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第四章 雪雑寝(ゆきざこね)〔一二五八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻 篇:第1篇 変現乱痴 よみ:へんげんらんち
章:第4章 雪雑寝 よみ:ゆきざこね 通し章番号:1258
口述日:1923(大正12)年01月12日(旧11月26日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
アークは、三五教の二人の美人宣伝使に加えてお民もいる今、酒宴を開いたらどうかとランチ将軍に提案した。ランチ将軍は幕僚のみの酒宴を開くこととし、アークとタールは準備に出て行った。
後に残ったランチ将軍とお民はしばし、軍人の本分について語り合った。ランチ将軍は、人間は悪を喜ぶのが本能だから、他を亡ぼし圧迫し略奪しなくては世にときめきわたることはできない、と体主霊従主義を開陳している。そして、蠑螈別もその道理がわかったら、お民と一緒に陣中においてやろうとお民に言い渡した。
アークとタールが酒房に酒を取りに行くと、エキスが酒を盗み飲みしている。エキスにそそのかされたアークとタールは、一緒に酒を飲み始めて前後不覚になり、その場に倒れてしまった。
蠑螈別とお民はこの場を通りかかった。お民はこれを見て、酒を控えるように蠑螈別に言うが、蠑螈別も酒を飲み始め、一緒に倒れてしまった。お民はさっさとこの場を立ち去った。
木枯らしが吹く雪が、倒れた四人の上に降り注いた。次第にあたりも見えないほどに雪が降りしきり、たちまち四人の体は積雪に包まれてしまった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:51頁 八幡書店版:第8輯 606頁 修補版: 校定版:53頁 普及版:26頁 初版: ページ備考:
001 蠑螈別(いもりわけ)(つぎ)神殿(しんでん)()(すす)んで一生懸命(いつしやうけんめい)祈願(きぐわん)()らしてゐる。002(あと)にはランチ将軍(しやうぐん)003(たみ)004アーク、005タールの四人(よにん)(ひや)やかな(ゑみ)(うか)べて、006(しばら)沈黙(ちんもく)(まく)()ろしてゐた。007アークは(くち)(ひら)いて鼻柱(はなばしら)両方(りやうはう)(みぎ)()でクレリ クレリと(こす)()げながら、
008『モシ将軍様(しやうぐんさま)009(いま)(うけたま)はれば(じつ)御愉快(ごゆくわい)(こと)(ござ)つたさうですな。010何処(どこ)ともなしに御雄壮(ごゆうさう)なる………(いな)歓喜(くわんき)()たされた御尊顔(ごそんがん)(はい)(たてまつ)り、011アーク()にとり恐悦(きようえつ)至極(しごく)(ぞん)(たてまつ)ります。012(いにしへ)より英雄(えいゆう)(いろ)(この)むとか(つた)()いて()りまする、013(これ)にて将軍様(しやうぐんさま)(はじ)めて英雄(えいゆう)英雄(えいゆう)たる器量(きりやう)発揮(はつき)(あそ)ばしたと()ふもの、014いかでか(これ)(しゆく)せずに()れませう。015(しか)しお(いはひ)には(さけ)がつきものです。016(さけ)がつかなければあまり縁起(えんぎ)がよくないものです。017将軍様(しやうぐんさま)(この)(いはひ)をして永遠無窮(ゑいゑんむきう)益々(ますます)(さち)あらしめむために、018(さけ)一杯(いつぱい)頂戴(ちやうだい)する(わけ)には()きませぬか。019(さいは)ひお(たみ)殿(どの)がここに()られますれば、020(しやく)()うたり(かな)うたり、021万事(ばんじ)惟神的(かむながらてき)出来(でき)()ります。022如何(いかが)(ござ)りませう』
