霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 観音経(くわんのんきやう)〔一二五七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻 篇:第1篇 変現乱痴 よみ:へんげんらんち
章:第3章 第48巻 よみ:かんおんぎょう 通し章番号:1257
口述日:1923(大正12)年01月11日(旧11月25日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ランチ将軍は上機嫌で、三五教の二人の女宣伝使に言い寄られてたいへんなことだった、一方でもてない片彦将軍はすっかり気落ちしてしまったのだ、とのろけている。
蠑螈別が呼び出しの意図を尋ねると、ランチ将軍は、お民を片彦に嫁がせてやってくれないかと言い出した。蠑螈別はこれを聞いて怒りだすが、逆にランチ将軍から酒ばかり飲む役立たずだと引導を渡されてしまう。
蠑螈別は自分の法力でランチ将軍の命を取ってやると言い放ち、次の間に行って大自在天の前に数珠をもみながら端座した。大自在天やウラナイ教の神々を念じ、観音経を唱え始めた。しかしまったく効力を表さないので、観音に向かってブツブツと不平を呟くのみであった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4803
愛善世界社版:37頁 八幡書店版:第8輯 601頁 修補版: 校定版:38頁 普及版:19頁 初版: ページ備考:
001(かみ)(おもて)(あら)はれて
002(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
003三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
004治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)
005(あや)しの(もり)通過(つうくわ)して
006浮木(うきき)(もり)(たむろ)せる
007ランチ、片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)
008陣営(ぢんえい)(まも)番卒(ばんそつ)
009(その)入口(いりぐち)出会(しゆつくわい)
010種々(しゆじゆ)様々(さまざま)問答(もんだふ)
011なせる(をり)しも敵軍(てきぐん)
012(たく)みの(あな)におとされて
013(いのち)(あやふ)()えけるが
014(かみ)(まも)りし神司(かむづかさ)
015(あやふ)(あな)()ちながら
016()()(つゆ)怪我(けが)もなく
017治国別(はるくにわけ)竜公(たつこう)
018早速(さそく)頓智(とんち)番卒(ばんそつ)
019アーク、タールを()()せて
020危難(きなん)(のが)()(あが)
021(たふと)(かみ)御教(みをしへ)
022いとも(こま)かに()きつれば
023もとより(かみ)御魂(みたま)をば
024うけたる二人(ふたり)番卒(ばんそつ)
025(たちま)心機一転(しんきいつてん)
026悔悟(くわいご)(はな)()()ちて
027(こころ)(そこ)より帰順(きじゆん)しつ
028治国別(はるくにわけ)(ともな)ひて
029ランチの陣営(ぢんえい)をさして()
030ランチ、片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)
031治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)
032(おも)はぬここに(きた)りしを
033(なが)めて笑壺(ゑつぼ)()りながら
034表面(うはべ)(かざ)柔言葉(やさことば)
035和睦(わぼく)(さけ)()ひながら
036二人(ふたり)()はせ(おく)()
037秘密(ひみつ)場所(ばしよ)(いざな)ひて
038燕返(つばめがへ)しの計略(けいりやく)
039千尋(ちひろ)(ふか)暗窟(あんくつ)
040(おと)()みしぞ忌々(ゆゆ)しけれ
041治国別(はるくにわけ)竜公(たつこう)
