霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一四章 慈訓(じくん)〔一一一八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第3篇 北光神助 よみ(新仮名遣い):きたてるしんじょ
章:第14章 慈訓 よみ(新仮名遣い):じくん 通し章番号:1118
口述日:1922(大正11)年11月12日(旧09月24日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高照山の岩窟では主客五人が何事か話にふけっている。竜雲は神話をしつつ、北光神に問われてインドの国情を報告した。
続いてヤスダラ姫はこれまでの苦労を告白した。北光神と竹野姫は、ヤスダラ姫のこれまでの苦難をねぎらいつつ、これからの神界のための活動に向けた使命を諭し、勇気を与えた。
そこへ蹄の音が岩窟内に聞こえてきた。北光神はセーラン王の一行が到着したと、竜雲に出迎えを命じた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-12-14 11:45:33 OBC :rm4114
愛善世界社版:200頁 八幡書店版:第7輯 603頁 修補版: 校定版:211頁 普及版:93頁 初版: ページ備考:
001 (おほかみ)(まも)高照山(たかてるやま)岩窟(がんくつ)には主客(しゆきやく)()(にん)(ひざ)(まじ)へて何事(なにごと)(はなし)(ふけ)つてゐる。002北光(きたてる)(かみ)宣伝使(せんでんし)(かたはら)鍛冶(かぢ)名人(めいじん)なれば、003数多(あまた)精巧(せいかう)なる機械(きかい)閑暇(かんか)ある(ごと)製造(せいざう)し、004(のみ)005(つち)006鶴嘴(つるはし)007(くは)(など)(つく)つて岩窟(がんくつ)穿(うが)ち、008(いま)八咫(やた)大広間(おほひろま)(いく)つとなく穿(うが)たれ、009難攻(なんこう)不落(ふらく)金城(きんじやう)鉄壁(てつぺき)となつたのである。010それに数百千(すうひやくせん)(おほかみ)北光(きたてる)(かみ)恩威(おんゐ)(ふく)し、011(あだか)飼犬(かひいぬ)(ごと)くよく(その)(めい)(まも)り、012()人語(じんご)(かい)する(やう)になつてゐた。013岩窟(がんくつ)一間(ひとま)には(あめ)目一(まひと)つの(かみ)上座(じやうざ)に、014(その)右側(みぎがは)には竹野姫(たけのひめ)015(すこ)()がつてヤスダラ(ひめ)016竜雲(りううん)017リーダーの(じゆん)()をすすりながら神話(しんわ)(ふけ)る。
018竜雲(りううん)北光(きたてる)(かみ)(さま)019(わたくし)悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)悪魔(あくま)憑依(ひようい)され、020サガレン(わう)(たい)不臣(ふしん)(つみ)(かさ)ね、021(すで)霊魂(みたま)根底(ねそこ)(くに)()()まるる(ところ)御座(ござ)りましたが、022貴神(あなた)()親切(しんせつ)なる()教訓(けうくん)によつて、023貪瞋痴(どんしんち)(ゆめ)()め、024(やうや)真人間(まにんげん)にして(いただ)きました。025(いち)()(いきほひ)(じやう)じ、026サガレン(わう)(あと)(おそ)うて権利(けんり)(ふる)うた(とき)(くる)しさに(くら)ぶれば、027今日(こんにち)気楽(きらく)(たの)しさは、028天地(てんち)相違(さうゐ)御座(ござ)ります。029体主(たいしゆ)霊従(れいじう)欲望(よくばう)にかられ、030()らず()らずに身魂(みたま)地獄(ぢごく)(おと)してゐるものは、031(けつ)して竜雲(りううん)ばかりでは御座(ござ)りますまい。032(なん)とかして(その)(まよ)ひを()まさせ、033身魂(みたま)安楽(あんらく)にさせてやりたいもので御座(ござ)りますワ』
034北光(きたてる)其方(そなた)(つき)(くに)巡回(じゆんくわい)して()たのだから、035最早(もはや)天下(てんか)人情(にんじやう)はよく(わか)つただらう。036随分(ずゐぶん)()(なか)(あは)れむべきものが(おほ)いだらうな』
