霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 無理往生(むりわうじやう)〔一一一二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第2篇 神機赫灼 よみ:しんきかくしゃく
章:第8章 第41巻 よみ:むりおうじょう 通し章番号:1112
口述日:1922(大正11)年11月11日(旧09月23日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
中央印度のデカタン高原の南方に、テルマン国という大国があった。テルマンの都に富豪の聞こえたかい毘舎族のシャールという男があった。シャールは富力にまかせて妾を買い込み、本妻のヤスダラ姫には至極冷淡な扱いをしていた。
ヤスダラ姫はイルナ国の刹帝利の生まれで、セーラン王の許嫁であったが、右守の策略でシャールに嫁がせられていた。
ヤスダラ姫の別宅には二人の侍女と、取り締まりとしてリーダーという若い男が仕えていた。リーダーは万事抜け目なく立ち回る利口な男で、ヤスダラ姫も心をゆるし、時おり琴などを弾じさせて日々の憂鬱を慰めていた。
ある日、普段は寄り付かないシャールが突然、ヤスダラ姫の別宅を訪ねてきた。シャールは、イルナ国右守の妻・テーナ姫を伴ってやってきて、ヤスダラ姫がイルナ国王に恋文を送り不貞の罪を犯したと身に覚えのないことで姫を責め立てるのであった。
右守は、イルナ国からセーラン王とクーリンスを放逐するにあたって、クーリンスの娘にして王の従妹であるヤスダラ姫が障害とならないよう、シャールに不貞の罪を讒言し、ヤスダラ姫を幽閉させようという計略であった。
シャールは、大黒主の信任が厚いイルナ国右守の権勢を恐れており、もともと不仲のヤスダラ姫を邸内の牢獄に幽閉してしまった。
風雨雷電の激しい夜、忠義のリーダーは堅牢な牢獄を打ち破り、ヤスダラ姫を救い出し闇にまぎれてシャールの館を脱出した。二人は夜を日についでイルナ国に逃げ帰ることになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4108
愛善世界社版:113頁 八幡書店版:第7輯 572頁 修補版: 校定版:117頁 普及版:56頁 初版: ページ備考:
001 中央印度(ちうあういんど)のデカタン高原(かうげん)南方(なんぱう)(あた)るテルマン(ごく)()ふ、002住民(ぢうみん)(ほとん)十万(じふまん)(ちか)き、003印度(いんど)では相当(さうたう)大国(たいこく)があつた。004テルマンの(みやこ)富豪(ふうがう)(きこ)(たか)毘舎族(びしやぞく)にシヤールと()(をとこ)があつた。005(その)邸宅(ていたく)(みやこ)東方(とうはう)(もつと)風景(ふうけい)()()(えら)み、006(やしき)周囲(しうゐ)一里(いちり)四方(しはう)にあまり、007(ふか)(ひろ)(ほり)(めぐ)らし、008(その)(いきほ)王者(わうじや)(しの)ぐばかりの豪奢(がうしや)()りを発揮(はつき)してゐる。009富力(ふりよく)(まか)せて数多(あまた)美人(びじん)()(もと)(きた)(これ)(てかけ)となし、010本妻(ほんさい)のヤスダラ(ひめ)(たい)しては(きは)めて冷酷(れいこく)取扱(とりあつかひ)をしてゐた。011ヤスダラ(ひめ)入那(いるな)(くに)のセーラン(わう)従妹(いとこ)(あた)刹帝利(せつていり)(うま)れで、012セーラン(わう)許嫁(いひなづけ)であつた(こと)前節(ぜんせつ)(すで)()べた(とほ)りである。013ヤスダラ(ひめ)はシヤールの(ひろ)(やしき)(なか)()なり(うる)はしき家宅(かたく)(あた)へられ、014二人(ふたり)侍女(じぢよ)(とも)面白(おもしろ)からぬ月日(つきひ)(おく)りつつあつた。015ヤスダラ姫館(ひめやかた)取締(とりしまり)にリーダーと()年若(としわか)綺麗(きれい)万事(ばんじ)抜目(ぬけめ)なく立廻(たちまは)利口(りこう)(をとこ)があつた。016ヤスダラ(ひめ)(この)リーダーを此上(こよ)なきものと(あい)時々(ときどき)(こと)(など)(だん)じさせ(その)()(うつ)(なぐさ)めてゐた。017(ある)(とき)ヤスダラ(ひめ)一間(ひとま)()(こも)り、018一絃琴(いちげんきん)(だん)じながら述懐(じゆつくわい)(うた)うてゐる。
