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第一二章 都入(みやこい)り〔一一一六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第2篇 神機赫灼 よみ:しんきかくしゃく
章:第12章 都入り よみ:みやこいり 通し章番号:1116
口述日:1922(大正11)年11月11日(旧09月23日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
黄金姫母娘が峠を登りきると、右守の家老ユーフテスが、従者を連れて待っていた。ユーフテスはお告げにより、黄金姫母娘が来ることを知っていたのである。
ユーフテスはイルナの国の危機を救ってほしいと母娘に頼んだ。一行が話していると、下から騎馬隊が登ってきた。騎馬隊はシャールの手の者で、ヤスダラ姫を追ってきたのであった。ユーフテスは空とぼけて耳が聞こえないふりをした。
騎馬隊はヤスダラ姫一行を捜索していた。黄金姫と清照姫は、ヤスダラ姫らしき一行がイルナの都を指して峠を下って行ったと騎馬隊に空とぼけた。
騎馬隊をやり過ごし、黄金姫はヤスダラ姫は狼の岩窟に安全にかくまわれているとユーフテスに明かした。ユーフテスは、黄金姫母娘に狼の守護がついていると聞いてすっかりおびえてしまった。
黄金姫が自分たちは狼女母娘だとユーフテスをからかい、真に受けたユーフテスは短刀で母娘に切りかかったが、狼の声を聞いて恐ろしさにその場に倒れてしまった。
黄金姫に介抱されて元気を取り戻したユーフテスは、初めて黄金姫の心を悟り、頭を下げ両手を合わせてその親切を感謝し、二人の後に従って峠を下った。
ユーフテスは下りながら宣伝歌を歌った。自分は右守の家老と仕えながら、左守の娘セーリス姫への恋のために、主人の右守の企みに加担せず、王と左守一族を助けようと動いていることを歌った。
峠を下ると、先の右守の手先の騎士たちが弓をつがえて一行を待ち伏せていた。黄金姫は宣伝歌を歌いながら近くに進んだ。狼の声が聞こえると騎士たちの体は強直してしまった。
そこへ、テームス、レーブ、カルの三人は馬に乗ってやってきた。三人は副え馬を引いており、黄金姫と清照姫は馬に乗ってイルナの都に入場した。
ユーフテスは黄金姫に策を授けられ、強直した騎士たちを鎮魂して元に戻し、自分が右守の従臣であることを幸い、騎士たちと右守の館を目指した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:168頁 八幡書店版:第7輯 591頁 修補版: 校定版:176頁 普及版:79頁 初版: ページ備考:
001 黄金姫(わうごんひめ)002清照姫(きよてるひめ)は、003三人(さんにん)一行(いつかう)高照山(たかてるやま)(つか)はし、004(かた)重荷(おもに)(おろ)すやうな心持(こころもち)になつて、005さしもに(けは)しき急坂(きふはん)をエチエチと(のぼ)()く。006(やうや)くにして頂上(ちやうじやう)辿(たど)りついた。007此処(ここ)にはユーフテスと()右守司(うもりつかさ)家老(からう)(つと)めて()不誠忠(ふせいちう)無比(むひ)(をとこ)が、008二三人(にさんにん)(いへ)()()きつれ、009(かみ)(つげ)によつて黄金姫(わうごんひめ)母娘(おやこ)()ることを()り、010案内(あんない)(むか)へを()ねて(のぼ)つて()た。011ユーフテスは、012二人(ふたり)(たうげ)頂上(ちやうじやう)(たたず)み、013四方(よも)景色(けしき)(なが)(いき)をやすめて()るその(そば)に、014(うやうや)しく(かしら)()げながら(すす)()り、