037竜雲『ハイ、038(あふ)せの(とほ)何処(どこ)(くに)(まゐ)りましても宗教(しうけう)(あらそ)ひや名利(めいり)(よく)(から)まれて、039(たがひ)(しのぎ)(けづ)惨状(さんじやう)は、040まるで地獄(ぢごく)餓鬼(がき)畜生道(ちくしやうだう)(その)(まま)出現(しゆつげん)御座(ござ)ります。041丁度(ちやうど)以前(いぜん)のセイロン(たう)()ける竜雲(りううん)雛形(ひながた)(いた)(ところ)散見(さんけん)せられます。042(しか)(なが)不思議(ふしぎ)(こと)には三五教(あななひけう)(すこ)しでも(いき)のかかつた地方(ちはう)は、043(きは)めて人心(じんしん)平穏(へいおん)044寡欲(くわよく)恬淡(てんたん)にして、045上下(しやうか)相親(あひした)しみ、046小天国(せうてんごく)(きづ)かれてゐるのを目撃(もくげき)(いた)しまして、047(もつと)愉快(ゆくわい)(かん)じた(こと)御座(ござ)ります』
048北光神其方(そなた)七千(しちせん)()(こく)(めぐ)つた(うち)049比較(ひかく)(てき)(をさ)まり(にく)(ところ)何処(どこ)々々(どこ)だと(おも)ひましたか』
050竜雲『ハイ、051随分(ずゐぶん)沢山(たくさん)一々(いちいち)申上(まをしあ)げる(わけ)には(まゐ)りませぬ。052(しか)(なが)第一(だいいち)にカルマタ(こく)053第二(だいに)にイルナの(くに)などは(いま)大騒乱(だいさうらん)勃発(ぼつぱつ)せむとする間際(まぎは)になつてゐる(やう)御座(ござ)ります。054カルマタ(こく)東北(とうほく)地教山(ちけうざん)(ひか)へ、055地教山(ちけうざん)には三五教(あななひけう)神柱(かむばしら)(まこと)(みち)(まも)つて附近(ふきん)人民(じんみん)教養(けうやう)して()られる。056そこへウラル(けう)常暗彦(とこやみひこ)(あら)はれて本拠(ほんきよ)(かま)へ、057間隙(かんげき)あれば地教山(ちけうざん)併呑(へいどん)せむと(たく)んでゐる。058(この)(ごろ)(また)ウラル(けう)(いきほ)ひがあまり(さかん)なと()うて、059ハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)が、060大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)数多(あまた)軍隊(ぐんたい)引率(いんそつ)せしめ()(きた)るとの飛報(ひはう)(しき)りに(きた)り、061人心(じんしん)恟々(きようきよう)たる有様(ありさま)御座(ござ)ります。062(つぎ)にはイルナの(くに)のセーラン(わう)(たい)する嫉視(しつし)反目(はんもく)()(つき)(くは)はり、063正義派(せいぎは)不正義(ふせいぎ)()とが()えず暗闘(あんとう)をつづけ、064(いま)にも右守(うもり)(かみ)大黒主(おほくろぬし)威勢(ゐせい)(たの)みイルナの(わう)放逐(はうちく)し、065(みづか)らとつて(かは)らむとの計画中(けいくわくちう)だとの城下(じやうか)人々(ひとびと)のとりどりの(うはさ)066何時(いつ)イルナの(みやこ)戦塵(せんぢん)(ちまた)(かは)るやも()れぬとの(こと)御座(ござ)ります。067(なん)とかして(この)惨状(さんじやう)未発(みはつ)(ふせ)ぎたいと(ぞん)じ、068竜雲(りううん)都下(とか)徘徊(はいくわい)(いた)して宣伝歌(せんでんか)(うた)(まは)りました(ところ)069右守(うもり)のカールチンが部下(ぶか)圧迫(あつぱく)され、070(すで)生命(いのち)までとられむとせし(ところ)071不思議(ふしぎ)にも何処(どこ)ともなく(おほかみ)(むれ)072白昼(はくちう)(あら)はれ(きた)り、073咆哮(はうかう)怒号(どごう)して(てき)追散(おひち)らし、074(けむり)(ごと)姿(すがた)(かく)しました。075その()(うかが)一目散(いちもくさん)(みやこ)()()し、076照山峠(てるやまたうげ)()えてスタスタ(かへ)()途中(とちう)077蓮川(はちすがは)(ほとり)(おい)てヤスダラ(ひめ)(さま)主従(しゆじゆう)出会(であ)ひ、078二人(ふたり)(さま)危難(きなん)(すく)ひ、079(あと)になり(さき)になり、080()えつ(かく)れつ照山峠(てるやまたうげ)(ふもと)まで(おく)つて()ました(ところ)081三五教(あななひけう)黄金姫(わうごんひめ)(さま)母娘(おやこ)出会(であ)ひ、082(いち)()(はや)北光彦(きたてるひこ)(かみ)(さま)()命令(めいれい)だから高照山(たかてるやま)(まゐ)れとのお言葉(ことば)083()るものも()りあへず(ひめ)(さま)のお(とも)をして此処(ここ)(まで)(まゐ)つたもので御座(ござ)ります。084(じつ)危険(きけん)至極(しごく)()(なか)となつて(まゐ)りました』
