霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一三章 (よる)(こま)〔一一一七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第3篇 北光神助 よみ:きたてるしんじょ
章:第13章 第41巻 よみ:よるのこま 通し章番号:1117
口述日:1922(大正11)年11月12日(旧09月24日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
イルナの都のセーラン王の館の奥の間には、王をはじめ黄金姫、清照姫、テームス、レーブ、カルの六人が上下の座についてひそびそと話し合っていた。
信仰を問うた黄金姫に対し、セーラン王は国治立大神も盤古神王も大自在天も名称が違うだけであると信じていたと答えた。それに対して黄金姫は、盤古神王や大自在天は人類の祖先から生じた邪霊が憑依した神であり、一方国治立尊は本当のこの世の御先祖様であると諭した。
セーラン王は黄金姫母娘を、自分の祈願所に招いた。祈願所の神号は、天一神王国治立尊とあった。そしてその下に、教主神素盞嗚尊と記し、中央の両側に盤古神王と大国彦命と記されていた。
黄金姫母娘は、セーラン王の信仰を見て王の信仰の正しさを称えた。セーラン王は、バラモン教を信仰して国を治めていたが、ある夜の夢に神素盞嗚大神と、尊敬する鬼熊別命が現れ、さまざまの有難い教訓を示してくれたのだという。
それからは自分ひとり、神命にしたがった信仰に励んでいたと明かした。セーラン王が描いた神素盞嗚大神と鬼熊別の肖像に、母娘は感に打たれていた。
セーラン王は、鬼熊別から王に当てた密書を取り出し、黄金姫に恭しく渡した黄金姫が密書を開いて見ると、夫の筆跡で三五教が真の教えであることがしたためられていた。
そして神素盞嗚大神のはからいにより自分の妻子がイルナ国を訪問するから、共に善後策を講じ、右守の魔手を逃れてどこかへ一時避難するようにと王に忠告する内容であった。
王と黄金姫母娘は早速居間に戻ると、テームス、カル、レーブに命じて王を高照山の狼の岩窟に送っていくようにと命じた。四人は裏口から駒を引き出し、闇の中を急いで出立した。
黄金姫と清照姫は後に残った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4113
愛善世界社版:187頁 八幡書店版:第7輯 598頁 修補版: 校定版:197頁 普及版:87頁 初版: ページ備考:
001 イルナの(みやこ)002セーラン(わう)(やかた)(おく)()には、003(わう)(はじ)黄金姫(わうごんひめ)004清照姫(きよてるひめ)005テームス、006レーブ、007カルの六人(ろくにん)008上下(じやうげ)(れつ)(ただ)し、009対坐(たいざ)しながら、010ひそびそ(ばなし)(はじ)まつてゐる。
011(わう)黄金姫(わうごんひめ)(さま)012遠方(ゑんぱう)(ところ)夜中(やちう)にも(かかは)らず、013よくお()(くだ)さいました。014これで(わたし)一安心(ひとあんしん)(いた)します。015貴女(あなた)鬼熊別(おにくまわけ)(さま)奥様(おくさま)蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)016小糸姫(こいとひめ)(さま)(ござ)いますなア』
017『ハイ、018(はづか)しながら運命(うんめい)(つな)にひかれて、019とうとう(をつと)(わか)れ、020神様(かみさま)(ため)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)になりました。021()(なか)(おも)(やう)にゆかないもので(ござ)います』