042(たちま)正気(しやうき)(うしな)ひて
043(その)霊魂(れいこん)(ちう)()
044精霊界(せいれいかい)()(まよ)
045一人(ひとり)守衛(しゆゑい)(をし)へられ
046(せま)谷道(たにみち)()ぢのぼり
047(やうや)此処(ここ)八衢(やちまた)
048関所(せきしよ)(まへ)にと()きにけり
049(ぜん)(あく)との精霊(せいれい)
050(あつ)まり(きた)八衢(やちまた)
051審判(さばき)()くる有様(ありさま)
052(こころ)をひそめて(なが)めつつ
053現幽(げんいう)二界(にかい)真諦(しんたい)
054おぼろげながら感得(かんとく)
055伊吹戸主(いぶきどぬし)御館(みやかた)
056(しばら)(いき)(やす)めつつ
057外面(とのも)景色(けしき)(なが)()
058(とき)しもあれや中天(ちうてん)
059()らして(きた)大火団(だいくわだん)
060二人(ふたり)(まへ)顛落(てんらく)
061火花(ひばな)四方(しはう)散乱(さんらん)
062(しばら)(くも)(つつ)まれて
063四辺(あたり)()えずなりにけり
064二人(ふたり)益々(ますます)(あや)しみて
065きつと()をすゑ(なが)()
066(たちま)一柱(ひとり)神人(しんじん)
067容貌(ようばう)衣服(いふく)(かがや)かし
068治国別(はるくにわけ)打向(うちむか)
069(われ)言依別(ことよりわけ)(かみ)
070不思議(ふしぎ)(ところ)()ひました
071皇大神(すめおほかみ)御言(みこと)もて
072(いま)媒介天人(ばいかいてんにん)
073(おも)使命(しめい)()けられぬ
074いざ(これ)よりは天国(てんごく)
075巡覧(じゆんらん)()され(われ)(いま)
076(なれ)(みこと)案内(あない)せむ
077(また)竜公(たつこう)証覚(しようかく)
078まだ(ひら)けざる()なれども
079(とく)にお(とも)(ゆる)すべし
080(これ)(かぶ)れと()ひながら
081懐中(くわいちう)(さぐ)被面布(ひめんぷ)
082とり()竜公(たつこう)にかけ(たま)
083此処(ここ)二人(ふたり)(いさ)()
084最下天国(さいかてんごく)(その)一部(いちぶ)
085巡覧(じゆんらん)()中間(ちうかん)
086天国(てんごく)さして(のぼ)()
087木花姫(このはなひめ)(あら)はれて
088種々(いろいろ)雑多(ざつた)両人(りやうにん)
089(こころ)(いまし)(たま)ひつつ
090珍彦館(うづひこやかた)(みちび)きて
091(たふと)(かみ)経綸(けいりん)
092(その)大略(たいりやく)(しめ)すべく
093此処(ここ)言霊別(ことたまわけ)(かみ)
094治国別(はるくにわけ)徒弟(とてい)なる
095五三公(いそこう)さまと(あら)はれて
096(また)もや(たふと)教訓(けうくん)
097(さづ)(たま)ひし(たふと)さよ
098(これ)より二人(ふたり)五三公(いそこう)
099案内(あない)につれて天国(てんごく)
100各団体(かくだんたい)巡歴(じゆんれき)
101最高一(さいかういち)天国(てんごく)
102霊国(れいごく)までも巡拝(じゆんぱい)
103(つき)御神(みかみ)()御神(みかみ)
104(その)(ほか)(もも)のエンゼルに
105(きよ)(をしへ)(つた)へられ
106智慧証覚(ちゑしようかく)拝受(はいじゆ)して
107(ふたた)びもとの肉体(にくたい)
108かへり(きた)りてバラモンの
109(しこ)(つかさ)(ことごと)
110言向和(ことむけやは)物語(ものがたり)
111(かた)るにつけて面白(おもしろ)
112益々(ますます)(ふか)(しん)()
113(その)妙奥(めうおう)(たつ)すべく
114(まも)らせ(たま)惟神(かむながら)
115(かみ)御前(みまへ)()(まつ)る。
116 蠑螈別(いもりわけ)117(たみ)118アーク、119タールの四人(よにん)一日(いちにち)(あひだ)(よひ)をさまし、120(なに)()はぬ(かほ)してランチ将軍(しやうぐん)(まへ)にヌツと(かほ)()()した。121ランチ将軍(しやうぐん)(つね)にないニコニコとした笑顔(ゑがほ)()せ、