019(みづ)(なが)れと(ひと)行末(ゆくすゑ)
020(さだ)めなき()()ひながら
021(ゆめ)浮世(うきよ)(うま)()
022(わらは)(たふと)刹帝利(せつていり)
023セーラン(わう)従妹(いとこ)(うま)
024年端(としは)()かぬ(をさな)(ころ)より
025(おや)(おや)との許嫁(いひなづけ)
026(わが)行末(ゆくすゑ)はイルナの(くに)
027治統(うしは)(たま)ふセーラン(わう)
028(きさき)(つか)へまつる()
029(いま)果敢(はか)なきヤスダラ(ひめ)
030(とほ)山野(さんや)(へだ)てたる
031テルマン(ごく)毘舎(びしや)()
032シヤールの(つま)(おろ)されて
033(あさ)(ゆふ)なに現世(うつしよ)
034はかなみ(くら)(かな)しさよ
035(そら)ゆく(くも)(なが)むれば
036西(にし)西(にし)へと(なが)()
037御空(みそら)をかける(とり)()れば
038(これ)また西(にし)(すす)()
039(そら)()(くも)()(とり)
040(ひと)(あは)れを()るならば
041イルナの(くに)()れませる
042セーラン(わう)御許(おんもと)
043(せつ)なき(わらは)(おも)ひねを
044完全(うまら)詳細(つばら)(おとづ)れよ
045(あさ)(ゆふ)なに(わが)()ふる
046(ひじり)(きみ)()(うへ)
047(あん)(すご)して()(ひる)
048(こころ)(いた)むるヤスダラ(ひめ)
049(おも)(まは)せば(わが)()ほど
050因果(いんぐわ)なものが()にあらうか
051(つき)(くに)にて刹帝利(せつていり)
052(たふと)(いへ)(うま)れあひ
053貴勝(きしよう)地位(ちゐ)にありながら
054(いま)(いや)しき毘舎(びしや)(つま)
055(かみ)(ほとけ)()(なか)
056()しまさずや、あゝ(かな)
057(つれ)なの娑婆(しやば)(なが)らへて
058(むね)(ほのほ)(こが)しつつ
059()(すべ)もなき(くる)しさよ
060シヤールの(をつと)朝夕(あさゆふ)
061(とみ)(ちから)(まか)せつつ
062毘舎(びしや)(むすめ)首陀(しゆだ)()
063彼方(あちら)此方(こちら)()(あつ)
064吾物顔(わがものがほ)女子(をみなご)
065(もてあそ)びつつ(いも)()
066(たふと)(みち)()(わす)
067(わらは)(たい)して一度(ひとたび)
068(なさけ)をかけし(こと)もなし
069バラモン(けう)(まも)ります
070梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じさいてん)
071大国彦(おほくにひこ)神様(かみさま)
072ヤスダラ(ひめ)境遇(きやうぐう)
073(あは)れみ(たま)ひて一時(ひととき)
074(はや)(こひ)しきセーラン(わう)
075一目(ひとめ)なりとも()はせかし
076仮令(たとへ)(わが)()()つるとも
077(かみ)より()けし(わが)(たま)
078(きみ)御側(みそば)(かよ)ひつつ
079朝夕(あさゆふ)御身(おんみ)(まも)るべし
080テルマン(ごく)(ひろ)くとも
081シヤールの(いへ)瑞垣(みづがき)
082(やま)より(たか)(きづ)くとも
083(やしき)(めぐ)濠水(ほりみづ)
084何程(なにほど)(ふか)(ひろ)くとも
085(きみ)(した)へる(わが)(こころ)
086如何(いか)でか(かよ)はぬ(こと)やあらむ
087あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
088御霊(みたま)(さち)はひましまして
089御魂(みたま)(きよ)(ひと)()
090(わが)()(すく)()(まぎ)