022左様(さやう)(ござ)いますなア、023(わたし)夫婦(ふうふ)(みち)()いて、024非常(ひじやう)悲惨(ひさん)境遇(きやうぐう)(おちい)つて()ります。025これでも何時(いつ)(また)神様(かみさま)御恵(みめぐみ)()つて、026(おも)(やう)身魂(みたま)()うたもの同士(どうし)()(こと)出来(でき)ませうかなア。027貴女様(あなたさま)最早(もはや)鬼熊別(おにくまわけ)(さま)(なか)よく(もと)夫婦(ふうふ)となつて、028神界(しんかい)にお(つか)(あそ)ばすことが出来(でき)ませう。029(わたし)到底(たうてい)(のぞ)みがありますまい』
030親子(おやこ)夫婦(ふうふ)一緒(いつしよ)神界(しんかい)(つか)へる(くらゐ)031結構(けつこう)(こと)はありませぬが、032(わたし)(をつと)御存(ごぞん)じの(とほ)り、033バラモン(けう)柱石(ちうせき)034(わたし)(はじ)(むすめ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)035何程(なにほど)神様(かみさま)(ひと)つだと(まを)しても、036むつかしい(なか)(ござ)います』
037(けつ)して御心配(ごしんぱい)なさいますな。038鬼熊別(おにくまわけ)(さま)は、039キツト貴女(あなた)のお(せつ)御賛成(ごさんせい)(あそ)ばすで(ござ)いませう。040(わたし)今日(こんにち)()(うへ)(じつ)()ふに()はれぬ境遇(きやうぐう)(おちい)つて()ります。041許嫁(いひなづけ)のヤスダラ(ひめ)奸臣(かんしん)(ため)(しりぞ)けられ、042(こころ)()はぬ(つま)押付(おしつ)けられ、043一日(いちにち)として(たの)しく(くら)した(こと)はありませぬ。044(その)(うへ)奸者侫人(かんじやねいじん)跋扈(ばつこ)し、045(わたし)身辺(しんぺん)(じつ)危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)(おちい)つて()ります。046()いては貴女様(あなたさま)をお(むか)申上(まをしあ)げ、047(この)危急(ききふ)(すく)うて(いただ)きたいと(ぞん)じまして、048北光(きたてる)神様(かみさま)(ゆめ)のお()げに()つて、049数日前(すうじつぜん)より貴女様(あなたさま)此方(こちら)へお()ましになるのをばお(さが)(まを)して()りました。050よくマア()(くだ)さいました。051今後(こんご)貴女(あなた)のお指図(さしづ)(したが)()(しよ)する(かんが)へですから、052何分(なにぶん)(よろ)しく御願(おねが)(いた)します』
053貴方(あなた)三五(あななひ)(をしへ)(しん)じますか』
054『ハイ、055(べつ)(しん)ずるといふ(わけ)では(ござ)いませぬが、056大自在天様(だいじさいてんさま)世界(せかい)創造主(さうざうしゆ)057国治立尊(くにはるたちのみこと)(さま)矢張(やは)世界(せかい)創造主(さうざうしゆ)058()(かは)れども(もと)(おな)神様(かみさま)だと(しん)じて()ります』
059国治立尊(くにはるたちのみこと)(さま)本当(ほんたう)(この)()御先祖様(ごせんぞさま)060盤古神王(ばんこしんわう)自在天様(じざいてんさま)人類(じんるゐ)祖先(そせん)天足彦(あだるひこ)061胞場姫(えばひめ)身魂(みたま)から発生(はつせい)した大蛇(をろち)悪狐(あくこ)悪鬼(あくき)邪霊(じやれい)憑依(ひようい)した神様(かみさま)で、062()はば(その)祖先(そせん)人間(にんげん)()して()(かた)ですから、063非常(ひじやう)相違(さうゐ)があります。064(かみ)から(あら)はれた(かみ)と、065(ひと)から(あら)はれた(かみ)とは、066そこに区別(くべつ)がなければなりませぬよ』
067『あゝさうで(ござ)いますかなア。068(わたし)三五教(あななひけう)奉斎主神(ほうさいしゆしん)たる国治立大神(くにはるたちのおほかみ)(さま)も、069盤古神王様(ばんこしんわうさま)も、070大自在天(だいじざいてん)(さま)(おな)神様(かみさま)で、071名称(めいしよう)(ちが)ふだけだと()いて()ります。072(わたし)(かた)くそれを(しん)じて()りましたが、073さう(うけたま)はれば(ひと)(かんが)へねばなりますまい。074チヨツト貴女様(あなたさま)母娘(おやこ)()(いただ)きたいものが(ござ)りますから、075どうぞ(わたし)(こも)場所(ばしよ)へお()(くだ)さいませ。076(つま)でも左守(さもり)(かみ)でも誰一人(たれひとり)()れたことのない神聖(しんせい)居間(ゐま)(ござ)います。077テームスよ、078レーブ、079カルと(とも)にここに(しばら)()つてゐてくれ』