023『アーク、024(その)(はう)()()いた(やつ)だ。025やはり(おれ)幕僚(ばくれう)栄転(えいてん)させて使(つか)つたのは、026(えう)するに先見(せんけん)(めい)ありと()ふべしだ。027よし、028(その)(はう)言葉(ことば)()()つた、029何程(いくら)なりと(さけ)()放題(はうだい)030(しか)しながら軍規(ぐんき)紊乱(ぶんらん)(おそ)れあれば、031あまり部下(ぶか)(もの)には()らさぬ(やう)幕僚(ばくれう)のみ(ひそ)かに酒宴(しゆえん)(もよほ)すであらう』
032早速(さつそく)御承知(ごしようち)033流石(さすが)明智(めいち)大将(たいしやう)034(わが)()()たりと()ふべしだ。035エヘン、036おいタール、037如何(どう)だ、038(おれ)言霊(ことたま)(その)功力(くりき)(たちま)ちだ、039(おそ)()つたか』
040『うん、041()()(とき)にや貴様(きさま)最適任(さいてきにん)だ。042その(かは)敵陣(てきぢん)(むか)つちや一番(いちばん)がけに()げる(やつ)だからな。043(よわ)(てき)()りや無性(むしやう)矢鱈(やたら)追駆(おつか)けて()きよるが、044(すこ)(ばか)(てき)(つよ)いと()たら(しり)()かけてスタコラ、045ヨイヤサと一目散(いちもくさん)だから(たい)したものだよ。046アハヽヽヽ』
047『コリヤコリヤ両人(りやうにん)048(この)目出度(めでた)(とき)に、049左様(さやう)(いさか)ひは不吉(ふきつ)だ。050七六(しちむつ)かしい(いくさ)なんかの(はなし)はやめてくれ。051それよりも(はなし)()めてお(たみ)(しやく)をさせ、052二人(ふたり)珍客(ちんきやく)()ひつ(をど)りつ、053(なぐさ)みに(きよう)するのだな。054エヘヽヽヽ、055サア(はや)将軍(しやうぐん)命令(めいれい)だ、056用意(ようい)! (いち)057()058(さん)!』
059 アーク、060タールは早速(さつそく)(この)()(はづ)し、061(さけ)用意(ようい)(ととの)ふべく()()つた。062あとにランチ将軍(しやうぐん)とお(たみ)差向(さしむか)ひとなつて、063(ひと)つの火鉢(ひばち)(へだ)(ちひ)さい(こゑ)何事(なにごと)(ささや)いて()る。
064将軍(しやうぐん)(さま)065貴方(あなた)軍人(ぐんじん)がお()きで(ござ)りますか、066(ただし)理想(りさう)(をんな)民間(みんかん)(くだ)つて(たの)しくお(くら)(あそ)ばすがお()きですか、067(うけたま)はりたいものですな』
068『ウン、069(おれ)はもとはお(まへ)()つてる(とほ)りバラモン(けう)大宣伝使(だいせんでんし)(けん)大将軍(だいしやうぐん)だ。070(みぎ)()(つるぎ)()ち、071(ひだり)()にコーランを(たづさ)へて(のぞ)み、072(をしへ)()くものは(これ)善人(ぜんにん)見做(みな)し、073(をしへ)()かないものは(これ)魔物(まもの)見做(みな)して()()つるのが将軍(しやうぐん)(やく)だ。074(これ)(くらゐ)愉快(ゆくわい)(こと)があらうか。075将軍(しやうぐん)権威(けんゐ)(もつ)てすれば、076何事(なにごと)()(ごと)くならぬ(こと)はないのだから、077何処(どこ)(まで)もバラモン(けう)宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)()められないのだ。078(じつ)吾々(われわれ)威勢(ゐせい)(そら)(かがや)日月(じつげつ)(ごと)きものだ。079(その)(はう)(わが)(まへ)(ちか)(はべ)り、080(じつ)光栄(くわうえい)だらう』