091(ちち)のまします入那(いるな)(くに)
092(おく)らせ(たま)自在天(じさいてん)
093(たふと)(かみ)御前(おんまへ)
094(こころ)(つね)(やす)からぬ
095ヤスダラ(ひめ)真心(まごころ)
096()めてぞ(いの)(たてまつ)
097あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
098(この)()(つく)(たま)ひたる
099皇大神(すめおほかみ)御前(おんまへ)
100(つつし)(いやま)()(まつ)る』
101(しとや)かに(うた)つてゐる。102かかる(ところ)(やしき)内外(ないぐわい)掃除(さうぢ)()ませ身禊(みそぎ)をなし、103正服(せいふく)着換(きか)へて(ひめ)(しつ)(たづ)ねて()たのは忠僕(ちうぼく)のリーダーである。104(ひめ)(こと)()をやめてニツコと(わら)ひ、
105『あゝ其方(そなた)はリーダー殿(どの)106大変(たいへん)(はや)いぢやありませぬか。107大層(たいそう)掃除(さうぢ)が……今日(けふ)(また)特別(とくべつ)によく出来(でき)たやうですな』
108『ハイ、109今日(けふ)旦那様(だんなさま)から御命令(ごめいれい)(ござ)りましたので、110早朝(さうてう)より室内(しつない)掃除(さうぢ)(いた)し、111(もん)隅々(すみずみ)まで竹箒(たけばうき)がバイタになる(ところ)まで()きちぎつて()きました。112大変(たいへん)(うつく)しくなつたでせう。113(やぶ)草鞋(わらぢ)(やう)(すみ)から(すみ)まではきちぎつて()きました。114アハヽヽヽ』
115『ホヽヽヽヽ、116()きちぎつて()いたのは結構(けつこう)だが、117今日(けふ)(かぎ)つて特別(とくべつ)御命令(ごめいれい)(あそ)ばすとは、118(なに)かのはき(ちが)ひでも出来(でき)たのぢやありませぬか』
119『ハイハイ何分(なにぶん)(しもべ)のことで(ひめ)(さま)御存(ごぞん)じない(くらゐ)ですから、120吾々(われわれ)にはハキハキと(なに)御用(ごよう)(わか)りませぬ。121()(かく)履物(はきもの)位置(ゐち)をキチンと(そろ)へて()きました。122これで旦那様(だんなさま)がお()えになつても、123家内(かない)しめて四名(よめい)()(こと)(わか)りますやうに、124履物(はきもの)玄関口(げんくわんぐち)にお(むか)へを(いた)して()りますわ』
125 ヤスダラ(ひめ)(すこ)しく(かうべ)(かたむ)け、
126『ハテナ、127いつもお()えになつた(こと)のない旦那様(だんなさま)御入(おい)りなのか()らぬ。128どうせ(ろく)なことではあるまい』
129独語(ひとりご)ちつつ心配(しんぱい)さうに(かんが)()んでゐる。130そこへ二三人(にさんにん)供人(ともびと)(したが)足音(あしおと)(たか)くやつて()たのはシヤールである。131ヤスダラ(ひめ)一絃琴(いちげんきん)手早(てばや)くとつて(とこ)()にキチンと(なほ)し、132(えり)(ただ)満面(まんめん)愛嬌(あいけう)(たた)へながら、133言葉(ことば)(やさ)しく、
134『あゝ貴方(あなた)旦那様(だんなさま)135よくまあ()らして(くだ)さいました。136今日(けふ)(なに)(かは)つた御用向(ごようむき)でも出来(でき)ましたか』
137慇懃(いんぎん)(たづ)ぬればシヤールは木訥(ぼくとつ)(こゑ)で、
138(なに)139(べつ)にこれと()(よう)はないのだが、140今日(けふ)はお(まへ)(ひと)()(ただ)さねばならぬ(こと)出来(でき)たのだから、141(その)(つも)りで(つつ)まず(かく)さずハツキリと返答(へんたふ)をしてもらはねばならぬよ』
142(つら)(ふく)らし不機嫌(ふきげん)(てい)である。143ヤスダラ(ひめ)(むね)(とどろ)かせながら、
144『それは(また)(かは)つた御用向(ごようむき)145(なに)(わらは)一身上(いつしんじやう)()いて嫌疑(けんぎ)がおありなさるのですか』
