうし)()()(ふで)(すみ)(にじ)ませ、067(ふで)()一寸(ちよつと)かんでプツプと(くろ)(つば)(ふた)()()きながら、068すらすらと何事(なにごと)()(なが)厳封(げんぷう)した(うへ)
069『オイ、070コール、071貴様(きさま)(みみ)(とほ)いから間違(まちが)ひがあつては(こま)るによつて、072(その)(をんな)(この)手紙(てがみ)(わた)すのだ。073サア(はや)くこれをもつて()けや』
074(こゑ)(たか)(みみ)のはた(ちか)()つて()ひつける。075コールは(たちま)()()(がほ)
076『ハイ承知(しようち)(いた)しました』
077(かた)(いか)らし一足々々(ひとあしひとあし)四股踏(しこふ)みながら表門(おもてもん)さして(はし)()で、
078『コレ、079ナイス、080(まへ)(あま)()()かねえぢやないか。081こんな白昼(はくちう)に、082そんな白首(しらくび)がのそのそとやつて()るものだから、083旦那様(だんなさま)大変(たいへん)(いや)(かほ)をなさつて御迷惑(ごめいわく)をして()なさる。084サア(はや)(かへ)つたがよからうぞ。085多忙(たばう)万障(ばんしやう)()()つて()るから、086(ことわ)(じやう)をお()(あそ)ばしたから(これ)()んで(あきら)めて(かへ)つたがよからう。087本当(ほんたう)()()かねえ(をんな)だなア。088そんな不味(まづ)いやり(かた)で、089ユーフテス(さま)(とりこ)にしようと(おも)つたつて、090手管(てくだ)()せようと(おも)つたつて駄目(だめ)だぞ、091アハヽヽヽ』
092(なに)093ユーフテス(さま)(かへ)つてくれと仰有(おつしや)つたのかい。094そんな(はづ)はありますまいが』
095『さてさて強太(しぶと)(をんな)だなア。096(なに)よりも(その)(ことわ)(じやう)証拠(しようこ)だ。097(はや)(ふう)()()つて()んで()なさい。098さうしたらこなさん仰有(おつしや)(こと)(うそ)でないと()(こと)一目(いちもく)瞭然(れうぜん)となるであらう。099あゝ()しいものだなア。100旦那様(だんなさま)()ひたい(こと)であらうが、101矢張(やつぱり)俺達(おれたち)(ひる)だと(おも)つて気兼(きがね)をしてゐらつしやると()える。102ヤイ(をんな)103今晩(こんばん)裏口(うらぐち)からやつて()い。104(この)コールが()()かしてソツと()はしてやるから、105イヒヽヽヽ』
106 セーリス(ひめ)(あわただ)しく(ふう)()()り、107ソツと()(くだ)せば美事(みごと)筆跡(ひつせき)(なま)めかしい文字(もんじ)(つら)ねてある。108(ひめ)はニツコリと()(わら)ひながら静々(しづしづ)(もん)(しきゐ)(また)げて(おく)()らうとする。109コールは(しき)りに(くび)(かたむ)け、
110(なん)とまア、111押尻(おしけつ)(つよ)(をんな)だなア。112それだから今時(いまどき)(をんな)奴転婆(どてんば)()ふのだよ。113百鬼昼行(ひやくきちうこう)とは(この)(こと)だ。114こんな厳粛(げんしゆく)なお(やかた)(ひる)日中(ひなか)白首(しらくび)往来(わうらい)するやうになつては、115最早(もはや)()(すゑ)だ』
116()ひながら、117セーリス(ひめ)(そで)をグツと(にぎ)り、
118『これこれ、119何処(どこ)のナイスか()らぬが厚顔(あつかま)しい、120(ことわ)()はれた(うち)(はい)ると()(こと)があるか。121(はや)(かへ)つたり(はや)(かへ)つたり』
122とグツと(ちから)にまかして()(もど)さうとするのをセーリス(ひめ)は、
123『エヽ面倒(めんだう)
124(ひと)(ひぢ)()つた途端(とたん)に、125コールは二三間(にさんげん)ばかり跳飛(はねと)ばされドスンと大地(だいち)尻餅(しりもち)をつき、126アイタヽヽと(つら)(しか)めて(ひめ)姿(すがた)見送(みおく)つて()る。127(ひめ)はコールに頓着(とんちやく)なく、128奥庭(おくには)さして(すす)()る。