015一寸(ちよつと)ものをお(たづ)(まを)しますが、016(わたし)はイルナの(みやこ)右守司(うもりつかさ)(やかた)家老職(からうしよく)(つと)めて()りますユーフテスと(まを)すもので(ござ)いますが、017()しや貴女様(あなたさま)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)黄金姫(わうごんひめ)(さま)018清照姫(きよてるひめ)(さま)御一行(ごいつかう)では御座(ござ)いませぬか。019イルナの(みやこ)はバラモン(けう)(をしへ)(もつ)(たみ)(をさ)むる(くに)御座(ござ)いますれば、020三五教(あななひけう)貴女様(あなたさま)をお(むか)(まを)すと申上(まをしあ)げては、021(あや)しく思召(おぼしめ)さるるで御座(ござ)いませうが、022(けつ)して(きたな)(こころ)で、023(むか)へに(まゐ)つたのでは御座(ござ)いませぬ。024何卒(どうぞ)名乗(なの)(くだ)さいませぬか』
025黄金(わうごん)『ホー、026其方(そなた)はイルナの(くに)右守司(うもりつかさ)(やかた)(つか)ふるユーフテス殿(どの)か、027それは御苦労(ごくらう)028(さつ)しの(とほ)り、029(わたし)黄金姫(わうごんひめ)030清照姫(きよてるひめ)母娘(おやこ)御座(ござ)います。031王様(わうさま)御身辺(ごしんぺん)は、032どうで御座(ござ)いますかな』
033『ハイ、034有難(ありがた)う、035唯今(ただいま)(ところ)では()御無事(ごぶじ)御座(ござ)いますが、036何時(いつ)大風一過(たいふういつくわ)037有名(いうめい)なるイルナ(じやう)破壊(はくわい)するかも(わか)らない危機(きき)(ひん)して()ります。038(じつ)にイルナの(みやこ)暗雲(あんうん)低迷(ていめい)039豪雨(がうう)(いた)らむとして、040()(その)(まど)(とざ)すべき真人(しんじん)御座(ござ)いませぬので、041王様(わうさま)(まを)すも(さら)なり、042忠義(ちうぎ)にはやる真人(まさびと)(たち)()碌々(ろくろく)()られず、043(こころ)(いた)めて()ります。044右守司(うもりつかさ)(はな)つた探偵(たんてい)縦横無尽(じうわうむじん)横行(わうかう)闊歩(くわつぽ)し、045(おほ)きな(こゑ)(もの)(ろく)()へないと()有様(ありさま)御座(ござ)います。046何卒(どうぞ)御推量(ごすゐりやう)(くだ)さいまして、047貴女(あなた)神力(しんりき)によつてイルナの(くに)危難(きなん)をお(すく)(くだ)さいませ』
048反間苦肉(はんかんくにく)(さく)(ろう)し、049(だい)それた野望(やばう)()げむとする悪人輩(あくにんばら)巣窟(さうくつ)なれば、050うつかり(たか)(こゑ)(もの)()(わけ)にも()きませぬ。051此処(ここ)(やま)(いただき)なれども、052矢張(やつぱり)悪神(あくがみ)(れい)吾等(われら)一行(いつかう)(とほ)()いて()りますれば、053()()つた(こと)(まを)されませぬ。054何事(なにごと)(わたし)(むね)にあれば御安心(ごあんしん)なさいませ』
055 清照姫(きよてるひめ)はしとやかに、
056貴方(あなた)がユーフテスさまで(ござ)いましたか。057御苦労(ごくらう)でしたなア、058これから(みやこ)まではまだ余程(よほど)道程(みちのり)がありますか』
059『ハイ、060もはや十里(じふり)()らずで御座(ござ)りますれば、061(すこ)しく(いそ)ぎますれば、062今晩(こんばん)()(どき)までには到着(たうちやく)出来(でき)るでせう。063丁度(ちやうど)夜中(やちう)御入城(ごにふじやう)(くだ)さる(はう)安全(あんぜん)(ござ)いませう』
064 ()(はな)(ところ)へ「オーイ オーイ」と(さか)(した)から()ばはりながら(のぼ)()五人(ごにん)騎馬隊(きばたい)がある。065三人(さんにん)何事(なにごと)ならむと(いぶか)りながら、066(たうげ)(かたはら)(いし)(こし)()ちかけ、067くだらぬ世間話(せけんばなし)(わざ)交換(かうくわん)して()た。068ユーフテスは(ふし)面白(おもしろ)(うた)ひながら(をど)つて()る。
069(たか)(やま)から(たに)(そこ)()れば
070かぼちや茄子(なす)花盛(はなざか)
071とは()ふもののこりや(うそ)ぢや
072(いま)紅葉(もみぢ)(あき)(すゑ)