146『あればこそ、147(いそが)しい(なか)一日(いちにち)(ひま)()いてお(まへ)(やかた)()()たのだ。148(しばら)()つて()ろ。149入那(いるな)(みやこ)からカールチンの奥様(おくさま)テーナ(ひめ)(さま)がお(まへ)()(うへ)()いてお()しになつたのだ。150(まへ)(をつと)()(しの)び、151入那(いるな)(くに)のセーラン(わう)御許(みもと)艶書(えんしよ)(おく)つたではないか』
152 ヤスダラ(ひめ)打驚(うちおどろ)顔色(がんしよく)()へて、
153『な……(なん)(あふ)せられます。154まるで寝耳(ねみみ)(みづ)のやうなお(はなし)ぢや(ござ)りませぬか』
155 シヤールはあげ(づら)をしながら(いや)らしく(わら)ひ、
156『エヘヽヽヽ寝耳(ねみみ)(みづ)とは(おれ)(こと)だ。157(まへ)幼少(えうせう)より左守(さもり)(かみ)(むすめ)として深窓(しんそう)(そだ)てられ、158純粋(じゆんすゐ)淑女(しゆくぢよ)だと(おも)つてゐたのに、159(をつと)()(しの)んで艶書(えんしよ)(おく)るとは(なん)()不貞腐(ふてくさ)(をんな)だ、160見下(みさ)()てたる莫蓮者(ばくれんもの)()161(いま)(つら)(かは)をヒン()いてやるから(たの)しんで()つてゐるが()からうぞ』
162 ヤスダラ(ひめ)(かな)しさ()(せま)り、163(こゑ)()ててワツと()()()()した。164シヤールは(この)(てい)()(ひや)やかに(わら)ひながら、
165『アハヽヽヽ、166(なん)とまあ、167(がふ)()古狸(ふるだぬき)だな。168(をんな)(なみだ)(しろ)(かたむ)五尺(ごしやく)男子(だんし)手鞠(てまり)(ごと)くに翻弄(ほんろう)すると()く。169(しか)(なが)(この)シヤールは幾百人(いくひやくにん)とも()れぬ女性(ぢよせい)(せつ)()れば、170(をんな)慣用(くわんよう)手段(しゆだん)たる()(ごゑ)(なみだ)には(けつ)して(おどろ)かないぞ。171(この)(みち)にかけては天下無双(てんかむさう)勇士(ゆうし)172シヤールに(むか)つてはバベルの(たふ)(てふ)襲撃(しふげき)する(ほど)にも(かん)じないのだから、173そんな古手(ふるて)(こと)()めて(もら)はうかい。174あた八釜(やかま)しい』
175旦那様(だんなさま)176貴方(あなた)はどこ(まで)(わらは)をお(うたが)(あそ)ばすのですか。177(この)(ごろ)入那(いるな)(くに)には悪人(あくにん)(はびこ)王様(わうさま)廃立(はいりつ)せむと(たく)らむ一派(いつぱ)と、178これを(たす)けむとする一派(いつぱ)とが始終(しじう)暗闘(あんとう)(つづ)けてゐるさうですから、179大方(おほかた)反対党(はんたいたう)(はう)から(なに)かの策略(さくりやく)(わらは)犠牲(ぎせい)にすべく中傷讒誣(ちうしやうざんぶ)(こゑ)(はな)つたのでせう。180何卒(どうぞ)冷静(れいせい)御熟考(ごじゆくかう)(ねが)ひます』
181何処(どこ)までも渋太(しぶと)阿女(あまつちよ)()182(なんぢ)弁解(べんかい)()(みみ)()たぬ。183(いま)テーナ(ひめ)此処(ここ)へお(むか)(まを)黒白(こくびやく)()けて()せてやるから、184赤恥(あかはぢ)をかかない(やう)(いた)したが()からう』
185 ヤスダラ(ひめ)はシヤールの暴言(ばうげん)(あき)()て、186(こころ)(よわ)くては(かな)はじと()をとり(なほ)し、187(まなこ)()(すわ)(なほ)して(えり)(ただ)し、188儼然(げんぜん)として、
189(わらは)はいやしくも入那(いるな)(くに)刹帝利(せつていり)左守(さもり)(かみ)のクーリンスが(むすめ)190左様(さやう)(けがら)はしき(こと)如何(どう)して出来(でき)ようぞ。191テーナ(ひめ)とやら、192証拠(しようこ)()つと(まを)すなら、193一刻(いつこく)(はや)此処(ここ)へお(まね)きなさいませ。194屹度(きつと)(わらは)悪者(わるもの)(ども)謀計(ぼうけい)暴露(ばくろ)(こら)しめてくれませう』