129 ユーフテスは、130セーリス(ひめ)()(きた)るを(いま)(おそ)しと()()(なが)(つる)(くび)131石亀(いしがめ)のやうに手足(てあし)(せは)しく(うご)かしながら、132座敷中(ざしきちう)願望(ぐわんばう)成就(じやうじゆ)時節(じせつ)到来(たうらい)とステテコ(をど)りをやつて()る、133そこへサラサラと衣摺(きぬず)れの(おと)(きこ)えて()()(ひと)跫音(あしおと)は、134どうやらセーリス(ひめ)らしいので、135(にはか)眉毛(まゆげ)()でたり目脂(めやに)(たま)つて()ないかといぢつてみたり、136鼻糞(はなくそ)掃除(さうぢ)したり唾涎(よだれ)(ぬぐ)つたり(えり)(なほ)したり、137(わざ)とに(をど)(むね)()でながら(ひか)へて()る。138どことはなしに(かほ)はパツと紅葉(もみぢ)()らし(こころ)()ちつかぬ様子(やうす)である。139其処(そこ)(ふすま)をソツと()()けて一瞥(いちべつ)140(しろ)(くつが)へすやうな絶世(ぜつせい)美人(びじん)141イルナ(じやう)(はな)(うた)はれたセーリス(ひめ)立居(たちゐ)もいと(しと)やかに満面(まんめん)(ゑみ)(たた)()(きた)姿(すがた)は、142牡丹(ぼたん)芍薬(しやくやく)百合(ゆり)(はな)か、143(また)(ちが)うたら白蓮華(しろれんげ)144桔梗(ききやう)(はな)雨露(あめつゆ)(うるほ)優姿(やさすがた)145(しと)やかに(しろ)(ほそ)(やはら)かき鼈甲(べつかふ)のやうな皮膚(きめ)(こま)かい()をつきながら、146(わざ)とに(こゑ)(ふる)はせ(はづ)かし()に、
147『ユーフテス(さま)148(なつ)かしう(ござ)います』
149()つたきり(たたみ)(くび)()ちつけて(わざ)とに(かた)(いき)をして()せる。150ユーフテスはニコニコしながら(うれ)しさうな(かほ)をして、151(をんな)馬鹿(ばか)にしられてはならぬ、152此処(ここ)(ひと)(をとこ)()(どころ)だと()はむばかりに儼然(げんぜん)として、
153『セーリス(ひめ)殿(どの)154(この)白昼(はくちう)(をんな)()として人目(ひとめ)(しげ)きに(かかは)らず、155(たづ)(くだ)さるとは(ちつ)不注意(ふちうい)では(ござ)らぬか。156左様(さやう)()()かない貴女(あなた)とは(おも)はなかつた。157今迄(いままで)吾々(われわれ)(ひめ)容色(ようしよく)(まよ)ひ、158幾度(いくたび)となく艶書(えんしよ)差上(さしあ)げたなれど、159(けつ)して自分(じぶん)本心(ほんしん)では(ござ)らぬ(こと)はない。160何用(なによう)あつて今頃(いまごろ)(わが)(たく)をお(たづ)ねなさつたか、161(をんな)分際(ぶんざい)として()不届(ふとど)きでは(ござ)らぬかナ』
162空威張(からゐば)りして()せて()る。
163『ホヽヽヽヽお(なさけ)ないそのお言葉(ことば)164それ(ほど)(わたし)がお()()りませぬなら只今(ただいま)(かぎ)りお(いとま)(いた)します。165不束(ふつつか)(をんな)(まゐ)りましてお(はら)()てさせまして(まこと)申訳(まをしわけ)(ござ)いませぬ。166(わたし)(をんな)のはしくれ、167今迄(いままで)貴方(あなた)(あやつ)られて()たかと(おも)へば(はら)()ちます』
168()(あが)り、169クルリと(うしろ)()(かへ)らうとするのをユーフテスはあわてて()()め、
170『マヽヽマお()ちなさいませ。171短気(たんき)損気(そんき)172(ひめ)(さま)のやうにさう早取(はやど)りをしられては(こま)ります。173貴女(あなた)(たふと)刹帝利(せつていり)家筋(いへすぢ)174(わたし)(いや)しい首陀(しゆだ)()(あが)りもの、175到底(たうてい)階級(かいきふ)(ちが)ひますから、176貴女(あなた)のお(そば)へも()れない身分(みぶん)(ござ)いますが、177(こひ)には上下(じやうげ)(へだ)てなしとか、178つい失礼(しつれい)(こと)申上(まをしあ)げました。179どうぞ(ゆる)して(くだ)さいませ』