081『ハイ、082光栄(くわうえい)(ぞん)じます。083(しか)軍人(ぐんじん)()ふものは天下(てんか)泰平(たいへい)(とき)には必要(ひつえう)がないものですな、084()()乱世(らんせ)になれば()くては(かな)ひますまい。085(その)(てん)になれば軍人(ぐんじん)さまは国家(こくか)柱石(ちうせき)086平和(へいわ)(まも)(がみ)(さま)(ござ)ります。087(しか)しながら貴方(あなた)(がた)神力(しんりき)武力(ぶりよく)によつて世界(せかい)平定(へいてい)され、088真善美(しんぜんび)平和(へいわ)建設(けんせつ)されたならば、089軍人(ぐんじん)はおやめになりませうな、090(いな)必要(ひつえう)がありますまいな』
091『ウン、092それもさうだ。093(しか)しそれは()ふべくして(おこな)ふべからざるものだ。094(いたづら)高遠(かうゑん)理想(りさう)世界(せかい)(ゆめ)みた(ところ)で、095所詮(しよせん)(この)()(なか)(たたか)ひの()(なか)だ。096(よわ)(もの)到底(たうてい)(あたま)(あが)らない娑婆(しやば)世界(せかい)だ。097さうして不幸(ふかう)にして世界(せかい)平和(へいわ)(をさ)まり善人(ぜんにん)ばかりになつたら、098俺達(おれたち)軍人(ぐんじん)はサツパリ商売(しやうばい)出来(でき)ない。099(てき)(あら)はれて各所(かくしよ)動乱(どうらん)(おこ)ればこそ俺達(おれたち)威勢(ゐせい)()るなり、100(また)安楽(あんらく)生活(せいくわつ)出来(でき)るのだ。101()(なか)善悪混淆(ぜんあくこんこう)だよ、102芝居(しばゐ)だよ。103虚偽(きよぎ)罪悪(ざいあく)とを(ほしいまま)にする()(なか)だ。104よく(かんが)へて()よ、105瀬戸物屋(せとものや)瀬戸物(せともの)()れる(こと)(この)み、106坊主(ばうず)死者(ししや)(おほ)からむ(こと)(ねが)ひ、107医者(いしや)病人(びやうにん)(おほ)からむ(こと)(のぞ)み、108スパイは小盗人(こぬすと)(おほ)からむ(こと)(ほつ)し、109役人(やくにん)罪人(ざいにん)(もつと)(おほ)きを(もつ)自分(じぶん)商売(しやうばい)繁栄(はんゑい)として(よろこ)ぶのだ。110何程(なにほど)三五教(あななひけう)とやらが(この)()(なか)水晶(すゐしやう)にすると()つても五六七(みろく)()建設(けんせつ)すると()つても、111それは口先(くちさき)ばかりだ。112(えう)するに商売(しやうばい)能書(のうがき)だ、113広告(くわうこく)手段(しゆだん)だ。114(まへ)もチツと時代(じだい)()(さま)社会(しやくわい)潮流(てうりう)(おく)れない(やう)にしたがよからうぞ。115(これ)人世(じんせ)径路(けいろ)だ。116さうして(あく)(よろこ)ぶのは人間(にんげん)本能(ほんのう)だ。117(おのれ)安全(あんぜん)にし(おのれ)幸福(かうふく)()むとすれば、118(かなら)ずや()(ほろぼ)()圧迫(あつぱく)()利益(りえき)掠奪(りやくだつ)せなくちや、119到底(たうてい)()(とき)めき(わた)り、120貴人(きじん)となり富豪(ふうがう)となり紳士紳商(しんししんしやう)となることは出来(でき)ない。121(まへ)のくはへて()蠑螈別(いもりわけ)余程(よつぽど)薄野呂(うすのろ)だな。122あれ()よ、123泡沫(ほうまつ)(ひと)しき経文(きやうもん)(たて)に、124(この)ランチ将軍(しやうぐん)(いのち)(いの)りによつてとらう(など)と、125アハヽヽヽ……()ても()てもうぶ(かんが)へだ。126(ほとん)今日(こんにち)時代(じだい)より一万年(いちまんねん)ばかりおくれて()る。127チツと脳味噌(なうみそ)詰替(つめかへ)をしてやらなくちや(この)陣中(ぢんちう)でも使(つか)(やう)がないわ』