080 テームスは、
081『ハイ(かしこ)まりました』
082とさし(うつ)むく。083(わう)母娘(おやこ)(とも)なひ、084(こも)りの(しつ)(すす)()く。085()つて()れば、086()なり(ひろ)(しつ)二間(ふたま)(なら)んでゐる。087そこには立派(りつぱ)斎壇(さいだん)(まう)けられ、088いろいろの面白(おもしろ)骨董品(こつとうひん)などが、089陳列(ちんれつ)されてあつた。090(とこ)()(みす)(わう)はクリクリと捲上(まきあ)げ、091()()ち、092祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(はじ)めた。093母娘(おやこ)(おな)じく(かしら)()げ、094小声(こごゑ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、095(をは)つて斎壇(さいだん)をよくよく()れば、096一幅(いつぷく)掛軸(かけぢく)(とこ)()正面(しやうめん)にかけられ、097神酒(みき)098御饌(みけ)099御水(みもひ)(など)がキチンと(そな)へられてある。100これは(つね)(わう)潔斎(けつさい)して神慮(しんりよ)(うかが)秘密室(ひみつしつ)であつた。
101 掛物(かけもの)神号(しんがう)をよく()れば、102天一神王(てんいちしんわう)国治立尊(くにはるたちのみこと)……と正面(しやうめん)大字(だいじ)にて(しる)し、103(その)真下(ました)教主(けうしゆ)神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)(しる)し、104中央(ちうあう)両側(りやうがは)盤古神王(ばんこしんわう)塩長彦命(しほながひこのみこと)105常世神王(とこよしんわう)大国彦命(おほくにひこのみこと)(わう)直筆(ぢきひつ)(しる)されてあつた。106黄金姫(わうごんひめ)母娘(おやこ)(この)(ふく)()をとめ、107(なん)とも()へぬ爽快(さうくわい)さと(おどろ)きの(ねん)にうたれ、108呆然(ばうぜん)として(その)神号(しんがう)(なが)めてゐる。
109(わたし)信仰(しんかう)(この)(とほ)りで(ござ)います。110(わか)りになりましたか』
111(おも)ひもよらぬ御神徳(ごしんとく)(いただ)きました。112これではイルナの(しろ)大丈夫(だいぢやうぶ)113御安心(ごあんしん)なさいませ。114(しか)(なが)(この)()御先祖様(ごせんぞさま)でも時世時節(ときよじせつ)には対抗(たいかう)(がた)く、115一度(いちど)常世彦(とこよひこ)116常世姫(とこよひめ)一派(いつぱ)(ため)に、117根底(ねそこ)(くに)までお()でなさつた(くらゐ)だから、118(けつ)して油断(ゆだん)出来(でき)ませぬ。119貴方(あなた)信仰(しんかう)大黒主(おほくろぬし)(はう)へでも(わか)らうものなら大変(たいへん)だから、120(いま)(しばら)くは発表(はつぺう)せないが(よろ)しいぞや』
121『ハイ、122左守(さもり)(かみ)にさへも(この)(しつ)(のぞ)かせた(こと)はありませぬ。123(たれ)()(もの)はないのですから、124大丈夫(だいぢやうぶ)(ござ)います』
125仮令(たとへ)(この)(へや)(のぞ)かぬとも、126貴方(あなた)信仰(しんかう)()うだとすば、127何時(いつ)とはなしに、128貴方(あなた)声音(せいおん)(あら)はれ、129皮膚(ひふ)(あら)はれ、130(つひ)にはかん()かれるものです。131如何(どう)しても(こころ)(いろ)(つつ)(こと)出来(でき)ませぬから』