122『ヤア四人(よにん)御歴々(おれきれき)123御壮健(ごさうけん)御目出度(おめでた)う。124(なに)御用(ごよう)(ござ)るかな』
125脱線振(だつせんぶり)発揮(はつき)してゐる。126(さつ)するにランチは珍客(ちんきやく)余程(よほど)同情(どうじやう)ある待遇(たいぐう)をされ、127精神(せいしん)一部(いちぶ)(くる)ひを(しやう)じて()たと()える。128蠑螈別(いもりわけ)(また)平素(へいそ)から(すこ)しく精神上(せいしんじやう)欠陥(けつかん)のある(をとこ)だが、129(いま)ランチ将軍(しやうぐん)(かほ)()てニコニコ(わら)ひながら、
130『モシ将軍殿(しやうぐんどの)131昨夜(さくや)(さぞ)御疲(おつか)れでしただらう。132(さつ)(まを)します。133(なん)()つても()(なか)異性(いせい)()らなくては威勢(いせい)(わる)いものですよ。134(そら)()小雀(こすずめ)だつて、135蝶々(てふてふ)だつて、136蜻蛉(とんぼ)だつて、137(せみ)だつて、138土窠蜂(どかばち)だつて、139矢張(やつぱ)男女(だんぢよ)同棲(どうせい)して天与(てんよ)真楽(しんらく)(たの)しんで()るのですからな。140(むかし)世間(せけん)(くら)軍人(ぐんじん)は、141陣中(ぢんちう)(をんな)一切(いつさい)無用(むよう)だなどと()つて我慢(がまん)をしたものですが、142最早(もはや)今日(こんにち)となつては軍人(ぐんじん)一種(いつしゆ)商売(しやうばい)ですから、143(をんな)がなくちややりきれませぬわい。144ウツフヽヽヽ、145モシ将軍(しやうぐん)さま、146大変(たいへん)爽快(さうくわい)面持(おももち)(ござ)りますな』
147『ハイ、148(なん)()つても双方(さうはう)から速射砲的(そくしやはうてき)襲撃(しふげき)()けたものですから、149(みみ)はひツかかれる、150(ほほ)(つめ)られる、151(うで)左右(さいう)からぬける(ほど)()()られるものだから、152イヤもうきつい迷惑(めいわく)(いた)しました。153エツヘヽヽヽ、154(その)()全身(ぜんしん)細胞(さいばう)繊維(せんゐ)(やや)倦怠(けんたい)気分(きぶん)となり、155各部(かくぶ)同盟罷工(どうめいひこう)をやつたと()えて、156(おも)(やう)(あし)(うご)かなくなりました』
157(あし)ばかりぢやありますまい。158腰部(えうぶ)如何(いかが)です、159腰部(えうぶ)天国(てんごく)()ける夫婦(ふうふ)(あい)相応(さうおう)する最要部(さいえうぶ)(ござ)りますからな』
160成程(なるほど)161夜前(やぜん)はあまり乱痴気(らんちき)将軍(しやうぐん)をやつたものだから、162少々(せうせう)ばかり今日(けふ)二日酔(ふつかよ)ひの気味(きみ)(ござ)る。163それに()いても可憐(かはい)さうなのは片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)だ』
164『あの二人(ふたり)美人(びじん)一人(ひとり)づつ貴方等(あなたがた)のお相手(あひて)になさつたのぢやありませぬか』
165『イヤ、166それがさうぢやて、167……(こま)つた(こと)には二人(ふたり)ながらランチ ランチと()ひやがつて……エヘヽヽヽヽ(この)一人(ひとり)(をとこ)双方(さうはう)から襲撃(しふげき)し、168()(どく)千万(せんばん)にも片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)には()もくれないのだ。169そこで(この)ランチが(いささ)同情(どうじやう)(ねん)(もつ)片彦(かたひこ)(なび)かせむと、170種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)(こころ)()んだでもないし、171()まぬでもなかつたが、172矢張(やつぱり)恋愛(れんあい)()ふものは合縁奇縁(あひえんきえん)仕方(しかた)のないものだ。173(すべ)恋愛(れんあい)一方(いつぱう)偏重(へんちよう)する性質(せいしつ)のものだから、174大変(たいへん)都合(つがふ)(わる)(こと)もあるが、175(しか)しそこが男子(だんし)()つて非常(ひじやう)妙味(めうみ)のある(ところ)だ。176イツヒヽヽヽ』
