霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 宵企(よひだく)み〔一一二一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻 篇:第4篇 神出鬼没 よみ:しんしゅつきぼつ
章:第17章 宵企み よみ:よいだくみ 通し章番号:1121
口述日:1922(大正11)年11月12日(旧09月24日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年6月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
右守の館では、カールチンとテーナ姫がユーフテスとヤスダラ姫の行方について話し合っている。ユーフテスは、ヤスダラ姫が高照山の岩窟に逃れる手引きの一端を担いながら、カールチン夫妻には姫の行方をごまかしていた。
カールチンは、ユーフテスの恋女がヤスダラ姫の妹セーリス姫であることに懸念を示した。ユーフテスは、セーリス姫は自分との恋を優先していると答えてカールチンを安心させた。
そこへマンモスがやってきて、セーラン王がにわかに病気となり、二三人の男女を側において、それ以外の者の面会を謝絶していると報告した。怪しんだカールチンは、ユーフテスに城内の偵察を命じた。
ユーフテスが行ってしまうと、マンモスはユーフテスへの懸念をカールチンに示した。カールチンは、念のために密かに二重調査を行うようマンモスに命じた。
ユーフテスはセーリス姫の居間に行き、大黒主の軍隊が来るのが一か月ほど遅れるという情報をもたらした。セーリス姫は黄金姫と清照姫にこれからの策を相談するべく、ユーフテスと共に二人を訪ねた。
セーリス姫は、ユーフテスが右守の重臣でありながら、自分と恋に落ちて協力者となっていると黄金・清照姫に紹介した。ユーフテスはあくまでカールチンの悪行を糺すためだと言い訳をした。
セーリス姫は、清照姫に変装してもらい、ヤスダラ姫のふりをして右守相手に一芝居を打ったらどうかと提案した。黄金姫、清照姫もそれは面白かろうと賛成した。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:239頁 八幡書店版:第7輯 618頁 修補版: 校定版:251頁 普及版:113頁 初版: ページ備考:
001 イルナの(みやこ)右守(うもり)(やかた)にはカールチン、002テーナ(ひめ)003ユーフテスの三人(さんにん)が、004何事(なにごと)(くび)(あつ)めて(はな)()つて()る。
005カールチン『ユーフテス、006テルマン(ごく)のシヤールの(つま)ヤスダラ(ひめ)は、007まだ行方(ゆくへ)(わか)らないか、008エーン』
009ユーフテス『ハイ、010(いま)だハツキリ(わか)りませぬ。011セーリス(ひめ)をして様子(やうす)(うかが)はしめし(ところ)012テーナ(ひめ)(さま)がテルマン(ごく)へお(いで)になり、013毘舎(びしや)のシヤールをしてヤスダラ(ひめ)(さま)監禁(かんきん)せしめられた(のち)014十日(とをか)ほどした(ところ)暴風雨(ばうふうう)暗夜(あんや)(うかが)ひ、015(ひめ)(さま)(つか)へてゐた(しもべ)のリーダーと()(をとこ)牢獄(らうごく)(たた)(やぶ)り、016何処(どこ)ともなく()()せたと()(こと)です。017大方(おほかた)(ひめ)(さま)(その)(しもべ)との(あひだ)(なに)(ふか)関係(くわんけい)があつたのではなからうかとの(うはさ)()きました。018セーリス(ひめ)(さま)大変(たいへん)(あね)不始末(ふしまつ)(くや)んで()られます。019昨夜(ゆうべ)旦那様(だんなさま)御命令(ごめいれい)によつて照山峠(てるやまたうげ)(いただき)まで(まゐ)りました(ところ)020テルマン(ごく)よりシヤールの(いへ)(もの)(ども)(うま)(またが)り、021五人連(ごにんづれ)にてやつて(まゐ)り「ヤスダラ(ひめ)022リーダーに()はなかつたか」と(たづ)ねました。