085北光神()(ほど)086それは()苦労(くらう)087(この)(やかた)猛獣(まうじう)眷族(けんぞく)数多(あまた)(まも)()れば、088天下(てんか)第一(だいいち)安全(あんぜん)地帯(ちたい)だ。089ヤスダラ(ひめ)殿(どの)()安心(あんしん)なされませ』
090ヤスダラ姫『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)ります。091(をんな)(みち)()(はづ)した(わたし)をお(とが)めもなくお(たす)(くだ)さいまして(なん)とも(おそ)(おほ)くて申上(まをしあ)げやうも御座(ござ)りませぬ。092何卒(なにとぞ)(よろ)しく今後(こんご)()教養(けうやう)を、093(ひとへ)にお(ねが)(まを)します』
094北光神随分(ずゐぶん)ヤスダラ(ひめ)(さま)095貴女(あなた)悪人(あくにん)(ども)欲望(よくばう)犠牲(ぎせい)となつて(くる)しみましたな。096身魂(みたま)()はぬ(をつと)()たされ、097(さぞ)日々(にちにち)不愉快(ふゆくわい)をお(かん)じになつたでせう。098()心中(しんちう)(さつ)(まを)します』
099(なさけ)ある言葉(ことば)に、100ヤスダラ(ひめ)はヤツと安心(あんしん)し、101(うれ)(なみだ)(そで)(ぬぐ)ひながら、
102ヤスダラ姫(おも)ひもよらぬ()親切(しんせつ)()言葉(ことば)103有難(ありがた)御座(ござ)ります。104(なに)(かく)しませう、105(わたし)はイルナの(みやこ)左守(さもり)クーリンスの長女(ちやうぢよ)(うま)れ、106セーラン(わう)(さま)許嫁(いひなづけ)御座(ござ)りました(ところ)が、107ハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)(さま)()(へつら)右守(うもり)カールチンの()めに(さへぎ)られ、108種々(いろいろ)難癖(なんくせ)をつけられた挙句(あげく)109テルマン(ごく)毘舎(びしや)(つま)とせられ、110今日(こんにち)まで面白(おもしろ)からぬ月日(つきひ)(おく)つて()ました。111(いま)貴神(あなた)のお言葉(ことば)(とほ)身魂(みたま)()はないのか(ぞん)じませぬが、112(をつと)のシヤールに(たい)して(すこ)しも(あい)(ねん)(おこ)らず、113(をつと)(また)(わたし)(たい)して至極(しごく)冷淡(れいたん)114路傍(ろばう)(あひ)()(ひと)(ごと)く、115夫婦(ふうふ)としての暖味(あたたかみ)(ゆめ)にも(あぢ)はつた(こと)御座(ござ)りませぬ。116(つま)として(をつと)(たい)して(あい)(ささ)げるが(みち)なれども、117如何(どう)したものか(その)(こころ)()いて()ませぬ。118勿体(もつたい)ない(こと)ながら、119()けても()れても(おや)許嫁(いひなづけ)(をつと)セーラン(わう)(さま)(こと)()にちらつき、120(こゑ)(みみ)(ひび)き、121(わう)(さま)(こと)のみ夢現(ゆめうつつ)()(した)(こころ)(つみ)(かさ)ねて()りました。122(ところ)右守(うもり)(つま)テーナ(ひめ)(をつと)(やかた)右守(うもり)使者(ししや)として(あら)はれ(きた)り、123(わたし)(たい)無理(むり)難題(なんだい)()きかけ、124(をつと)のシヤールを威喝(ゐかつ)して(つひ)獄舎(ひとや)(つく)(わたし)()()み、125非常(ひじやう)虐待(ぎやくたい)(いた)すので御座(ござ)ります。