132貴女(あなた)(さま)此処(ここ)へお()(くだ)さつた以上(いじやう)は、133(あま)心配(しんぱい)する(こと)()りますまい。134一寸(ちよつと)これを御覧(ごらん)(くだ)さいませ』
135(つぎ)()二人(ふたり)(みちび)く。136()ればここにも一寸(ちよつと)した(とこ)()があつて、137二幅(にふく)絵像(ゑざう)(かか)げられてあつた。138黄金姫(わうごんひめ)139清照姫(きよてるひめ)はアツとばかり(おどろ)かざるを()なかつた。140それは日頃(ひごろ)(こころ)にかけてゐる(をつと)鬼熊別(おにくまわけ)肖像(せうざう)一幅(いつぷく)神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)御肖像(ごせうざう)であつた。141清照姫(きよてるひめ)(おも)はず、
142『あゝこれはお父様(とうさま)143大神様(おほかみさま)
144()はうとするを、145黄金姫(わうごんひめ)(くち)()()て、
146『コレコレ清照姫(きよてるひめ)殿(どの)147(なに)仰有(おつしや)る。148これはキツト大黒主(おほくろぬし)(さま)自在天様(じさいてんさま)絵姿(ゑすがた)だ。149そんな(おほ)きな(こゑ)()すと、150悪魔(あくま)(みみ)這入(はい)つては大変(たいへん)ですよ』
151父上(ちちうへ)によう()御肖像(ごせうざう)(ござ)いますなア。152ホヽヽ』
153(わたし)(いま)までバラモン(しん)信仰(しんかう)して(この)(くに)(をさ)めて()りましたが、154(ある)()(ゆめ)神素盞嗚大神(かむすさのをのおほかみ)(さま)155鬼熊別命(おにくまわけのみこと)(さま)二柱(ふたはしら)(あら)はれ(たま)ひ、156いろいろ雑多(ざつた)有難(ありがた)教訓(けうくん)()れさせ(くだ)さいまして、157それより神命(しんめい)(したが)ひ、158(わたし)一人(ひとり)信仰(しんかう)(はげ)み、159(とき)(いた)るを()つて()りました。160(わたし)(ゆめ)(あら)はれたお姿(すがた)(おも)()して、161(みづか)(ふで)()り、162ソツとお給仕(きふじ)(いた)して()ります。163鬼熊別(おにくまわけ)(さま)神界(しんかい)にては神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)(さま)のお脇立(わきだち)になつてゐられます。164キツト(その)肉体(にくたい)三五(あななひ)のお(みち)へお(はい)(あそ)ばすでせう。165(ただ)時間(じかん)問題(もんだい)のみが(のこ)つてゐるのだと(かん)じて()ります』
166 黄金姫(わうごんひめ)母娘(おやこ)(もの)をも()はず(かん)()たれ、167(うれ)(なみだ)にかきくれてゐる。168セーラン(わう)は、
169天地(あめつち)(かみ)(めぐみ)()のあたり
170(をが)みし今日(けふ)(たふと)かりけり。
171素盞嗚神(すさのをのかみ)(みこと)(まつろ)ひて
172(をしへ)(まも)鬼熊別(おにくまわけ)神司(かみ)よ。
173鬼熊別(おにくまわけ)(かみ)(みこと)(いま)(しば)
174ハルナの(みやこ)(しの)びますらむ。
175時機(じき)()ればやがて(おもて)(あら)はれて
176三五教(あななひけう)(つかさ)となりまさむ。
177あゝ(うれ)黄金姫(わうごんひめ)清照姫(きよてるひめ)
178(かみ)(つかさ)()ひし今宵(こよひ)は』
179黄金(わうごん)()()れば(おも)ひもよらぬ(きみ)居間(ゐま)
180わが()(きみ)姿(すがた)(をが)みし。
181バラモンの(をしへ)御子(みこ)(おも)ひしに
182摩訶(まか)不思議(ふしぎ)なる今宵(こよひ)なりけり』
183清照(きよてる)千早振(ちはやぶ)(かみ)(ひかり)(つよ)ければ
184(ちち)(みこと)(こころ)()りつつ
185(わが)(ちち)最早(もはや)国治立神(くにはるたちのかみ)