073(ふゆ)(さかひ)となり()てて
074木々(きぎ)(こずゑ)はバラバラと
075()()()()(あめ)のごと
076高照山(たかてるやま)紅葉(もみぢば)
077(ころも)()ぎて丸裸体(まるはだか)
078老木(おいき)若木(わかぎ)もぶるぶると
079(ふる)(をのの)(あは)れさよ
080照山峠(てるやまたうげ)()ふけれど
081()()(あめ)(たた)かれて
082(ひと)つも(のこ)らず真裸体(まつぱだか)
083照山峠(てるやまたうげ)(たちま)ちに
084なきやま(たうげ)となりました
085ドツコイドツコイドツコイシヨ』
086(うた)つて()る。087其処(そこ)五人(ごにん)騎馬隊(きばたい)(のぼ)つて()三人(さんにん)眼下(がんか)見下(みおろ)しながら、
088(その)(はう)何者(なにもの)なるか』
089大喝(たいかつ)すると、090ユーフテスは(わざ)空呆惚(そらとぼ)けて()(みみ)にあてがひ(くび)(かたむ)け、
091『ヘイ(なん)(あふ)せられますか。092(この)(くだ)(ざか)(きつ)いかとお(たづ)ねですか。093それはそれは随分(ずゐぶん)きつい(さか)(ござ)いますよ』
094騎士(きし)『その(はう)(さつ)する(ところ)(つんぼ)()える。095エヽ仕方(しかた)がない。096それなる(をんな)(たづ)ねるが、097(いま)此処(ここ)妙齢(めうれい)美人(びじん)一人(ひとり)下男(げなん)(とほ)らなかつたか』
098 黄金姫(わうごんひめ)(わざ)阿呆(あはう)げた(かほ)をして、
099『ハイ、100(この)(たうげ)(すこ)手前(てまへ)(なん)とも()へぬ(うつく)しい(をんな)三人(さんにん)101(をとこ)一人(ひとり)出会(であ)ひましたが、102(わたし)()るなり、103あゝ(きたな)乞食(こじき)だと(ののし)りながら(この)(さか)一目散(いちもくさん)(のぼ)つて()きました。104何程(なにほど)落魄(おちぶ)れた乞食(こじき)だつて矢張(やつぱり)(おな)人間(にんげん)ですもの、105そんなに軽蔑(けいべつ)したものぢやありませぬなア』
106『ナニ(をんな)三人(さんにん)107(をとこ)一人(ひとり)とは合点(がてん)()かぬ。108(たしか)(をんな)一人(ひとり)109(をとこ)一人(ひとり)(とほ)つた(はず)だ。110(うそ)(まを)して()るのではないか』
111(うそ)(おも)ふなら勝手(かつて)(おも)はつしやい。112(この)(ばば)()には(たしか)(をんな)三人(さんにん)113(をとこ)一人(ひとり)だ。114(しか)素敵(すてき)別嬪(べつぴん)だつた。115一体(いつたい)(まへ)何処(どこ)から何処(どこ)()かしやるのだ。116大変(たいへん)景気(けいき)のよい(こま)()つて、117あのまあ(つよ)さうな(こと)わいのう』
118『あのお(かあ)さま、119(いま)()つた綺麗(きれい)(をんな)(かた)は、120ヤスだとかダラだとか()つていらつしやつたやうですな』
121(なに)122ヤスと()つて()たか、123そりや(たしか)にヤスダラ(ひめ)相違(さうゐ)あるまい。124踪跡(そうせき)(くら)ますために、125何処(どこ)かで乞食女(こじきをんな)でも(やと)つて()よつたのだなア。126ヤア(をんな)(ども)127よう()つて()れた。128サア(みな)(もの)129一鞭(ひとむち)あてて(くだ)らうではないか、130シヤール(さま)に、131これで申訳(まをしわけ)()つと()ふものだ』
132(くだ)(ざか)(うま)(またが)つたまま(すす)まうとする。133ユーフテスは、
134『あゝもしもし、135こんな(くだ)(ざか)(うま)()つて(とほ)らうものなら、136それこそ(たちま)ちですぞ。137(いのち)()しくないものは()つて()かつしやい』
138(なに)これしきの急坂(きふはん)()になるか、139騎馬(きば)達人(たつじん)顔揃(かほぞろ)ひだ。140(くだ)(ざか)になつて(うま)()りるやうで、141どうして(この)使命(しめい)(はた)されるか、142サア()かう』