126(わたし)最早(もはや)運命(うんめい)つきたりと覚悟(かくご)()め、127(なみだ)にくるる(をり)しも、128雨風(あめかぜ)(はげ)しき夜半(よは)129これなる忠僕(ちうぼく)リーダーが獄舎(ひとや)打破(うちやぶ)り、130(わたし)背負(せお)(やみ)(まぎ)れて此処(ここ)まで(やうや)()れて()てくれました。131(これ)(まつた)(かみ)(さま)のお(かげ)竜雲殿(りううんどの)()保護(ほご)御座(ござ)ります。132最早(もはや)(この)()(のぞ)みは御座(ござ)りませぬが、133せめて一度(いちど)(ちち)のクーリンスや(いもうと)のセーリス(ひめ)面会(めんくわい)したう御座(ござ)ります。134(また)()(こと)ならば一目(ひとめ)なりとも(わう)(さま)のお姿(すがた)(をが)みたく(ぞん)じます。135それさへ出来(でき)れば最早(もはや)()んでも(うら)みは御座(ござ)りませぬ』
136()(うへ)(ばなし)にホロリと(なみだ)(おと)差俯(さしうつ)むく。
137北光神『それでスツカリ事情(じじやう)(わか)りました。138やがて親兄妹(おやきやうだい)(まを)すに(およ)ばず、139セーラン(わう)(さま)()はせませう。140さうして屹度(きつと)身魂(みたま)同士(どうし)夫婦(ふうふ)だから肉体(にくたい)(うへ)でも夫婦(ふうふ)となつて、141イルナの(みやこ)(はな)(うた)はれ(あそ)ばす(やう)(まも)つてあげませう。142(この)手筈(てはず)(すで)此方(こちら)(おい)神示(しんじ)(もと)(おこな)はれつつありますから()安心(あんしん)なさいませ』
143ヤスダラ姫左様(さやう)有難(ありがた)(こと)になりませうかな。144そんな(こと)出来(でき)ますならば、145(わたし)(はじ)親兄妹(おやきやうだい)はどれほど(よろこ)ぶか()れませぬ。146(わう)(さま)(さぞ)()満足(まんぞく)(あそ)ばすで御座(ござ)りませう』
147竹野(たけの)『ヤスダラ(ひめ)(さま)148貴女(あなた)もこれから(かみ)(さま)のために余程(よほど)()苦労(くらう)(あそ)ばさねばなりませぬぞや。149(わたし)随分(ずゐぶん)(わか)(とき)両親(りやうしん)(わか)れ、150(さび)しい月日(つきひ)(おく)りましたが、151(かぜ)便(たよ)りに(ちち)(みこと)高砂島(たかさごじま)()しますと()き、152姉妹(きやうだい)(さん)(にん)色々(いろいろ)艱難(かんなん)苦労(くらう)(いた)しまして、153(うづ)(みやこ)()()でてエデンの川辺(かはべ)(すす)()(をり)しも、154悪者(わるもの)(ども)取巻(とりま)かれ、155(こま)りきつて()(ところ)へ、156月照彦(つきてるひこ)(さま)()化身(けしん)照彦(てるひこ)()(やかた)(しもべ)()()(きた)危難(きなん)(すく)()れられました。157それより(ちち)()します(うづ)(みやこ)へ、158主従(しゆじゆう)()(にん)(たづ)ねて(まゐ)り、159ヤレ(うれ)しやと(おも)うたのも(つか)()160木花姫(このはなひめの)(みこと)(さま)化身(けしん)なる珍山彦(うづやまひこ)(かみ)(みちび)かれ()ひしき(ちち)(みやこ)(あと)に、161テルの(くに)にて照彦(てるひこ)(わか)れ、162それより(ふね)()つてアタルの(みなと)上陸(じやうりく)し、163ヒル、164カルの国々(くにぐに)姉妹(きやうだい)(さん)(にん)(はな)(ばな)れに宣伝(せんでん)(いた)し、165ウラル(けう)魔神(まがみ)鷹依別(たかよりわけ)目付(めつけ)()(まく)られ、166(なさけ)ある春山彦(はるやまひこ)(やかた)(かく)され(やうや)危難(きなん)(まぬが)れ、167黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)(たたか)ひに参加(さんか)(いた)しましたが、168随分(ずゐぶん)種々(いろいろ)(かみ)(さま)のお(ため)しに()ひました。169それより(また)アジヤに(わた)所々(しよしよ)方々(はうばう)宣伝(せんでん)(まは)るうち、170(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(さま)のお媒酌(なかだち)によつてコーカス(ざん)(おい)北光(きたてる)(かみ)(さま)結婚式(けつこんしき)()げましたが、171それから(なが)(あひだ)夫婦(ふうふ)同居(どうきよ)した(こと)もなく、172(みち)()活動(くわつどう)をつづけ、173(この)(ごろ)(やうや)夫婦(ふうふ)一緒(いつしよ)()うして御用(ごよう)(つと)める(やう)になりました。174最早(もはや)(をつと)(とし)()り、175(わたし)もこんな(ばば)になつて(しま)ひました。176オホヽヽヽ』