128調子(てうし)()つて体主霊従主義(たいしゆれいじうしゆぎ)をお(たみ)(むか)つてまくし()ててゐる。129(たみ)善悪(ぜんあく)(まよ)ひ、130(ただ)俯向(うつむ)いて(かんが)()んでゐる。
131『もしランチ将軍様(しやうぐんさま)132夜前(やぜん)のお二人(ふたり)(うつく)しいお(かた)何方(どちら)()かれました。133一度(いちど)拝顔(はいがん)(ねが)()いもので(ござ)りますな』
134『ウン、135あまり(はなし)()()つて、136肝腎(かんじん)のナイスを念頭(ねんとう)より遺失(ゐしつ)して()た。137オー、138さうだ、139()んな(こと)してる(とき)ぢやない、140ヒヨツと片彦(かたひこ)にでも占領(せんりやう)されちや大変(たいへん)だ。141いやお(たみ)殿(どの)142其方(そなた)蠑螈別(いもりわけ)(たい)(それがし)(いま)(まを)した言葉(ことば)143トツクリと()()かしたがよからう、144それが合点(がてん)()つたら、145(まへ)二人(ふたり)(この)陣中(ぢんちう)大切(たいせつ)にしておいて()げよう』
146『ハイ有難(ありがた)(ござ)ります。147御存(ごぞん)じの(とほ)りの(をとこ)(ござ)りますから、148()(さは)(こと)をチヨイチヨイ(まを)しませうが、149何卒(なにとぞ)大目(おほめ)()てやつて(くだ)さい。150蠑螈別(いもりわけ)少々(せうせう)ばかり精神上(せいしんじやう)欠陥(けつかん)(ござ)りますから』
151『ウン、152ヨシヨシ、153精神病者(せいしんびやうしや)ならば(また)その(つも)りで、154つき()うて()げよう、155随分(ずゐぶん)()をつけてやつたが()からう』
156『ハイ、157情深(なさけぶか)いお言葉(ことば)158(たみ)(きも)(めい)じて、159何時(いつ)()にかは(わす)れませう。160将軍(しやうぐん)さま、161有難(ありがた)(ござ)ります』
162()()んで(なみだ)(なが)感謝(かんしや)してゐる。
163 アーク、164タールの両人(りやうにん)酒房(しゆばう)振舞酒(ふるまひざけ)をとり()すべく欣々(いそいそ)として(すす)みやつて()た。165()れば一人(ひとり)(をとこ)(つぼ)(しやく)()()みグビリ グビリと()んでゐる。166よくよく()れば同僚(どうれう)のエキスであつた。167アークはエキスの(うしろ)から足音(あしおと)(しの)ばせながら(ちか)(すす)()り、
168『オイ』
169一声(ひとこゑ)呶鳴(どな)ると(とも)背中(せなか)()()(くら)はした。170エキスは不意(ふい)()たれて(しやく)をパツと(はな)し、171呂律(ろれつ)(まは)らぬ(した)で、
172『ダヽヽヽ(たれ)ぢやい、173エーン、174(ひと)折角(せつかく)いい気分(きぶん)になつてるのに、175(うしろ)から()やがつて(おびや)かしやがつたな。176マア()て、177(いま)将軍様(しやうぐんさま)(うつた)へてやらう』
178『コリヤ、179貴様(きさま)はエキスぢやないか、180エーン、181(おれ)(はう)から(うつた)へてやらう。182酒泥棒(さけどろぼう)()183(たれ)(ゆる)しを()此処(ここ)()たのだ』