143()ひながら手綱(たづな)()()め、144ハイ ハイ ハイと矢声(やごゑ)をあびせながら(くだ)()く。
145『お(かあ)さま、146神様(かみさま)都合(つがふ)よくして(くだ)さいますなア、147もう(すこ)しの(こと)でヤスダラ(ひめ)(さま)彼等(かれら)一行(いつかう)(とら)へられなさる(ところ)(ござ)いました。148マアお仕合(しあは)せのお(かた)ですこと』
149『アヽさうだなア、150これだから神様(かみさま)御神力(ごしんりき)(たふと)くて(わす)れられぬのだよ』
151ユーフテス『ヤスダラ(ひめ)(さま)にお()ひになりましたか、152どうして(ひめ)(さま)がこんな(ところ)へお(いで)になつたのでせう。153テルマン(ごく)のシヤールと()富豪(ふうがう)(いへ)(とつ)いで()られますのだから、154(かへ)りになるなら沢山(たくさん)のお(とも)がついて()なければならぬ(はず)155(なに)変事(へんじ)でも(おこ)つたのでは(ござ)りますまいか』
156黄金(わうごん)(いづ)れこれには(わけ)のあることです。157(しか)(なが)高照山(たかてるやま)岩窟(がんくつ)御案内(ごあんない)をして()きましたから、158(おほかみ)(まも)つて()ます(ゆゑ)159御心配(ごしんぱい)()りますまい』
160(なん)仰有(おつしや)います。161人々(ひとびと)(おそ)れて()りつかない高照山(たかてるやま)(おほかみ)巣窟(さうくつ)にヤスダラ(ひめ)(さま)御案内(ごあんない)なさるとは(つま)(ころ)しにおやりなさつたのですか』
162『オホヽヽヽ、163(いやし)くも(ひと)(たす)くる宣伝使(せんでんし)()として、164そんな(こと)があつて(たま)りますか。165(おほかみ)だつて(まこと)をもつて(むか)へば至極(しごく)柔順(じうじゆん)なもの、166(わたし)にも、167かうして()るものの、168(ひと)()(たた)けば五十(ごじふ)(ひやく)(おほかみ)はすぐ此処(ここ)(あら)はれて()ますからなア。169オホヽヽヽ』
170 ユーフテスは顔色(かほいろ)をサツと()へ、171(あし)をワナワナさせながら、
172『ナヽヽヽ(なん)仰有(おつしや)います、173貴女(あなた)(おほかみ)をお使(つか)(あそ)ばすのですか』
174『オホヽヽヽ、175大層(たいそう)(ふる)うて()りますな。176(わたし)狼婆(おほかみばば)狼娘(おほかみむすめ)一行(いつかう)だから、177(まへ)(この)()(いや)になつて()にたいと(おも)はしやつたら、178ちつとも心配(しんぱい)はない、179(おほかみ)()はして()げる(ほど)(よろこ)びなさいよ』
180(わざ)(つく)(ごゑ)をして(にく)さげに()つて()せる。
181『オホヽヽヽ、182(かあ)さまとした(こと)が、183これ(ほど)臆病(おくびやう)(ひと)をつかまへて威嚇(おどか)すものぢやありませぬよ、184貴女(あなた)余程(よほど)(はら)(わる)うなりましたなア』
185(じつ)(いま)(とほ)つた騎士(きし)(ども)(この)谷口(たにぐち)吾々(われわれ)三人(さんにん)行路(かうろ)(えう)してキツト()つて()るから、186(その)(とき)()()つて百匹(ひやつぴき)(ばか)(おほかみ)()びあつめ()(ぱら)つてやる(つも)りだ。187(その)(とき)このユーフテスさまが、188(こし)でも()かしては大変(たいへん)だから、189(いま)(うち)にビツクリの修業(しうげふ)をさして()るのだ。190これこれユーフテス(さま)191(なに)がそれ(ほど)(こは)いのぢや、192前様(まへさま)王様(わうさま)のためには不惜身命(ふじやくしんみやう)活動(くわつどう)をすると何時(いつ)()つて()るだらう。193(いのち)()しくないものが何故(なぜ)そんなに(ふる)ふのだろう。194不惜身命(ふしやくしんみやう)もあまり(あて)にはなりませぬぞや。195(くち)ではどんな(うま)(こと)()へますが、196イザ鎌倉(かまくら)となると(みな)逃腰(にげごし)になるのだから(こま)つたものだよ』