177(なみだ)をかくして(わら)ひに(まぎ)らす。
178 ヤスダラ(ひめ)竹野姫(たけのひめ)(はなし)(かん)じ、179()自分(じぶん)苦労(くらう)()らぬのを(はづ)かしく(かほ)(あか)らめてオゾオゾしながら、
180ヤスダラ姫左様(さやう)(ござ)りましたか、181人間(にんげん)()ふものは中々(なかなか)容易(ようい)(こと)一生(いつしやう)(おく)(こと)出来(でき)ませぬな。182(わたし)(たち)貴女(あなた)(こと)(おも)へばお(はなし)になりませぬ。183(すこ)しの忍耐(にんたい)もなく(をつと)牢獄(らうごく)()()し、184ノメノメと親兄妹(おやきやうだい)(おも)(をつと)(した)うて(かへ)つて()(こころ)のきたなさ、185(はづ)かしさ、186(じつ)汗顔(かんがん)(いた)りで(ござ)ります』
187北光神『ヤスダラ(ひめ)(さま)188()心配(しんぱい)なさいますな。189貴女(あなた)はこれから神界(しんかい)のため()活動(くわつどう)(あそ)ばすのだ。190(ひと)一生(いつしやう)重荷(おもに)()うて(けは)しい山坂(やまさか)(のぼ)るやうなものです。191何時(いつ)険呑(けんのん)()()ふやら、192(たふ)れるやら(わか)りませぬ。193そこを(かみ)(さま)()神力(しんりき)(たす)けられ、194波風(なみかぜ)(あら)()(なか)安々(やすやす)(わた)るのですよ。195さうして自分(じぶん)()(まも)りながら(かみ)(さま)(うづ)御子(みこ)たる天下(てんか)万民(ばんみん)(まこと)(みち)(をし)(さと)して、196天国(てんごく)(すく)ひ、197霊肉(れいにく)ともに安心(あんしん)立命(りつめい)(あた)へるのが(かみ)より(えら)まれたる貴女(あなた)(がた)任務(にんむ)だから、198如何(いか)なる艱難(かんなん)辛苦(しんく)()ふとも(けつ)して落胆(らくたん)したり(うら)んだりしてはなりませぬ。199何事(なにごと)(この)()(なか)人間(にんげん)自由(じいう)には()()(いち)(まい)だつてなるものではない。200みんな(かみ)御心(みこころ)のまにまに操縦(さうじう)されて()るのだから、201如何(いか)なる(こと)()()ようとも惟神(かむながら)(まか)し、202人間(にんげん)人間(にんげん)としての最善(さいぜん)努力(どりよく)(ささ)ぐれば()いのです。203(この)竜雲(りううん)さまだつて(はじ)めは随分(ずゐぶん)(むし)のよい(かんが)へを(おこ)得意(とくい)時代(じだい)もあつたが、204(たちま)(ゆめ)()めて千仭(せんじん)谷間(たにま)()(おと)した(やう)()すぼらしい乞食(こじき)とまでなり()て、205此処(ここ)翻然(ほんぜん)として天地(てんち)(まこと)(さと)り、206諸国(しよこく)行脚(あんぎや)をなし、207(いま)完全(くわんぜん)神司(かむつかさ)となり、208()神力(しんりき)()(そな)ふるやうにおなりなさつたのですから、209(ひと)如何(どう)しても苦労(くらう)(いた)さねば(まこと)神柱(かむばしら)にはなる(こと)出来(でき)ませぬ。210(この)北光(きたてる)(かみ)都矣刈(つむがり)太刀(たち)(きた)ふるにも、211(てつ)(はがね)烈火(れつくわ)(なか)()()れ、212金床(かなどこ)(うへ)()いて、213金槌(かなづち)(もつ)幾度(いくたび)となく()(きた)(たた)(のば)し、214(つひ)には光芒(くわうばう)陸離(りくり)たる名刀(めいたう)(きた)へる(やう)なもので、215人間(にんげん)(かみ)(さま)鍛錬(たんれん)()なくては駄目(だめ)です。