023(しか)し、024ヒヨツとしたらセーラン(わう)(まは)(もの)ではないかと空惚(そらとぼ)けて()()はなかつた(ところ)025五人(ごにん)騎士(きし)照山峠(てるやまたうげ)(きた)(きた)へと(くだ)つて()きます。026(わたし)はセーリス(ひめ)意見(いけん)()き、027屹度(きつと)ヤスダラ(ひめ)は、028左守(さもり)(かみ)(ちち)(やかた)(かへ)るものと(ぞん)じまして、029よくよく調(しら)べて()ましたが(をんな)らしいものは一人(ひとり)()ませず、030五人(ごにん)騎士(きし)()ひつき、031共々(ともども)(うま)()つて(みやこ)(かへ)り、032騎士(きし)一夜(ひとよ)宿泊(しゆくはく)させ、033心当(こころあた)りを捜索(そうさく)せよと(めい)(かへ)しまして御座(ござ)ります』
034折角(せつかく)遠国(ゑんごく)からやつて()(もの)を、035(われ)相談(さうだん)もなくぼつ(かへ)すとはチツと僣越(せんえつ)ぢやないか。036なぜ一目(ひとめ)()はしてくれなかつたのか、037エーン』
038『それは()まない(こと)御座(ござ)りますが、039(しか)(わたし)左守(さもり)()れてはならないと()いらち、040(わざ)とおつ(かへ)したので御座(ござ)ります。041屹度(きつと)ヤスダラ(ひめ)照山峠(てるやまたうげ)()えて(かへ)つて()るに間違(まちがひ)御座(ござ)りませぬ。042愚図々々(ぐづぐづ)して左守(さもり)部下(ぶか)()にヤスダラ(ひめ)()られようものなら大変(たいへん)御座(ござ)りますからな。043左守(さもり)(おい)てもヤスダラ(ひめ)此方(こちら)(かへ)つて()ると()(こと)(ほぼ)承知(しようち)をしてゐるさうですから、044(けつ)して油断(ゆだん)はしてなりませぬ。045(また)昨夜(さくや)(まゐ)つた五人(ごにん)騎士(きし)はヤスダラ(ひめ)のスタイルをよく()つてゐる(もの)ばかりですから、046丁度(ちやうど)都合(つがふ)()いと(ぞん)じまして照山峠(てるやまたうげ)(ふもと)まで差出(さしだ)しまして御座(ござ)ります』
047『それは(まこと)にいい(かんが)へだつた。048(しか)(なが)ら、049(まへ)恋女(こひをんな)セーリス(ひめ)はヤスダラ(ひめ)(いもうと)だから滅多(めつた)(こと)はあるまいな。050ウツカリした(こと)()はれないぞや』
051(なに)仰有(おつしや)います。052(おな)姉妹(きやうだい)でも(こころ)黒白(こくびやく)(ちが)ひ、053セーリス(ひめ)(けつ)して(あね)贔屓(ひいき)をしたり、054(おや)贔屓(ひいき)をして自分(じぶん)(こひ)犠牲(ぎせい)にするやうな悪人(あくにん)では御座(ござ)りませぬ。055(きは)めて(わたし)のためには大善人(だいぜんにん)御座(ござ)りますから』
056大黒主神(おほくろぬしのかみ)(さま)御命令(ごめいれい)により旦那様(だんなさま)刹帝利(せつていり)(くらゐ)(のぼ)られ、057セーラン(わう)退隠(たいいん)させて安楽(あんらく)(くら)させよとの思召(おぼしめ)し、058それも(まつた)(わが)(むすめ)のサマリー(ひめ)(きさき)になつてゐる余徳(よとく)によつて、059セーラン王様(わうさま)()安全(あんぜん)なのだ。060サマリー(ひめ)王様(わうさま)(たい)しては非常(ひじやう)恋慕(れんぼ)してゐるやうだから、061如何(どう)しても末永(すえなが)()はしてやらねばなるまい。062そこへヤスダラ(ひめ)(かへ)つて()ようものなら、063(また)もや(わう)(こころ)(かは)りサマリー(ひめ)(こひ)(やぶ)れた結果(けつくわ)どんな無分別(むふんべつ)(こと)をするか(わか)らず、064(じつ)()()める(こと)だよ。065一事(いちじ)(はや)くヤスダラの入城(にふじやう)(さへぎ)り、066(これ)(とら)へて(ひと)()らぬ(ところ)監禁(かんきん)し、067(わう)との接近(せつきん)(さまた)げねばなりませぬぞや。068ユーフテス、069合点(がつてん)かな』