184『エーン、185八釜(やかま)しう()ふない。186(おな)(あな)(きつね)ぢやないか。187貴様(きさま)だつて(いま)(さけ)(ぬす)んで(くら)はうと(おも)つて()やがつたのだらう。188(おれ)一足先(ひとあしさき)()たばかりだ。189やはり(さけ)(ぬす)(こころ)(おな)じだ。190(おれ)(こと)()ふと貴様(きさま)(こと)素破抜(すつぱぬ)くぞ』
191馬鹿(ばか)()ふな。192(おれ)将軍様(しやうぐんさま)命令(めいれい)によつて今日(けふ)(いはひ)があるのでお(さけ)をとりに()たのだ、193なあタール、194さうだらう。195それにエキスの(やつ)196俺達(おれたち)(まで)自分(じぶん)(いや)しき(こころ)(くら)べて盗人(ぬすびと)()ばはりをするとは()しからぬ(やつ)だ。197こりやエキス、198(ちが)ふと(おも)ふなら将軍様(しやうぐんさま)()いて()よ』
199(さけ)(うへ)でした(こと)(つみ)はないわい。200そんな野暮(やぼ)(こと)()ふものぢやない。201マア貴様(きさま)一杯(いつぱい)やつたら如何(どう)だ』
202『アハヽヽヽ、203到頭(たうとう)()れて()よつたな。204それでは御酒宴(ごしゆえん)先立(さきだ)つて毒味(どくみ)をして()よう。205もし(あぢ)(わる)けりや(なほ)して()かんならぬからな』
206『アハヽヽヽ、207到頭(たうとう)地金(ぢがね)()しよつたな。208オイ、209鍍金(めつき)先生(せんせい)210(えら)さうに()つても、211()つた金箔(きんぱく)()げるから仕方(しかた)がないわ。212エー』
213『オイ、214アーク、215ここで()んぢやいけない、216(たる)にドツと()()んで将軍様(しやうぐんさま)(まへ)()つて()かう。217そしてエキスの(こと)をスツパぬいてやらう。218さうぢやないと、219成上(なりあが)(もの)(くせ)威張(ゐば)りよつて仕方(しかた)がないからな』
220『ヘン、221貴様(きさま)成上(なりあが)がり(もの)ぢやないか、222(おれ)ばつかりぢやないぞ。223(ひと)(こと)()はうと(おも)へば自分(じぶん)(はち)から(はら)うてかかれ。224(ひと)(のろ)はば(あな)(ふた)つだ、225本当(ほんたう)馬鹿(ばか)だな』
226『エー、227(なん)だか(のど)(むし)(しき)りに汽笛(きてき)()()した。228()みたい(こと)はないけど、229機関(きくわん)(あぶら)()すと(おも)うて、230ホンの三升(さんじよう)ばかり(のど)(うるほ)はして()ようかい。231オイ、232タール、233そんな七六(しちむつ)かしい(かほ)せずに、234つきあうたら如何(どう)だ。235なあエキス、236さうだらう』
237『ウン、238さうだ。239()()つた。240人間(にんげん)はさうなくちやいけない、241タールの(やう)唐変木(たうへんぼく)社会(しやくわい)落伍者(らくごしや)だ。242可憐(かはい)さうなものだな』
243『ヘン、244馬鹿(ばか)にすない』
245腹立(はらだ)(まぎ)れに(しやく)をグツと()り、246酒壺(さけつぼ)にグツと()()鯨飲(げいいん)をはじめた。
247エキス『アハヽヽヽ、248到頭(たうとう)249(おれ)(した)()()まれよつたな。250(しか)(わが)(たう)()だ。251えらいえらい』
252(すべ)ての紛紜(いさくさ)はケロリと(わす)れ、253三人(さんにん)(かは)(がは)(しやく)(くち)をつけてガブガブと()みさがし、254前後不覚(ぜんごふかく)になつて(その)()(たふ)れて(しま)つた。255蠑螈別(いもりわけ)256(たみ)はヒヨロリ ヒヨロリと何気(なにげ)なう(この)()(あら)はれ(きた)り、257三人(さんにん)()(たふ)れてゐる姿(すがた)()打驚(うちおどろ)き、