186(をしへ)御子(みこ)となりましにけむ。
187セーランの(きみ)(みこと)(いま)(しば)
188(とき)()ちませ(かみ)のまにまに。
189清照姫(きよてるひめ)(をしへ)(つかさ)今宵(こよひ)こそ
190(つも)(おも)ひの()(わた)りける』
191黄金(わうごん)北光(きたてる)(かみ)(みこと)のかくれます
192高照山(たかてるやま)にとく(すす)みませ。
193高照(たかてる)(やま)世人(よびと)(おそ)ろしく
194(うはさ)すれども(うづ)真秀良場(まほらば)
195百千々(ももちぢ)(おほかみ)(むれ)(したが)へて
196北光(きたてる)(かみ)(きみ)()ちつつ。
197いざさらばテームス、レーブ、カル三人(みたり)
198(あと)(したが)へとく()でませよ』
199(わう)黄金姫(わうごんひめ)(かみ)御言(みこと)(したが)ひて
200とく立出(たちい)でむ高照山(たかてるやま)へ。
201(わが)()きし(のち)(やかた)汝命(ながみこと)
202(しば)(とど)まり(まも)(たま)はれ』
203清照(きよてる)大神(おほかみ)稜威(いづ)(ひかり)()らされて
204(みち)(くま)なく(やす)()きませ。
205(おや)()(こころ)(あは)()(つく)
206入那(いるな)(しろ)(しば)(まも)らむ』
207(わう)鬼熊別(おにくまわけ)(かみ)(みこと)(たま)ひてし
208生玉章(いくたまづさ)(なれ)(まつ)らむ。
209(こころ)して(ひら)見給(みたま)鬼熊別(おにくまわけ)
210(かみ)(みこと)真心(まごころ)(いろ)を』
211()ひながら、212鬼熊別(おにくまわけ)より(わう)(つか)はしたる密書(みつしよ)黄金姫(わうごんひめ)(うやうや)しく手渡(てわた)した。213黄金姫(わうごんひめ)手早(てばや)(ふう)()()り、214押披(おしひら)いて()(くだ)せば、215()文面(ぶんめん)であつた。
216鬼熊別(おにくまわけ)よりセーラン(わう)密書(みつしよ)(おく)る。
217一、218これの天地(あめつち)天一神王(てんいちしんわう)大国治立尊(おほくにはるたちのみこと)(つく)(たま)ひし神国(しんこく)にして、219(けつ)して大国彦(おほくにひこ)220塩長彦(しほながひこ)(かみ)(たち)創造(さうざう)せし天地(てんち)にあらず。221(また)大黒主(おほくろぬし)はバラモン(けう)大棟梁(だいとうりやう)として兵馬(へいば)(けん)(にぎ)り、222大教主(だいけうしゆ)仮面(かめん)(かぶ)()らるれども、223(てん)何時迄(いつまで)()かる虚偽(きよぎ)(ゆる)(たま)はず、224(かなら)ずや本然(ほんぜん)(まこと)()(かへ)り、225三五教(あななひけう)信従(しんじゆう)する(とき)あるべし。226それに()いては神素盞嗚大神(かむすさのをのおほかみ)御摂理(ごせつり)()り、227(わが)妻子(さいし)近々(きんきん)(うち)(わう)(やかた)訪問(はうもん)すべければ、228一切万事(いつさいばんじ)打明(うちあ)け、229国家(こくか)(ため)最善(さいぜん)努力(どりよく)をなさるべし。230ハルナの(みやこ)(いま)軍隊(ぐんたい)大部分(だいぶぶん)遠征(ゑんせい)()(のぼ)り、231(まも)(もつと)(すく)なくなり()れり。232(しか)るに(わう)(つか)ふる右守(うもり)より(わう)廃立(はいりつ)せむとの願書(ぐわんしよ)233大黒主(おほくろぬし)(もと)(きた)り、234大黒主(おほくろぬし)数千(すうせん)騎士(きし)近々(きんきん)差向(さしむ)くる(こと)となりをれば、235イルナ(じやう)(じつ)風前(ふうぜん)灯火(ともしび)なるを(もつ)て、236貴王(きわう)(わが)妻子(さいし)(とも)善後策(ぜんごさく)(かう)じ、237一時(いちじ)(いづ)れへか避難(ひなん)さるべし。238鬼熊別(おにくまわけ)はハルナの(みやこ)(とど)まつて、239大黒主(おほくろぬし)()(あらた)めしめ、240(その)身魂(みたま)をして天国(てんごく)浄土(じやうど)(すく)はむと朝夕(てうせき)(つと)めつつあり。241(わが)妻子(さいし)面会(めんくわい)()()し、242一刻(いつこく)猶予(いうよ)もなく、243安全(あんぜん)地帯(ちたい)一時(いちじ)()をかくさるべく呉々(くれぐれ)注意(ちゆうい)(いた)します。244あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