070『ハイ、071万事万端(ばんじばんたん)(わたし)(むね)御座(ござ)ります。072御安心(ごあんしん)なさいませ』
073 かかる(ところ)(いき)せき()つて駆込(かけこ)んだのはマンモスである。
074テーナ『ヤア、075そなたはマンモス、076城内(じやうない)様子(やうす)如何(どう)だつた』
077『ハイ、078王様(わうさま)(にはか)御病気(ごびやうき)でお引籠(ひきこも)りと()ふこと、079一切(いつさい)面会(めんくわい)(きん)じられてゐますから、080(くは)しい(こと)(ぞん)じませぬ。081(しか)夜前(やぜん)(なん)でも(をんな)二人(ふたり)ばかり、082(をとこ)二三人(にさんにん)大奥(おほおく)(しの)()んだと()ふことを()きました』
083 テーナ(ひめ)(くび)をかしげて、
084『はてな、085王様(わうさま)御病気(ごびやうき)086そして二人(ふたり)(をんな)三人(さんにん)(をとこ)087大方(おほかた)ヤスダラ(ひめ)(まゐ)つたのではあるまいかな』
088カールチン『おい、089ユーフテス、090其方(そなた)(かんが)へは如何(どう)だ』
091『ハイ、092セーリス(ひめ)()きましたら、093(にはか)王様(わうさま)御不快(ごふくわい)なので、094バラモン(けう)修験者(しゆげんじや)二三人(にさんにん)ばかり、095(まね)きになつたと()ふことで御座(ござ)ります。096(べつ)(たい)したものぢや御座(ござ)りますまい』
097 テーナ(ひめ)は、
098『アヽ、099それだと()つて警戒(けいかい)(きび)しき城下(じやうか)を、100(たれ)()にもあまり()れないやうにやつて()ると()ふのが(あや)しいぢやないか。101ユーフテス、102そなたは一応(いちおう)城内(じやうない)様子(やうす)調(しら)べて()ては()れまいかな』
103『ハイ、104(かしこ)まりました。105左様(さやう)ならば(これ)から一足(ひとあし)106(なに)()らぬ(かほ)して登城(とじやう)(いた)し、107内部(ないぶ)様子(やうす)(かんが)へて()ませう。108マンモス、109其方(そなた)()(くだ)さるまいかな』
110『いや、111(わたし)(すこ)しく右守様(うもりさま)申上(まをしあ)げたきことあれば、112何卒(なにとぞ)御苦労(ごくらう)ながら貴方(あなた)一人(ひとり)()でを(ねが)ひます。113さうして(かは)つた(こと)があれば、114直様(すぐさま)()らせ(くだ)さいませ。115右守様(うもりさま)のお(とも)をして、116直様(すぐさま)登城(とじやう)(いた)しますから』
117(しか)らば旦那様(だんなさま)118一応(いちおう)様子(やうす)(かんが)へて(まゐ)ります』
119()ひながら一生懸命(いつしやうけんめい)(あし)(はや)めてイルナ(じやう)(わう)(やかた)(すす)()く。
120 ユーフテスの姿(すがた)(かく)れるのを()すまし、121マンモスは(こゑ)(ひそ)めて、
122旦那様(だんなさま)123貴方(あなた)はユーフテスを何処(どこ)までも御信用(ごしんよう)なさいますか。124(わたし)斯様(かやう)なことを申上(まをしあ)げますのは、125(なに)野心(やしん)があつて(かれ)陥穽(かんせい)する(やう)思召(おぼしめ)すかも()れませぬが、126如何(どう)(この)(ごろ)(かれ)挙動(きよどう)127(あや)しき(てん)沢山(たくさん)御座(ござ)ります。128御両人様(ごりやうにんさま)129どうお(かんが)(あそ)ばしますか』