197(きみ)のため、198()のために(いのち)()つるのなら()甲斐(がひ)がありますが、199(おほかみ)などに、200バリバリやられては、201それこそ犬死(いぬじに)202いや狼死(おほかみじに)ですからたまりませぬわ。203(おな)(こと)なら(きみ)のため、204()のため、205人間(にんげん)()にかかつて()(はう)何程(なにほど)幸福(かうふく)だか(わか)りませぬからなア』
206(わたし)人間(にんげん)だから、207それなら御注文通(ごちゆうもんどほ)り、208(ひと)(ころ)して()()げませうかな。209それならお(まへ)得心(とくしん)だらう。210オホヽヽヽ』
211『アヽア、212イルナの(みやこ)(たす)(がみ)さまかと(おも)へば、213(なん)狼婆(おほかみば)アさまだつたのか。214エヽ曲津(まがつ)(かみ)(だま)されたか、215残念(ざんねん)だ。216もう(この)(うへ)(やぶ)れかぶれ、217窮鼠(きうそ)(かへつ)(ねこ)()むの(たとへ)(とほ)り、218(この)ユーフテスがいまはの(きは)死物狂(しにものぐる)ひの手並(てなみ)()()けよ』
219短剣(たんけん)をスラリと()()黄金姫(わうごんひめ)(むか)つて()いてかかる。220(たちま)(うしろ)(くさむら)よりオーン、221オーンと(おほかみ)(うな)(こゑ)しきりに(きこ)()る。222ユーフテスは短刀(たんたう)をパタリと()(おと)し、223(ふる)(をのの)(その)()にバタリと(たふ)れて(しま)つた。
224黄金(わうごん)(きみ)のため(みち)のためなら(いのち)まで
225()つると()ひし(ひと)ぞをかしき。
226(おほかみ)(うそぶ)(こゑ)(おどろ)きて
227(こし)()かせしやさ(をとこ)もあり。
228(くち)ばかりめでたき(こと)()ひながら
229まさかの(とき)(きも)をつぶしつ。
230照山(てるやま)(たうげ)()ひし二人(ふたり)()れを
231狼使(おほかみづか)ひと()(おどろ)くも。
232ユーフテスの(かみ)(つかさ)村肝(むらきも)
233(こころ)(つよ)()(あが)りませ』
234 清照姫(きよてるひめ)は、
235(わが)(はは)はユーフテス(つかさ)()(むか)
236(しこ)言霊(ことたま)(はな)ちたまひぬ。
237さらながらユーフテス(つかさ)(きこ)()
238(なれ)身魂(みたま)御試(みため)しなれば。
239この(さき)(しこ)(つかさ)がかくれ()
240吾等(われら)三人(みたり)(とら)へむと()つも。
241(その)(とき)(なれ)(みこと)(おどろ)きて
242(まよ)はせまじと(はは)(はか)らひ。
243(かなら)ずも()しくな(おも)ひたまふまじ
244(なれ)身魂(みたま)(きた)えむと(おも)へばこそ。
245惟神(かむながら)(かみ)(つか)へし(われ)なれば
246いかでか(ひと)(いのち)とるべき。
247()(ひと)(あまね)(すく)宣伝使(せんでんし)
248(なれ)(かぎ)りて(すく)はであるべき』
249 ユーフテスは二人(ふたり)(うた)()いてやつと安心(あんしん)し、250フナフナ(ごし)にウンと(ちから)()(つゑ)(ちから)()(あが)り、
251肝玉(きもだま)がどつかの(くに)宿替(やどがへ)
252(いま)藻抜(もぬけ)(から)となりぬる。
253(こし)()かし肝玉(きもだま)とられユーフテスは
254どうして(みち)(あゆ)()かむか。
255これ(ほど)(こは)いお(かた)()つたなら
256遥々(はるばる)(むか)ひに()るぢやなかつたに。
257()げようとあせれど脛腰(すねこし)()たぬ()
258詮術(せんすべ)さへもなき(なみだ)かな』