195形相(ぎやうさう)物凄(ものすご)(やや)(こゑ)(とが)らせて()ひきつた。196シヤールも名代(なだい)富豪(ふうがう)197テルマン(ごく)有力者(いうりよくしや)(うち)(かぞ)へらるる()なれども、198(うま)れは(いや)しき毘舎(びしや)(たね)199ヤスダラ(ひめ)(この)言葉(ことば)(なん)となく(おそ)れを(いだ)き、200次第々々(しだいしだい)尻込(しりご)みなして引下(ひきさが)る。201かかる(ところ)二三(にさん)(とも)(おく)られて(かた)(かぜ)()りながら、202(きぬ)ずれの(おと)サヤサヤと上使(じやうし)気取(きど)りでやつて()たのは右守(うもり)(かみ)カールチンの(つま)のテーナ(ひめ)である。
203 テーナ(ひめ)鷹揚(おうやう)玄関口(げんくわんぐち)(あが)り、204(すこ)しくフン()(かへ)つて(すそ)(なが)()きずりながら、205身体(からだ)一面(いちめん)瑠璃(るり)206しやこ207珊瑚(さんご)208(きん)209(ぎん)210瑪瑙(めなう)(など)(かざ)()て、211棚機姫(たなばたひめ)降臨(かうりん)か、212松代姫(まつよひめ)再来(さいらい)かと()ふやうな満艦飾(まんかんしよく)(おく)()遠慮会釈(ゑんりよゑしやく)もなく(すす)()り、213シヤールに()(むか)ひ、
214『シヤール殿(どの)215其方(そなた)第一(だいいち)夫人(ふじん)ヤスダラ(ひめ)此方(こなた)(ござ)るかな』
216鷹揚(おうよう)にヤスダラ(ひめ)()めつけながら故意(わざ)とに()ひかける。217シヤールは(かうべ)()げ、
218『ハイ、219問題(もんだい)のヤスダラ(ひめ)はこれで(ござ)ります。220何卒(どうぞ)十分(じふぶん)にお取調(とりしらべ)(ねが)ひます。221貴女(あなた)御言葉(おことば)(とほ)りならば如何(どう)しても(この)(まま)にして()(わけ)には(まゐ)りませぬ』
222 テーナ(ひめ)皺枯(しわが)れた(こゑ)()して、223さも憎々(にくにく)しげに、
224此方(こなた)問題(もんだい)のヤスダラ(ひめ)(ござ)るかな。225如何(いか)にも(むし)(ころ)さぬやうな淑女面(しゆくぢよづら)をさらし、226(だい)それた(こと)(いた)さるるものだな。227外面如菩薩(げめんによぼさつ)内心如夜叉(ないしんによやしや)228(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)つてシヤールの家庭(かてい)紊乱(ぶんらん)し、229()いでイルナの(くに)攪乱(かくらん)(いた)金毛九尾(きんまうきうび)悪狐(あくこ)再来(さいらい)230一日(いちにち)(はや)(わたし)(まを)(とほ)堅牢(けんらう)なる座敷牢(ざしきろう)(つく)り、231外間(ぐわいかん)交通(かうつう)()幽閉(いうへい)なさらねば、232カールチンの右守様(うもりさま)(たい)申訳(まをしわけ)()ちますまいぞ。233(この)テルマン(ごく)はイルナの(くに)属邦(ぞくほう)なれば、234当時(たうじ)大黒主(おほくろぬし)信任(しんにん)(あつ)右守(うもり)(かみ)命令(めいれい)(そむ)かむか、235シヤールの(いへ)(たちま)闕所(けつしよ)憂目(うきめ)()ひますぞ。236(はや)決行(けつかう)なさるが()からう』
237()(かど)()(おごそ)かに宣示(せんじ)するを、238シヤールは(ちぢ)(あが)り「ハツ」と(たたみ)(かしら)をすりつけながら、
239(あふ)せに(したが)(その)準備(じゆんび)()りかかるで(ござ)いませう』
240 ヤスダラ(ひめ)(をつと)シヤールの不甲斐(ふがひ)なき態度(たいど)にグツと(はら)()て、241(こゑ)(ふる)はせながらテーナ(ひめ)(むか)ひ、