177『さうして片彦(かたひこ)さまは如何(どう)なつたのですか』
178『ウン、179片彦(かたひこ)()ぎしりを()んで(いか)()し、180()をガタガタ()はせ、181ガタガタ(ぶる)ひをして到頭(たうとう)ガタ(ひこ)となつて(しま)つた。182()うも()うガタピシヤになつては陣中(ぢんちう)平和(へいわ)(たも)たれないので、183(いささ)(こま)つてるのですよ。184()うなつて()ると、185(この)ランチを(をんな)にチヤホヤされる(をとこ)らしい(をとこ)()んでくれた(おや)(うら)めしい(やう)に、186()つから(ござ)らぬわい、187エツヘヽヽヽ。188そこで(ひと)蠑螈別(いもりわけ)殿(どの)相談(さうだん)がある。189()いては(くだ)されますまいかな』
190(その)御相談(ごさうだん)とは何事(なにごと)(ござ)いますか』
191(ほか)でもござらぬ、192其方(そなた)最愛(さいあい)のお(たみ)さまを(しばら)(この)ランチに自由(じいう)にさして(いただ)きたいのだ』
193 お(たみ)は、
194『アレ、195まアー』
196(そで)(かほ)(かく)す。
197『コリヤお(たみ)198(なん)(その)スタイルは……(ほそ)()をしやがつて………「アレ、199マア」(など)とランチ将軍(しやうぐん)秋波(しうは)(おく)つてゐるのか』
200呶鳴(どな)りつけた。201(たみ)泣声(なきごゑ)になり、
202『コレ、203モシ蠑螈別(いもりわけ)さま、204(なさけ)ない(こと)()つて(くだ)さいますな。205貴方(あなた)はまだ(わたし)(こころ)(わか)らないのですか』
206『ウン、207(わか)らぬでもない、208(しか)しあまり(めう)素振(そぶり)をすると、209(おれ)(いささ)()にならない(こと)はないからなあ』
210(じつ)蠑螈別(いもりわけ)さま、211(その)(たみ)さまを()して(いただ)きたいと()ふのは、212片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)綺麗(きれい)サツパリとやつて(もら)ひたいのだ。213それでなければ軍規(ぐんき)統一(とういつ)(たも)たれないので、214(この)ランチが折入(をりい)つてお(ねが)(まを)すのだ』
215『これは()しからぬ。216何事(なにごと)かと(おも)へば吾々(われわれ)女房(にようばう)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(あた)へよなどとは(もつ)ての(ほか)のお言葉(ことば)(ござ)る。217さう(かぶら)大根(だいこん)(やう)にチヤクチヤクと(ひと)()(こと)出来(でき)ますか。218拙者(せつしや)(いのち)がけの芸当(げいたう)をやつて、219(やうや)くお(たみ)此処(ここ)まで()()した(ところ)220左様(さやう)なお言葉(ことば)()くとは意外千万(いぐわいせんばん)だ。221斯様(かやう)(ところ)長居(ながゐ)(おそ)れだ。222オイ、223(たみ)224一時(いつとき)(はや)うここを(かへ)らう』
225『ハイ、226有難(ありがた)(ござ)んす。227それなら何卒(どうぞ)こんな(おそ)ろしい(ところ)(いや)になりましたから、228貴方(あなた)()きな(ところ)()れて()つて(くだ)さい。229(しか)蠑螈別(いもりわけ)さま、230ここを()()るとなれば(たちま)(こま)るのはお(かね)でせう。231貴方(あなた)がエキスさまの()(とほ)してランチさまにお(わた)しなさつた五千両(ごせんりやう)(かね)をスツカリ(かへ)して(もら)つて(くだ)さい。232それを路銀(ろぎん)にして二人(ふたり)(むつま)じう()らさうぢやありませぬか』