259 黄金姫(わうごんひめ)はユーフテスの(こし)二三回(にさんくわい)()(さす)り、260天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、261(あま)数歌(かずうた)二三回(にさんくわい)(とな)()げた。262不思議(ふしぎ)やユーフテスの(こし)(にはか)(つよ)くなり、263(あし)(ふる)ひもとまり、264(いま)神霊(しんれい)感応(かんのう)によつて、265百万(ひやくまん)(てき)(おそ)れざる(ほど)勇猛心(ゆうまうしん)臍下丹田(せいかたんでん)からむらむらと()いて()た。266ユーフテスは(はじ)めて黄金姫(わうごんひめ)(こころ)(さと)り、267幾回(いくくわい)となく(かしら)()両手(りやうて)(あは)(その)親切(しんせつ)感謝(かんしや)し、268元気(げんき)百倍(ひやくばい)二人(ふたり)(あと)(したが)ひ、269急坂(きふはん)(くだ)りながら一足々々(ひとあしひとあし)拍子(ひやうし)()(うた)()す。
270右守(うもり)(かみ)のカールチン
271テーナの(ひめ)喉元(のどもと)
272(うま)()()一家老(いちからう)
273鰻登(うなぎのぼ)りに(のぼ)つたる
274カールチン(つかさ)(いへ)()
275(つか)へまつりしユーフテス
276(あさ)(ゆふ)なに()(つく)
277(こころ)(つく)(しう)のため
278(つと)むる(をり)しも朝夕(あさゆふ)
279(した)ひまつりしセーリス(ひめ)
280(うづ)(みこと)来訪(らいほう)
281(こころ)(たちま)一変(いつぺん)
282右守(うもり)(かみ)表向(おもてむ)
283忠実(ちうじつ)らしく(つか)へつつ
284(こころ)はやつぱり裏表(うらおもて)
285セーリス(ひめ)父上(ちちうへ)
286(あら)はれ(たま)神司(かむづかさ)
287左守(さもり)(かみ)のクーリンス
288(たす)けにやならぬと内々(ないない)
289右守(うもり)(かみ)(いつは)つて
290(こひ)犠牲(ぎせい)()りながら
291やつて()たのは「ウントコシヨ」
292「ヤツトコドツコイ」(はづ)かしい
293これこれ右守(うもり)(つかさ)どの
294うつかり油断(ゆだん)をなさるなよ
295(この)坂路(さかみち)(くだ)るよに
296どこに悪魔(あくま)(ひそ)むやら
297何時(いつ)クレリツと(かは)るやら
298(ひと)(こころ)(わか)らない
299これを(おも)へば()(なか)
300(おそ)ろしものは(をんな)ぞや
301(をんな)(たましひ)(ひと)つにて
302古今無双(ここんむさう)豪傑(がうけつ)
303智者(ちしや)(きこ)えしユーフテスも
304(たちま)ち「ドツコイ」落城(らくじやう)した
305ほんに(おそ)ろし(こひ)(みち)
306とは()ふものの「ドツコイシヨ」
307(いま)となつては(およ)ばない
308改心(かいしん)するのが「ドツコイシヨ」
309()いか(わる)いか「ウントコシヨ」
310見当(けんたう)()れなくなつて()
311つらつら(おも)(めぐ)らせば
312(くに)(はしら)()れませる
313セーラン(わう)刃向(はむか)ふは
314矢張(やつぱ)(あく)(ちが)ひない
315さうすりや右守(うもり)神司(かむづかさ)
316(そむ)いた(ところ)で「ドツコイシヨ」
317バラモン(がみ)神罰(しんばつ)
318俺等(おいら)(あた)(はず)がない
319さう(かんが)へりや安心(あんしん)
320これこれもうし二人様(ふたりさま)
321足許(あしもと)()をつけなさいませ
322照山峠(てるやまたうげ)国中(くにぢう)
323(もつと)(けは)しい坂道(さかみち)
324獅子(しし)さへ()さぬ難所(なんしよ)ぞと
325()(きこ)えたる「ドツコイシヨ」
326()くに()かれぬ(こま)場所(ばしよ)
327(みち)案内(あんない)()らずして
328(えら)そに馬腹(ばふく)(むち)をうち
329テルマン(ごく)よりやつて()
330五人(ごにん)騎士(きし)今頃(いまごろ)
331(うま)諸共(もろとも)千仭(せんじん)
332谷間(たにま)に「ドツコイ」転落(てんらく)
333(あたま)(くじ)(ひぢ)()
334ウンウンうめいて()るだらう
335(おも)へば(おも)へば()(どく)ぢや