180『ホヽヽヽそりや(なに)仰有(おつしや)いますか。181(わか)血潮(ちしほ)()()ちた佳人(かじん)佳人(かじん)182(たれ)遠慮(ゑんりよ)(ござ)いませう。183現界(げんかい)階級(かいきふ)階級(かいきふ)(いた)しましても、184恋愛(れんあい)()神聖(しんせい)(みち)には上下(じやうげ)区別(くべつ)(ござ)いますまい。185(わたし)左様(さやう)階級的(かいきふてき)制度(せいど)()()りませぬ。186(なん)とかして時代(じだい)目醒(めざ)めたる婦人(ふじん)(あつ)恋愛神聖論(れんあいしんせいろん)天下(てんか)高調(かうてう)したいと内々(ないない)活動中(くわつどうちう)(ござ)いますよ、187ホヽヽヽ』
188(おも)ひの(ほか)(ひら)けた(ひめ)(さま)だナア。189それだから(この)ユーフテスが()きで(たま)らないと(まを)しまするのだ。190いやもうズツと()()りました。191()うして(ひめ)(さま)御心中(ごしんちう)(うけたま)はつた以上(いじやう)(なに)()()()けて、192(ひと)天下(てんか)()めに大活動(だいくわつどう)(いた)さうぢやありませぬか』
193左様(さやう)(ござ)います。194恋愛(れんあい)恋愛(れんあい)として()きまして、195(ひと)(この)()(うま)れて()以上(いじやう)は、196貴方(あなた)(わたし)夫婦(ふうふ)となり、197(いき)(あは)して(まと)まつた大事業(だいじげふ)(おこ)したらどうでせうかなア』
198『ホー、199そいつは面白(おもしろ)い。200それだからどうしてもお(まへ)さまの(こと)(おも)()れないと()ふのだ。201エヘヽヽヽ』
202『オホヽヽヽ、203貴方(あなた)仲々(なかなか)(すみ)()けない悪人(あくにん)ですなア』
204『そりやさうでせうかい、205右守(うもり)さまのお()()りになつて()(くらゐ)だから。206エヽ(しか)(ひめ)(さま)左守(さもり)さまの御息女(おんむすめ)207表面(へうめん)左守(さもり)右守(うもり)として日々(にちにち)(つと)めになつて親密(しんみつ)さうにして(ござ)るが、208(こころ)(なか)(いぬ)(さる)209丁度(ちやうど)(かたき)同士(どうし)のやうなもので(ござ)いますなア。210こいつを(なん)とかして都合(つがふ)よく(まと)めたいものです。211さうでなければ、212(わたし)貴女(あなた)との(こひ)はいつ(まで)完全(くわんぜん)維持(ゐぢ)することは出来(でき)ますまい』
213(なん)不思議(ふしぎ)(こと)(うけたま)はります。214左守(さもり)215右守(うもり)両役(りやうやく)はセーラン王様(わうさま)両腕(りやううで)216(とり)()はば左右(さいう)(つばさ)217どうしてそんな暗闘(あんとう)(ござ)いませうぞ。218それは(なに)かのお(かんが)(ちが)ひでは(ござ)いますまいかなア』
219 ユーフテスは(くび)左右(さいう)()り、
220『イエイエどうしてどうして、221大変(たいへん)暗闘(あんとう)(ござ)いますよ。222暗闘(あんとう)(うち)はまだ(よろ)しいが、223今日(こんにち)(ところ)(すで)表向(おもてむき)(たたか)ひになりかけて()りますよ』
224 セーリス(ひめ)(わざ)(おどろ)いたやうな顔付(かほつき)きで、225一寸(ちよつと)(くち)(とが)らし()(まる)くし、226ユーフテスの(かほ)()(なが)めながら、
227『それは大変(たいへん)(こと)(うけたま)はりました。228(はた)してそんな(こと)があつたら(わたし)はどう(いた)しませうか。229貴方(あなた)との(こひ)(したが)つて駄目(だめ)になりませう。230それが残念(ざんねん)(ござ)います』
231空涙(そらなみだ)(こぼ)して俯向(うつむ)く。