233『ウン、234(しか)(をとこ)一旦(いつたん)()したものを(かへ)してくれなんて、235そんな卑怯(ひけふ)未練(みれん)(こと)()はれようか』
236『エーエ、237(まへ)さまはそれだからいつも駄目(だめ)だと()ふのよ。238(この)(さき)ここを()()乞食(こじき)でもする(つも)りで御座(ござ)んすかい』
239成行(なりゆき)なら仕方(しかた)がないぢやないか。240あの(かね)だつて(おれ)(はたら)いて(つく)つた(かね)ぢやなし、241寅婆(とらばば)信者(しんじや)をチヨロまかして()めた(かね)何々(なになに)して()たのだから、242そんな執着心(しふちやくしん)()つものぢやない。243サア()かう』
244とお(たみ)()をとり()()てようとする。245(たみ)(くび)左右(さいう)にふり、246金切(かなき)(ごゑ)()して、
247『イエイエ(この)陣営(ぢんえい)()いて(もら)ふのならばお(かね)必要(ひつえう)はありませぬが、248(たちま)今日(けふ)から乞食(こじき)をせねばなりませぬ。249なんぼ(わたし)だつて、250貴方(あなた)一緒(いつしよ)乞食(こじき)する(くらゐ)なら片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)のお(めかけ)にでもなりますわ。251ほんに()()かぬ(ひと)だな。252エー口惜(くや)しい、253オーン オーン オーン』
254『あゝ、255それなら仕方(しかた)がない。256ランチさま、257何卒(どうぞ)(わたし)をここに()いて(くだ)さい。258(その)(かは)りにお(たみ)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(わた)(こと)だけはお(ことわ)りを(まを)します』
259(じつ)(ところ)はウラナイ(けう)教主(けうしゆ)蠑螈別(いもりわけ)さまは、260千変万化(せんぺんばんくわ)妖術(えうじゆつ)使(つか)ひ、261神素盞嗚尊(かむすさのをのみこと)でさへも、262ウラナイ(けう)一指(いつし)をも染得(そめえ)ざるは蠑螈別(いもりわけ)教主(けうしゆ)あるためだと()いて()つた(ところ)263(この)(あひだ)より様子(やうす)(かんが)へて()れば、264()かけ(だふ)しの(げい)なし(ざる)265(をんな)()(ほそ)うして(あさ)から(ばん)まで(さけ)(くら)ふばかりが芸当(げいたう)で、266何一(なにひと)取柄(とりえ)(ござ)らぬ。267もはや(この)陣中(ぢんちう)(おい)てはお(まへ)さまの(ごと)偽豪傑(にせがうけつ)はチツトも必要(ひつえう)(ござ)らぬ。268(しか)しながら其方(そなた)()()うて(ござ)るお(たみ)比較的(ひかくてき)()()いた(をんな)269(くは)ふるに十人並(じふにんなみ)(すぐ)れた美人(びじん)()ひ、270片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)女房(にようばう)には(もつと)適当(てきたう)(みと)めるによつて、271(たみ)をここに(のこ)し、272とつと(かへ)つて(くだ)され』
273『これは()しからぬ。274一旦(いつたん)貴方(あなた)幕僚(ばくれう)任命(にんめい)をされた以上(いじやう)は、275(その)(やう)理由(りいう)によつて立去(たちさ)(こと)出来(でき)ませぬ。276万一(まんいち)たつて立去(たちさ)れと仰有(おつしや)るならば、277(これ)から拙者(せつしや)法力(ほふりき)(もつ)(この)陣営(ぢんえい)をメチヤメチヤに破壊(はくわい)し、278其方(そなた)生命(いのち)(やいば)(もち)ゐずして()つて()ませう』