258『マアマア、259(この)(かた)はアークさま、260タールさま、261エキスさまぢやありませぬか。262マア()うしてこんな(ところ)(たふ)れて(ござ)るのだらう。263(いへ)がないものかなんぞの(やう)(つち)(うへ)(たふ)れて、264みつともない(ところ)丸出(まるだ)しにして、265エーマアいやな(こと)
266此奴(こいつ)(ぬす)(ざけ)(くら)()うて(たふ)れてゐるのだ。267(なん)(さけ)(よひ)()ふものは()つともないものだな』
268貴方(あなた)だつて何時(いつ)もお(さけ)にお()ひになると、269もつともつと()つともないですよ。270そんな(とき)姿(すがた)()ると三年(さんねん)(こひ)もゾツとして()ましますよ。271(わたし)なりやこそ、272貴方(あなた)今迄(いままで)(あい)して()たのですよ。273本当(ほんたう)(をとこ)()ふものは(いや)しいものだな。274(わが)()正念(しやうねん)がなくなる(ところ)まで意地汚(いぢきたな)い、275本当(ほんたう)(いや)になつて(しま)ふわ。276蠑螈別(いもりわけ)さま、277(これ)()(さけ)をこれつきり()めて(くだ)さい』
278『ウン、279(そば)から()()りや()つともないが、280()うて()本人(ほんにん)になつたら愉快(ゆくわい)だよ。281(おれ)如何(どう)しても()められない。282()んだら如何(どう)()らぬが、283(いき)のある(うち)()められないよ』
284『それなら、285貴方(あなた)(さけ)(わたし)と、286どちらか()めなならぬと()つたら、287何方(どちら)をお()めになりますか』
288『ウン、289さうだな、290小豆餅(あづきもち)()たか、291島田(しまだ)()るか、292小豆餅(あづきもち)()島田(しまだ)()ると()(こと)があるだらう。293(さけ)()きだ、294(まへ)()きだ。295何方(どちら)()(こと)出来(でき)ないね』
296(こめ)(つぶ)して(こしら)へた植物(しよくぶつ)液汁(えきじう)神様(かみさま)生宮(いきみや)たる人間(にんげん)同様(どうやう)()られちや(たま)りませぬわ。297そんな水臭(みづくさ)いお(かた)なら今日(けふ)(かぎ)りお(ひま)(くだ)さい。298さうして貴方(あなた)(はらわた)(くさ)(とこ)までお(さけ)をお(あが)りなさいませ』
299『アーア、300(さけ)()みたし、301(をんな)には(わか)れともなし、302えらいヂレンマに(かか)つたものだな。303アヽもう(たま)らぬ。304(この)(にほひ)()いぢや()つても()ても()れない』
305()ひながら(かがみ)のぬいた(さけ)()ながら、306両手(りやうて)(たる)(かか)へながらグウグウと鯨飲(げいいん)(はじ)めた。307(たちま)蠑螈別(いもりわけ)(その)()()(たふ)れ、308此処(ここ)四人(よにん)泥酔者(よひどれ)雑魚寝(ざこね)(はじ)まつた。309(たみ)逸早(いちはや)(この)()立去(たちさ)り、310(おく)()さして(すす)()く。
311 (こがらし)()()(ゆき)しばきは遺憾(ゐかん)なく四人(よにん)地上(ちじやう)(たふ)れた(うへ)()(そそ)ぎ、312次第々々(しだいしだい)(ゆき)はこまかくなり(きた)り、313ザアザアと(すな)()(やう)(こゑ)()して、314四辺(しへん)雪襖(ゆきぶすま)()てた(やう)になつて()た。315(たちま)四人(よにん)身体(からだ)積雪(せきせつ)(つつ)まれて(しま)つた。
316大正一二・一・一二 旧一一・一一・二六 北村隆光録)