336バラモン(けう)神様(かみさま)
337彼等(かれら)(つみ)はありませぬ
338(この)(さき)吾等(われら)に「ドツコイシヨ」
339敵対(てきた)(きた)(その)(とき)
340(たす)けてやつて(くだ)さるな
341(わたし)()つと(こま)るから
342「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
343(いま)()つた騎士(きし)五人連(ごにんづ)
344黄金姫(わうごんひめ)のお言葉(ことば)
345(この)山口(やまぐち)()をかくし
346吾等(われら)()つてゐると()
347「ウントコドツコイ」猪口才(ちよこざい)
348そのよな(こと)(いた)したら
349神力(しんりき)()けたユーフテス
350生言霊(いくことたま)発射(はつしや)して
351一人(ひとり)(のこ)らず()ちきため
352根底(ねそこ)(くに)旅立(たびだち)
353「ウントコドツコイ」さしてやる
354もしも敵対(てきたい)せぬならば
355(たす)けてやつて(くだ)しやんせ
356梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
357オツトドツコイ国治立(くにはるたち)
358(かみ)(みこと)御前(おんまへ)
359(つつし)(いやま)()ぎまつる
360あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
361御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
362(うた)ひながら母娘(おやこ)(あと)(したが)ひ、363(やうや)くにして照山峠(てるやまたうげ)(みなみ)(くだ)りついた。364五人(ごにん)騎士(きし)黄金姫(わうごんひめ)予言(よげん)(ごと)(うま)(かしら)()(なほ)し、365やや(ひろ)谷間(たにあひ)三人(さんにん)()()せ、366(ゆみ)満月(まんげつ)(ごと)(しぼ)り、367()(つが)へ、368(いま)(おそ)しと()つて()る。369黄金姫(わうごんひめ)宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら、370つかつかと騎士(きし)(そば)(ちか)(すす)()つた刹那(せつな)371(たちま)(きこ)ゆる狼群(らうぐん)(うな)(ごゑ)372如何(いかが)はしけむ五人(ごにん)騎士(きし)(ゆみ)満月(まんげつ)(ごと)()(しぼ)つたまま、373身体(しんたい)強直(きやうちよく)しデクの(ぼう)(ごと)くなつて()る。374()かる(ところ)へ、375テームスやレーブ、376カルの三人(さんにん)(こま)(またが)り、377三頭(さんとう)副馬(そへうま)(したが)へて(ひづめ)(おと)戞々(かつかつ)(すす)()(いさ)ましさ。378黄金姫(わうごんひめ)は、379三人(さんにん)()()(きた)りし(こま)(またが)り、380清照姫(きよてるひめ)(とも)五人(ごにん)(くつわ)(なら)べ、381(いきほひ)()んでイルナの(みやこ)のセーラン(わう)(やかた)をさして(かけ)()く。382(やみ)(とばり)はおろされ、383入城(にふじやう)には(もつと)適当(てきたう)刻限(こくげん)である。384あゝ黄金姫(わうごんひめ)一行(いつかう)今後(こんご)活動(くわつどう)如何(いか)開展(かいてん)するだらうか。
385 (ちなみ)()(のこ)されたユーフテスは黄金姫(わうごんひめ)(ささや)きによつて五人(ごにん)騎士(きし)鎮魂(ちんこん)(ほどこ)し、386(もと)(ごと)身体(しんたい)自由(じいう)()せしめ、387表面(へうめん)右守司(うもりつかさ)従臣(じゆうしん)なるを(さいは)ひ、388五人(ごにん)騎士(きし)(とも)右守(うもり)(やかた)をさして一目散(いちもくさん)(かへ)()く。389ユーフテスの今後(こんご)活動(くわつどう)(また)(ひと)つの見物(みもの)であらう。
390大正一一・一一・一一 旧九・二三 加藤明子録)