232(わけ)(まを)さねば(わか)りますまいが、233貴女(あなた)のお姉様(ねえさま)のヤスダラ(ひめ)(さま)が、234セーラン王様(わうさま)御許婚(いひなづけ)であつた(こと)御存(ごぞん)じの(とほ)りです。235さうした(ところ)が、236セーラン王様(わうさま)(あま)剛直(がうちよく)一方(いつぱう)のお(かた)で、237世上(せじやう)交際(かうさい)がまづいため、238当時(たうじ)(いきほひ)(なら)ぶものなき大黒主(おほくろぬし)(さま)御意見(ごいけん)申上(まをしあ)げたり、239(また)鬼熊別(おにくまわけ)(さま)同情(どうじやう)をしたり(あそ)ばすものだから、240大棟梁様(だいとうりやうさま)御気勘(ごきかん)(さは)り、241(すで)にイルナの国王(こくわう)()()げらるる(ところ)であつたのを、242右守(うもり)のカールチン(さま)種々(いろいろ)弁解(べんかい)(あそ)ばし、243一時(いちじ)無事(ぶじ)(をさ)まつたので(ござ)います。244(その)(かは)りにヤスダラ(ひめ)(さま)をテルマン(ごく)のシヤールといふ毘舎(びしや)(いへ)(くだ)し、245カールチン(さま)のお息女(むすめ)サマリー(ひめ)(さま)(きさき)()れて(やうや)(その)()のゴミを(にご)し、246イルナの(くに)今日(こんにち)(まで)維持(ゐぢ)してお()でになつたのは、247(かく)れたる忠臣(ちうしん)カールチン(さま)(ござ)います。248貴女(あなた)父上(ちちうへ)クーリンス(さま)左守(さもり)(しよく)にありながら、249社交術(しやかうじゆつ)不味(まづ)いためにイルナの(くに)(すで)(ぼう)()らうとなさいました。250(この)(かん)消息(せうそく)()つて()るものは、251(この)ユーフテスしかありませぬよ。252(さだ)めてセーラン王様(わうさま)もカールチンは不忠(ふちう)(やつ)253自分(じぶん)(むすめ)(きさき)となし、254ヤスダラ(ひめ)退()け、255(つひ)にはイルナの(くに)占領(せんりやう)しようとするものと早合点(はやがつてん)してゐらつしやるさうですが、256如何(いか)(かく)れたる忠臣(ちうしん)たるカールチン(さま)だとて、257サマリー(ひめ)(さま)王様(わうさま)虐待(ぎやくたい)なされ、258それがため御離縁(ごりえん)になるやうな(こと)があればそれこそ大変(たいへん)です。259大黒主(おほくろぬし)(さま)(たい)してでも、260カールチン(さま)反旗(はんき)(ひるがへ)し、261(なみだ)()んでセーラン(わう)国家(こくか)のために放逐(はうちく)せなければならぬやうになつて()ります』
262(なん)とマア右守様(うもりさま)は、263そのやうな立派(りつぱ)なお(かた)(ござ)いますかなア。264最前(さいぜん)貴方(あなた)大悪人(だいあくにん)右守(うもり)部下(ぶか)だからと仰有(おつしや)つたでは(ござ)いませぬか』
265『そりや悪人(あくにん)()へば悪人(あくにん)でせう。266(ひと)(むし)居所(ゐどころ)(わる)くなつたら、267どんな(こと)をなさるか(はか)(がた)権幕(けんまく)ですから「(きみ)(きみ)たらずんば(しん)(しん)たるべからず」と常々(つねづね)仰有(おつしや)つて()ましたから、268今度(こんど)サマリー(ひめ)(さま)王様(わうさま)(いさかひ)をしてお(かへ)りになつたを(しほ)に、269ハルナの(みやこ)早馬使(はやうまづかひ)()てられましたから、270キツト王様(わうさま)(ため)()(こと)はありますまい。271(しか)しながらこのユーフテスは、272カールチン(さま)秘密(ひみつ)(かぎ)(にぎ)つた(をとこ)273(わたし)(くび)()りやう(ひと)つで大抵(たいてい)(こと)結末(けつまつ)がつきますから、274貴女(あなた)()うなつた以上(いじやう)は、275秘密(ひみつ)さへ(まも)つて(くだ)さるなら、276(なに)()相談(さうだん)()つて、277貴女(あなた)のお(ねが)ひとならばセーラン王様(わうさま)をお(たす)けしないものでもありませぬ。278(また)クーリンス(さま)をお(たす)けするもしないも、279(みな)(この)ユーフテスの()(にぎ)つて()絶対(ぜつたい)権利(けんり)でありますからなア』