216(ひと)つでも(おほ)(たた)かれた(つるぎ)()(あぢ)もよく(にほひ)(うる)はしき(やう)なもので、217人間(にんげん)十分(じふぶん)(たた)かれ(くる)しめられ、218水火(すゐくわ)(なか)(くぐ)つて()ねば駄目(だめ)です。219これから(この)北光(きたてる)(かみ)貴女(あなた)()ふるセーラン(わう)面会(めんくわい)させますが、220(けつ)して安心(あんしん)をしてはなりませぬぞ。221吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)(ごと)(たがひ)手配(てくば)りをして(まこと)(みち)(つく)さねばなりませぬ。222いつ(まで)(わか)()(もつ)天下(てんか)擾乱(ぜうらん)(この)場合(ばあひ)223夫婦(ふうふ)安楽(あんらく)情味(じやうみ)(たの)しむと()(こと)出来(でき)ませぬ。224生者(しやうじや)必滅(ひつめつ)会者(ゑしや)定離(ぢやうり)225別離(べつり)(くる)しみは人間(にんげん)(おろ)か、226万物(ばんぶつ)(いた)るまで(のが)(がた)(ところ)227(この)(てん)十分(じふぶん)()承知(しようち)(ねが)つておかねばなりませぬ。228やがてセーラン(わう)二三(にさん)忠誠(ちうせい)なる(しもべ)(まも)られ、229此処(ここ)にお()でになりませう』
230ヤスダラ姫『ハイ、231有難(ありがた)(ござ)ります。232(なに)から(なに)まで()親切(しんせつ)()教訓(けうくん)233屹度(きつと)(きも)(めい)じて忘却(ばうきやく)(いた)しませぬ。234(いな)何事(なにごと)(かみ)(さま)(あふ)せを遵奉(じゆんぽう)(いた)しまして、235天晴(あつぱ)神柱(かむばしら)(きた)へて(いただ)覚悟(かくご)(ござ)ります』
236竹野(たけの)『ヤスダラ(ひめ)(うづ)(みこと)(こと)()
237()くにつけても(なみだ)ぐまるる。
238(いさ)ましき(なれ)御言(みこと)()きしより
239竹野(たけの)(ひめ)(むね)(かがや)く』
240ヤスダラ『有難(ありがた)北光神(きたてるがみ)竹野姫(たけのひめ)
241御言(みこと)のままに(みち)(つか)へむ。
242セーラン(わう)(うづ)(みこと)(いま)此処(ここ)
243()ますと()きて(むね)(とどろ)きぬ。
244相見(あひみ)ての(のち)(こころ)(くら)ぶれば
245(いま)(われ)こそ(たの)しかるらむ』
246北光(きたてる)『セーラン(わう)(うづ)(みこと)(いま)此処(ここ)
247北光神(きたてるがみ)住家(すみか)(たづ)ねて。
248惟神(かむながら)(かみ)(おん)()(みちび)かれ
249妹背(いもせ)(やま)谷間(たにま)()きませ』
250竜雲(りううん)打仰(うちあふ)(そら)()(くも)(なが)むれば
251(ひと)行末(ゆくすゑ)(おも)ひやられつ。
252高照(たかてる)(やま)()まへる(おほかみ)
253夫婦(めをと)(みち)(わす)れざるらむ。
254(つま)となり(をつと)となるも天地(あめつち)
255(かみ)(むす)びし(えにし)なるらむ』
256リーダー『はるばるとテルマン(ごく)立出(たちい)でて
257(ひめ)(まも)りつ(いま)此処(ここ)にあり。
258テルマンのシヤールの(やかた)()でし(とき)
259行末(ゆくすゑ)如何(いか)にと(おも)ひなやみしよ。
260かくばかり(たふと)(かみ)()ひし(うへ)
261()(おそ)るべきものあらじとぞ(おも)ふ。
262惟神(かむながら)(かみ)御言(みこと)(かしこ)みて
263世人(よびと)()めに()をや(つく)さむ』
264 ()(うた)(をは)(とき)しも、265(にはか)(きこ)ゆる(ひづめ)(おと)カツカツと岩窟内(がんくつない)まで(ひび)(きた)る。
266北光(きたてる)『ヤア、267あの足音(あしおと)はセーラン(わう)一行(いつかう)ならむ。268竜雲殿(りううんどの)269出迎(でむか)(たの)()る』
270ヤスダラ『えツ!』
271竜雲(りううん)(かしこ)まりました』
272()(おこ)岩窟(がんくつ)入口(いりぐち)()して一目散(いちもくさん)にかけり()く。
273大正一一・一一・一二 旧九・二四 北村隆光録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→