242其方(そなた)右守(うもり)(かみ)(つま)テーナ(ひめ)ではないか。243(なんぢ)(をつと)カールチンは(いや)しき首陀(しゆだ)(うま)れ、244(わが)(ちち)クーリンス殿(どの)より()()てられ、245(いま)右守(うもり)(かみ)地位(ちゐ)(まで)(すす)み、246(やうや)()(みと)めらるる(やう)になつたのは(たれ)のお(かげ)だと(おも)うて()るか。247(なんぢ)(わが)幼少(えうせう)(とき)子守役(こもりやく)(つと)めて()つた(いや)しき婢女(はしため)248(いま)右守(うもり)(かみ)(つま)となりたればとて、249(わらは)(たい)無礼(ぶれい)雑言(ざふごん)250最早(もはや)聞棄(ききす)てはなりませぬぞ』
251()めつくればテーナ(ひめ)平然(へいぜん)として打笑(うちわら)ひ、
252『オホヽヽヽ、253(いよいよ)(もつ)てヤスダラ(ひめ)狂気(きやうき)(いた)したと()ゆる。254(わたし)(をつと)はイルナの(くに)にて(その)()(たか)刹帝利(せつていり)(うま)れ、255(わたし)(また)貴勝族(きしようぞく)(うま)れで(ござ)る。256ヤスダラ(ひめ)(ちち)クーリンスこそ(いや)しき首陀(しゆだ)(うま)れ、257(わが)(をつと)カールチンの引立(ひきたて)によりて今日(こんにち)地位(ちゐ)()ながら、258(その)大恩(だいおん)(わす)れ、259反対(はんたい)(わたし)(をつと)(いや)しき首陀族(しゆだぞく)(まを)すは(なん)たる暴言(ばうげん)260こりや屹度(きつと)正気(しやうき)ではあるまい。261(はや)牢獄(らうごく)()()めよ』
262(いきほひ)(まか)して反対的(はんたいてき)捏論(ねつろん)をまくしたて、263無理(むり)往生(わうじやう)にヤスダラ(ひめ)幽閉(いうへい)せしめむと焦慮(あせ)つてゐる。264カールチンがテーナ(ひめ)をシヤールの(やかた)に、265ヤスダラ(ひめ)難癖(なんくせ)をつけて幽閉(いうへい)せしむべく、266使者(ししや)(つか)はしたのは(ふか)(かんが)へがあつての(こと)である。267カールチンは大黒主(おほくろぬし)後援(こうゑん)(もと)にセーラン(わう)268クーリンスを放逐(ほうちく)(その)野心(やしん)(たつ)せむとする(をり)269ヤスダラ(ひめ)のありては後日(ごじつ)大妨害(だいばうがい)となる(こと)(おもんぱか)り、270難癖(なんくせ)をつけて(ひめ)幽閉(いうへい)()かむとの策略(さくりやく)である。271(また)(ひと)つには(むすめ)のサマリー(ひめ)とセーラン(わう)との交情(かうじやう)あまり面白(おもしろ)からざるは、272ヤスダラ(ひめ)(この)()生存(せいぞん)して何時(いつ)とはなしにセーラン(わう)(おも)ひを(つう)じるを(もつ)て、273セーラン(わう)()くも(わが)(むすめ)冷遇(れいぐう)するならむとの(ひが)みより、274犬糞的(けんぷんてき)にシヤールの(やかた)頭抑(あたまおさ)へにテーナ(ひめ)(をつと)使者(ししや)として遥々(はるばる)やつて()たのである。275ヤスダラ(ひめ)(こころ)(きたな)きカールチン、276テーナの計略(けいりやく)によつて、277シヤールの邸内(ていない)堅牢(けんらう)なる牢獄(らうごく)(つく)(その)(なか)不愍(ふびん)にも残酷(ざんこく)にも幽閉(いうへい)さるる()となつて(しま)つた。
278 風雨雷電(ふううらいでん)(はげ)しき()279ヤスダラ(ひめ)によく(つか)へたるリーダーは堅牢(けんらう)なる牢獄(らうごく)()(やぶ)り、280ヤスダラ(ひめ)(すく)()(やみ)(まぎ)れてシヤールの(やかた)脱出(だつしゆつ)し、281()()についで入那(いるな)(くに)282(ちち)(やかた)をさして()(かへ)準備(じゆんび)にかかれり。
283大正一一・一一・一一 旧九・二三 北村隆光録)
   
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6/22【霊界物語ネット】霊界物語読者アンケートに、三鏡の目次を以前のように戻して欲しいという要望があったので戻してみました。三鏡のトップページに「水鏡」「月鏡」「玉鏡」全部の目次が表示されます。