279『アハヽヽヽヽ、280(なん)とえらい(いきほひ)(ござ)るな。281()ると()くとは大違(おほちが)ひ、282今迄(いままで)ならば(その)(おど)しは()くだらうが、283もはや今日(こんにち)となつては内兜(うちかぶと)見透(みすか)した(この)(はう)284そんな(おど)文句(もんく)は、285いつかな いつかな()ひませぬぞや。286(なん)なつと業力(ごふりき)()してランチ将軍(しやうぐん)(いき)()をとめて御覧(ごらん)287それが出来(でき)れば拙者(せつしや)役目(やくめ)をお(ゆづ)(まを)約束(やくそく)(いま)からしてもよろしい。288マサカ(その)神力(しんりき)(ござ)るまい。289現在(げんざい)(たみ)秋風(あきかぜ)()かされて()(やう)(いま)体裁(ていさい)290これお(たみ)殿(どの)291(いま)其方(そなた)蠑螈別(いもりわけ)乞食(こじき)する(くらゐ)なら片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)のお(めかけ)になると()つたな。292ウツフヽヽ出来(でか)した出来(でか)した天晴(あつぱれ)天晴(あつぱれ)293女丈夫(ぢよぢやうふ)亀鑑(きかん)294貞女(ていぢよ)(かがみ)295()末代(まつだい)(つた)ふであらう』
296脱線(だつせん)だらけの業託(ごふたく)()いてゐる。
297 蠑螈別(いもりわけ)躍気(やくき)となり、
298(しか)らば(この)(はう)法力(ほふりき)によつて(この)陣中(ぢんちう)をたたき(やぶ)り、299()第一(だいいち)()(どく)ながらランチ将軍(しやうぐん)(いき)()をとめてくれむ。300(あと)後悔(こうくわい)()さるな』
301()(はな)ち、302(つぎ)()()つて大自在天(だいじざいてん)(まへ)数珠(じゆず)をもみながらキチンと端坐(たんざ)し、303()づバラモン大自在天(だいじざいてん)(ねん)じ、304(つぎ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)奏上(そうじやう)し、305大広木正宗殿(おほひろきまさむねどの)306義理天上日(ぎりてんじやうひ)出神(でのかみ)(とな)(をは)り、307ソロソロ得意(とくい)観音経(くわんのんきやう)(しよう)(はじ)めた。
308真観清浄観(しんくわんしやうじやうくわん)
309広大智慧観(くわうだいちゑくわん)
310悲観及慈観(ひくわんぎうじくわん)
311常願常瞻仰(じやうぐわんじやうせんごう)
312無垢清浄光(むくしやうじやうくわう)
313慧日破諸闇(ゑにちはせうあん)
314能伏災風火(のうふくさいふうくわ)
315普明照世間(ふみやうせうせけん)
316悲体戒雷震(ひたいかいらいしん)
317慈意妙大雲(じいめうだいうん)
318樹甘露法雨(じゆかんろほふう)
319滅除煩悩炎(めつぢよぼんなうえん)
320諍証経官処(ぜうしようきやうくわんしよ)
321怖畏軍陣中(ふゐぐんぢんぢう)
322念彼観音力(ねんぴくわんのんりき)
323衆怨悉退散(しうをんしつたいさん)
324妙音観世音(めうおんくわんぜおん)
325梵音海潮音(ぼんおんかいてうおん)
326勝彼世間音(しようひせけんおん)
327是故須常念(ぜこしゆじやうねん)
328念々勿生疑(ねんねんもつしやうぎ)
329観世音浄聖(くわんぜおんじやうしやう)
330於苦悩死厄(おくなうしやく)
331能為作依怙(のうゐさえこ)
332 かく一生懸命(いつしやうけんめい)(あせ)をタラタラ(なが)しながら観音(くわんのん)(ねん)じてゐる。333されど観音(くわんのん)感応(かんのう)はありさうもなく、334(ぶつ)(ほふ)とも尻喰(けつくら)観音(くわんのん)とも(ほとけ)()はぬので、335蠑螈別(いもりわけ)(ごふ)()やし、
336『エー、337(ほとけ)()(やつ)は、338立派(りつぱ)能書(のうが)きばかり(なら)べよつて、339マサカの(とき)はチツとも()()はぬものぢやな。340もう(これ)から貴様(きさま)(やう)(やつ)(をが)んでやらぬわい。341(これ)からはこつちから尻喰(けつくら)観音(くわんのん)ぢや』
342とブツブツ(つぶや)いて()(その)可笑(をか)しさ。343(ねこ)折角(せつかく)くはへた松魚節(かつをぶし)(いぬ)にふんだくられた(とき)(やう)不足(ふそく)さうな(つら)をして(はな)をすすつてゐる。
344大正一二・一・一一 旧一一・一一・二五 北村隆光録)