130カールチン『(かれ)(かぎ)つてそんな二心(ふたごころ)があらう(はず)がない。131そりやマンモス、132(まへ)僻目(ひがめ)ではないか。133(ひと)(うはさ)表面(うはべ)活動(くわつどう)()(すぐ)善悪(ぜんあく)批評(ひひやう)(くだ)すものではない。134ユーフテスはセーリス(ひめ)薬籠中(やくろうちう)のものとし、135左守(さもり)味方(みかた)()せかけて、136所在(あらゆる)神算鬼謀(しんさんきぼう)(めぐ)らし内外(ないぐわい)様子(やうす)(くま)なく(さぐ)り、137吾々(われわれ)報告(はうこく)する探偵(たんてい)(にん)(あた)つてゐる(をとこ)だから、138(まへ)()から()れば(あや)しく()えるだらう。139(けつ)してそんな心配(しんぱい)()らないよ』
140『それでも貴方(あなた)141どうも(あや)しう御座(ござ)ります。142(けつ)して()(ゆる)してはなりませぬ』
143 テーナ(ひめ)大口(おほぐち)(ひら)いて、
144『ホヽヽヽヽ、145()(ゆる)されぬのはユーフテスだつてマンモスだつて(おな)じことぢやないか。146(たふと)(まこと)神様(かみさま)()いて、147人間(にんげん)(なか)一人(ひとり)だつて()(ゆる)して使(つか)へるものがあるか。148(みんな)利己主義(われよし)集団(かたまり)ばかりだからな』
149『さう図星(づぼし)をさされては、150(かへ)(ことば)御座(ござ)りませぬが、151(しか)(わたし)は、152(けつ)して(てき)(くわん)(つう)ずる(やう)悪人(あくにん)では御座(ござ)りませぬ。153(しか)旦那様(だんなさま)(まこと)立派(りつぱ)なお(かた)ですから、154屹度(きつと)天眼通(てんがんつう)(ひら)けて()るでせう。155よもや裏返(うらがへ)(もの)信用(しんよう)してお使(つか)(あそ)ばす(はず)もありませぬから、156(わたし)(すこ)しばかり安心(あんしん)して()ますが、157(なん)だかチツトばかり()にかかつてなりませぬ。158第一(だいいち)159昨日(きのふ)(まで)ピチピチして()られたセーラン王様(わうさま)急病(きふびやう)ぢやと()つたり、160(あるひ)修験者(しゆげんじや)夜中(やちう)(まね)かれてお(やかた)(まゐ)るなどとは、161如何(どう)しても合点(がてん)()かぬ(ふし)御座(ござ)ります。162ここは(とく)調(しら)べなさらねばなりますまい』
163カールチン『それなら其方(そなた)(これ)から登城(とじやう)してユーフテスに内証(ないしよう)様子(やうす)調(しら)べて()てくれ』
164『ヤア有難(ありがた)う、165()つてゐました……そのお言葉(ことば)()つて()ました』
166とマンモスは、167いそいそとして(やかた)立出(たちい)城内(じやうない)さして(すす)()く。
168 イルナの城内(じやうない)セーリス(ひめ)居間(ゐま)(あわただ)しく()うたのは(れい)のユーフテスであつた。169ユーフテスは四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)しながら人影(ひとかげ)なきに安心(あんしん)(むね)()(おろ)し、170足音(あしおと)(しの)ばせながら(ひめ)居間(ゐま)(すす)()り、171耳許(みみもと)(くち)()せて、