245(しる)されてあつた。246黄金姫(わうごんひめ)247清照姫(きよてるひめ)(ひさ)しぶりに鬼熊別(おにくまわけ)肉筆(にくひつ)手紙(てがみ)()て、248(をつと)直接(ちよくせつ)()ひし(ごと)く、249(ちち)面会(めんくわい)せし(ごと)く、250(こころ)(いさ)み、251感涙(かんるゐ)(おと)しながら、
252黄金(わうごん)『あゝ(これ)にて(なに)もかも(わか)りました。253北光(きたてる)神様(かみさま)一時(いちじ)(はや)貴方(あなた)(おほかみ)岩窟(いはや)(いざな)(きた)れとの御命令(ごめいれい)も、254(この)手紙(てがみ)文面(ぶんめん)にて氷解(ひようかい)しました。255あゝ、256(なん)神様(かみさま)はどこまでも注意(ちうい)周到(しうたう)なお(かた)だなア』
257清照(きよてる)『お父様(とうさま)直接(ちよくせつ)()にかかつた(やう)心持(こころもち)(いた)します。258神様(かみさま)259有難(ありがた)(ござ)います』
260両手(りやうて)(あは)せ、261神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)聖像(せいざう)(むか)つて、262感謝(かんしや)(ことば)(ささ)げた。
263黄金(わうごん)『サアかうなる(うへ)は、264一刻(いつこく)(はや)高照山(たかてるやま)(よる)()けない(うち)にお()(あそ)ばせ。265申上(まをしあ)げたき(こと)山々(やまやま)あれど、266(いま)はさういふ余裕(よゆう)(ござ)いませぬ。267サア(はや)(はや)く』
268とせき()つれば(わう)は、
269左様(さやう)ならば、270万事(ばんじ)(よろ)しく(ねが)ひます』
271(さき)()ち、272テームス()(ひか)へてゐる居間(ゐま)姿(すがた)(あら)はした。273(わう)母娘(おやこ)(とも)(おもて)居間(ゐま)立現(たちあら)はれ、274テームスに()(むか)ひ、
275『テームス、276御苦労(ごくらう)だが、277(はや)(こま)用意(ようい)をしてくれ。278これから高照山(たかてるやま)へレーブ、279カルを(ともな)ひ、280出発(しゆつぱつ)(いた)すから』
281『ハイ承知(しようち)(いた)しました。282(しか)(なが)黄金姫(わうごんひめ)(さま)御命令(ごめいれい)()り、283(うま)用意(ようい)はチヤンと(ととの)へておきました。284何時(いつ)なりともお(とも)(いた)しませう』
285『あゝそれは有難(ありがた)い。286それなら、287黄金姫(わうごんひめ)(さま)288清照姫(きよてるひめ)(さま)289あとを(よろ)しく御願(おねが)(いた)します』
290黄金(わうごん)(きみ)ゆきて如何(いか)にけながくなるとても
291われは(やかた)(まも)りて()たむ。
292うら(やす)(すす)()でませ高照(たかてる)
293(やま)岩窟(いはや)(かみ)()たせり。
294三五(あななひ)教司(をしへつかさ)北光(きたてる)(かみ)
295(きみ)のいでまし()たせ(たま)はむ』
296(わう)『いざさらば黄金姫(わうごんひめ)清照姫(きよてるひめ)
297(かみ)(みこと)()しく(わか)れむ』
298(うた)ひながら、299(あわただ)しく(おもて)()で、300裏門口(うらもんぐち)より(こま)()()し、301(やみ)(みち)辿(たど)りて、302高照山(たかてるやま)岩窟(がんくつ)()して一行(いつかう)四人(よにん)(くも)(かすみ)(かけ)()く。
303大正一一・一一・一二 旧九・二四 松村真澄録)