280(やや)傲慢気(がうまんげ)()()てるを、281セーリス(ひめ)(わざ)心配気(しんぱいげ)(かほ)をして、
282(じつ)(まを)せば、283(わたし)だつて王様(わうさま)(たい)しあまり(ふか)恩顧(おんこ)()けたと()ふでもなし、284貴方(あなた)とかうして気楽(きらく)(くら)さるれば、285これに()したる(よろこ)びは(ござ)いませぬワ』
286(ひめ)がさういふお(こころ)なら、287(わたし)(なに)()(つつ)まずに()ひませう。288(じつ)大黒主(おほくろぬし)大棟梁(だいとうりやう)より、289幾度(いくたび)密使(みつし)(まゐ)り、290カールチン(さま)入那(いるな)(くに)国王(こくわう)となれとの御命令(ごめいれい)291それについては鬼熊別(おにくまわけ)妻子(さいし)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)となり、292バラモン(けう)根底(こんてい)攪乱(かくらん)すべく斎苑館(いそやかた)本拠(ほんきよ)()()でて此方(こなた)()るとの(こと)で、293(かれ)一日(いちにち)(はや)()(とら)へよとの御厳命(ごげんめい)294それさへ(はや)()()れば、295カールチン(さま)(たちま)ちイルナの国王(こくわう)とおなり(あそ)ばし、296ユーフテスは(ただち)左守(さもり)抜擢(ばつてき)される(こと)(きま)つて()ります。297これは(だい)秘密(ひみつ)ですから(だれ)にも()つてはなりませぬぞや』
298『それは(うれ)しい(こと)(ござ)います。299仮令(たとへ)どうならうと貴方(あなた)御出世(ごしゆつせ)さへ出来(でき)れば、300(わたし)貴方(あなた)女房(にようばう)301(あさ)につれ()(よもぎ)とやら、302一緒(いつしよ)権力(けんりよく)がのび()くのですから、303どうぞ御成功(ごせいこう)(のぞ)みます』
304『イヤ、305それ()いて(わたし)安心(あんしん)(いた)しました。306それならセーリス(ひめ)殿(どの)307キツト(わたし)(つま)ですなア。308(かなら)変心(へんしん)して(くだ)さるなや』
309(をんな)一心(いつしん)(いは)でも射貫(いぬ)く、310(わたし)(けつ)して(かは)りませぬ。311貴方(あなた)こそ左守(さもり)とおなり(あそ)ばしたら(わたし)をお()てなさるのでせう。312それが心配(しんぱい)でなりませぬわ』
313(けつ)して(けつ)して、314左様(さやう)心配(しんぱい)はして(くだ)さるな。315二世三世(にせさんせ)(おろ)五百世(いほせ)まで(まこと)夫婦(ふうふ)(ござ)る』
316『それを(うけたま)はつてヤツと安心(あんしん)(いた)しました。317(しか)しながら人目(ひとめ)(せき)(ござ)りますれば、318今日(けふ)はこれでお(いとま)(いた)します。319どうぞ(をんな)度々(たびたび)(まゐ)りましては目的(もくてき)(さまた)げになりますから、320城内(じやうない)でお()にかかりませう』
321『あゝ()しい(わか)れだが二人(ふたり)将来(しやうらい)()めだ。322それならここで(わか)れませう』
323明日(あす)御登城(ごとじやう)になりましたら、324どうぞ(わたし)居間(ゐま)をお(たづ)(くだ)さいませ。325(しか)人目(ひとめ)もありますから、326(わざ)とに素気(すげ)なう(いた)して()りますから、327(かなら)ずお()()へて(くだ)さいますなや』
328(くち)(わる)()うて(こころ)でほめて(かげ)惚気(のろけ)()かしたい……と()筆法(ひつぱふ)ですな、329アハヽヽヽ』
330『オホヽヽヽ左様(さやう)ならばお(いとま)(いた)します』
331両人(りやうにん)()(あが)(かた)()(にぎ)()ひ、332()()見合(みあ)はし、333(のこ)()しげに左右(さいう)(たもと)(わか)てり。
334大正一一・一一・一〇 旧九・二二 加藤明子録)
   
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