172(ひめ)(さま)173御安心(ごあんしん)なさいませ。174ハルナの(くに)から大黒主(おほくろぬし)援軍(ゑんぐん)沢山(たくさん)()(ところ)御座(ござ)りましたが、175近国(きんごく)一騒動(ひとさうどう)(おこ)つたと()ふので軍隊(ぐんたい)派遣(はけん)暫時(ざんじ)(おく)れる(こと)になりました。176(この)(ぶん)ならば一ケ月(いつかげつ)やそこらは大丈夫(だいぢやうぶ)です。177(しか)しながら右守(うもり)大変(たいへん)(ちから)(おと)して()ります。178それに(また)ヤスダラ(ひめ)(さま)がテルマン(ごく)遁走(とんそう)(あそ)ばしたので、179やがて(みやこ)へお(かへ)りになるだらう、180さうなれば大変(たいへん)だと非常(ひじやう)()()んでゐますが、181そこも(わたし)がうまくチヨロまかして()きましたから(これ)御安心(ごあんしん)なさいませ。182(しか)(なが)王様(わうさま)急病(きふびやう)()ひ、183(をんな)修験者(しゆげんじや)()りこんだと()(こと)(なに)かの秘密(ひみつ)(ひそ)んで()るに(ちが)ひないから、184一寸(ちよつと)調(しら)べて()いとカールチンが(まを)しましたので様子(やうす)調(しら)べると(まを)してやつて()たのです。185(なん)()つて返答(へんたふ)をしたら(よろ)しいでせうかな』
186(なん)面白(おもしろ)(こと)になつて()ましたな。187一月(ひとつき)ばかり軍隊(ぐんたい)()()せて()るのが(おく)れるとならば、188(その)(あひだ)に、189どんな準備(じゆんび)出来(でき)ます。190これから(ひと)黄金姫(わうごんひめ)(さま)191清照姫(きよてるひめ)(さま)御相談(ごさうだん)申上(まをしあ)げ、192(なん)とか(かんが)へをつけませう』
193()ひながらユーフテスを(ともな)黄金姫(わうごんひめ)194清照姫(きよてるひめ)居間(ゐま)(すす)()く。
195 セーリス(ひめ)(ふすま)(そと)より(ほそ)(こゑ)にて、
196(わたし)はセーリスで御座(ござ)ります。197黄金姫(わうごんひめ)(さま)198清照姫(きよてるひめ)(さま)199邪魔(じやま)(まゐ)りましたが差支(さしつかへ)(ござ)りませぬか』
200 黄金姫(わうごんひめ)は、
201『いえいえ、202チツとも差支(さしつかへ)御座(ござ)りませぬ。203サア何卒(どうぞ)這入(はい)(くだ)さいませ。204今朝(けさ)からお()にかからないので、205如何(どう)かとお(あん)(まを)して()りました』
206座蒲団(ざぶとん)()づから二枚(にまい)()いて、
207『サアお(すわ)りなさいませ』
208とすすめる。209セーリス(ひめ)は、
210御免(ごめん)(くだ)さいませ』
211()ひながら黄金姫(わうごんひめ)(むか)(あは)せに()()め、
212(とき)黄金姫(わうごんひめ)(さま)213面白(おもしろ)(こと)になりました。214大黒主(おほくろぬし)軍隊(ぐんたい)()めて()るのは近国(きんごく)騒擾(さうぜう)(おこ)つたため一月(ひとつき)ほど(おく)れると()確報(かくはう)御座(ござ)りました。215さうして(この)ユーフテスは右守(うもり)股肱(ここう)重臣(ぢうしん)(ござ)りますが、216(わたし)()りなき(こひ)()ち、217(その)()(いま)(わたし)(まを)(こと)ならば、218どんな(こと)でも()いて(くだ)さる善人(ぜんにん)御座(ござ)りますから御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ。219(なに)をお(はな)(くだ)さつても大丈夫(だいぢやうぶ)ですから』
220黄金(わうごん)『オホヽヽヽ、221セーリス(ひめ)(さま)222随分(ずゐぶん)貴女(あなた)もお転婆(てんば)ですな。223やあ、224ユーフテス(さま)とやら、225天下一(てんかいち)色男(いろをとこ)さま、226オホヽヽヽ、227(この)黄金姫(わうごんひめ)感心(かんしん)(いた)しました』
228とポンと背中(せなか)(ふた)(みつ)(たた)いた。229ユーフテスは得意(とくい)になり(はな)をピコつかせながら、
230『ハイ、231カールチンは(わたし)主人(しゆじん)では(ござ)いますれど、232神様(かみさま)のお(みち)(はん)した(あく)ばかりを(たく)(やつ)(ござ)りますから、233()むを()(まこと)(かた)について()るので(ござ)ります。234(べつ)にセーリス(ひめ)(さま)容色(ようしよく)心魂(しんこん)(とろ)かして主人(しゆじん)(そむ)反対(はんたい)をする(やう)野呂馬(のろま)では(ござ)りませぬ。235(ただ)正義(せいぎ)のため至誠(しせい)をささげて活動(くわつどう)(つづ)けて()るので(ござ)ります』
236とうまく(こころ)生地(きぢ)(かく)さうとつとめてゐる。
237城内(じやうない)一般(いつぱん)(あね)のヤスダラ(ひめ)()(かへ)つて、238城内(じやうない)(ひそ)んで()るとの(うはさ)()ちましたので、239右守(うもり)のカールチン夫婦(ふうふ)()()み、240サマリー(ひめ)迷惑(めいわく)になると()つて非常(ひじやう)(さわ)いで()ります。241(また)ヤスダラ(ひめ)(かへ)つて()たならば、242屹度(きつと)王様(わうさま)智慧(ちゑ)をつけて左守(さもり)(とも)(なに)をするか()れない。243さうすれば折角(せつかく)(たく)みも水泡(すゐほう)()すると()つて(さわ)いでゐるさうですから、244(ひと)清照姫(きよてるひめ)(さま)にお世話(せわ)になつて、245(あね)のヤスダラ(ひめ)()けて(もら)つては如何(どう)でせう。246うまいお芝居(しばゐ)出来(でき)るでせう。247軍隊(ぐんたい)()めて()るには一ケ月(いつかげつ)()があるのですから、248右守(うもり)をうまく()()せて(あぶら)をとり、249(まこと)(みち)改心(かいしん)をさせたら面白(おもしろ)からうと(ぞん)じまして、250(じつ)御相談(ごさうだん)(まゐ)りました』
251『オホヽヽヽヽ随分(ずゐぶん)貴女(あなた)悪戯(いたづら)()きですな。252こんな上下(うへした)(さわ)がしい(とき)に、253そんな気楽(きらく)(こと)をよく(おも)ひついたものですな。254いや感心(かんしん)々々(かんしん)255綽々(しやくしやく)として余裕(よゆう)(ぞん)する(その)態度(たいど)256それでなくては大事(だいじ)()げられますまい。257清照姫(きよてるひめ)258(まへ)(しばら)くヤスダラ(ひめ)(さま)早変(はやがは)りして()たら如何(どう)だらうな』
259『ホヽヽヽヽ、260至極(しごく)妙案(めうあん)ですな。261(わたし)はなりませう。262(ひと)辣腕(らつわん)(ふる)うて右守(うもり)肝玉(きもだま)()いてやりませう』
263早速(さつそく)御承知(ごしようち)264有難(ありがた)(ござ)います。265これこれユーフテスさま、266(はや)右守(うもり)(やかた)(かへ)つてヤスダラ(ひめ)(さま)がお(かへ)りだと報告(はうこく)して(くだ)さい。267面白(おもしろ)(こと)出来(でき)ますから』
268『それでもヤスダラ(ひめ)(さま)長面(ながおも)269清照姫(きよてるひめ)(さま)(すこ)円顔(まるおもて)ぢや(ござ)いませぬか。270右守(うもり)(にせ)ものだと看破(かんぱ)される(やう)(こと)(ござ)りますまいかな』
271(なに)御心配(ごしんぱい)()りますものか。272(をんな)化物(ばけもの)(まを)しまして(つく)次第(しだい)如何(どう)にも()けられますよ。273これから(ひと)化粧(けしやう)でもして()けてやりませう。274明日(あす)早朝(さうてう)右守(うもり)()れてお()(くだ)さいませ。275(わたし)腕前(うでまへ)(ひと)()せて()げますから、276オホヽヽヽヽ』
277面白(おもしろ)からう』
278黄金姫(わうごんひめ)はうなづく。279セーリス(ひめ)得意気(とくいげ)に、
280『オホヽヽヽヽ』
281(わら)ふ。282ユーフテスは、
283『エヘヽヽヽ、284此奴(こいつ)あ、285チツトばかり面白(おもしろ)くなつておいでたわい』
286大正一一・一一・一二 旧九・二四 北村隆光録)